| {"novel_id": "n0011hp", "chapter": 17, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0011hp/17/", "title": "第一六話 魔力を使ってみよう", "content": " カチャという金属音の方を見るとメイドさんが2つの銃口をアランに構えていた。\n めちゃくちゃ絵にはなるが今はそれどころじゃない。\n\n「いやいやいや、そんな荒っぽくならないで落ち着いて落ち着いて」\n「変身しなければ貴方の望むように落ち着いていたのでしょうが、今の貴方相手に落ち着くことはできません。常に自身を変えられる恐怖を持ちながら貴方は落ち着けますか?」\n「だからごめんって。そのちょっとTSさせてみたいなぁーって思っただけだから。嫌がってたら戻すつもりだったし」\n アランが少したじろいだ気がした。\n「いえ、貴方が嫌がる姿を思い浮かべなければそんなことは起きなかった。私は貴方に取り込まれていたでしょう」\n\n\n 俺ってそんな万能なのか……。\n アランが抵抗できてるのは同じ女神製のヒーロー変身セットをつけてるからなんだ。\n\n\n「貴方を救ったものとしての責任です。貴方が魔力を使い果たすまで、私はここで貴方を見張っています。貴方が逃げたり、他の人に危害を加えようとしたら、仕留めます」\n\n こわぁ〜。\n 確かに俺が上位存在すぎて、人のレベルまで落ちないと勝手に相手を改変しちゃうってのは問題かもしれない。\n しかし魔力を使い果たすって……。\n どんだけ時間かかるんだ?\n\n\n まあ、でもやるしかないか。\n 俺赤ちゃんだから、この世界のこと詳しくないし、チートで暴れられたら困るっていう言い分も十分にわかる。\n 俺が主人公ならどれだけチートで暴れてもいいだろうが、市民の味方であるヒーローにはただただ危険な存在だろう。\n\n 魔力使うためにこのメイドさんのディティールをもっと凝るか……。\n\n もうちょい声は低めでイケメンメイド感だして、髪の色ももう少しだけ薄くして、まつ毛を少し伸ばそう。\n 適宜距離を変えてみながら調節。\n\n こうしてみるとゲームのキャラクリしてるみたいで楽しいな。\n 大体俺の好みにはなってるけどこうやって自分で細かいところをいじるのも良いものだ。\n\n\n やっぱり生き物に干渉するのは結構魔力を消費する。\n 水とか炎なんていくら出しても何も感じないが、少し耳の形を変えるだけで魔力を使っているのがわかる。\n それでもいつになったら尽きるのかわからないが。\n\n\n どうせ魔力全部使わなきゃいけないなら俺のハーレムメンバーを作ってみるか。\n メイドさんはこれで完成です。\n 取りあえずね。\n ちょっと迷走してきた感あるからやめるんじゃないよ!!\n\n 次は獣人かな、いやエルフも良いかもしれない。いや、俺が後衛タイプだから作るなら前衛か。\n 可愛さとしては俺が頂点だから、ちょっと精悍な感じ。\n いや、安易に亜人にしてもよくないな……人間に擬態できるタイプが良いな。\n\n キメラ風な感じ。\n 腕は可変式で人の腕と獣の腕を切り替えられて、変身すると角も生えてくる。\n 羽も生えたほうがいいな。\n 肉弾戦特化型で。\n\n\n「ふぅ……」\n 造形が複雑になってくると疲れる。\n 魔力的にはではなく精神的に疲れる。\n 普段は普通の女の子だけど、薬を飲むと切り替わるタイプで。\n\n 普段は町娘みたいな格好をさせておいて、薬を飲むと姿が変わる感じ。\n 凄まじい魔力が集まっているのが感じられるが、俺のイメージ変換が上手くいっていない。\n これじゃあただ魔力を放出してるだけだ。\n メイドさんを作った時に比べてはるかに魔力を実体化させるのが難しい。\n\n 人間の身体とキメラの身体がそこに同時に存在していてブレている。\n 一気に両方の姿をイメージしたのが悪かったのか?\n\n これを無理やり1つに統合……ダメだ、上手くいかない。\n\n\n「ご主人さま、これ以上は」\n 俺より俺の作ったメイドさんのほうが危機管理しっかりしてる。\n 魔力の操作をやめたら人型のクリーチャーが召喚されてしまった。\n 存在そのものが不安定であやふやで気持ち悪い。\n\n 1回消去しよう。\n\n『お゛ぉーーーー』\n 俺の生み出した悲しい怪物はうめき声をあげながら消滅した。\n\n「大分疲れたんだけど……まだ許してくれない?」\n 両手を合わせて可愛く頼むも、アランに動きはない。\n\n 本当に俺が魔力を使い果たすまで、許してくれないんだ……。\n まあ、俺の命の恩人だしなぁ。\n 何よりもヒーローだし。\n\n 仕方ない。\n 魔力を消費することだけに集中しよう。\n\n\n\n 生物を作り出すのに魔力が必要なのは俺が無意識に生きるのに必要な器官まで作っているからか?\n メイドさんの心臓が動いてるか確認しよー。\n\n …………もう少しおっぱいのはりはなくしても良いな。\n「ご主人さま」\n 声が怖い。\n 顔を埋めて揉んでいただけなのに……。\n\n 自分が創り出した存在なのに、怒られて少し凹んでしまった。\n\n\n しかし俺がおっぱいに顔を埋めたおかげで心臓があることはわかった。\n 体温もあるということは代謝も行われているということかな?\n 俺が全く意識していない尾てい骨が存在しているかどうかも確かめたいが、ここでお尻を出されるわけにもいかないしな。\n\n そういうのはふたりきりになってからだ。\n\n\n うーん、これ甘やかしモードになったら甘やかしてくれるのー?\n 俺の考えていないところまで作られているなら俺の想定しているイメージとは別の性格になっている可能性もある。\n 俺が創ったんだけど、俺の脳内では出来ないイメージ部分も作られてる可能性もあるからな。\n それとも生物として成立させるためなら自然とそうなるものなのか?\n\n さっき上手くいかなかったのも、生物としてこの世に存在していないからだったかもしれない。\n\n\n「うさぎよ、出ろ!」\n フワフワのうさちゃんが出てきた。頭に思い浮かべたのはうさぎの写真。\n これで、うさぎの歯が出来ていれば俺のイメージ以上のことをやってくれる都合の良い力だといえる、魔力は。\n\n「うわぁ……うさぎって歯をむき出しにしてると怖い……」\n これで証明されたわけだ。\n 俺はうさぎが歯をむき出しにしてる姿なんて見たことない。\n やっぱネズミとお友達なんだなぁ……ってこれを見て初めて思ったぐらいだ。\n へぇ、うさぎって肉球ないんだ!\n\n\n「じゃあ、メイドさんも人なんだね」\n「はい。ある程度、ご主人さまと思考が共有されているからという理由もあるのかもしれませんが、自我というものは存在しております」\n ふむふむ。メイドさんの名前も考えてあげなくちゃね。\n 俺が創ったんだけどもう立派な人だな。\n\n 俺のイメージを何かが補強しているようだ。それが何かはわからないが。\n\n それでは何故さっきキメラ娘を作るのが上手くいかなかったのは、それはそういう存在がいなかったからだろう。\n\n 完全に俺のオリジナル種族だったため、俺の魔力を支えてくれている何かが支えきれなかったからだと思われる。\n 俺はあのキメラ娘をつくる時に内臓や筋肉までは考えていなかった。\n だから上手くいかなかったのだろう。\n\n\n つまり完全オリジナルクリーチャーは作れないけど、この世界にある既存のものをちょっと変えたぐらいならできるってことか?\n おそらくオリジナルのクリーチャーを作ろうと思ったら、しっかり心臓や筋肉を創り上げ、しっかりとこの世界で生きることができる生物にしないといけないのだろう。\n\n\n それとメイドさんが言っていた思考を共有しているというのはどういうことなんだろう。\n ある程度って言ってたから完璧に共有しているわけじゃないと思うが……。\n\n\n うーん、それと自分の角をなくせないのも謎だ。\n もしも魔力が万能なんだったら人間体になることも可能なんじゃないか?\n\n 謎が多すぎる。\n\n\n 角だけが見えないようにする魔力……恐らく俺の視界に入った人全てが俺を気にしなくするようにできる。\n もしくは何か言おうとしたやつを黙らせることはできるだろう。\n\n だけど、それじゃあいけないんだよなぁ。\n 俺が異世界の冒険者ギルドでチートハーレムをするためには足りない。\n 無理やり黙らせるのではなく、自然とチーレムしたい。\n\n 俺がサキュバスとして見られない状態になれば良い。\n 角を隠すのに違和感がないもの……。\n\n「うーん」\n きぐるみか……?\n\n 暇つぶしに手の上で創り出した羽があるだけの生物の存在をチカチカと消滅させては1から作り直す。このぐらいシンプルな生き物でも、消滅させるのには魔力を使う。\n きぐるみを着て外歩いてて何も言われんだろうか……。\n\n\n「あぁー、面倒くさい!」\n 魔力を使うのに精神力は使うし、疲れるし。\n イライラしてきた。\n\n\n「魔力を使えばいいんでしょ? 使えば! ねえ! ヒーロー!」\n 部屋の中でコクリと頷いたのがわかる。\n 少し落ち着こう。こんなことしてても魔力の消費なんて、来年になっても無理だ。\n\n イライラしてここら辺を吹き飛ばさないようにしなければ俺が思えばできるんだ。\n\n\n\n ここまでいろんなことを確かめてわかった。\n 魔力がでかいってだけでどれだけの災害を引き起こせるか。\n 俺が空中に飛び上がって目からビームを出すだけで街1つが壊滅するだろう。\n 実際それができる自信がある。\n\n\n\n「メイドさんに入れられるだけ魔力入れるか……」\n 俺の魔力を少し入れただけで、メイドさんは膝をついた。\n「くぅ……あ……も、申し訳ありません。私の肉体ではこれが限界です」\n 何故だろう。人間だからかな?\n\n もしかして俺の角が消せないのも、そしたら人間になっちゃうからなのかもしれない。\n 俺のこの身体だからこの魔力量が保持できるみたいな。\n\n 他に入れるのもダメだぁー。\n 結構頑張ったけど半分も消耗した気がしない。\n どれだけ使っても滾々と溢れ出る魔力……。\n\n\n\n「効率の良い魔力の消費方法ない〜? 魔力を固めて置いておけるみたいな」\n\n アランはしばらく考えてから答えた。\n「魔力が結晶状態になったものがダンジョンの奥底で見つかることがあるという……」\n そんなものがあるんだ。\n というかダンジョンもやっぱあるんだ。\n 本当にファンタジーだな。\n\n 魔力は今、気体みたいな感じだけど圧縮すれば固体になるみたいな感じかな?\n\n\n 手の上で水晶を作り、魔力を注ぎ込むが途中で割れてしまった。\n いや、これは俺が魔力で水晶を創って、そこにただ魔力を注ぎ込んだだけだから割れちゃったんだな。\n 魔力そのものを結晶化しなければ。\n\n 無。\n 頭の中を空っぽにして、魔力をひたすら両方の手の中で圧縮させていく。\n 手の内側から漏れ出さないように細心の注意を払って……。\n\n\n「お」\n 手の中に小さな質量を感じた。\n 中を見るとピンク色の丸い水晶が出現していた。\n これを大きくしていけばいいんだな。\n\n この水晶に魔力を注ぐとメキメキと音をたてながら手の中で育っていく。\n かなり魔力の消費効率が良い。\n\n というか手のひらよりも大きいだけなのに物凄い魔力を注ぎ込める。\n こんな効率が良いならさっさとこれを提案してくれたら……。\n\n いや、もうさっさと魔力を使って終わらせよう!\n\n\n\n 魔力を注いでいるうちに両手で抱えきれないほどの大きさになってベッドの上に放り出す。\n「ふぅー」\n かなり使った。\n フラフラする。\n\n「ほら、もうすぐ俺はすっからかんだぞー」\n どんどん大きさを増していくピンク色の水晶に更に魔力を注ぎ込む。\n\n もう浮かぶこともできない。\n この部屋の隅々まで満ちていた魔力も、今はこの水晶の中に封じられている。\n\n 俺自身も魔力の使いすぎで極度の疲労状態となっていた。\n 今やメイドさんに身体を支えながら手で水晶に魔力を送り込み続ける。\n「後のことは任せたぞ……」\n「ご主人さま……」\n 金髪メイドに抱えられながら意識を失うのも悪くない。\n 俺は指先から最後の魔力を送り込むのと同時に意識を手放した。", "afterword": "ありがとうございました。\nめちゃくちゃ苦労しました。"} |
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