| {"novel_id": "n0012ik", "chapter": 2, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0012ik/2/", "title": "その2 与えられた3分", "content": "ふう。\n鬼道はホッと息を吐きだした。\n\n鬼道と美冬、二人は今、鬼道が予約していた部屋に来ていた。\n\n「いやあ、部屋に入るとリラックスできるのぉ。実にいい部屋だろ、美冬くん。\nワシがよく利用するから、ホテルがグレードアップしてくれてねえ...」\n\n一流ホテルの中でもスイートと言えるような部屋であり、エグゼクティブ向けの内装は圧倒的に豪奢だった。\nしかし、美冬はそんな部屋の豪華さを評価できるような心情にはなく、リラックスするどころか、むしろ、倒れそうなほどに緊張していた。\n\nそれでも美冬は応えなければならない。\n\n「本当に…いいお部屋ですね」\n美冬は絞り出すように何とか、それだけを言った。\n\n「そうだろ」\n鬼道はベッドのヘリに足を組んで腰掛け、組んだ足をぶらぶらさせながら、上機嫌でそう言った。\n\n「そこの椅子にかけなさい」\n\n「はい…」\n美冬は素直にその言葉に従い、腰掛けた。\n大企業秘書としての優雅な所作が完全に身についている美冬は座る姿も美しかった。\n\n「さて…それじゃ、本題に行こうか」\n鬼道の顔から表情が消え、仕事モードのような顔になる。\n\n「それにしても、君は優秀な部下だった。仕事もでき、ワシを訪ねてくる取引先の接客なんかも実に見事なものだよ。\nワシは君のような優秀な部下を結婚という制度のために失ってしまうことが実に残念だよ。\n…まあ、結婚自体は喜ばしいことだがね」\n\n美冬は鬼道の話を黙って聞いている。\n\n「それにしても君のガードは固かったなぁ。直属の上司であるワシが食事に誘っても全く受け付けなかった」\n\n「それは…」\n\n「まあいい」\n鬼道は手を挙げ、釈明しようとする美冬を止めた。\n\n「それは済んだ話だからな」\nさらにヒラヒラと手を振りながら言う。\n\n「美冬くん、君も気づいておったのだろう。ワシの気持ちを…」\n\n「それは…で、ですが、常務は既婚者で…」\n美冬はいきなりの核心を突いた言葉に動揺して口ごもる。\n\nその様子を見て、鬼道は笑った。\n\n「フフフ。まあ、そうさ。君の言うことは間違ってない」\n「ちょっと、立ってくれんか?」\n\n「え?は、はい」\n美冬は鬼道の意図が分からなかったが指示に従い、スッと立ち上がった。\n\nその姿を見て鬼道が言う。\n\n「うん。そうだな。完璧なプロポーションだ。\nそこでくるんと回ってくれ。」\n\n美冬は鬼道に言われた通り、その場でくるりと一回転する。\n\n「君は後ろ姿も綺麗だな。役員秘書に要求されるスペックとしては完璧だ」\n\n容姿の話をするのはグレ-ゾ-ン、いや、完璧にアウトでセクハラ等の対象になる。\nしかし、鬼道常務にそんなことを言える人間は少なくとも会社の中には存在しない。\n\n鬼道はスッと立ち上がり、美冬の方に歩み寄ってくる。\n美冬は身の危険を感じ後退りしたくなるが椅子に座っていては逃げることもできない。\n\n美冬にできることといえば、せめて、鬼道が最低限のモラルを持ち合わせていることを祈ること位だった。\n\n鬼道は美冬の両肩に手を置き、話す。\n「君が結婚と同時に退職するのは既定路線だろう。\nそれを翻意させることはできないし、するつもりもない。\nただな、その代わりにワシに一晩の夢を見せて欲しい」\n\n「ゆ、夢、ですか?」\n\n「そうだ。夢だよ。ワシの叶わなかった夢のほんの少しだけを実現させて欲しいんだよ」\n\n「…ぐ、具体的に内容をおっしゃっていただけますか?ま、まさか?」\n強張った顔で真冬が鬼道に問いかける。\n\n「ふふっ、そんなに警戒する事はない。\n何も別に一晩を共にしろって言うんじゃない。\n君にお願いしたいのは...\n美冬くん、君の口でワシのものを慰めて欲しいってことだ」\n\n「く、口で…」\n\n警戒するなとは言われたが十分に非常識な申し出ではある。\nしかし…\n\n鬼道は踵を返し、ベッドの方へと戻る。\nそして、また、ベッドに腰掛けた。\n\n「もちろん、決めるのは君だ。ワシは強制はせんよ。\n…ただ、ワシはビジネスマンだ。\n自分に全くメリットのないことをするつもりは一切ないからな。\nもし、君がワシの申し出を断るというのなら、ワシがさっき言った話もなしだ。\n君の婚約者のやったことは申し訳ないが問題にさせてもらう」\n\n美冬はその場に呆然と立っている。\n顔を俯かせ、唇は震えている。\n\n「君に3分やろう。\n\n婚約者のために働くのか?\nそれとも\n…婚約者の破滅を見届けるのか?\n\n君が選択するんだ」\n鬼道の冷徹な宣告。\n\n\n\nどちらにしてもあと僅か3分間で結論を出さなければならない。\n\nこれは鬼道が得意とする手段だった。\n社外に対しても社内に対しても到底飲むことのできないような究極の選択を叩きつけ、しかも、それに対して、厳しい時間制限を設ける。\n提案された相手は短い時間でその結論を出さなくてはならない。\n結局、相手は鬼道にとって一番都合のいい結論を飲むことになるのだ。\n鬼道は人を追い詰める事にかけては他の追随を許さない能力を持っていた。\n\nその鬼道を名字にも含まれる文字をとって、多くの人間がオニと呼んでいることを真冬は知っていた。\n\n\n\n「さて、3分が過ぎたようだ。結論は出たかね。美冬くん」\n\n「はい…」\n美冬は虚ろな目で応える。\n\n「さすが優秀な社員だな。さあ、聞かせてもらおうか」\n\n真冬は唇を噛む。\nその顔には悔しさが滲んでいる。\n\n「…常務の提案を飲みます」\n\n鬼道の唇の端がいやらしく釣り上がる。\n\n「実に、実に賢明な判断だな。美冬くん。\n一時の感情に任せて、ワシの提案を断れば、君の婚約者の将来は闇に閉ざされ、同時にそれは君の将来をも悲惨なものに変えてしまう。\nやはり、ワシは優秀な部下を持っていたようだ。\n嬉しいよ」\n「じゃあ、早速、お願いしようか」\n\n「え、今、ここで、ですか?」\n美冬の目が見開かれる。\n\n「何を言っとる!当然じゃないか!\nそれとも君は社内でするつもりなのか?」\n\n「い、いえ!…はい、分かりました」\n\n「フフフ...じゃあ、頼むよ」\n鬼道はそう言ってスラックスのジッパーを下ろし、中から逸物を取り出した。\n\nあ\n美冬の目が見開かれる。\n\n鬼道の股間に聳り立つそれ。\nそれは婚約者の北川のものより二回りほども大きく見えた。\n\n美冬は北川に請われ、フェラをした経験もあったがサイズが全く違う桁外れのそれを目にして、果たしてそれが自分の口に収まりきるのかと不安になった。\n\nそれでも決めた以上はやるしかない。たった一度のこと。\nただ一度、短い時間、我慢すれば全て事は丸く収まるのだ。\nそれが社会人としての正しい判断だと美冬は信じたかった。"} |
Xet Storage Details
- Size:
- 8.12 kB
- Xet hash:
- ac0f255b4121fbe1b2207be26ec19d9c9ff8ebfc65603c194cfc046a0f58caef
·
Xet efficiently stores files, intelligently splitting them into unique chunks and accelerating uploads and downloads. More info.