| {"novel_id": "n0011hp", "chapter": 6, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0011hp/6/", "title": "第六話 本能に抗って逃げよう", "content": "『やれやれ、俺もこんな身体じゃなければ参加したかったんですが……』\n 大男は全くこちらを警戒しないで歩いてくる。\n これが例の竜車らしい。\n どこが車なのかはわからないが。\n\n どうやら俺が意識を失っていた時間は俺が思っていたより長かったらしい。\n もう到着しているなんて思いもしていなかった。\n\n だが俺には魅了の魔眼がある。\n ドラゴンもこっちを襲ってくる気配はない。\n ならばいける。\n あの男を魅了して、ドラゴンを操らせここから脱出する。\n むしろ好都合だ!\n\n「魅了の魔眼!」\n 目に力を入れてこちらに向かってくる大男を見つめる。\n「お前そこに止まれ!」\n\n\n 大男はその場で止まり、困ったように頭をかいた。\n『あれれ、旦那どうしちゃったんです?』\n 魅了の魔眼が効いていない?\n\n ならばもう一度目に力を入れて。\n\n\n『もしかして……サキュバスに操られてる? あー、ならこの街で飼われてたサキュバスの生き残りか。いるんだよなぁ。サキュバスに魔力の使い方を教えるバカが』\n 軽い口調と共に近づいてくる男に嫌な汗が流れる。\n あいつには魅了の魔眼が効かないのか?\n そんなこと聞いてないぞ! あの女神!\n\n それに嫌な匂いがあたりに漂っている。\n あのドラゴンの側に置いてある箱の中からだ。\n 離れた場所なのに、ここにいるだけで背筋がゾクゾクとしてくる。\n 少しの高揚と頭の奥底で鳴り響く警鐘。あれは危険だ。\n\n 取りあえずここから逃げないと不味い。\n\n「お前はあいつの足止めをしてろ! 俺は逃げる!」\n『えぇっ! マジで!? いやいや、話が違うよ』\n こんなことなら全員連れてくれば良かった。\n 鎧を着ているんだから武器なしでも少しは足止めできてほしい。\n しかも知り合いみたいだったし、相手は何も持っていない。\n\n というか剣も持たせてないじゃん!\n どうして武器を持たせなかったんだ俺は。\n\n いや、今は考えるよりも逃げろ。\n 街の中に入れば撒けるはず!\n\n\n 一歩踏み出した俺の足は何かに絡まってそのまま倒れる。\n「あっ!」\n 俺の足には石で出来た枷が出来ていた。\n いつつけられたのかもわからない。気づけば足についていた。\n\n 後ろを振り向くと、大男が子供のように男を吹き飛ばしたところだった。\n 壁に叩きつけられた男はピクリとも動かない。\n\n『逃げられる、なんて思っちゃいけないよ〜』\n 大男は這いつくばっている俺に手錠をかけると、ヒョイと肩に担いだ。\n『君たちは値段が高い。めちゃくちゃ高いんだ。だから、こうやってわざわざサキュバス専用の移動竜車が作られるぐらいにはね。偉い人は生まれたてのサキュバス大好きだからなぁ……まあ、今回はアテが外れたけど。もしかしたら生まれたてで魔法が使える珍しいタイプかもしれないからね』\n 半分笑いながら話しているのに、全く口元が動いていないことに気づく。\n\n「石……?」\n こいつの身体は硬すぎる。\n 掴まれた時の手も、肩も、石で出来ているように冷たく硬い。\n そして顔も遠くから見た時には気付かなかったが、精巧に人間の顔を模している石の面だ。\n\n\n『そ、これは遠隔ゴーレム。魔法も使える優れもの〜』\n どれだけ身をよじっても、暴れてもびくともしない。\n 大男は大股でずんずんと箱へと近づいていく。\n 近づくにつれ、あの匂いも強まっていき、同時に俺の思考能力を奪っていく。\n\n ゴーレムってなんだっけ。\n なにかゲームで見たことある気がしている。\n 頭が回らない。\n\n どうにかしなきゃいけないが、どうしたらいいのかわからない。\n 焦りと期待だけが心の中で高まっていく。\n 俺は他に何かあの女神から貰っていなかったっけ。\n 思い出せない。\n\n「はぁ……はぁ……」\n 興奮で息が荒くなり、動悸も止まらない。\n\n「やめろぉ……」\n 身体にも力が入らない。\n\n\n『気持ちよくなって、気づいたら帝都だ。ある意味幸せな種族だよ。君たちは。なりたくはないけどね〜』\n 俺は銀色の箱の前で乱暴に地面におろされたが、もう抵抗する力も残っていなかった。\n この箱の中からする匂いが俺をおかしくさせている。\n 気が狂いそうなほどに俺が求めている匂い。\n\n\n 箱が開けられると、そこからは細いピンク色の触手の塊のような生き物が飛び出してきて、大男の足に纏わりつく。\n『あ、もう枷は外してあげるよ。どうせ今から箱に入るんだし。こら箱から出るな』\n 触手は大男に足で蹴られ、グチョグチョという不快な音と共に箱の中に収まった。\n\n「はぁ……♡はぁ……♡やだぁ……♡」\n 俺の身体は動かない。\n 目の前に俺を入れるための箱があって、何も拘束されていないのに、ただ動けない。\n ここに入ったら性奴隷にされて、オークションにかけられて売られて、人生が終わっちゃうのがわかっているのに、心臓のドキドキが収まらない。\n\n『あれ、そんな発情してるのに自慰しないんだ。やっぱり野生……? ま、関係ないか』\n 俺の身体がもう一度持ち上げられる。\n\n「やめれぇ♡」\n 俺の本能があそこに入れられることを望んでいる。\n あの匂いに包まれたい。\n 口はだらしなく開きっぱなしでよだれが滴り落ち、手と足はビリビリとしびれて垂れ下がり、動かない。\n\n でもあの中に入れられるわけにはいかない。\n\n はやく気持ちよくなりたい。\n\n こんなところだけで俺が終わってたまるか。\n\n でも期待で胸がドキドキする。\n\n\n\n「あ♡」\n 俺の必死の抵抗も虚しく、俺は触手塗れの棺桶に落とされた。", "afterword": "ありがとうございました。次回は触手で、R18描写ありです。\n主人公はまだ普通のサキュバスに比べて精液耐性があるほうです。"} |
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