具体的内容
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| 背景・要因
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| 改善策
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| 記述情報
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values | 事故の程度
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values | 専門分析班及び総合評価部会の議論
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values | 訪問での専門分析班委員の主な意見
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values | 人工呼吸器※
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values | 誤った処方内容
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values | 研修医の情報
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|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
患者は80歳代女性で左大腿骨頚部骨折で入院していた。リハビリテーションのため病室へ迎えに行くと、患者はベッド上に端座位で待っていた。理学療法士はベッドネームの所にある活動表で、訓練室への移動方法は車椅子であることを確認し、患者へ「訓練室へ移動するため車椅子を持って来るので待っていて下さい」と声を掛け、退室した。車椅子を持って再度部屋へ戻ると、患者は部屋の入り口で転倒しており、先に駆け付けた看護師が対応していた。転倒により、患者は右前額部皮下血腫、上唇裂傷、右踵骨骨折をきたした。
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・病室が変わったばかりで、同室患者のベッドの足元のフレームと壁の間が狭く、患者が病室の入り口まで移動する時に壁にそえた手が滑った。・上記の環境での歩行になることを理学療法士は評価、検討していなかった。・パーキンソン症状があり、すくみ足の症状が出るタイミングが一定ではなかった。・担当者ではなく代行であったが、代行の用紙には訓練室までの移動手段の項目を設けていなかった。・車椅子を持って来る際、「座って待っていて下さい」と声を掛けなかった。
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・移動手段を申し送りして共有する。・指標に歩行速度と個別性に合わせた評価を用いて、事前に判断し対応する。・「座って待っていて下さい」と声を掛けるなど、患者へ具体的に説明する。
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医療事故情報
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・改善策にあるように、訓練室までの移動手段をあらかじめ代行者と共有できているとよいだろう。・患者に「座って待っていて下さい」と具体的に伝えることで、患者単独の行動による転倒を防止できる可能性がある。
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患者は80歳代女性でうっ血性心不全で入院していた。リハビリテーション終了後、リハビリテーション室から病棟まで車椅子で送り、病棟に到着した。その後、日中杖歩行自立の患者であったので自室まで1本杖歩行で戻るように促した。患者は1m程歩行した後、前方へ左上肢屈曲位で倒れた。整形外科を受診し、左上腕骨遠位部不全骨折と診断され、三角巾着用にて保存療法の方針になった。
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・歩行訓練で歩行状態は安定していたが、前日に1本杖歩行が許可されたばかりであった。・高齢であり、リハビリテーション後の疲労を考えると車椅子で病室まで送る必要があった。
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・リハビリテーション後の疲労を考慮する。・患者の身体の状況を十分把握し、必要に応じて病室まで付き添う。
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医療事故情報
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・「杖歩行自立」であっても、訓練終了後は疲労の影響も生じ得るため、患者の状態を評価して移動の方法を考える必要がある。・患者が疲労により転倒したのであれば、1本杖歩行の許可の判断が適切であったかどうかも再検討するとよいだろう。
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理学療法士2名にて体位変換時、人工呼吸器のアラームが鳴り始めた。看護師が訪室し確認すると、気管切開チューブが抜けかけていた。
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・事例発生5日前に気管切開を実施した。・体位変換時に気管切開部の確認及び固定が不十分であった。・リハビリテーション開始前、看護師とのコミュニケーションが不足していた。・連休中であったが、リハビリテーション、放射線科などの部門は当該日を平日対応としていた。・リハビリテーションを開始した時間、ICUでは直入院患者や術直後患者が2名おり、煩雑な状況であった。
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・リハビリテーション開始前に看護師に声掛けし実施する。・朝のミーティング、カンファレンス時に業務調整を行い、スタッフ間のコミュニケーションを密にして対応する。
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医療事故情報
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・リハビリテーション担当者は何時に訪室してリハビリテーションを行ったらよいか、看護師に確認しておくとよいだろう。・土日でもリハビリテーションは平日対応としている医療機関があるが、看護師のサポート体制を確認して互いに協力することが重要である。休日にリハビリテーションを実施する場合は、各部署の体制をどのように整備するか、医療機関全体として方針を検討する必要がある。
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患者は間質性肺炎の急性増悪により人工呼吸器管理中で、ウィーニング、リハビリテーションを行っていた。気管切開術後8日目、理学療法士と主治医、看護師の介助のもと、人工呼吸器管理を行いながら端座位訓練を施行していた。呼吸・循環動態は安定しており、しばらく端座位が可能であった。リハビリテーション中、排痰や咳嗽による気管切開チューブの迷入を疑い、応援を要請した。主治医が気管支鏡で観察したところ、気管切開チューブは気管前鞘に迷入し、再挿入が困難であった。気管切開チューブを抜去し、サクションエイド8.0mmにサイズアップして再挿入を行った。
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・気管切開術後8日目であり瘻孔形成が不十分であった。・頻回の咳嗽があり、喀痰吸引を行っていた。・前回気管切開チューブが気管前鞘に迷入した際の空間が残存していた。
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・リハビリテーションや体位変換、咳嗽時等には、気管切開チューブの観察を強化する。
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医療事故情報
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・体位変換や移動の際だけでなく、咳嗽や喀痰吸引などの際にも気管切開チューブの抜去や逸脱・迷入が起こることがあるため、注意が必要である。・気管切開チューブの逸脱・迷入は、一見してわかりにくいことがある。呼吸状態を観察し、異常が見られたら逸脱・迷入を疑って対処することが重要である。
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患者は末梢静脈ライン留置中で点滴スタンドを持ってリハビリテーション室に移動した。机上課題を実施中、床へ流血しているのを発見した。点滴の接続部が外れており、逆血・流血していた。病棟看護師を呼び対応を依頼した。
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・リハビリテーション開始時に接続部分の確認は行っておらず、緩んでいた可能性がある。・患者は注意障害があり、末梢静脈ラインをテーブルに引っ掛けた可能性がある。・机上課題を実施中、作業療法士は点滴とは反対側の位置におり、末梢静脈ラインの確認ができていなかった。
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・介入前・中・後に接続部の緩みがないか確認する。・末梢静脈ラインが常に見える位置で介入する。
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ヒヤリ・ハット事例
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・可能であれば、リハビリテーションの際は末梢静脈ラインをロックしておくとよいだろう。・点滴をしたままリハビリテーション室に行く場合は、病棟を出る前に看護師が末梢静脈ラインの接続部に緩みがないか、適切に滴下しているか、血管外漏出していないかなどを確認しておく必要がある。・理学療法士などのリハビリテーション専門職は末梢静脈ラインの扱いに習熟していないため、ラインの確認は看護師と行うこと、トラブル発生時には看護師が対応することが必要である。職種による違いを認識して、チームで協力することが重要である。
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患者は脳梗塞で入院中の80歳代女性で、4日後に退院予定であり、院内歩行フリーであった。主治医が外来で家族に説明を行う際、患者も希望したため家族と一緒に歩行で病棟を出発した。外来診察室に着いた際に患者が転倒し、左膝及び左手掌に発赤を認めた。すぐに主治医が診察し、経過観察を指示した。家族によると家族の歩き方が速く、患者がついていけなかったとのことであった。翌日、右手首から手背にかけて腫脹・疼痛があり、整形外科を受診してX線撮影を行い、右橈骨遠位端骨折と診断された。事例発生後、リハビリテーション担当者より「2~3日前より右足の背屈が弱かった」との情報があったが、看護師側に伝わっていなかった。骨折部位はシーネ固定をして保存的加療となった。
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・1ヶ月前に脳梗塞で入院した際、右上肢の症状はあったが下肢は異常なく歩行が可能であった。・転倒当日のリハビリテーションでも、前日と比較して右下肢の動きの鈍さがあったが、情報提供や記録はなかった。・リハビリテーション担当者は脳外科カンファレンスで情報を共有する予定であった。・転倒後、脳梗塞後遺症を疑い頭部CT検査を実施したが異常はなかった。・「院内歩行フリー」の捉え方に問題があった。フリーであっても高齢の脳梗塞患者であれば、リハビリテーション部門や看護師間で歩行能力を見極めて、安全に一人で歩ける範囲を判断する必要があった。・家族が外来に向かった際、時間が遅れていたこともあり、急いだ可能性がある。・中央廊下は長いが手すりがない。
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・日々のリハビリテーションでの変化や気付きは必ず実施記録に記載し、病棟スタッフへ情報提供及び共有を行う。・「院内歩行フリー」でも、その患者の歩行能力を全体像から見極め、必要と思われる援助は計画に立案していく。・患者の歩調に合わせて歩行するよう家族に指導する。・中央廊下への手すり設置の検討を提案する。
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医療事故情報
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・カンファレンスでの情報共有は有用であるが、タイムリーに行うことは難しいこともある。・リハビリテーション担当者も看護師も、患者の状態について共有が必要なことは記録し、互いに記録を読んで確認することが重要である。・「院内歩行フリー」の指示はしばしば見られるが、移動の制限は不要でも患者の歩行能力としては難しい場合もある。患者のADLを評価して、安全に移動できる範囲や車椅子の使用について検討することも必要ではないだろうか。
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患者は80歳代の女性で神経変性疾患で入院していた。3時に患者の病室前を通り、ベッドサイドに右側臥位で倒れている患者を発見した。患者に状況を確認すると、「トイレに行こうとして倒れた」と話した。右股関節から大腿部にかけての疼痛と軽度の発赤を認めた。直ちに当直医に報告し、経過観察と日勤帯にX線撮影の指示を受けた。その後、X線・CT撮影を行い、右大腿骨転子部骨折と診断され、手術のため他の医療機関に転院した。
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・入院時は車椅子でトイレまで介助走行し見守りを行っていたが、数日前に杖歩行している姿を見ていた看護師もおり、ADLの状況が変化している情報を共有できていなかった。・リハビリテーションによるADLの変化について、リハビリテーションスタッフとの連携が図れていなかった。・転倒・転落の危険度が高い患者に関して病棟スタッフの情報共有が不足していた。
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・患者の身体的障害の程度やADLの状況に応じてベッドの位置を決める。・ベッドの片側を壁付けにし、センサーマットを設置した。・ナースコール表示板にマーク(転倒注意、離床センサー使用)を表示した。・定期的にリハビリテーションスタッフと患者のADLの状況についてカンファレンスで情報共有し、病棟での介助方法について検討する。また、その内容について看護計画に反映させる。
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医療事故情報
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・看護師は患者の転倒・転落のリスクを評価しているはずであり、まずアセスメントをした上で病棟スタッフやリハビリテーション部門と情報を共有することが基本である。・転倒・転落のリスクの評価は、入院時や状態変化時など、ポイントを決めて行うことが重要である。・患者のADLが拡大した時は転倒・転落のリスクが高まるため、リハビリテーション部門と看護師で一緒に評価をするとよいだろう。
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患者は術後よりせん妄症状があり、離床センサーを起き上がり1秒に設定して使用していた。ルート類を触るなどの危険行動があった際はミトンや抑制帯も使用していた。看護師は、午後にリハビリテーション室でリハビリテーションを行うと聞いていたが、時間は知らされていなかった。16時30分に物音がして訪室すると、患者がベッド柵を持ちながらベッドの右側に転落しているのを発見した。離床センサーがオンになっておらず、アラームは鳴らなかった。帰室時、リハビリテーションスタッフが病棟スタッフに声をかけたかは不明だが、担当看護師は患者が帰室したことを知らなかった。担当医に報告し、スタッフ数人と医師でベッドへ戻した。患者へどこをぶつけたか尋ねると、左肘と話した。ベッドから動きたかったために、立ち上がったとのことであった。血圧測定後、担当医からは経過観察の指示があった。
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・帰室時にリハビリテーションスタッフから担当看護師への声掛けがなかった。・帰室後、離床センサーがオフのままになっていた。・病棟スタッフ全体で注意ができていなかった。・リハビリテーションで歩行訓練などを行い、徐々に活動範囲が広がり始めたところだった。
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・リハビリテーション終了後にベッドへ戻った際は担当看護師へ声を掛けるようリハビリテーションスタッフに説明し、連携できるようにする。・担当看護師以外のスタッフも患者の帰室後は注意してもらうよう、注意喚起する。・リハビリテーションを開始した時期は転倒・転落の危険が高まるため、意識して観察する。
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ヒヤリ・ハット事例
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・看護師がリハビリテーション担当者に終了時の声掛けを依頼する際は、なぜ声掛けが必要なのかを伝えると、声掛けの重要性や伝える内容が理解しやすい。・リハビリテーション担当者は、看護師に終了予定時間をあらかじめ伝えておくとよいだろう。・離床センサーがオフになっていたようだが、どのような時にオフにするのかルールを決めておくとよいのではないか。
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末期腎不全にて他施設で透析導入予定で待機していた患者が、新型コロナウイルス感染症疑いのため当院に転院搬送された。前医でPCR検査を提出しており、翌日結果が報告される予定であった。翌日、透析施行の予定であったため、隔離対応の病室で、3年目の医師が上級医の監督下でエコーガイド下に右内頚静脈よりバスキュラーアクセスカテーテルを挿入した。エコーで動脈と静脈の重なりなどはなく、ガイドワイヤー挿入時も明らかな抵抗はなかった。挿入後に胸部X線撮影を行い、上級医と確認を行った。カテーテルの先端がやや正中寄りにあったが、バイタルサインの異常を認めないこと、隔離中であったことから追加の検査は実施しなかった。翌日の胸部X線検査の所見は、前日と変化はなかった。バスキュラーアクセスカテーテルより採取した血液で血液ガス分圧を測定したところ、動脈血の混入を疑う所見であった。前医で提出したPCR検査の結果が陰性と連絡があり、造影CT検査を施行したところ、カテーテルの動脈内への迷入を認めた。心臓血管外科へ依頼し、手術の方針となった。
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・新型コロナウイルス感染症疑いで隔離中であった。個人用防護具(PPE)やビニール越しにエコー画像を確認しながら手技を行う必要があり、通常とは異なる状況下であった。・患者の血管が虚脱しており、手技が困難であった。・術者は、経験3年目で中心静脈カテーテル挿入の手技は問題なく実施できていたため、上級医の確認が不足していた可能性がある。・胸部X線検査では、カテーテルが正中寄りで迷入している可能性があったが、新型コロナウイルス感染症疑いで隔離中であったこと、他の業務が滞っていたことから、精査を先送りした。
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・カテーテル挿入後の画像検査で疑念がある場合は、速やかに精査を行う。・ガイドワイヤー挿入時、違和感が無いか慎重に確認する。・新型コロナウイルス感染症疑いの場合の対応は、時間や人手を要するためなるべく余裕を持って手技に当たる。・今回の事例では、翌日に透析を予定していたため急いだが、PCR検査の結果確認後に実施する。
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個人用防護具(PPE)の着用等の感染防止策
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陰圧装置のある隔離スペース(クリーンブース)において、医師は90歳代の肺炎の患者に、PCR検査の検体採取のため横を向くように説明した。患者は、椅子から立ち、透明のビニールカーテンを壁だと思い手を付き、転倒した。医師2名は、隔離スペースの前(汚染区域)で個人用防護具(PPE)の着用の準備中であり、看護師は、清潔区域で検体受け取りの準備中であった。患者は右大腿部に痛みがあり、起立困難であったため、医師、看護師が車椅子へ移乗した。
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・高齢の患者であるが、意識清明、ADL自立、認知機能に問題はないと判断し、検体採取準備のために医師と看護師は患者から目を離した。・医師は、個人用防護具(PPE)を着用中ですぐに患者に手が届く距離にいなかったが、その状況下で横を向くように患者に指示した。・休日のため、発熱外来の看護師は1人で対応しており、PCR検査の検体採取時、患者の側の不潔区域に看護師を配置できなかった。・クリーンブースの製造販売会社へ問い合わせたが、他施設での患者転倒事例の報告はないと回答があった。
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・クリーンブースに患者を移動する前に、個人用防護具(PPE)の着用など全ての準備を整える。・クリーンブースでは、転倒のリスクを念頭に置き、患者から目を離さない。・クリーンブースでの検体採取時は、患者の側に介助する看護師を配置する。・検体採取を安全にできる方法を感染対策委員会・安全管理室で検討し、検体採取は横向きで行うため、初めから患者に横を向いて着席してもらう方法に統一した。
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個人用防護具(PPE)の着用等の感染防止策
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経産婦の妊娠31週の女性は、妊娠高血圧症候群、一絨毛膜二羊膜双胎、高度子宮内胎児発育不全、羊水過少、高度肥満(BMI44)で、他院にて腎機能の悪化を認めたため、当院へ15時に搬送された。22時、胎児心拍数陣痛図(CTG)で2児ともに変化があったため、胎児心拍数の連続監視を開始した。翌日4時23分、児Xの胎児心拍数波形分類レベルは3~4(変動性正常、反復する中等度一過性徐脈)を示すが回復した。医師Aは医師Bへ報告し、帝王切開術の準備を指示した。6時40分、オンコール医師Cと相談し、緊急帝王切開術を決定した。適応は胎児機能不全、緊急度は30分以内に手術室入室であった。前日に転院搬送され、新型コロナウイルス感染症の可能性があり、麻酔科、感染症科と協議の上で胸部CT撮影を実施し、放射線科による読影を待った。読影結果を確認後、8時10分に病棟を出棟し、手術室に入室した。9時10分、脂肪などの軟部組織の影響で腰椎麻酔が困難なため、全身麻酔に切り替えた。9時36分に全身麻酔下で帝王切開術を開始し、その後、2児を娩出した。児Xはアプガースコア0/0であり、小児科医が児Xの蘇生処置を開始した。
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【患者要因】・患者は高度肥満であり、全身麻酔による合併症発生リスクが高い状態であり、当初は腰椎麻酔が選択された。・児Xの状態は搬送時より悪く、出生後のデータから代謝性アシドーシスが疑われ、児Xの救命は当初から困難であった可能性がある。【医療従事者要因】・腰椎麻酔は学会の提唱に沿って選択された。・当院産婦人科において、新型コロナウイルス感染症対応の患者の手術を行う1例目であった。・各スタッフの対応に時間がかかり、手術室入室まで90分を要した。【チーム要因】・患者が高度肥満であり、新型コロナウイルス感染症の対応が必要という状況から、帝王切開術の決定を早い段階で行うべきであった。・麻酔導入に時間を要している時に麻酔方法の変更を提案できる仕組みがなかった。【組織要因】・緊急帝王切開術のプロトコルは手術室入室後、手術開始までの目標時間が決められていなかった。・プロトコルの目標時間を超過した場合の対応が決められていなかった。・緊急帝王切開時に使用する麻薬の取り寄せに時間がかかった。【環境要因】・産婦人科医は帝王切開術の実施が決定してから複数の部署に連絡を行う必要があり、時間がかかった。
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【医療従事者要因】・新型コロナウイルス感染症の手術対応は日々更新されており、内容を確認・周知する。【チーム要因】・多職種間での緊急度や懸念事項を伝える方法を明確にする。・手術を行うことを決定した後にプロトコル通りに進まない場合、多職種で検討を行う場を設けることを関連診療科で検討する。【組織要因】・緊急帝王切開術のプロトコルに、手術室入室までの時間に加えて、手術開始までの目標時間を関連診療科で設定し、運用する。・緊急時の麻薬の取り寄せは、関連診療科と手術部、薬剤部で管理方法の変更も含めて検討する。【環境要因】・産婦人科、麻酔科、小児科が相互に一括連絡できるシステムを活用し、部署間の連絡時間の短縮効果を検証し、導入できるか検討する。
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感染者に対応するための手術室・検査室の準備
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患児は、出生時に気管切開を施行されて気管切開チューブを挿入されていた。感冒症状が持続しており、喀痰の増加と酸素化不良のため当院を受診、新型コロナウイルスの感染を否定できず専用病棟に入院となった。入院後は酸素1L/分投与で安定していたが喀痰量は多く、翌日未明に酸素化が急激に悪化した。新型コロナウイルス感染症疑いのため個人用防護具(PPE)着用後に対応を開始した際、モニターで心静止の状態であり心肺蘇生を開始した。途中で気管切開チューブが抜けていることに気付き、再留置した。その後、気管切開チューブと蘇生バッグを直接接続するところ、マスク部分を気管切開チューブに当てる形で換気を継続した。胸郭の動きが確認でき、換気は出来ていると判断して換気を継続したが、自己心拍は再開しなかった。
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・個人用防護具(PPE)の着用に時間がかかり、またフェイスガード着用により視界が限定された。・医師・看護師ともに小児の対応に不慣れであり、蘇生バッグと気管切開チューブが接続できないと思い込んだ。・小児用の物品は普段使用しないため取り扱いに不慣れであった。また物品の不足もあった。
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・医師と看護師が連携し、小児に対して急変対応ができる体制を整えた。・新型コロナウイルス感染症対応病棟に小児用救急物品を揃えた。
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専用病棟等での慣れない治療・看護
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80歳代の患者は、新型コロナウイルス感染症による肺炎、夏型過敏性肺臓炎で入院加療中であった。呼吸状態が改善し、気管切開チューブを抜去し、転院を控えていた。長期にわたり新型コロナウイルス感染症の専用病棟で加療したためか、呼吸不全に対する不安感が強く、眠前になると軽度の呼吸困難を訴えていた。入院36日目の朝のカンファレンスで抗不安薬(エチゾラム)を眠前に投与することが決まった。その際、デパス細粒1%(10mg/g)を0.3mgとするところ、0.3gと入力したため、成分量として3mgを22時に投与した。23時30分に唾液を誤嚥し、酸素化が悪化したため、緊急で気管切開チューブを再挿入し、人工呼吸管理となった。入院37日目の昼に覚醒し、喀痰排出も可能となり、酸素化が改善し、入院38日目に人工呼吸器から離脱した。
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・診療スタッフは専門領域以外の診療をしなければならず、投薬方法も不慣れなことが多い環境であった。・新型コロナウイルス感染症の専用病棟において、個人用防護具(PPE)を装着しながらの診療であり、身体的・心理的負担が大きい労働環境であった。・散剤は、成分量と製剤量の2つの表現ができ、過量・過少投与になりがちである。今回の投与量は、通常の成人の最大投与範囲内であった。・処方時にアラートが表示されたが気付かなかった。・翌日昼頃、カルテで処方内容を確認した担当薬剤師が過量投与(予定の10倍量)であり、高齢者の投与量の上限を超えていたことに気付いた。
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・カンファレンスで具体的な投与量を共有する。・今回の投与量は高齢者には過量であり、年齢を加味した電子カルテ上のアラート表示ができるか検討する。・デパス細粒の薬瓶に、高齢者の上限量を記載したシールを貼付し注意喚起を行う。・調剤時、原薬量を計算し用法・用量が年齢に対して適切であることを確認する。・処方オーダ時のデパス細粒の投与量入力に関して、マスタ上の制限を再検討する。
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専用病棟等での慣れない治療・看護
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患者は新型コロナウイルス感染症の疑いのため個室隔離中であった。7時半頃にナースコールがあり、患者より「息が苦しい」と訴えがあった。看護師は個人用防護具(PPE)を装着して入室し、患者の状態を確認しバイタルサインを測定しようとしたところ、VT波形が出現した。患者は意識消失や胸痛の訴えはなく、医師の指示で酸素投与量を経鼻カニューレ3L/分からリザーバーマスク9L/分に変更し、SpOは90%台へ上昇2した。30分後、医師が心エコーを実施したところ、右室内に大量の空気を確認した。CVルートを確認すると、点滴ルートがシュアプラグごと外れていた。循環器内科にコンサルトを実施した。その後、空気塞栓に起因する脳梗塞の神経学的症状の出現なく経過した。
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・CVカテーテル挿入時、CVカテーテルと点滴ルートの接続が不十分であった可能性がある。・CVルートの患者側から輸液までの接続部に緩みがないか、確認が不十分であった。・患者対応をする医師・看護師は、普段なら接続部の緩みを見逃さないが、感染してしまうかもしれないという恐怖と早く部屋から退室したい気持ちがあり、今回は見逃してしまった可能性があった。
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・CVルートの各接続部に緩みがないか確認する。・訪室した際に、接続部に緩みがないか確認する。・長時間入室できない環境下にある場合には、患者に必要な観察項目等をリスト化し短時間で観察や確認が行えるよう環境を整える。
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チューブ等:CVルートの接続の緩みによる空気塞栓症
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新型コロナウイルス感染症の患者はECMO管理中であった。前日の19時、人工肺機能低下のため、人工肺・遠心ポンプを含むセット一式の回路交換を医師1名、臨床工学技士2名、看護師1名で行った。ECMOを停止し、約1分で送血回路、脱血回路の交換を行い再開した。その後、処置が終了し覆布を外そうとした際に、送血カニューレが脱落した。医師が「送血カニューレが抜けた」と声を上げ、すぐに臨床工学技士がECMOを停止した。その際、約300mLの血液が飛散した。医師は回路を保持しながら、カニューレが抜けた部位を押さえた。臨床工学技士が新しいカニューレと挿入キットを準備し、医師はカニューレを挿入して回路に接続しECMOを再開した。その間、患者の心拍数は180~200回台/分へ上昇したが、徐々に改善した。その後、ABP60~70mmHgまで低下し、イノバンシリンジの投与を開始した。また、Hbは前日の11.0g/dLから8.7g/dLに低下し、連日3日間、RBC4単位を輸血した。
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・ECMO導入時のカテーテルの固定が不十分であった。・回路交換時、回路の固定が出来ていなかった。・初めて使用する回路であった。・回路交換がスムーズに行えたため、油断した。
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・回路交換時は回路を布鉗子などを使用して固定する。・回路交換時は人数を増やし役割を分担してから実施する。・ECMOに関する手順書を整備する。
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チューブ等:ECMO回路交換時の送血カニューレの偶発的な抜去
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看護師2名は、新型コロナウイルス感染症疑いで入室する予定の患者Aの部屋の準備をしていた。病室は陰圧室で、前日まで新型コロナウイルス感染症疑いの患者Bが使用しており、消毒・清掃が終わった状態であった。室内には一部組み立てられた人工呼吸器の回路が透明な袋に入った状態で置かれていた。この回路は前日まで入室していた患者Bに使用したものであり、新型コロナウイルス感染症の検査結果次第で片付け方法を検討する予定であった。その状況を知らない看護師2名は、患者Aのために準備された回路だと思い込み、確認せずに組み立て、患者Aに使用した。翌日、日勤看護師が、人工鼻に記載された日付が患者Aの入室前であることに気付き、患者Bに使用した回路を約17時間使用した可能性があることが分かった。麻酔科医師に報告し、回路交換を行った。その後、患者BはPCR検査の結果が陰性であったと報告を受けた。
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・使用済み回路の廃棄方法を部屋に表示しておらず、情報共有できていなかった。・清掃後の部屋の点検ができていなかった。・通常、回路が袋に入った状態で置かれていることはないが、誰かが入室準備のためにセッティングしたものだと思い込み、確認せずに使用した。・患者Aに装着していた人工鼻の日付が入室の前日であることに気付かなかった。
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・患者に使用した物品や封を開けた単回使用の医療機器は保管することなく直ちに廃棄する。・患者退室後の部屋に物品が残っていないかを最終確認し、清掃員の掃除終了時の捺印後、看護師が部屋の確認を行う。・特殊な片付けを行うときは室内に表示する。・不潔・清潔の区別を徹底する。
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その他
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患者は糖尿病により維持透析しており、新型コロナウイルス感染症にて緊急搬送となった。気管挿管後、人工呼吸管理を行い、血圧維持のためにカテコラミンを投与していた。入院10日目、殿部の皮膚にびらんがあり、医師の指示により軟膏の塗布を開始した。泥状便が頻回にあり、12日目に軟膏を変更していたが、18日目には表皮剥離を認めた。21日目、スキントラブルの評価日のため仙骨部の表皮剥離部を観察したところ、創部は皮下組織に至っており、褥瘡と判断した。大きさ9.0cm×5.0cm、壊死組織なし、出血・浸出液はなく、臨床スキンケア看護師へ相談し、ステージⅢの褥瘡と判断された。サトウザルベ軟膏とCMCワセリン軟膏に変更して塗布し、経過観察となった。
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・表皮剥離として評価されていたが、以前より褥瘡へ移行していた可能性があった。・体位変換は2時間に1回、状態によってはスライディンググローブを使用して除圧を行っていたが、殿部にずれが起こっていた可能性があり、ずれを予防するケアが必要であった。・評価日を設定し、観察していたが、スキントラブルや褥瘡についての知識が不足しており、十分な観察や評価ができていなかった。・患者は体位変換により血圧低下を認め、有効な体位変換ができていなかった。
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・患者の状態に合わせたずれを予防するケアを実施する。・スキントラブルや褥瘡に関する教育をする。
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その他
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入院時、患者は抑うつへの苦痛感が強く、自責的で焦燥が目立った。自殺念慮を確認すると、苦痛の強さから「もう死んでしまいたい」という思いはあるが、うつは良くなると分かっていること、悲しむ人が多くいることを理由にあげて自殺の意図及び計画は明確に否定した。自ら入院を希望し、開放病棟での入院治療を開始した。何かをしなければという焦燥は強いが、気力低下、抑うつ気分も顕著であった。前月最終週には焦燥が減じたが、今後のことを考えると死にたい程しんどいという訴えがあった。自殺の意図及び計画は否定していた。気分転換に散歩をしたいと希望し、院内(敷地内)の単独外出を許可し、日に数回の散歩をするようになり、散髪に行くなど意欲の改善を認めた。一方で、抑うつ気分、悲観的思考の改善は不十分で、先のことを考えると死んでしまいたいと思うことがあることも語った。主治医チーム、病棟医長を含め複数名で患者の自殺念慮、および処遇と治療方針について協議した。死んでしまいたいという思考はあるものの、自殺の意図及び計画は変わらず否定されており、閉鎖病棟への移動が絶望感を強める可能性もあることから、処遇の変更はせず治療継続とした。事故発生当日は、午後、普段通り散歩に出かけ、看護師と主治医に行ってきます、と声をかけていた。その後、いつもの散歩コースで縊頚したところを発見された。
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・うつ病の症状としての自殺念慮が強まったことによる自殺企図と考える。・自殺リスクを評価した上で、開放的処遇で治療継続していたが、結果として自殺企図が生じた。・患者の自殺リスクの評価は行っていたが、準備性・計画性が高まって自殺企図に至る程切迫しているという認識はできていなかった。・新型コロナウイルスの感染予防のために家族の面会を原則禁止しており、患者と家族のやり取りからのみ得られる臨床情報が得られにくいことは、精神症状を評価する上で大きな課題となっている。
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・自殺念慮は極めて頻度の高いうつ病の症状の一つだが、実際に自殺に至る例は一部である。死んでしまいたいという自殺念慮があっても、本人が自殺の意図や具体的な計画を明確に否定する状況において、閉鎖病棟での行動の制限へ安易に移行すべきではない。・今回の事例をもとに検討した予見困難例の自殺防止として、開放病棟でも外出先の記載等を求め、声掛けや見守りの接点を増やす、自殺ハイリスク者について少なくとも週1回は医師と看護師で評価を共有する機会を設ける、という方策の導入を予定している。・自殺リスクのある患者については、電話などを通した家族やキーパーソンとのコミュニケーションをいつも以上に心がけたい。
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面会・付き添い制限:自殺企図
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患者は、退院するために会計に行く際、階段でつまずき階段下まで転落したところを発見された。患者は、つまずいて階段下まで転落したことは記憶にあり、意識を失うことはなかった。右側頭部と右口角と口腔内から出血があり、右腰部から大腿部の痛みを強く訴えた。腸骨骨折と分かり、保存的加療の方針となった。
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・患者自身が会計に行き、つまずき階段から転落をした。・新型コロナウイルス感染症対応のため面会を制限していることから、家族が面会できない状況で単独での移動となった。
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・階段ではなく、エレベーターを使用するように説明する。・事務部と連携し、入院会計を病棟で行えるように調整している。
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面会・付き添い制限:転倒・転落
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患者は、普段はA号館から入り泌尿器科外来を受診していた。現在、新型コロナウイルス感染症対応で発熱トリアージ中であり、B号館でトリアージ後にエスカレーターで2階へ上がり受付後にA号館へ移動する経路になっていた。泌尿器科外来はA号館の1階であり、患者は階段で1階へ降りる際に足を踏み外して転落した。眼科外来の看護師が音に気付き駆け付け、1階で倒れている患者を発見した。ストレッチャーで泌尿器科外来へ搬送し、診察後にCT検査を行った。左後頭部・側頭部に急性硬膜下血腫があり、経過観察のため緊急入院となった。
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・普段はA号館から入り、そのまま1階にある泌尿器科外来へ進むことができた。・患者は、2階を経由して受診するのは今回が初めてであった。・説明する案内人が階段付近に配置されておらず、患者に階段の奥にあるエレベーターを使用する説明ができなかった。
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・患者にエレベーターを使用するように説明を行うため階段付近に案内人を配置した。・新型コロナウイルス感染症の終息後は、発熱トリアージを中止し通常の経路に戻す。
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院内の環境の変更:患者の転倒・転落
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消化器内科の医師は、前日に新型コロナウイルス感染症疑いの患者と接触したことが分かり、外来診療をリモート(患者と対面せずに別室での電話診療)で行うことになった。医師は、これまで当該患者の処方箋をプレドニン錠のみの処方箋と、プレドニン錠以外の6種類の薬剤の処方箋の2枚に分けて処方していた。通常、2枚に分けていた処方をそれぞれ継続するが、医師はプレドニン錠の処方の継続を失念した。医師は診療アシスタントを介して、別室にいる患者へ院外処方箋を渡した。その後、患者は保険薬局へ行った。保険薬局の薬剤師は、前回の薬歴を確認し、プレドニン錠(15mg/日)が処方されていないことに気付いた。患者に前回との相違について確認したが、患者はそのままでよいと回答したため、薬剤師は疑義照会することなく調剤して交付した。3日後、頭痛と全身倦怠感が出現し、5日後の日中より嘔気が出現したため、患者は内科外来の相談窓口へ電話相談した。対応した外来看護師は、患者の電子カルテを確認し、プレドニン錠が継続処方されていないことに気付いた。看護師は患者のステロイド離脱症状を疑い、消化器内科の医師へ連絡したところ、救急外来を受診するよう指示があった。患者は救急外来を受診し、副腎機能低下のため緊急入院となった。
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・消化器内科の医師は、プレドニン錠の用量を調整する必要があるため、処方箋を分けていた。・プレドニン錠(15mg/日)を中断することのリスクについて、患者教育が不十分であった。・患者はステロイド継続によるムーンフェイスを気にしており、薬剤師からプレドニン錠が処方されていないことを確認された際に、言いづらかった。・保険薬局の薬剤師は患者とのやり取りのみで、医師へ疑義照会を行わなかった。・院外処方箋に不備がないか、医師・薬剤師・看護師が院内で事前に確認する方法がなかった。
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・プレドニン錠のみを別の処方箋にする方法をやめ、全ての薬剤を1枚の処方箋にまとめて処方することで処方忘れを防ぐ。・他診療科で既に運用しているステロイドに関する患者指導用パンフレットを活用し、患者教育を行う。・薬剤部から地域の保険薬局と薬剤師会に対し、本事例の情報を共有し、再発防止のために疑義照会の徹底を依頼する。・院外処方箋の内容を院内で事前に確認することが可能か否か、薬剤部・診療情報管理室・看護部で検討する。
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ルール・手順変更:リモート診察時の処方の確認漏れ
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幼児の皮膚科レーザー外来の処置前診察に看護師が同席していた。看護師は、医師の診察後に術前軟膏処置を施行する際、軟膏塗布時に父親にレーザー処置の部位を確認し、同意を得た。軟膏除去の処置も父親同席のもとで行った。その後、父親が退室後に医師がレーザー処置を施行した。処置後、父親より、施術部位が異なり、本当は軟膏を塗布しなかった部位に照射したかったと言われた。
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・医療者側、患者側双方の思い込みによる食い違いがあり、医療者側はレーザーについて説明を行っているつもりであったが、患者側はその他の疾患について説明を受けているつもりであった。・レーザー処置は4回目、術前軟膏処置は2回目であったが、来院した父親は今回が初回の付き添いであり、担当医も初回の診察であった。・軟膏塗布時、除去時にレーザー照射部位の確認を行ったつもりだったが、父親が理解していなかった可能性がある。・レーザー処置時は、家族は同席できないため、照射部位の最終確認ができなかった。・新型コロナウイルス感染症の対策に伴い、レーザー治療時のプロトコルが変更され、以前のプロトコルにあった「家族による照射時の確認」が削除されたことが影響した可能性がある。
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・治療手順の変更について理解する。・非常勤スタッフに対して、手順に関する情報を繰り返し伝達する。
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ルール・手順変更:レーザー処置時の部位間違い
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患者は、食道癌による気道狭窄の疑いがあり、外来で上部消化管内視鏡検査を施行した。検査後に気道狭窄音が聴取されるようになったため、気道狭窄の進行による呼吸障害出現の可能性を考慮し、緊急入院となった。18時頃、病室で医師が診察した際には気道狭窄音は聴取されなかった。その後も呼吸障害出現のリスクは続くため、耳鼻咽喉科医師と協議した結果、入院を継続し、週明けには可及的速やかに気管切開を実施する方針とした。患者から呼吸困難感の訴えがあったため、看護師Aは酸素の投与を開始した。19時頃に空腹感の訴えがあり食事を許可した。21時40分頃に再度呼吸困難感の訴えがあったため、看護師Bが酸素投与量を増量した。22時10分過ぎに、痰を出しにくい、体が熱いとの訴えがあった。看護師Bが吸引の準備をしていたところ、SpO低下のアラームが鳴った。看護2師Cと看護師Dが病室に入ると、患者が倒れており、患者に声をかけたが返答がなく、バイタルサインの測定や吸引の準備を進めた。その間、患者の意識の回復はなかった。その後、看護師Eが外科当直医に電話連絡を行った後、院内緊急コールを発報しようとしたができず、看護師Bが発報した。CPRが開始され、心拍および自発呼吸は回復し、ICUへ転棟した。
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・入院後に患者が訴えていた呼吸困難感に対して、入院に至る経緯を踏まえたアセスメントが適切に行えていなかった。・倒れている患者を発見した時点で、速やかにBLSを開始するべきであった。・患者は、本来であればハイケア病棟への入室を検討すべき病態であったが、新型コロナウイルス感染症対応によりベッド数に制限があったため、一般病棟で管理せざるを得なかった。・新型コロナウイルス感染症対応のため急遽編成された病棟であり、スタッフの連携が不十分であった可能性がある。
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・急変時のBLSの実施と院内緊急コールの発報に関して、より実践的な教育を行う。
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病棟再編によるスタッフの連携不足:急変時の対応の遅れ
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脳神経内科の診察が終了し、家族が会計をしている間に、患者は自家用車が止めてある院内駐車場へ向かい、転倒した。通行人が職員に「人が倒れて血を流している」と伝えた。患者は、右側臥位で顔面から流血していた。総合案内にコードブルーを要請し、外来へ連絡した。その後、医師が創部洗浄後、右前額部と右下眼瞼部を縫合した。また、右頬部・鼻下・両手背の擦過創部を洗浄後、ガーゼで保護した。頭部CT検査で、右前頭部に皮下血腫を認めた。
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・患者は以前から突進歩行する傾向にあり、転倒歴があった。・患者は普段は家族と一緒に移動するが、新型コロナウイルス感染症の影響を恐れて、一人で自家用車に向かった。
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・歩行が不安定な患者が一人で歩行している状況を見かけた際は、付き添い者はいないか声を掛け、付き添い者がいない場合は、車椅子使用の提案を行う。・総合案内の職員には、正面玄関側が見える位置に立って案内業務を行い、患者への声掛けや、外来看護師への介助依頼の連絡をするように要請する。・歩行が不安定な方への注意喚起のポスターを掲示する。1)敷地内で転倒事故が起きている。2)家族同伴で来院している場合の付き添い。3)車椅子の使用のお願い。
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ルール・手順の導入や変更に関連しない事例
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患者は整形外科を受診後、会計を済ませ2階のカフェに付き添いの家族と一緒に行くことにした。エスカレーターに乗る際、家族が先に乗り、その後をついて乗った。普段はエスカレーターの手すりに掴まるが、新型コロナウイルスの感染が怖く、手すりを持たずに杖をついて乗った。バランスを崩し5段目から後方に倒れるように転落した。
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・患者は80歳代と高齢で、3年前に人工膝関節置換術を行い、杖歩行をしていた。・人工膝関節置換術後の経過は良好であったが、高齢ということもあり下肢の筋力低下があった。・新型コロナウイルス感染症の流行中であり、患者は手すりを掴みたくないという気持ちから掴まらなかった。・家族への説明が不足していた。
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・以前より、「お子様、ベビーカー・車椅子・杖・押し車使用の方、高齢の方はエレベーターをご使用ください」というアナウンスを流していた。・エスカレーターの上り口、降り口、中央には転倒・転落注意の大きなポスターを掲示していた。・上記以外に、エスカレーターの上り口、降り口手前に、転倒・転落注意のポスターを掲示したスタンドを設置した。・以前から、正面玄関配置のコンシェルジュや看護師は、エスカレーターを使用せずにエレベーターを使用するよう声掛けを実施していたが、再度周知した。
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ルール・手順の導入や変更に関連しない事例
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患児は1時間に2~4回の吸引を行っていた。患児のSpOが85%へ低下2したため、閉鎖式気管吸引カテーテル(トラックケアー)を用いて、気管内吸引を実施した。実施後、吸引カテーテルの内腔を洗浄するため、トラックケアーのコントロールバルブを押しながら洗浄用の生理食塩液を注入した際、吸引圧がかからず、気管内へ流れ込み、SpOの低下と高度徐脈をきたした。2周囲の看護師が応援に加わり、すぐに用手的人工換気を行い、胸骨圧迫を開始した。ライナーを交換して吸引を行い、分泌物を多量に吸引し、SpOは2100%、脈拍は100回/分となった。
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・患児は1時間に2~4回の吸引を必要とするほど、気管内分泌物が多かった。・患児は挿管困難で、気管切開もできない状況であったため、体格に比べて細くて短い気管チューブが挿入されており、チューブがつまりやすい状況であった。・ライナーの容量は1200mLで、看護師は800mLまで排液が溜まっていたことは記憶しているが、急変時は、確認するとすでに満杯になっていた。・始業前・終業時のライナーの排液量の確認や、排液量がどれくらいになったら廃棄するかなどのルールは決められていなかった。・ライナーをセットする吸引器の外側に模様がついており、一目見ただけでは排液量がわかりにくかった。・ライナーの添付文書には「ライナー内の汚物がキャニスターのFULLの目盛になる前に吸引を中止すること」と記載されていた。
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・吸引前にライナーの排液量、接続の確認を確実に行う。・吸引器、ライナーの説明書を職員全員がもう一度読み直し、病棟内のルールとしてライナーの排液量が800mLになったら交換することとした。・吸引前に生理食塩液を流し、吸引圧の確認を行う。・人工呼吸器チェック表に吸引器の確認欄を作り、勤務開始時にライナーの交換が必要か確認することとした。
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使い捨て吸引容器(ライナー)の排液量が多いことにより吸引圧がかからず、閉鎖式気管吸引カテーテルを洗浄した生理食塩液が気管に流入した事例
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MRI検査室の定期清掃を5名の作業員と現場責任者1名で実施した。作業員AはMRI検査室のワックス作業を行った。その後、作業員Bがワックス乾燥を行うため、金属製の送風機をMRI検査室内へ持ち込んだ際、磁場の力により送風機はガントリー左下に引き寄せられ倒れた。室内にいた作業員Aと作業員Bで送風機を引き離そうとしたところ、ガントリー内に送風機が丸ごと引き込まれてしまった。作業員Aは、右第2・3指に切創を生じた。
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・定期清掃は休日に実施しており、画像診断科の診療放射線技師は他の業務を行っていたため、MRI検査室にはいなかった。・画像診断科は、事前に「MRI検査室入室マニュアル」を清掃業者に渡しており、作業員B以外の作業員は、各自で読んでいた。・作業員BはMRI検査室の清掃は今回が初めてであったが、入室時の注意事項の説明については、作業当日に現場責任者より口頭で受けるのみであった。・作業員Bは、送風機が金属製であること、MRI検査室に持ち込んではいけないことは分かっていたが、装置から離れていれば大丈夫だろうと考え、送風機を室内に持ち込んだ。・ガントリーに送風機が引き寄せられた後、作業員Aと作業員Bは、2人で引っ張ればガントリーから外れると思い送風機を動かそうとした。・現場責任者は他の清掃場所の確認のため、MRI検査室から離れる時間があり、その時間帯に事故が発生した。
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・MRI検査室の清掃は、清掃業者に委託せず、診療放射線技師が業務終了後に行う。・操作室、更衣室周辺の清掃は、清掃業者に委託するが、清掃時に作業員が検査室へ入室することを防ぐため、MRI検査室のドアは施錠しておき、ドアに「清掃不要」と明記した札を掲げる。・他のスタッフが理解しやすいように、「MRI検査室入室マニュアル」を改訂する。
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MRI検査室に清掃用送風機を持ち込み、ガントリー内に引き込まれた事例
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看護師(1年目)が注射薬を準備する際、アスコルビン酸注500mgPB「日新」に封入されているインジケーター(酸素検知剤)の錠剤を薬剤と思い込み、乳鉢ですりつぶしていたところ、先輩看護師から指摘された。
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・看護師はアスコルビン酸注をミキシングしたことがなかったが、先輩に確認してもよいか分からず、そのまま準備を行った。・アスコルビン酸注500mgPB「日新」に添付されているインジケーターには「たべられません」と小さな文字で印字されていたが気付かなかった。・看護師は以前、経腸栄養管理中の患者に薬剤を注入する際、乳鉢で錠剤をすりつぶしたことがあったため、同様の扱いで良いと考えた。・注射薬は無菌操作が必要であることを忘れていた。・インジケーターが一般的な錠剤に類似していた。
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・注射薬を準備する際の無菌操作について再教育を行った。・薬剤に添付されている脱酸素剤やインジケーターを調査し、注意喚起の資料を作成し院内に情報を周知した。1)脱酸素剤等やインジケーターが添付されている理由、脱酸素剤が一緒に梱包されている薬剤名、脱酸素剤やインジケーターの注意喚起表示の内容などをまとめた。2)注意喚起の資料には、薬剤に添付されている脱酸素剤の目的、インジケーターの役割、脱酸素剤・インジケーターの注意喚起表示の内容、薬剤を外装から取り出す際に、脱酸素剤やインジケーターが添付されている場合に注意することを記載した。・すりつぶすなど薬剤の形状を変える行為は、薬効に影響することがあるので、経腸栄養時であっても病棟で乳鉢を使用してすりつぶす行為を行わないように乳鉢をすべて引き上げ、再周知した。・アスコルビン酸注500mgPB「日新」のメーカーにインシデント内容を説明し、インジケーターの表示等について改善を求めた。
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注射薬に添付されていたインジケーター(酸素検知剤)を誤って投与しようとした事例
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看護師は、肝硬変で入院中の患者に、昼食後の内服薬を渡した。その後、患者は咽頭違和感を訴え、PTPシートから取り出さずに飲み込んでしまったと言った。薬剤が落ちていないかベッドの周囲や寝衣の中も探したが見つからず主治医へ報告した。CT検査を施行し、上部食道内にPTPシートを確認した。上部消化管内視鏡で摘出した。止血剤と抗生剤を投与し経過観察することになった。
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・患者は腰椎圧迫骨折があり、ADLが低下していたため、上肢や手指の動きが弱かった。・看護師が内服薬を管理している場合、PTPシートを一つずつ切り離して曜日ごとにセットしている。・担当看護師は患者が自分で服用できると思っていた。・看護師間で服用の介助方法を統一していなかった。・一回量に分包されていなかった。
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・患者のADLの情報を共有する。・分包に関して病棟薬剤師に相談する。
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看護師が薬剤を管理していた事例
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19時頃、夕食後の内服薬を渡した際に、患者から「もう少ししてから飲む」と言われたため、蓋付き容器にイーケプラ錠と酸化マグネシウム錠をPTPシートから取り出さずに入れた。看護師は「薬を飲んだら殻を置いておいてください」と患者に声をかけて部屋を出た。10分後に訪室した際、患者から「PTPシートのまま飲んだ。2錠とも飲んだが1つは吐き出した」と言われた。オーバーテーブルの上に酸化マグネシウム錠がPTPシートに入ったまま吐き出されていた。ベッド周囲やゴミ箱の中を探したが、イーケプラ錠の殻は見つからなかった。主治医に報告し、X線・CT撮影の結果、食道にPTPシートがあることを確認した。主治医は、PTPシートを取り出す必要があると判断して、消化器内科医師に相談した。20時30分頃、上部消化管内視鏡で、食道入口部にあるPTPシートを摘出した。内視鏡後、出血や痛みの訴えはなかった。
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・服用を介助する場合、薬剤をPTPシートから取り出して蓋付き容器に入れて患者に渡すことになっているが、PTPシートのまま容器に入れて渡した。・看護師は、患者は普通に会話ができるので、薬剤をPTPシートから取り出さなくても大丈夫と考えた。・看護師は過去にも、薬剤をPTPシートから取り出さずに患者に渡したことがあった。・看護師の危機意識が低く、患者にPTPシートから取り出さずに渡すことで、飲み込む可能性があるという予測ができていない。・当該部署では、当事者以外も蓋付き容器の取り扱いを手順通りに実施していないことがわかった。日頃から手順が守られていなかった。
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・手順に沿った服用の介助を行う。・服用を介助する場合、必ず薬剤をPTPシートから取り出して蓋付き容器に入れて渡す。・全ての看護師に対して、服用の介助の現状について調査した結果、3割の部署で手順が遵守できていないことがわかり、手順の周知を図った。・当該部署で、手順通りに服用の介助が実施されているか定期的に調査を行う。
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看護師が薬剤を管理していた事例
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患者はプレドニン錠5mgのPTPシートを1錠ずつ切り離して、薬剤を自己管理していた。看護師はナースコールがあり訪室すると、患者から「薬を包装シートごと飲んでしまった。首元がチクチク痛む。実は、前にも間違えて飲んだことがあった」と発言があり、担当医師へ報告した。X線撮影をしたところ、喉頭蓋より尾側に陰影を認め、消化器内科に診察を依頼した。CT検査を施行し、食道内にPTPシートを認めた。内視鏡で食道内にあるPTPシートを摘出した。
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・患者は薬剤を自己管理できており、PTPシートのまま誤飲すると思わなかった。・看護師は、患者が以前にもPTPシートを誤飲したことがあることを知らなかった。・退院当日であり、患者は荷物の整理に追われ、慌ててしまい通常とは異なる心理状態であった。
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・通常はどのように内服しているか、今までにPTPシートを誤飲したことがあるかを確認することで、隠れた危険性に注意を払う。・患者が時間に余裕を持って行動できるよう配慮していく。
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患者が薬剤を管理していた事例
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患者は糖尿病があり、朝食直前にミグリトールOD錠50mgとシュアポスト錠0.5mgを内服、ヒューマリンRの固定打ちの指示があった。血糖値は238mg/dLであり、朝食直前にヒューマリンR7単位の皮下注射を施行し、服用の確認のため再度訪室すると、患者から「薬がのどにつっかかっている。包装ごと飲んでしまったかもしれない」と発言があった。シュアポスト錠のPTPシートは発見できたが、ミグリトールOD錠のPTPシートは発見できなかった。主治医へ報告後バイタルサインを測定し、SpOや血圧に異2常がないことを確認し、絶飲絶食と内服薬の中止を患者に説明した。すでにヒューマリンRの皮下注射を施行しており、低血糖予防のため20%ブドウ糖液を投与、側管より5%ブドウ糖液500mLの投与を開始した。X線検査ではPTPシートを発見できず、上部消化管内視鏡検査を行ったところ、口から20cmのところでPTPシートを発見し摘出した。咽頭部に浅い裂傷を認めたが、出血等はなかった。
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・前日まで看護師が配薬していたが、患者は内服薬を間違えることもなく理解力は良好であった。・1日患者管理に変更したところであり、1回分の配薬から1日分の配薬へと薬剤の管理方法に変化があった。・患者の「次々に部屋に入ってくるから、慌てて薬を飲んでしまった」という発言から、朝食摂取の10分前に血糖降下薬を内服しようとしていたところに看護師や医師の訪室があり、患者が慌ててしまいPTPシートを誤飲した可能性がある。
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・看護師が薬剤を管理し、PTPシートから取り出して患者に渡す。・患者が慌てることがないように、落ち着いた環境を提供するよう配慮する。
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患者が薬剤を管理していた事例
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15時頃、看護師が空気が漏れている音に気付き訪室したところ、患者のSpOが80%程度まで低下してい2た。応援を呼び、応援に来た看護師が回路を確認して人工呼吸器の本体と回路の接続部の外れを発見し、すぐに接続した。SpOは一時50%台まで2低下したが、回路接続後1~2分程度で接続が外れる前の値まで戻った。主治医へ報告し、経過観察となった。
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・回路と気管切開チューブの接続部は外れやすいため手で触って確認していたが、その他の回路の接続部は目視のみで確認していた。・担当看護師は、他病棟から転入した患者の申し送りや呼吸困難を訴える他患者の対応をしており、人工呼吸器やセントラルモニタのアラームを認識していなかった。
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・1時間毎のラウンドの際、目視のみではなく、すべての接続部を手で触って確認する。・アラームが鳴っている場合には、声を掛け合い、迅速に対応する。
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人工呼吸器と呼吸回路の接続部が外れた事例
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患者は間質性肺炎の急性増悪で入院中、低酸素血症が進行したため、気管挿管され、人工呼吸器(酸素100%)を装着していた。深夜帯はSpO80%台で経過し、人工呼吸2器を確認した際、異常はなかった。8時45分、看護師Aが頭部と左腋窩のアイスノンを交換した。その後からSpOが徐々に70%台に低下し、2人工呼吸器の1回換気量低下とアプニアのアラームが鳴った。気管チューブから吸引を行ったが分泌物は引けず、口腔内・鼻腔内の吸引を行った。SpOが60%台に低下したため、2看護師Bに応援を要請した。8時48分、看護師Aと看護師Bで人工呼吸器のアラーム(1回換気量低下とアプニア)を確認し、回路を目視で確認したが接続外れに気付かなかった。HRは80回/分台、SpOは50%台に2低下した。看護師Cが訪室し、看護師3名で回路を確認したが接続外れは発見できなかった。8時52分、看護師Cが主治医へ電話で状況を報告した。9時03分、主治医と看護師Dが訪室し回路を確認した際、呼吸回路の吸気側と加温加湿器の接続部が外れているのを発見し、直ちに接続した。人工呼吸器のアラーム解析を行った結果、8時45分に回路の接続が外れていたことがわかった。
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・複数の看護師で回路を確認したが、接続外れを発見できなかった。・回路の接続が外れてから医師が外れた部位を発見するまでに20分を要しており、その間患者は低酸素状態となった。・人工呼吸器のアラームと対応方法に関する知識が不足していた。・人工呼吸器の回路の緩みや外れがないかを確認する際、目視のみで行っていた。
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・看護師に対して人工呼吸器のアラームとその対応方法に関する研修を実施し、知識の向上を図る。・人工呼吸器の点検を行う際は、直接回路を触って緩みがないか等を確認するよう指導する。・加温加湿器自体に回路の接続外れのアラーム機能がある機種に変更する。
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呼吸回路内の一部の接続が外れた事例:呼吸回路と加温加湿器の接続外れ
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15時35分、担当看護師Aは患者を右側臥位にして、Tピースを用いてネブライザーを呼吸回路に接続した。その後、接続部を目視のみで確認し、他の患者のケアのためその場を離れた。15時40分、ナースステーションにいた看護師Bは患者のモニタのアラームが鳴っていることに気付いた。セントラルモニタはHR30回/分を示していたため直ちに訪室すると、患者はチアノーゼを呈していた。看護師Bが人工呼吸器を確認すると、ネブライザーがカテーテルマウントから外れていた。看護師Bは応援を呼び、酸素15L/分で補助換気を行い、緊急コールを要請した。15時41分、SpO100%、HR90回/分台2となり、人工呼吸器を再装着した。
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・担当看護師Aは、ネブライザーを呼吸回路に接続後、目視のみで確認を行っていたことから接続の緩みに気付かず、接続が緩くなっており外れた可能性がある。・担当看護師Aは、自発呼吸のない人工呼吸器装着患者の回路の接続外れのリスクに対する理解が不足しており、吸入開始直後に患者のそばを離れていた。・始業・終業時のみ人工呼吸器チェックリストで確認しており、活用が不足していた。・生体情報モニタのアラームがナースコール等に連動して遠隔的に観察できるシステムがない状況において、チーム間で観察を担当する役割分担や連携することが不足しており、発見が遅れた。
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・呼吸回路を確認する際は、目視だけでなく、回路全体を手で触り接続状態を確認する。・呼吸回路の再装着の際は、患者の観察および人工呼吸器チェックリストを活用した作動状況の確認を徹底する。・人工呼吸器および生体情報モニタのアラームは常に最大音量の設定を継続する。・人工呼吸器や生体情報モニタのアラームに対する観察者および対応者の役割分担を明確にする。
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呼吸回路内の一部の接続が外れた事例:呼吸回路とネブライザーの接続外れ
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看護師Aはカフアシストで排痰補助を実施した後、閉鎖式吸引カテーテルと気管切開チューブの接続を確認せずに13時28分に退室した。13時35分、ページャーのアラームが鳴りSpO39%、HR46回/分であっ2たため、看護師Bが訪室すると閉鎖式吸引カテーテルと気管切開チューブの接続部が外れていた。トラキガードは固定されていない状態で、患者は全身にチアノーゼを呈していた。すぐにアンビューバッグで換気し、13時37分にはSpO90%台に上昇を認2め、13時40分にはHR100回/分まで上昇し、当直医に報告した。
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・看護師Aは、呼吸回路の接続の確認やトラキガードの固定をせず退室した。・2チーム制で対応しており、自チームの患者のアラームが表示されるページャーで対応していた。看護師Aのページャーは勤務帯の途中から作動不良となり、他チームの看護師Bが訪室するまでアラームが5分以上鳴り続けていた。・両チームの患者のアラームが表示されるページャーが充電中でアラームに気付くのが遅くなった。
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・トラキガードを確実に装着する。・カフアシストの接続位置をカテーテルマウントの部分で統一する。・看護師は、退室する際に回路の接続の確認を徹底する。・アラーム・ナースコール・ページャーなどのスタッフコール確認の意識を向上させる。・ページャーを各チームの表示から両チームの表示へ変更する。
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呼吸回路と気管チューブ等の接続部が外れた事例
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患者は気管挿管され人工呼吸管理中であった。セントラルモニタでSpO19%、HR50回/分台ま2で低下していたため訪室すると、呼吸回路と気管チューブの接続部が外れていた。患者はチアノーゼが著明で、SpOは測定不能であった。人工呼2吸器のアラームは鳴っていなかった。酸素10L/分で蘇生バッグによる換気を行い、スタッフコールで人員要請を行った。その後、次第にSpOが280%台半ばまで上昇した。
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・超音波ネブライザーを外した際に、接続が緩んだ可能性がある。・呼吸回路と気管チューブの接続部にテンションがかかっていたため、外れやすくなっていた。・呼吸回路と気管チューブの接続部が緩んでいた可能性がある。・看護師が全員巡視中であり、気付くのが遅くなった。
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・呼吸回路と気管チューブの接続部にテンションがかからないように回路を配置する。・体位変換や処置をした後は、呼吸回路をたどり緩みがないことを確認する。・ベッドサイドモニタを装着し、アラームが鳴った時は早急に対応できるようにする。
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呼吸回路と気管チューブ等の接続部が外れた事例
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人工呼吸管理が長期化するため、救命センターの医師が気管切開術を行い、2週間後に気管切開チューブの交換を予定した。朝、日勤看護師が交換予定日であることを確認し、担当医(研修医)に報告した。研修医は、上級医に報告や相談をしないまま1人で気管切開チューブを交換した。交換後に人工呼吸器に接続したところ、一回換気量が保てず、SpOが2低下し、心拍数も低下し始めた。上級医が到着し、気管切開チューブを挿入し直した。その後CT検査を施行し、頚部・縦隔に気腫を認めた。
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・患者の初回の気管切開チューブの交換であったが、研修医は初回の交換とは思っていなかった。・研修医が単独で行ってはいけない処置・手技を提示しているが、浸透していなかった。・研修医は過去に気管切開チューブを交換したことがあり、1人で出来ると思い、上級医に相談しなかった。・当月に開棟したHCUであり、医師間・看護師間のコミュニケーションが十分にとれていなかった。・看護師は、当事者が研修医であることを知らなかった。
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・研修医が単独で行ってはいけない処置・手技について再度周知を行う。・研修医は必ず指導医に確認を行う。・気管切開チューブ交換時のルールを作成する。・気管切開チューブ交換時の手順を作成する。
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医療事故情報
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<事例の要因のポイント>・研修医が初回の気管切開チューブの交換を単独で実施した。・研修医は単独で実施してはいけないことを知らなかった。・研修医が業務範囲を認識していなかった。・研修医は上級医に相談しなかった。・看護師が当該医師を研修医であると認識していなかった。<議論の内容>○ブリーフィングなどを行い、チームの中での研修医の役割や研修医の技量などを共有することが重要である。○医療機関では、研修医が単独で実施できること、単独で実施してはいけないことなどを周知している。しかし、診療科ごとのルールで研修医が実施できる業務範囲の程度が異なることがある。診療科ごとのルールまでを周知することは難しいと思われるが、可能な限り標準化したり、ルールの共有化のためにイントラネットに掲載したりしてもよいだろう。○日本医療安全調査機構が公表した医療事故の再発防止に向けた提言第4号「気管切開術後早期の気管切開チューブ逸脱・迷入に係る死亡事例の分析」2)には、【気管切開チューブの交換時期】に初回交換のリスクが記載されている。研修医は、このような情報を知らなかった可能性があり、情報の周知も重要である。○研修医が特定の色のスクラブ等を着用し、誰が見ても研修医と分かるようにすることで、チームで研修医を支援・教育するような工夫をしている医療機関もある。
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職種経験:1年4ヶ月/部署配属期間:0年1ヶ月
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報告が遅れた(怠った)/連携ができていなかった/判断を誤った/知識が不足していた/技術・手技が未熟だった/諸物品/ルールの不備
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研修医は、23cm挿入されていた気管チューブの深さが21cmになっていると看護師から報告された。研修医は専従医に報告し、X線撮影をして位置を確認するように指示を受けた。研修医はその指示を、X線画像で位置を確認して浅ければ進めて入れてもよいと勘違いし、同期の研修医にサポートを依頼して進めることにした。気管チューブの固定を外した時点で深さは19cmであり、カフの空気を抜いて23cmの位置まで進めてカフに空気を入れたが、20cmの位置まで抜けてきた。血圧が上昇したため専従医を呼んだところ、気管からチューブが抜けており、再挿管された。
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・専従医への報告、連絡、相談をしなかった。
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・専従医への報告、連絡、相談を行う。
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医療事故情報
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<事例の要因のポイント>・研修医は、気管チューブの長さを調整する際に同期の研修医にサポートを依頼した。<議論の内容>○疑問を解決するための相手として同期の研修医は不適切である。研修医、研修医担当の医師または研修医担当の部門に、必ず指導医に相談することを周知する。また、指導医には相談できる環境作りが重要であることを理解してもらう。○研修医は、気管チューブの再挿入がリスクの高い手技であることを認識していないため、指導医に相談しなかったのではないか。○事例からは、専従医が実際に研修医に指示した内容(X線撮影をして位置を確認するのみか、またはその他にも指示をしたか)は読み取れないが、曖昧な指示ではなく、位置を確認したら報告するように伝えるなど具体的な内容を指示した方がよいだろう。
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職種経験:0年3ヶ月/部署配属期間:0年3ヶ月
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確認を怠った/報告が遅れた(怠った)/連携ができていなかった/通常とは異なる心理的条件下にあった
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患者は、気管切開チューブが挿入され、在宅で人工呼吸管理中であった。気管切開チューブが抜けたため、再挿入の目的で救急外来を受診した。研修医は、挿入していたチューブと同じポーテックスブルーラインウルトラ・カフ付き内径7.5mmを準備し、挿入した。エアの注入口に表示されている「φ30」を見て、30mLのエアをカフに注入した。その後、カフ圧が低下していることに気付き抜去したところ、カフが破れていた。別の気管切開チューブを再挿入したが、呼吸苦やバイタルサインの変化はなかった。
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・「φ30」を見て、カフにエアを30mL注入すると勘違いした。・エアの量が30mLは多すぎることに気付かなかった。・挿入する前にカフの膨らみを確認しなかった。
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・適切なエアの量について学習する。・研修医へ教育する。・上級医の指導のもと気管切開チューブを挿入する。・挿入前にカフを膨らませて破損がないかを確認する。
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医療事故情報
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○研修医は、気管チューブや気管切開チューブのカフにエアを何mL入れて膨らませる等は教育されていない可能性がある。また、研修医は知識の無いまま実施せざるを得ないことがある。○エアの注入口に表示されている「φ30」は、エアを入れたカフの外径が30mmであることを示しているが、情報を正しく理解することが重要である。また、誰でも分かる表示にする、紛らわしい情報を入れないなどの工夫が製造メーカーへ望まれる。
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職種経験:1年6ヶ月/部署配属期間:1年6ヶ月
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確認を怠った/知識が不足していた/教育・訓練
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中心静脈カテーテルの抜去と再挿入を行うことになった。上級医立ち合いのもと、研修医が超音波ガイド下で左内頚静脈穿刺を行う際、20G×34mmの金属穿刺針を落として不潔にした。そのため、20G×67mmの金属穿刺針を使用してカテーテルを挿入した。カテーテルが血管内に留置されているか確認したところ、逆血がなく空気を吸引したため、上級医に交代しカテーテルを挿入した。胸部X線撮影にて左気胸を発症していることが分かり、呼吸器外科医師に連絡して、胸腔ドレナージを実施した。
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・患者は低体重(るい痩、BMI:13.4)であった。・研修医は中心静脈カテーテルの研修を受講していたが、経験症例数は少なかった。・アプローチする血管によって金属穿刺針を使い分ける必要があることを知らない医師が多い。・当院には、中心静脈カテーテルの院内認定医制度がなかった。・当院の「中心静脈カテーテル挿入マニュアル」は、定期的に改訂されていなかった。
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・「中心静脈カテーテル挿入マニュアル」を改訂し、医師に対して周知する。・中心静脈カテーテルの院内認定医制度を導入するか検討する。
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医療事故情報
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○上級医の立ち合いのもと実施しているが、長い穿刺針を使用することになった際に上級医からの助言があれば注意して実施できた可能性がある。○上級医は処置時に研修医のそばにいればよいということではなく、指導をしなければならない。立ち合うだけではなく、穿刺時に起こしやすい合併症等と回避方法を指導する必要がある。
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職種経験:0年7ヶ月/部署配属期間:0年7ヶ月
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知識が不足していた/技術・手技が未熟だった/患者側/教育・訓練
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手術中、麻酔担当医(研修医)は、外科医(主治医)から「ソナゾイドを入れてください」と言われた。研修医は、ソナゾイド注射用(超音波診断用造影剤)の投与量を確認せず、全量の2mLを投与した。外科医が意図した量は0.5mLであった。再投与の指示時に残量がなく、誤った量を投与したことが分かった。再度処方し、0.5mLを投与した。
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・研修医は、ソナゾイド注射用の投与量を把握しておらず、いつも投与している量が0.5mLであることを知らなかった。・研修医は、外科医に「何mL投与しますか」と質問すればよかったが、確認しなかった。・外科医は、「ソナゾイドを入れてください」としか伝えていない可能性がある。・外科医は、「0.5mL入れてください」と投与量まできちんと伝えるべきであった。・麻酔担当の交代時に申し送りをしっかりと受けていなかった。
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・手術中に外科医から指示された薬剤を投与する際は、外科医に投与量を確認し、麻酔科の指導医にも確認する。・肝胆膵外科、麻酔科のスタッフに今回の事例を医局会などで共有し、再発防止に努める。・麻酔科のローテーションを行う初期研修医には、初めての処置や作業を行う際には、必ず上級医に相談、確認するように日頃より指導している。今回のことを踏まえて、引き続き日常の臨床業務の中でスタッフと研修医の連絡体制、指導体制に注意していきたい。
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ヒヤリ・ハット事例
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○臨床現場では、本事例のように投与量の明確な指示がなく、かつ投与量を確認せず誤った量を投与した事例が発生している。○指示をする医師は、投与量も明確に伝えなければならない。○日頃から口頭指示を受けた際の薬剤名や投与量などの確認行為が研修医に徹底されていない可能性がある。○研修医や新人看護師は、指示を受けた際に内容を聞き直すことに遠慮や躊躇をしやすい。聞き直すことができる文化を作ることも重要であろう。○研修医が分からないということを発信しなければ周囲は助けることができない。自分の知識が無いと思われたくない等の理由があると思うが、患者安全のために疑問を明らかにすることが重要であることを教育する。また、復唱やチェックバックを徹底することで、チームで間違いを防ぐことができるだろう。チェックバックとは、復唱した内容を、指示者が確認して返答するクローズドコミュニケーションであり、相手が「はい」と返事をするまで聞くことが重要である。
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職種経験:0年/部署配属期間:0年
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確認を怠った/報告が遅れた(怠った)/連携ができていなかった/通常とは異なる心理的条件下にあった
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ロボット支援前立腺全摘除術を施行した。本来は術後5日目に抜去すべき膀胱留置カテーテルを連絡・連携の不足により、術後3日目に抜去した。朝の回診時に気付き、膀胱留置カテーテルを再留置した。
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・泌尿器科の病棟ではない病棟で発生した。・看護師が研修医に膀胱留置カテーテルの抜去について確認した際、研修医は、経尿道的膀胱腫瘍切除術などの他の手術と同様に術後3日目に膀胱留置カテーテルを抜去すると勘違いして、抜去を指示した。・ロボット支援前立腺全摘除術のクリニカルパスでは、術後5日目以降に膀胱留置カテーテルの抜去となっているが、研修医、病棟スタッフに十分に周知されていなかった。・看護師は腹腔ドレーンの扱いと膀胱留置カテーテルの扱いを混同していた可能性があった。
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・クリニカルパスの内容を再周知する。・クリニカルパスより逸脱する処置を行う際は、パスの逸脱理由を医師に確認し、有効な回答が得られない場合もしくは不明な場合は上級医に確認する。・腹腔ドレーンや膀胱留置カテーテルなど複数のカテーテルが挿入されている場合は、それぞれの扱いについて確認する。
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医療事故情報情報
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○研修医は、膀胱留置カテーテルの抜去について、上級医に確認することなくこれまでに得た知識で指示をすることもあるだろう。○経験を積み重ねた医師と研修医の違いは、知らないことを解決する術を持っているか否かである。研修医は、疑問に思った時に気軽に聞くことができない、調べ方が分からない、誰に聞けばよいか分からないなどの要因から、適切な解決策を得られないことがある。そのため、同期の研修医に聞くなど適切な対応が取れなかったり、曖昧な対応をしたりしてしまうなど、解決策を間違える可能性がある。○分からない時や疑問に思った時に、誰に聞けばよいか窓口を明確にしておくとよいだろう。○記憶する、周知するといった対策には限界があるのではないか。研修医の教育に、必要な情報の取り方や分からない時の対処方法を組み込むことも一案である。
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職種経験:0年8ヶ月/部署配属期間:0年8ヶ月
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連携ができていなかった/知識が不足していた
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患者は、心筋梗塞で救急搬送された。救急外来で、研修医は看護師の介助で膀胱留置カテーテルを挿入した。尿の流出は認めなかったが、9割程度挿入できていること、抵抗を感じなかったこと、患者が疼痛を訴えなかったことから、上級医に確認せず固定水を注入するように看護師に伝えた。看護師は、注入時に抵抗を感じなかった。入院後3時間経過しても尿の流出がないため確認すると、尿道口から出血していた。泌尿器科医師へ相談したところ、膀胱留置カテーテルが尿道内に留置されていたことによる尿道損傷と診断された。2週間後、膀胱留置カテーテルを抜去したところ尿道口から出血を認め、再度膀胱留置カテーテルを留置し、入院が継続となった。その15日後、膀胱鏡にて出血がないことを確認して抜去した。
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・救急外来で上級医は忙しそうにしており、相談しにくい環境であった可能性がある。・研修医は、膀胱留置カテーテルの手技に関する研修を受けており、尿の流出を確認して固定水を注入することは知っていた。・研修医は、膀胱留置カテーテルの挿入が些細なことと認識していた。・研修医と看護師は、手順を遵守しなかった。
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・手順を必ず遵守する。・研修医は、気になったことは必ず上級医へ相談や報告をする。・上級医は、相談しやすい環境を作るようにする。
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医療事故情報
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○研修医は上級医への相談が必要と分かっていても、本事例のような救急の場面や患者が重症であるという環境では相談や報告を躊躇することがある。どのようにすれば研修医が相談や報告ができるか、また上級医がそれらを受けることができるか検討が必要であろう。○救急部門などで治療に緊急性を要する際は、特に研修医への声かけやフォローが必要である。○膀胱留置カテーテル挿入時に看護師が介助しているが、尿の流出がない状況でバルーンに固定水を入れてはいけないことを看護師が助言するなど、チームとして研修医をフォローする必要もあるだろう。
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職種経験:0年1ヶ月/部署配属期間:0年1ヶ月
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確認を怠った/観察を怠った/判断を誤った/技術・手技が未熟だった
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手術室でPICC(末梢静脈挿入式中心静脈カテーテル)を挿入する際、病棟看護師Aは、主治医より「セレネース注と生食100mLをオーダしたので、手術室に持ってきてほしい」と電話で口頭指示を受け、「セレネース」とメモした。看護師Bと2名で復唱後、病棟の定数配置薬から薬剤を取り出した。ダブルチェック後、看護補助者が手術室へ薬剤を持参した。手術室看護師Cは手術室の入口で薬剤を受け取った。看護師Cが主治医にアンプルを見せると、主治医より「セレネース1Aを生食100mLに混ぜて側管から30分で投与」と口頭指示があった。看護師Cは、看護師Dにサイレース静注のアンプルを見せながら「セレネースです」とダブルチェックを行い、調製して側管から投与した。夕方、病棟看護師が定数配置薬をチェックした際にサイレース静注2mgが1A不足していることに気付いた。手術室へ連絡し、投与した薬剤がセレネース注5mgではなくサイレース静注2mgであったことが分かった。患者には影響はなかった。
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・手術中に使用する薬剤は、医師が患者用にオーダ後、手術室スタッフが薬剤部から受け取り手術室に運ぶ運用としている。しかし、今回は、医師がオーダ後、病棟看護師にセレネース注を手術室に届けるよう電話で指示したため、病棟スタッフが薬剤を届けた。・主治医より電話を受けた看護師Aは、メモに「セレネース」と記載していた。・当該病棟では、セレネース注とサイレース静注は同一の定数配置薬の棚にあり、サイレース静注は上部の鍵のかかる場所に他の向精神薬と共に保管し、セレネース注は下の引き出しに保管していた。・病棟で取り出した薬剤をダブルチェックした方法について1)口頭指示の内容をメモした看護師Aは、トレイに「セレネース」と記載したメモ用紙を入れ、電子カルテのオーダ画面でセレネース注の指示が出ていることを目視した。2)看護師Aは、定数配置薬の棚からサイレース静注のアンプルを手に取り、看護師Bに見せながら「セレネースです」と声をかけ、看護師Bは「そうです」と答えた。・病棟で薬剤が違うことに気付かなかった背景について1)本来のダブルチェックは、電子カルテの指示表と薬剤を準備し、指示内容を指差しながら読み上げ2人で確認することになっているが、基本的な確認ができていなかった。2)手術室からの指示であったため、待たせているという焦りがあった。3)セレネース注であるという思い込みでサイレース静注を手に取った。4)ダブルチェックの際、看護師Bは、アンプルの薬剤名を見ないで、外観からセレネース注であると思い込んだ。・手術室で病棟から届いた薬剤をダブルチェックした方法について1)看護師Cは、病棟から届いた薬剤(サイレース静注)を受け取り、医師に「セレネースです」とアンプルを見せ、医師から投与するよう口頭指示を受けた。2)看護師Cは、サイレース静注を手に持ち「セレネースです」と看護師Dに見せ、看護師Dは「はい」と答えた。・手術室で薬剤が違うことに気付かなかった背景について1)アンプルの薬剤名を電子カルテのオーダ画面で確認しなかった。2)病棟の定数配置薬から持参されたため、患者名や薬剤名が記載された払い出し伝票がなかった。3)看護師Cは、セレネース注の使用経験が少なく、病棟から届いた薬剤をセレネース注だと思い込んだ。4)ダブルチェックの際、看護師Cと看護師Dはやや離れた位置にいたため、看護師Dはアンプルの薬剤名が見えなかったが「はい」と答えた。
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・手術中に使用する薬剤を持参する指示が出た場合は、急ぎの要件か確認する。急ぎでなければ、定数配置薬の使用は避け、オーダされた薬剤を薬剤部へ取りに行く。・口頭指示を受ける際は、口頭指示確認用紙を使用し、ルールを遵守する。・電話での口頭指示であっても医師の指示が入力されている場合は、オーダ画面を見て内容を確認する。・アンプルに記載された薬剤名を読み上げ、薬剤名を確認する。・看護補助者へ薬剤の持参を依頼する場合は、一緒に内容を確認する。
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nan
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患者は、19時頃から落ち着かず、不穏状態であった。看護師Aは不穏時の指示を確認し、通りかかった看護師Bにセレネース注はどこにあるか聞いた。看護師Bはサイレース静注と認識し、鍵のかかった薬品庫を指し「ここにある」と回答した。看護師Aの頭の中はセレネース注からサイレース静注に置き換わっており、薬品庫を開錠してサイレース静注1Aを取り出し、別の棚から生理食塩液100mLを取り出した。看護師Aと看護師Bは、指示簿を見ながら指示内容を読み上げて確認した。看護師Aは薬剤をトレイに入れて点滴台に置いた。20時、看護師Aは生理食塩液のボトルに患者名と「不穏時、生食100mL+サイレース1A」とマジックで記載し、アンプルに付いている薬剤名のシールを貼った。その後、患者へ投与した。20時50分、SpO低下(80~90%台)のアラー2ムで訪室したところ、末梢冷感、チアノーゼ、顔面蒼白、口唇チアノーゼを認め、投与していた点滴を止めた。気道の確保、酸素15L/分の投与を開始し、当直医に報告した。その後、チアノーゼは改善し、SpOは91~95%となり、酸素の流2量を減らした。21時30分、当直医は経鼻エアウェイを挿入した際、点滴ボトルに「サイレース1A」と記載されていることに気付き、アネキセート注射液を投与した。21時45分、酸素3L/分でSpOは296%となり、経過観察とした。しかし、患者の意識レベルが回復せず、翌日CO2ナルコーシスを併発し、NPPVを装着した。アミノレバンの投与を開始し、徐々に意識レベルは改善した。
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・当院でのダブルチェックは、指示と薬剤を2人で相互に指差し声出し確認することになっている。本事例は、1人が指示を読み上げ、1人が薬剤を確認したため、相互確認になっておらず、ダブルチェックが適切に実施されていなかった。・看護師Aは、調製する際に不穏時の指示を確認しなければならなかったが、確認しなかった。・看護師は、セレネース注とサイレース静注の知識がなく、薬剤の違いを理解していなかった。・病棟にあるハイリスク薬について提示されておらず、ハイリスク薬の種類や保管場所などがスタッフに伝わっていなかった。・ロヒプノール静注用注)からサイレース静注に変更されていたが、保管場所の表示がロヒプノールのままであった。・セレネース注は、薬品棚の引き出しにブスコパンと並んで保管されていた。・サイレース静注などの使用頻度の少ない薬剤を整理するなどの対策が取られておらず、定数配置薬の種類が増加していた。・何のために投与するかなど、患者の状態を他のスタッフと相談してアセスメントできていなかった。
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・ダブルチェックの方法を統一し、確認を徹底する。・ハイリスク薬や名称が類似する薬剤をスタッフへ提示し注意喚起するとともに、薬剤に関する教育を行う。・使用頻度の少ない薬剤を定数配置薬から除くなど、医師や薬剤師と連携して見直しを行う。特にサイレース静注を使用していない病棟は、定数配置薬から除く。・サイレース静注を薬剤部から払い出す際は、アンプルに「名称注意」のシールを貼付し注意喚起を図る。・インシデントカンファレンスを行い、スタッフへの注意喚起と確認の大切さを意識付け、事例を共有し再発防止に向け、対策を実施する。
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nan
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夜間巡回時、患者は体動が激しく、叩いたり、足で蹴ったりするなどの攻撃性が見られた。当直医にコールし、「不穏時にセレネース1A」の指示はあるが、静脈ラインを確保できる状況ではないことを説明し、筋肉注射の指示となった。看護師Aはセレネース注5mgの投与について医師に復唱して確認した。その後、鎮静薬は薬品庫で管理していると思い、薬品庫内を見たところサイレース静注2mgがあった。看護師Aは、看護師Bに「セレネースと同様の薬剤か」と口頭で確認したが、医薬品情報を確認しなかった。看護師Aは、サイレース静注2mg1Aを準備し、患者に筋肉注射した。0時30分、看護師Aは誤ってサイレース静注2mgを投与したことに気付き、血圧測定を実施し、1時間おきにバイタルサインを観察し変化がないことを確認した。しかし、直ちに医師へ報告せず、朝になって医師に報告した。患者はバイタルサインの変動はないものの、鎮静が効きすぎ、日中になっても声掛けや体の揺さぶりに対して反応が鈍い状態が続いた。その後、徐々に覚醒した。
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・名称が類似した薬剤を取り違えた。・セレネース注5mgの指示は、投与量が1Aのみで規格は記載されていなかった。・口頭での指示であったが、復唱やチェックバックによる確認が徹底されていなかった。・6Rに沿った確認や、有効なダブルチェックができていなかった。・2つの薬剤について疑問を持ったが、医薬品情報等で確認を行わなかった。・指示とは異なった注射薬を投与したことに加え、体重換算では2倍超の過量投与であり、誤りを発見した後に直ちに医師へ報告し、指示を仰ぐ必要があった。
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・事例の背景・要因を踏まえた指示や確認行為を徹底する。・類似名の薬剤への対策として、フルニトラゼパム注射液はサイレース静注2mgのみであるが、セレネース注5mgと同じ有効成分の薬剤にハロペリドール注があるため、名称が類似しない他の薬剤に変更することを院内の薬事委員会へ提案する。・院内に向けて「インシデント事例」等で周知を行う。
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nan
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nan
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患者は末梢性めまい症の診断で救急科に入院となり、翌日に耳鼻科へ転科した。耳鼻科医師は、入院期間は数日程度と考えていた。医師は、メイロン静注7%20mLを入力するつもりでメイロン静注7%250mL1日2回をオーダし、投与を開始した。昼食時、患者は自力摂取ができず、端座位になった瞬間に「ふわふわする」と話した。投与3日目、患者は食欲がなく朝食を摂取できず、端座位を継続していると「頭がくらくらする」と話した。体調の改善が見られず、患者より自宅退院は難しい旨の訴えがあり、退院が延期となった。投与4日目、患者は4時頃から覚醒し「嘔気がちょっとある」と話した。12時、傾眠で声を掛けないと開眼しなかった。18時30分、患者は活気がなく、声掛けに開眼するがすぐに閉眼した。投与5日目、6時30分、傾眠で声掛けに開眼するがすぐに閉眼した。医師へ患者の状態を報告すると、内服中止の指示があり、昼食より食止めとなった。投与6日目、6時、声掛けに開眼するがすぐ閉眼してしまい傾眠であった。総合診療科に診察を依頼した。採血の結果はNa184mEq/L、K2.2mEq/Lであり、メイロン静注7%の影響と診断された。心電図モニタを装着し、補液を5%ブドウ糖液にKCLを混注したものに変更した。患者は再度救急科へ転科し、ICU管理となった。
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・処方時、医師の規格の確認が不足していた。・メイロン静注7%500mL/日では食塩約25g/日に相当するNaが投与されていたこととなる。メイロン静注7%250mLを計11回投与しており、高Na血症となり意識障害が出現した。・採血は入院時と発見時(投与6日目)のみ実施したため、データの異常を発見することができなかった。・薬剤部では初回の処方時に病名、添付文書を確認して調剤した。メイロン静注7%250mLには、使用量の上限の記載はない。用法用量に誤りはなく、耳鼻科医師が処方しているため誤りはないと考え、疑義照会は行わなかった。翌日以降の調剤時には、前日や翌日分まで確認し調剤することはないため、連日投与であることを発見できるシステムがなかった。・患者が入院した病棟は耳鼻科の病棟ではなかった。病棟看護師は、耳鼻科医師の処方であり処方内容に疑問を抱かなかった。・メイロン静注7%250mLを計11本投与しており、計7名の看護師が関与しているが、全員がメイロン静注7%250mLを投与することは初めてであった。
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・医師はオーダ時や毎日の診察時に注射薬の確認を行う。・メイロン静注7%の処方時に規格に注意が向くように、規格が薬剤名の前になるようにマスタの変更を行う。現在:メイロン静注7%(250mL)改修後:【250mL】メイロン静注7%(死亡報告有)・メイロン静注7%250mLの処方時に【250mL製剤です。過剰投与で高ナトリウムの恐れあり】【250mL製剤の使用により他院で死亡事例が発生している】とアラートを表示する。・注意喚起を記したリマインダーをつけてメイロン静注7%250mL製剤を払い出す。・医療安全対策マニュアルの危険薬一覧に使用上の注意を記載する。・今回の事例について職員への周知を図る。・PMDAへ事例の報告を行う。・看護師は医師と密に連携を図り、指示に関する疑問や不安について確認を行う。・看護師は患者の状態の変化について、医師へ速やかに報告する。
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患者は悪性リンパ腫で腫瘍崩壊症候群の合併が懸念され、医師は輸液とメイロン静注7%を処方した。ポタコールR輸液500mLにメイロン静注7%20mL1Aを混注し12時間おきに投与するつもりが、誤ってポタコールR輸液500mLにメイロン静注7%250mLを混注し12時間おきに投与する処方をオーダした。看護師は、ハイカリックIVHバッグを用いてポタコールR輸液500mLとメイロン静注7%250mLを混注し、投与を開始した。投与4日目の18時頃にルートが閉塞し、担当看護師は医師に報告した。医師が確認したところメイロン静注7%250mLを混注していることに気付き、すぐに中止した。患者はSpO2が低下し、胸部X線検査で心不全、軽度の肺水腫を認めた。酸素と利尿剤の投与を開始し、状態は改善傾向となった。
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【医師】・メイロン静注7%のオーダ入力時、20mLと250mLの選択を間違えた。・メイロンを3文字で検索した時、上段にメイロン静注7%250mL、下段にメイロン静注7%20mLが表示され、内容を確認せず上段を選択した。【看護師】・メイロン静注7%250mLは単独で投与することが多く、混注する際はメイロン静注7%20mLを使うことが多いので違和感はあった。・投与や準備の際に違和感を覚える場面は多数あったが、医師に確認しなかった。・土曜日の入院で専門病棟の空室がなく、腫瘍内科と泌尿器科の混合病棟に入院となった。病棟の看護師はメイロン静注7%250mLを混注するような投与の仕方もあるのかと思った。・翌日(日曜日)には専門病棟に転棟したが、前日から同じ点滴オーダであったため疑問に思わなかった。・本来であれば薬剤部でミキシングするが、土日は看護師がミキシングしていた。【薬剤師】・当該注射オーダが開始された土曜日は、当直薬剤師がメイロン静注7%250mLを病棟へ払い出した。・月曜日に注射剤室の薬剤師は、翌日処方分の当該注射オーダに対し、ミキシング後の安定性に疑問を持ち、病棟担当薬剤師に注射オーダの妥当性を医師に確認するように依頼した。・病棟担当薬剤師は、主治医に確認しようと試みたが不在であったため、病棟看護師に当該注射オーダの妥当性の確認を依頼した。その後、病棟担当薬剤師は病棟看護師に確認を依頼したことで完結したと思い込み、看護師に結果を確認しておらず、主治医への確認もしていなかった。・注射剤室の薬剤師は当該注射オーダのミキシング時に違和感を覚えたが、主治医へは確認せず、病棟看護師や病棟担当薬剤師を介して疑問を解消していた。・ミキシング時の引継ぎがうまくいっていなかった。
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・メイロン静注7%の20mLと250mLが分かるようにオーダ画面を以下のように変更した。メイロン静注7%(250mL/袋)→(袋)メイロン静注7%(250mL/袋)メイロン静注7%(20mL/A)→(アンプル)メイロン静注7%(20mL/A)・違和感があれば、ハンドオフを徹底し、確認する。
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患者は心不全の悪化のため入院した。持続する難治性の痒疹の原因検索(腫瘍随伴症候群疑い)目的で、造影CT検査を実施することになった。腎機能が低下していたため、造影剤による急性腎不全のリスクを低減する目的で炭酸水素ナトリウム注射液の点滴を行うことになった。その際、正しい処方は炭酸水素Na静注1.26%バッグ1000mL180mL/時検査前後各1時間であったが、誤ってメイロン静注8.4%バッグ(250mL)1000mL(4バッグ)180mL/時を処方した。薬剤師2名が監査したが、疑義照会には至らず、払い出された。看護師も誤処方には気付かず、投与した。造影CT検査前後でメイロン静注8.4%を点滴されていた患者は、急変し転倒した。心電図モニタの警報(心室細動)を看護師が覚知し、直ちに医師と看護師が駆けつけ、蘇生処置を行った。
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・院内には造影剤腎症予防対策のマニュアルがあり、放射線科医師は処方医に腎機能が悪く検査前後の輸液が必要であることを伝えた。・放射線科医師から「炭酸水素ナトリウムバッグ1000mLを180mL/時」(1.26%と伝えられたかは不明)と聞いた医師は、メイロンと考え、注射薬処方画面で「メイロン」と入力した。表示された薬剤のうち、バッグの製剤はメイロン静注8.4%バッグ(250mL)だけであったため、選択した。炭酸水素ナトリウムバッグ1000mLと聞いていたため、メイロン静注8.4%250mLを4バッグ(1000mL)処方した。・処方医は、オーダの際にマニュアルを確認しなかった。・薬剤師2名が監査し、1人目は処方箋を出力して薬剤を取り揃えて、2人目は1人目が取り揃えた薬剤を鑑査した。・薬剤師は、本患者は心臓血管外科の患者であり、あり得る投与量と判断し、疑義照会を行わなかった。・投与中、患者から血管痛や顔のほてり等の訴えがあり、看護師は医師に報告したが、造影剤アレルギー疑いとされ、投与が継続された。
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・外部調査委員の指摘も踏まえて、再発防止策を検討し、以下の内容とした。・院内の造影剤腎症予防対策のマニュアルを改訂し、「メイロン静注8.4%バッグは高濃度製剤で、アシドーシスの是正等に用いるものであり、誤って使用してはいけない」との文言を追加した。・電子カルテ内の薬剤の名称を「炭酸水素Na静注1.26%バッグ(1L)」から「炭酸水素Na注1.26%Bag1L【造影用】」に変更した(バッグ(1L)をBag1Lに変更したのは文字数制限によるもの)。・「メイロン」と検索した場合も、炭酸水素Na静注1.26%バッグ(1L)が表示されるようにした。・事例発生前は1回5バッグを超える量(1251mL以上)の処方でないと電子カルテの警告が表示されなかった(26年前に採用された薬剤であり、なぜそのような上限であったかは不明である)。事例発生後は1回および1日量が1バッグを超える量(251mL以上)の処方は警告が出るよう上限量を変更した。
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薬剤師は注射薬の定期処方を監査し、ソルデム1輸液(500mL)+メイロン静注7%(250mL)1日3回を払い出した。その後、看護師より当直の薬剤師にソルデム1輸液にメイロン静注7%250mLを混注できないがどのように投与すればよいか問い合わせがあった。炭酸水素ナトリウムの重ソー注7%[20mL/A]とメイロン静注7%[250mL/本](緊急用)の処方間違いの可能性があるため、主治医へ確認を依頼した。処方間違いであったため、投与前に中止となった。
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未記入
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・薬剤師は、使用頻度の少ない薬剤の監査を行う際には、添付文書で使用方法の確認を行う。・メイロン静注は複数の規格の採用があり、選択間違いの可能性があることを認識しておく。・メイロン静注の250mL製剤は使用頻度が少ないため、処方された際にはカルテで患者の状態を確認する。・処方オーダのマスタの設定を見直す。
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患児は、呼吸器外科手術後に呼吸状態が悪化したことから、人工呼吸管理となり、気管切開が行われた。術後14日目、人工呼吸器から離脱し、人工鼻での管理となった。術後25日目、気管切開チューブをコーケンネオブレス(スピーチタイプ)に変更した。術後26日目、日中はワンウェイバルブを装着してSpO2が維持できていたが、就寝前に人工鼻に変更するために内筒を挿入したところ、チアノーゼが生じたため、内筒は入れずワンウェイバルブを装着したまま就眠することとした。術後28日目の朝、呼吸の苦しさが続いていたところ、突然、チアノーゼ、下顎呼吸をきたし、急変した。ただちに、気管切開チューブに内筒を入れて、用手換気を試みたが、胸郭の動きがなかった。心肺蘇生を開始するとともに気管切開チューブの閉塞を疑い、気管切開チューブを抜去し、経口用気管チューブを気管切開孔から挿入し、換気を行った。抜去した気管切開チューブを確認すると、チューブ内腔の先端部に粘稠痰が多量に付着しており、痰によってチューブ内腔が閉塞し、窒息・急変に至ったと考えられた。その後、患児は集中治療室管理となったが、後遺障害なく回復した。
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1)気管切開チューブについて・添付文書と異なる使用添付文書には注意事項として、「発声するとき以外は、内筒を挿入したままで使用すること。[本体内側に分泌物等の汚れが付着するのを防ぐため。]」、「意識が明確な患者に使用し、睡眠時はワンウェイバルブをはずすこと。[ワンウェイバルブは、発声訓練を目的としているため。]」とあるが、今回は日中だけでなく夜間もワンウェイバルブ装着のままで過ごす時間が多く、添付文書通りの管理ができていなかった。結果的に、気管切開チューブの外筒内に分泌物などが付着しやすい状況になっていたと考えられる。・小児に対する使用患者は小児で、体格に合わせてスピーチタイプの気管切開チューブの外筒は内径6.5mm、内筒は内径5.0mmの複管式を使っており、成人と比較するとチューブが細いため痰で容易に閉塞しやすい状況にあったと考えられる。院内の合同カンファレンスで、小児科医は、気管切開チューブを抜くことを想定していない状況等ではスピーチタイプ(複管式)を使用するが、急性期では通常の単管式でサイズの小さいものをあえて用い、脇漏れした呼気が声帯に導かれることで発声する方法をとっており、診療科によってスピーチタイプの気管切開チューブの使い方に差が生じていたことが明らかになった。2)加湿について・痰が粘稠となりやすかったが、それに対する加湿が不十分であった。
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・呼吸器外科は小児の気管切開症例において、スピーチタイプの気管切開チューブを使用しない。・気管切開チューブ使用中の加湿を適切に行う。
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患者は多発外傷で入院していた。医師Aは気管切開チューブをコーケンネオブレス(スピーチタイプ、内筒あり、カフあり)に変更した。医師Aは、呼吸困難感の出現時に内筒を挿入するよう指示し、常時、ワンウェイバルブを使用した。翌日、呼気時に閉塞音を認めたため、医師Aは気管切開チューブのカフを虚脱させた。その後、閉塞音は改善した。医師Aは気管切開チューブの閉塞を懸念し、カフを虚脱させたまま経過を見ることとした。気管切開チューブの変更から3日後、気管切開チューブのカフが注入で膨らむことを避けるために、医師Bはカフチューブを切断した。同日18時、看護師Cが吸引した際、閉塞様の呼吸音を認めた。21時、経皮的酸素飽和度を測定し、94%であることを確認した。22時、患者はテレビを見ていた。23時20分、訪室した看護師Cは呼吸が停止している患者を発見し、蘇生処置を開始した。胸骨圧迫を行い、気管切開チューブを抜去して気管チューブを挿入し、用手換気を実施した。抜去した気管切開チューブの内腔は痰により閉塞していた。
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・抜去した気管切開チューブの内腔が痰で閉塞しており、窒息をきたしたと考えられた。・コーケンネオブレス(スピーチタイプ)の正しい使用方法について知識が不足していた。・カフを虚脱させて使用したり、カフチューブを切断したりする運用は行わず、閉塞が疑われた際には気管切開チューブを交換する必要があった。・SpOを持続的に測定してい2なかったため、患者の異常に早期に気付くことができなかった。
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・気管切開チューブの閉塞が懸念される場合には気管切開チューブの交換を行う。・使用している医療材料について添付文書を参照し、正しい使用方法に基づいて適切に使用する。・カフ付きの気管切開チューブのカフを虚脱させて使用する運用は行わない。・睡眠時や吸引時は内筒を使用する。・自発的にナースコールを押すことが困難な患者にはモニタを装着し、万が一の場合にも早期発見ができるようにする。・言語聴覚士と協働し、スピーチタイプの気管切開チューブの適応があるかどうかを検討する。
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患者の呼吸状態が安定したため、発声できるようにスピーチカニューレに変更することになった。15時30分、アスパーエース(内径8.0mm)からコーケンネオブレス(スピーチタイプ、外径8mm)に交換した。日勤帯より経鼻カニューレ1L/分で酸素を吸入していた。20時30分から主治医の指示でBiPAPを装着した。21時過ぎより患者は呼吸苦を訴えた。気管内より粘稠痰を吸引したが呼吸苦は軽減しなかった。21時30分、主治医の指示で酸素を2L/分に増量したがSpOは84~88%より上昇せず、2呼吸苦の訴えがあった。BiPAPを外し、経鼻カニューレ1L/分で酸素吸入を再開した。22時、主治医が診察し、コーケンネオブレス(スピーチタイプ)の内筒を挿入し、人工呼吸器を装着した。装着後、声漏れがあり、患者は呼吸苦を訴え、SpOは92~293%であった。22時20分、主治医はコーケンネオブレス(スピーチタイプ)を抜去し、交換前に使用していたアスパーエース(内径8.0mm)に交換しようとしたが、気切孔が小さくなっており挿入困難であった。PORTEX・気管切開チューブ(内径7.5mm)に交換後、徐々にSpO値は上昇した。2
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・外径11.3mm、内径8.0mmの気管切開チューブ(アスパーエース)を使用していたが、入れ換えたコーケンネオブレス(スピーチタイプ)は外径8.0mm、内径6.5mmであった。・前日に物品管理センターに問い合わせたが、物品管理センターの担当者は製品がわからなかったため、看護師が取りに行った。その際、物品管理センター内の棚にコーケンネオブレス(スピーチタイプ)8mmしかなく、看護師はそれを持ち帰った。箱には「8.0mm」と外径が大きく表示され、その下に小さく内径が表示されていたが確認しなかった。・チューブの交換日に担当した看護師は、前日に準備されていたチューブを医師に渡した。その際、少し細いと感じ、医師にチューブを見せたが、医師はサイズは合っていると思い、そのまま交換した。・準備した看護師、当日の担当看護師及び医師も内径・外径の表示が異なることに気付かなかった。・コーケンネオブレス(スピーチタイプ)の注意書きには「他製品から交換される場合は、内径(I.D)と外径(O.D)の表示の違いに注意すること」と書かれていた。
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・製品によりサイズの表記が内径である場合と外径である場合があるため、物品管理センターに請求する場合は内径と外径を確認することを院内に一斉通知した。・スタッフ間でカンファレンスを行い、情報共有を図る。・コーケンネオブレス(スピーチタイプ)は使用頻度が少ないため、物品管理センターで払い出しする際にパッケージに表示をする。
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患者は前医にて4年前に気管切開を実施されていた。当院形成外科で入院治療後、転院を検討していたところ、家族から気管切開孔閉鎖の希望があり、耳鼻科に対診した結果、両側反回神経麻痺による両側声帯正中固定にて、閉鎖は困難であるとの診断であった。医師が患者に、発声を目的としたスピーチタイプの気管切開チューブへの交換について説明をしたところ、本日が週1回の交換予定日であり、閉塞感があるため、患者は本日の交換を希望した。挿入していた高研式気管カニューレ(複管)から交換する際、コーケンネオブレス(スピーチタイプ)はパイプの形状が異なり、長円形(短径10mm、長径11.5mm)であったため外径が合わず、挿入ができなかった。看護師は、別のサイズの気管切開チューブを準備するためその場を離れた。その間は、医師が吸引を行い、患者の意識は清明で声掛けへの応答もあったが、次第に患者の反応が乏しくなり、口唇にチアノーゼが出現し、頚動脈が触知できずハリーコールを依頼した。その後、耳鼻咽喉科医師がカフ付きカニューレを挿入して気道を確保し、救命処置を行った。
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・当日は繁忙な状況であったことと、これまで気管切開チューブの交換はスムーズに行われていたことから、今回の様に挿入に手間取る状況を想定できていなかった。・挿入困難になった際に迅速に対応できるように、事前の準備が必要であった。・気管切開チューブの交換に時間がかかったため気管孔が閉じて窒息した可能性があり、交換に際して慎重な準備が必要であった。
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・交換の際は、各種サイズの気管切開チューブを準備する。・種類が異なる気管切開チューブに交換する場合は耳鼻咽喉科医師の支援を得る。・気管切開チューブの交換時、モニタにより呼吸状態を監視する。
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患者にハイカリックRF輸液とインスリン調製液(2.1mL/h)が持続投与されていた。血糖測定は4時間おきの指示があり、20時の血糖値が75mg/dLであったため、スライディングスケールに従いインスリン調製液を1.9mL/hに減量した。ハイカリックRF輸液の残量が少なくなり、主治医に確認したところ、終了の指示を受けた。22時、ハイカリックRF輸液を終了し、インスリン調製液の投与を継続していた。0時、血糖値は10mg/dL未満であったため、インスリン調製液の持続投与を中止し主治医へ報告した。血圧60~80/30~40mmHgであり、50%ブドウ糖液20mLを急速静注、ハイカリックRF輸液の投与を開始した。1時、血糖値は122mg/dLとなった。
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・ハイカリックRF輸液500mLは30mL/hの指示であった。処方が1日1本であったため1日量が不足していた。不足分について、医師への確認や処方の依頼はしていなかった。・医師は、看護師がハイカリックRF輸液の終了時にインスリン調製液の持続投与も中止するだろうと思い、中止を指示しなかった。・看護師は、インスリンを持続投与していることは認識していたが、ハイカリックRF輸液の終了により低血糖となる危険性についてアセスメントできていなかった。・糖尿病内科の診療記録には、ハイカリックRF輸液の終了に伴うインスリンの中止について記載があった。
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・他科コンサルトによる診療記録内の指示は、主治医の責任のもと、指示項目に入力する。・看護師は、指示に疑問が生じた場合は医師に確認する。・医師への報告時は、SBAR等を活用し、的確な情報提供を行う。
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高カロリー輸液の投与終了後、インスリンの持続静注を継続した事例
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緩和ケアチームよりオピオイド鎮痛薬の変更の提案を受けた。主治医は、ナルサス錠1日1回を20時に内服後、翌朝からオキシコンチン錠1日2回8時・20時に切り替える指示をした。担当看護師は、前日のナルサス錠の服用時間から、オキシコンチン錠の内服開始までの間隔が短いことに疑問を感じ、主治医に問い合わせたが、問題無いと返答があった。翌日8時、患者はオキシコンチン錠を内服した。11時頃、緩和ケアチームがオピオイド鎮痛薬の切り替えの間隔が短いことに気付いた。
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・主治医は、ナルサス錠が24時間効果を持続する薬剤であることは知っていたが、オピオイドスイッチングの知識が不十分で、オキシコンチン錠の内服開始は12時間後で問題無いと認識していた。・主治医は、院内に緩和ケアマニュアルがあることを知らなかった。・看護師は、主治医に問い合わせた際、投与間隔に疑問があることを伝えなかった。
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・医師は、オピオイドスイッチングの際に、緩和ケアマニュアルを参照しながら処方・指示をする。・医師は、オピオイドスイッチングについて不明な点があれば、緩和ケアチームや薬剤師、他の医師に確認する。・看護師はSBARに基づき、医師へ問い合わせる。
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オピオイド鎮痛薬を変更する際、切り替えの間隔が短かった事例
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主治医は患者から腹水穿刺の同意書を取得した。診察室の担当看護師Aは、処置室への申し送り表の「腹水穿刺」「同意書有り」にチェックをして、処置室のリーダー看護師Bに申し送り表を使って引き継いだ。看護師Bは、申し送り表を使用せず、処置担当看護師Cに処置名のみ口頭で伝達した。その際、看護師Bは腹水穿刺と伝えたが、看護師Cは胸水穿刺と認識し、看護師Cは処置担当医師Dに胸水穿刺を依頼した。看護師Cは患者を処置室に呼び入れ、「胸の水を抜くことを聞いていますか」と質問すると、患者は「はい」と返答した。医師Dが到着した際、エコーが使用できず、看護師Cは別の処置室へ取りに行った。看護師Cが戻ると、胸腔穿刺の準備ができていた。看護師Cは医師Dとは初対面であり、ブリーフィングをして欲しいとは言えなかった。医師Dは、カルテ指示を見ず、エコーで右胸腔に胸水の貯留を認めたため、胸腔穿刺で200mLの排液を行った。排液後、医師Dはカルテを見て腹水穿刺の指示であったことに気付いた。主治医から患者と家族に、胸水も溜まっており、胸水穿刺をしたことを説明し、謝罪した。その後、腹水穿刺し、2Lの排液を行った。
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・主治医から処置担当医師への処置の依頼〜処置の実施までの手順は以下の通りである。1)外来主治医が処置内容をカルテに登録する。2)診察室の担当看護師が指示を受ける。3)診察室の担当看護師から処置室のリーダー看護師へ申し送りをする。処置室のリーダー看護師から処置担当看護師に引き継ぐ。処置担当看護師が処置担当医師に連絡する。4)処置担当医師・看護師が患者に処置内容を確認し、実施する。・通常、外来主治医が処置指示(腹腔穿刺・消毒・麻酔剤)を入力し、診察室の担当看護師が電子カルテ上で指示受けをすることになっているが、今回はカルテの指示受け機能を使用しなかった。・処置指示には詳細が記載されていないため、外来主治医に口頭で詳細な内容を確認し、申し送り表に記載して指示受けとしている。しかし、申し送り表の記載内容に相違がないかを医師に確認しなかった。・処置室のリーダー看護師が処置担当看護師に申し送る際に申し送り表を使用しなかった。・外来で胸腔・腰椎・骨髄・腹腔穿刺の際は、処置前のブリーフィングを行っていたが、今回は実施しなかった。・ブリーフィング用紙は処置毎にあり、胸腔穿刺と思い込んでいたため、胸腔穿刺用の用紙を選択しており、ブリーフィングを行っても誤りを訂正できない可能性があった。・ブリーフィングは、処置前に処置担当医師、処置担当看護師、患者の3者で行うことになっていた。・外来の処置は穿刺部位のマーキングを行っていなかった。
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・処置別になっていたブリーフィング用紙を全ての処置で使用できる申し送り兼ブリーフィング表(以下、申し送り表)に変更した。・処置の指示受けから実施までの手順を作成した。<診察室の担当看護師の指示受け>1.診察室の担当看護師は、外来主治医に処置の指示内容を確認する。1)カルテの処置指示の内容を確認し、指示内容の画面と申し送り表を印刷する。2)処置指示の内容以外に詳細な指示の入力がない場合、外来主治医に口頭で追加指示を確認し、申し送り表に記載する。また、同意書や薬剤アレルギー、抗凝固剤の内服も確認し、申し送り表に記載する。2.外来主治医が申し送り表の内容を確認し、署名する。3.申し送り表、印刷した処置指示の画面、検体ラベルをファイルに挟む。その後、処置室のリーダー看護師へ申し送りを行う。<処置室のリーダー看護師への申し送り>・申し送り表、印刷した処置指示の画面を2人で確認しながら、申し送りを行う。患者氏名と処置名は復唱して確認する。・処置室のリーダー看護師は、可能であれば、事前に処置担当看護師を決めておく。処置担当看護師と申し送りを聞ける場合は、三者で確認を行う。<処置担当看護師への申し送り>・処置室のリーダー看護師は、申し送り表、印刷した処置指示の画面、処置箋をもとに申し送りを行う。患者氏名と処置名は復唱して確認する。<ブリーフィング>・処置前に処置担当医師、処置担当看護師、患者でブリーフィングを行う。・印刷した処置指示の画面と申し送り表に基づいてブリーフィングを行い、処置担当医師は申し送り表に署名する。<処置後>・申し送り表を電子カルテに取り込む。
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外来で腹水穿刺を行う予定であったが、誤って胸水穿刺を行った事例
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患児の両親は外国人でイスラム教徒であった。宗教上の理由からブタ由来の製品の使用は禁忌であり、電子カルテ上に「ブタ(ヘパリン含む)禁」と入力し、共有していた。医師は、ヘパリン類似物質クリームがブタ由来の成分を含むことを知らず、皮膚の乾燥に対して処方し、看護師は指示通り塗布した。翌日、別の看護師がヘパリン類似物質クリームにブタ由来の成分が含まれていることに気付き、本来患児に処方するべきではない薬剤を使用したことが分かった。
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・ヘパリン類似物質クリームには、ブタの気管軟骨を含む肺臓から抽出されたムコ多糖類の多硫酸エステルが含まれる。・電子カルテ上でブタ由来の成分を含む製品の使用は禁止であることが共有されていたが、医師にはヘパリン類似物質クリームが該当するという認識がなかった。・日本の社会的背景として、宗教上の禁忌について強く意識する慣習がない。
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・ブタ由来の成分など、宗教上の理由から使用するべきではない薬剤が存在することを周知する。・ブタ由来の成分を含む薬剤をアレルギー分類として設定し、該当する薬剤の処方時のアラート機能について検討する。・イスラム教徒が安心して使用できるハラル認証を取得した薬剤の製造・販売を日本の製薬企業に期待する。
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宗教上禁忌の成分が入った薬剤を使用した事例
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外回り看護師は、「人工心肺指示書」の準備薬の欄に黒字でヘパリンナトリウム注21mL、その下の直後薬の欄に赤字でプロタミン硫酸塩静注21mLの記載を見て、人工心肺の使用前に投与するヘパリンナトリウム注と、離脱時に投与するプロタミン硫酸塩静注をそれぞれ20mLの注射器に準備した。注射器には、薬剤名と量を記載したラベルを貼り、同じトレイに入れた。看護師は、麻酔科医師からヘパリンナトリウム注の指示を受け、注射器の薬剤名を確認しないまま、プロタミン硫酸塩静注の入った注射器を渡した。麻酔科医師は、注射器に貼られたラベルの薬剤名を受け取りの時も投与直前も確認せず、薬剤を投与した。投与3分後に測定したACT値は111とヘパリンナトリウム注投与後にしては非常に低値であった。麻酔科医師が看護師より受け取った注射器のラベルを確認したところ、プロタミン硫酸塩静注と記載があり、誤投与したことに気付いた。
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・看護師と麻酔科医師は、薬剤を渡す際、受け取る際に薬剤名を確認しなかった。・麻酔科医師は、人工心肺の開始前にプロタミン硫酸塩静注が準備されていることを知らず、ヘパリンナトリウム注の投与のタイミングでプロタミン硫酸塩静注が渡される危険性を把握していなかった。・同じトレイ内に、拮抗するヘパリンナトリウム注とプロタミン硫酸塩静注を入れていた。・人工心肺を開始してからプロタミン硫酸塩静注を準備するルールは無く、看護師は事前にまとめて準備した。・ヘパリンナトリウム注とプロタミン硫酸塩静注はどちらも20mLの注射器に準備しており、見分けがつきにくい状態であった。
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・看護師と麻酔科医師は、薬剤を渡す際、受け取る際に声を掛け合い薬剤名の確認を行う。・ヘパリンナトリウム注を投与してから、プロタミン硫酸塩静注を準備する。・麻酔科医師がヘパリンナトリウム注とプロタミン硫酸塩静注を準備するルールに変え、準備者と投与者を同じにした。・麻酔科医師が薬剤を準備するように診療科間で調整し、取り決めとしてマニュアルに追加、修正する。・人工心肺指示書のプロタミン硫酸塩静注の記載欄に、人工心肺開始後に準備するコメントを追加する。
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口腔内手術のため、全身麻酔導入後にキシロカイン液「4%」20mLとボスミン注0.2mLの混合液で鼻腔内を洗浄して出血予防を行い、経鼻気管挿管を行った。ボスミン注の残り0.8mLが入った2mL注射器を麻酔カートの上の薬剤トレイ内に置いた。手術中、術後鎮痛のため2mL注射器に準備したフェンタニル注射液を投与した。しかし、直後に高度頻脈(HR160、不整脈無し)をきたし、ボスミン注を誤投与したことに気付いた。血圧が170mmHg程度まで上昇し、レミフェンタニルを増量し、セボフルランの濃度を上げ、不整脈の予防のためキシロカインを投与した。5分程度でボスミン注を投与する前の心拍数、血圧に戻った。その後、手術は問題なく終了した。
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・確認作業を行わないまま、同じ形状の注射器に入った別の薬剤を投与した。・フェンタニル注射液を入れる注射器には、手術室で準備しているラベルを貼る決まりとなっていたが、フェンタニル注射液の入った注射器にはアンプルから切り取ったラベルが貼付されていた。・麻酔担当医師は体調不良であったが、事例の発生日は人員が不足していたため、休憩時間がほとんどない状況で麻酔管理をしていた。
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・医療安全対策マニュアルに記載されている、安全な薬剤治療のための6Rの確認を遵守する必要がある。・不要な薬剤は廃棄し、他の注射器と同じ薬剤トレイに入れて保管しない。・当該事例を踏まえてボスミン注のアンプル製剤は麻酔カートから除き、アドレナリン注シリンジ(プレフィルドタイプ)を常備する。
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外来で下部消化管内視鏡検査の予定であった。前処置中に黒色便を認め、急遽上部消化管内視鏡検査を追加する方針となり、準備を開始した。鎮静のため、ペチジン塩酸塩注射液とミダゾラム注を投与した。上部消化管内視鏡検査の終了後、フルマゼニル静注液を投与した。その後、下部消化管内視鏡検査を施行し、検査は滞りなく終了した。検査終了後、フルマゼニル静注液を追加で投与するつもりで、誤ってミダゾラム注の残りを投与したことが判明した。速やかにフルマゼニル静注液を投与し、患者の覚醒を確認した。安静時間を延長して慎重に経過を観察する方針とした。
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・下部消化管内視鏡検査の予定であったが、前処置中に黒色便を認めたことで上部消化管内視鏡検査を追加する方針となり、通常とは異なる状況であった。・通常は、鎮静剤と拮抗剤は異なるトレイに入れて、異なる場所で管理することで取り違えを防ぐ運用としている。今回、上部消化管内視鏡検査が終了し、下部消化管内視鏡検査を開始する前に拮抗剤を使用したことで、鎮静剤と拮抗剤のトレイが同じ場所に置かれていた。・本来であれば拮抗剤が置いてあるはずの場所に鎮静剤が置かれていたことで、投与した医師は薬剤の取り違えに気付かなかった。
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・拮抗剤を置いた場所と薬剤名のシールの未確認が背景要因にあり、本事例を警鐘事例として診療部内で共有した。・通常の運用とは異なる工程が加わる場合、基本ルールを遵守することを周知・徹底する。
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脳血流シンチグラフィの際、医師Aは医師Bの監督下で放射性医薬品を患者に投与後、生理食塩液(実際は循環器薬であるATP注)を後押しで投与した。投与後、患者に一過性の意識消失、冷汗、顔面発赤や苦悶様の表情を認めた。医師Bの指示で静脈ルートから生理食塩液を投与し、心筋負荷室に車椅子で移動した。外来看護師がバイタルサインを測定し、血圧169/103mmHg、HR72bpm、SpO91%であり、ショックは認めなかっ2た。医師Bが聴診し、呼吸音に異常はなく症状も軽快傾向であったため、血管迷走神経反射と判断して診療科担当医師に連絡した。外来看護師がリーダー看護師と放射線部師長に連絡した。その後、バイタルサインが安定したため、脳血流シンチグラフィを心電図モニタ管理下で実施した。
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・別室で使用するATP注を当該患者の処置室に置いていた。・誤投与されたATP注は、20mL注射器に準備され、生理食塩液と同じ無色であった。・ATP注が入った注射器にはボールペンで薬剤名が記載され、視認が困難であった。・同時刻に薬剤投与の業務があり、医師Aが生理食塩液と思った薬剤を投与する際に医師Bは見ていなかった。
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・循環器薬を準備する場所を心筋負荷室に限定する。・生理食塩液を生食注シリンジに変更する。・薬剤を吸引後、注射器に薬剤名を記載したシールを貼付し、患者毎の専用トレイに準備する。・薬剤投与時に薬剤名のシールを確認する。
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2名の患者の肝生検を続けて行った。2件目の際、看護師は、点滴作成台に置いていたホルマリン入りの容器のラベルを確認せずに医師に渡した。医師は、看護師から渡された容器のラベルを確認せずに検体を入れ、処置を終了した。看護師は、1件目の検体を提出するため、師長の机の上にある容器を確認したところ開封されておらず、1つの容器に2名分の検体を入れたことに気付いた。肝生検を行った医師へ報告し、確認を依頼した。2つの検体の大きさ、形状が明らかに異なっていたことから両者の検体を判別し、2件目の患者の検体を新規の容器に移した。
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・検体採取を2件続けて行った。・1件目の検体の採取後、検体を入れた容器の取り扱いが不適切であった。・検体採取を2件続けて行っており、他の患者の検体が混入するリスクについて認識が不十分であった。・環境整備が不十分であった。
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・検体を容器に入れる際は、複数名でラベルの確認を行う。・肝生検は2件続けて行わない。・やむを得ず2件続けて行う場合は、1件目の検体を検体置き場に提出したうえで2件目を開始する。
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検体採取後に容器に入れる時に混入した事例
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医師Aは、患者Xの経気管支肺生検を施行した。検査終了後に処置台に置かれていた使用済みのシリンジ、チューブや鉗子等を廃棄し、2件目の患者Yのための準備をした。その際、未使用の容器を処置台に置くところ、誤って患者Xの検体が入った容器を処置台に置いた。その後、患者Yが内視鏡室に入室し、医師Bが気管支鏡検査を開始した。途中、医師Cに交代し、気管支鏡にて腫瘍組織を鉗子にて把持し、白色の壊死性組織を少量採取した。採取した組織を容器に入れるため、医師Dが処置台に置かれていた容器を未使用だと思い手に取り、医師Cは、その容器に組織付きの鉗子を挿入し、検体を入れた。直後、患者Xの検体が入った容器であることに気付いた。新たに未使用の容器を準備し、患者Yの気管支鏡検査を継続して検体を採取し、検査を終了した。
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・患者Xの検体が入った容器を、患者Yの処置時に使用する処置台に置いていた。・患者Xの容器の側面には氏名が印字されたシールが貼付され、容器の蓋には1件目の検査であることを示す「1」と記載されていたが、2件目の患者Yの検体を入れる際に確認せず、気付かなかった。
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・各患者の検査で採取した検体は、検査が終了した後に病理検査室へ速やかに提出する。・前の患者の片付けと次の患者の準備を同時に行わない。・検体の取り違え防止のために、「使用前の容器を置くケース」「検体採取中の容器を置くケース」「採取終了後の検体を置くケース」を作成し、採取前後で容器を分けて置く方針とした。
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検体採取後に容器に入れる時に混入した事例
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患者Xと患者Yの子宮頚部細胞診の検体を採取を続けて実施した。翌日、検査科より患者Xの容器に検体が2つ入っていると連絡があった。また、同日受診した患者Yの容器には検体が入っていないため、両患者の検体を1つの容器に入れたのではないかと指摘された。2つの検体を識別できず、細胞診は行えなかった。患者Xと患者Yに連絡し、再度受診して再検査することになった。
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・検体が入った容器と未使用の容器を一緒に置いていた。・容器に検体が入っているか確認せずに検体を入れた。・検体を提出する前にオーダ用紙と検体の確認をしなかった。
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・検体が入った容器と未使用の容器を一緒に置かない。・容器に検体が入っていないか確認してから検体を入れる。・検体を提出する前にオーダ用紙と検体の確認をする。
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検体採取後に容器に入れる時に混入した事例
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耳鼻咽喉科医師は、内視鏡で採取した患者の喉頭組織の病理診断のため、○月22日、病理部へ検体を提出した。○月24日、喉頭組織の検体の包埋・標本化処理を行った。○月29日、病理専門医のダブルチェック後、「腎細胞癌の転移の可能性あり」と記載した病理診断報告書が作成された。耳鼻咽喉科医師は、臨床症状と全く異なる結果であったため病理部へ確認したが、報告診断のとおりであると返答があった。そこで、3D-CT検査やPET検査を計画し、全身麻酔下での喉頭生検を実施した。2回目の喉頭生検の病理診断結果は「悪性所見なし」であり、耳鼻咽喉科医師は病理部へ疑義を問い合わせた。病理部で標本の処理過程を検証したところ、○月24日の当該検体の処理作業の直前に、腎癌の検体の切り出し作業が行われていたことが分かった。同一の臨床検査技師が担当しており、2検体の処理の際に使用したピンセットは、所定の容器の水でゆすいだが、ふき取りを行っていなかった。ピンセットに付着した腎癌の組織片が、喉頭の検体を処理する際にコンタミネーションを起こしたことが分かった。
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・病理部の標準作業書には、ピンセットの使用方法は明文化されていなかった。・1本のピンセットを容器の水でゆすいで、繰り返し使用していた。・病理部では、ピンセットのふき取りを励行するように口頭で伝えていたが、両検体を処理した臨床検査技師はそのことを知らなかった。・初回の疑義の問い合わせに対し、病理診断医の対応が不十分であった。
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・病理部の検体取り扱いマニュアルを改訂する。・ピンセットは1検体1回の使用とする。・病理部ワーキングで体制の刷新を推進する。
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病理検査室での検体処理時の事例
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気管切開チューブから発声できる段階に進めるため、14時頃に気管切開チューブを変更し、スピーチバルブを装着していた。痰が多い状態で、吸引を頻回に実施していた。17時50分に吸引した時にはバルブシートはあったことを確認していた。18時15分、吸引しようとしたところ、バルブシートが付いていないことに気付いた。周囲を探したがバルブシートは見つからなかった。20時30分、再度バルブシートを探すが見つからず、当直医師に報告し、気管支鏡を施行すると、右の主気管支壁に貼りついているバルブシートを発見した。CCUの気管支鏡では除去できず、内視鏡室で呼吸器内科医師が気管支鏡でバルブシートを除去した。
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・スピーチバルブの装着時に吸引する際は、バルブごと外さなければならなかったが、スピーチバルブの上部を回して分解し、バルブシートを外して吸引していた。吸引後バルブシートを戻しバルブの上部を回して固定した。・添付文書に沿った方法でスピーチバルブの管理ができていなかった。・使用頻度の少ない物品を使用する際、事前の学習会などのスタッフ教育がされていなかった。・業者の再現試験の結果、バルブシートが迷入した原因ははっきりしないが、吸引チューブでバルブシートを気管内に押し込んだ可能性があると報告された。
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・使用頻度の少ない物品の使用を開始する際は、事前に学習会などを開催する。・急に使用しなければならない場合、添付文書を確認し十分に理解する。または、業者などから説明を受ける。・スタッフに周知できるよう掲示を行い、情報を共有し注意喚起する。
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吸引時にスピーチバルブの外し方を誤り、バルブシートが気管支内に入った事例
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<参考>スピーチカニューレ添付文書3)の記載内容(一部抜粋)【使用上の注意】〔重要な基本的注意〕7)分泌物等を取り除くため、吸引チューブを使用する際は、スピーチバルブごとはずすこと。[スピーチバルブは、装着したままで吸引できる構造となっておらず、装着したままスピーチバルブを分解し、バルブシートをはずした場合、バルブ機能が正常か確認することができないため。]
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患者は気管切開孔にメラソフィットD-8CFS(2重管、カフ・窓・吸引付)が挿入され、トラキマスクで酸素投与中であった。リハビリテーション室に行く際にスピーチバルブを装着したいと患者から希望があった。病室の床頭台には、穴あきの内筒と赤いキャップが一緒に置かれていた。患者にこれで良いか確認するとうなずいたため、内筒を穴あきのものに交換した。赤いキャップをするとトラキマスクから酸素が投与できないため、装着が合っているか他の看護師に相談したが、他にバルブが見当たらず赤いキャップを装着し酸素投与もトラキマスクのままとした。理学療法士が来棟し、車椅子でリハビリテーション室に向かった。看護師は不安があったので再度他の看護師に確認すると、スピーチバルブと誤って赤いキャップを装着していたことが判明した。患者は呼吸困難感とSpOの低2下があり病棟へ戻ってきたため、すぐにキャップと内筒を外して酸素を投与し、SpOは改2善した。
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・スピーチバルブではない赤いキャップと発声時に使用する内筒が床頭台に一緒に置かれていた。・スピーチバルブは洗面所に置いてあった。・看護師が使用物品について知識がないまま対応していた。・相談された看護師の対応も無責任であり連携がとれていなかった。
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・物品の正しい取り扱い方法の教育の徹底や患者の状態把握に努める。・連携体制の強化に努める。・赤いキャップは使用しない旨を表示し、荷物内にしまった。・発声する際に使用する物品はセットにして袋に入れ、発声時使用と表示した。・物品を見ながらスタッフに教育し周知を行った。
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スピーチバルブと間違えてキャップを装着した事例
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患者は嘔気のため、ナウゼリン錠とプリンペラン錠を内服していた。研修医は、上級医よりジプレキサ錠を処方するように指示されたが、用量を確認しなかった。1年目の研修医と2年目の研修医の2名で添付文書を見て、統合失調症の用量である10mgを処方した。翌日、看護師が疑問に思い確認したところ、間違いに気付いた。
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・上級医に用量を確認しなかった。・使用に習熟していない薬剤であった。・添付文書の確認が不十分であった。・薬剤部では統合失調症の用量としては問題ないため、疑義照会の基準にはかからなかった。
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・薬剤について、研修医は上級医に6Rを確認して理解する。・使用に習熟していない薬剤について、添付文書を十分に確認する。・添付文書の確認の仕方を教育する。
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処方・指示
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ヒヤリ・ハット事例
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○上級医が研修医にどのように指示をしたかが問題である。「ジプレキサ錠は適応により用量が異なるため、○mgを処方」と具体的に指示する必要がある。○研修医は、上級医からの指示が曖昧であれば、薬剤名だけでなく用量・用法まで確認する。○1年目の研修医と2年目の研修医で添付文書を見て確認しているが、2年目でも研修医であるため、確認は上級医に行い、その際に用量も合わせて聞くことができればよかったであろう。○委員が所属している医療機関では、3名の研修医で計算した用量が間違っていた事例が報告された。知識が不足している者が集まっても、正しい答えを導き出すことが難しい。研修医同士で確認することはできる限り避けること、やむを得ず実施する場合には知識が不確かな者同士の確認になる可能性があることを研修医は自覚することが重要である。○研修医は、処方経験がない薬剤や診療経験がない疾患であれば、事前に添付文書や教科書で調べたり、上級医への確認やサポートを依頼することが必要である。また、初めてであることを上級医や他の医療スタッフに伝えて適切な指示を得ることが重要である。
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職種経験:1年/部署配属期間:1年
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確認を怠った/知識が不足していた/医薬品
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主治医は、前日よりハイカリックRF500mL+ネオアミユー200mLの投与を開始した。5:42、血糖値は199mg/dLであった。看護師は、昼食前の血糖値が491mg/dLと高値であったため研修医Aに報告した。研修医Aは主治医に報告し、主治医よりヒューマリンR8単位を皮下注射の指示が出され、実施した。12:30、血糖値が476mg/dLであり、看護師は研修医Aに報告しようとしたが連絡がつかず、研修医Bに報告した。研修医BはヒューマリンR8単位を皮下注射の指示を出した。13:09、主治医はハイカリックRF輸液の投与を中止した。14:00、血糖値が399mg/dLであり、看護師は研修医Aに報告した。研修医AはヒューマリンR8単位を皮下注射の指示を出した。14:57、血糖値が172mg/dLであり、看護師は研修医Aに報告した。18:30、血糖値が36mg/dLであり、50%ブドウ糖液20mLを投与した。20:43、血糖値が31mg/dLであり、50%ブドウ糖液20mLを投与した。22:00、血糖値が70mg/dLであり、50%ブドウ糖液20mLを投与した。22:27、血糖値が44mg/dLであり、10%ブドウ糖液500mL+KCL20mEqを80mL/hで開始した。翌日1:05、血糖値は153mg/dLであり、その後は低血糖にならずに経過した。
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・医師間のコミュニケーションが不足していた。・看護師の指示の確認が不十分であった。
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・医師は、処置が必要な際には事前に何が行われているかを確認してから指示を出す。・看護師は、1人の医師に統一して指示を確認する。やむを得ず複数の医師に指示を確認する場合は、状況を説明して指示を受ける。・一連の指示が口頭指示であった。その都度指示を入力してもらい前回の指示が複数の医師に伝わるようにする。
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処方・指示
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医療事故情報
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○医師同士、医師と看護師のコミュニケーションの問題である。○研修医は、看護師から数値(血糖値が高値)のみを聞き、反射的にインスリン投与の指示を出してしまったのかもしれない。研修医は、数値に対してこれまでの治療の流れを考えずに単発的に指示を出しているが、経験のある医師であれば患者の状況や治療内容を確認してから指示を出すことができたであろう。○看護師は、研修医に報告する場合は数値の情報のみではなく、別の研修医の指示によりインスリンを投与したことを報告する必要があった。
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職種経験:0年11ヶ月/部署配属期間:0年11ヶ月職種経験:1年11ヶ月/部署配属期間:1年11ヶ月
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確認を怠った/連携ができていなかった/通常とは異なる心理的条件下にあった/医薬品
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患者は、妊娠17週4日で出血のため緊急入院した。患者は妊娠糖尿病のため入院中にインスリンの投与を開始し、退院後もヒューマログ注ミリオペンの自己注射が継続となった(朝食前8単位、昼食前8単位、夕食前14単位)。ヒューマログ注ミリオペンが次回の外来までは足らず、糖尿病センターの担当医(研修医)が退院処方を出した。看護師は、病棟に届いた薬剤とオーダを確認し、薬剤を患者に見せて、目視で確認して渡し、患者は退院した。1週間後、患者から、退院時に処方されたインスリン製剤が入院中に使用していたものと異なっており、朝1回使用したと病院に連絡があり、患者は救急外来を受診した。退院時の処方がヒューマログ注ミリオペン(超速効型)ではなく、ヒューマログミックス50注ミリオペン(混合型)であったことが分かった。
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【研修医】・カルテで週末に退院する可能性があることは把握していたが、金曜日は退院が決定していなかった。・患者の退院が気になり土曜日の9時30分頃に病棟に行くと、10時の退院が決定していた。・上級医不在の状況で、退院まで時間がない中で急遽退院処方を出すことになった。・「ヒュマ」の3文字で検索したところ、ヒューマログミックス50注ミリオペンが目に入り確定した。薬剤名が間違っていることに気付かなかった。・普段から前回の処方内容をコピーして処方していなかった。【糖尿病センターリスクマネージャー】・指導医は研修医のオーダや記録を確認しているが、タイムリーにはできず、後日承認している。・研修医は指導医の承認が必要なことは知っているが、電話をかけて承認を依頼するようには指導していない。・これまでも3文字検索で今回と同様の間違いがあったが、薬剤師や看護師が気付いて未然に防げた。・薬剤の検索画面は、処方頻度が少ないヒューマログミックス50注ミリオペンが上位にあり、処方頻度が多いヒューマログ注ミリオペンが下位にあるためスクロールしないと表示されず、分かっていても間違えることがある。・薬剤の表示順の変更を提案したが、診療科により優先順位が異なるため、表示順の変更は困難であった。【薬剤部】・オーダ内容と薬剤を鑑査して薬剤を払い出す。オーダ内容と薬剤は間違っていなかったが、前回の処方内容と確認はしなかった。・平日の退院処方であれば、病棟薬剤師が前回の処方内容と違うことに気付くことはあるが、必ず気付くとは限らない。【看護師】・処方箋控えと薬剤、電子カルテのオーダと薬剤は確認するが、前回の処方内容との違いは原則として確認していない。・患者と一緒に薬剤を目視で確認したが、薬剤名まで読み合わせをしなかった。よく似た表示、外観のインスリン製剤は多種あり、患者は目視のみではその差が判別しにくかった可能性がある。
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・糖尿病センターをローテートする研修医には、インスリン製剤の種類による違いや薬効について教育を行う。・原則として、研修医のオーダは上級医が確認する(急遽退院する場合は必ずしもできない)。・インスリン製剤は、名称の類似した製剤が多くあるため、前回の処方をコピーして処方することも薬剤間違いの予防策である。
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処方・指示
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○研修医は患者の担当医だったが、退院が決定したことを知らなかった。退院を決定した医師がどのように担当医に伝達するか決まっていなかったのではないか。結果的に研修医が焦って処方することになってしまい薬剤を間違える要因になった。○ヒューマログをはじめインスリン製剤は種類も多く、名称も類似していることから間違えやすいという問題もある。しかし、退院は誰が決定して、退院処方は誰が出すかが明確に決まっておらず、研修医にそのしわ寄せがきてしまった事例である。○上級医、薬剤師、看護師の誰もが処方の間違いに気付ける機会があり、どこかでブロックできるとよかった。
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職種経験:1年5ヶ月/部署配属期間:1年5ヶ月
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確認を怠った/連携ができていなかった/通常とは異なる心理的条件下にあった/医薬品
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患者に高カリウム血症を認めたためGI療法を施行することになり、上級医より、ヒューマリンR4単位+50%ブドウ糖液40mL静脈内投与の指示が出た。看護師がすぐに対応できなかったため、研修医が薬剤を準備し、調製後に上級医に投与することを伝えて患者に静脈内投与した。投与後30分ごとの血糖測定の指示があり、看護師が血糖測定を行ったところ、低血糖であった。低血糖時の指示通りに対応したが、毎回血糖値は低く、そのたびに糖負荷を行った。翌朝まで低血糖が遷延し、疑問を持った看護師が研修医に薬剤をどのように準備したか確認したところ、20mLシリンジでインスリンを4mL(400単位)吸引し、50%ブドウ糖液20mLと混注して患者に投与したことが判明した。
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・通常、上級医は薬剤の準備を看護師に依頼するが、今回は緊急性が高いと考えて研修医に指示した。その際、具体的な言葉で指示せず、注射ラベルを研修医に渡した。・上級医は、看護師にインスリンの保管場所を聞くように研修医に指示したつもりであった。・上級医は、研修医が看護師と確認してインスリンを調製していると認識していた。・研修医は、インスリンの取り扱いが初めてであったが誰にも確認せず、上級医から受け取った注射ラベルのみを見て調製した。・研修医は、注射薬の調製に不慣れであった。また、薬剤のダブルチェックの仕方を知らなかったため、ダブルチェックをせずに患者に投与した。・以前、上級医が静脈内投与について指導した際、目視でダブルチェックを行い、指示書を見ながら行うなどの基本的なことを説明しておらず、ダブルチェックをすることの重要性を研修医に指導していなかった。・インスリンの過量投与事例に関して、院内の医療安全に関する会議、掲示等で注意喚起をしていたが、研修医に対して卒後臨床研修センターや病棟で直接注意喚起ができていなかった。そのため、研修医はインスリンの専用シリンジがあることやインスリンの単位(U)と量(mL)の違いについての知識がなかった。
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・研修医に対しては、インスリンの単位(U)と量(mL)の関係やインスリンの専用シリンジの存在を、研修会や職場安全会議を通して繰り返し周知していくことを確認した。・卒後臨床研修センターにおいて職場安全会議を毎月開催し、研修医の教育を強化する。また、研修医に積極的に職場安全会議に参加するように働き掛ける。・当該診療科では、指導医は研修医の知識が定着していることを十分に確認したうえで手技を行わせる。・院内の「ハイリスク薬」のリストを目立つように掲示するなど、確認作業の重要性を強調する。・薬剤の調製の際は、指示伝票を見てダブルチェックを行う。・研修医が1人で実施しようとしている手技があれば、看護師も気にかけて声をかけるようにする。・本事例では、遷延する低血糖に対して、適切に低血糖時の指示が出され、その指示が実施されたことで、低血糖脳症などの最悪の事態を免れた。GI療法において、適切なインスリンの用量を確実に投与することに加えて、低血糖時の必要時指示を出しておくこと、およびこれらを履行することが重要である。・インスリンの過量投与は全国で頻繁に発生する事例であり、低血糖が遷延する際には、インスリンの過量投与を想定する。
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調製
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医療事故情報
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○インスリン製剤とカリウム製剤は、特に注意が必要な薬剤であることを初期の段階から徹底的に教育することが必要であろう。○委員が所属している医療機関では、研修医がインスリン製剤のバイアルを持ち普通のシリンジで吸っている姿を病棟師長が見て、研修医に確認したことで過剰投与を未然に防ぐことができた事例が報告された。研修医がインスリン製剤を調製することはよくあることではないため、周囲がいつもと違うことに気付いた時には声をかけてフォローすることが重要である。○研修医は、薬剤の調製などの慣れないことは特に注意して実施する必要がある。○インスリン製剤の用量の表示が「単位」であることを頭で分かっていても間違えることがある。用量を間違えない仕組みとして、専用シリンジをバイアルの近くに置くなどの対策を徹底する必要がある。○研修医は、インスリン製剤を準備する際に専用シリンジを使用することを誰からも教えられることなく、実施しなければならないことがあるだろう。現状の教育体制では、このような基本的な内容の教育が漏れてしまう可能性がある。
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職種経験:0年9ヶ月/部署配属期間:0年1ヶ月
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確認を怠った/連携ができていなかった/判断を誤った/知識が不足していた/教育・訓練
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肺門・縦隔リンパ腫生検の目的で気管支鏡検査を開始した。10:52、ペチジン塩酸塩注射液、ドルミカム注射液を投与し、ファイバースコープを挿入した。11:10、ドルミカム注射液を追加で投与した。検体を採取し、止血を確認してファイバースコープを抜去した。11:30、上級医は研修医に「ナロキソンIV、アネキセート半筒IV・半筒混注」と指示した。研修医はトレイからシリンジを取り出して投与し、「拮抗しました」と言った。11:40、酸素2Lを投与し、患者は病棟に帰室した。11:50、看護師が拮抗薬のBOXの中を確認すると、薬液が入っているナロキソン塩酸塩静注とアネキセート注射液のシリンジ、空のドルミカム注射液のシリンジを発見した。医師にナロキソン塩酸塩静注とアネキセート注射液が投与されておらず、ドルミカムが投与されている可能性があることを報告した。医師は病棟に行き、アネキセート注射液を患者に投与した。
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・気管支鏡検査の際は、事前にペチジン塩酸塩注射液、ドルミカム注射液、ナロキソン塩酸塩静注、アネキセート注射液がシリンジに準備される。・ナロキソン塩酸塩静注とアネキセート注射液は「拮抗薬」と表示されたBOXに準備される。・研修医は、投与後に「拮抗しました」と言った。拮抗薬の意味は理解していたが、拮抗薬の薬剤名は知らなかった。・研修医は、気管支鏡検査についたことはあったが、拮抗薬を投与するのは今回が初めてであった。
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・本事例は、研修医と上級医のコミュニケーション不足により発生していることから、セーフティマネジメント委員会およびセーフティマネージャー会議で事例を共有した。・「医療安全管理情報」を作成し、指導者の立場からの指示の出し方、確認方法(チェックバック)を再度院内に周知した。・研修医に事例を共有し、再発防止に向けて基本的な安全確認行為を遵守することを徹底した。
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投与
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ヒヤリ・ハット事例
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○研修医は、拮抗薬の薬剤名を知らないまま、投与後に「拮抗しました」と発言している。投与する際に「これからドルミカムを投与します」と薬剤名を言っていたら、検査室にいる誰かが間違いに気付き、ドルミカム注射液の投与を防ぐことができたであろう。○研修医は、口頭で指示を受けた際、投与前に周囲に聞こえる声で薬剤名、用量等を復唱することが重要である。
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職種経験:1年/部署配属期間:1年
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確認を怠った/知識が不足していた/技術・手技が未熟だった/医薬品/教育・訓練
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患者は、脳出血の疑いがあり、救急搬送された。当院に到着時、血圧190/110mmHgであり、上級医はニカルジピン塩酸塩注射液を0.5mL投与するように指示したが、研修医は誤って5mL(0.5V)投与した。血圧の急激な低下はなく、その後はシリンジポンプを用いてニカルジピン塩酸塩注射液を投与し、血圧をコントロールした。
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・患者の搬送直後、ベッドサイドには、上級医、研修医、リーダー看護師、3年目の看護師がいた。・上級医が「ニカルジピンを0.5mL投与」と全員に聞こえるように言った後、リーダー看護師は「ニカルジピン0.5mLですね」と復唱した。その際、研修医と3年目の看護師は0.5Vと思い込んだ。・リーダー看護師は、復唱した内容をメモしなかった。・上級医とリーダー看護師は別の患者の対応のため隣のベッドに行き、研修医と3年目の看護師がその場に残った。・3年目の看護師は、ニカルジピン塩酸塩注射液5mL(0.5V)を注射器に準備した際、いつもより多い気がする、おかしいと思ったが、隣のベッドにいる上級医には確認せず、研修医に「0.5Vですね」と確認した。研修医も0.5Vと思い込んでおり、「はい」と答えて投与した。
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・降圧剤の急速静注は医師が行うため、口頭指示を受ける際は看護師だけでなく研修医も復唱するように習慣づける。・緊急事態を除いて、できるだけ口頭指示メモを使用して指示の内容を誰もが確認できるようにする。・薬剤について再度用量を確認する時は、指示を出した医師に確認する。
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投与
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ヒヤリ・ハット事例
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○最終的に薬剤の知識が不足している者同士での確認となった。○看護師は、薬剤の量に疑問を感じた際は、研修医ではなく指示を出した医師に確認する必要がある。○ニカルジピン塩酸塩注射液は、複数の規格(2mg/2mL、10mg/10mLなど)があるため、「mg」で指示を出す方が良いだろう。また、救急の場面で頻繁に使用する薬剤であれば使用方法を決めておくことも一案である。○救急の場面における指示出しや指示受けについて、その方法を組織で決めておくことやそれらを研修医に教育することが必要である。
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職種経験:1年/部署配属期間:1年
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確認を怠った/判断を誤った/知識が不足していた
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手術中、外回り看護師は、麻酔科医より0.75%アナペイン注5mLを準備するように指示を受けた。その際、神経麻酔分野の誤接続防止コネクタの黄色シリンジではなく、通常のシリンジに準備し、研修医と薬剤のダブルチェックを実施した。研修医は、黄色シリンジではなかったこと、アナペイン注に関する薬剤の知識がなかったことから、末梢静脈ラインより投与した。その後、麻酔科医が誤りに気付いた。
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・看護師は、アナペイン注を黄色シリンジで準備しなかった。・黄色シリンジは準備台の上のかごにセットされていた。・術野に針糸を出すなど、慌ただしい状況だった。・看護師と研修医がダブルチェックした際、薬剤名と用量のみを確認し、投与経路は確認しなかった。
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・アナペイン注は、黄色シリンジで準備することを遵守する。・薬剤の確認は、研修医のみでなく、麻酔科医も一緒に行う。
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投与
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医療事故情報
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○本事例で研修医にどのような指示を出したか明確ではないが、研修医が正しく投与できるような指示が上手く伝わらなかったのであろう。どんなに慌ただしくても、アナペイン注を硬膜外に投与できるように投与経路も含めて指示をすることが重要である。○研修医がアナペイン注は硬膜外に投与すると知っていたかは分からない。硬膜外用のシリンジが誤接続防止コネクタになったが、シリンジを間違えて準備した場合は静脈に投与してしまう可能性がある。○研修医は、通常のシリンジであれば静脈に投与、黄色シリンジであれば硬膜外に投与と思うため、ルールを守ろうとすればするほどこのような間違いが起きやすい。局所麻酔剤を硬膜外用の黄色シリンジで準備するルールが守られなかった場合、薬剤に知識がある者は間違いなく実施できるが、知識はないがルールのみ知っている者は間違えてしまう典型的な事例である。○硬膜外用の黄色シリンジにアナペイン注を準備していたら、静脈ルートには接続できなかった。看護師がアナペイン注を黄色シリンジに準備しなかったことも一因である。
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職種経験:0年4ヶ月/部署配属期間:0年0ヶ月
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確認を怠った/判断を誤った/知識が不足していた/技術・手技が未熟だった/通常とは異なる身体的条件下にあった
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腎臓内科に入院中の患者に右胸腔ドレーンを留置することになった。腎臓内科から呼吸器外科に胸腔ドレーンの挿入の依頼があり、呼吸器外科の研修医がX病棟で対応することになった。X病棟には胸腔ドレーン挿入のための物品がなかったため、研修医はY病棟に行き物品を準備した。研修医は指導医のもと胸腔ドレーンを挿入し、X病棟の看護師が介助した。指導医は他部署に呼ばれたため途中で不在となった。研修医が胸腔ドレーンとメラアクアシールを接続したが、ウォーターシール部に蒸留水を入れ忘れていた。看護師は胸腔ドレーンを一度見たことがあったが、介助につくのは初めてでウォーターシール部に蒸留水が入っていないことに気付かなかった。1時間後、研修医は吸引圧をかけた。看護師が「ボコボコするのを確認したらよいか」と研修医に尋ねたところ、研修医から「このまま何もしなくてもよい」と返答があった。看護師は、胸腔ドレーンの排液量とドレーンの刺入部、疼痛や呼吸苦の有無を観察しリーダー看護師へ報告し、その後、夜勤看護師へ引き継いだ。夜勤看護師はウォーターシール部に蒸留水が入っていないことに気付き、看護師に確認すると「医師がこのままでよいと言った」と答えたため、医師には確認しなかった。夜間、患者は呼吸苦を訴え、右肺の呼吸音が弱く経皮的酸素飽和度は80%台後半であった。胸部X線検査の結果、右気胸が判明した。当直医が胸腔ドレーンバッグを確認したところ、ウォーターシール部に蒸留水が入っていないことが分かった。
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・X病棟は、腎臓内科、内分泌内科、血液腫瘍内科などの混合病棟であり、胸腔ドレーンの管理や電動式低圧吸引器の使用は少ない。Y病棟は、呼吸器外科の他、心臓血管外科や呼吸器内科などの混合病棟である。・研修医は、トロッカーカテーテル、縫合セットなど、胸腔ドレーンの挿入に必要な物品を準備した。・研修医は、胸腔ドレーンの挿入は多数経験しているが、排液バッグを電動式低圧吸引器にセットしたのは1、2回であった。・呼吸器外科の手術後は全例に胸腔ドレーンを挿入するため、研修医は排液バッグが電動式低圧吸引器にセットしてある状態は知っていた。・手術室では、看護師が排液バッグの水封部に蒸留水を入れて準備するため、研修医は今回も入れてくれたと思った。・指導医は、処置が終了するまで付き添っていなかったため、胸腔ドレーンバッグのウォーターシール部に蒸留水が入っていないことに気付かなかった。・研修医は吸引圧をかけた際、看護師から「ボコボコするのを確認したらよいか」と聞かれたが、水封部に対する質問であると思わなかった。・看護師は、気胸で胸腔ドレーンを挿入している患者を一度担当したことがあったが、挿入時の介助をしたことはなかった。・看護師は、病棟が忙しく「介助につくのが初めて」ということを周囲の看護師に伝えられなかった。研修医には、初めての介助であることを伝えていた。・看護師は、胸腔ドレーンの知識が不足していた。
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・医師、看護師は処置の手順、必要物品についてマニュアル等を確認し、理解してから処置を行う。・指導医は研修医の処置が終了するまで確認する。・使用する機器等で不明な点があれば知識のあるスタッフに確認する。・具体的な言葉で意思疎通を図り、互いに確認し合う。・カンファレンスで電動式低圧吸引器の使用方法や水封の目的を確認した。・看護師は、初めての処置や経験の少ない処置の介助につく場合は、看護技術のオンラインツールを活用して事前学習をしてから対応することにした。・胸腔ドレーンの原理や取り扱い等について、医療安全講習会を開催した。・リスクマネジメント通信に事例を掲載して、職員に周知した。
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nan
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医療事故情報
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○指導医は、胸腔ドレーンの挿入の手技だけでなく処置の終了まで付き添い、その後のドレナージの状況も含めて全体を確認する必要がある。○指導医は、不慣れな者同士で処置を行うことの危険性を認識する必要がある。○事例に、手術室では看護師が排液バッグの水封部に蒸留水を入れて準備するため、今回も入れてくれたと思ったと記載されており、研修医は部署によりルールや手順が異なることを知っておく必要がある。また、それらのルールや手順を研修医に知らせる必要がある。○胸腔ドレナージバッグのウォーターシール部に予め蒸留水を入れた製品や、バッグの包装の中に蒸留水を組み込んだ製品の販売が望まれる。
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職種経験:1年2ヶ月/部署配属期間:1年2ヶ月
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確認を怠った/連携ができていなかった/判断を誤った/知識が不足していた/教育・訓練
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18時頃、研修医は、患者の右鼠径部に留置されていたブラッドアクセスカテーテルを単独で抜去し、5分程度用手圧迫した。用手圧迫後に止血を確認し、テープを貼付してガーゼで圧迫固定し、病室を離れた。研修医は抜去指示を入力せず、また看護師に抜去したことを伝えなかった。1時間後、患者の家族から車椅子に移乗したいとコールがあり、看護師は家族と共に移乗を介助し、その場を離れた。すぐにコールがあり看護師が訪室すると、車椅子の下に多量の血液を確認した。患者は顔面蒼白で呼名反応はなく、橈骨動脈は触知できなかった。出血源を探すと、右鼠径部のカテーテルが抜去されており、抜去部から出血していた。用手圧迫を20分間実施し、点滴を投与して患者の意識は回復した。
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・夜間帯にカテーテルを抜去した。・2年目の研修医が単独で実施した。・研修医の腎臓内科のローテーションは当月からだった。
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・医師と看護師のコミュニケーションを密にとる。・処置を実施する前には必ず看護師に声かけし、指示を入力する。・患者に安全な環境で処置を実施するために、夜間帯での処置は避ける。
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nan
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医療事故情報
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○ブラッドアクセスカテーテルの抜去は、研修医が単独で実施してよいか、あるいはルール自体がなかったかなどは不明であり、研修医の業務範囲がどこまで明確になっていたかは分からない。単独で実施してもよい場合は、手順や注意点の確認が必要であり、ルールがない場合は、共通のルールの作成が必要であろう。○研修医は2年間で一通りローテーションするため、研修医が2年目であると指導する側に油断が生じやすい時期である。
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職種経験:1年8ヶ月/部署配属期間:0年0ヶ月
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連携ができていなかった/知識が不足していた/教育・訓練
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研修医は、上級医に指示され1人で中心静脈カテーテルを抜去しようとした。トリプルルーメンのエクステンションラインの全てのラインクランプを閉鎖した。研修医が患者近位の三方活栓を外した時に他の医師が訪室し、ラインクランプが破損しており出血しているのを発見した。研修医は、ラインクランプが破損してラインが閉鎖されていないことに気付いていなかった。すぐにラインをクランプし、患者へ息止めを指示してカテーテルを抜去し、圧迫止血を行った。患者のバイタルサインや意識状態に問題はなかった。
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・院内のガイドラインでは、持続輸液投与ラインのエクステンションラインにシュアプラグを接続することになっていたが、接続されていなかった。・研修医は、ラインクランプの破損に気付かなかった。
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・カテーテルの接続を外す時は、ラインが閉鎖されていることを確実に確認する。
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nan
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医療事故情報
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○研修医は、カテーテルにシュアプラグ(閉鎖式コネクタ)が付いていないことや突発的に発生したモノの破損に気付かない場合がある。○中心静脈カテーテルの抜去には重大な合併症もあるため、特に初回の抜去時は研修医が注意点等を理解しているか確認することが必要である。○中心静脈カテーテルの抜去だけでなく、全体的にカテーテルやドレーンなどの「抜去」の処置は軽くみられる傾向がある。それぞれのカテーテルやドレーンの抜去に伴う合併症について教育することや、必要に応じて研修医が実施する手技を見守ることも重要であろう。
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職種経験:1年7ヶ月/部署配属期間:0年0ヶ月
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確認を怠った/観察を怠った/連携ができていなかった/判断を誤った/知識が不足していた/技術・手技が未熟だった/その他:夜勤明け/教育・訓練
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研修医は、手術患者が麻酔からの覚醒時に動いたため、上級医が気管チューブの抜管を許可する前に、焦って気管チューブを抜去してしまった。この時、カフのエアを抜かなかった。
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・研修医は、上級医がいない状態で麻酔管理をする時間が多くなり、自立して1人でできるようにならなければいけないという気負いがあった。・研修医は、慌てていた。
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・研修医は一つ一つの行動を落ち着いて、確認しながら行う。・上級医は、研修医が予期せぬ事態に焦って、突発的な行動を起こす可能性を念頭に置いて指導する。
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nan
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ヒヤリ・ハット事例
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○研修医は突発的に想定外の行動をすることがある。上級医は、研修医の想定外の行動について心構えをしておく必要があるだろう。
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職種経験:0年/部署配属期間:0年
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判断を誤った/通常とは異なる心理的条件下にあった/教育・訓練
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全身ガリウムシンチグラフィ検査の際、研修医はクエン酸ガリウム注を静脈注射するため駆血し、穿刺した。駆血帯を外す前に薬液を注入したため、刺入部から薬液が飛び散り周囲を汚染した。患者に有害事象は無く検査に影響はなかった。
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・指導医は、研修医の穿刺を直接監視していなかった。
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・放射性医薬品は慎重に取り扱う。・静脈注射の手順を遵守する。
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nan
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医療事故情報
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○経験がある医師や看護師は、静脈注射(血管の選択、駆血帯の取り外しなど)が工程として身についている。研修医のように身についていない場合は、手順を一から確認して教えていく時期が必要である。○研修医は、静脈穿刺が上手くいったことで安心して駆血帯を外すことを忘れてしまったのかもしれない。○慣れない時期は、静脈穿刺が上手くいった際に油断してはいけないこと、理屈は分かっていてもほっとした時に手順を忘れてしまうことがあることを研修医に教えることで、このような事例を防ぐことができるかもしれない。○静脈注射は、診療科特有の内容ではなく基本的な手技であり、体系的な教育やその確認・評価ができるような仕組みが必要であろう。
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職種経験:0年4ヶ月/部署配属期間:0年1ヶ月
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確認を怠った/観察を怠った/連携ができていなかった/判断を誤った/技術・手技が未熟だった/医薬品/教育・訓練
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抗癌剤の投与前日に患者の血管を確保し輸液を開始していた。夜間、患者の寝返りで留置針が抜去されたため、看護師は研修医に再留置を依頼した。血管確保後、看護師が輸液を再開した際に留置針が24Gであることに気付いた。9時、抗癌剤の投与前に主治医が20Gに入れ替えた。
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・夜間帯で血管確保の準備と穿刺を研修医に依頼し、看護師が介助できなかった。
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・血管確保の目的を理解し、適切なサイズの留置針を選択する。・医師と看護師は、血管確保の目的を共有するため、相互に対話し確認する。
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nan
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医療事故情報
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○血管確保時の穿刺針のサイズの選択は、診療科特有の内容ではなく基本的な手技であり、体系的な教育やその確認・評価ができるような仕組みが必要であろう。
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職種経験:1年3ヶ月/部署配属期間:1年3ヶ月
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連携ができていなかった/判断を誤った/知識が不足していた/教育・訓練
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高血圧緊急症のため降圧剤を輸液ポンプで投与していた。患者が尿意を訴えたため、研修医は輸液ポンプから輸液ルートを外してトイレへ移送した。クレンメを閉じていなかったため、降圧剤が急速投与された。
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・研修医は、輸液ポンプの取り扱いに不慣れであった。・輸液ポンプから輸液ルートを外す前に、クレンメを必ず閉じる手順が遵守できていなかった。
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・研修医に輸液ポンプから輸液ルートを外す際の手順を周知する。
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nan
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医療事故情報
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○輸液ポンプの取り扱いは、診療科特有の内容ではなく基本的な手技であり、体系的な教育やその確認・評価ができるような仕組みが必要であろう。○輸液ポンプやシリンジポンプの取り扱いについて、輸液ポンプから輸液ルートを取り外す場合、取り外さなくてもよい場合などを含めて研修医にオリエンテーションで教える必要がある。
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職種経験:0年7ヶ月/部署配属期間:0年7ヶ月
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確認を怠った/観察を怠った/判断を誤った/知識が不足していた/技術・手技が未熟だった/勤務状況が繁忙だった
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研修医は、上級医からSARS-CoV-2の検査が必要な患者の検体採取の指示を受け、咽頭から採取した。採取後に上級医に確認したところ、鼻腔から採取することを指摘され、採取し直した。
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・研修医は、初めて検体を採取した。また、採取の場面を見たことがなかった。・上級医や看護師に手技を確認しなかった。・検査オーダを見落とした。
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・初めての手技は、上級医もしくは看護師に確認する。・実施前に検査オーダを確認する。
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nan
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ヒヤリ・ハット事例
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○検体の採取部位を知らなければ実施できないため、分からないことは実施前に必ず確認する必要がある。○SARS-CoV-2の検体の採取は診療科特有の手技ではなく、体系的な教育やその確認・評価ができるような仕組みが必要であろう。
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職種経験:0年/部署配属期間:0年
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確認を怠った/知識が不足していた
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