| {"novel_id": "n0011hp", "chapter": 14, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0011hp/14/", "title": "第十三話 魔導書を読もう", "content": " 仮面ヒーローこと、アランが置いていったのは暇つぶし用の本だった。\n 勇者の冒険譚が描かれた物語本、サキュバスについて書かれた辞典を手書きで写したもの、そして魔導書だった。\n\n 仕事とプライベートが忙しいらしく、2日後にまた来るといって去っていった。\n ヒーローと仕事との二足のわらじは大変らしい。\n まあ、俺も2日ぐらいは本を読んで気を紛らわせば耐えれるはず……。\n\n\n そして他の何よりも、嬉しいのが魔導書を読めることだ!\n 表紙には魔法陣っぽいものが書いてあってザ・魔導書といった見た目。\n\n この剣と魔法の世界に来て、魔法に触れられるのは嬉しい。\n サキュバスについて書かれた辞典をさらっと読んだが、魔力が高いと書いてあった。\n つまり魔法が使えるということだろう。\n\n 今はこうして隠れているだけだが、魔法を覚えた暁には大手を振って、外へ歩けるようになるだろう。\n この世界初のサキュバス魔導師となるのだ!\n\n\n 魔導書の序章では、魔力は万能! 人が想像できることならなんでもできる! って書いてあった。\n 火を出したり、水を出したり、願ったことはなんでもできるらしい。\n 随分都合の良い話だが、では何故こんなアナログなランタンなんかで本を読んでいるのか、という問題がある。\n もっと技術が発達しても良いし、なんでもできるならもっとめちゃくちゃな世界になってるんじゃないか?\n\n と思って読み勧めると、めちゃくちゃな世界になってしまうから魔の力と昔は呼ばれていた、ということが書いてあった。\n 魔力さえあればなんでもできるから危険らしい。\n\n 魔力が強い人が「死にたくねえ!」って強い気持ちで願ったら魔力が続く限り、致命傷を負っていたとしても生き続ける。\n 魔力の強い人が「死ねぇ!」と憎悪を抱いて願うだけで、相手の生きたいという気持ちが少なければ死んでしまう。\n\n むちゃくちゃだ。\n そりゃ魔の力なんて呼ばれるわ。\n\n ちなみにサキュバスも魔力によって生み出された存在だ。\n 全世界の人間男性のムラムラした時に発せられた微弱な魔力が集まって出来たのがサキュバスだと推測されているらしい。\n 興奮してる男がいるだけで発情して、精液大好きな美女なんて都合良すぎだろ! と思ったらそういう仕組みらしい。\n 性処理用種族と呼ばれても仕方ない。\n\n\n 古くから魔力が多い子供は様々な種族の魔導師に見出され弟子となり、精神的な鍛錬を行い、魔力の暴発を防ぎながら魔力の研究を行っていたらしい。\n そうした魔力の研究の中から生まれたのが、魔法陣だ。\n\n 筆者は種族コンプレックスがあるのか、魔法陣は人によって発明された画期的な発明であるとめちゃくちゃ長文で書いていた。\n それまではエルフのように魔力量が多い種族は様々な手法で安全に魔力を扱っていたらしいが、人間のような低い魔力しか持てない存在も魔力を手軽に有効活用できる道具を発明したのは人間が初らしい。\n\n\n 魔力は物に流すことができる。\n 昔は魔力を剣に流し続け、切れ味が半端ない魔剣として扱ったりしていたのだが、ここで『俺の魔剣、魔力注ぐとほんのりあったかいな……』と思ったのが魔法陣の開祖であるジークヴァルト・シェルマンさんだ。\n そこでシェルマンさんは、色んな種類の鉄に同じ量の魔力を注いで試してみた。\n そしたら円環のお守りがめっちゃ熱くなったと。\n\n これが1番初期の魔法陣だという。\n\n ここから更に魔法陣が効率化され、少ない魔力量でも効率よく熱を発せられるようになり、一般人でも火を使わずに魔法陣さえ手に入れば調理をすることが可能となった。\n その後の研究により、魔法陣に使われる素材により魔力を流した時の効果が違うことが発見され、精神鍛錬をしなくても日常的に魔力を使うようになったため、魔力が多い人も魔力タンクとして共同体に受け入れられ、それにより魔法陣の研究は更に進んだ。\n 現在では冷却や送風など、様々な効果を発揮する魔法陣が研究され、どれだけ効率よく少ない魔力で大きな威力ができるかというのが研究されているらしい。\n\n 要するに、魔力は万能だけど万能すぎて危険だから、魔法陣を使って安全に消費できるようになって今の立場に落ち着いたよ、ということらしい。\n\n「おい!」\n じゃあ、魔法陣がないと駄目なら俺のサキュバスエロエロ魔力使えないじゃん!\n パラパラとめくっても、様々な魔法陣に使われる素材と効率よく複雑に進化していっている魔法陣の歴史みたいなのが書いてあるだけだ。\n 期待させるだけさせといてこれかよ……。\n\n\n と思って落胆していたが、最初に書かれていた昔のやり方でやれば良いのでは?\n 魔力は万能の力なんだから、自分の意志で好きなことはできるはずだ。\n そもそも魔力を使うという感覚がわからないからどうしようもないが。\n\n いや、よくよく考えれば俺も魔力を使ってないか?\n 魅了の魔眼!\n\n 魔力は万能。\n その万能の魔力を視線を通して相手に送りつけ、相手の判断能力を低下させ、俺の言うことに絶対服従の奴隷にする指向性の魔力を目から発している、と想定しよう。\n では何故、爺やゴーレムなどの生殖能力がない存在には効かないのか。\n 万能なはずなのに。\n\n それは魔力には意志が必要だということが鍵となっている気がする。\n 魔力は万能だが、強い気持ちがないと人間程度の魔力では役立たない。\n そして俺はサキュバスだ。\n\n これらを総合して考えると、俺に対して欲情している相手が俺の目を見ることで俺に服従する状態になるのが魅了の魔眼の効果と考えられる。\n\n 俺としては非常に遺憾の意を表したいのだが、性処理専用種族としての本能が俺に欲情している人を特に服従させたいと思っているのだろう。\n 枯れている人を服従させても何にもならんしな。\n\n 女の子を魅了できるかどうか……。\n「うーむ、巨乳美少女」\n 鏡の中で首をかしげて、こちらを見ているのは誰が見てもグッとくるレベルの美少女だ。\n 大体の男には通用するだろう。\n 一部の女の子もグッとくる人は多いだろう。\n\n 効かないのは本当に男だけが好きな人だろう。\n この世界ではバイセクシャルが当たり前であってくれ……と願いたい。\n\n\n いや、考えてもどうにもならないことを考えるのはよそう。\n 俺に今あるものはなんだ!\n\n 膨大な魔力があるよ!!!!(人間に比べて)\n\n\n ということなので魔力を使いこなそう。\n まずはこの角をなくすところから。\n 角さえなければ普通の人と変わらないはずだから。\n\n「角よ〜消えろ〜」\n ひたすら念じる。\n 角が消えますように。\n 角が消えてなんとかなりますように。\n\n 鏡を見ながらひたすら念じる。\n そして鏡の中で真剣な顔してる俺めっちゃ可愛い。\n いかん、邪念が。\n 角よ、消えろ〜。\n\n\n どれだけ長い間願っていたかはわからない。\n「はぁ! 消えろ角!」\n 俺の手の中の角がボロボロと崩れていく感覚が走り、鏡の中で片方の角が砕け散った。\n 俺の予想ではスーッと消えていくはずだったのだが予想外。\n 普通にボロっと落ちて怖い。\n 手の中には砕け散った角の破片がある。\n「うわぁ……」\n これをもう片方の角でもやるのか。\n\n と思ったところで俺は平衡感覚を失って、椅子から転がり落ちた。\n\n\n「お、お゛え゛ぇぇ」\n 美少女らしからぬ声が喉から出る。\n 起き上がろうとしても起き上がれない。\n 目の前がぐるぐるしているから、立ち上がってもすぐ倒れてしまう。\n 自分が寝転んでいるのはわかるが、ごろごろしているのかただ倒れているだけなのかもわからない。\n\n 目を開けていると気持ち悪いので目を閉じても身体全体がぐるぐる回る感覚は止まらない。\n ひたすら気持ち悪い感覚に耐えていると意識を失い、起きたら角は元通りだった。\n\n\n なんじゃそりゃ。気持ち悪くなり損じゃん。\n\n\n だけど魔力を使いこなすことはできた。\n 多分角は三半規管的な何かで、平衡感覚を司っていたのに俺が消したからあんなことになったんだろう。\n そして寝てる間に生えてきたか、魔力を使って戻した、と。\n\n しかし魔力を使うっていうのがどういうことかはわかった。\n\n\n 次は実践だ!!", "afterword": "ありがとうございました。\n主人公のエミリアは馬鹿です。"} |
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