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糖尿病治療中にみられる頻度の高い緊急事態である. 薬物療法中の患者に起こり得る.スルホニル尿素(SU)薬による低血糖は遷延しやすくとくに注意が必要である. ブドウ糖あるいはそれに代わるもの(ブドウ糖を多く含む飲料など)を必ず携行し,低血糖と感じたら直ちに摂取する(絶対に我慢しない)ことを確認する(ただしブドウ糖を含まない飲料もあるので,あらかじめ成分を確認しておく). 交感神経刺激症状:血糖値が正常の範囲を超えて急速に降下した結果生じる症状. 発汗,不安,動悸,頻脈,手指振戦,顔面蒼白など. 中枢神経症状:血糖値が 50 mg/dL程 度 に低下したことにより生じる症状.中 枢神経のエネルギー不足を反映する.頭痛,眼のかすみ,空腹感,眠気(生あくび)などがあり,50 mg/dL 以下ではさらに意識レベルの低下,異常行動注), けいれんなどが出現し昏睡に陥る. 注)高齢者の低血糖による異常行動は,認知症と間違われやすい. 自律神経障害のために交感神経刺激症状が欠如する場合や,繰り返して低血 糖を経験する場合には,低血糖の前兆がないまま昏睡に至ることがあるので注意を要する(88 頁:無自覚性低血糖 参照). 薬物の種類や量の誤り.食事が遅れたり,食事量または炭水化物の摂取が少 ない場合や,いつもより強く長い身体活動(たとえばゴルフ)の最中または運動 後.強い運動あるいは長時間運動した日の夜間および翌日の早朝.飲酒,入浴. 低血糖時の対応 1. 経口摂取が可能な場合は,ブドウ糖(10 g)またはブドウ糖を含む飲料(150 〜 200 mL)を摂取させる.蔗糖では少なくともブドウ糖の倍量(砂糖で20 g) を飲ませるが,ブドウ糖以外の糖類では効果発現は遅延する.α‒グルコシダー ゼ阻害薬服用中の患者では必ずブドウ糖を選択する.約 15 分後,低血糖がな お持続するようならば再度同一量を飲ませる. 2. 経口摂取が不可能な場合,グルカゴンがあれば1バイアル(1 mg)を家族が注 射するとともに,直ちに主治医と連絡をとり医療機関へ運ぶ.1 型糖尿病患者 では,あらかじめグルカゴン注射液を患者に渡し,その注射方法について家族 を教育しておくことが望ましい.ブドウ糖は処方ができるので,あらかじめ1 包 10 gのブドウ糖を渡しておく. 3. 意識レベルが低下するほどの低血糖をきたしたときは,応急処置で意識レベル が一時回復しても,低血糖の再発や遷延で意識障害が再び出現する可能性が 高い.低血糖が遷延する場合には,必ず医療機関で治療を受けるように,家族 を含めて情報を共有する. 4. 医師が対応する場合は,まず直ちに血糖値を測定(簡易法)し,低血糖症で あることを確かめ,経口摂取が困難な場合には50%グルコース注射液 20 mL (20%グルコースならば40 mL)を静脈内に投与する.改めて血糖値を測定し 意識の回復と血糖値の上昇を確認する.意識が回復したら炭水化物の経口摂 取を勧め,回復しない場合はグルコースの静脈内投与を繰り返す. 低血糖はひとりひとり原因や事情が異なるので,患者とよく話し合い,何が低血糖 の原因だったのか特定に努める.その結果を踏まえ治療法を見直し,再発をきた さないための日常生活への細やかな配慮を,患者の果たすべき役割も含めて行う. ● 患者には,IDカード注)を常に携行させ,家族,友人,親しい同僚,教師など には低血糖時の処置を説明し協力を求める. ● 自動車を運転する患者には,必ずブドウ糖を多く含む食品を車内に常備させる. 運転時に低血糖の気配を感じたら,ハザードランプを点滅させ,直ちに車を路 肩に寄せて停止し(先延ばしをしてはならない),携帯しているブドウ糖を含む 食品を速やかに摂取するよう情報を共有する.低血糖を起こしやすい人は,運 転前に血糖測定を行うことを原則とすること,空腹時の運転を避けること,また低血糖はひとりひとり原因や事情が異なるので,患者とよく話し合い,何が低血糖 の原因だったのか特定に努める.その結果を踏まえ治療法を見直し,再発をきた さないための日常生活への細やかな配慮を,患者の果たすべき役割も含めて行う. ● 患者には,IDカード注)を常に携行させ,家族,友人,親しい同僚,教師など には低血糖時の処置を説明し協力を求める. ● 自動車を運転する患者には,必ずブドウ糖を多く含む食品を車内に常備させる. 運転時に低血糖の気配を感じたら,ハザードランプを点滅させ,直ちに車を路 肩に寄せて停止し(先延ばしをしてはならない),携帯しているブドウ糖を含む 食品を速やかに摂取するよう情報を共有する.低血糖を起こしやすい人は,運 転前に血糖測定を行うことを原則とすること,空腹時の運転を避けること,または何か食べてから運転するように習慣づけることが大切である.2014 年 6月か ら施行された改正道路交通法では,無自覚性低血糖を含む低血糖によって車の 運転に支障をきたす可能性がある患者が,運転免許証の取得や更新時に虚偽 申告をした場合の罰則規定が新設された.
糖尿病患者が治療中に発熱,下痢,嘔吐をきたし,または食欲不振のため食 事ができないときをシックデイと呼ぶ. このような状態では,インスリン非依存状態の患者で血糖コントロールが良好な場合でも,著しい高血糖が起こったりケトアシドーシスに陥ることがある.インスリン依存状態の患者ではさらに起こりやすく,特別の注意が必要である. このような状態では,インスリン非依存状態の患者で血糖コントロールが良好 な場合でも,著しい高血糖が起こったりケトアシドーシスに陥ることがある.イ ンスリン依存状態の患者ではさらに起こりやすく,特別の注意が必要である. ビグアナイド薬とSGLT2 阻害薬は,シックデイの間は中止することを普段から 確認しておく(伝えておく).インスリン分泌促進薬[SU 薬・速効型インスリン 分泌促進薬(グリニド薬)]は,診察時の状態により中止,減量を判断する. 十分な水分の摂取により脱水を防ぐように指示する(来院した患者には点滴注 射にて生理食塩水 1 〜 1.5 L/日を補給する). 食欲のないときは,日頃食べ慣れていて口当たりがよく消化のよい食物(たとえば,ジュース,スープ,おかゆなど)を選び,できるだけ摂取するように指示する(絶食しないようにする).とくに炭水化物と水の摂取を優先する. 自己測定により血糖値の動きを3 〜 4 時間に1回ずつ測定し,血糖値 200 mg/dLを超えてさらに上昇の傾向がみられたら,その都度,速効型または超速効型インスリンを2 〜 4 単位追加するように指示する. 来院時には必ず尿中ケトン体の測定を行う. 嘔吐,下痢が止まらず食物摂取不能のとき 高熱が続き,尿ケトン体強陽性または血中ケトン体高値(3 mM 以上),血糖値 が 350 mg/dL 以上のとき(SGLT2 阻害薬内服中の場合,高血糖を伴わなくてもケトアシドーシスを呈することがあり,注意が必要である.)