| {"novel_id": "n0012iz", "chapter": 7, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0012iz/7/", "title": "隣人、小森", "content": " メイと初めてエッチしてからというもの、俺たちは猿の様にヤりまくった。\n\n ――と、言いたいところだが、そういうわけにもいかなかった。\n\n セックスをおっぱじめると玄関がピンポンピンポンならされたり、壁ドンされたり、隣から大きな演奏が聞こえてきたりするのだ。いやがらせである。\n\n まあもしかすると、俺たちのセックスの音が周囲の家にかなりご迷惑をかけている可能性もある。\n\n 仕方なく声を殺し、静かにエッチしたりした。それはそれでかなり興奮した。しばらくはそれで大丈夫だったのだが、近隣住人の耳が良くなったのか、それが通じなくなってきてしまった。\n\n これではどうしようもないので、もうエッチするのはやめようかと思った。しかしそこでメイが防音材、吸音材をこれでもかというほど買ってきたのだ。\n\n それを2重3重に敷きつめたところ、周囲の騒音は全く気にならなくなった。壁ドンの音や演奏の音が一切聞こえなくなった。おそらく、俺たちが出していたエッチの時の声も、周囲には聞こえなくなったであろう。これで安心である。\n\n\n\n 隣人小森\n\n 最近、イライラしてしかたがない。それもこれもすべて、最近引っ越してきた山中とかいう隣人のせいだ。\n\n あいつの何もかもが気に入らない。中肉中背のさえない風貌にもかかわらず、あれほど美人な彼女がいるという事実。金髪で、抜群のプロポーションをしている女性だ。奴と一緒に歩いているところを一目見ただけで、俺は惚れてしまった。\n\n どうせたいして仲がよくないだろうと壁に耳をあてて会話を聞こうとしたら、毎日毎日イチャイチャして、しかもすぐにおっぱじめようとする始末。\n\n あんな奴のなにがいいのか。あんなやつより、才能に恵まれている俺の方がよほどいいだろ。いや、間違いなく良い。\n\n 彼女も今は目が曇っているかもしれないが、そのうち目が覚めるはず。そうなれば、あんなさえない男などすぐに捨てるに違いない。その後なら俺にもチャンスがある。俺の演奏さえ聞けば、才能は一目瞭然だ。すぐに俺に惚れるはずだ。そうに違いない。\n\n とにかく彼女の美しい体をあんな男に穢されてはならない。俺は耳を澄ませ、おっぱじめようという雰囲気になったらすぐに壁を叩き、チャイムを鳴らし、必死に妨害した。\n\n 俺の妨害の成果か、最近はそういった音は全く聞こえない。正義の勝利だ。後はあの二人が別れるのも時間の問題だろう。なんて思っていた。\n\n\n\n 久しぶりにエレベーターで隣人に会った。風貌はさえないのに、妙にいいスーツを着ていやがる。無性に腹が立つ。そんなスーツ、お前には似合わない。もっと身の丈にあった服にしろ。そう思ったが、しかしそれを顔に出したりはしない。\n\n「どうです、最近彼女とはうまくいってますかな?」\n「ええ、もちろん」\n\n しょうもない嘘をつくな。お前たちがまともに会話もしてない事くらいは知っているぞ。言葉一つ聞こえはしないからな。\n\n「それはよかった。最近隣から物音一つ聞こえないものですから、心配しておったのです」\n「ああ、それは最近いい防音材を使っているんですよ。ここのマンションの壁は薄いみたいですから」\n\n そんな会話をしていると、エレベーターが止まる。下りて少し進むと、すぐに隣人宅がある。そこには美人な隣人の恋人が待ち受けていた。\n\n この山中とかいうクソ男に愛想を尽かし、俺を迎えに来てくれていたらいいなと思ったがそんなことはなかった。まだ山中という男に洗脳されているようである。彼女は汚らしい事に山中を抱きしめ、玄関に消えていく。扉が開いているうちはイチャイチャとする二人の会話が聞こえていたが、扉が閉まると途端に何も聞こえなくなる。\n\n クソ! これが防音材の効果か! ふざけやがって! 俺は玄関の扉を思いっきり叩いた。\n\n 今までは紳士的に対応していたが、もう許せん。徹底的にやってやらあ。この日から俺はチャイムを鳴らすなどという紳士的な方法から、卵の投げつけにやり方を変えた。扉や窓を徹底的に汚してやる。\n\n しかしそれだけでは掃除をすれば済むことだ。俺はさらに、山中が出かけたあとに玄関の鍵をはんだごてで埋めた。これで鍵で家に入ることはできない。その他様々ないやがらせを行っていたら、ついに隣が屈したようだ。どうやら引っ越すらしい。正義の勝利である。あとは美人な同居人だけ置いて行って、一人で出て行ってほしいところだ。あの女性はあまりにも美しすぎる。奴にはもったいない。\n\n 引っ越しの日、俺は奴に話しかけた。\n\n「引っ越されてしまうのですか? 寂しくなりますなあ」\n「ええ、お金が貯まったので引っ越そうかと。このあたりは治安も悪いようですし」\n\n 俺のいやがらせの成果だろう。住んでいるのが辛くなったに違いない。\n\n「治安が悪いですかな? なにかありました?」\n「ええ、でももう終わったことですから。今度引っ越すところは都心の一等地でして。防音も完璧ですし安心です」\n\n け、なにが一等地だ。お前がろくなところに引っ越せるわけがないだろ。無職が。就職活動がうまく行ってないことぐらい、俺でも知っている。\n\n「ああ、別に信じなくてもいいですよ。ただ、今度のマンションはセキュリティーがしっかりしているので、いやがらせは出来ませんよ?」\n「へ? いやがらせ? 俺が?」\n「ええ、最近監視カメラを置いたので、ばっちり映ってます。この後警察に映像を持って被害届を出すところです。よかったですね。そちらも引っ越しできそうで。牢屋の中は静かだとよいのですが」"} |
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