| {"novel_id": "n0010fm", "chapter": 36, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0010fm/36/", "title": "35話:百合子の独白 3", "content": "信ちゃんはミキと言う名前を出し始めた時から変わっていった\nううん、変わったのでは無く、年相応の感情が芽生えたのだ\n\n中学生のくせに、おじいさまの組織の構成員のように振る舞う信ちゃん\n私もすっかり、それが信ちゃんの地だと思っていた\n\nでも、よく考えれば分かること\n所詮は中学生なのだ\nおじいさまに教わった事を、ただ模倣していたのだ\n\nそして、その摸倣はすべからく良い方に転がり、それを自分の力で成し得たと思ってしまったのだ\nでも、それはミキちゃんと、その友達の春香ちゃんには全く通用しない力だったのだ\n\n信ちゃんはいつもの調子でミキちゃんにちょっかいを掛けた\nそれは大した話では無く、ミキちゃんが美人だったから\n\nでも、所詮は遊び\nいつもの調子で引っ掛けてやり捨てる程度の女\nそう高を括っていた信ちゃんは2人にこっ酷くやり込められた\n\nそして、気づいてしまったのだ\n自分は、おじいさまとは違うことに\n\nなにも考えずにおじいさまの操り人形であれば出来た事は、自分の足で立っては出来ないことに\n自分の実像に気付いた信ちゃんは、自分の虚像に怯えてしまった\n\nそれでも、この体験だけならそれを忘れれば今まで通りの生き方も出来たのだろう\nそこに、おじいさまが寝込みがちになり、跡目に関する抗争が始まったのが決定的だった\n信ちゃんも抗争じ巻き込まれてしまったのだ\n\nもっとも、泡沫候補の信ちゃんの玉を取るなんて話は無く、脅しをかけられた程度だった\nそれでも、刃物を持ったチンピラに信ちゃんの取り巻きが刺されるという警告はされたのだ\n\nおじいさまの操り人形のままであれば、勝てないまでも報復を信ちゃんは試みたと思う\nでも、普通の中学生の感性が芽生えてしまった信ちゃんには耐えきれない出来事だった\nそして、全てが恐ろしくなった信ちゃんは、自分の虚像から逃げ出した\n\n先ずは、おじいさまに泣きついて自分は跡目を狙う意思などない事を泣きながら話した\n次に、虚像時代の後始末を始めた\n\n若菜をいなかったして欲しいと頼み込んだ\n私の旦那もだ\n虚像を捨てた信ちゃんにとって若菜は負い目が大きすぎる女、父親は恐ろしい存在になったのだ\nおじいさまはメッキが剥げた信ちゃんを見限ったが、後始末はしてくれた\n\n私の旦那は若菜と駆け落ちしたことになった\nおじいさまが普通に2人を生かしているとは思えないが、私はそれは考えない事にした\n\nそして、大黒柱を失った私におじいさまは職をくれた\nおじいさまのビジネスの関係のコネで高校の教頭になることができた\nそれは、同時に学力に不安がある信ちゃんを私の力で高校生にすることが出来るようになったという事だった\n\nこの顛末は跡目相続の抗争を行っている私の親族たちにも知れ渡り、信ちゃんは跡目相続レースに参加する資格がない、小物であることが知れ渡り、私たちの周辺には取り合えずの平和が戻った\n\n取り合えずの平和\nその、平和の中で私と信ちゃんの関係は大きく歪んでいった\n毎晩、怯えがこもった眼で私に縋り付き、私の乳房で精神の均衡を何とか保ちながら寝付く信ちゃんは私の天使だった\n\nでも、若菜や幾人もの女と寝ていた信ちゃんは性的衝動のはけ口を必要とした\n加えて、いつまた自分がおじいさまの跡目相続の争いに巻き込まれるかの恐れを相殺を歪んだ性的な満足で忘れる必要もあったのだ\nそして、今やそれを叶えられるのは私しかいなかった\n\n最初は、母である私に甘える中で、信ちゃんのこらえ切れない性衝動が私に注がれた\nそれは、私にとっても甘美な瞬間で、禁断の蜜は非常に甘く、信ちゃんと過ごす隠微な時間は至高の時だった\n\nだが、そのような甘い関係は長くは続かなかった\nしだいに、信ちゃんは私を使い自分の怯えを解消しようと試みるようになる\nそして、私の扱いが段々と苛烈になってゆく\n\n信ちゃんに対する母性の象徴であった私の乳房はすぐに征服の象徴に変わった\n甘えるように扱われていた乳房はいつしか歯型と痣が絶えない存在に変わった\n乳房を噛み、私が悲鳴をあげることで信ちゃんは心に安らぎを得る\nリビングのテーブルに私の乳房を載せ、それを足で踏みつける、殴りつける、そんなことまで行われた\n\nセックスの在り方も変わった\n甘えるような優しいセックスから、私を責めるセックスになっていった\n特に私を四つん這いにして、簡易な首輪とリードをベルトで代替し私を貫きながら、首を絞め、お尻を叩くようなセックスに嵌っていった\n\nそして、私を痛めつけながら、『お前があいつの孫でなければ、俺は普通の生活を送れたんだ。お前のせいで俺の人生は台無しだ』と私を責め立て、泣き叫び許しを懇願する私の姿を見て信ちゃんは心のバランスをとるのだった\n\n私との歪んだセックスが信ちゃんの心の平安を得る裏の取り組みであったなら、中学生らしさで、ミキちゃんと付き合うべく取り組むことが信ちゃんの心の平安を得る表の取り組みであった\n\n自分が普通の中学生に戻ること\n中学生らしい何かに没頭すること\nその対象がミキちゃんだった\n\n正確に言えば、自分の虚像に対抗したミキちゃんが信ちゃんの取り組みのトロフィーに見えたのだ\nあの時、ミキちゃんではなく、別の子から肘鉄を食らっていたらその子が信ちゃんのトロフィーだったろう\n\nそんなミキちゃんに信ちゃんは毎日アプローチを続ける\nそして、私とセックスをしながら、その顛末を私に話すのだ\n\n信ちゃんにとって、ミキちゃんは崇拝すべき対象で私は蔑む対処\n私に醜いセックスを与えながら、ミキちゃんのことを恭しく話す信ちゃん\n私を貫きながら、私を叩きながら、私を卑しめながら、自分の感情の赴くままに私を使う\n私が痛みと惨めさに許しを請う、その私の耳元でミキちゃんへの惚気を聞かされるのだ\n私の心にはどす黒い淀みが少しづつ積もっていった\n\n一方で、信ちゃんのそれまでの経験が誠意ある形でミキちゃんに注がれてゆけば、所詮は中学生の女の子\nミキちゃんが信ちゃんを許し、二人が友達になり、やがてミキちゃんが信ちゃんに引かれるのは必然ともいえる流れであった\n\nそんな、二人が私が教頭をする高校に入学してきた\n私は、自分の心に積もったどす黒い淀みが限界を迎えつつあることを感じ始めていた\n私は、この黒い淀みと折り合いをつけることを諦め、破局を受け入れようと考えていたのだった\nそんな時、私はおじいさまが亡報を聞くことになるのだった"} |
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