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V24N01-05
\section{はじめに} 製品やサービスを提供する多くの企業は顧客の問い合わせに対応するために,コールセンターを運営している.コールセンターでは,オペレータが電話やメールによる顧客問い合わせに対応する際や,顧客自身が答えを探す際の支援のために,FrequentlyAskedQuestion(FAQ)の整備および,FAQ検索システムを導入していることが多い.FAQ検索の利用者は,自然文や単語の集合を検索クエリとして,検索を実施するのが一般的である.しかし,FAQは過去の問い合わせ履歴の中から,同様の質問をまとめ,それらを代表するような抽象的な表現で作成されることが多いため,類義語や同義語,表記の揺れといった問題により,正しく検索で...
V06N01-03
\section{はじめに} \label{sec:introduction}電子化テキストの急増などに伴い,近年,テキストから要点を抜き出す重要文選択技術の必要性が高まってきている.このような要請に現状の技術レベルで応えるためには,表層的な情報を有効に利用することが必要である.これまでに提案されている表層情報に基づく手法では,文の重要度の評価が主に,1)文に占める重要語の割合,2)段落の冒頭,末尾などのテキスト中での文の出現位置,3)事実を述べた文,書き手の見解を述べた文などの文種,4)あらかじめ用意したテンプレートとの類似性などの評価基準のいずれか,またはこれらを組み合わせた基準に基づいて行なわれる\cite{Luhn58,Ed...
V21N03-03
\section{はじめに} 日本において,大学入試問題は,学力(知力および知識力)を問う問題として定着している.この大学入試問題を計算機に解かせようという試みが,国立情報学研究所のグランドチャレンジ「ロボットは東大に入れるか」というプロジェクトとして2011年に開始された\cite{Arai2012}.このプロジェクトの中間目標は,2016年までに大学入試センター試験で,東京大学の二次試験に進めるような高得点を取ることである.我々は,このプロジェクトに参画し,2013年度より,大学入試センター試験の『国語』現代文の問題を解くシステムの開発に取り組んでいる.次章で述べるように,『国語』の現代文の設問の過半は,{\bf傍線部問題}とよ...
V07N01-04
\section{はじめに} 本稿では単語の羅列を意味でソートするといろいろなときに効率的でありかつ便利であるということについて記述する\footnote{筆者は過去に間接照応の際に必要となる名詞意味関係辞書の構築にこの意味ソートという考え方を利用すれば効率良く作成できるであろうことを述べている\cite{murata_indian_nlp}.}.本稿ではこの単語を意味でソートするという考え方を示すと同時に,この考え方と辞書,階層シソーラスとの関係,さらには多観点シソーラスについても論じる.そこでは単語を複数の属性で表現するという考え方も示し,今後の言語処理のためにその考え方に基づく辞書が必要であることについても述べている.また,単...
V06N05-04
\section{はじめに} 多言語話し言葉翻訳システムの処理には,文法から逸脱した表現などを含めた多様な表現を扱える頑健性,円滑なコミュニケーションのための実時間性,原言語と目的言語の様々なペアに適用できる汎用性,が必要である.多様な話し言葉表現をカバーするために詳細な構文意味規則を大量に記述する規則利用型(rule-based)処理は,多言語翻訳にとっては経済的な手法でない.一方,用例利用型(example-based)処理は,翻訳例の追加により翻訳性能を向上させていく汎用性の高い手法である.ただし,生データに近い状態の翻訳例をそのまま使うと,入力文に類似する翻訳例が存在しない場合が多くなる,翻訳例を組み合わせて翻訳結果を作り上...
V22N05-01
\section{はじめに} ProjectNextNLP\footnote{https://sites.google.com/site/projectnextnlp/}は自然言語処理(NLP)の様々なタスクの横断的な誤り分析により,今後のNLPで必要となる技術を明らかにしようとするプロジェクトである.プロジェクトでは誤り分析の対象のタスクが18個設定され,「語義曖昧性解消」はその中の1つである.プロジェクトではタスク毎にチームが形成され,チーム単位でタスクの誤り分析を行った.本論文では,我々のチーム(「語義曖昧性解消」のチーム)で行われた語義曖昧性解消の誤り分析について述べる.特に,誤り分析の初期の段階で必要となる誤り原因のタイプ...
V09N01-06
\section{まえがき} 自然言語処理の最大の問題点は,言語表現の構造と意味の多様性にある.機械翻訳の品質に関する分析結果(麻野間ほか1999)によれば,従来の機械翻訳において,期待されるほどの翻訳品質が得られない最大の原因は,第1に,動詞や名詞に対する訳語選択が適切でないこと,第2に,文の構造が正しく解析できないことであると言われている.ところで,日本語表現で,訳語選択と文の構造解析を共に難しくしている問題の一つとして,「もの」,「こと」,「の」などの抽象名詞の意味と用法の問題がある.抽象名詞は,高度に抽象化された実体概念を表す言葉で,話者が,対象を具体的な名詞で表現できないような場合や明確にしたくないような場合にも使用される...
V26N01-08
\section{はじめに} 近年,ニューラルネットワークに基づく機械翻訳(ニューラル機械翻訳;NMT)は,単純な構造で高い精度の翻訳を実現できることが知られており,注目を集めている.NMTの中でも,特に,エンコーダデコーダモデルと呼ばれる,エンコーダ用とデコーダ用の2種類のリカレントニューラルネットワーク(RNN)を用いる方式が盛んに研究されている\cite{sutskever2014sequence}.エンコーダデコーダモデルは,まず,エンコーダ用のRNNにより原言語の文を固定長のベクトルに変換し,その後,デコーダ用のRNNにより変換されたベクトルから目的言語の文を生成する.通常,RNNには,GatedRecurrentUnit...
V25N04-04
\section{はじめに} 作文中における誤りの存在や位置を示すことができる文法誤り検出は,第二言語学習者の自己学習と語学教師の自動採点支援において有用である.一般的に文法誤り検出は典型的な教師あり学習のアプローチによって解決可能な系列ラベリングのタスクとして定式化できる.例えば,BidirectionalLongShort-TermMemory(Bi-LSTM)を用いて英語の文法誤り検出の世界最高精度を達成している研究\cite{rei-yannakoudakis:2016:P16-1}がある.彼らの手法は,言語学習者コーパスがネイティブが書いた生コーパスと比較してスパースである問題に対処するために,事前に単語分散表現を大規模な...
V16N05-02
\section{はじめに} \label{sec:Intro}検索エンジン\textit{ALLTheWeb}\footnote{http://www.alltheweb.com/}において,英語の検索語の約1割が人名を含むという報告\footnote{http://tap.stanford.edu/PeopleSearch.pdf}があるように,人名は検索語として検索エンジンにしばしば入力される.しかし,その検索結果としては,その人名を有する同姓同名人物についてのWebページを含む長いリストが返されるのみである.例えば,ユーザが検索エンジンGoogle\footnote{http://www.google.com/}に``Wil...
V09N05-06
\section{はじめに} 「も,さえ,でも$\cdots$」などのとりたて詞による表現は日本語の機能語の中でも特有な一族である.言語学の角度から,この種類の品詞の意味,構文の特徴について,~\cite{teramura91,kinsui00,okutsu86,miyajima95}などの全般的な分析がある.また,日中両言語の対照の角度から,文献~\cite{wu87,ohkouchi77,yamanaka85}のような,個別のとりたて詞に関する分析もある.しかしながら,日中機械翻訳の角度からは,格助詞を対象とする研究はあるが~\cite{ren91a},とりたて詞に関する研究は,見当たらない.とりたて詞は,その意味上と構文上の多...
V21N02-09
\section{はじめに} label{intro}近年,言語研究において,言語現象を統計的に捉えるため,コーパスを用いた研究が盛んに行われている.コーパスを用いた研究は,語法,文法,文体に関する研究\cite{oishi2009,koiso2009},語彙に関する研究\cite{tanomura2010},時代ごとの言語変化を調査する通時的な研究\cite{kondo2012},外国語教育へ適用する研究\cite{nakajo2006}など多岐にわたる.コーパスを用いる研究では,新しい言語現象を調査するには新しいコーパスの構築が必要となる.大規模なコーパスを構築する場合,人手でのアノテーションには限界があるため,自動でアノテーシ...
V10N02-04
\section{はじめに} \label{sec:hajime}実際に使用された文例を集めたコーパスは,コンピュータによって検索できる形で準備されることにより,自然言語の研究者にとって便利で重要な資料として利用価値が高まっている.コーパスの種類としては,文例のみを集めた生コーパス(新聞記事など多数がある),文例を単語分けして品詞情報などを付加したタグ付きコーパス(ここでは{\bf品詞タグ付きコーパス}と呼ぶ),さらに文の構文情報を付加した解析済みコーパス\cite{EDR2001}\cite{KyouDai1997}の三種類に分類される.付加情報を持つコーパスは,特にコンピュータによる自然語情報処理において重視されている.しかし,...
V09N03-02
\section{はじめに} 辞書ベースの自然言語処理ツールは高い精度が期待できる反面,辞書未登録語の問題があるため,統計情報を利用して辞書未登録語の抽出を行なう研究が盛んに行なわれている.辞書未登録語はドメイン固有の語句と考えることができ,対象ドメインの統計情報の利用が有効である.本稿ではドメイン固有の文字列の自動抽出で問題となるノイズを2方向のアプローチで解決する手法を提案する.本手法は辞書ベースのツールに付加的な情報を半自動的に与えて辞書未登録語の抽出を行なうことで処理精度の向上を図るものである.本稿では形態素解析ツールについて実験を行なったが,本手法は処理内容やツールに特化したものではなく,ツールの改変を伴うものではない. ...
V18N03-02
\section{はじめに} \label{sec:intro}語義曖昧性解消は古典的な自然言語処理の課題の一つであり,先行研究の多くは教師あり学習により成果を挙げてきた\cite{Marquez04,Navigli09}.しかし,教師あり学習による語義曖昧性解消においてはデータスパースネスが大きな問題となる.多義語の語義がその共起語より定まるという仮定に基づけば,一つの多義語と共起し得る単語の種類が数万を超えることは珍しくなく,この数万種類のパターンに対応するために充分な語義ラベル付きデータを人手で確保し,教師あり手法を適用するのは現実的でない.一方で語義ラベルが付与されていない,いわゆるラベルなしのデータを大量に用意することは,...
V08N04-03
\section{はじめに} 自然言語をコンピュータで処理するためには,言語学的情報に基づいて構文解析や表層的意味解析を行うだけではなく,われわれが言語理解に用いている一般的な知識,当該分野の背景的知識などの必要な知識(記憶)を整理し,自然言語処理技術として利用可能な形にモデル化することが重要になっている.一般性のある自然言語理解のために,現実世界で成り立つ知識を構造化した知識ベースが必要であり,そのためには人間がどのように言葉を理解しているかを調べる必要があると考えている.初期の知識に関する研究では,人間の記憶モデルの1つとして意味的に関係のある概念をリンクで結んだ意味ネットワーク・モデルが提案されている.CollinsとLoft...
V20N05-05
\section{はじめに} 『現代日本語書き言葉均衡コーパス(BCCWJ)』(国立国語研究所2011)\nocite{NINJAL2011}の完成を受けて,国立国語研究所では日本語の歴史をたどることのできる「通時コーパス」の構築が進められている\footnote{NINJAL通時コーパスプロジェクトhttp://www.historicalcorpus.jp/}\cite{近藤2012}.コーパスの高度な活用のために,通時コーパスに収録されるテキストにもBCCWJと同等の形態論情報を付与することが期待される.しかし,従来は十分な精度で古文\footnote{本稿では,様々な時代・文体・ジャンルの歴史的な日本語資料を総称して「古文」...
V08N01-08
\section{はじめに} 最近様々な音声翻訳が提案されている\cite{Bub:1997,Kurematsu:1996,Rayner:1997b,Rose:1998,Sumita:1999,Yang:1997,Vidal:1997}.これらの音声翻訳を使って対話を自然に進めるためには,原言語を解析して得られる言語情報の他に言語外情報も使う必要がある.例えば,対話者\footnote{本論文では,2者間で会話をすることを対話と呼び,その対話に参加する者を対話者と呼ぶ.すなわち,対話者は話し手と聞き手の両者のことを指す.}に関する情報(社会的役割や性別等)は,原言語を解析するだけでは取得困難な情報であるが,これらの情報を使うことによ...
V22N05-02
\section{はじめに} 2000年以降の自然言語処理(NLP)の発展の一翼を担ったのはWorldWideWeb(以降,Webとする)である.Webを大規模テキストコーパスと見なし,そこから知識や統計量を抽出することで,形態素解析~\cite{Kaji:2009,sato2015mecabipadicneologd},構文解析~\cite{Kawahara:05},固有表現抽出~\cite{Kazama:07},述語項構造解析~\cite{Komachi:10,Sasano:10},機械翻訳~\cite{Munteanu:06}など,様々なタスクで精度の向上が報告されている.これらは,WebがNLPを高度化した事例と言える.同時...
V07N04-03
\section{はじめに} 近年の電子化テキストの増大にともない,テキスト自動要約技術の重要性が高まっている.要約を利用することで,より少ない労力や時間で,テキストの内容を把握したり,そのテキストの全文を参照する必要があるかどうかを判定できるようになるため,テキスト処理にかかる人間の負担を軽減させることができる.要約は一般に,その利用目的に応じて,元テキストの代わりとなるような要約(informativeな要約)と,テキストの全文を参照するかどうかの判定等,全文を参照する前の段階で利用する要約(indicativeな要約)に分けられることが多い\cite{Oku:99:a}.このうち,indicativeな要約については,近年情報...
V13N03-03
\section{はじめに} 自然言語は,多様性・曖昧性,規則性と例外性,広範性・大規模性,語彙・文法の経時変化などの性質を持っている.自然言語解析システムは,これらの性質をアプリケーションが要求するレベルで旨く扱う必要がある.なかでも多様性・曖昧性への対応,すなわち,形態素,構文,意味,文脈などの各種レベルにおける組合せ的な数の曖昧性の中からいかにして正しい解釈を認識するかがシステム構築上,最も重要な課題である.\begin{figure}[b]\begin{center}\epsfile{file=\myfigdir/COM自然言語解析システムのモデル.eps,scale=0.7}\end{center}\myfiglabels...
V17N04-04
\section{はじめに} \label{section:introduction}近年,FrameNet~\shortcite{Baker:98}やPropBank~\shortcite{Palmer:05}などの意味役割付与コーパスの登場と共に,意味役割付与に関する統計的なアプローチが数多く研究されてきた~\shortcite{marquez2008srl}.意味役割付与問題は,述語—項構造解析の一種であり,文中の述語と,それらの項となる句を特定し,それぞれの項のための適切な意味タグ(意味役割)を付与する問題である.述語と項の間の意味的関係を解析する技術は,質問応答,機械翻訳,情報抽出などの様々な自然言語処理の応用分野で重要な...
V15N02-01
\section{序論} label{sec:hajime}自然言語処理においては,タグ付けや文書分類をはじめとするさまざまな分類タスクにおいて,分類器が出力するクラスに確信度すなわちクラス所属確率を付与することは有用である.例えば,自動分類システムがより大きなシステムの一部を構成し,自動分類結果が別のシステムに自動入力されるような場合に,クラス所属確率は重要な役割を果たす.この例として,ブログ記事に対してさまざまな観点から付けられたタグ(複数)をユーザに表示するシステムにおいて,タグを自動的に付与する際に,クラス所属確率が閾値より低いタグについては排除することが有効な場合がある~\cite{Ohkura06}.同様に,手書き文字認...
V24N01-01
\section{はじめに} 日本は,2007年に高齢化率が21.5\%となり「超高齢社会」になった\cite{no1}.世界的に見ても,高齢者人口は今後も増加すると予想されており,認知症治療や独居高齢者の孤独死が大きな問題となっている.また,若い世代においても,学校でのいじめや会社でのストレスなどにより精神状態を崩すといった問題が起きている.このような問題を防ぐ手段として,カウンセリングや傾聴が有効であると言われている\cite{no2}.しかし,高齢者の介護職は人手不足であり,また,家庭内においても,身近に,かつ,気軽に傾聴してもらえる人がいるとは限らない.このような背景のもと,本論文では,音声対話ロボットのための傾聴対話システ...
V26N01-02
\section{はじめに} 学会での質疑応答や電子メールによる問い合わせなどの場面において,質問は広く用いられている.このような質問には,核となる質問文以外にも補足的な情報も含まれる.補足的な情報は質問の詳細な理解を助けるためには有益であるが,要旨を素早く把握したい状況においては必ずしも必要でない.そこで,本研究では要旨の把握が難しい複数文質問を入力とし,その内容を端的に表現する単一質問文を出力する“質問要約”課題を新たに提案する.コミュニティ質問応答サイトであるYahoo!Answers\footnote{https://answers.yahoo.com/}から抜粋した質問の例を表\ref{example_long_quest...
V12N05-04
\section{はじめに} \label{sec:intro}機械翻訳システムなどで利用される対訳辞書に登録すべき表現を対訳コーパスから自動的に獲得する方法の処理対象は,固有表現と非固有表現に分けて考えることができる.固有表現と非固有表現を比べた場合,固有表現は,既存の辞書に登録されていないものが比較的多く,辞書未登録表現が機械翻訳システムなどの品質低下の大きな原因の一つになっていることなどを考慮すると,優先的に獲得すべき対象である.このようなことから,我々は,英日機械翻訳システムの対訳辞書に登録すべき英語固有表現とそれに対応する日本語表現との対を対訳コーパスから獲得する方法の研究を行なっている.固有表現とその対訳を獲得することを...
V22N01-02
\section{はじめに} 今日までに,人間による言語使用の仕組みを解明する試みが単語・文・発話・文書など様々な単位に注目して行われて来た.特に,これらの種類や相互関係(例えば単語であれば品詞や係り受け関係,文であれば文役割や修辞構造など)にどのようなものがあるか,どのように利用されているかを明らかにする研究が精力的になされて来た.計算機が普及した現代では,これらを数理モデル化して考えることで自動推定を実現する研究も広く行われており,言語学的な有用性にとどまらず様々な工学的応用を可能にしている.例えば,ある一文書内に登場する節という単位に注目すると,主な研究としてMann\&Thompsonによる修辞構造理論(Rhetorical...
V03N02-01
\section{はじめに} \label{haji}終助詞は,日本語の会話文において頻繁に用いられるが,新聞のような書き言葉の文には殆んど用いられない要素である.日本語文を構造的に見ると,終助詞は文の終りに位置し,その前にある全ての部分を従要素として支配し,その有り方を規定している.そして,例えば「学生だ」「学生だよ」「学生だね」という三つの文が伝える情報が直観的に全く異なることから分かるように,文の持つ情報に与える終助詞の影響は大きい.そのため,会話文を扱う自然言語処理システムの構築には,終助詞の機能の研究は不可欠である.そこで,本稿では,終助詞の機能について考える.\subsection{終助詞の「よ」「ね」「な」の用法}まず...
V11N02-03
\section{緒論} 音声認識研究の対象は、読み上げ音声から講演や会議などの話し言葉に移行している。このような話し言葉は日本語では特に、文章に用いる書き言葉と大きく異なり可読性がよくない。そのため、書き起こしや音声認識結果を講演録や議事録などのアーカイブとして二次利用する際には、文章として適切な形態に整形する必要がある。実際に講演録や議事録の作成の際には、人手によりそのような整形が行われている。これまでに、放送ニュースなどを対象とした自動要約の研究が行われている\cite{98-NL-126-10,98-NL-126-9,SP96-28,99-SLP-29-18,SP2000-116}。これらは主に、頻出区間や重要語句の抽出とい...
V02N04-02
\section{はじめに} \label{intro}日本語マニュアル文では,次のような文をしばしば見かける.\enumsentence{\label{10}長期間留守をするときは,必ず電源を切っておきます.}この文では,主節の主語が省略されているが,その指示対象はこの機械の利用者であると読める.この読みにはアスペクト辞テオク(実際は「ておきます」)が関与している.なぜなら,主節のアスペクト辞をテオクからテイルに変えてみると,\enumsentence{\label{20}長期間留守をするときは,必ず電源を切っています.}マニュアルの文としては既に少し違和感があるが,少なくとも主節の省略された主語は利用者とは解釈しにくくなっている...
V06N06-03
\section{はじめに} 複数の関連記事に対する要約手法について述べる.近年,新聞記事は機械可読の形でも提供され,容易に検索することができるようになった.その一方で,検索の対象が長期に及ぶ事件などの場合,検索結果が膨大となり,全ての記事に目を通すためには多大な時間を要する.そのため,これら複数の関連記事から要約を自動生成する手法は重要である.そこで,本研究では複数の関連記事を自動要約することを目的とする.自動要約・抄録に関する研究は古くから存在する\cite{Okumura98}が,それらの多くは単一の文書を対象としている.要約対象の文書が複数存在し,対象文書間で重複した記述がある場合,単一文書を対象とした要約を各々の文書に適用...
V10N05-01
\section{はじめに} LR構文解析法は,構文解析アルゴリズムとして最も効率の良い手法の一つである.LR構文解析法の中でも,横型探索で非決定的解析を行うことにより文脈自由言語の扱いを可能にした方法は一般化LR法(GLR法)と呼ばれ,自然言語処理および,音声認識で利用されている.また,LR法の構文解析過程に確率を割り当てることで,確率言語モデルを得ることができる.確率一般化LR(PGLR)モデル\cite{inui1998},およびその一般化であるAPGLRモデル\cite{akiba2001}は,構文解析結果の構文木の曖昧性解消や,音声認識の確率言語モデル\cite{nagai1994,imai1999,akiba2001}と...
V23N01-02
\section{はじめに} 場所や時間を気にすることなく買い物可能なオンラインショッピングサイトは重要なライフラインになりつつある.オンラインショッピングサイトでは商品に関する説明はテキスト形式で提供されるため,この商品説明文から商品の属性-属性値を抽出し構造化された商品データを作成する属性値抽出技術は実世界でのニーズが高い.ここで「商品説明文から商品の属性値を抽出する」とは,例えばワインに関係した以下の文が入力された時,(生産地,フランス),(ぶどう品種,シャルドネ),(タイプ,辛口)といった属性と属性値の組を抽出することを指す.\begin{itemize}\itemフランス産のシャルドネを配した辛口ワイン.\end{item...
V06N05-02
\section{はじめに} コンピュータの自然言語理解機能は柔軟性を高めて向上しているが,字義通りでない文に対する理解機能については,人間と比較してまだ十分に備わっていない.例えば,慣用的でない比喩表現に出会ったとき,人間はそこに用いられている概念から連想されるイメージによって意味をとらえることができる.そこでは,いくつかの共通の属性が組み合わされて比喩表現の意味が成り立っていると考えられる.したがって,属性が見立ての対象となる比喩の理解をコンピュータによって実現するためには,属性を表す多数の状態概念の中から,与えられた二つの名詞概念に共通の顕著な属性を自動的に発見する技術が重要な要素になると考えられる.本論文では,任意に与えられ...
V06N02-01
\section{はじめに} 音声認識技術はその発達にともなって,その適用分野を広げ,日本語においても新聞など一般の文章を認識対象とした研究が行なわれるようになった\cite{MATSUOKA,NISIMURA4}.この要因として,音素環境依存型HMMによる音響モデルの高精度化に加え,多量の言語コーパスが入手可能になった結果,文の出現確率を単語{\itN}個組の生起確率から推定する{\itN}-gramモデルが実現できるようになったことが挙げられる.日本語をはじ\breakめとして単語の概念が明確ではない言語における音声認識を実現する場合,どのような単位を認識単位として採用するかが大きな問題の1つとなる.この問題はユーザーの発声単位...
V10N04-09
\section{はじめに} 日本語のテンス・アスペクトは,助動詞「タ/テイル/テアル/シツツアル/シテイク/…」などを付属させることによって表現される.中国語では「了/着/\kanji{001}(過)/在」などの助字がテンス・アスペクトの標識として用いられるが,テンス・アスペクトを明示的に表示しない場合も多い.言語学の側からの両言語のテンス・アスペクトに関する比較対照の先行研究においては,次のような文献がある.\begin{enumerater}\renewcommand{\labelenumi}{}\renewcommand{\theenumi}{}\item\cite{Ryu1987}は両言語の動詞を完成と未完成に分類しながら...
V15N01-03
\section{まえがき} 日本語文のムードについて,いくつかの体系が提示されている(益岡,田窪1999;仁田1999;加藤,福地1989)\footnote{益岡ら(益岡,田窪1999)および加藤ら(加藤,福地1989)はムードという用語を用いているのに対して,仁田(仁田1999)はモダリティという用語を用いている.彼らによるムードあるいはモダリティの概念規定は表面的には異なるが,本質的には同様であると考えてよい.}.益岡ら(益岡,田窪1999)は,述語の活用形,助動詞,終助詞などの様々な文末の形式を対象にして,「確言」,「命令」,「禁止」,「許可」,「依頼」などからなるムード体系を提示している.仁田(仁田1999)は,述語を有...
V10N04-08
\section{はじめに} \thispagestyle{empty}何かを調べたいとき,一番よい方法はよく知っている人(その分野の専門家)に直接聞くことである.多くの場合,自分の調べたいこととその答えの間には,具体性のズレ,表現のズレ,背景の認識の不足などがあるが,専門家は質問者との対話を通してそのようなギャップをうめてくれるのである.現在,WWWなどに大規模な電子化テキスト集合が存在するようになり,潜在的にはどのような質問に対してもどこかに答えがあるという状況が生まれつつある.しかし,今のところWWWを調べても専門家に聞くような便利さはない.その最大の原因は,上記のようなギャップを埋めてくれる対話的な能力が計算機にないためであ...
V19N05-03
\section{はじめに} 現在,電子メール,チャット,{\itTwitter}\footnote{http://twitter.com}に代表されるマイクロブログサービスなど,文字ベースのコミュニケーションが日常的に利用されている.これらのコミュニケーションにみられる特徴の一つとして,顔文字があげられる\cite{ptas2012}.旧来の計算機を介した電子メールなど,ある程度時間のかかることを前提としたコミュニケーションでは,直接会った際に現れる非言語的な情報,具体的には,表情や身振りから読み取ることのできる感情やニュアンスなどの手がかりが少なくなることから,フレーミングなどのリスクを避けようとすると,個人的な感情を含まない目...
V23N01-05
\section{はじめに} \begin{table}[b]\caption{2014年度代ゼミセンター模試(第1回)に対する得点と偏差値}\label{tab:intro:2014}\input{05table01.txt}\end{table}「ロボットは東大に入れるか」(以下,「東ロボ」)は国立情報学研究所を中心とする長期プロジェクトである.同プロジェクトは,AI技術の総合的ベンチマークとして大学入試試験問題に挑戦することを通じ,自然言語処理を含む種々の知的情報処理技術の再統合および新たな課題の発見と解決を目指している.プロジェクトの公式目標は2016年度に大学入試センター試験において高得点を挙げ,2021年度に東大2次試験...
V22N02-02
\section{はじめに} \label{section_intro}自然言語処理において,単語認識(形態素解析や品詞推定など)の次に実用化可能な課題は,用語の抽出であろう.この用語の定義としてよく知られているのは,人名や組織名,あるいは金額などを含む固有表現である.固有表現は,単語列とその種類の組であり,新聞等に記述される内容に対する検索等のために7種類(後に8種類となる)が定義されている\cite{Overview.of.MUC-7/MET-2,IREX:.IR.and.IE.Evaluation.Project.in.Japanese}.固有表現認識はある程度の量のタグ付与コーパスがあるとの条件の下,90\%程度の精度が実現...
V09N04-05
\section{はじめに} 電子化されたテキストが世の中に満ち溢れる現状から,テキスト自動要約研究が急速に活発になり,数年が早くも経過している.研究の活発さは依然変わらず,昨年もNAACLに併設する形で要約に関するワークショップが6月に開催された.また,日本では,国立情報学研究所の主催する評価型ワークショップNTCIR-2のサブタスクの1つとしてテキスト自動要約(TSC:TextSummarizationChallenge)が企画され,日本語テキストの要約に関する初めての評価として,また,TipsterにおけるSUMMACに続く要約の評価として関心を集め,昨年3月にその第1回(TSC1)の成果報告会が開催された(http://re...
V25N04-02
\section{はじめに} \begin{table}[b]\caption{2016年3月27日ソフトバンク対楽天戦10回表のPlay-by-playデータ}\label{tb:pbp}\input{02table01.tex}\end{table}\begin{table}[b]\caption{2016年3月27日ソフトバンク対楽天戦10回表のイニング速報}\label{tb:inning_report}\input{02table02.tex}\end{table}\begin{table}[b]\caption{2016年3月27日ソフトバンク対楽天戦の戦評}\label{tb:game_report}\input{02...
V08N03-01
\section{はじめに} 電子化テキストの爆発的増加に伴って文書要約技術の必要性が高まり,この分野の研究が盛んになっている\cite{okumura}.自動要約技術を使うことにより,読み手の負担を軽減し,短時間で必要な情報を獲得できる可能性があるからである.従来の要約技術は,文書全体もしくは段落のような複数の文の中から,重要度の高い文を抽出することにより文書全体の要約を行うものが多い.このような方法で出力される個々の文は,原文書中の文そのものであるため,文間の結束性に関してはともかく,各文の正しさが問題になることはない.しかし,選択された文の中には冗長語や不要語が含まれることもあり,またそうでなくとも目的によっては個々の文を簡約...
V07N03-01
\section{はじめに} 本論文では,GLR法\cite{Tomita1987}に基づく痕跡処理の手法を示す.痕跡という考え方は,チョムスキーの痕跡理論で導入されたものである.痕跡とは,文の構成素がその文中の別の位置に移動することによって生じた欠落部分に残されると考えられるものである.例えば,``Achildwhohasatoysmiles.''という文では,`achild'がwhoの直後(右隣り)から現在の位置に移動することによって生じた欠落部分に痕跡が存在する.痕跡を{\itt}で表すと,この文は``Achildwho{\itt}hasatoysmiles.''となる.構文解析において,解析系が文に含まれる痕跡を検出し,その...
V22N02-01
\section{はじめに} 近年,電子カルテに代表されるように,医療文書が電子的に保存されることが増加し,構造化されていないテキスト形式の医療情報が増大している.大規模な医療データには有用な情報が含まれ,新たな医学的知識の発見や,類似症例の検索など,医療従事者の意思決定や診療行為を支援するアプリケーションの実現が期待されている.これらの実現のためには,大量のテキストを自動的に解析する自然言語処理技術の活用が欠かせない.特に,テキスト中の重要な語句や表現を自動的に認識する技術は,固有表現抽出や用語抽出と呼ばれ,情報検索や質問応答,自動要約など,自然言語処理の様々なタスクに応用する上で必要不可欠な基盤技術である.用語抽出を実現する方法...
V04N01-01
\section{はじめに} テキストの解釈を一意に決定することは,依然として,自然言語処理において最も難しい課題である.テキストの対象分野を限定しない場合,解釈の受理/棄却の基準を記述した拘束的条件すなわち制約だけで解釈を一意に絞り込むことは容易ではない\cite{Tsujii86,Nagao92}.このため,解釈の良さの比較基準を記述した優先的条件すなわち選好によって,受理された解釈に優劣を付け,評価点が最も高い解釈から順に選び出そうとするアプローチが取られることが多く,実際,その有効性が報告されている\cite{Fass83,Schubert84,Petitpierre87,Hobbs90}.本稿では,日英機械翻訳システムにお...
V24N04-04
\section{はじめに} \label{sec-introduction}さまざまな種類のテキストや,音声認識結果が機械翻訳されるようになってきている.しかし,すべてのドメインのデータにおいて,適切に翻訳できる機械翻訳器の実現はいまだ困難であり,翻訳対象ドメインを絞りこむ必要がある.対象ドメインの翻訳品質を向上させるには,学習データ(対訳文)を大量に収集し,翻訳器を訓練するのが確実である.しかし,多数のドメインについて,対訳文を大量に収集することはコスト的に困難であるため,他のドメインの学習データを用いて対象ドメインの翻訳品質を向上させるドメイン適応技術が研究されている\cite{foster-kuhn:2007:WMT,fos...
V20N03-01
\section{はじめに} 2011年3月11日14時46分に三陸沖を震源としたマグニチュード9.0の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)が発生した.震源域は岩手県沖から茨城県沖までの南北約500~km,東西約200~kmという広範囲に及び,東北地方を中心に約19,000人にのぼる死者・行方不明者が発生しただけでなく,地震・津波・原発事故等の複合的大規模災害が発生し,人々の生活に大きな影響が与えた.首都圏では最大震度5強の揺れに見舞われ,様々な交通障害が発生した.都区内では自動車交通の渋滞が激しく,大規模なグリッドロック現象が発生して道路ネットワークが麻痺したことが指摘されている.また,鉄道は一定規模以上の地震動に見舞われると線路...
V04N04-05
\section{はじめに} 話し言葉や対話における特徴として,旧情報や述語の一部が省略されるなど,断片的で不完全な発話が多く現れるという点をあげることができる.このような断片的あるいは不完全な発話を正しく認識/理解するためには,対話に対する適切なモデルが必要となる.また,話し言葉や対話の音声認識を考えた場合,認識候補の中には統語的にも意味的にも正しいが,対話の文脈の中では不適切な認識候補が存在する場合もある.例えば,文末の述語「〜ですか」と「〜ですが」は,お互いに誤認識されやすいが,対話モデルを用いることにより,このような誤認識を避けられたり,あるいは誤り訂正が可能となることが期待できる.文献\cite{Nagata92,Naga...
V07N05-03
\section{はじめに} \label{はじめに}近年,カーナビゲーションシステムを初めとする種々の情報機器が自動車に搭載され,様々な情報通信サービスが始まりつつある.提供される情報には,交通情報,タウン情報,電子メール,ニュース記事等がある.自動車環境での情報提供では,文字表示よりも,音声による提示が重要との考えから\footnote{道路交通法第71条5の5で,運転中に画像表示用装置を注視することが禁じられている},文章データを入力して音声波形に変換するテキスト音声合成技術の重要性が増している.テキスト音声合成技術は,近年,コンピュータの性能の大幅な向上や自動車用途でのニーズの増大に牽引され,研究開発が進んでいるものの,品質...
V19N03-01
\section{はじめに} \label{sec:introduction}検索エンジンの主な目的は,ユーザの情報要求に適合する文書をランキング形式でユーザに提供することである.しかし,情報要求に見合うランキングを実現するのは容易ではない.これは,ユーザが入力するクエリが一般的に,短く,曖昧であり\cite{Jansen2000},ユーザの情報要求を推定するのが困難であることに起因する.例えば「マック\textvisiblespace\hspace{0.1zw}価格」というクエリは,「Mac(コンピュータ)」の価格とも,「マクドナルド」の価格とも,もしくは他の「マック」の価格とも解釈できる.そのため,どの「マック」に関する文書が求...
V17N05-01
\section{はじめに} label{Chapter:introduction}近年,Webを介したユーザの情報流通が盛んになっている.それに伴い,CGM(ConsumerGeneratedMedia)が広く利用されるようになってきている.CGMのひとつである口コミサイトには個人のユーザから寄せられた大量のレビューが蓄積されている.その中には製品の仕様や数値情報等の客観的な情報に加え,組織や個人に対する評判や,製品またはサービスに関する評判等のレビューの著者による主観的な見解が多く含まれている.また,WeblogもCGMのひとつである.Weblogにはその時々に書き手が関心を持っている事柄についての記述が存在し,その中には評判情...
V04N04-01
\section{はじめに} 連接関係の関係的意味は,接続詞,助詞等により一意に決まるものもあるが,一般的には曖昧性を含む場合が多い.一般的には,複文の連接関係の関係的意味は,従属節や主節の表している事象の意味,およびそれらの事象の相互関係によって決まってくる.しかし,各々の単文の意味とそれらの間の関係を理解するためには広範囲の知識が必要になる.それらの背景知識を記述して,談話理解に利用する研究\cite[など]{ZadroznyAndJensen1991,Dalgren1988}も行われているが,現状では,非常に範囲を限定したモデルでなければ実現できない.従って,連接関係を解析するためには,少なくともどのような知識が必要になり,そ...
V17N01-04
\section{はじめに} テキスト分類学習は,スパムメールの除去,Webコンテンツのフィルタリング,ニュースの自動分類など様々な応用分野をもつ重要な技術である.一般の分類学習と同様に,テキスト分類学習においても特徴集合の選択は学習性能を決定する重要な要素である.通常,英文であればスペースによって区切られた語,日本語文であれば形態素解析によって分割された語を特徴として用いることが多いが,このような方法では二語が連接していることの情報が欠落するので,分類に役立つ熟語・複合語などの情報を取りこぼす可能性が高い.このため,この情報についてはあきらめるか辞書から得るかしなければならない.さらにこの情報を利用する場合は言語モデルの利用やst...
V07N04-09
\section{はじめに} 人と人,または人と計算機が音声を介してコミュニケーションを行なう際に必要となる音声対話処理における頑健性を議論する.例えば,音声を入力としてこれを翻訳し音声出力する音声翻訳などが本論文の想定する対象である.音声対話処理においては,不明瞭な発声や雑音,音声認識処理部の誤りに起因する誤りによって,言語処理部に対して誤りのない正確な入力が得られない場合があり,この結果従来の自然言語処理では問題とならなかった入力の不正確性が生じる.これに対し,従来行なわれてきた言語処理研究の主眼は,\vspace*{\baselineskip}\begin{itemize}\item如何にして入力の不正確性を除去するか\end...
V23N05-02
\section{はじめに} 日英間や日中間のような,文法構造の大きく異なる言語間における特許文書を対象とした統計的機械翻訳の精度は,利用可能な特許対訳コーパスのデータ量の増加に加え,構文解析にもとづく単語並べ替え技術(Isozaki,Sudoh,Tsukada,andDuh2010b;deGispert,Iglesias,andByrne2015)の進展によって大きく向上した(Goto,Utiyama,Sumita,andKurohashi2015).しかし特許明細書中の請求項文は,特に重要性が高いにもかかわらず,明細書中の他の文と比較しても依然として翻訳が困難である.特許請求項文は,以下の2つの特徴を持つサブ言語(Buchman...
V21N02-03
\section{はじめに} \label{sc:introduction}近年,Webを情報源として,人間の情報分析や情報信憑性判断などの支援を目的としたシステム開発に関する研究が行われている\cite{Akamine2009,Akamine2010,Ennals2010,Finn2001,Kaneko2009,Miyazaki2009,Murakami2010,Shibuki2010,Shibuki2013,Kato2010,Kawai2011,Matsumoto2009,Nakano2011,Fujii2008,Yamamoto2010}.このようなシステムの開発においては,そもそも,どのような情報を提示することが効果的な支援...
V06N07-06
\section{はじめに} 機械翻訳等の自然言語処理システムでの品質向上におけるボトルネックとして構文解析の問題があり,解析する文が長くなると係り受け処理で解析を誤る場合がある.このため,長文を意識した構文解析の品質向上に向け各種研究が行われているが,依然として未解決のまま残されている課題がある.そのような課題の一つに連体形形容詞に関する係りがある.この課題に対し,我々は,連体形形容詞周りの「が」格,「の」格の係り決定ルールを提案し,技術文でよく利用される形容詞に対して約97%の精度で係りを特定できることを示した(菊池,伊東~1999).しかし,そこで対象とした形容詞は技術文での出現頻度を考慮して選択したので,抽出したルールが形容...
V09N03-03
\section{はじめに} 近年,テキスト自動要約の必要性が高まってきており,自動要約に関する研究が盛んに行なわれてきている\cite{okumura}.要約とは,人間がテキストの内容の理解,取捨選択をより容易にできるようにするために,元のテキストを短く表し直したものをいう.これまでの研究で提案されてきた要約手法は,主に次の3つに分類される.\begin{itemize}\item文書を対象とした,重要文抽出による要約\item文を対象とした,不要個所削除(重要個所抽出)による要約\item文を対象とした,語句の言い換えによる要約\end{itemize}どのような使用目的の要約でも作成できる万能な要約手法は存在しないため,要約の...
V10N01-02
\section{はじめに} 自動用語抽出は専門分野のコーパスから専門用語を自動的に抽出する技術として位置付けられる.従来,専門用語の抽出は専門家の人手によらねばならず,大変な人手と時間がかかるためup-to-dateな用語辞書が作れないという問題があった.それを自動化することは意義深いことである.専門用語の多くは複合語,とりわけ複合名詞であることが多い.よって,本論文では名詞(単名詞と複合名詞)を対象として専門用語抽出について検討する.筆者らが専門分野の技術マニュアル文書を解析した経験では多数を占める複合名詞の専門用語は少数の基本的かつこれ以上分割不可能な名詞(これを以後,単名詞と呼ぶ)を組み合わせて形成されている.この状況では当...
V08N03-02
\section{はじめに} label{hajime}一般に,手話言語は視覚言語としての側面を持つ.この視覚言語としての特性の一つは,音声言語が単語を線条的に配列し.文を構成するのに対して,単語を空間的かつ同時的に配列することで文を構成できる点である\cite{Baker1980}.また,単語の語構成においても,例えば,右手で「男」を示し,左手で「女」を同時的に空間に配置し,両手を左右から近付けることで「結婚」を,逆に「結婚」の手話表現を示し,両手を左右に引き離すことで「離婚」を表現している.すなわち,音声言語に比べて,単語を造語する際の{\gt写像性}({\iticonicity})が高い言語であると捉えることができる.また,手...
V06N02-05
\section{まえがき} 自然で自発的な発話を対象とする音声翻訳ないし音声対話システムの構築を目指している.読み上げ文を対象とする音声認識研究においては文が処理単位となっている.また,従来の音声翻訳ないし音声対話システムへの入力は,文節区切りのようなゆっくり丁寧に発話された文を単位とする音声であった\cite{Morimoto96}.ここで,音声翻訳システムや音声対話システム等の音声認識応用システムへの入力となる機械的に自動処理可能な単位を「発話単位」と呼ぶことにすると,自然で自発的な発話を対象とする音声翻訳ないし音声対話システムへの入力としての発話単位は文に限定できない.一方,言語翻訳処理における処理単位は文である.書き言葉を...
V13N01-06
\section{はじめに} 近年,ロボットは様々な性能において躍進を遂げてきた.例えば四足で移動するペット用ロボット,ダンスを踊るロボット,走るロボット,人の顔を認識しいくつかの命令を受理できるロボットなどが挙げられる.それらに共通する未来像は「人と共存する機械」であると言えるだろう.人と共存するためには「会話」という大きなコミュニケーション要素が重要となってくると考えられる.また,ロボットが行う会話には,対人関係を円滑にし,利用者に対する精神的サポートを行うという目的が挙げられる.会話において,まず行われるのが挨拶である.挨拶は会話によるコミュニケーションを円滑にする一端を担っている.コンピュータやロボットに対しても,挨拶を行う...
V14N02-02
\section{はじめに} \label{sec:intro}本論文では,ウェブを利用した専門用語の訳語推定法について述べる.専門用語の訳語情報は,技術翻訳や同時通訳,機械翻訳の辞書の強化などの場面において,実に様々な分野で求めれらている.しかしながら,汎用の対訳辞書には専門用語がカバーされていないことが多く,対訳集などの専門用語の訳語情報が整備されている分野も限られている.その上,専門用語の訳語情報が整備されていたとしても,最新の用語を追加していく作業が必要になる.このため,あらゆる分野で,専門用語の訳語情報を人手で整備しようとすると,大変なコストとなる.そこで,本論文では,対象言語を英語,日本語双方向とし,自動的に専門用語の訳...
V12N03-04
\section{はじめに} label{sec:introduction}\smpt{結合価辞書の重要性}用言の下位範疇化構造や選択制限などの詳細な情報は、自然言語処理の様々な分野で利用されている。本稿では、これらの詳細な情報を結合価情報と呼び、結合価情報を持つ辞書を結合価辞書と呼ぶ。また、結合価辞書のエントリを結合価エントリ、あるいは単にエントリと呼ぶ。結合価辞書を用いたシステムには、機械翻訳システム(\altje\citep{Ikehara:1991}、PIVOT\citep{Nomura:2002j})や自動要約システム(CBsummarizer\citep{Nomura:2002j})、言い換えシステム(蔵\citep{T...
V10N05-03
\section{はじめに} \thispagestyle{empty}計算機の高性能化や記憶容量の大容量化および低価格化にともない,情報のマルチメディア化が急速に進行しており,このような背景のもと,マルチメディア・コンテンツに対する情報検索技術の必要性がますます大きくなってきている.マルチメディア・コンテンツ検索では,マルチメディア情報そのものから得られる特徴量に基づき類似検索を行なうという内容型検索(content-basedretrieval)が近年の主流であるが,多くの場合,複数の特徴量を多次元ベクトルで表現し,ベクトル間の距離によりコンテンツ間の類似性を判定している.たとえば,文書検索の場合には,索引語の重みベクトルで文書...
V04N01-08
\section{序論} \label{sec:序論}近年,機械可読な言語データの整備が進んだことや,計算機能力の向上により大規模な言語データの取り扱いが可能になったことから,自然言語処理に用いる様々な知識を言語データから自動的に獲得する研究が盛んに行われている\cite{utsuro95a}.大量の言語データから自動的に獲得した知識は,人手によって得られる知識と比べて,獲得した知識が人間の主観に影響されにくい,知識作成のためのコストが低い,知識の適用範囲が広い,知識に何らかの統計情報を容易に組み込むことができる,といった優れた特徴を持っている.言語データから自動獲得される自然言語処理用知識には様々なものがあるが,その中の1つとして...
V17N01-07
\section{はじめに} \label{sec:introduction}形態素解析や構文解析など自然言語処理の要素技術は成熟しつつあり,言語理解のために意味解析・談話解析といった,より高次な言語処理の研究が盛んになりつつある.特に文の意味理解のためには「誰が」「何を」「誰に」「どうした」といった要素を同定することが重要である.「誰が」「何を」「誰に」といった名詞は\textbf{項}と呼ばれ,「どうした」のような動詞を中心とした\textbf{述語}によって結びつけられる.動詞や形容詞といった述語を対象とした項構造解析は\textbf{述語項構造解析}と呼ばれ,FrameNetやPropBankといった述語項構造解析に対する資...
V03N04-03
\section{はじめに} 自然言語では通常,相手(読み手もしくは聞き手)に容易に判断できる要素は,文章上表現しない場合が多い.この現象は,機械翻訳システムや対話処理システム等の自然言語処理システムにおいて大きな問題となる.例えば,機械翻訳システムにおいては,原言語では陽に示されていない要素が目的言語で必須要素になる場合,陽に示されていない要素の同定が必要となる.特に日英機械翻訳システムにおいては,日本語の格要素が省略される傾向が強いのに対し,英語では訳出上必須要素となるため,この省略された格要素(ゼロ代名詞と呼ばれる)の照応解析技術は重要となる.従来からこのゼロ代名詞の照応解析に関して,様々な手法が提案されている.Kameyam...
V21N05-03
\section{はじめに} 句に基づく統計的機械翻訳\cite{Koehn:03}が登場し,仏英などの言語対における機械翻訳性能は大きく向上した.その一方で,文の構文構造が大きく異なる言語対(日英など)において,長距離の単語並べ替えを上手く扱うことができないという問題がある.近年,この問題を解決するため,同期文脈自由文法\cite{Wu:97,Chiang:05}や木トランスデューサ\cite{Graehl:04,Galley:06}により,構文情報を使って単語並べ替えと訳語選択を同時にモデル化する研究が活発化している.しかし,単語アライメントや構文解析のエラーを同時にモデルへ組み込んでしまうため,句に基づく手法と比較して,いつで...
V22N03-03
\section{はじめに} 抽出型要約は現在の文書要約研究において最も広く用いられるアプローチである.このアプローチは,文書をある言語単位(文,節,単語など)の集合とみなし,その部分集合を選択することで要約文書を生成する.要約システムに必要とされる側面はいくつかあるが,特に重要なのが,一貫性(coherence)\cite{hobbs85,mann:88}と情報の網羅性が高い要約を生成することと,要約長に対し柔軟に対応できることである.一貫性の高い要約とは,原文書の談話構造(あるいは論理構造)を保持した要約を指す.要約が原文書の談話構造を保持していない場合,原文書の意図と異なる解釈を誘発する文書が生成されてしまうおそれがある.すな...
V09N02-02
\section{はしがき} 日本語の複文の従属節には,体言に係る連体修飾節と,用言に係る連用修飾節がある.連体修飾節は通常次の句の体言に係る場合が多く曖昧性は比較的少ない.ところが,連用修飾節は係り先に曖昧性があり,必ずしもすぐ次の節の用言に係るとは限らない.このような曖昧性を解消するために,接続助詞,接続詞など接続の表現を階層的に分類し,その順序関係により,連接関係を解析する方法\cite{shirai1995}が用いられてきた.また,連接関係を,接続の表現を基に統計的に分析し,頻度の高い連接関係を優先する方法\cite{utsuro1999}も用いられてきた.しかし,接続の表現には曖昧性があり,同じ接続の表現でも異なる意味で用...
V06N07-05
\section{はじめに} 日本語や中国語等においては,単語間に空白を入れる習慣がないため,これらの言語の計算機処理では,まず文を単語列に分割する処理が必要となる.単語分割は日本語処理における最も基本的かつ重要な技術であり,精度・速度ともに高い水準の性能が要求される.単語分割と品詞付けから成る日本語形態素解析法の多くは,単語辞書の登録語との照合を行い,複数の形態素解析候補がある場合はヒューリスティクス(heuristics)を用いて候補間の順位付けを行うというものである.しかし,実際に,辞書中にすべての単語を網羅するのは不可能であるため,未知語(辞書未登録語)という重大な問題が生ずる.また,ヒューリスティクスでは扱うことのできない...
V06N06-05
\section{はじめに} 本稿は、語彙的結束性(lexicalcohesion)という文章一般に見られる現象に基づき話題の階層構成を認定する手法を提案する。この手法は、任意の大きさの話題を選択的取り出せること、大きな話題と小さな話題との対応関係を認定できること、文書の種類によらない汎用性を持つことの3つの要件を満たすよう考案した手法である。本研究の最終的な目標は、数十頁の文書に対して、1〜2頁程度の要約を自動作成することにある。これは、白書などの長い文書に関し、オンラインで閲覧中の利用者のナビゲートや、簡潔な調査レポートの作成支援などに用いることを意図している\cite{JFJ-V49N6P434}。長い文書に対して簡潔な要約を...
V16N02-01
\section{はじめに} \label{s:はじめに}がんの患者や家族にとって,がんに関する情報(以下,「がん情報」と呼ぶ)を知ることは非常に重要である.そのための情報源として,専門的で高価な医学書に比べて,ウェブ上で提供されているがん情報は,容易に入手可能であり,広く用いられるようになってきている\cite{c1,c2}.これらWebで公開されているがん情報は,良質で根拠に基づいたものばかりではなく,悪質な商用誘導まで存在する\cite{c3,c4}.このような多量のがんに関する文書の中からその文書が何を述べているかの情報を抽出し,良質ながん情報を選別し取得されるがん情報の質を向上させることが求められている.このように,がんに...
V07N04-11
\section{はじめに} 近年の高度情報化の流れにより,種々の情報機器が自動車にも搭載されるようになり,さまざまな情報通信サービスが広がりつつある.このような車載情報機器は,自動車に搭載するためにCPUの速度やRAM,ROMなどのメモリ容量の制約が非常に厳しく,また,開発期間がより短いことや保守管理の労力の低減も同時に求められている.自動車内で提供される情報通信サービスには,交通情報,観光情報,電子メール,一般情報(例えばニュース)などが含まれるが,このような情報はディスプレイ上に文字で表示するよりも,音声により提供する方が望ましいとされている.文字情報を音声に変換する技術の研究開発は進んでいるが,その合成音声の韻律は不自然とい...
V17N04-02
\section{はじめに} \label{sec:intro}今日,Webからユーザーの望む情報を得る手段としてGoogleなどのサーチエンジンが一般的に利用される.しかし,ユーザーの検索要求に合致しないWebページも多数表示されるため,各ページがユーザーの望む情報を含むかどうかを判断するのに時間と労力を割かなければならない.このような負担を軽減するための検索支援手法として,検索結果をクラスタに分類して表示するWeb文書クラスタリングが挙げられる.Webページのクラスタリング手法として,WebページのHTMLタグの構造\cite{Orihara08}やWebページ間のリンク関係\cite{Ohno06,Wang02}などWebペー...
V21N02-04
\section{はじめに} 現在,自然言語処理では意味解析の本格的な取り組みが始まりつつある.意味解析には様々なタスクがあるが,その中でも文書中の要素間の関係性を明らかにする述語項構造解析と照応解析は最も基本的かつ重要なタスクである.本稿ではこの両者をまとめて意味関係解析と呼ぶこととする.述語項構造解析では用言とそれが取る項の関係を明らかにすることで,表層の係り受けより深い関係を扱う.照応解析では文章中の表現間の関係を明らかにすることで,係り受け関係にない表現間の関係を扱う.意味関係解析の研究では,意味関係を人手で付与したタグ付きコーパスが評価およびその分析において必要不可欠といえる.意味関係およびそのタグ付けを以下の例\ref{...
V06N04-04
\section{はじめに} 日本語の指示詞については豊富な研究史が存在するが,それは日本語が豊かな指示詞の体系を持ち,さまざまな興味深い振る舞いを見せてくれるからである.談話構造との関わりから眺めた場合にも,未だ充分解決されていない,重要な問題が多数浮かび上がってくる.本稿は,指示詞の分析から談話構造の理論的研究へと向かう一つの切り口を提示することを目指す.本稿で特に問題としたいのは,日本語の指示詞の体系における,指示の機能の上での等質性と異質性である.結論の一部を先取りして言えば,指示詞の3系列(コ・ソ・ア)の内,ソ系列はコ系列およびア系列に対して異質な性格を多く持っている.この異質性を突き詰めていく過程で,指示の構造に対する根...
V04N02-01
\section{まえがき} 日本語文の表層的な解析には,\係り受け解析がしばしば用いられる.\係り受け解析とは,\一つの文の中で,\どの文節がどの文節に係る(広義に修飾する)かを定めることであるが,\実際に我々が用いる文について調べて見ると,\2文節間の距離とそれらが係り受け関係にあるか否かということの間に統計的な関係のあることが知られている.\すなわち,\文中の文節はその直後の文節に係ることがもっとも多く,\文末の文節に係る場合を除いては距離が離れるにしたがって係る頻度が減少する\cite{maruyama}.係り受け距離に関するこのような統計的性質は「どの文節も係り得る最も近い文節に係る」というヒューリスティクス\cite{k...
V12N03-09
\section{はじめに} \label{sec:intr}インターネットの世界的な普及により,世界各国に分散したメンバーによるソフトウェア開発などが盛んになっている\cite{Jarvenpaa}.特に,アジア太平洋地域でのインターネットの普及は目覚しく\footnote{http://cyberatlas.internet.com/big\_picture/geographics/print/\\0,,5911\_86148,00.html},今後,この地域におけるソフトウェアの共同開発などが活発化すると予想される.しかし,母国語が異なる国々と共同ソフトウェアの開発などを行う場合,言葉の壁により円滑にコミュニケーションを行うこ...
V12N05-03
\section{はじめに} \label{sc:1}待遇表現は日本語の特徴の一つである.敬語的な表現は他の言語にも見られるが,日本語のように,待遇表現を作るための特別な語彙や形式が体系的に発達している言語はまれである\cite{水谷1995}.日本語の待遇表現は,動詞,形容詞,形容動詞,副詞,名詞,代名詞など,ほぼ全ての品詞に見られる.特に,動詞に関する待遇表現は他の品詞に比べて多様性がある.具体的には,動詞に関する待遇表現は,以下の4つのタイプに大別できる.1)「\underline{お}話しになる」や「\underline{ご}説明する」などのように,接頭辞オもしくは接頭辞ゴと動詞と補助動詞を組み合わせる,2)「おっしゃる」と...
V10N03-03
\section{はじめに} 単語の意味を判別し,多義曖昧性を解消する技術(語義曖昧性解消;WordSenseDisambiguation)は,機械翻訳や情報検索,意味・構文解析など,自然言語処理のあらゆる分野において必要である\cite{ide:98}.これは一般に,テキストに現れた単語の語義が辞書などであらかじめ与えられた複数の語義のいずれに該当するかを判定する分類問題である.ただし,曖昧性解消をどのような応用に利用するかに依存して,どのような語義分類を与えるのが適切であるかは異なる.そして,分類の粒度や語義定義の与え方に応じて,最適な分類手法は異なってくることが予想される.それゆえ,具体的な応用に沿った語義曖昧性解消課題を設定...
V08N03-03
\section{はじめに} 統計情報に基づく自然言語処理では,訓練データとしてのコーパスの影響は非常に大きい.形態素情報や品詞情報等の情報を付加したコーパスを利用することで処理の精度の向上や処理の簡略化等が期待できるが,情報を付加する段階での労力が大きく,その精度に結果が大きく左右されるという問題がある.生コーパスをそのまま利用する場合には,コーパスの取得が容易であるため,目的に合ったドメインのコーパスを大量に入手できるという利点がある.しかし,生コーパスは未登録語や未知の言い回し,非文とされるような文の出現等を多く含むことがほとんどであり,これらが処理の精度の低下を招くという問題がある.コーパスから得た情報を利用するようなシステ...
V18N03-03
\section{はじめに} \label{sec:intro}SemEval-2010において,日本語の語義曖昧性解消タスクが行われた\cite{SemEval2:JWSD}.本タスクは,コーパス中に出現する対象語に対し,辞書で定義された語義のうち適切な語義を推定することが課題である.日本語を対象とした類似のタスクとしては,2001年に開催されたSENSEVAL-2の日本語辞書タスクがあげられる.ただし,SENSEVAL-2における日本語辞書タスクとは,2つの点で大きく異なっている.すなわち,対象コーパスの分野が多岐にわたる点,および,辞書に定義されていない語義が出現することもあるという点で異なっている.語義曖昧性解消は,非常に古...
V14N03-12
\section{はじめに} 近年,機器の高機能化がますます進み,我々の生活は非常に便利になってきている.しかし一方では,それらの機器を使いこなせないユーザが増えてきていることもまた事実である.この原因としては,高機能化に伴い,機器の操作が複雑化していることが考えられる.この問題を解決する一つの手段に,新しいユーザインタフェースの開発を挙げることができる.これまでにも,音声認識や手書き文字認識など,日常生活で慣れ親しんでいる入力を扱うことによる使いやすい機器の開発がなされており,一定の成果を挙げてはいるが,未だ万人に受け入れられるインタフェースとしては完成していない.これは,入力されたデータを規則に沿って処理しているだけであり,ユー...
V10N01-01
\section{はじめに} 本研究の目的は,情報抽出のサブタスクである固有表現抽出(NamedEntityTask)の難易度の指標を定義することである.情報抽出とは,与えられた文章の集合から,「人事異動」や「会社合併」など,特定の出来事に関する情報を抜き出し,データベースなど予め定められた形式に変換して格納することであり,米国のワークショップMessageUnderstandingConference(MUC)でタスクの定義・評価が行われてきた.固有表現(NamedEntity)とは,情報抽出の要素となる表現のことである.固有表現抽出(NamedEntityTask)はMUC-6\cite{MUC6}において初めて定義され,組織名...
V10N01-06
\section{はじめに} 自然言語処理を進める上で,形態素解析器をはじめとする言語解析器は,コーパスなどの言語資源と同様に最も重要な道具である.近年では,この重要性は研究者間でほぼ認識されており,英語や日本語に対する形態素解析器と構文解析器はいずれも複数のものが作成,そして公開または市販され,我々研究者はその恩恵に預かっている.ところが,中国語に関しては以上の状況は同じではない.我々の知る限り,日本国内はもちろん,中国においても誰もが手軽に使える中国語解析器が研究者の間で広範に知られている,という状況にはなく,まだ十分に解析器が整備されているとは言えない.この背景の一つは,中国語解析の困難性であると考える.中国語は英語のように概...
V20N02-01
\section{はじめに} label{sc:introduction}Web上には出所が不確かな情報や利用者に不利益をもたらす情報などが存在するため,信頼できる情報を利用者が容易に得るための技術に対する要望が高まっている.しかしながら,情報の内容の真偽や正確性を自動的に検証することは困難であるため,我々は,情報の信憑性は利用者が最終的に判断すべきであると考え,そのような利用者の信憑性判断を支援する技術の実現に向けた研究を行っている.現在,ある情報の信憑性をWebのみを情報源として判断しようとした場合,Web検索エンジンにより上位にランキングされた文書集合を読んで判断することが多い.しかしながら,例えば,「ディーゼル車は環境に良い...
V18N02-06
\section{はじめに} 近年の自然言語処理技術は,新聞記事等のフォーマルな文章だけでなく,ブログ等のインフォーマルな文章をもその射程に入れつつある\cite{ICWSM:2008,ICWSM:2009}.この背景の一つには,世論や消費者のニーズ等をブログを含めたWeb文書から取り出そうとする,自然言語処理技術を援用した情報アクセス・情報分析研究の盛り上がりがある\cite{Sriphaew:Takamura:Okumura:2009,Akamine:Kawahara:Kato:Nakagawa:Inui:Kurohashi:Kidawara:2009,Murakami:Masuda:Matsuyoshi:Nichols:Inu...
V15N01-04
\section{はじめに} 近年,コンピュータを含め,機械は我々の生活・社会と密接に関与し,必要不可欠な存在となっている.そのため,機械の目指すべき姿は「人と共存する機械(ロボット)」だと言えるだろう.この夢は,二足歩行ができる,走ることができる,踊ることができるなど,身体能力に長けたロボット\cite{HumanRobot1999}\cite{RoBolution2001}が数多く開発されたことにより,その一部が実現されつつある.今後,機械が真に「人と共存」するためには,優れた身体能力を持った機械に「知能」を持たせ,人間と自然な会話を行う能力が必要になる.機械が人間を主体としたスマートな会話を行うことにより,人と機械の円滑なコミ...
V25N03-01
\section{はじめに} \label{section:first}語義曖昧性解消はコンピュータの意味理解において重要であり,古くから様々な手法が研究されている自然言語処理における課題の一つである\cite{Navigli:2009:WSD:1459352.1459355,Navigli2012}.語義曖昧性解消の手法には大きく分けて教師あり学習,教師なし学習,半教師あり学習の3つが存在する.教師なし学習を用いるものにはクラスタリングを用いた手法\cite{UnsupervisedWSDClustering}や分散表現を用いた手法\cite{wawer-mykowiecka:2017:SENSE2017}などが存在するが,どの手...
V26N02-05
\section{はじめに} Twitterに代表されるソーシャルメディアにおいては,辞書に掲載されていない意味で使用されている語がしばしば出現する.例として,Twitterから抜粋した以下の文における単語「鯖」の使われ方に着目する.\quad(1)\space今日、久々に{\bf鯖$_1$}の塩焼き食べたよとても美味しかった\quad(2)\spaceなんで、急に{\bf鯖$_2$}落ちしてるのかと思ったらスマップだったのか(^q^)\noindent文(1)と文(2)には,いずれも鯖という単語が出現しているが,その意味は異なり,文(1)における鯖$_1$は,青魚に分類される魚の鯖を示しているのに対し,文(2)における鯖$_2$は...
V16N05-01
\section{はじめに} 一般的な分野において精度の高い単語分割済みコーパスが利用可能になってきた現在,言語モデルの課題は,言語モデルを利用する分野への適応,すなわち,適応対象分野に特有の単語や表現の統計的振る舞いを的確に捉えることに移ってきている.この際の標準的な方法では,適応対象のコーパスを自動的に単語分割し,単語$n$-gram頻度などが計数される.この際に用いられる自動単語分割器は,一般分野の単語分割済みコーパスから構築されており,分割誤りの混入が避けられない.特に,適切に単語分割される必要がある適応対象分野に特有の単語や表現やその近辺において誤る傾向があり,単語$n$-gram頻度などの信頼性を著しく損なう結果となる....
V06N05-01
\section{はじめに} 従来,日本語記述文の解析技術は大きく進展し,高い解析精度~\cite{miyazaki:84:a,miyazaki:86:a}が得られるようになったが,音声会話文では,助詞の省略や倒置などの表現が用いられること,冗長語や言い直しの表現が含まれることなどにより,これを正しく解析することは難しい.省略や語順の変更に強い方法としては,従来,キーワードスポッテイングによって文の意味を抽出する方法\cite{kawahara:95:a,den:96:a,yamamoto:92:a}が考えられ,日常会話に近い「自由発話」への適用も試みられている.冗長語に対しては,冗長語の出現位置の前後にポーズが現れることが多いこと...
V19N05-01
\section{はじめに} オノマトペとは,「ハラハラ」,「ハキハキ」のような擬音語や擬態語の総称である.文章で物事を表現する際に,より印象深く,豊かで臨場感のあるものにするために利用される.日本語特有の表現方法ではなく,様々な言語で同じような表現方法が存在している\addtext{{\cite{Book_03}}}.このようなオノマトペによる表現は,その言語を\addtext{母語}としている人であれば非常に容易に理解することができる.また,オノマトペは音的な情報から印象を伝えるため,ある程度固定した表現もあるが,音の組み合わせにより様々なオノマトペを作ることも可能であり,実際様々なオノマトペが日々創出されている\addtext...
V22N01-01
\section{はじめに} 述語項構造解析(predicate-argumentstructureanalysis)は,文から述語とその格要素(述語項構造)を抽出する解析タスクである.述語項構造は,「誰が何をどうした」を表現しているため,この解析は,文の意味解析に位置付けられる重要技術の一つとなっている.従来の述語項構造解析技術は,コーパスが新聞記事であるなどの理由で,書き言葉で多く研究されてきた\cite{carreras-marquez:2004:CONLL,carreras-marquez:2005:CoNLL,Matsubayashi:PredArgsData2014j}.一方,近年のスマートフォンの普及に伴い,Apple...
V07N04-04
\section{はじめに} label{hajimeni}本論文では,表現``$N_1のN_2$''が多様な意味構造を持つことを利用して,動詞を含む連体修飾節を表現``$N_1のN_2$''に言い換える手法を提案する.自然言語では,一つの事象を表すために多様な表現を用いることが可能であり,人間は,ある表現を,同じ意味を持つ別の表現に言い換えることが,しばしばある.言い換えは,自然言語を巧みに操るために不可欠な処理であり\cite{sato99},それを機械によって実現することは有用であると考えられる.例えば,文書要約において,意味を変えずに字数を削減するためや,文章の推敲を支援するシステムにおいて,同一の表現が繰り返し出現するのを...
V06N01-02
\section{はじめに} 一つ一つの単語はしばしば複数の品詞(即ち,品詞の曖昧性)を持ち得る.しかしながら,その単語が一旦文に組み込まれば,持ち得る品詞はその前後の品詞によって唯一に決まる場合が多い.品詞のタグづけはこのような曖昧性を文脈を用いることによって除去することである.品詞タグづけの研究は,特に英語や日本語などにおいて多数行なわれてきた.これらの研究を通じ,これまで主に四つのアプローチ,即ち,ルールベースによるもの~\cite{garside,hindle,brill},HMMやn-gramを用いた確率モデルに基づいたもの~\cite{church,derose,cutting,weischedel,merialdo,s...