| {"novel_id": "n0011mi", "chapter": 1, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0011mi/1/", "title": "女神", "content": "サッカーワールドカップ。\n世界中が熱狂する4年に一度の祭典が、2026年北中米で開催されていた。\n\n「ニッポン!ニッポン!」\n\n日本代表の試合会場であるスタジアムは熱気に包まれていた。\n試合展開は一進一退を繰り返し、誰もが手に汗を握る好ゲーム。\n選手たちと同じく青いユニフォームを着た日本サポーターたちはピッチで繰り広げられる戦いに声援を送っていた。\n\n「ニッポン!ニッポン!」\n\nスタジアムの巨大スクリーンが、熱狂する観客を次々と映し出す。\nテレビ中継とも連動しているカメラはまるで意思を持っているかのように、1人の女性の姿を捉えた。\n\nスクリーンに彼女の姿が大写しになった。\n日本代表の青いユニフォームに身を包み、顔には小さな日の丸のペイントをした彼女は、集中した表情で試合を観戦していた。\n透き通るような白い肌は試合による興奮からか少し紅潮しており、日本人らしい艶やかな黒い髪は汗ばんでいるせいで一部が額に張り付いていた。\n華奢でありながら女性らしい丸みを帯びた身体をしていることが、程よい肉付きの二の腕やパツパツに張った胸部からはっきりと分かる。\n\n彼女は自分がスクリーンに映っていることに気づくと、一瞬驚いてから、嬉しそうに手を振った。\nその仕草は愛嬌が溢れており、サッカー中継を見ていた男性視聴者の目を釘付けにした。\n\nその30秒後、日本はゴールを決め、その1点を守り切って勝利することになる。\n\n〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜\n\n「すご……いつの間に……」\n\n試合後、実里はホテルでスマホの画面を見ながら小さく呟いた。\nSNS上で自分の画像が拡散され、“美人すぎるサポーター“として話題になっていたのだ。\n\n──日本おめでとう!試合はさておき、美人な子がいた!\n──可愛い\n──スタイル良すぎ、超好み\n\n嬉しさと照れ臭さが混じった表情でスマホをスクロールしていく実里。\n\n(嬉しいけど……恥ずかしいな…)\n\n画面には実里の外見を褒め称えるコメントが並んでいる。\n“W杯の美女サポーター“などと称されて、他国の美女とともに画像をまとめられたりもしていた。\n\n──この子、りのみんじゃん\n──りのみんちゃん…話題になってる!\n──配信もやってるんだ、見てみよ\n\n(あ、気づかれてる…)\n\n実里は“りのみん“という名前で配信者として活動していた。\n主に美容やファッションの紹介動画を中心に配信しており、20代の女性から人気があった。\n以前から配信者“りのみん“を知っていた人々が気づき始め、さらに話題が広がっていく。\nその影響でSNSのフォロワー数が急上昇し、動画サイトのチャンネル登録者数も増加していた。\nワールドカップ観戦はただのプライベートだったが、思いがけず大きな副産物を得た形になる。\n\n──日本のゴール、この人のおかげ説\n──これもう勝利の女神だろ\n──次の試合にも呼ぼう\n\n実里が巨大スクリーンに映った次のプレーで日本が得点したからか、冗談半分に“勝利の女神“とさえ呼ぶコメントもあった。\n\n(何言ってんだか…面白がって……もう…)\n\nSNS特有の“祭り“というやつで、少し経てば鎮火するだろう。\nそう思いながらも、彼女の口元には笑みが浮かんでいる。\n正直なところ、悪い気はしない。\nだが、中には卑猥なコメントもあった。\n\n──結局こういう女が一番エロい\n──胸がデカすぎて試合に集中できない\n──ユニフォームパツパツじゃん…今晩お世話になります\n\n(……まぁ、そうなるよね……)\n\n実里はその清楚な見た目と癒し系の雰囲気で、男性人気も高い。\nもう大人なので、自分のGカップの胸が男性にとって魅力的なことも自覚していた。\n投稿している動画にはこういう下品なコメントが来ることも多いので、多少は慣れている。\nどんな形であれ知名度が上がることは、配信者として悪くない。\n実里は恥ずかしさもありつつ、話題になっていることを満更でもなく思っていた。\n\n予期せず“勝利の女神“として話題になった実里。\nしかし、このことが彼女の想像を超える事態を引き起こすことになる。\n\n〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜\n\nW杯の開催地でも、日本でもない、とある国。\nビルの最上階で一人の男がタブレット端末を眺めていた。\n\n『ふむ……勝利の女神、か…』\n\n彼はタブレットに表示された日本人女性の画像を指でなぞる。\n\n『美しい……ぜひ私のコレクションに加えたいな』\n\nスタジアムの熱気でほんのりと赤らんだ頬。\n汗で額に張り付いた黒髪。\nそして、ユニフォームの上からでもはっきりとわかる豊満な胸の膨らみ。\n彼女の全てが、男の所有欲を激しく刺激した。\n\n『彼女について調べてくれ』\n\n隣に控える部下に、彼は静かに命じた。"} |
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