Krixter's picture
download
raw
7.16 kB
{"novel_id": "n0011mi", "chapter": 3, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0011mi/3/", "title": "真相", "content": "「……ん…」\n\n実里は小さく呻き声を漏らしながら目覚める。\n\n「…んぅ……っ?」\n\n頭がぼんやりしている。\nまるで長時間眠っていた後のような倦怠感があった。\nゆっくりと意識が戻っていくのを感じながら、重い瞼を開けていく。\n\n「……っ!?」\n\n目を開けた瞬間、実里は凍りついた。\n\n「…えっ…?」\n\n見慣れない白い天井。\n実里は明らかに自分の家ではない場所にいた。\n\n(…え…こ、ここ……どこ……?)\n\nその疑問が、恐怖とともに全身を駆け抜ける。\n混乱する頭で実里は必死に記憶を辿ろうとした。\n最後の記憶は自分の部屋でいつも通りに動画を撮って、いつも通りに眠ったところまでだった。\n\n(私……なんで……あれ……えっ……?)\n\nそれなのに、何故こんな見知らぬ場所にいるのか。\n\n混乱する思考をどうにか整理しようとするが、分からないことだらけだった。\nとりあえず状況を確認しようと、上体を起こそうとするが、上手くいかない。\n\n「……んっ!?…な、何、これ!?」\n\n腕が動かない。\n慌てて自分の腕を見ると、両手首は拘束具で繋がれている。\n\n「はっ…?って、ちょ、ちょっと…!?」\n\n両足首にも拘束具がはめられ、実里は大の字の状態で固定されていた。\nそして何より、服も下着も身につけておらず、生まれたままの全裸だった。\n目覚めてから頭がぼんやりとしていたが、自分が全裸で拘束されていると認識した瞬間、恐怖で一瞬で頭が目覚める。\n\n「う、嘘……!なにこれ……なんで……!?」\n\n混乱しながら恐怖に震える実里。\n\n(ま、まさか誘枴……?私、攫われたの……?誰に……!?)\n\n自分の状況を理解した実里は手足を暴れさせて必死に拘束を外そうとするが、頑丈な拘束具はびくともしない。\n\n「ぐ…ぅ…っ」\n\n手足は諦めて、拘束されていない首を動かして周りを見渡す実里。\nどうやら自分は大きなガラスケースの中にいるようだ。\n横、縦、高さが3mほどの透明なガラスケース。\n全裸の実里はその中で大の字の体勢で拘束されていた。\n実里は自分が観賞用の魚のように巨大な水槽にでも入れられているような感覚を覚えた。\n\n「た、助けて……だ、誰か……っ」\n\n声を張り上げて助けを呼ぶが、ガラスケースの外には何の反応もない。\n自分の声が反響して虚しく響くだけだ。\n得体の知れない孤独と不安が実里を包み込む。\n\n「ぅ…う……っ」\n\n思わず涙が溢れそうになったその時、男の声が聞こえてきた。\n\n「お目覚めですか」\n\n「…ひっ!?」\n\n男の低い声に、実里の身体が硬直した。\n拘束を外そうともがいていた実里はその手を止めて、声のした方へ視線を向ける。\nいつの間にか部屋に入ってきていたのか、そこにはスーツを着た男が立っていた。\nスリーピースのスーツを上品に着こなし、洗練された雰囲気を漂わせている。\n\n「…ぁ……あ、あなた……誰?」\n\n実里の声は震えている。\nその問いに、男はゆっくりと頭を下げて答える。\n\n「はじめまして…私、柊と申します」\n\n端正な顔立ちで柔らかい笑みを浮かべる彼は、丁寧に名乗った。\nしかしその笑みにはどこか冷たさがあり、それが実里の背筋を凍らせる。\n\n(な、なんなのよ…この人……怖い………と、とりあえず、落ち着かないと……)\n\n実里は息を整えようと深く呼吸する。\nだが、全裸で拘束された状態で見知らぬ男と対峙する恐怖は、そう簡単に拭い切れるものではない。\n\n「…ど、どういうことですか……?これ…っ…な、なんでこんなこと……」\n\n震える声で問いかける実里に、柊と名乗った男は穏やかな口調で答えた。\n\n「とある海外の国に、世界中の美しいものを集めている大富豪がいらっしゃいます……絵画、宝石、そして……女性たちをね……」\n\n柊は淡々と悍ましい説明を続ける。\n\n「単刀直入に申し上げますと…貴女はその方に買われました」\n\n「……は、はぁ……?…か、買われた……?」\n\n意味が理解できず、実里は男の言葉を繰り返した。\n\n「はい…どうやらSNSで話題になったあなたに目をつけたらしく、その方からあなたをコレクションに加えたいと我々に依頼がありました」\n\n柊のその口調には罪悪感のかけらも感じられなかった。\n\n「…コ、コレク…ション……?」\n\n実里の背筋に冷たいものが走る。\nSNSで拡散された自分の姿が、まさかそんな狂気の富豪の目に留まるなんて。\nそして、自分がまるで物のように取引されたなんて、信じられない。\nいや、信じたくなかった。\n\n「…い、いや……!お、お願いです…!だ、出してください!」\n\n涙で潤んだ瞳で懇願する実里に、柊は薄ら寒い微笑を浮かべた。\n\n「それはできません、商品であるあなたにはもう人権がないのですから」\n\n柊は冷たく言い放つ。\n\n「あ…あぁ……」\n\nその声には一片の慈悲もなく、実里は目の前が真っ暗になるのを感じた。\n拘束されている状況だけでも恐ろしいのに、“商品“という扱いに彼女の精神は限界を迎えそうになっていた。\n\n「まぁ、もう海の上ですし…大人しく諦めてください」\n\n「……ぇ…?」\n\n実里がその言葉を飲み込むのに数秒かかった。\nそして、意味を理解した彼女の顔は恐怖で引き攣った。\n\n「……う、海……?」\n\n実里は周囲を見渡すが、窓は一つもなかった。\n自分が置かれているのは窓のない密室で、海の上にいると言われても実感が湧かない。\n\n「えぇ、今船で他の輸出品と一緒にあなたを運搬しています…周囲は見渡す限り海、逃げ場はありませんよ」\n\n「う、そ……」\n\n仮に拘束を解いたとしても、逃げる場所はなく、誰かに救いを求めることすらできないのだ。\n\n(もう……逃げられないってこと…?)\n\n実里は全身から力が抜けていった。\n\n「さぁ……到着まで3週間、共に船旅を楽しみましょう」\n\n柊は絶望する実里にニコリと微笑んだ。"}

Xet Storage Details

Size:
7.16 kB
·
Xet hash:
891a6c0fd93f9f17b145cb9ed9de3280bad5fd2b3a262bbd9893808aadc3942c

Xet efficiently stores files, intelligently splitting them into unique chunks and accelerating uploads and downloads. More info.