| {"novel_id": "n0009fk", "chapter": 2, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0009fk/2/", "title": "駆動鎧", "content": "「こちらだ。足元に気を付けたまえ」\n キリエはバウゼンに連れられて砦の地下に向かう階段を下りていた。辺りには人気がなく、いかにも軍事機密を取り扱う場所らしい雰囲気が漂っていた。\n「あの……それで結局新兵器とはどのようなものなのですか?」\n「ついてくればわかる……と言いたいところだが、君が覚悟を示してくれたのにはぐらかし続けるのも無礼だな。新兵器は全く新しい形式のゴーレムだ」\n「ゴーレム……?」\n ゴーレムについての基礎知識ぐらいはキリエにもある。だが、それは主に魔術師が簡単な命令を下すための土人形だったはずだ。魔術師でないキリエとは縁もゆかりもないはずだが……。\n「君の困惑も理解できる。ゴーレム技術と何の関係もない自分がなぜ呼ばれたのか理解できずにいるだろう……だが、ここから先は本当に見ないとわからない。さぁ、この先だ」\n そして、地下の重厚な扉を抜け、二人は「それ」が置かれた場所へと足を踏み入れた。\n\n ◆ ◆ ◆ ◆ ◆\n\n「これは……一体……?」\n 扉を抜けた先は、大きな格納庫だった。キリエとバウゼンはその格納庫の上部に張り巡らされた通路に立っていた。その格納庫の中央に鎮座していたのは巨大な鎧……のようなものだった。あれが鎧だとすると、着ることができるのは巨人だけだろう。\n その身長はおよそ7メートル。一般的な成人男性に近いプロポーションをしているが、やや胴体が短く、手足が長い印象を受ける。試作機らしく塗装こそ施されていないが、スタイリッシュで堂々としたたたずまいにキリエはしばし息を呑む。\n「これこそがこのナクルガ砦において極秘裏に開発されていた新兵器、我々はこれを『駆動鎧』と呼んでいる」\n「駆動鎧……」\n「ゴーレム技術をベースに最新鋭の冶金技術と機械技術を組み合わせることで、今までのゴーレムの常識を覆す巨大なサイズとパワー、防御力を実現、さらに内部に操縦者が乗り込むことで直接操縦者の動きをフィードバックさせ、かつてない繊細で機敏な動きを可能にした」\n「乗り込む!? これの中に乗り込むのですか!?」\n てっきり通常のゴーレムと同じように外部から術者が操る物だと思っていたキリエは仰天する。するとバウゼンは頷きを返した。\n「うむ。ゴーレムとは言っているが、その実態は名前のように鎧の発展形なのだよ。外部から操るだけのゴーレムではどうしても単純で鈍重な動きしかできない。戦場において機敏に反応するためには、操縦者の的確な判断が必要不可欠なのだ」\n「それでは……私の役目というのは……」\n「そうだ。この『駆動鎧』のテストパイロットだ」\n その言葉を受け、キリエは大きな衝撃と……強い期待感を抱いた。\n(これを……この巨人を……私が動かすのか……?)\n もしこの巨人を手足のように動かせれば……自分は見下される立場から見下す立場へとたちまちのうちに転じるのだ。それは自らの体格への劣等感をバネにただひたすらに精進を重ねてきたキリエにとって抗いがたい誘惑だった。\n もし最初から試験内容を知っていたら、むしろ積極的に自ら志願していたかもしれない。キリエはそんな想像すら抱き……そしてそこで一つの疑問を覚える。\n「あの……なぜ私なのですか? 全く何の関係もない私を砦外から招集するくらいなら、内部で開発に携わって来た人間がいくらでも……」\n「……それについては直接理由を見せよう」\n バウゼンは格納庫の上部に巡らされた通路を通り、駆動鎧へと近づく。それにキリエが付いていくと駆動鎧の前には一人の若い女性がたたずんでいた。\n「あら、司令官。……その子が例の?」\n 振り向くと、その胸でキリエには存在しない巨大な肉塊がたゆんと揺れる。思わずキリエは親の仇でも見るようにそちらを凝視してしまった。\n「あぁ、キリエ・リューガー少尉だ。あと、子供扱いはやめてやってくれ。これでも一人前の軍人だ」\n 不満げなキリエの視線に気づいたか。バウゼンがフォローを入れる。\n「い、いえ、私は別に……子供扱いされることには慣れていますから……」\n フォローされたことに慌ててキリエが取り繕うが、後の祭りだった。\n「フフッ、ごめんなさいね。私はマイン・カーター軍曹よ。主にこの駆動鎧の開発と整備を担当しているの」\n マインと名乗った女性が腰をかがめてキリエに視線を合わせながら挨拶する。\n「あ、あの……キリエ・リューガー少尉です……」\n「あら、あなたの方が階級が上なんだからそんなにかしこまらなくても」\n そう言われても、かがまれたことで胸の谷間が視線の真正面に来てしまい直視ができないキリエである。不毛なやり取りになりそうなことに気付いたか、バウゼンが一つ咳払いする。\n「ともかくコックピットの中を見せてやりたい。開けてくれるかな?」\n「はい、了解しました」\n すると、マインは途端に真剣な表情になると通路から直接手を伸ばし、駆動鎧の胸部にいくつかあったレバーを倒す。すると……胸部が大きく口を開け、内部構造が露わになる。\n バウゼンの言葉を借りるならそこが「コックピット」なのだろう。その中にはあまり座り心地の良さそうには見えない椅子が一つと周囲にはわけのわからない機械類がごちゃごちゃと詰め込まれていた。そして何より驚くべきは……\n「狭い……ですね」\n その圧倒的な狭さだった。180センチ近い長身で筋肉質なバウゼンは元より、160センチ程度のマインですらここに入ると色々とつっかえてしまい身動きは取れないだろう。唯一この席に余裕をもって座れそうなのは……そう、キリエだけだった。\n「色々と事情があってねぇ、機体のサイズをこれ以上大きくすると重量が重くなって耐久性に問題が出るし、機体内部に余剰スペースは欠片もないからコクピットの体積を広げることもできないし……どうしてもこのサイズにせざるを得なかったのよ」\n「……なるほど、理解しました」\n なぜ自分が選ばれたのか、その理由をようやくキリエは理解する。決して軍人としての能力を評価されてここにいるわけではなく……ただ単純に自らの矮躯がその理由だったのだと。単に軍の内部でこれに乗れる人材が自分だけだったわけである。\n コンプレックスだった低身長のおかげで特別な任務に就けた、と喜ぶこともできたが今キリエの内心はとてつもなく複雑な様相を呈していた。\n「……それともう一つ。どうしても聞いておかなければならないことがあるのですが」\n 選ばれた理由はどうあれ、それが任務というならば割り切ることができる軍人としての精神をキリエは持っている。だがその鉄の心をもってしてもどうしてもスルー出来ない存在が視界の端に入っていた。\n「あの……座席の中央部に生えている……あ、あれは何ですか?」\n 思わず顔を真っ赤にして口ごもったのは、耳年増のキリエがその存在を的確に形容する名詞を知っていたからだ。\n(な、なぜディルドーが座席から生えているのだ!)\n そう、それはどこからどう見ても女性が自分を慰めるために使う……いわゆる大人の玩具に他ならなかった。しかも極太サイズである。\n「あぁ、あの疑似ペニス?」\n だが、そんなキリエの心遣いをざっくばらんとマインは切って捨てる。\n「心配しなくても、あれをキリエちゃんのオマンコに入れるわけじゃないわよー」\n「オ……!」\n 何の躊躇もなく飛び出す淫語に、キリエの顔が真っ赤に染まる。その後ろでバウゼンがやれやれと言わんばかりに額を抱えていた。そんな困惑した空気を一切気にせず、マインはさらなる爆弾発言を吐く。\n「あれが入るのは……キリエちゃんの可愛いケ・ツ・マ・ン・コだから」"} |
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