| {"novel_id": "n0011mi", "chapter": 8, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0011mi/8/", "title": "浅慮", "content": "「おはようございます」\n\n「ぁ……ぅ…」\n\n6日目。\n今日も実里には媚薬の投与が行われる。\n柊は律儀に挨拶をしながら、機械を操作して準備を始めた。\n\n「本土の調教機器は遠隔で操作可能なのですが…船の機械はアナログなんですよ……不便ですよね」\n\n柊はぼやきながら、ガラスケース内の投薬を始める。\n機械の起動と共に天井から現れるノズルから、いつも通り悪魔の薬液が滴り落ちる。\n\n「ぅ……っ!んっ!」\n\n「私はそもそも調教は専門ではなく営業担当だというのに…全く…」\n\n柊はよっぽど暇なのか、商品相手によく喋る。\n“組織“の同僚には口が軽いと影で言われているが、柊は気にしていない。\n\n(…こいつ……)\n\n実里はその無駄話を聞き流していたが、ふとある事を思いつく。\n\n「ね、ねぇ…」\n\n恐る恐る、柊に話しかける実里。\n\n「…どうされました?」\n\n柊は淡々と機械を操作しながら答えた。\n\n「あなた……営業さんなの…?」\n\n実里は発情で朦朧としながらも、なんとか平静を装って柊に尋ねる。\n\n「えぇ、そうですよ」\n\n柊は爽やかな笑顔で答える。\n\n「…や、やっぱり…そ、そうなんだ……んっ……清潔感あって、スーツが似合ってると思ってたから…っ…」\n\n実里は媚薬に耐えながらも、あざとい声色で柊とのコミュニケーションを試みる。\n媚薬によって発情した身体は、思考能力を著しく低下させていたが、それでも彼女はまだ希望を捨てていなかった。\n\n(こ、このままだと…本当にヤバい…!だったら……!)\n\n彼女はこの狂った状況から逃れるために、柊に媚びを売ることを選択した。\nまるで男を誘惑する娼婦のように振舞う彼女。\nしかし、その瞳の奥には恐怖と絶望の色が渦巻いている。\n\n「柊さん…だっけ…?シゴデキって感じ…っ」\n\n「………」\n\n実里は媚薬の効果で上気した顔を歪ませながらも、懸命に言葉を紡ぐ。\n自分を貶めている男に媚びるなど、女として屈辱的な行動だが、実里は生き延びるために必死だった。\n\n「私……あ、あなたのこと………」\n\n「無駄ですよ」\n\n柊は無感情な声で言い放つ。\n\n「えっ…?」\n\n今までにない冷たい声色に実里は戸惑う。\n\n「いくら誘惑しようと、私があなたに手を出すことはありません……あなたは商品ですから」\n\n柊の言葉に、実里は息を飲む。\n彼女が感じていた僅かな希望が音を立てて崩れていった。\n柊がもし自分に対して特別な感情を持っていれば、この地獄から抜け出せるかもしれないと考えていた。\nだが、その期待は脆くも砕け散ったのだ。\n\n「そ、そう言わずに…さ……!話そうよ…!」\n\n実里は震えながらも懇願する。\n今の自分に出来ることは、ただひたすらに相手に媚びを売り続けることだけ。\n\n「…よ、よかったら…抱かせてあげるし…!」\n\n「………」\n\n精神的に追い込まれている実里は、もうなりふり構っていられないのか、自分の身体を差し出す提案をする。\n女として、最低最悪の選択。\nだが、彼女にとっては、それが唯一の活路なのだ。\nしかし、そんな実里の必死な訴えに対する柊の反応は予想外のものだった。\n\n「……ククク…」\n\n「…ぇ……?」\n\n俯いて肩を震わせる柊に、実里は困惑の声を上げる。\n\n「アッハッハッハッ!」\n\n(え、え……?何……?)\n\n突如として笑い始めた柊を見て、実里はますます困惑する。\n\n「抱かせてあげる……って……!ハッハッハ……!あなたは本当に面白い人ですねぇ……」\n\n柊は笑いを堪えられない様子で言った。\n彼の反応は完全に予想外だった。\n\n「な……何がおかしいのよ!?」\n\n実里は憤慨する。\n自分の覚悟と必死さが嗤われていることが許せない。\n\n「…あぁ、失礼……あまりにも滑稽で、つい」\n\n柊はひとしきり笑った後、咳払いをして冷静を取り戻す。\nしかし、その目は依然として笑いを堪えているようだった。\n\n「所詮は配信者…元々媚を売る仕事をしてるだけあって、やはりそういうことを考えますか……」\n\n柊は今までの上品な笑みとは違う、悪い笑みを浮かべて実里を蔑む。\nこれがこの男の本性なのだろう。\n\n「それに思い上がりも甚だしい……あなたの身体を使用する権利は購入者にあり、肉便器であるあなたにはありませんよ」\n\n柊は諭すように、そして馬鹿にするように言い放つ。\nその言葉には、実里を人間としてではなく、ただの道具として扱う冷酷さが滲み出ていた。\n\n「ぁ……あぁ……」\n\n実里はその言葉に絶句する。\n身体を使った賭けは実らず、柊には効果がなかった。\nむしろ、実里の覚悟と必死さは嗤われたのだ。\n身体を捧げてでも逃げ出したいという思いだったが、それが逆効果に働いてしまった。\n実里は悔しさと屈辱に震えながら、奥歯を噛み締める。\n\n「面白いものをありがとうございます………ですが、まだまだ肉奴隷の自覚が足りないようですね……」\n\n柊は呆れながら言い放つ。\n\n「そんな浅はかな考えが思い浮かばないようにしてあげましょう…」"} |
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