| {"novel_id": "n0011mo", "chapter": 49, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0011mo/49/", "title": "アナザーエピソード 第二十七章 不安定な復活 激しく揺れる5人", "content": "屋敷での幼児化が、ほとんど常態化してから数週間が経った頃だった。\n五人はベッドの上で互いに胸を吸い合い、漏らし合い、甘え合うことしかできなくなっていた。\n言葉は幼児のままで、ドレスを着てもすぐにびしょびしょになり、配信では「いまのわたしたちです……だめなのに……」と繰り返し呟くだけ。\n\n支持は底を突き、世間の視線は「哀れな赤ちゃん令嬢」で固定されつつあった。\nそんな折、王室と神殿が本格的に動いた。\n王妃マルグリット様の強い意向と、神殿最高責任者の判断により、五人は最先端の「精神と身体の再調整治療」を受けることになった。\n精神がほぼ幼児状態の彼女たちは、ただ静かに連れて行かれた。\n治療は厳しく、長く、苦痛を伴うものだった。\n聖なる光を用いた神経の再構築、精神の深層に沈殿した恐怖と快楽の結びつきを一つ一つ解いていく作業。\n五人は何度も意識を失い、涙を流し、時には幼児のように泣き叫んだ。\nだが治療は着実に進んだ。\nそして——数週間後。\n五人は、ほぼ以前の制御を取り戻して退院した。\n括約筋は正常に機能し、意志で締められる。\n言葉も立派な貴族のものに戻り、幼児退行の発作も起きなくなった。\n鏡の前に立てば、そこにはかつての令嬢たちの姿があった。\nただし、完全ではなかった。\n医師たちは慎重に告げた。\n\n「強い精神的ショック、あるいは極度の羞恥・興奮を受けた場合、一時的に幼児退行と失禁が再発する可能性があります。トリガーは『予期せぬ公衆の前での屈辱』です。日常では問題ありませんが……注意が必要です」\n\n五人は顔を見合わせ、静かに頷いた。\n\n「……わかりました。気をつけます」\n\nアイリスの声は、久しぶりに芯のあるものだった。\n\n回復後の最初の講演は、王都の中規模ホールで行われた。\n五人は落ち着いた色味のドレスに身を包み、背筋を伸ばしてステージに立った。\n下着は普通の高級レース。\nもう漏れる心配はない。\nアイリスがマイクを握り、穏やかに、しかしはっきりと語り始めた。\n\n「私たちは、長い間、壊れていました。幼児のように甘え、漏らし、互いを求め合うことしかできませんでした。心のどこかで『このままじゃだめ』と思いながらも、止められなかった。恥ずかしい姿を、何度もお見せしてしまいました」\n\n会場は静まり返っている。\n\n「ですが、治療を受け、いまは制御を取り戻しています。弱さを認めた上で、それでも前を向く。それが、いまの私たちです」\n\nノエルが続き、クラリーチェが理論的に後遺症の説明をし、エルザが優しく励ましの言葉をかけ、ミレイユが静かに頭を下げた。\n講演は滞りなく終わった。\n誰一人として漏らさず、幼児のような言葉も出さず、最後まで毅然とした態度を保った。\n終了後、若い令嬢たちがステージ前に集まった。\n\n「……やっぱり、お姉さまは素敵です」\n「戻ってきてくださって、ありがとうございます」\n「私たちも、弱さを認めて前を向きます」\n\n小さな拍手が起き、それが徐々に大きくなっていった。\nその後も、五人は慎重に活動を再開した。\n地方の慈善講演、若い令嬢向けの心の鍛錬講座、夜会での短い挨拶。\nどこへ行っても、ドレスは最後まで綺麗なままだった。\n笑顔で手を振り、時には軽く冗談を飛ばし、幼児退行の影を見せなかった。\n報道も徐々に変わり始めた。\n\n「制御を取り戻した五人の聖女たち、再びステージへ」\n「『弱さを認めた上での再起』に若い世代が共感」\n「やっぱりお姉さまは素敵——支持回復の兆し」\n\n街を歩けば、遠巻きに慕う視線が戻ってくる。\n夜会では「実物はやはり美しい」「あの頃の弱さはもうない」と囁かれるようになった。\n五人は互いの変化を感じながら、静かに安堵を分かち合った。\n\n「……本当に、立ててる」\n\n控え室でノエルが乾いたスカートを撫でて笑う。\n\n「手を振っても、笑っても、失敗しない。最高だわ」\n\nクラリーチェがデータを確認しながら頷く。\n\n「精神的な安定が、身体の制御をさらに強固にしています。悪循環が好循環へ転じつつあります」\n\nエルザが目を潤ませて言う。\n\n「『お姉さま』って、また呼ばれるようになりました。嬉しいです」\n\nミレイユが穏やかに微笑む。\n\n「わたくしも……導く側に立てて、幸せです」\n\nアイリスは四人を見渡し、深く頷いた。\n\n「ええ。この調子で、少しずつ戻っていきましょう」\n\nだが、すべてがうまくいくはずはなかった。\nある日の午後。\n王都最大の令嬢交流イベントの最終講演。\n聖堂院大ホールは満席で、若い令嬢たちで埋め尽くされていた。\n五人はステージ中央に並び、最後のメッセージを送ろうとしていた。\nアイリスが微笑み、右手を軽く掲げて手を振った。\n\n「あなたたちも、きっと立てます。弱さを認めても、それでも前を向ける。それが真の令嬢です」\n拍手がわき起こり、「アイリスお姉さまぁ!」「五人とも大好きです!」という声が飛び交う。\nその、最も輝かしい瞬間だった。\n客席の後方から、突然、意図的に煽る声が上がった。\n\n「おい、また漏らすんじゃねえのか?」\n「赤ちゃん令嬢、今日もおむつ持ってきたか?」\n「おっぱい吸い合い配信、またやってくれよ!」\n「治ったって言ってたくせに、すぐにピュッピュしそうな顔してるぜ!」\n「幼稚園児がお姉さん面してんじゃねえよ!」\n\n声は計算されたように大きく、明確に、五人に届くように投げつけられた。\n一部の過激な層が、意図的に仕掛けた煽りだった。\n五人の表情が、一瞬で強張る。\nアイリスの瞳が大きく見開かれ、顔から血の気が引いた。\nノエルが唇を噛み、クラリーチェが眼鏡の奥で目を見開き、エルザが小さく息を呑み、ミレイユがLカップを無意識に抱えるように腕を組んだ。\n\n「……っ」\n\n下腹部が、びくりと強く痙攣した。\n治療で抑えていたはずのものが、予期せぬ公衆の前での屈辱というトリガーによって、一気に決壊する。\n\n「やっ……だめっ……出るっ……!」\n\nアイリスのドレスの裾から、熱い尿が勢いよく噴き出した。\nぴゅっ! ぴゅっぴゅっ!\n止めようと脚を閉じ、下腹に力を込めても、括約筋は赤ん坊のように無力に緩む。\nドレスの生地が内側から一気に色を変え、太ももを伝ったおしっこがステージに滴り落ちる。\n\n「いやあぁっ、止まらないぃぃぃ……!」\n\nノエルも同時に漏れ始め、クラリーチェも、エルザも、ミレイユも、次々とドレスをおしっこでぐしょぐしょに濡らしていく。\n\n「ピュッピュしちゃうのぉ……! 止まらないのぉ……!」\n「やだぁ、ドレスが……おしっこで……ぴゅっぴゅって……!」\n\n五人はステージの上で、幼稚園の子供のように脚をばたつかせ、ドレスの裾を押さえ、それでも止まらない尿をびちゃびちゃと漏らし続けた。\n黄色い液体がステージに広がり、五人の足元に小さな川を作る。\nそして、泣き出した。\n声を上げて、幼児そのものの泣き方で。\n\n「うわぁぁん……! ち、ちがうのぉ……! おしっこしちゃったの、わざとじゃないのぉ……!」\n\nアイリスが、涙と鼻水をぐしゃぐしゃにしながら、幼稚園児のような言葉で必死に言い訳を始める。言葉は乱れ、幼児語が混じり、立ち居振る舞いすらも幼稚になる。\n\n「みんなで、お漏らししちゃったの……わるいこと、してないのぉ……! わるぐちのせいなの……わるいひとのせいなのぉ……! アイリスたち、がんばってたの……おとなしくしてたのぉ……!」\n\nノエルも大声で泣きながら、\n\n「うえぇぇん……! おしっこ、とまらないのぉ……! ピュッピュしちゃうの、はずかしいのぉ……! でも、わざとじゃないもん……! からだが、いうこときかないのぉ……! ゆるしてぇ……!」\n\nクラリーチェが眼鏡を涙でぐしゃぐしゃにしながら、\n\n「ひっく、ひっく……わたくしたち、あかちゃんじゃないのぉ……! でも、おしっこしちゃうの……とめられないのぉ……! おもらしも、おっぱいも……からだが、勝手に……うえぇん……!」\n\nエルザがJカップを揺らしながら、ステージに膝をついて、\n\n「うわわん……! エルザたちに、いじわるしないでぇ……! お洋服、おしっこでぐちょぐちょなの……はずかしいのぉ……! でも、とまらないの……ピュッピュって出ちゃうのぉ……! ママァ……、みんな、エルザをたすけてぇ……!」\n\nミレイユがLカップを抱えて泣きじゃくり、\n\n「ぐすっ、ひぐ……わたくし、おもらしなんかしたくなかったのぉ……! でも、でちゃったの……あついのおしっこが……びしゃびしゃなのぉ……! あかちゃんみたいって、いわないでぇ……! ゆるして、くださいぃ……うえぇぇん……!」\n\n会場が、凍りついた後、どよめきと嘲りの声に包まれた。\n\n「またかよ!」\n「結局こうなるんだ」\n「煽られただけで即座に幼稚園児かよ」\n「治療したとか言ってたくせに」\n「やっぱり中身は赤ちゃんだわ」\n\n若い令嬢たちの表情が、失望と幻滅に染まっていく。\n\n「……幻滅」\n「ただのガキじゃん……」\n「お姉さまって言ってた自分、バカみたい……」\n\n五人はステージ上で、ぐしょぐしょのドレスのまま泣き崩れていた。\n——しかし。\n数分後。\nアイリスが、ゆっくりと顔を上げた。\n涙と鼻水でぐしゃぐしゃの顔のまま、震える手でドレスの裾を押さえ、何とか立ち上がる。\nおしっこはまだ完全には止まっていない。\n裾からぴちゃぴちゃと落ち続けている。\nそれでも、彼女はマイクを握り直した。\n\n「……す、すみません……」\n\n声はまだ少し幼児っぽく掠れている。\nだが、先ほどまでの完全な崩壊からは、明らかに戻ろうとしていた。\n\n「いまの……は、治療の副作用です。強いショックを受けると……一時的に、制御が効かなくなることがあります。わざとではありません。煽られたことで……予期せぬ屈辱を感じて……再発してしまいました」\n\nノエルも、泣き顔のまま隣に立つ。\n\n「本当です……。私たちは、治ったつもりでいました。でも……まだ、完全ではなかったようです。申し訳ありません」\n\nクラリーチェが眼鏡を直しながら、震える声で続ける。\n\n「医学的にも確認されている副作用です。日常では問題ないのですが……公衆の前での予期せぬ屈辱が、トリガーになります。ご迷惑をおかけしました」\n\nエルザがJカップを押さえながら、涙を拭う。\n\n「ごめんなさい……。せっかく応援してくださっていたのに……こんな姿を……」\n\nミレイユがLカップを抱えたまま、深く頭を下げた。\n\n「わたくしたちの不徳です。ですが……これでも、以前よりは制御できています。すぐに、立て直します」\n\n五人は、びしょびしょのドレスのまま、ステージ上で何とか姿勢を正した。\nおしっこはまだ滴っている。\nだが、幼児のような泣き崩れた姿からは、明らかに戻っていた。\n会場の空気が、ざわつく。\nそして——意見が、大きく分かれた。\n一方では、容赦ない批判が飛ぶ。\n\n「結局また漏らしたじゃん」\n「副作用とか言い訳すんな」\n「煽られただけで幼稚園児になるとか、終わってる」\n「もう応援する気失せる」\n「赤ちゃん令嬢は永遠に赤ちゃん」\n\n他方では、擁護と同情の声も上がり始めていた。\n\n「……でも、すぐに立ち直ろうとしてる」\n「泣き崩れたあと、ちゃんと説明したよな」\n「副作用って事前に言ってたし……」\n「煽った側が悪いだろ」\n「それでも立って弁解してるの、逆に凄くない?」\n「完全に壊れてた頃とは違う。戻ろうとしてる」\n\n配信コメントも、賛否両論で激しく割れた。\n\n「また漏らしたのは事実。擁護できない」\n「でもすぐに理性を取り戻して説明したのは評価できる」\n「煽りに即座に反応して幼児化するの、さすがにまずい」\n「治療の限界が見えたな」\n「それでも『すぐに立て直す』って言い切ったアイリス様、ちょっとカッコよかった」\n「賛否分かれるの当然。どちらも正しい」\n「応援継続するか、ここで見限るか……悩む」\n\nステージ上の五人は、ぐしょぐしょのドレスのまま、ただ静かに頭を下げ続けていた。\nおしっこはようやく止まりかけている。\nだが、ステージに広がった大きな染みと、彼女たちの赤い目元は、はっきりと残っていた。\nアイリスが、か細い声で呟く。\n\n「……また、やってしまった。でも……今度は、すぐに戻れた。これからも……戻ります」\n\nノエルが小さく頷き、クラリーチェが眼鏡を直す。エルザが涙を拭い、ミレイユが静かに目を閉じる。\n五人は、失敗を晒したまま、それでもステージを降りなかった。\n意見が賛否に大きく分かれる中、彼女たちは濡れたドレスを引きずりながらも、背筋を伸ばして立ち続けた。\n回復は、本物だった。\nだが、完全ではなかった。\nその事実が、会場と配信の向こうに、静かに、しかし確かに、突きつけられていた。"} |
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