Krixter/Repo / n0011hp /18.json
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{"novel_id": "n0011hp", "chapter": 18, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0011hp/18/", "title": "第十七話 決意", "content": " アランは深くため息を吐いた。\n\n ベッドの上にはスースーと寝息をたてる美少女とその様子を心配そうに見守るメイド。\n まるで母と娘のように見えるが、実際は逆。\n\n カーテンを閉めていて良かった。\n 床がツルツルとしたフローリングになっているのを確認し、青ざめる。\n カーテンがあいていたら、無意識の改変に外が巻き込まれていた可能性もあるだろう。\n\n\n 彼女も決してこの部屋をリフォームしたいと思ったわけではないだろう。\n ただ部屋のほうが彼の認識に合わせて姿を変えたのだ。\n ガタガタの木の床はフローリングにベッドはより柔らかいものに、座っている椅子もきしまなくなっている。\n\n 私に現実改変への対抗策がなければ、そして私が命の恩人でなければこの魔力はいつか暴発しとてつもない災厄を帝都にもたらしていただろう。\n 何よりも本人に悪気がなく、魔力による現実改変を行使しようとしているのが問題だ。\n\n 自らの力をわかっていない。無意識に周りの全てを変えてしまう。\n まさしく魔王だと言えるだろう。\n そんな強大な魔力を持つサキュバスが何故あんなところに捕えられて……。\n\n\n そこでアランは自分が魔力を使う感覚を教えたことを思い出して頭を抱えた。\n「だってこんなことになるとは思わないじゃん……」\n\n\n\n ベッドには巨大な魔結晶がある。\n 換金すれば凄まじい金額になるだろう。\n しかし明らかに自然に出来たものではない魔結晶。\n 必ず出どころを探られる。\n\n それが1人のサキュバスだと分かれば……良い顔をする貴族はいるだろう。\n 金で釣れば特例で市民権が与えられるかもしれない。\n しかし同時に暗殺の危険性にさらされることにもなる。\n\n この魔力量を帝国が危険視しないわけがない。\n\n しかしサキュバスである彼女に自衛手段はない。\n サキュバスは本能には逆らえない、どれだけの力を有していても。\n サキュバスとして生まれた以上、男の性欲のはけ口にならずにはいられないのだ。\n その間には、全くの無防備になる。\n\n\n\n 彼女が幸せに暮らすには帝国の力が及ばない辺境の地に向かうしかない。\n\n 力こそそこに住んでいる亜人達は彼女に従うだろう。\n またサキュバスということにつられて人間達もくるかもしれない。\n そしてそこを支配して自らの魔力で忠実なしもべも生み出せば自衛もできるだろう。\n 彼女の力を使えばどのような国も作れるだろう。\n\n だが、それは即ち彼女が魔王となることになる。\n 帝国の敵という意味での魔王ではない。\n 魔を統べる王、魔王だ。\n\n\n そうなれば帝国はまた危険視するかもしれない。\n\n 私には商人としての心得はあるが、政治の心得はない。\n 今考えていることも全て机上の空論だ。\n 前世での知識もこんな時には何も役に立たない。\n\n 危険を将来に先延ばしにしているだけだとしても今の私にはそれを提案することしかできない。\n「目を覚ましたら教えて下さい。私も少し仮眠を取ります」\n ただ彼に悪意がないことが唯一の救いだった。\n そう思いながら意識を手放した。\n\n\n\n\n「か、身体が重い……」\n「大丈夫ですか、ご主人さま」\n 体調悪くても甲斐甲斐しく俺の世話をしてくれるメイドがいれば、元気百倍だ。\n まあ、元気になるとこがないんだけど。\n\n「ばぶぅ……」\n 目が怖いよぉ……。\n おっぱい揉んだだけなのに。\n\n お腹ペコペコだし、魔力は全然回復してないし、魔力回復してないから身体重いし……。 おっぱい触るぐらい許してくれていいじゃん。\n\n ベッドから起こしてもらうともう1人白い目をした男がいた。\n いや、仮面をつけているのでわからないが、確実に白い目をしている。\n あんな大変なことに巻き込んでおいて、この男は何を……といった顔だ。\n\n\n 俺が起き上がったのを見て、話し始めようとするアランを制し、有益な提案をする。\n「まず、食事にしないか?」\n「ダメです」\n\n くぅーん。\n 俺は脱力してメイドさんに寄りかかった。\n 自分を支えてくれる人がいるってあったかい。\n\n\n「エミリアさん、貴方は帝国を敵にして魔王となる覚悟はありますか?」\n アランが説明するのを聞いていたけど正直ちっとも頭に入らなかった。\n\n\n だから食事を先にしようって……。\n「どう思う?」\n「ご主人さまが帝国を敵とするデメリットはさほどないように思えます」\n 元々、俺は逃げ出してきたし、あいつらとまた仲良く手を結ぶってのはできない。\n 俺は嫌だな。\n\n「これ以上、判断するには私達には情報がありません。後はアラン様が信用できるか、ですが私達は今、アランさんに匿われています。アランさんが帝国に密告すれば私達は正面から戦うことになり、今魔力を使い果たしたご主人さまはすぐに捕らえられるでしょう。このような状況の時に私達がまだ捕らえられていないことが、信用できることの何よりの証明でしょう」\n 確かに。\n ヒーローなのに将来的に危険分子となる存在を今は何もしていないってだけで手助けしてくれるだけで偉い。\n しかもしっかりと危険性を認識していて、この態度だ。\n 流石ヒーローだ。\n というか生まれ変わったら何になりたいって答えてヒーローって答えるほどの人が立派なわけない。\n\n 俺が性欲に正直なのと同じぐらい、この人はヒーローだ。\n\n\n\n「じゃあ、そういう方針で」\n「軽いな……」\n だってお腹すいてるんだもん……。\n 俺の目はさっきから部屋の隅に落ちている水筒に注がれている。\n\n\n\n さあ、食事の時間だ!!", "afterword": "おまたせしました。次回R18の予定です。"}

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