Krixter/Repo / n0011mo /12.json
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{"novel_id": "n0011mo", "chapter": 12, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0011mo/12/", "title": "第十二章 王命", "content": "修道院から王都へと戻った私を待っていたのは、父の様子がどこかおかしいという、屋敷の使用人からの知らせだった。\n胸騒ぎを覚えながら屋敷へ戻ると、父はちょうど、王宮からの帰りだったところだという。\n書斎に籠もったまま、なかなか出てこようとしない父の姿に、私は嫌な予感を拭えなかった。\n父がその日、王宮へ召喚された経緯を、私は後になって知ることになる。\n王宮に到着した父を待っていたのは、殿下自らの言葉だった。\n\n「公爵。軍の指揮権を一部、新設される近衛軍へ移してもらう」\n\n殿下は、これまでにない冷たい声音で、そう命じた。\n父は、その言葉に強い違和感を覚えたという。\n軍の指揮権とは、王国の防衛そのものに直結する、極めて重大な権限だ。\nそれを唐突に、しかも一存で移すという命令は、これまでの殿下からは考えられないものだった。\nさらに問題だったのは、その新設される近衛軍の司令官に据えられる人物だった。\n父が調べたところによれば、その人物は、ベルクレスト男爵家と深い繋がりを持つ、新興の貴族だという。\n父は、即座に反対の意を示した。\n\n「それでは国境防衛が崩れます」\n\n長年、王国軍を率いてきた父の言葉には、確かな重みがあった。\nけれど、殿下はその進言に、まったく耳を貸そうとはしなかった。\nその場には、ミレイユも同席していたという。\n彼女は、何を言うでもなく、ただ静かに、父の様子を見つめているだけだった。\nその視線が、父へと向けられた瞬間、父は一瞬だけ、彼女と目が合ってしまったそうだ。\n\n「胸が、締め付けられるようだった」\n\n後に、父はそう私に語った。\n呼吸が浅くなり、視界の端が歪んでいくような感覚。\nこれまで幾多の戦場をくぐり抜けてきた父でさえ、味わったことのない異様な圧迫感だったという。\nけれど、父はそこで踏みとどまった。\n歯を食いしばり、意志の力だけで視線を逸らしたのだ。\n\n「……っ!」\n\n父が発したその小さな呻き声に、その場にいた全員が驚いたという。\n魔眼の力に、完全にではないにせよ、耐えてみせた者は、これが初めてだった。\nその瞬間、ミレイユの表情に、初めてわずかな揺らぎが生じたそうだ。\nこれまで、常に完璧な微笑みを崩さなかった彼女が、ほんの一瞬、その笑みを止めた。\n\n「……なるほど」\n\n小さく、そう呟いたという。\nその声には、何かを見定めるような、冷たい響きが込められていたと、父は振り返る。\n――本物の武人と、ただの貴族令嬢とでは、胆力が違いすぎる。\n\nミレイユは内心、そう感じていた。\n\nこれまで彼女の瞳に捉えられた令嬢たちは、例外なく崩れ落ち、羞恥にまみれて失禁し、尊厳を砕かれてきた。\nアイリスも、ノエルも、クラリーチェも、エルザも。\n瞳を合わせただけで、恐怖に支配され、下半身の制御を失い、床を汚し、泣きながら謝罪するしかなかった。\nそれなのに、この男は違う。\n魔眼の圧力をまともに受けながらも、ただの意志の力だけで視線を逸らし、完全な屈服を拒んだ。\n\n「……面白い。本物の武人は、やはり令嬢などとは格が違うようね」\n\nミレイユは心の中で、冷たくそう呟いた。\n帰宅した父は、屋敷に着くなり、全身から冷や汗を流しながら、その場に崩れ落ちるように座り込んだ。\n私が駆けつけたのは、ちょうどその直後のことだった。\n\n「お父様!」\n\n私は慌てて父の背中を支えた。\n父は青ざめた顔のまま、荒い息を整えながら、私にだけ、こう告げた。\n\n「目を合わせるな」\n\nそれだけを、絞り出すように言う。\n私は、父のその言葉に、これまで感じてきた恐怖とはまた違う、深い戦慄を覚えた。\n戦場で幾度も死線を潜り抜けてきた、王国最強と謳われる父でさえ、あの瞳の力には、完全に抗うことができなかったのだ。\nそれでも――。\n私は、父の肩に触れたまま、胸の奥で静かに、しかし強く思った。\n私たち――私とノエルとクラリーチェとエルザは、ミレイユのあの赤い瞳にただ見つめられただけで、なすすべもなく失禁してしまった。\n公衆の面前で、熱い尿が止まらず溢れ出し、ドレスを汚し、床に水たまりを作り、羞恥で顔を上げることすらできなかった。\n夜になれば悪夢にうなされ、シーツをぐっしょりと濡らして目を覚まし、自分の惨めさに泣き崩れる日々を送っている。\nオムツを付けなければ旅もできない体にまで落とされている。\nそれなのに、お父様は違った。\nあの圧倒的な恐怖の圧力を受けながらも、胆力だけで目を逸らし、踏みとどまった。\n完全にではないにせよ、魔眼に屈しなかった。\nその事実が、私の心にどれほど大きな衝撃を与えたか。\nそして、どれほど深い尊敬の念を抱かせたか。\n……お父様は、本物だ。\n私は心の中で、強く、強くそう思った。\n私たちが情けなく漏れ出してしまったあの力に、お父様は意志だけで抗ってみせたのだ。\nその背中の大きさに、私はただただ、畏敬の念を抱かずにはいられなかった。\n\nそして、わずかとはいえ耐えてみせ失敗をしなかったという事実に、私はかすかな希望を見出さずにはいられなかった。\n\n一方、その頃。\nベルクレスト男爵邸の地下祭壇では、ミレイユが父ダミアンに、静かに報告をしていた。\n\n「公爵は完全には支配できません」\n\nその声には、感情の乱れは一切感じられなかった。\nまるで、実験結果を淡々と報告するかのような口調だった。\nダミアンは、その言葉を聞き、しばらく黙り込んだ。\nやがて、彼は低い声で、静かにこう答えた。\n\n「……当然だ。真の武人が、あの脆弱な令嬢どもと同じように屈するわけがない」\n\nダミアンの声には、深い侮蔑と、ある種の納得が滲んでいた。\n\n「思い出してみろ、ミレイユ。お前がこれまで容易く砕いてきたのは何か。貴族の娘どもだ。恐怖に耐えきれず、公衆の面前でお漏らしをし、おっぱいを晒して泣き、夜ごとにおねしょを繰り返し、今や赤子のようなオムツを付けるまでに落ちぶれた……そんな、魂の弱い、脆弱な令嬢たちばかりだ」\n\n彼は冷たく笑い、続ける。\n\n「アイリスも、ノエルも、クラリーチェも、エルザも。瞳を合わせただけで下半身の制御を失い、床を汚し、羞恥に沈み、魂を自ら弱らせていく。ああいう軟弱な女どもと、戦場で鍛え上げられた本物の武人を同列に扱うな。オスカー・フォン・ローゼンフェルトは違う。胆力の根幹が、令嬢たちとはまるで違うのだ。脆弱な牝たちがおしっこを漏らして壊れる程度の圧力で、あの男が折れるはずがなかった」\n\nダミアンは、祭壇の闇を見つめたまま、低く言い放った。\n\n「ならば……殺すしかない」\n\nその一言には、これまでの表向きの成功した商人としての顔は、微塵も残っていなかった。\n王国最強の騎士であろうと、目的の障害となるならば、迷わず排除する。\n脆弱な令嬢たちのように羞恥で崩せぬなら、物理的に消すまでだ。\nその冷酷な決意だけが、地下祭壇の暗闇に、静かに響き渡っていた。\n\nその夜、私は父の寝室の前で、しばらく立ち尽くしていた。\n扉の向こうから聞こえる、父の穏やかな寝息に、少しだけ安堵する。\nけれど、心の奥底では、決して消えない不安が渦を巻いていた。\n父でさえ、完全には抗えなかったあの力。\nそれを打ち破るためには、いったい何が必要なのだろうか。\n修道院で聞いた、聖女の加護という言葉が、再び私の脳裏をよぎる。\nまだ、その力をどう扱えばいいのか、私にはまったくわからない。\n暗示に嵌められ、幻覚の中で処女を奪われ、何度も中に出され、絶頂と失禁を繰り返した結果、オムツを付けなければいられない体にまで落とされた私自身を思い返すと、希望はあまりに遠く感じられた。\nけれど、父が見せてくれたわずかな抵抗の証が、私の胸に、確かな勇気の種を植え付けていた。\n私たちがミレイユの瞳になすすべなく失禁し、尊厳を奪われ続けている中で、お父様だけは胆力で耐え抜いた。\nその事実が、私に「まだ負けていない」と、静かに語りかけてくる。\n窓の外には、静かに夜が更けていく。\n王国を覆う闇は、日に日にその厚みを増しているように感じられた。\nけれど、その闇の中にも、確かに希望の光は存在している。\n父の姿が、そのことを、何よりも雄弁に物語っていた。\n私は、その光を信じて、前へ進み続けるしかなかった。\nオムツの中で、まだ制御のできない雫が時折吸収される感触を感じながらも。\n羞恥にまみれたまま、それでも――負けないと、私は心の中で繰り返した。"}

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