具体的内容
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| 背景・要因
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| 改善策
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| 記述情報
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values | 専門分析班及び総合評価部会の議論
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values | 訪問での専門分析班委員の主な意見
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values | 人工呼吸器※
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values | 誤った処方内容
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|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
無呼吸に対しASV導入中の患者がオートセットCS-AをASVモードで使用していた。勤務開始時に機器の電源がOFFになっており、約9時間作動していなかった可能性があることを発見した。
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日勤帯より使用を開始していた。その時より設定の記載はあったが、患者のデータに関する記録が残されていなかった。正しく作動していたかは不明である。翌日、看護師が準夜帯勤務時にASVの作動状況を確認した時、作動していない事を発見した。2日前よりASVモードで使用していたが、在宅用の機器であり専用のチェックリストはないため、N-DPAPのチェックリストで代用していた。当日の日勤者は使用方法の知識がなく医療者用パンフレットを見ながら使用していた。
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・人工呼吸器を使用している際は呼吸器の設定や患者データをACSYSに記載する。・人工呼吸器に対応したチェックリストを使用する。・在宅用のレンタル機器を使用する場合は他職種に確認する。
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NPPVが作動していなかった事例
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・使用していたチェックリストの詳細は不明であるが、人工呼吸器が作動しているかどうかの確認は機器の種類によらず必須であろう。
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患者は在宅用人工呼吸器トリロジー100を持参した。ロング勤務担当看護師Aは夜勤看護師Bとボディチェックを行い、人工呼吸器の設定を看護師Aが指示を見て、看護師Bに指導をしながら確認をした。「夜間のみ2L投与」の指示を見たが、看護師Bは当該機器を扱うのは初めてであったが、以前に類似の機器を見たことがあり、酸素は機械の中で既に設定されていると思い込んだ。確認のため看護師Aに質問したが、明確な返答はなかった。パートナーの夜勤看護師Cは、設定確認はもう済んでいると思い、経過表上で設定内容とモニター上の数値を確認したが、指示簿の「夜間のみ酸素2L」を見逃していた。翌日、看護師Bが日勤看護師Dとボディチェックを行った時に、酸素投与はどうしているのか確認され、夜間投与していなかったことがわかった。
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看護師A、B、C共に在宅用の人工呼吸器の取り扱いがよくわかっていなかった。不慣れな機器であったが、十分に理解しないまま業務を優先してしまった。勤務交代時以外にパートナーと設定確認しなかった。指示を指差し呼称して確認していなかった。
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・経過表ではなく指示簿をタイムリーに確認する。・初めての機器を取り扱う時は、患者、医師、臨床工学技士、パートナー看護師に確認する。
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人工呼吸器の取り扱い方法がわからず酸素を投与しなかった事例
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・在宅で使用する人工呼吸器は酸素取入口が人工呼吸器の背面にあるものがあり、慣れていないとわかりにくい可能性があるが、酸素を投与する場合は何らかの形で酸素が人工呼吸器に供給される必要があることを認識することが基本である。・添付文書や簡易取扱説明書がすぐ参照できるように準備しておくとよいだろう。
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14時40分に入院し、17時より人工呼吸器の使用を開始した。児の母親が在宅で使用している人工呼吸器トリロジーを設置した。人工呼吸器は加温加湿器を使用していたが、酸素チューブをアクアパックに接続した状態で酸素取入口につないでしまった。翌日の日勤勤務者に不適切な使用を指摘された。児のバイタルサインや呼吸状態は著変なく経過した。加湿された酸素が人工呼吸器内に取り込まれていたため、機器の交換を行い、業者に点検を依頼した。医師に報告し、経過観察の指示を受ける。
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看護師は人工呼吸器管理の経験がなかった。リーダー看護師とチェックリストを用いて点検を行ったが、適切な使用方法についての知識がなかったため、アクアパックが接続されていることが不適切と気付けなかった。
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・経験のない医療機器の使用は他スタッフと一緒に確認する。・チェックリストを用いた確認時は、酸素アウトレットから患者の口元までの全体を照らし合わせながら行う。・チェックリストだけではなく、視覚的に確認できるようなツールの作成を検討する。
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酸素取入口に加湿した酸素を接続した事例
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・人工呼吸器の基本的な構造を理解し、どこから酸素が入ってどこから出るのかを把握しておくことが必要である。・補給用酸素は人工呼吸器の内部で空気と混合されるので加湿してはならない。
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患者は呼吸器内科で気管支鏡検査の予定であった。通常、気管支鏡検査時には医師がミダゾラム(10mg)1Aと生理食塩液20mLをセットで注射オーダし、検査呼び出し時に看護師は溶解せず検査室に持参し、検査開始前に医師が患者の呼吸状態などを考慮して量を決めて投与している。ミダゾラムの注射オーダを入れる際に「気管支鏡検査室に持参」とコメントを入れるが、本事例では医師がコメントを入れ忘れていた。担当看護師は、当院での気管支鏡検査の準備は経験がなかった。午前中に電子カルテで13時にミダゾラムと生理食塩液の処方オーダがあることを確認し、検査前投薬だと思っていた。14時50分頃、気管支鏡検査の呼び出しがあり、看護師は検査室持参と思わず注射指示に従いミダゾラム1A+生理食塩液20mLを全量投与した。ミダゾラム投与による呼吸抑制が生じ、一時的に自発呼吸が止まった。緊急コールで人を集めバッグバルブマスク換気を行い、自発呼吸が少し戻りつつあるところでフルマゼニルを投与し、呼吸状態・意識レベルは速やかに改善した。
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・呼吸器内科と呼吸器外科で気管支鏡検査時の鎮静剤のオーダ内容は統一されておらず、注射オーダのセット化はされていなかった。・注射オーダの際にコメントが入力されておらず、指示画面には「ミダゾラム10mg/2mL、生理食塩液20mL、手技IV、静注」と表示されていたため、担当看護師は病棟で投与するものと思い込んでいた。・担当看護師は他院の呼吸器内科病棟で6年の経験があったが、他院での気管支鏡検査時はミダゾラムを使用しておらず、病棟で前投薬を投与していた。・担当看護師は、当院に入職して半年以上経過していたが、当院では気管支鏡検査を担当したことがなかった。・担当看護師は、気管支鏡検査の準備が初めてであることを周囲に伝えていなかった。・担当看護師は、検査室より呼び出しがあり遅れてはいけないと焦りがあった。・担当看護師は、院内の静脈注射の研修でミダゾラムは看護師が投与しない薬剤であることを学んでいたが忘れていた。・ミダゾラムはダブルチェックが必要な薬剤であったが、焦っていたこともあり、調製時や投与時にダブルチェックをしなかった。・担当看護師は、鎮静作用のある薬だと把握していたが、どの程度の濃度・速度で呼吸抑制が起こるか知識が不足していた。・ペアの看護師は、当日朝に担当看護師と薬剤は確認したが、投与方法は確認しなかった。その際、検査室へ持参することは分かっているだろうと思い、言葉に出して確認しなかった。・担当看護師が当院で気管支鏡検査の経験がないことを把握していなかった。・病棟には、中途採用者に対しての指導マニュアルはなかった。・院内で看護師による静脈注射の実施範囲が定められており、ワンショットで施行する鎮静剤は医師のみ施行可能であったが、一覧表には鎮静薬の販売名等は記載されていなかった。
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・初めて行う検査・処置の時はペア看護師、リーダー看護師に相談・確認しながら施行する。・注射指示で不安や疑問を感じた時は主治医へ確認を行う。・看護師が実施出来る静脈注射のレベルを再度確認する。・院内の看護師による静脈注射の実施範囲について、再度部署で周知するよう看護師長会議で周知した。・医師は注射オーダをする際に、入力漏れがないかどうかその都度確認する。・些細なことでも看護師が医師に確認しやすいよう、普段から連携をとる。・ミダゾラムを病棟から持参することを中止し、検査室にミダゾラムを配置した。・医師と看護師でダブルチェック後に医師が投与する運用に変更した。・呼吸器内科の気管支鏡検査時は、薬剤を投与する前にタイムアウトを実施し、手順を口頭で確認後に検査を開始している。・当該病棟で「経験者未経験項目チェックリスト」を作成して、使用することとした。
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患児は16時に鎮静下で胆道シンチグラフィの予定であった。14時30分頃に検査室から検査に来るよう連絡があった。その際、医師へ連絡せず、看護補助者が患児を検査室に連れて行った。14時40分頃、検査室から眠らせに来てくださいと連絡があった。看護師は、医師のオーダを確認し、イソゾール注射用0.5g1Vを注射用水20mLで溶解後、生理食塩液100mLに混注し、全量120mLとして成人用点滴セットをつなぎ、検査室に持って行った。15時10分に検査室でイソゾールを自然滴下で点滴静注開始した(滴下速度は2秒に1滴)。メインの輸液は10mL/hで投与していた。モニター、SpOプローブは装着しなかっ2た。滴下を確認し、母と一緒に病棟に戻った。15時55分頃に医師から検査について問い合わせがあり、患児は検査室に行っていると報告した。その際、医師から誰に指示をもらったのかと質問を受け、看護師が投与していたことを報告した。医師の管理下ではない状況でイソゾールを投与し、過剰投与されたことが判明した。16時03分に検査室に医師と受け持ち看護師が到着した。患児は顔面蒼白、口唇にチアノーゼあり、末梢冷感あり、自発呼吸は微弱であった。16時07分に酸素全開でバッグバルブマスクにて補助換気を開始し、心電図モニター、SpOモニターを開始した。162時30分にICUに入室し気管挿管となった。
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・主治医が想定していた時間よりも早く検査に呼ばれたが、主治医に連絡がなかった。・今回使用したイソゾールは、小児科での使用頻度が比較的少ない薬剤であったため、看護師、診療放射線技師は最も慎重に取り扱うべき薬剤であるという認識が足りなかった。・準備された薬剤の量が、小児に対して使用する量としては多く、薬剤師の疑義照会もなく病棟へ通常のカートで払い出された。点滴投与ルートについても通常成人に使用するものを使用しており、細かい設定がやりにくいものであった。・トリクロリールやエスクレなどの薬剤では通常は医師や看護師の立ち合いはないため、看護師、診療放射線技師は、今回使用したイソゾールもそのような薬剤だと思い込んでいた。・前日に同じ検査がスムーズに行われていたため、気の緩みがあった。
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・静脈麻酔薬使用時の検査についてマニュアル、チェックリストを作成した。・職員教育を実施し、医師が到着するまで検査を行わないことなどを周知した。・イソゾールの注射箋に麻酔薬の表示を入れた。
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気管支鏡検査時に患者の嘔吐反射が強いため、主治医は検査介助をしていた病棟看護師にミダゾラムを準備するように指示を出した。看護師は、ミダゾラム10mg1Aを生理食塩液8mLで希釈し、10mLにした。主治医より「ミダゾラムを2ミリ入れて」との指示があり、看護師は、「ミダゾラム2ミリですね」と確認し、ミダゾラムは1Aが2mLだから全部入れるのだと思い全量を静注した。投与直後、主治医より「全部入れたの」「混注したものを2cc入れるんだよ」と言われ過剰投与に気付いた。
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・看護師は、単独での気管支鏡検査の介助は2回目であり経験が不足していた。・ミダゾラムの作用、用法の知識不足があった。・医師の指示が曖昧であった。・検査中の指示確認方法のルールがなかった。
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・気管支鏡検査の介助看護師の教育を見直す。・検査中の口頭指示の確認会話をルール化する。
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内視鏡検査準備中の患者を左側臥位にして背面から支えるため、研修医は患者の右側でサポートしていた。患者の体動が激しく、鎮静目的で看護師がシリンジに入れたプロポフォールを左側にいた上級医に渡したが、IVルートが右側にあったため、右側でサポートしていた研修医に渡された。その際、3mL投与と言われたようだがIVルートを探していたため聞き逃していた。投与前に流速に関する注意点を上級医に確認したが、ゆっくり投与するよう指示され、シリンジ内の一部のみ投与するという事が頭になく、投与量を確認しなかった。「プロポフォールIVします」と言い薬液を注入した。15mL入れたところで上級医が気付き、研修医に中止を指示した。すぐにシリンジを引いたがルート内の薬液を回収できるのみであった。意識レベルの低下、呼吸抑制を認め、バッグバルブマスク換気を行い経鼻エアウエイを挿入した。
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・プロポフォールの用量に対する認識不足があった。・投与量の確認をしなかった。・静脈注射はシリンジ内の全量投与しか経験がなかった。
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・薬剤投与の際、投与量、流速を確認し声に出して報告してから投与する。・鎮静目的に使用する薬剤を検討する。・薬剤師が介入を行う。・教育を徹底する。・インシデント内容を医局員全員に周知し注意喚起を促した。
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子宮脱の患者に対し膣式子宮全摘術を行う予定であったが、患者は術前に肺炎となり、元々予定していた手術日は延期になった。手術予定日を組み直す間にメッシュ固定術を行う術式に変更となった。執刀医は術式変更前に作成された術前検討記録およびチェックリストをもとに患者情報を把握したが、直近のカルテの情報に目を通していなかった。また、患者と術式について最終の確認を行わなかった。そのため、執刀医は術式が変更されたことを把握していなかった。手術当日、執刀医が執刀直前の確認で術式を膣式子宮全摘術と言ったことで、執刀医が行おうとしている術式が違うことに気付いた。
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・術式を説明した医師と執刀医が異なっていた。・説明した医師と執刀医が異なる場合や術式を変更した際に、診療科内で情報共有ができていなかった。・患者が入院した際、執刀医は挨拶のみ行い、患者と病状や術式に関する確認を行わなかった。
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・術式を説明した医師と執刀医が異なる場合や術式を変更した場合、診療科内でどのように情報共有していくのか、診療体制も含め検討している。・執刀直前の確認が効いた事例であり、今後も執刀直前の確認を継続していく。
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執刀直前の確認で執刀医が予定していた術式が誤っていることに気付いた事例
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乳癌の診断で手術予定であった。外来担当医は術式や治療について説明し、病態や進行度を考えると「部分切除術」の選択が一般的であったが、家族の強い希望もあり拡大手術(右乳房全摘出術)の方針となった。手術準備のため1週間前に入院し、右乳房部分切除術を実施した。術直後、家族に標本の説明をした際、「同意した術式と異なる」と指摘を受け、手術申し込みの術式と手術同意書の術式が異なることが分かった。その後、全摘手術を追加で実施した。
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・患者家族へ説明した医師と、手術申し込みをした医師が異なっていたため、誤った術式で申し込みがされた。・診療科医師や看護師の間でカンファレンスは実施されておらず、患者や術式に関する情報が共有されていなかった。・入院後、病棟看護師は手術に対する患者の受け止めや、術式確認を行っていなかった。・手術室看護師と病棟看護師との引き継ぎでは、具体的に手術同意書のどの部分を確認するか不明確だった。・手術に関わる医療者全員と患者とで、手術同意書をもとに術式を確認する仕組みがなかった。
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・診療科カンファレンスでは、診療録とカンファレンスシートを双方で確認しながら検討する。・診療科と病棟看護師で患者カンファレンスを実施し、診療科カンファレンスシートを共有する。・手術同意書を受け取る際、説明に対する患者の理解や受け止め、手術同意書の内容を医療者が確認しサインすることをルール化した。・手術室入室時の確認を患者、診療科医師、麻酔科医師、病棟看護師、手術室看護師で実施し、術式については手術同意書で確認することをルール化した。
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手術申し込みの術式が間違っていた事例
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患者は、外来受診時に卵管結紮を希望していた。手術予定日を決定した際、帝王切開と卵管結紮の手術予定やそれに伴う準備物品について電子カルテに入力し、手術室を予約した。入院直前の外来診察において「費用などの問題もあり、卵管結紮を希望しない」と患者の意思が変わった。医師は、電子カルテ上の掲示板に「卵管結紮は希望せず」と記入したが、予定術式や準備物品などについては変更しなかった。手術当日、サインイン、タイムアウトが行われ、帝王切開術に関する手術同意書の確認が行われたが、卵管結紮については何もコメントしなかった。帝王切開を終え、閉腹する直前に、看護師が「手術予定となっている卵管結紮は行わなくてよいのか」と声をかけた。執刀医は、予定術式に従って卵管結紮を開始した。直後に、電子カルテの掲示板の記載を確認し、同意のない卵管結紮が行われたことが発見された。すぐに、患者に希望を確認し、家族にも確認を行い、同意を得た。
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・外来担当医が、患者の希望が変更となった際に、予定術式や準備物品などの変更をしなかった。・執刀医(外来担当医)は、患者が当初は卵管結紮を希望していたため、卵管結紮を行うものだと思い込んだ。・手術同意書に記載がないものに関しては手術を行わないというルールを守れなかった。・予定術式が変更になる、または処置が追加される場合に、手術同意書や患者情報を再度確認しなかった。
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・予定術式が変更になる、または処置が追加されるなどの場合には、再度手術同意書を用いて、タイムアウトを行う。・執刀医、助手などの術者が変更、追加になる場合にも手術同意書を用いて、タイムアウトを行うことにした。
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手術申し込みの術式が間違っていた事例
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患者は肺癌の検査および治療を目的に当院呼吸器科に紹介となった。手術適応に関して呼吸器外科にコンサルトとなり、手術をする方針となった。また、右下葉の結節に関しては非常に淡い陰影であるが肺癌を否定出来ず、触知可能であれば部分切除も検討することになった。予定術式は胸腔鏡下右上葉切除術+右下葉部分切除術+縦隔リンパ節郭清であった。看護師および麻酔科医は予定術式やカルテにも記載があるため、術中に確認して可能であれば部分切除する方針であることは理解していた。執刀直前の確認の時点で、術者は予定術式を「胸腔鏡下右上葉切除術」と言い、右下葉部分切除については言及しなかった。術後、家族への説明時に右上葉切除の話をした後、「右下葉の結節はどうでしたか?」と質問があり、右下葉の結節確認のために開胸して確認するプロセスを失念していたことに気付いた。
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・手術開始時のタイムアウトで術者が右上葉切除の宣言だけを行い、下葉部分切除を同時に行うことの宣言を忘れていた。・麻酔科医、看護師は下葉部分切除を行う予定であることは認識していたが、術中に触知できなかった等の理由で下葉部分切除が中止になったと認識していた。
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・術者と麻酔科医、看護師の間で認識を共有できていなかったことが問題であり、今後は今まで以上に術中にコミュニケーションを行い、状況、認識等を共有していく。
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手術申し込みの術式は正しかったが、実際の術式を間違えた事例
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外来受診時、外来担当医Aが右乳癌の術式として「右乳頭乳輪温存皮下乳腺全摘術」を行うと説明し同意を得た。入院時の主治医で執刀医の医師B(後期研修医)は手術説明の際に同席しており、医師Aの説明の後に卒後12年目の医師Cと一緒に別室で患者から手術同意書にサインをもらった。医師Aは手術日を提案したが、患者は医師Aが病院に不在である日を希望したため、手術は医師Bと医師Cが担当する予定となった。医師Cが手術申し込みを行い、術式を「右皮下乳腺全摘術+センチネルリンパ節生検」と入力した。手術1週間前の術前カンファレンスに医師Aと医師Cは参加できなかった。カンファレンスにて医師Bは患者の術式が「右乳頭乳輪温存皮下乳腺全摘+センチネルリンパ節生検」と確認した。手術前日に患者は入院した。通常、手術前日に、執刀する医師Bあるいは医師Cが超音波検査下に手術部位のマーキングを行っているが、医師A、医師B、医師Cは会議があり、この日は患者の診察は医師D(初期研修医)が行い、カルテに入院初日の診察の内容を記載した。手術当日、8時頃に朝の回診で医師C、医師Dが患者に挨拶をした。8時30分に手術室に入室し、医師Bが入室時の患者確認を行った。全身麻酔の導入後、医師Bと医師Cはポータブルエコーを用いて腫瘍部位の確認を行い、右乳癌であること、画像所見と相違が無いことを確認した。医師Cが術野の消毒を行い、医師Bが患者氏名と術式を言い、医師と看護師全員でタイムアウトを行った。その際、医師Bは手術直前のタイムアウトを行ったと言うが、手術室内の看護師はタイムアウトを行った認識がなく、確実なタイムアウトが行われていなかった。医師Bが執刀し、医師Cと医師Dが助手をした。医師Cは術前には乳頭乳輪を温存することを認識していたが、手術の際には失念していた。手術は予定と異なる「右乳房全切除術+センチネルリンパ節生検」を行った。
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・手術直前のタイムアウトの際に確認する手術申込書にも「右皮下乳腺全摘」と書かれているが、術者がタイムアウトの術式確認を口頭で行うのみで文書と照合していなかった。・手術申し込みを間違える可能性があり、術式の確認は手術申込書と手術同意書で行うべきであった。・乳頭温存乳房全切除術(皮下乳腺全切除と同義語:臨床・病理乳癌取り扱い規約第18版)は手術申し込みの予定術式の選択肢に無い術式であったため、「フリー術式入力」より入力した。・手術前のマーキングは、左右や部位の間違いがないように行うため皮膚切開線の記載までは通常行なっておらず、乳頭温存乳腺切除術と乳房全切除術でマーキングの方法に違いはない。・患者には希な基礎疾患があり、全身麻酔のリスクがあることから、術式に対する関心が薄れていた。
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・タイムアウトの適切な実施について検討し、以下を従来のタイムアウトの項目に追加した。1)麻酔導入前に主治医または執刀医が、手術票と手術同意書の術式が一致していることを確認する。2)皮膚切開前に執刀医・麻酔医・外回り看護師が、手術票を見て、患者氏名、術式、手術予定時間、予想出血量を確認する。3)皮膚切開前のタイムアウトを誰と行ったかを外回り看護師が記録する。・手術申し込みの際、術式をデフォルト入力できるように医療情報部と相談する。
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手術申し込みの術式は正しかったが、実際の術式を間違えた事例
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患者は前立腺肥大で、タムスロシン塩酸塩OD錠0.2mg1錠(分1朝)を開始したが効果が不十分で、アボルブカプセル0.5mg1カプセル(分1朝)を追加した後であった。医師はやはり効果が十分ではないと判断し、ザルティア錠を開始することにしたが、電子カルテに入力する際、誤ってザイティガ錠をオーダした。院外処方箋で処方され、保険薬局に持ち込まれた。これまでも同じ保険薬局で調剤していたが、薬局では患者への確認や疑義照会もなく、処方通りに調剤し、患者に交付した。患者は今回追加となった薬剤であったため、薬剤の間違いに気付くことはなく約2週間服用を続けていた。病院内でレセプトをチェックした際、医療事務の職員が「前立腺肥大」の病名で「(腫)ザイティガ錠」が処方されていることに気付き、カルテを確認したところ、生検で悪性が否定されていることからオーダ間違いの可能性があると報告があった。
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・当院の処方システムでは、3文字以上の入力で検索することになっており、当時の詳細な検索方法は不明であるが両剤が同時に表示されることはない。・ザイティガ錠とザルティア錠は文字列が違うものの、見た目や発音上の類似点が多い。さらには同じ泌尿器科領域の薬剤で、前立腺に対し良性か悪性かで処方が異なる。・泌尿器科医師が、前立腺疾患の患者の診察を継続的に行っている中で、どちらの薬剤もよく処方するため、非常にリスクが高いと考える。・ザイティガ錠は、通常プレドニゾロンを併用して投与する薬剤であるが、当該患者にはステロイドの処方はなかった。
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・本事例が発生する前から、電子カルテでの表示は「(腫)ザイティガ錠(250mg)」と表示されるように対策を立てていた。現状、これ以上の対策は難しいと考えている。
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処方の事例
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患者は高尿酸血症・高脂血症の治療目的で糖尿病・代謝・内分泌内科を定期的に受診し、内服薬でコントロールしていた。19日前に外来受診し、ユリノーム錠50mg(尿酸排泄薬)を含む3剤が院内処方された。薬剤部ではユリノーム錠50mgのところ、誤ってユリーフ錠4mg(排尿障害治療薬)を調剤し、鑑査者も誤りに気付かずそのまま患者に交付した。その後、患者が脊柱管狭窄症に対する神経根ブロックの目的で入院した。病棟薬剤師が持参薬を確認した際、処方されているはずのユリノーム錠50mgではなくユリーフ錠4mgを持っており、調剤時の薬剤取り違えが判明した。患者に確認すると、処方された翌日から入院前日までユリーフ錠を内服していたことが分かった。薬剤部でユリノーム錠に交換し、内服を開始した。翌日の採血データは、UA7.5(約1ヶ月前:UA4.4)であった。
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・調剤を行う薬剤師以外に、2名の薬剤師が鑑査を実施する。・今回、調剤をした薬剤師は、以前にも同様の間違いをして鑑査者に気付いてもらったことがあったが、今回は鑑査者も気付かず誤って交付した。・処方箋には棚番号および調剤総量が印字されているが、今回は棚番号を確認せず、思い込みでユリーフ錠の棚から必要錠数を調剤した。・患者は前回までの薬と外観が違うことは気付いていたが、ユリノーム錠の包装が変わったと思い、そのまま服用していた。
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・処方箋には棚番号および調剤総量が印字されているので、棚番号を確認して調剤を行うことを徹底する。・ユリノーム錠とユリーフ錠の棚に「類似薬品名称あり」の表示を行い、注意喚起する。
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調剤の事例
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切迫早産で入院加療中の患者に、リトドリン錠5mg(切迫流・早産治療剤)1日4回毎食後・眠前の処方オーダが出ていた。しかし、リトドリン錠5mgではなく、ミドドリン錠2mg(低血圧治療剤)が調剤・鑑査され、病棟へ払い出された。病棟でも気付かず、患者は朝・昼・夕・眠前、翌日朝・昼・夕の計7回服用した。2日目の準夜帯、翌日分の薬を助産師2名で確認していた際に誤りに気付いた。
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【薬剤室】・当直時間帯での調剤で注意力が不足していた。・急ぎの薬剤ではなかったが、当日は、定期内服処方日で臨時処方を調剤しておかないと日勤が多忙になるという意識があった。・切迫早産の薬で注意が必要であり、名称類似もあるという意識はしていたが、調剤依頼2件、問い合わせ2件、冷所品がないという連絡で病棟へ確認に行くなどの中断作業があり、注意力が不足した。・薬剤名や錠数などをチェックするという内規があったが遵守していなかった。・名称が類似した薬剤を採用していた。【病棟】・臨時処方の配薬のセットをリーダー1人で行っていた。・内服したかの確認だけで配薬された薬剤の名称まで確認していなかった。・薬剤が間違っていないだろうという思い込みで行動していた。・ダブルチェックの際に、薬剤を1人が目視するだけで正しく確認できておらず、ダブルチェックの意味が無かった。
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【薬剤室】・ミドドリン錠2mgの採用を中止し、メトリジンD錠2mgへ切り替える。・当直勤務者が依頼を受けていない調剤を行うことを中止する。・調剤者が処方箋に必ず確認事項のチェックを赤字で記入し、チェックの入っていない薬剤は調剤者へ差し戻す。【病棟】・臨時処方薬を配薬カートへセットする際は、リーダー1人で行わず、受け持ち助産師とダブルチェックする。・ダブルチェックの方法を変更する(電子カルテの読み上げと薬剤の指さし呼称、その後、役割を変えて同様の確認作業を行う)。・1日分の配薬を中止し、1回配薬に変更した。
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調剤の事例
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ベッドの右側に人工呼吸器を設置していた。看護師2名で保清を行った後に体位変換をした。その際、人工呼吸器の回路がホルダーに固定されていたが気がつかず、患者を左側臥位にした時に気管チューブにテンションがかかり、チューブが抜けた。
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・人工呼吸器管理中であり、体位変換時に気管チューブの抜去のリスクがあることは予測できていたが、確認が不十分だった。・人工呼吸器の回路がホルダーに固定されていたことで、体位変換時にテンションがかかって引っ張られた。・1年目と2年目の看護師2名でケアを実施しており、知識や技術が未熟であった。・人工呼吸器装着患者の看護手順に体位変換時の注意点などに関する項目がなかった。
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・処置の前後には、気管チューブの固定やカフ圧を確認する。・体位変換をする前に、環境が整っているか確認してから実施する。・体位変換は2名以上で実施し、気管チューブが抜けないように回路を手で支え、チューブの固定を観察しながら実施する。・人工呼吸器装着患者や重症患者のケア、不慣れなケアは、先輩看護師と共に実施する。・看護手順を整備し、eラーニングを活用する。
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気管チューブ
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気管切開チューブのカフ圧は27mmHgであった。看護師2名で陰部洗浄を実施中に右側臥位にした。その際、コーケンカニューレホルダーのマジックテープが片方外れており、気管切開チューブが2/3程度体外へ出ていた。その直後に患者が咳嗽し、挿入されていたチューブが完全に抜けた。スタッフコール、ドクターコールし、医師到着までの間、自発呼吸があったため、酸素マスクを装着した。当直医がチューブを再挿入し、その後呼吸状態に変動なく経過した。
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・体位変換をする際、気管切開チューブの挿入部への注意が足りなかった。
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・体位変換をする際は、気管切開チューブの挿入部にも十分な注意を払う。・気管切開チューブを以前より強めに固定する。また、皮膚トラブルの発生に注意する。・患者への挿入物は、すべて声だし確認してからケアや処置をする。また、必ず2名以上で実施する。・ケアや処置の前後にはカフ圧や気管切開チューブの固定を確認する。
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気管切開チューブ
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入院4日目に気管切開し、人工呼吸器管理をしていた。気管切開後1日目に、看護師3名で背部清拭と陰部洗浄を行った。看護師Aが気管切開チューブと患者の頭を保持し、看護師Bが体幹を支えて左側臥位にした。その後、看護師Aは、頭の保持から肩の保持に変えた。その際、声漏れがありSpOが90%まで低下し、2換気がされていないことに気付いた。すぐに仰臥位にしてカフ圧を測定すると、カフは抜けていた。吸引も行えなかったため、緊急コールをした。皮下に迷入した可能性が高いと救急医師により判断され、再挿入となった。
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・気管切開術翌日であり、気管周囲組織が脆弱であった可能性、バッキングや体位変換による動揺で過度な圧力がかかった可能性がある。・体位変換時、気管切開チューブではなく、トラックケアの上から固定、保持をしていた。・人工呼吸器回路の位置による過度の張力も考えられる。
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・ケアは複数の介助者で実施し、1名は頭側から気管切開チューブを直接固定、保持する。・自発呼吸のある患者の場合は、人工呼吸器の回路の接続を外して体位変換をする。・患者の体動により固定具が緩むことを考慮し、体位変換前に確認する。・固定具に綿テープを使用することを医師と検討する。
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気管切開チューブ
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看護師2名で体位変換をした際、口腔内よりエア漏れの音がした。SpO2の著明な変動はなかったが、分時換気量の低下を認めた。気管切開チューブは明らかに抜けた状態ではなかったため位置の調整を試みたが、換気ができておらず、すぐに担当医と耳鼻科医師へ報告した。担当医が気管切開チューブを抜去し、経口挿管して換気を開始した。麻酔科医師へ応援を要請し、気管切開チューブを挿入して人工呼吸器での換気を再開した。その間、血行動態の変動はなかった。
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・固定テープで気管切開チューブを固定していたが、体位変換の前に固定状態や緩みがないかの確認が不足していた。・体位変換の際に、看護師が気管切開チューブを押さえて体を動かすようにして、相手の看護師と声をかけ合って動かしたが、押さえ方が不十分であった。・体位変換を行う人員が不足していた。・気管切開術後、気管切開チューブと皮膚を縫合して固定していなかった。
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・体位変換の前には、必ず気管切開チューブの固定状態を確認する。・気管切開時、気管切開チューブと皮膚を縫合して固定する。・気管切開チューブの根元を押さえて、体位変換をする。・体位変換をする際は、気管切開チューブ・頚部・頭部を固定して、蛇管にテンションがかからないようにする。・安全が確保できる人員で体位変換をする。・体位変換をする際は、判断が出来る看護師が全体が見える位置に立ち、リーダーシップをとり、声をかけ合いながら行う。
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気管切開チューブ
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プレセデックス静注液を持続静注して鎮静中の患者の体動が多く、心拍数が110~120台で持続していたため看護師は医師に報告した。医師は患者を診察し、シリンジポンプを早送りしてプレセデックス2μgを急速静注した。患者は発作性上室性頻拍(PSVT)となり、6~7秒後に洞調律に戻った。医師は実施後、プレセデックス静注液が急速静注禁であることに気付いた。
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・医師は、他の鎮静薬を急速静注していたことから勘違いした。
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・診療科内で薬剤使用に関して注意喚起し、勉強会を実施する。
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プレセデックス静注液を急速静注した事例
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ヨード・アルコール禁の患者に膀胱留置カテーテルを挿入することになった。看護師は、セット内のヨードではなく、クロルヘキシジングルコン酸塩エタノール液1%の綿棒を医師に見せ、「これで良いですよね」と確認し、医師から「それで良い」と返事があった。外陰部を消毒した後、エタノールを含有し、粘膜への使用が禁忌であることに気付いた。婦人科を受診し、軟膏と内服処方となった。
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・エタノールとアルコールの知識がなかった。看護師が医師に確認する際、製品名を声に出していないため、医師もエタノール含有とは気付かなかった。・ヨード禁の時の病院の取り決めがなかった。・以前は、膀胱留置カテーテルを挿入する際には消毒液の準備から行っており、消毒液の準備についても教育していたが、現在は消毒液がセットされており、ヨード禁の患者も少ないため、学習会の頻度が減っていた。
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・ヨード禁の患者の消毒に関する取り決めを行い、周知する。・個別包装の製品についての情報収集を行う。・感染部門・看護部・薬剤部・物品購買課・医療安全管理室間で取り決めを行う。・決定事項を医療安全ニュースで配信し、周知する。・決定事項が周知されているか、部署ラウンドやヒヤリングを行い、評価する。
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アルコール禁の患者の外陰部を粘膜への使用が禁忌のエタノール含有消毒液で消毒した事例
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研修医は看護師に依頼され、抗がん剤が入った注射器のエアーを抜こうとした。その際、勢いあまって抗がん剤を空中に噴射させた。薬液の大部分はベッドのシーツと患者の寝衣にかかり、1滴に満たない量が患者の右下腿にかかった。患者に更衣をしてもらい、流水で3分間以上洗浄した。皮膚所見に異常なく、皮膚科に連絡し経過観察の指示を受けた。
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・通常、抗がん剤のエアー抜きは調製時にしており、病室で行うことはない。・抗がん剤が曝露した際の危険についての認識が、依頼した側にも実施した側にも不足していた。
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・抗がん剤の曝露防止の観点からベッドサイドで抗がん剤のエアー抜きを行わない。・エアー抜きは、調製時に安全キャビネット内で行うことを周知する。
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病室で抗がん剤が入った注射器のエアー抜きを行い曝露した事例
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輸液ポンプを使用して点滴を投与していた。点滴終了予定時間のため訪室すると、輸液ボトルは空になっていたが輸液ポンプの気泡アラームが鳴らず、エアーが送られていた。
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・輸液開始時に予定量を設定していなかった。・輸液ポンプによっては、電源を入れて予定量が「0」の表示がされた後に、予定量の設定を「---」(予定量なし)に設定し輸液が開始できる機種がある。
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・当該部署の状況を確認すると、数人の看護師が「---」(予定量なし)の設定を知っていた。・当該部署の指導を行い、看護師長連絡会で事例を周知した。・マニュアルに従い、予定量を設定することを徹底する。
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輸液ポンプの予定量を設定せず開始し、気泡アラームが鳴らずエアーが送られた事例
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同時間帯に別々の歯科医師より2名分の技工物外注依頼が出された。歯科技工士は指示書を確認し、紙に患者氏名と技工物の種類を記載して歯の型を取った物に添付して、外注先に提出した。その後、歯科医師が技工物を患者に装着する際に、発注と異なった技工物であることに気付いた。技工物の外注発注時に患者を間違えたことが分かった。
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・2名分が混在した状態で作業したため、患者氏名を記載した紙を取り違えた。・歯の型を取った物には患者氏名の記載が困難だった。
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・作業環境を改善する。・技工物の依頼を受ける際は、1名分ごとに作業をする。
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歯科技工物を発注する際、依頼書と歯型を取り違えた事例
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直腸癌に対し、他病院で化学療法のために5ヶ月前に左前腕にCVポートを留置した。その後、手術目的で当院外科を紹介され、手術が施行された。術後は右前腕静脈より点滴をしていたが、刺入部の腫脹を認めたため抜針した。静脈確保が困難なため、左前腕のCVポートから点滴開始となった。開始時は医師がヒューバー針を穿刺し、逆血を確認した。点滴は自然滴下で80mL/hで持続投与していた。23時の巡回時に患者は就寝しておらず、座位で左上肢を挙げた状態で滴下調整を行った。翌日1時の巡回時、患者は就寝しており、点滴の残量と滴下の確認を行ったが、刺入部の観察は行わなかった。3時の巡回時、7時に終了予定だったビーフリード500mLが終了していた。そのため、7時に更新予定のビーフリード500mLを接続したが、自然滴下しなかった。ヘパリン生食でフラッシュを試みたが抵抗があり、逆血も認めなかった。
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・患者の対応中に他患者の転倒やナースコールが続き、左前腕CVポート閉塞の対応や医師への診察依頼まで30分以上の時間を要した。また、2名の看護師が休憩中で、看護師1名で対応していた。・他院で挿入されたCVポートは左前腕に留置され、鎖骨下以外で留置されたCVポートに対応したことのある看護師はいなかった。・先端の形状はオープンになっており、閉塞の可能性が高く必ずヘパリン生食でのフラッシュを要するオープンエンドカテーテルだったと思われる。看護師は、当院で使用しているグローションカテーテルとは形状が異なること、患者のCVポートは閉塞の可能性が高いことを認識していなかった。・患者に挿入されているCVポートの情報が十分でなく、看護師間で情報共有できていなかった。・23時に点滴の滴下確認の際、適正な体位で調整していないことや就寝中であっても刺入部を確認していなかったため、肘の角度によって滴下速度が変化し、点滴が急速投与されたと考える。
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・1名の看護師では患者対応が不十分であり、患者の安全が確保できない可能性が高く、今後は必ず2名で対応できるように体制を整える。・今後は、CVポートの形状、閉塞の可能性の情報共有を行い、留置された位置を考慮した適切な滴下調整と観察を実施していく。
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・皮下用ポート及びカテーテルにはグローションカテーテルタイプとオープンエンドカテーテルタイプがあり、それぞれ管理の方法が異なるが、このことを知らない医療者は多いと思われる。また、知識があったとしても、患者の体内に挿入されているカテーテルは見えず、種類を正確に把握することは困難である。・患者に挿入された皮下用ポート及びカテーテルの情報を一元的に管理することが難しいため、課題となっている。・フラッシュやロックの方法は添付文書に記載されているが、記載場所はメーカーによって「使用方法等」や「重要な基本的注意」など様々であり、多くの情報の中からこの情報に注目することは医療現場では難しいのではないか。・メーカーからもよりわかりやすい情報の周知などの取り組みが進められることが望ましい。
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10時15分頃、CVポートから施行中の補液を交換し、側管より抗生剤を接続し点滴を開始した。60分での投与指示があり、滴下を調整した。11時20分、側管の点滴を外すため訪室すると、抗生剤の点滴が空となり、CVポート刺入部より60cm程血液が逆流していた。ポート針を抜針し、刺し直しを行ったが閉塞していた。医師に報告し、末梢血管を確保して補液を再開した。
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未記入
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・点滴開始後は、状態観察や滴下調整のため、15分毎程度の定期的な訪室を行う。・点滴開始時、患者へ何か異常(血液の逆流)などがあった際は、すぐにナースコールを押すよう指導する。・CVポートの患者カードはできる限り提示してもらい、種類を明らかにして対応する。・オープンエンドタイプのものは、血液が逆流し、閉塞するリスクが当院採用のCVポートより高いため、24時間で500mLの補液を行うなど、時間流量が少ない時は輸液ポンプを使用する。・点滴の滴下時間等の観察を確実に行い、外来診療時は申し送りによる対応を依頼する。・CVポート刺入部と輸液ボトルの落差が80cm以上になるように位置関係を考慮する。・電子カルテでのCVポート情報の管理を院内で統一する必要がある。・ポートの閉塞で再留置する場合、患者への影響が高くなるので、適切な点滴・CVポートの管理を徹底する必要がある。
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・医療機関によっては、皮下用ポート及びカテーテルから輸液を行う場合、正しい速度を維持して閉塞を防ぐため、輸液ポンプを使用するように取り決めをしているところもある。・皮下用ポート及びカテーテルの患者カードを持参する患者は少なく、心臓ペースメーカのカードや手帳と比べて活用が進んでいない状況である。情報共有の重要性を患者がよく理解していないことも一因ではないだろうか。
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患者は9ヶ月前に他院で胃瘻を造設し、その後、施設入所を経て4ヶ月前に当院に入院していた。入院時、施設より胃瘻のチューブ交換は4ヶ月後と申し送られていた。チューブの種類がわからなかったが、交換の時期が近づいていたため、口径を測定し、カンガルーボタンに交換することになった。当日10時、主治医の呼吸器内科医師が牽引法で胃瘻チューブを引き抜こうとしたが抵抗があった。主治医は呼吸器外科医に相談し、16時に再度牽引法で引き抜こうとしたところ、チューブの一部が断裂し抜けてしまった。CTで確認すると胃瘻チューブのバンパー部分が胃内に残存していた。胃内視鏡で残存チューブの回収を試みるが回収困難なため近医の消化器内科医に相談し転院となった。
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・胃瘻造設時にチューブが挿入されてから10ヶ月経過しており、シリコン素材の劣化の可能性が考えられた。・前施設からの申し送りで交換時期は4ヶ月後といわれていたが、製品名や特性がわからないまま交換を実施した。・胃瘻チューブは牽引法で抜けると思い、抜去時の抵抗があったが抜いてしまった。
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・他院で造設した胃瘻は、使用しているチューブを前医に確認し、どのような種類や素材であるか、交換時の注意があるか、事前に情報を得ておく。・抜去を試みた際、牽引法で抵抗があり抜けない時には、バンパー部が離断するおそれがあるため、内視鏡的抜去方法に切り替える。・離断して胃内に残存した場合には、速やかに内視鏡で除去し、困難な場合は専門医に相談する。・当院で胃瘻を造設した場合、瘻孔が形成されたら(約3ヶ月以内)造設時のチューブは交換する。
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・バンパー型の胃瘻栄養用チューブはバルーン型のものに比べ抜去が難しいため、注意点を知っておく必要がある。・チューブを挿入した医療機関からの情報提供は重要であり、できれば添付文書とともに施設間で情報共有するとよいだろう。
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当院通院中の患者が、半年前に他院でPEGを受け、セーフティペグキットで胃瘻チューブを留置された。その初回交換を目的に、当院に入院した。主治医は、セーフティペグキットの胃瘻チューブを取り扱うのは今回初めてであったので、PEGを行った病院や同僚に抜去・交換に関する方法を確認するなど事前に準備した上で交換に臨んだ。10時に病室で処置を行った。挿入されていた胃瘻チューブは予想通りかなり抜きにくく、強く引っ張って抜去した。出血がありガーゼで押さえた。交換するカンガルーボタン20Frは初め3cmしか入らなかったが、ゾンデを使用することで挿入できた。ガストログラフィン10mL程度を抵抗なく注入したがX線撮影で造影剤が写っていなかったため、再度ガストログラフィンを20mL注入したところ、胃前庭・十二指腸球部と思われる部位が造影されたので、無事交換できたと判断した。昼から栄養剤の注入開始の指示をし、抗菌剤を3日分処方した。看護師は、12時に胃瘻ボタンのチューブから通水してスムーズに入ったのを確認し、昼のCZ−Hi400mLの注入を開始した。3時間後までに注入が終了し、看護師が訪室すると、患者は多量に発汗し顔色不良で腹部は緊満していたものの、バイタルサインに異常はなかった。主治医は、胃瘻から蒸留水を20mL入れて引いてみたが、回収できなかった。15時45分、腹部緊満が強く、16時の腹部単純X線撮影再検で、ガスが増加し充満していた。CT撮影と採血の結果、腹膜炎と診断し、消化器内科・外科のある地域の総合病院へ救急搬送した。
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・担当医師は、胃瘻チューブ初回交換時の高いリスクについて家族に説明していなかった。・胃瘻ボタンから胃内容物の逆流を確認しないまま、栄養剤を注入した。・注入開始後の観察が不十分であった。
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・胃瘻チューブの初回交換など、リスクの高い処置時には、患者・家族にリスクや合併症などを説明し、同意を得る。・セーフティペグキットなど抜去に努力を要する胃瘻チューブ・ボタンの初回交換は、造設した病院で実施してもらう。・当院で交換する場合は、カンガルーボタンなどの抜去の容易なデバイスに変更しておいてもらう。・胃瘻チューブ・ボタン交換後の位置確認は、胃内容物の逆流や透視など、極力複数の手段で確認する。胃内容物が吸引できない場合は、生理食塩液20mL程度を注入するなどして再度吸引を試みる。位置確認が不確実な時には、他の医師とともに確認する。・胃瘻チューブ・ボタン交換後、初回注入は白湯で様子観察する。
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・事前に情報収集を行い、交換後に造影剤を注入して画像で確認するなど、注意しながら胃瘻栄養用チューブの交換を行ったが、結果的には腹膜炎を発症した事例である。・造影剤による確認は、胃内に挿入されているかどうか判断が難しい場合がある。・バンパー型の胃瘻栄養用チューブを抜去する際に瘻孔に損傷が生じると、次に挿入するチューブが胃内に入らないことがある。
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患者は気管切開で在宅管理中で、気管カニューレはアジャストフィットを使用中であった。MRI検査室入室前に、「MRI検査前の患者様安全(磁性体・金属類)確認表」を用いて母親にも確認しながらチェックを行った。MRI撮像開始直後の画像で首周囲にアーチファクトを確認し、アジャストフィット内に金属が使用されていると判断した。他のカニューレに入れ換え、撮像を再開した。
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・カニューレに金属は使用されていないとの思い込みがあり、オーダ時に確認を行わなかった。・MRI室ではチェック表に加え、意志疎通が困難な患者は、家族・医師に確認している。今回は医師の付き添いがあったため、金属探知機を用いた確認を行わなかった。
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・MRI対応非対応の確認が困難な場合は、従来のチェックに加え、金属探知機を用いて確認を行う。
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・気管切開チューブは挿入されている部分は見えないため、金属が使用されていることは外見からはわかりにくい。・気管切開チューブに限らず、他施設や在宅から使用中のカテーテル・チューブ類はMRI非対応の可能性があることを念頭に置いて確認する必要がある。・MRI検査室への金属類の持ち込みを防止するためには、カテーテル・チューブ類の添付文書にMRI対応に関する情報を明示するだけでなく、メーカーから適切に情報提供を行うことも重要である。
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急性骨髄性白血病に対して、地固め療法1コース目を予定していた。感染予防として当日朝内服分のレボフロキサシン、イトリゾール内用液、バクタを前日夕方に処方した。患者は2年前にクラビットでアナフィラキシーショックを起こした既往があり、担当医は薬剤禁忌情報のフリーコメント欄に「クラビットでアナフィラキシーショック」と入力していた。しかし、「薬剤入力」の項へは入力していなかったため、処方時にアラートが出なかった。薬剤部では夜勤の薬剤師が調剤を行い、処方箋の禁忌薬剤に「抗菌薬」と記載があったが、気付かないまま調剤鑑査をして薬剤を払い出した。当日朝、2日後からの定期処方の処方監査を行った薬剤師がレボフロキサシン錠500mgの処方についてカルテを確認したところ、薬剤禁忌情報のフリーコメント欄に「クラビットでアナフィラキシーショック」と入力されていることに気付き、8時35分に処方医へ疑義照会した。疑義照会に対応した上級医が患者に確認したところ、5分ほど前にレボフロキサシン錠を内服していた。この時点ではアレルギー症状はなく、医師は患者に状況を説明し、厳重なモニター管理下の観察とした。9時頃、患者は咳嗽と呼吸苦を訴え、SpOが294%まで低下したため酸素を5L投与し、生理食塩液でルートを確保してソル・コーテフ100mgを投与した。皮疹や喘鳴は認めず、ショックには至らなかったが、同日に予定していた化学療法は延期となった。
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・当院はNECの電子カルテを使用しており、薬剤禁忌画面の「キシロカイン、抗菌薬、鎮痛解熱剤、その他」のいずれかの項目で「有り」にチェックをした場合、チェックした項目名が処方オーダ画面右上に赤文字で表示される。・薬剤禁忌画面のフリーコメント欄への薬剤名の入力のみでは処方オーダ時にアラートが表示されない。そのため、「薬剤入力」の項から薬剤を選択して入力する必要があるが、周知されていなかった。・薬剤禁忌画面の「薬剤入力」を押下して薬剤名を入力した場合、処方オーダ画面右上に「禁忌」と赤文字で表示される。さらに、「禁忌」を押下すると、入力された薬剤名が別ウィンドウに表示される。・カルテの上部には、常に患者基本情報が表示されており、薬剤禁忌の情報が入力されている場合は「薬剤」の項目が赤く反転する。「薬剤」の項目にカーソルを合わせると、登録内容が確認できる仕様となっている。・担当医は当直明けであったが、朝から救急搬送や入院の対応をしており、さらに新たに化学療法を始める予定であった複数の担当患者のレジメン登録等を並行して行っていた。・担当医は、「クラビット」は禁忌として記憶していたが、「レボフロキサシン」がその一般名ということを失念していた。・夜勤の薬剤師は処方箋の禁忌薬剤に「抗菌薬」と記載されていることを見落とし、カルテを確認しなかった。・複数のチェック機構があるにも関わらず、禁忌薬の投与に至った。
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・処方時に禁忌薬を確認することを習慣化するとともに、ダブルチェックが形骸化しないよう各々が意識し、手順を遵守する必要がある。・薬剤禁忌画面の「薬剤入力」の項に薬剤を選択して入力すればアラートが表示されること、現在のシステムでは剤形が異なる薬剤は同一成分であってもアラートが表示されないため、必要に応じて異なる剤形(注射や点眼など)についても選択して入力することなどを周知した。1)院内医療安全情報で、事例の紹介と禁忌薬剤の登録方法について全職員に周知した。2)リスクマネージャー会議や医療業務安全管理委員会でも同様に周知した。3)薬剤禁忌画面のフリーコメント欄の横に、「薬剤名は薬剤入力ボタンから入力」の表示を赤文字で追加した。・部署内で、診療体制や重要な情報の共有について検討する。
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アレルギー情報の入力方法に関する事例
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・手順通りの入力方法ではなかった場合には、アラートが表示されないことがある。そのようなシステムである以上、入力方法によってはアラートが全ての範囲をカバーできない仕組みであるということ、だからこそ手順通りに入力することが重要であることを周知しておく必要がある。アラート表示のみに頼らず、医師が処方時に、薬剤師が処方監査や調剤時にアレルギー情報を確認することも必要である。・当該電子カルテは画面の上部に患者基本情報が表示されており、薬剤禁忌の情報が入力されている場合は「薬剤」の項目が赤く反転する。中に記載されている情報を見るためにはカーソルを項目の上に持っていく必要があるが、そうした運用を知らない職員がいる可能性にも注意が必要である。また、重要な情報が含まれていても、表示される情報が多くなればなるほど見なくなる傾向があるなか、表示する情報の選択も課題である。・入職時にアレルギー情報の入力などについて教育しているが、時間的な制約もあり、注射や検査オーダをはじめ、電子カルテ全般の内容の一部にとどまる。実際の運用で教育していくことになるが、限界がある。
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医師は、紹介状および患者からの聞き取りから、ペニシリンとケフラールでアナフィラキシーの既往があると情報を得たため、電子カルテにアレルギー薬としてテキスト入力した。薬剤師も初回面談時に同様のことを聞き取っていた。肺癌切除術後、周術期の感染予防にはクリンダマイシンを使用し、術後2日目に投与を終了した。その後、血痰が持続し、抗菌薬と止血剤で経過を観察する方針となった。抗菌薬の処方時にペニシリンアレルギーがあることを失念し、スルバシリンを処方した。投与開始2分後に患者より上肢の痺れと息苦しさの訴えがあったため投与を中止した。バイタルサインを測定しようとしたところ、症状が悪化したため緊急コールをした。駆けつけた医師らにより心肺蘇生術を開始し、経皮的心肺補助装置、大動脈内バルーンパンピングを導入してICU管理となった。
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・当院の電子カルテはアレルギー薬を登録出来る機能を有している。・3文字検索で対象となる薬剤を登録すると、登録された薬剤を処方した際に警告メッセージが表示される。・ペニシリン系薬剤をどれか1剤でも登録すれば、院内採用のペニシリン系薬剤全てが処方時に禁忌薬としてチェックされる。・一方で、電子カルテに登録していない薬剤の入力を想定し、テキスト入力で登録することもできる。しかし、テキスト入力した薬剤は院内の医薬品マスタと連動していないため、処方時に警告メッセージは表示されない。・本事例はアレルギー薬の登録時にテキスト入力していたため、処方時に警告メッセージが表示されず、そのまま処方、投与された。・アレルギー情報を入力する職種に制限はない。・当院では、全病棟に薬剤師を配置しており、以前より、病棟担当薬剤師によるアレルギー入力は行われている。本事例では、医師がすでにテキスト入力していたため、薬剤師による入力は行われなかった。
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・テキスト入力が可能であることが原因で発生した事例であることから、テキスト入力をできなくする等、電子カルテシステムを改修する。ただし、被疑薬が不明、絞り込めないなどテキスト入力でしか対応できない場合があり、対策に苦慮している。・入院時に病棟担当薬剤師がアレルギー薬の有無をチェックし、テキスト入力されている場合は医薬品マスタと連動するよう変更することとした。・処方箋にアレルギー登録薬を印字し、調剤時に確認しやすくした。・現在、アレルギー薬の入力方法や入力画面に関して電子カルテを改修中である。
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アレルギー情報の入力方法に関する事例
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・この医療機関のシステムでは、アレルギー情報がある薬剤を登録すると、抗菌薬の同系統の薬剤にアラートが表示される仕組みとなっている。・このような仕組みが電子カルテ・オーダリングシステムの標準仕様になることが望まれる。・本事例のように、アレルギー情報をテキスト入力で登録するとアラートが表示されないことは、事例1と同様に課題である。
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入院時、医師は患者に薬剤アレルギー情報を問診し、電子カルテのプロファイルの薬剤アレルギー情報に「サワシリンカプセル」「呼吸困難」と入力をした。翌日、患者は一般病棟よりICUに移動した。ICUに移動後、急遽、BAE(気管支動脈閉塞術)を施行することになった。15時17分、医師はプロファイルでアレルギー情報を確認せず、電子カルテでBAEパスシートをオーダした。その中には検査前の指示で生理食塩液50mL+ユナシン-S静注用1.5gが含まれていた。15時29分、看護師は医師に抗菌薬を投与することを伝えて、ユナシン-Sを中心静脈カテーテルより投与開始した。医師は、看護師から投与開始の報告を受けたときに、患者にペニシリンアレルギーがあることに気付いた。中止の指示を伝えようとしたが、すでに約5mL投与されていた。患者は呼吸困難を訴え、血圧70台、SpOが88%まで低下してアナ2フィラキシーショック症状を呈した。医師は、直ちにユナシン-Sの投与を中止し、アドレナリン筋肉注射、ポララミン5mgを投与し、症状は改善した。BAEは中止し、3日後に延期した。
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・医師は、薬剤アレルギー情報を問診し、電子カルテのプロファイルの薬剤アレルギー情報に「サワシリンカプセル」「呼吸困難」と入力をしたが、電子カルテの掲示板にも入力するというルールを逸脱した。・電子カルテに「サワシリンカプセル」と薬剤アレルギー情報を入力したが、処方時、同じ薬剤名のみ警告アラートが表示される仕組みとなっているため、ペニシリン系のユナシン-Sをオーダしても警告アラートが表示されなかった。・医師は、抗菌薬をオーダする際に電子カルテのプロファイルを確認しなかった。・薬剤師は、薬剤アレルギー情報を把握しておらず、ユナシン-SをICUに払い出した。・看護師は、電子カルテの掲示板からアレルギー情報を収集していたため、抗菌薬投与前にプロファイルの薬剤アレルギー情報を確認しなかった。・一般病棟からICUに転棟する際、アレルギー情報について申し送りをしなかった。・BAEパスシートをオーダすると、他の指示と併せて抗菌薬が自動的にオーダされるため、薬剤アレルギー情報の確認を失念しやすい。
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・医師は、問診または他院からの情報提供でアレルギー情報を得た際は、電子カルテのプロファイルに入力する。また、重症アレルギー(アナフィラキシー、重症皮疹など)については、電子カルテの掲示板にも「抗菌薬の種類と症状」を更に入力して注意喚起する。・薬剤を新規に投与、変更する場合は薬剤アレルギー情報を電子カルテのプロファイルおよび掲示板で確認することを周知する。・看護師が薬剤アレルギー情報を得た際は、病棟薬剤師に情報を提供する。・転棟時は、アレルギー情報を必ず口頭でも申し送る。・抗菌薬を投与する前には、必ず電子カルテのプロファイルと掲示板で薬剤アレルギー情報を確認することを医師、看護師に周知する。・アレルギーがある薬剤について疑問がある場合は、医師に確認する。・パスシートをオーダする際、薬剤アレルギー情報の確認ができるようにパスシートに薬剤アレルギーの有無を確認するチェック項目を追加する。
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アラート表示の範囲に関する事例
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・同一薬剤名にのみアラートが表示される仕組みは、大変危うい仕組みである。アレルギー情報を入力していればアラートが表示されるはずと思い、落とし穴になる可能性がある。・「同一薬剤名でなければアラートが表示されない」「剤形が異なればアラートが表示されない」など医療機関で使用している電子カルテ・オーダリングシステムの仕組みを知っておく必要がある。
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患者は過去にビソプロロールフマル酸塩錠で副作用が発現したため、患者情報のアレルギー薬剤として「ビソプロロール錠」が入力されていた。今回、処方された「ビソノテープ」は同成分の外用薬であり、電子カルテシステムでチェックがかからなかった。外来診察後に、処方医は同成分薬が禁忌に設定されていることに気付き、院外処方箋を患者より回収して、該当薬剤を削除したため患者に投与されることはなかった。
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・処方時にアレルギー情報が登録されている薬剤の確認が不十分であった可能性が考えられる。・禁忌に設定されている薬剤と同成分・同剤形(同投与経路)であれば、絶対禁忌としてオーダ入力することができない。しかし、本事例のように同成分・他剤形(別投与経路)の場合にはチェックがかからない。・当院の電子カルテシステム(NEC)の禁忌チェック機能は、薬剤マスタに設定されている厚労省コードの上7桁が同一の場合に処方できなくなるようになっている。しかし、投与経路が異なると厚労省コードの上7桁が異なるため、同成分であっても処方が可能である。
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・現在、後発医薬品が広く普及するとともに同成分・他剤形の薬剤も多く存在する。処方医が薬剤アレルギー欄を確認することを徹底しても、販売名が異なる同成分薬の処方を完全に防ぐことは難しい。・電子カルテシステムに搭載されている禁忌薬剤チェック機能は、各施設で薬剤マスタのグルーピングを行うことが必要であったり、今回のように既存のコードを応用しているため不完全な機能となっている。・今後は各施設やベンダーの労力に依存しない、国内で統一された禁忌薬剤のチェックが可能なデータベースの作成およびそれを使用可能なベンダー間共通の電子カルテシステムの開発が望まれる。
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アラート表示の範囲に関する事例
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・処方医が気付き、投与に至らなかった未然防止事例である。・同成分・同剤形でアラートが表示されるが、他剤形ではアラートが表示されない。アラートの範囲が不足しており、電子カルテ・オーダリングシステムとしての改善が望まれる。・改善策に「各施設やベンダーの労力に依存しない、国内で統一された禁忌薬剤のチェックが可能なデータベースの作成およびそれを使用可能なベンダー間共通の電子カルテシステムの開発が望まれる」とあるようにシステムの標準化が望まれる。
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患者に腰痛が出現したため、ロキソプロフェンNaパップ、アセトアミノフェンを投与した。その後、患者から腰痛が増強していると訴えがあり当直医が訪室した。患者に坐薬の使用歴を確認したところ、問題ないとのことでジクロフェナクNa坐剤を挿肛した。しばらくして、患者から全身熱感の訴えがあり、当直医が診察しアナフィラキシーショックと診断した。すぐに、アドレナリン筋注、ラクテックを全開で投与して改善した。その後、カルテを確認すると、ボルタレンサポ(ジクロフェナクナトリウム)が慎重投与として登録されていた。
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・処方オーダリングシステムに慎重投与で登録されていたので、注意喚起のメッセージは表示されたが処方医は見ていなかった。・投与禁忌に登録した薬剤は処方できないが、慎重投与で登録した薬剤は処方が可能である。・医師が投与前に患者に確認した際、患者は過去にアレルギーがあったことを失念していたため、問題ないと伝えた。
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・問診だけでなく、電子カルテのアレルギー欄は必ず確認する。
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処方時にアラートが表示されたが、薬剤を処方した事例の内容
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・注意喚起のメッセージは表示されたが、そのメッセージを見落とすことが多い。・多くのメッセージの表示のなかに重要なアラートが埋もれてしまっている。アレルギー情報以外にも投与量などメッセージの表示が多すぎることも問題である。
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手術中にスルバシリンを投与するために術前にオーダしておくが、その際にペニシリン系アレルギーであることを確認せずにオーダした。手術前の看護師の申し送りで判明し、投与しなかった。
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・医療安全基本情報にペニシリンアレルギーであることは入力されていたため、看護師もアレルギー歴について把握することが可能であった。・当院のオーダリングシステムは、アレルギー歴にペニシリン系と入力されていても、オーダ時にアラートを出すことができないシステムである。スルバシリンと登録していればアラートが表示される。
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・アレルギー歴を確認した上で術前のオーダをする。
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決められた場所にアレルギー情報が登録されていた事例の内容
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・基本情報の画面にアレルギー情報が入力されていれば、処方時や投与時に情報を確認することで、気付くことができる可能性があり、投与を防ぐことにつながる。・手術時は申し送りやチェックリストなどで確認できることが多い。
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非小細胞肺癌に対して経口抗腫瘍薬による治療を継続していた。2週間毎のレジメンを適応されていたが、1週間毎のレジメンに変更する際、レジメン入力の画面では、タグリッソ錠はデフォルトで「80mg錠1錠、40mg錠1錠」と表示されるため、投与量にあわせて処方量を変更する必要があった。しかし、医師は80mg錠のみが1錠になっていると勘違いして、「80mg錠1錠、40mg錠0錠」に変更せず、院外処方箋を発行し、患者へ渡した。患者は薬局に処方箋を提出した。その際、薬局の薬剤師は過量であることに気付かず疑義照会をしなかった。後日、外来担当医が検査日程を知らせるために電話連絡したところ、過量内服していたことが分かった。医師は有害事象がないことを確認し、当日より80mgを1錠のみの内服へ変更するよう指示した。
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・処方医がレジメン変更時に多規格の薬剤が表示されることを知らず、投与量の確認が不十分であった。・薬局での処方監査が不十分であった。・電子カルテやレジメン管理システムはベンダー毎に入力方法が異なり、施設間の異動が多い医師にとっては分かりにくかった。・薬局の薬剤師は、添付文書を確認したが、用法用量の適宜減量を適宜増減と誤認していた。
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・診療科内で事例を共有し、レジメン入力、変更時の投与量の確認を徹底する。・レジメン登録時の各薬剤のデフォルト値はシステム上「0錠」と設定ができないため、デフォルト値を「1錠」から「11錠」に変更し、投与量を変更していない場合には必ず疑義照会される数値とした。・抗がん剤を管理するレジメンシステムは複雑であり、ベンダーによって機能や操作性も異なるため行政等が主導となり、共通化を進めていく必要がある。・事例発生後、当該薬局へ連絡して詳細の確認とともに、再発防止策の検討を依頼した。・所在地の地域薬事連携協議会を通じて、近隣薬局への事例の共有を依頼した。
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用法・用量間違い
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10歳代の患児に対して外来で内服抗がん剤治療を行っていた。全ての治療が終了した日に母と本人より、ロイケリン散を内服できていなかったことを聞き、50日分追加処方する方針となった。処方入力時に「1日1回眠前135mg」とするところ、「1日2回朝食後・眠前1回135mg(1日270mg)」と誤って処方したことに気付かず、薬局で2倍量のロイケリンが払い出された。次の外来受診時に黄疸、肝機能障害、骨髄抑制、凝固異常等の症状を認め、緊急入院した。2倍量のロイケリンを27日間内服していたことが発覚した。
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・処方オーダの簡便化を図るため、「分1」を選択すると「1日1回朝食後」が既定値で表示されるようになっていた。しかし、続けて「眠前」を選択すると「1日2回朝食後・眠前」に変わるシステムであった。・処方時に「ロイケリン散は添付文書の用量の範囲を上回っています(1日量:0mg~3mg(1kgあたり)(年齢0才~15才))」とアラートが表示されたが、「ロイケリン散はハイリスク薬です」、「選択された薬剤(ロイケリン)は病名(慢性骨髄性白血病、急性白血病)以外には投与できません」のアラートに交じって表示され、過剰投与に気付かなかった。・薬局の受付終了時間が迫る中で急いで処方した。・薬局の薬剤師は体表面積から投与量を計算して問題ないと判断し、前回処方の2倍量になっていることについて患児に声掛けをしなかった。
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・薬剤処方時の入力方法について、安全と効率の面からどのように入力するのが良いか全診療科を対象に病院として検討した。・用法を選択する画面について、「分1」を選択すると「1日1回朝食後」が自動入力されるのをやめ、「毎食後」「朝夕食後」などが簡便に選択できるクイック指定と、「食前」「食後」「朝」「夕」「眠前」などを選択できる欄とを分けた。・薬局に今回のインシデント内容を伝え、注意喚起する。
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用法・用量間違い
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大動脈弁閉鎖不全に対して大動脈基部置換術を施行した。術後よりワーファリンの内服が開始され、以降は外来で定期的にフォローされていた。手術1年後の外来で、PT-INRが目標範囲よりやや高値であったため、主治医はワーファリンを減量する方針とした。主治医は電子カルテで前回処方の「ワーファリン錠1mg×2錠、ワーファリン錠0.5mg×1.5錠(合計2.75mg)」を引用して、「ワーファリン錠1mg×2錠、ワーファリン錠0.5mg×1錠(合計2.5mg)」に減量しようとした際に、誤ってRp全てを削除した。主治医はそれに気付かず処方箋を交付した。患者の家族が交付された処方箋を薬局(かかりつけ薬局)に持参した。薬局の薬剤師はワーファリン錠が処方されていないことに気付き、薬剤交付時に家族へその旨を確認したが、「そうなんですね」との返事を受けて、そのまま交付した。約1ヶ月後、患者は眩暈、嘔気を主訴に当院の救急外来を受診した。MRI検査で左小脳梗塞を認め緊急入院となった。その際のPT-INRは0.98であった。入院加療により、症状が改善して14日後に退院となった。退院時に後遺症は認めなかった。
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・ワーファリン以外に15種類の薬剤が処方されており、医師は処方箋の交付時にワーファリンを処方していないことに気付かなかった。・薬局の薬剤師はワーファリンが処方されていないことに気付いたが、家族へ確認したのみで処方医への疑義照会は行わなかった。・薬局で薬剤を一包化して交付しており、ワーファリンが処方されていないことに患者も気付かなかった。
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・医師のオーダ時および処方箋交付時の確認不足であるが、ヒューマンエラーとして完全に防ぐことは難しいと考えられる。・電子カルテのシステムでの防止策も難しい。・事例のような院外処方における処方漏れを防ぐためには、薬局との情報共有及び連携が必要不可欠であり、当該薬局に事例をフィードバックするとともに、地域の薬剤師会を通じて近隣薬局とも事例を共有した。・患者や家族への服薬指導において、疑義が生じた場合、躊躇することなく処方医へ疑義照会するよう周知した。
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処方もれ
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患者は大動脈弁置換術後のため、他院にてワーファリンを処方されていた。当科で口腔内カンジダ症の治療のために、医師がフロリードゲルを院外処方した。数日後、肉眼的血尿を認めたため、当科を受診した。フロリードゲル投与以前の検診でも血尿を指摘されていたこともあり、泌尿器科へ対診し、尿管口からの出血が確認された。その後、血尿が持続したため、患者自身の判断により他院を受診したところ、即日入院となった。入院後、ワーファリンを減量し、血尿は改善した。退院後、当科再診の際に、患者からワーファリンとフロリードゲルは併用禁忌薬であったことを指摘された。
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・2016年10月にフロリードゲルがワーファリンとの併用禁忌薬となった際、医師は海外留学中で、その情報を知らなかった。・処方する際に、患者の内服薬の確認を怠った。・薬局の薬剤師からの疑義照会がなかった。
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・かかりつけ薬局との連携が必要であり、お薬手帳のQRコードをカルテに取り込み管理するシステムの構築を検討する。
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相互作用(併用禁忌)
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医師はアイピーディカプセル100を処方する際、誤ってユーエフティ配合カプセルT100を院外処方した。薬局の薬剤師より、「ユーエフティ配合カプセルが処方されているが、本当にこの薬剤でよいか」と電話で疑義照会を受けたが、「それでよい」と伝えた。薬局の薬剤師は、患者にユーエフティ配合カプセルの薬効を説明し、「少しでも納得いかない点があれば服薬前に主治医に連絡し、治療方針を聞くように」と伝えた。翌日昼頃、患者家族より診療科当直医に「誤処方ではないか」と問い合わせの電話があった。当直医から処方医に連絡し確認したところ、処方の誤りが分かった。患者は処方当日の昼・夕、翌日の朝・昼分をすでに内服していた。
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・疑義照会を受けた際、業務が繁忙であり、かつ思い込みがあったため、処方の間違いに気付かなかった。
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・診察終了の際に処方内容を十分に確認する。・薬剤師からの疑義照会に関しては確実に確認を行う。
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医師が処方の誤りに気付かず、処方を修正しなかった事例
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患者は当院に救急搬送され、急性膵炎及び肺炎と診断し、入院治療を開始した。その後、右内頚静脈に中心静脈カテーテルを留置し、高カロリー輸液を開始した。全身状態が改善し、退院前日(挿入10日目)に座位の状態で中心静脈カテーテルを抜去し、1分間の圧迫後デルマポアで保護を行った。5分後、胸痛が出現しSpOが70%まで低2下した。酸素4L/minを投与しSpO2は94%まで回復した。その後、失語および右不全麻痺が出現し、CT検査で右心室、左心室内及び肺動脈内に空気像を認め、左中大脳動脈近位部の抽出が不良となった。空気塞栓による脳梗塞が疑われ、頭部MRI検査で左頭頂後頭葉に数mm大の高信号域があり、新規脳梗塞巣と診断された。早速点滴治療を開始し、麻痺は後遺症なく改善した。
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・患者が座位の状態で中心静脈カテーテルを抜去することで空気塞栓を生じる可能性について知識が不足していた。
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・中心静脈カテーテルを抜去する際は、刺入部を心臓よりも可能な限り低い位置にする。・抜去後は5~10分の圧迫を行うようにする。
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座位で中心静脈カテーテルを抜去した事例
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患者は緊急入院し、右内頚静脈に中心静脈カテーテル(16Gシングル、挿入長13cm)が留置された。挿入後42日目、小腸人工肛門造設術を施行した。術後14日目に医師は中心静脈カテーテルの抜去を計画し、14時45分に訪室すると、看護師と妻が居合わせ、患者は椅子に座ってストマ装具の交換を行うところだった。医師は、中心静脈カテーテル抜去時の体位は頭高位が好ましいと思っていたため、そのまま座位で抜去することとした。カテーテル抜去を患者へ伝え、「そのままの体位でよい」と看護師に伝えた。医師は、ラインの接続を外しカテーテルの身体側にプラネクタが装着されていることを視認した。固定糸を切り、カテーテル刺入部付近をアルコールで消毒した。最大呼気時で息止めの練習を行ったのち、最大呼気を指示してカテーテルを抜去した。医師は、刺入部をアルコール綿で圧迫しながら、看護師が持っている滅菌スピッツに先端を入れた後に、刺入部に絆創膏を貼付した。医師は、検体を提出するために退室した。その後、看護師はストマの貼り替えを実施した。14時55分、患者は倦怠感、嘔気を訴え、ベッドに臥床した。14時58分、患者は意識消失し、上下肢の脱力を認めた。看護師はただちに医師に報告し、酸素3Lマスクで投与開始した。15時15分、頭部CT・MRI検査を施行し、脳血管空気塞栓による脳梗塞と診断された。脳卒中科に相談し、高圧酸素療法、エダラボン、補液を開始した。
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・医師はカテーテル抜去時の体位は頭高位が望ましいと思っていた。・カテーテル抜去時、呼気後息止めとしたため、抜去後に吸気となり空気が混入した。・長期留置による刺入部の瘻孔化に対して密閉されなかったため、空気が混入した。
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・中心静脈カテーテル挿入、留置、管理におけるマニュアルの見直しと研修を実施する。・臥位で抜去する。・抜去時は吸気後に息止めする。・抜去後は刺入部を塞ぎ密閉性のあるドレッシング材を24時間は貼付する。・短期離職者に対して、離職中の研修内容を周知する。
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座位で中心静脈カテーテルを抜去した事例
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患者は総胆管結石・肝内結石治療目的で入院後、重症膵炎に移行した。HCU管理となりCHDFにより重症膵炎は軽快し、一般病棟に転棟となった。ブラッドアクセスカテーテルを右内頚静脈に留置したままであったため、感染予防目的に抜去したが、その後徐々に徐脈となり心停止となった。
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・日本医療機能評価機構から出されている医療安全情報を知らず、抜去時の注意対応が出来ていなかった。・抜去時に約20度ギャッチアップしていた。・NPPV装着中であったので呼吸を停止できていなかった。・出血がなかったので数分間のみ圧迫した。圧迫時間が不足していた。・抜去部にはガーゼを当ててテープで固定した。ドレッシング材を貼付していなかった。・以前に、医療安全部門から安全情報を院内発信していたが、周知が不十分であった。
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・日本医療機能評価機構から出されている医療安全情報をもとにし、緊急安全情報として院内発信を行うこととした。・医師に対する周知を確実に行うため、全医師の既読チェックを行うこととした。・研修医へ中心静脈カテーテル挿入を指導する際に、抜去時の指導も加えることとした。
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上体を挙上した体位で中心静脈カテーテルを抜去した事例
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患者は急性心筋梗塞によるうっ血性心不全、重症肺炎で入院した。左内頚静脈から12GトリプルルーメンCVカテーテルを留置し、薬物療法とNPPVによる呼吸管理を開始した。入院5日目にカテコラミンを中止し、入院8日目の8時にNPPVを離脱した。医師は経過をみて患者の呼吸状態の悪化がないため、安静度を拡大する目的で午後からCVカテーテルの抜去を予定した。15時30分、看護師が末梢ルートを確保し、CVカテーテルをカテーテルクレンメでクランプした。15時45分、医師の指示でベッドを30度挙上した状態で、医師がCVカテーテルを抜去した。医師はCVカテーテル抜去と同時に抜去部をガーゼで圧迫した。5分後に止血を確認した後、通気性のあるドレッシング材を貼付し、8つ折りガーゼ2枚を幅2~3cmに折りたたんで抜去部に当て、5cm幅のテープで圧迫するように固定した。15時50分、患者は息苦しさを訴え、その後徐々に酸素化、意識レベルが低下した。医師がNPPVマスクを装着して換気を開始した。しかし酸素化の改善なく、医師がバッグバルブマスクで用手換気を施行した。その後徐々にSpО60%台、HR40回/分台へ低下し、2意識レベルは3桁で右共同偏視があった。15時55分、BP60mmHg台、心エコー検査を施行し、右心臓内に空気の混入を認めた。16時5分、徐々にHR90回/分台、BP110mmHg台、SpО90%2台へ改善し、NPPVを装着した。16時30分、意識レベル1桁、四肢麻痺なし、指示動作可能になった。心エコー検査にて右心臓内の空気は消失していた。
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・医師は、抜去部からの出血がないようにベッドを30度程度挙上してCVカテーテルを抜去した。・医師はCVカテーテル抜去後に意識障害を起こした症例の経験がなく、心臓内に空気が混入するとは思っていなかった。・CVカテーテル抜去部を5分間圧迫し、ドレッシング材を貼付してガーゼで圧迫することで止血するだろうと考えた。・CVカテーテルは、12Gトリプルルーメンで9日間留置しており、血管と皮膚との間に瘻孔を形成していた可能性が考えられた。・CVカテーテル抜去部に通気性のあるドレッシング材を当ててテープで圧迫したが、瘻孔を形成していたために空気が混入した可能性が考えられた。・日本医療機能評価機構から出された医療安全情報の掲示はしたが、対応策のマニュアル化がされていなかった。
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・ベッドを挙上してCVカテーテルを抜去すると血管内に空気が混入する危険性があることを全スタッフへ周知する。・CVカテーテル抜去部には、密封式のフィルムドレッシング材を貼付することをルールとし、周知する。・太いカテーテルを長期間留置し空気混入のリスクが高い場合は、刺入部の縫合を推奨する。・CVカテーテル留置の管理上の留意点として、空気混入のリスクについてマニュアルに追加する。
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上体を挙上した体位で中心静脈カテーテルを抜去した事例
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右内頚静脈に透析用カテーテルを留置していた。透析離脱困難であり、入れ替えのためカテーテルを抜去することとなった。18時30分頃、医師が訪室すると患者のベッドがギャッチアップされており、フラットにして仰臥位にした。カテーテルを固定していたドレッシング材を除去、固定糸を抜糸した。ガーゼで刺入部を押さえ、息止めをしてもらい、緩徐にカテーテルを抜去した。カテーテル抜去時に抵抗はなく、カテーテルの破損も認めなかった。抜去部の用手圧迫を約5分間行った。止血を確認し、俵型にしたガーゼを抜去部に当て、シルキーテックスを用いて圧着固定した。後で密閉性の高いドレッシング材を貼付する予定であった。抜去直後、バイタルサイン、意識レベルに変化はなかった。18時50分頃、患者の意識レベルが低下し、血圧80mmHg台、SpO80%台となった。頻呼吸、2右共同偏視、対光反射減弱を認め、頭部CT検査で右頭頂葉を中心に空気塞栓を疑う所見を認めた。意識レベルは軽度改善したが、四肢麻痺は残存した。
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・カテーテル抜去直後、密閉性の高いドレッシング材を貼付していなかった。
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・カテーテル抜去がリスクを伴う行為だと認識する。・カテーテルを長期留置した場合、皮膚に瘻孔を生じる可能性がある。ブラッドアクセスカテーテルなどの径が大きいカテーテルは注意が必要である。瘻孔によって空気を引き込む可能性があるため、密閉性のあるドレッシング材を貼付する。
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臥位で中心静脈カテーテルを抜去した事例
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右内頚静脈にクイントンカテーテルを留置し、血漿交換療法を5回実施した。挿入から25日後に治療が終了したため、12時頃に臥位で抜去した。圧迫止血を行い抜去部をガーゼで保護した。その際、密閉性の高いドレッシング材を貼付しなかった。14時、患者が立位になった時に前失神感と胸部の違和感を訴え、一時的に酸素飽和度が80%台まで低下し酸素2Lを投与した。心電図・血液検査で異常所見はなかった。18時、白血球・トロポニンの経時的上昇があり、CPKの上昇はなかった。CCU医師にコンサルトし、造影CT検査の結果、右内頚静脈に混入した空気を認めた。CCUにて綿密な管理を行い、その後患者の循環動態は改善し、特に後遺症はなかった。
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・当院作成の『中心静脈カテーテル挿入に関する院内ガイドライン』に「【CV抜去時】空気塞栓を予防するために抜去後すぐに穿刺部に密閉性の高いドレッシング材を貼付し、その上から5分以上ガーゼ圧迫する」と記載されているが、医師は知らなかった。・上級医は抜去時の注意点について指導しなかった。・循環器内科医師と協議し、クイントンカテーテルの抜去後に微小な空気を取り込みそれによる肺塞栓をきたしたものと考えられた。
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・ガイドラインに則り、クイントンカテーテル抜去時は密閉性の高いフィルムドレッシング材を使用し、確実な止血を行う。・クイントンカテーテル抜去は上級医の立ち会いのもとに行う。
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臥位で中心静脈カテーテルを抜去した事例
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患者Aは人工授精、患者Bは採卵術と体外受精のため来院した。各患者の夫の精液は患者ラベルが貼付された採精容器に入っており、患者と看護師で確認して患者の名前の書かれた封筒に容器を入れた。その後、看護師は精液保管用の保温庫に保管した。医師は保温庫より患者Aの採精容器を取り出す際、患者Bの容器を患者Aのものと思い込んで取り出し、遠心分離機にて精液濃縮を開始した。その後、患者Bの採卵のため手術室へ向かった。医師は、患者Bの採卵後、遠心分離機にて濃縮処理された精子を専用シリンジへ吸い、患者Aを内診室へ案内するよう看護師へ指示した。看護師は医師の準備した濃縮精子の入った専用シリンジを確認した際、患者Aの名前が書かれていないため、医師へ患者A用の精液で間違いないか確認すると「間違いない」と返答があった。看護師が保温庫を確認すると患者Aの採精容器が封筒に入った状態で保管されており、患者Bの採精容器が封筒から出された状態であった。再度準備した濃縮精子が患者A用のもので間違いないか確認すると、医師は患者A用の精液で準備したか確信が持てなかったため、濃縮精子を破棄した。医師は改めて患者Aの採精容器から精液濃縮を行い、患者Aの人工授精を実施した。
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・体外受精、人工授精が同一日に複数実施されることに対する医師の危機感及び認識が不十分であった。・保温庫より採精容器を取り出す際は、ダブルチェックを行うことをルールとしていたが、処置や外来診療が重なり焦っており、普段行っている採精容器の名前の確認及び保温庫から出す際のダブルチェックが行われなかった。・同一日に、体外受精、人工授精が複数実施される際は、医師、胚培養士の人員が不足するため医師が1人で精液の濃縮処理を行わなければならないこともあり、外来診療、人工授精、採卵術、精液の濃縮処理と医師1人にかかる業務が過多となる。
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・保温庫から精液を取り出し濃縮処理をする時、濃縮した精子を入れる専用シリンジに名前を書く時、ダブルチェックを行う。・ブリーフィングを行い、処置(採卵術、人工授精)の予定や、預かる採精容器の個数をスタッフで共有する。・体外受精及び人工授精は、1日に実施する件数を可能な限り振り分け、1日3件を限度とする。・胚培養士不在時の人員確保を検討し、人員の確保が困難であれば、体外授精、人工授精の数を制限する。・家族計画外来マニュアルに、保温庫から採精容器を取り出した際にダブルチェックを行うことを追加する。
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精液の取り違え
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A夫妻(患者Aと夫A)は不妊治療のため、午前中に初診で産婦人科外来を受診した。医師は患者Aの卵子の状態から配偶者間人工授精が同日実施可能と判断した。夫Aから精子を採取し、看護師はA夫妻に14時半頃外来に戻るよう説明した。B夫妻(患者Bと夫B)は不妊治療中で、配偶者間人工授精予定であったため、同日午前中に夫Bの精子を持参し、14時半に人工授精の予定であった。14時40分頃、医師は患者Aの外来受診表の入ったファイルを取り、患者Aを診察室に呼び内診台に誘導した。看護師は医師が既に患者Aのファイルを取ったことに気付かず、残っていた患者Bのファイルを見て夫Bの精子スピッツを保温庫から取り出した。看護師が診察室に戻ると既に患者Aは内診台に座っており、カーテンで顔は見えなかった。看護師はカーテン越しに患者Aに対しフルネームで「Bさんですね」と確認した。その際の患者からの返答は不明である。医師は、精子スピッツに夫Bの氏名が記載されていたが見ておらず、患者Aの子宮内に注入した。処置終了後、看護師は電子カルテに患者Aの氏名が表示されている事に気付き、患者の顔を見て患者Bではないことが分かった。保温庫には夫Aの精子スピッツが残っていた。医師がA夫妻に他患者の精子を注入したことを説明し、腟内洗浄及び腔内洗浄を実施し緊急避妊剤を投与した。医師はB夫妻に、精子を他患者に注入し、予定していた人工授精が出来なくなったことを説明した。
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・患者確認は「患者自身に氏名を名乗ってもらう」ことを基本としていたが、看護師が診察室に戻った際にすでに患者は内診台に座っていたため、患者に名乗ってもらうことに躊躇し、看護師が患者氏名を言って確認した。・看護師は正しい患者と思い込み、患者に氏名を問いかけたが返答も曖昧な状態であったため、確認になっていなかった。・医師と看護師で精子スピッツの氏名を確認する手順となっていたが、本事例においては氏名を見ていなかった。・看護師は医師が患者氏名を見たと思っていたが実際には確認していない状況であり、精子スピッツと患者の同定手順が具体的でないと考えられた。
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・患者確認の基本を徹底する。・患者が内診台に上がるまでに、医師、看護師で患者と精子スピッツの同定を行う手順を検討する。・患者も精子スピッツの氏名を一緒に確認する手順へ変更する。・人工授精実施場所を通常の診察室ではなく、採卵室で実施することにして場を変え、また、確認手順を検討する。・以上を踏まえ、人工授精時の確認手順を次の通り変更した。1)診察室に患者を呼び出す時、看護師が診察室に不在であれば、医師は同時に看護師を呼び、診察室に同席する。2)医師、看護師が同席した場で、患者に氏名を名乗ってもらい確認する。3)患者を内診室に案内する際に、保温庫から精子スピッツを取り出し、患者と共に氏名を確認する(記入してある氏名を読んでもらう)。4)精子スピッツの名前を医師と看護師で確認した後、スピッツの蓋を開ける手順を徹底する。
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精液の取り違え
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着床不全の患者に対する凍結融解胚移植を行った。点滴を開始後、移植準備が整い、腟内を洗浄後、ソフトカテーテルが子宮腔内にスムーズに入ることを確認した。移植用のソフトカテーテルに顕微鏡下で胚を入れ、子宮腔内へカテーテル挿入を試みたが、子宮頸管内の屈曲部にあたり挿入できなかった。より硬いカテーテルで移植を試みるため、ソフトカテーテルに入れていた胚をディッシュ内へ培養液とともに戻した。その後、顕微鏡下に胚を探したが見つからなかった。子宮頸管に付着していた粘液が、カテーテルを経由してディッシュに多く持ち込まれていたため、粘液中に胚が混入している可能性を考慮し、酵素処理をしてさらに観察を行ったが、胚は見つからなかった。予定していた凍結融解胚移植は中止となった。
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・子宮頸管粘液が通常より多く、粘液過多の症例に対処する処置が不足していたことが原因と考えられる。・子宮腔内に挿入するカテーテルに粘液が多量に付着して粘液中に胚が紛れ込む状態になり、胚を別のカテーテルへ移動する際、胚を確認することが困難となった可能性がある。
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・子宮頸管粘液の分泌が特に多い場合、移植の前に頸管粘液を注射筒で吸引しておくなど、愛護的に除去した上で移植するようにする。
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胚の紛失
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胚の長期培養のための培養液交換時、臨床検査技師は胚3個を移動した。その際、パスツールピペットを誤ってディッシュの縁に接触させてしまい、胚を紛失してしまった。発生後、医師が胚の確認をしたが確認できなかった。
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・胚の移動の際に、回数を分けずに一度に行った。・ディッシュの縁の高さの確認が十分でなかった。
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・リスク分散のため胚を移動する際には、細心の注意を払いながら、複数回に分けて行うよう徹底する。
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胚の紛失
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がん性疼痛がある患者の外出希望があった。外出中はナルベイン2mg/mL10A+生理食塩液40mLを携帯型ディスポーザブル注入ポンプ(シュアーフューザー)に充填し持続皮下注射する指示であった。看護師はナルベイン10Aを吸い上げた後、生理食塩液40mLのところ20mLを吸い、シュアーフューザーに充填したため、充填量が不足した状態で投与が開始された。帰院時、担当看護師はシュアーフューザーのバルーンの中身が空になっており、薬剤が全量投与されていたことに気が付かなかった。深夜帯リーダー看護師が、麻薬を確認した際に、本来残るはずのナルベインが無いことに気が付いた。
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・看護師が調製をする際に薬剤の確認と調製量の確認をしなかった。・帰院時に本来の残量と指示との確認をせず、指示量以上の薬剤が投与されたことに気が付かなかった。・薬剤をシュアーフューザーに充填し、投与する際のマニュアルがなかった。
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・事例の共有をする。・マニュアルを作成し、正しい手順を周知・徹底(シュアーフューザーの残量は秤を用いて確認)する。・投与量と残量が指示と矛盾がないことを確認する。
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携帯型ディスポーザブル注入ポンプ使用時に充填量が不足した事例
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患者Xは輸液終了後、生食注シリンジでロックの予定であった。点滴終了のナースコールに対応した看護師は、注射台にあった患者Yの使用後のヘパリンNaロック用シリンジを患者Xの薬剤と思い込み使用した。
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・患者Yに使用したヘパリンロックシリンジが廃棄されずに再使用目的で残されていた。・患者氏名、薬剤名の確認が不十分であった。・注射実施時に機器認証をしなかった。
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・一度使用したヘパリンロックシリンジは再使用しない。・注射実施時は機器認証を行い、正しい患者、薬剤であるか確認する。
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他患者に使用後のヘパリンNaロック用シリンジを使用した事例
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患者は黄斑円孔の手術後、リンデロン点眼液を使用していた。退院時にリンデロン点眼液を中止し、フルメトロン点眼液へ変更となった。しかし、リンデロン点眼液が患者に渡されていたため、患者は退院後に2つの点眼液を使用していた。外来診察時に眼圧が高値となっており、リンデロン点眼液とフルメトロン点眼液の2種類のステロイドが投与されていたことが分かった。
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・通常、退院前日に退院時の点眼処方と説明用紙の準備が行われる。前日の夕方の時点では、リンデロン点眼液は継続指示であった。・退院当日の朝、ヒアレイン点眼液の追加指示はあったが、リンデロン点眼液の指示はそのままであった。・診察後に再び指示の変更があり、リンデロン点眼液からフルメトロン点眼液へ変更となった。・看護師は医師から指示が変更になったことは伝えられたが、理由は聞いていなかった。・退院時間が迫っており、患者を待たせている焦りがあった。
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・マニュアルには「医師は指示出しについて、緊急性の有無を問わず、必ず看護師に指示の内容とその理由を伝達すること」とある。・医師は、退院当日に変更した指示を、変更理由も含めて伝達する。・看護師は、業務に追われていても変更内容を確認するという基本的なルールを徹底する。
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退院後に患者が同薬効の点眼液を重複して使用した事例
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12時頃、看護師は患者の体位変換を1人で実施した。その際、人工呼吸器回路を外してテスト肺を付けた。看護師は体位変換後、人工呼吸器回路を患者に装着しないまま病室を退室した。12時5分頃に患者の経管栄養を開始し、12時30分頃に人工呼吸器の加湿器用の蒸留水を交換するため患者のもとを訪れたが、人工呼吸器の点検はしなかった。この間、人工呼吸器回路にはテスト肺を付けていたためアラームは鳴らなかった。12時56分頃、人工呼吸器回路が患者に接続されていないことに気付き、呼吸器回路を患者に装着した。
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・体位変換を1人で実施した。・人工呼吸器チェック表の「移動(体位変換時等)」にチェックがされていない。・体位変換時に人工呼吸器を一時的に外したが、その際にテスト肺を付けた。・体位変換後に経管栄養の実施、人工呼吸器の加湿器用の蒸留水の交換で訪れているが、患者の全身状態を観察していない。
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・インシデントカンファレンスを実施する。・手順を遵守する。・2人での体位変換の実施を遵守する。・1人での体位変換実施時のフォロー体制(例:実施後に点検を他看護師に依頼する)を作成する。・体位変換時は人工呼吸器回路にテスト肺を付けない。・体位変換後は、点検表をもとに人工呼吸器のチェックを遵守し、看護師長・副看護師長・夜間リーダー看護師が確認して指導する。・体位変換などのケア前後の指さし、声だし確認作業を実施する。・人工呼吸器に関する学習会を開催する。
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人工呼吸器回路にテスト肺を付けたまま患者に装着しなかった事例
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薬局で、アレビアチン散10%を310mgとフェノバール散10%を130mgで調製するところ、それぞれ31mgと13mgで調製し、10分の1の量になった。計量した薬剤の用量の誤りに気付かず交付した。その後、患者が入居している施設のスタッフが来店し、けいれん発作があると報告があった。薬局は、薬剤を再度調製して交換した。翌朝、けいれん発作が頻繁になっていると再度来店されたため受診を勧めた。主治医へ電話し、体調や内服状況を説明した。
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・今回初めて受け付けた患者であり、薬局に処方薬の在庫がなかったため、後日来店することになった。・患者はお薬手帳や薬剤情報提供書を持参していなかった。・調製した薬剤師以外の薬剤師と計量・数量を数回確認したが、間違いに気付くことができなかった。
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【薬局の改善策】・処方せん受付時、入力時、監査時、調製時に用法・用量の確認を2名以上で注意深く数回行う。・患者のお薬手帳・薬剤情報提供書を確認する。・散剤監査システムを使用し、秤量記録紙を調剤録に貼付する。・分包の結果で区別がつきにくい場合は薬剤名の印字や色付きの線を入れる。・患者と確認しながら交付する。【医療機関の改善策】・定期的に地域の薬局・薬剤師会と開催している薬薬連携会議において、本事例の情報共有を行うことを予定している。
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調製の事例
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秤量間違い
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既往に食道静脈瘤破裂があり、EVL後で継続的に胃酸抑制剤を使用していた。今回、十二指腸穿孔により手術するために入院した。病棟薬剤師が持参薬を確認したところ、朝食後4日分の一包化全てにランソプラゾールOD錠15mgが入っていないことに気付いた。家族に内服状況を確認し、10日分は既に内服していた。薬剤を交付した薬局に確認を依頼したところ、調製を行わなかった可能性があると回答があった。
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・薬局では、ランソプラゾールOD錠が一包化されていないことに鑑査時に気付くことができなかった。
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【薬局の改善策】・一包化薬の識別コード、錠数の確認・記録を徹底する。・交付時に薬袋から一包化薬を出して見せ、薬剤師も再度確認し、説明する。
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調製の事例
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調製忘れ
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医師は院外処方でティーエスワン配合OD錠T2028日分を処方した。患者は、後発医薬品(エヌケーエスワン配合カプセルT20)を希望したが、薬局には在庫がなかった。薬局は、当日は先発医薬品のティーエスワン配合OD錠T20を14日分交付し、翌日、入所施設に後発医薬品14日分を配送した。3週間後、発熱と食欲不振のため入所施設から、当院の救急外来に搬送された。11日間、同一成分の2剤を重複して内服していたことが分かった。
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・名前や剤形が異なる同一成分の薬剤を合わせて交付した。・薬剤情報提供用紙には、先発医薬品と後発医薬品を並列で記載して、飲み方の説明も書かなかった。・実際に薬剤を扱う入居施設の職員への情報提供が不十分であった。
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【薬局の改善策】・先発医薬品と後発医薬品を合わせるなど、まぎらわしい交付は行わないようにする。・在庫が足りなかった場合は内服開始を遅らせることができるか処方医に確認する。・薬剤情報提供用紙や不足分の薬剤を渡す際は、注意点を書き添えるようにする。
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交付の事例
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交付時の説明不足
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患者はけいれん治療のために薬剤が投与されていた。MRI検査を実施することになり、アンビューバッグで換気しながらMRI室に看護師、研修医A、診療放射線技師の3名で向かった。MRI室に向かっている途中で診療放射線技師にMRI室内ではアンビューバッグが使用できないと指摘され、研修医Aが救急外来の医師のもとに相談に行った。医師と研修医Aが蛇管を持ってきたが接続できず、医師は救急外来に別のものを探しに戻った。看護師もそれを追って救急外来に戻り医師からカテーテルマウントを渡されたため、それを持ってMRI室に戻った。MRI室の患者のもとに戻った看護師は、気管チューブ、カテーテルマウント、酸素チューブの順に接続した。看護師は「つながった」と声を出し、検査を進める流れとなった。その場に研修医A、看護師、診療放射線技師の3名がいた。看護師は研修医Aに声をかけてMRI室を退出した。入れ替わる形で医師と研修医BがMRI操作室に入室した。その後、研修医Aが救急外来に来て「人を呼んで」と看護師に言った。看護師がMRI室に行ったところ、医師が患者に胸骨圧迫をしていた。医師から「人を呼んで」と言われたため救急外来に戻り、他の看護師に患者がCPAになったことを伝えた。患者を救急外来に移送し、胸骨圧迫、脱気のため右胸部にサーフロー18G針で穿刺し、両胸部にトロッカーカテーテル挿入、アドレナリンシリンジ1Aを投与した。その後、自己心拍が確認できICUに入室した。
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・看護師は、チューブを接続することのみに集中しすぎた。この方法で安全に患者に酸素投与ができているか、自身で疑問を持って周囲に確認しなかった。・挿管時の酸素接続の知識がなかった。このような酸素接続の経験がなかった。・酸素接続後に指示を出した医師に確認しなかった。・他の検査は、挿管中の患者は医師がアンビューバッグを加圧しながら実施している。
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・自分が実施したことが本当に正しい状態なのか常に疑問に持ち、周囲に確認を仰ぐようコミュニケーションを密にとっていく。・経験や知識がない場合は実施しない。そのことを医師に意思表示し、実施を依頼する。・医師から指示を受けた場合は、実施したことを報告し指示通りの状況となっているか確認を仰ぐ。・MRI室での挿管患者撮影時のルールを作成し、挿管患者のMRI検査は原則実施しない。しかし、治療上検査の必要性が生じた場合には、主治医は放射線科医師に相談し、必ず主治医の監視下で検査を実施することとする。
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酸素チューブをコネクタ類を介して気管チューブに接続した事例
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患者は火災による熱傷で当院救急外来に搬送され、気管挿管後、Tピースで酸素5L/分投与され、ICUに入室した。呼吸器内科医師Aが気管支鏡施行のため来棟した。医師B(4年目)と内視鏡センター看護師Cが気管支鏡器材をICUに搬入した。医師Aから医師Bに、Tピースを外して回転コネクタを装着するよう指示があり、医師Bは回転コネクタを看護師Cより受け取った。回転コネクタはト型様で、上部は気管支鏡が入る穴とはめ込み式の蓋とそれに連続した全体を覆う着脱可能な蓋が装着されており、反対側の下部は気管チューブと接続、横の部分は酸素アダプタを介して酸素チューブが接続できる形状であった。医師Bは、上部の蓋を外さずに、下部に気管チューブを接続し、横の部分には酸素アダプタを付けて酸素チューブをつなぎ3L/分で流した。医師Bは、気管支肺生検に数回立ち会っているが経験は少なく、接続に不安があったため、訪室してきた看護師Dに相談したが、不審点の指摘はなかった。看護師Dはそのまま他の業務のため退室した。約1分後、急に患者の体動が激しくなり、顔面紅潮、眼球上転、HR40台、血圧30台、SpO80%台に低2下後、呼吸停止となり、緊急要請にて救急医2名も駆けつけて対応に当たった。医師Aは、回転コネクタを除去し、バッグバルブマスク換気(酸素10L/分に増量)を行い、2〜3分後に自発呼吸再開、脈拍70台となった。医師Aは、回転コネクタ除去時に呼気が噴出したことやコネクタの蓋を外していなかったことに気付き、医師B、医師E(上級医)に報告した。患者は顔面、頚部が浮腫状となり、体動も激しく、苦悶表情を呈していた。鎮静剤を投与し、コネクタの蓋を外して気管チューブに装着後、気管支鏡にて内腔の観察とチューブ位置の確認を行った。再度Tピース(酸素10L/分)に戻したが、BP134/94mmHg、SpO84%前後2であった。胸部X線撮影を行ったが頚胸部の広範な皮下気腫のため不明瞭であった。頭部-骨盤腔内CT検査を施行し、広範囲頚部領域皮下気腫、縦隔気腫、腹腔内、左陰嚢レベルまでの気腫、両側性気胸/肺虚脱を認めた。以上の結果から、回転コネクタの蓋を開放していないことによる圧外傷(両側気胸、縦隔気腫等)と考えられた。両側胸腔ドレーン留置後は、Tピース酸素5L/分下でSpO100%に改善、状2態も安定した。
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・呼吸器内科は、日常的に人工呼吸管理下、挿管下で回転コネクタを使用して気管支鏡検査を行っていた。診療科内で症例カンファレンスを行った上で、施行医Aと介助医Bが当該患者の気管支鏡検査に選定されていた。・医師Bは、同月から呼吸器内科に入局(前月までの4ヶ月間は他科で勤務していた)、気管支鏡検査に付いた経験は10件以下であった。・医師Aの単独気管支鏡検査実施件数は、200~300件/3年(サブを含めると1000件以上)で、いずれも回転コネクタを使用しており、十分な技量を有していた。・医師Aと医師Bで検査の観察ポイントについて話はしたが、検査手順(回転コネクタの蓋を外してから装着する)までは話し合っておらず、装着時の見守りも行われていなかった(出来ると思っていた)。・当該回転コネクタは、基本的に人工呼吸器下で使用する製品であり、当該診療科も入院病棟(気管支鏡検査は、1件/3ヶ月位)もTピース装着中の患者の気管支鏡検査の件数は少なかった。・回転コネクタ装着は医師が行っているため、看護師はコネクタの構造及び危険性を理解していなかった。・当該回転コネクタは、単品で購入されており、梱包内の取扱説明書には、その形状の図柄を始め、使用方法、注意点、危険性について記載が無く、誰もが説明書を見て使える状態では無かった。ただし、熟練した医療従事者が扱うことの記載はあった。
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・回転コネクタは、適正使用およびその構造や危険性を熟知している者が取り扱う。・不慣れな者が回転コネクタを取り扱う場合は十分に指導し、見守りや的確な指示を出す。また、看護師へも指導や情報共有を行う。・販売企業に、取扱説明書を改善するよう申し入れを行った。・当該回転コネクタは、基本的に人工呼吸管理下での使用であり、現在の使用方法が適切であったかを製造販売企業を通して調査中である。
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nan
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肺炎のため気管切開術が施行された患者で酸素吹き流しの状態で4回/日のネブライザーの指示があった。看護師A(職種経験0年5ヶ月)がネブライザー実施の事ため例、1気管切開チューブに接続されている閉鎖式吸引カテーテルから人工鼻を外し、ネブライザーを直接接続した状態で吸入を開始した。看護師B(職種経験1年5ヶ月)は、閉鎖式吸引カテーテルにネブライザーが接続されているため看護師Aに使用方法を確認したが、前勤務者から申し送りで聞いた方法であると答えられたため酸そ素のままネブライザ呼ー気を施行した。痰の貯留音により開放式吸引を実施後にネブライザーを再開するも、気管切開チューブから声漏れが出現し、気管切開チューブの位置やカフ圧を確認したが持続するため、看護師Cに報告をした。その後、患者の呼吸状態が改善されず、医師への連絡中に患者は頻呼吸になり、チアノーゼが出現し意識レベルが低下した。SpO2が70%台になりバッグバルブマスクで換気を実施するもHR20台まで低下したため胸骨圧迫を開始した。1~2分程度で心拍が再開し人工呼吸器装着となった。その後、CT検査で頭蓋内に異常はなく意識レベルの改善を認めた。
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・本来は、閉鎖式吸引カテーテルを外し、トラキマスクにネブライザーを付けて気切部に当てて吸入しているが、人工鼻を外し事た部分にネブライザーを接続すると解釈を間違えた。・閉鎖式吸引カテーテルとネブライザーが接続可能な構造になっていた。・「外してからつける」と口頭での申し送りのみ行い、内容の解釈が違っていたが気付かなかった。・異常を感じた時点でも処置を継続し、他のスタッフに確認をせず実施していた。
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・当該ネブライザーの使用を中止し、閉鎖式吸引カテーテルへの接続が不可例能2なネブライザー製品の使用を検討する。・看護技術の内容についての申し送りは、送る側及び受ける側の双方が、口頭だけでなく実際にその手酸順素を実施して方法呼を気確認する。・新人看護師同士では看護手順の確認やダブルチェックなどを行わない。・異常を感じたときは、処置を中止しスタッフに確認をする。・特に注意喚起が必要な事項については、スタッフ全員に情報が周知されるようにする。
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ネブライザーを閉鎖式吸引カテーテルを介して気管切開チューブに接続した事例
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救急外来で内頚静脈から中心静脈カテーテルを挿入する際に、ガイドワイヤーをカテーテルから出すのを忘れ、そのままカテーテルを挿入したため、ガイドワイヤーが体内に残った。挿入後にガイドワイヤーを抜き忘れたことに気付き、胸部X線画像で体内に残っていることを確認した。放射線科医師に相談し、血管造影室で透視で確認すると、血管内のガイドワイヤーは上大静脈から右大腿静脈内に位置していた。カテーテルを用いてガイドワイヤーを回収した。
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・正しい挿入手順で行うことが必須であるが手技に不慣れであった。・指導医も傍らで補佐していたが手技の誤りに気付かなかった。
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・正しい挿入手順で行うことが必須である。・慣れないうちは上級医とともに手順を確認しながら行うことも必要である。
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中心静脈カテーテル挿入後に発見した事例
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nan
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患者はS状結腸穿孔、汎発性腹膜炎の診断で、緊急手術が決定した。19時に手術室に入室したが、術前より血圧低下、酸素飽和度の低下を認めた。麻酔導入、気管挿管後に麻酔科医師が右内頸静脈から中心静脈カテーテル及び血液濾過透析用カテーテルの挿入手技を開始した。各々のガイドワイヤー留置後に血液濾過透析用カテーテルを挿入し、血液濾過透析用のガイドワイヤーを抜去した。その後、中心静脈カテーテルのカテーテルを挿入する際、血行動態が不安定になり対応に追われた。このため、ガイドワイヤーを抜去しない状態で中心静脈カテーテルを挿入してしまった。清潔野のトレイ上の血液濾過透析用のガイドワイヤーが視野に入り、中心静脈カテーテル用のガイドワイヤーと錯覚してしまった。22時30分に手術が終了し、術後の胸腹部X線画像により、右大腿静脈内のガイドワイヤー遺残に気付いた。主治医から家族に説明し、22時50分、循環器科医師により異物回収術を実施した。回収手技には、ヘパリン3000単位を使用し、血管内スネアにより回収した。回収後にプロタミンにより拮抗した。回収30分後のACTは131秒であり、術後出血等への影響は無かった。
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・作業環境の整理不足があった。・複数のカテーテル挿入手技を同時に行う場合、通常は各々のトレイに使用物品等を置いていたが、今回は緊急の為トレイの整理をしておらず、同じトレイ上に使用物品を置いていた。
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・緊急時も通常通り、トレイを整理しながら各々のトレイに使用物品を置き、体内遺残が無いことを確認しながら手技を進める。
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手術終了後に発見した事例
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nan
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食道潰瘍の治療のため、病室にて中心静脈カテーテルを挿入した。エコーガイドで穿刺し、ガイドワイヤーを通した後に中心静脈カテーテルを挿入し、輸液を開始した。輸液は問題なく施行できた。中心静脈カテーテル挿入6日後の朝に、胸部X線を撮影した。他医師の指摘にてガイドワイヤー遺残が疑われたがはっきりしなかった。中心静脈カテーテル自体が抜けかけていたので抜去し、末梢ルートからの輸液に切り替えた。翌朝、再度胸部X線を撮影し、ガイドワイヤー遺残が確定的と思われ、医療安全委員会に報告した。翌々日、医療安全委員会にて対応を協議後にCT画像にてガイドワイヤーの位置を確認した。循環器科医師立ち会いのもと、局所麻酔下にて、放射線科医師2名により右上大腿静脈より穿刺を行い、6Frシースを留置した。血管造影にて上大静脈~右心室内にガイドワイヤーと思われる異物を認めた。スネアカテーテルを用いて上大静脈内でガイドワイヤーと思われる先端を捕捉し、シースを介してそのまま体外へ抜去した。合併症なく手技を終了した。その後患者の状態は問題なく、順調に回復し退院となった。ガイドワイヤーは上大静脈から右房、右室まで入っており、VTなど致命的な不整脈の発生が危惧されたが、致命的な不整脈は起きなかった。患者への身体的影響はなかった。
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・末梢ルートの確保が困難であり、中心静脈カテーテルを挿入した。・患者は不穏で体動が強く、ドルミカムにて鎮静を行いつつ、中心静脈カテーテルを挿入した。・患者が安静に体位をとれず、頭部を押さえながら処置を行ったことも、要因の一つと推測した。
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・処置を行った後の器具をすぐにごみ箱に入れず、遺残がないか数えることも改善案として考えられる。中心静脈カテーテルキットの中身(カテーテル、ガイドワイヤー、シース、注射器等の種類及び本数)を確認するため、全部署の看護スタッフへ情報の共有を行った。・中心静脈カテーテル挿入時のガイドワイヤー遺残の可能性を検証し、再発防止に向けて業者による研修を実施する。・当院で使用している中心静脈カテーテルのメーカー、納品数を調査し、今回使用した中心静脈カテーテルを使用している部署へは特に注意喚起を行う。
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6日後に発見した事例
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nan
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CABG施行後、1ヶ月経過した頃に状態が悪化しショック状態となったため、気管挿管しICU管理とした。もともと透析患者であったため、ICUで鼠径部からブラッドアクセスカテーテルを留置した。手技の途中に再度状態が悪化し心肺停止となり、救命処置を行うためカテーテル挿入の手技を一時中断した。その後、心拍は再開しカテーテル留置も終了した。約1ヶ月後に撮影したCT画像にワイヤー状のものが体内に遺残していることを放射線科医から指摘された。1ヶ月の間に単純胸部X線は複数回撮影していたが、心電図や点滴などのルートが写っていると思い込み、ガイドワイヤーの体内遺残に気付くことができなかった。即日にカテーテル下でガイドワイヤーを抜去した。
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・心肺停止したために救命処置を優先し、カテーテル挿入処置を中断した。・カテーテル挿入後に複数回のX線撮影をしておりガイドワイヤーが写っていたが、他のルートだと思い込み、誰も遺残に気付けなかった。・肺炎の治療に集中しており、肺炎像にばかり注目し、遺残に気付けなかった。
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・急変時には、処置後に物品確認、X線画像確認を第三者の視点で確実に行う。・診療放射線技師にも事例を周知し、気付いた点があれば指摘してもらう。
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1ヶ月後に発見した事例
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nan
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外来受診時に血液検査を行い、その結果を家族に話した。肝機能障害が悪化傾向であったため内科へコンサルトを行った。しかしこの時に低血糖(血糖32mg/dL)であったことを見逃した。帰宅後、患者はいつもと様子が違い一点を見つめて反応がない状態であったため、家族が救急要請した。入院となり、ブドウ糖注射液の静注などによりバイタルサインは安定したものの意識レベルは改善されず、数日治療を続けるも肺炎を併発し死亡した。
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・患者は、脳梗塞、認知症、失語症で脳神経内科外来に通院中であり、コミュニケーションをとることが困難な状態であった。・医師は、救急搬送後も循環不全であるにもかかわらず、乳酸値が上がっていないことに注目し、血糖値が測定不可になっていたことを見逃した。・その後、血液検査の再評価を行った際に、低血糖であったことに気付いた。・血糖値のパニック値は、40mg/dL以下、600mg/dL以上で設定していたが、外来の迅速検査であったため、電話連絡の対象外であった。
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・パニック値や異常値の表示方法をわかりやすくする(異常値は高値が赤字、低値が青字、パニック値は数値の枠を青く塗りつぶす)。・医師が選択した致命的になるデータ項目は、外来・入院問わずにパニック値として電話連絡する院内共通の体制を作った(中央検査部よりオーダ医師に電話連絡を行う。不在の場合は、外来は責任看護師、入院は担当医もしくは看護師長へ伝える)。・低血糖は鑑別診断の最初に挙がるものなので、ER医師は意識障害の患者が来院したら、低血糖を鑑別するという基本教育を行う。
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他の検査値に注目した事例
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患者は、肺癌終末期で、今回は脳転移による頭痛などの自覚症状のコントロールのため入院をしていた。深部静脈血栓症のためワーファリンを内服していた。入院当日の血液検査もコントロール内であったが、入院から2週間後にPT-INRが5.8で効果過多になっていた。しかし、それ以降も同量のワーファリンを内服していた。その後、神経症状が出現し、緊急CT検査にて転移性脳腫瘍からの出血と診断された。ケイツーを投与して拮抗し、脳神経外科医師および家族と相談し、保存的加療の方針となった。
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・PT-INRの測定結果が再検となり、結果が出るタイミングが他の検査結果とずれ、他の検査結果を確認したときには空欄となっていたが、空欄となっているのを見落とし、再確認しなかった。・効果過多の結果が出た日に、担当が医師Aから医師Bに交代になった。・それ以前の担当の医師Aが血液検査を入力し、検査4日後からのワーファリンも処方していた(結果的にはPT-INRの結果を確認せずにワーファリンを処方した)。・医師Aは、血液検査のオーダやワーファリンを処方したことを医師Bへ申し送っていなかった。・出血傾向がなくても、転移性脳腫瘍からの出血は起こることはあるが、ワーファリンの作用過多が出血の一因となった可能性があった。
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・事例を周知し、ワーファリンの処方は血液検査の結果を見てから行うことを徹底する。
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空欄になっていた事例
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3ヶ月前、リウマチ治療目的でゴリムマブ製剤を開始するにあたり、T-SPOTの検査をオーダした。医師は、T-SPOTを含む検査の結果を確認のうえ、診療科内で治療方針を検討し、ゴリムマブ製剤を開始する方針となった。2ヶ月前、1ヶ月前の外来にてゴリムマブ製剤が投与された。今月中旬より呼吸苦、胸水が増量し、他院で治療を開始するが、胸水の原因が特定できず当院へ転院となった。治療を開始する際、3ヶ月前のT-SPOTの結果が陽性であったが、その後、追検査が実施されず患者へゴリムマブ製剤が投与されていたことが分かった。
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・T-SPOTの検査の結果はオーダ医1名で確認しており、複数の医療者での確認は行われていなかった。・電子カルテの検査結果は、「ヨウセイ」が黒文字で表記され、他の数値との差別化がなかった。・化学療法に関連したスクリーニングに関する注意喚起はされていたが、本症例治療での周知は不十分であった。
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・検査結果が陽性であった場合の視認性を向上(赤で表示)させる。・電子カルテにゴリムマブ製剤オーダ時の注意喚起ポップアップを表示する。・スクリーニングのチェックリストを作成する。・外来注射払い出し方法を変更し、薬剤師が監査する。
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異常値を示していたが目立たなかった事例
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患者は潰瘍性大腸炎の治療のため入院した。14日前より絶食・TPN管理を行い、レミケード・プログラフで治療したが効果が乏しく、今後手術の予定となっていた。4日前、高カリウム血症、貧血があったため、代理医師に血液検査オーダを依頼して電解質・貧血の経過は把握していた。しかし、同日の外科対診時に臨床検査がオーダされていたが、普段より他科がオーダした検査の結果を確認する習慣に乏しく、血糖387mg/dL、尿糖4+を見ていなかった。当日の日勤で口渇・倦怠感の訴えがあり、準夜では手指の振戦や意識レベル低下をきたしたため、主治医に報告し血液検査を行った。その際、血糖値を測定すると「HI」と表示されたため当直医にコールした。当直医が診察し、高血糖(検査部での値は1,800mg/dL)でアシドーシスであることを確認した。糖尿病内科医師に連絡のうえ、電解質に注意しつつ大量輸液とインスリン療法を開始し、コントロールを行った。
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・37日前の血糖値は、113mg/dLであった。・患者には糖尿病の既往はなく、ソフトドリンクの多飲、高カロリー輸液が原因と考えられているが、タクロリムスの血中濃度のトラフ値が高値であり、薬剤の影響もあると思われる。・高カロリー輸液を行っていたが定期的な血糖測定を行っていなかった。・4日前に気付く機会があったが、外科(他科)がオーダした血液・尿検査の結果を確認していなかった。・患者の症状として、口渇・多尿・多飲となったのは当日からであり、明らかな高血糖症状を認めなかった。
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・全科の検査結果の確認をするようにする。・高カロリー輸液を行っている場合は、血糖値に注意を払う。
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他科医師がオーダした検査結果を見る習慣がなかった事例
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医師は外来受診した患者に検査の説明を行い、血液検査と造影CT検査のオーダを行った。造影CT検査を行う4分前に血液検査の結果が報告されていたが、確認しないまま造影CT検査を実施した。その後、クレアチニン4.88mg/dL、eGFR10.25であったことが分かった。
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・腎機能の検査値を確認しないまま造影CT検査をオーダした。・電子カルテの造影CT検査のオーダシステムに腎機能の確認項目がない。・造影CT検査の実施時に腎機能の検査値を確認する決まりがなかった。
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・必ず検査結果(腎機能)を確認してから、造影CT検査をオーダする。・電子カルテの造影CT検査のオーダシステムに腎機能の確認項目を組み入れる。・造影CT検査の実施時に腎機能の項目の入力を確認する。
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その他の事例
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腹腔鏡下S状結腸切除術、横行結腸人工肛門閉鎖術を行った。医師Aは閉創を終了後、SSI(SurgicalSiteInfection)予防のためマスキンR・エタノール液(0.5W⁄%)をV用い、創部を追加消毒した。その際、医師Bは閉創中で、電気メスを用いて止血しており、マスキンR・エタノール液(0.5W⁄%)Vに引火し、下腹部に広範囲のⅠ度の熱傷、一部Ⅲ度の熱傷を生じさせた。
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・医師間のコミュニケーションが不足した。・追加消毒にエタノール含有消毒剤を用いた。・電気メスの使用が想定される場面で、エタノール含有消毒剤を用いた。
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・手術時の追加消毒の際にはエタノール含有消毒剤を使わない。・エタノール含有消毒剤の使用の必要性があれば、主任看護師に確認の上で準備する。
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開心術後、ICUで管理していた患者が、手術後15日目にPEAとなりCPRを開始した。心拍再開したが再度心停止となり、ベッドサイドで開胸することになった。医師より消毒剤を依頼された際、ポピヨドン液を使い切っていた。看護師は、処置カートや開胸セット内にポピヨドン液がなかったため、クロルヘキシジングルコン酸塩エタノール消毒液1%でよいか医師へ確認して渡した。医師は渡された消毒剤で消毒した。開胸時、電気メスを使用したところ、クロルヘキシジングルコン酸塩エタノール消毒液1%の入った綿球カップと、消毒剤の染みこんだガーゼから発火し腹部に引火、上肢まで火が延焼した。すぐに医師が生理食塩水を発火部にかけ、生理食塩水をガーゼに染みこませたものを発火部に当てることで鎮火した。左頭部付近の毛髪にも一部燃焼があった。形成外科へコンサルトし、熱傷部分の診察を依頼した。腹部に10×15cmのⅠ度とⅡ度の熱傷を認め、ステロイド軟膏を塗布することとなった。
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・心停止に対する開胸、PCPS挿入に焦りがあった。・エタノール含有の消毒剤であることが念頭になく、適切な消毒剤を医師へ渡さなかった。・看護師は、通常、使用することが多いエタノール含有の消毒剤を医師に渡した。
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・開胸カート、処置カートに準備するポピヨドン液の本数を増やす。・エタノール含有の消毒剤であることを明示し、周知する。・消毒剤の用途や、禁忌に対しての知識を深める。
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医師は2名で右脛骨を髄内釘で固定後、同側の腓骨骨折の手術をすることにした。ドレーピング前にイソジン消毒を行っていたが、すでに1時間30分程度経過していたため、ステリクロンWエタノール液1%を浸した綿球で皮膚の再消毒を行った。皮膚切開後に出血に対して電気メスで止血したところ、創部周囲のストッキネットに引火し発火した。2枚の覆布も焼けていた。すぐに手元の生理食塩水で消火したが、下腿外側(消毒範囲)に5×10cmの熱傷を起こした。
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・手術中、皮膚切開部分をエタノール含有製剤で追加消毒した。気化が不十分な状態で電気メスを使用したため、揮発したエタノールが術野に停滞し、電気メスの火花で引火した可能性がある。・エタノール含有製剤の使用量が多く、消毒部位周囲のストッキネットや覆布にエタノール液が染み込み、揮発する段階で引火につながった可能性がある。・1%エタノール液注)に引火する認識がなかった。
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・原則、手術中(清潔野)にエタノール含有製剤は使用しない。術中に追加消毒が必要な場合は、ポピラール消毒液またはマスキン水で消毒を実施する。・術前の消毒でエタノール含有製剤を使用する場合は、消毒後表面が乾燥するまで15秒は待つ(15秒以下では殺菌効果がない)。・余分な消毒剤は電気メス使用前にふき取り、十分に気化させておく。また、垂れた消毒剤を吸収させたパッドは覆布をかける前に取り除く。・引火性の消毒剤があること、重大な医療事故につながる可能性があることの認識をもち、発生防止に努める。
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注)ステリクロンWエタノール液1%は、クロルヘキシジングルコン酸塩を1%含む製剤で、添加物として日局エタノール83vol%を含有する。
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手術室で輸血オーダをする際、電子カルテでは一件前の手術患者のカルテ画面が開いており、その患者の輸血オーダをしたため、異型輸血がオーダされた。輸血が手術室に運ばれた際、血液製剤と輸血伝票の確認は行ったが、患者との確認を行わなかったため、異型輸血が行われた。結果的に、重篤な有害事象は発生しなかったが、GHCU管理にて厳重な経過観察が行われた。
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・輸血オーダをする際に患者氏名を確認しなかった。・輸血伝票が出された際に、患者氏名の確認を行っていない。・輸血投与前の確認で輸血伝票と血液製剤は確認したが、患者氏名・血液型の確認はしていない。・手術中の患者の血液型が一目でわかる状況でなかった。
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・電子カルテは手術が終了したら必ずログオフする(長時間開いたままの場合は自動ログオフになる設定とした)。・手術時、麻酔導入後は手首に巻いているネームバンドを切って、カルテに貼り、麻酔科管理とする。・輸血伝票が出たら、ネームバンドで確認する。・術前タイムアウトで外科医に血液型を呼称してもらい、血液型カードを外回り看護師が点滴棒にかける。・輸血投与前は医師・看護師で輸血伝票・電子カルテ・血液製剤・ネームバンドを用いてダブルチェックをする。
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血液製剤間違い
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術後ICUに入室した患者に対し、貧血のため医師よりRBC4単位の投与指示が出た。日勤帯の看護師は、2単位製剤を2バッグの認証確認を医師と行い、実施入力を行った。1バッグは患者に投与し、残りの1バッグはICUにある輸血用保冷庫に戻した。その際「Drと確認済み」と記入した用紙をバッグに貼り付けた。輸血バッグには製剤内容が貼付されており、裏面には名前が記載された「交差適合票」を貼っているが、「交差適合票」が下になっていたため名前は見えなかった。準夜帯の受け持ち看護師は、残りの1バッグを投与するために保冷庫の中の患者用トレイ(患者の名前が書かれたテープが貼ってある)の最上にあるバッグを取り出した。日勤看護師より「確認済み」と伝達されたため、医師と患者認証は行わず、看護師同士のダブルチェックもしないで投与を開始した。輸血終了の際、受け持ち看護師は電子カルテで終了認証を行ったができなかった。この時点で、B型(+)の患者にO型(+)のRBCを投与したことに気付いた。
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・日勤帯の看護師は、緊急の急速投与指示ではなかったが一度に2単位製剤2バッグを医師と認証確認し、実施入力を行った。・準夜帯の受け持ち看護師は、「確認済み」と伝達されたため、医師と患者認証は行わなかった。・すぐに空バッグと交換する必要があったため、受け持ち看護師は投与を開始した。・当該患者用トレイに別の患者のRBCが入っていた。・輸血チェックリストを使用していなかった。
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・輸血部門における出庫時の確認は、臨床検査技師と看護師で輸血部門システムの画面と製剤に貼り付けてある交差適合票と、製剤バッグ本体の表示を見比べ、ID、患者氏名、血液型、製剤名、製剤番号、有効期限、照射日を確認し、出庫確認している。実施時の確認は、医師と看護師で患者のベッドサイドで電子カルテの患者画面を開き、輸血の指示、血液型、ID、患者氏名、製剤名、製剤番号、有効期限、照射日の製剤確認と患者認証の確認を行っている。・輸血マニュアルを遵守する。・ICUにおける輸血の運用を下記のごとく変更した。1)通常の輸血時は、1バッグ毎に医師と認証確認を行う。2)ICU入院患者のベッドサイドに患者血液型色プレートを設置し、輸血時は確認行動の中に取り入れる。3)輸血チェックリストを使用する。4)手術室で使用しなかった輸血は、輸血部へ返却する。ICUで保管しない。5)直ぐに使用する輸血(次に交換する輸血)は、点滴スタンドに下げて手術室からICUへ移動する。6)ICUで輸血が必要な時は、1バッグ毎に輸血部へ取りに行く。
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血液製剤間違い
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術後当日の14時、看護師は医師に輸血継続の確認を行った。看護師は、医師に血小板の保有の有無を確認され、担当していたもう一人の患者(隣のベッドの小児、O型)の血小板を当該患者(成人、AB型)の血小板と思い込み、あると返答した。医師より継続の指示を受け、看護師は医師に「投与しますね」と血小板のバッグを見せて投与を開始した。前勤務帯で隣のベッドの小児患者に50mL使用し、バーコード認証実施済の血小板であったため、再度のバーコード認証は行わなかった。投与後、バイタルサインの変化等は現れなかった。次の更新時、投与済みの血小板の空バッグを破棄する際に、14時から投与された血小板が別の患者の血小板であることに気付いた。輸血後、副作用や臓器障害、アレルギー反応は無かった。血液検査では、抗A、B抗体などは検出されず、溶血を示唆する所見も術後の経過と考えられる範囲だった。
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・血液型の確認は、輸血伝票と血液バッグでダブルチェックを行い、更にリストバンドと血液バッグのバーコードで照合することになっているが、輸血投与前のダブルチェックが適切に行えていなかった。・開封後の血小板であったが、成人患者に対して使用することに疑問を持てなかった。・小児患者に払い出された血小板に輸液ラインを付け、そのラインからシリンジに投与量を吸引して使用した。その後、血液バッグにラインが付いた状態でICU内の振盪器で保管していた。・血小板のバッグのまま保管していたため、患者氏名、ID、バーコードは表示されていた。・小児の場合は初回使用時にバーコード認証を行い、2回目以降の投与時は目視確認のみの運用であった。前勤務帯で小児患者に使用する際にバーコード認証済であったため、今回はバーコード認証を行わなかった。・ICUでは、血液型が表示されたリストバンドをベッドの足元に貼付している。
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・輸血実施時のルールを再確認し徹底する。・小児等で輸血を複数回に分けて投与する場合もバーコード認証を行う。
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血液製剤間違い
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日勤看護師が輸血の準備をして医師をコールしたが、医師はカンファレンス中であった。医師と看護師がダブルチェックをICU内センターテーブルで実施した。ダブルチェックでは、血液製剤の患者氏名、患者血液型、使用日、種類、血液型、単位数、番号と輸血記録伝票の患者氏名、ID番号、血液型、製剤種類、単位数、製剤番号、有効期限を確認した。医師が、ICU内センターテーブルで携帯情報端末(PDA)にログインした。日勤看護師が代理で実施登録を行うことを伝え、PDAでの確認作業の途中で、医師はカンファレンスに戻った。看護師が引き続きPDAでの照合作業を行った。本来、携帯端末で照合する場合はベッドサイドに行くことになっているが、今回は、ベッドサイドに行かずにICU内センターテーブルで実施した。勤務交替時間であり、夜勤看護師は日勤看護師から、「PDAで実施登録は済んでいるからよろしくね」と別の患者のベッドサイドでFFPと輸血記録伝票を渡された。夜勤看護師は、血液製剤と伝票を照合して、そのまま別の患者に投与した。1本目のFFPが終了し、2本目をつなぐ際に患者氏名・伝票を確認して患者間違いに気付いた。血液型は一致していたため、副作用は生じなかった。
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・マニュアルの遵守不足であった。・投与時にネームバンドと輸血伝票の患者氏名の照合をしていない。・当院では、医師と看護師がダブルチェックすることになっている。・輸血事故が起こった時のリスクを考え、医師と看護師が患者のベッドサイドに行くことになっている。・ベッドサイドで医師が携帯端末でログインし、照合することになっている。実際にルートの接続等は看護師が実施することになっている。PDA認証のログインは1回(1人)しかできない。認証システムでの照合=実施登録(記録)であり、現行の認証システム導入時にログインは医師が行うことに決まった。・ICU内のセンターテーブルでPDAによる確認を行い、ベッドサイドで認証システムを使用しなかった。・他患者のベッドサイドでFFPを手渡された。その際に、明確な指示や確認(患者氏名・復唱等)を怠った。・責任の所在が曖昧である。・カンファレンスが優先される職場風土で、患者の安全を第一に考えられていない。
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・至急回報(安全ニュース)を配信して注意喚起を行った。診療科・病棟間で合同カンファレンスを開催し、その結果を医療安全管理室に提出してもらう。・マニュアル遵守のチェックを輸血部・看護部・医療安全管理室にて実施する。・輸血部を含め、マニュアルの見直しをする。他の施設やeラーニング等の教材では、必ずしも医師と看護師2名でベッドサイドにおいて輸血の照合(患者確認)を行っていない。また、当院の診療科によっても、夜間等、医師が手術で不在時には遵守できていない状況もみられた。そのため、現場で実施可能なマニュアル改訂を輸血委員会や医療安全会議で検討した結果、以下へ変更予定である。1)病棟に払い出された血液製剤と輸血記録伝票の確認は看護師を含む医療者2名でダブルチェックを行う。2)ベッドサイドでの輸血照合の際は、患者にフルネームで名乗ってもらい、輸血の確認は必ずPDAを使用し、医師または看護師1名で確認する。・当該事例発生後も、輸血のPDAの実施登録の未実施が2%程あった。未実施に関しては所属長へ電話連絡し、医療安全レポート報告を依頼して、PDAの確実な使用を指導している。
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患者間違い
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9時40分、研修医は術後の患者A(○○△さんA型)に自己血をつなぐよう指示された。研修医は、自己血を看護師と血液製剤支給票を見てダブルチェックし、部屋割りを表示しているボードで患者氏名を見て、同じ病棟で別の病室に入院している同姓で名前が同じく1文字の患者B(○○□さんB型)のベッドサイドに行った。ベッドサイドにはPDA(患者認証システム)を持って行ったが、患者氏名や血液型の確認を行わなかった。患者Bに輸血する旨の説明を行い、ヘパリンロックしていた輸血ラインに自己血を接続した。開始する時に、患者認証システムを用いた照合は行わなかった。滴下を確認した際、滴下が不良であったことから看護師に報告したところ、患者Bに患者Aの自己血を接続していたことに気付いた。少量、輸血された可能性があった。接続した自己血は血液型が不適合でありメジャー・ミスマッチであった。異型輸血対応マニュアルに沿って対応し、患者BはICUへ転棟となった。
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・輸血を実施する際、ベッドサイドでの患者氏名、血液型を確認しなかった。・PDAで患者と自己血を照合しなかった。PDAで認証を行う目的は実施入力であると思っており、接続後に実施しようと思っていた。・患者Bは、化学療法施行中で、骨髄抑制が生じたため2日前に輸血されていたことから、患者B自身は今回もそのための輸血と思っていた。・研修医は過去に輸血の実施をしていたが、輸血実施時のマニュアルを理解していなかった。
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・研修医を教育するシステムを見直す。1)患者認証システムの手順に加え使用する目的を教育する。2)医療安全教育を複数回実施する。3)ヒヤリ・ハット事例検討会に参加させる。・研修医に関しての情報共有を行う。・研修医は医療安全マニュアルを理解し遵守する。
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患者間違い
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患児はCCUで気管挿管され全身状態を管理されていた。ミダゾラム注、フェンタニル注射液で鎮静されていたが、覚醒傾向で体動が著しく十分な鎮静が得られなかった。医師は鎮静強化の目的で看護師に1%プロポフォール注5mL/hの投与を指示した。看護師は指示を受け、配置薬から1%プロポフォール注を取り出して準備し、午前10時50分から5mL/hで患児へ投与を開始した。翌日午前0時15分、看護師は薬剤部に配置薬使用分と翌日分の追加オーダを取りに行った。薬剤師は1%プロポフォール注を払い出そうとしたが、棚に「小児に処方が出たら問い合わせ(小児の集中治療における人工呼吸中の鎮静は禁忌)」の表示があったため、医師に疑義照会した。院内の決まりでは同意書の取得とチェックリストでの確認が必要であったが、実施されていなかったことが判明した。その後投与を中止した。
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・疾患の特性から主科が循環器内科となり、小児科と併科していなかった。・循環器内科は小児を診療する機会が無く、小児に対するプロポフォール注の使用に関して失念していた。・小児の鎮静の際、使用が禁忌となる場合のある薬剤であることを知らなかった。・配置薬から1%プロポフォール注を使用したため、薬剤師のチェックが入らなかった。
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・プロポフォール注に関する同意書の取得とチェックリストでの確認の周知を再度行う。・小児に対してプロポフォール注を使用する場合、禁忌となる場合があることを周知する。・プロポフォール注をオーダする際、電子カルテにアラートが表示されるシステムの構築を検討する。・配置薬の場所に注意喚起を表示し、薬剤師が不在の時にも認識できるよう検討する。・他の診療科と併診する。・小児プロポフォール対応ワーキンググループでチェックリストの書式変更、オーダ時にアラート表示されるシステムの検討、他施設での管理方法の確認について検討した。
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小児の集中治療における人工呼吸器中の鎮静に1%プロポフォール注を投与した事例
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患者は中心静脈カテーテルより高カロリー輸液が投与されていた。数日前より、高熱が続いており当院の感染症科にコンサルテーションをした結果、CRBSI(カテーテル関連血流感染)の可能性が指摘された。そのため、医師は中心静脈カテーテルを抜去し、末梢静脈カテーテルを留置した。その際、担当看護師はそのまま傍にあった高カロリー輸液を末梢静脈カテーテルに接続し投与を開始した。すぐに他の看護師が気が付き投与を中止した。
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・担当看護師は、高カロリー輸液は中心静脈カテーテルより投与することは知っていた。・輸液の投与経路が変わった際、深く考えずにそのまま傍にあった高カロリー輸液を接続し投与をした。・輸液を再開するときに、輸液内容が高カロリー輸液か確認していなかった。
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・輸液の投与経路が変わった時は、輸液の内容を確認する。・輸液を投与するときは、輸液の内容を目視で確認する。・中心静脈カテーテルを抜去した際は、高カロリー輸液はすぐに廃棄する。・末梢静脈カテーテルの挿入時は、投与する輸液を予め準備しておく。
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高カロリー輸液を末梢静脈カテーテルから投与した事例
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胸腹部造影CTを施行する際に、挿入されていたパワーPICC(末梢静脈挿入式中心静脈用カテーテルイントロデューサキット)のトリプルルーメンカテーテルの高圧注入不可のルートから造影剤を注入した。ルートが圧に耐え切れず離断し、造影剤が血管外に漏出した。
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・当院では造影剤高圧注入可能型・末梢静脈挿入式中心静脈用カテーテルはシングル、ダブル、トリプルの3種類を採用している。シングル、ダブルはすべてのルートが高圧注入可だが、トリプルは1本のルートのみが高圧注入可でそれ以外は高圧注入不可となっている。・トリプルの各ルートは、高圧注入可と不可の判別がしにくい表示であった(海外製品であり英字による表示)。・当事者はシングル、ダブルの使用に慣れていたため、トリプルの使用時に確認を怠り、適切なルートの選択ができなかった。・高圧注入可のルートには昇圧剤が接続されポンプで投与されていたため、造影剤の接続ができない状態だった。・患者は気管切開され人工呼吸管理中であったため、注入の指示をした医師と接続をした看護師、準備をした診療放射線技師の注意が分散していた。
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・パワーPICCのトリプルルーメンカテーテル使用時の注意事項を再周知する。・造影前チェックにて本品の使用状況を確認する。
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高圧注入不可のルートから造影剤を注入しルートが離断した事例
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3年前、CVポート(パワーポートMRIisp)を造設した。4ヶ月前の消化器内科カルテに、CVポートからの注入が固かったと記載があった。15日前の消化器内科カルテに、固くてフラッシュできず、圧をかけると皮下に漏れると記載があった。今回、CVポート再造設の依頼があった。触診上カテーテルが離断している所見があり、Ⅹ線・CT画像で心臓内に離断したカテーテルを確認した。その際にカテーテル以外に下大静脈から肝静脈にかけてワイヤーのような陰影が存在しており、3年前のCVポート造設時にスタイレットを抜去していなかったことが判明した。
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・本来はカテーテル内のスタイレットを抜去してから、適切な長さにカテーテルを切断してポート本体と接続しなければならない。しかし、スタイレットを抜去しないままカテーテルを切断してポート本体に接続したものと思われる。・術者は正しい手順で行っていないことに気付いておらず、以後そのままCVポートを使用した。
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・CVポート造設時、新たな施設で新たな手技を行う場合には、慣れた上級医の立ち合いのもとに行うことが必須である。・使用する医療材料のマニュアル・注意書き等を熟読する。
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CVポート造設時にスタイレットを抜去し忘れた事例
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患者は腹痛のため救急外来を受診した。検査の結果、虫垂炎の疑いがあった。研修医は上級医に相談し、腹痛の増強がないため抗菌薬を投与して翌日に外科を再診することとした。研修医は、診察時にアレルギー歴についてフロモックスで蕁麻疹が出たと患者より聴取した。医師記録に、「【アレルギー】drug:フロモックスじんましん歴あり」と記載した。虫垂炎セットオーダにはセフトリアキソンナトリウムが組まれていたが、フロモックスと同一系統の薬剤であることを確認できていなかった。指示を受けた看護師が点滴投与を開始したところ、顔面に発疹、掻痒感が出現したため、点滴を中止し医師に報告した。ポララミンを投与し症状は軽快した。
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・当院では、両備システムズOCS-Cubeの電子カルテを使用している。・プロファイル情報にアレルギー薬剤が入力されていても、オーダリングシステムと連動していないため、処方時にアラートは表示されない。・プロファイル情報にアレルギー薬剤が入力されていると、情報共有として患者バーに「禁忌」アイコンが表示される。そのアイコンをクリックすると内容が表示される仕組みである。・研修医は、抗菌薬に対する知識不足があり、フロモックスがセフェム系抗菌薬であることを認識していなかった。・看護師の抗菌薬投与前の確認が不足していた。
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・アレルギー薬剤を電子カルテ上で共有するため、患者から聞き取りをした時にプロファイル情報に入力する。・薬剤の準備段階で、電子カルテの「禁忌」アイコンの内容を確認するルールを守る。・初診の場合は、アレルギー情報の入力が遅れていることもあるため、患者に確認をする。
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医師の経過記録にアレルギー情報が記載されていた事例
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・電子カルテとオーダリングシステムは連動しておらず、紙カルテと同じ仕組みである。・アレルギー情報を入手していても医療機関で決めた場所に登録して集約ができていなければ、情報の共有や活用が難しい。・患者バーにアイコンが表示されても、アイコンの意味が分からないと画面の背景として埋もれてしまうことがある。アイコンの種類や情報の見方など、電子カルテの仕様を知っておく必要がある。
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患者は、咽頭痛・嚥下時痛・発熱があり、近医で治療を受けていたが、徐々に咽頭の腫脹が増悪したため6日後に当科初診となった。炎症は喉頭の近くにまで波及しており、進行すると気道狭窄をきたして窒息する可能性があった。医師は、抗菌薬の投与により症状が改善すると考え、ユナシン-Sとクリンダマイシンを外来で投与した。同日夕方より蕁麻疹が出現し、当院救命救急センターを受診した。ステロイド等を投与され、翌日の受診時には皮膚の発赤は軽快傾向であった。ユナシン-Sによる薬疹と診断され、抗アレルギー薬やステロイドによる治療を外来で施行された。3日後に皮膚の発赤が増悪し、発熱も出現したため当院救命救急センターを受診した。中毒疹と考えられ、6日間入院した。
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・ヤマシリン、ケフラールで薬疹が出たことを前医からの紹介状で確認していた。・患者に口頭でアレルギー歴を確認したため、アレルギーカードを確認しなかった。・診察が終わってから電子カルテでアレルギーカードを持っていたことを確認した。・医師は、患者から「約30年前に薬疹が出たが、それ以降は抗菌薬を飲んでも薬疹は出ていない」と聞き、ペニシリン系やセフェム系の抗菌薬を投与されてもそれ以降は薬疹が出ていない、と理解した。・扁桃周囲膿瘍に対する抗菌薬治療は、ペニシリン系またはセフェム系の薬剤を用いることが一般的であるため投与した。・検査や処置に気を取られ、カルテの内容やアレルギー歴を十分に確認しなかった。
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・一度でもアレルギー反応をきたした患者には同系統の薬剤の投与を行わない。・カルテを十分に確認し、患者に十分な問診を行う。・アレルギー歴のある患者は、カルテの禁忌薬に薬剤を登録してオーダ制限を行う。・アレルギー歴のある患者への対応は慎重に行う必要があるため、どの職種であってもアレルギー情報を入手したらすぐにカルテの「禁忌薬情報」に登録して情報共有、注意喚起する。・薬剤を投与する前に、医師や看護師、薬剤師等の複数名でアレルギー情報を確認する。・薬剤の知識不足の場合は、薬剤部の協力を得る。・アレルギー歴を適切に把握するため、今後は皮膚科で運用している「薬物アレルギーカード」を全診療科で活用して患者指導と情報共有をする。また、全診療科に対応できるように印刷設定を変更する。
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前医からの紹介状にアレルギー情報が記載されていた事例
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・患者は複数の病院を受診したり、救急で搬送されたりする可能性がある。患者がアレルギーカードなどを活用してアレルギー情報を持ち、医療者に提供できるようにしておくとよいだろう。・本事例で患者が持っていたアレルギーカードの項目や記載されていた内容は不明であるが、記載する項目の統一ができればよりよい。また、現状では、お薬手帳にアレルギー情報を記載する方法もあるだろう。・背景・要因に「カルテの内容やアレルギー歴を十分に確認しなかった」と記載されているが、電子カルテのどこに記載されているか分からない情報を探すためには、時間もかかり、情報を見落とす可能性もある。・造影剤のアレルギーについては、アレルギーカードを作成して運用している医療機関もある。
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夜中にナースコールがあり、患者が嘔気を訴えた。カルテを確認すると、「アタラックスP1A静注」の指示であった。夕方、ルートを抜去していたため、看護師は当直医に相談した。当直医は、看護師に「病棟にストックしている制吐剤は何か」と尋ねたところ、「プラミール錠がある」と返答があり、それを内服するように口頭で指示した。患者からプラミール錠を内服しても症状が治まらないと訴えがあり、看護師は、再度当直医に相談した。ストック薬からアタラックスPとプリンペランの投与を指示され、静注した。しばらくして、患者からプリンペランが禁忌薬剤であると申し出があり患者プロファイルを確認すると、プリンペランが禁忌薬剤として電子カルテに登録されていた。
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・患者の禁忌薬剤やアレルギー情報、インプラント情報などは、全て電子カルテの患者プロファイルに登録されている。当該患者も禁忌薬剤などが患者プロファイルに登録されていた。・通常、薬剤を処方しようとすると、登録された禁忌薬剤などに「ワーニング」がかかる仕組みになっている。しかし、このシステムは処方時にしか機能しない。・今回のようなストック薬を使用する場合には、患者プロファイルを確認しなければならなかったが、医師も看護師も確認をしなかった。
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・院内で事例を共有し、患者に新規投薬や検査を実施する際には、患者プロファイルを確認するように周知徹底した。・病棟に常置している薬剤は、ハイリスク薬ではなくても、患者によっては危険な薬剤となり得る。患者のアレルギー情報に合致する薬剤が病棟に常置されている場合には、病棟薬剤師が薬品棚に禁忌薬剤であることを表示する。
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口頭指示の事例
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・不眠時・嘔気時・疼痛時は、約束指示・頓用などであらかじめ薬剤投与を指示しており、病棟配置薬を使用する運用をしている医療機関もある。しかし、処方時のアラート機能や薬剤部を介することで、アレルギーのある薬剤や併用禁忌薬などに気付ける可能性があるため、場合によっては病棟配置薬を使用するのではなく、その都度薬剤を処方する方がよいだろう。・不眠時・嘔気時・疼痛時などに使用する薬剤は使用頻度が高い2、3剤の中から選択することが多いと思われる。本事例では、看護師は事前にアレルギー情報を確認し、その情報を踏まえた上で当直医に相談をした方がよかった。また、当直医も看護師からアレルギー情報があることを聞いたら、指示する前にカルテでその情報を確認できた可能性がある。
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術後2日目に創部痛があったため、疼痛時指示簿にあるロキソニン錠を内服したところ、嘔気が出現し、嘔吐した。嘔吐後、症状は落ち着き、症状の持続や再燃は無かった。過去のアレルギー情報として、アレルギーノートに「ロキソニン」と記載されていた。
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・当院は、富士通の電子カルテシステムを使用している。・アレルギーノート(アレルギー情報)は、電子カルテ画面の上部のアイコン→患者プロファイルに記載する欄、「既往歴・アレルギー」をナビゲーションからピックアップして記載するシステムである。・医師は指示を出す前にアレルギーノートを確認しなかった。・医師はパスで指示を出しており、パスの疼痛時の指示はロキソニンであった。処方ではなく、病棟配置薬を使用するようになっていた。・アレルギーノートに登録されているので処方されていればアラートが出た。・看護師は医師の指示通りに投与したが、アレルギーノートを確認しなかった。
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・アレルギー情報を実際に目視で確認する。・事例を周知するとともに、以下の内容を伝えるようにセーフティマネジャー、師長に依頼した。1)医師は薬剤指示を出す前にアレルギーノートを必ず確認する。2)看護師は投与前にアレルギーノートを必ず確認する。
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クリニカルパスによる指示の事例
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・クリニカルパス(以下、パス)は、入院中のオーダ内容がセット化されており、1度に指示できる仕組みである。・パスに入っている薬剤にアレルギーがあると大変危険である。・パスに入っている薬剤について、処方時にアレルギー情報をシステムで判定する仕組みは可能だが、複数の薬剤をそれぞれ判定することになるため時間がかかる。そのため、医療機関によってはパスに入っている薬剤のアレルギーの判定を外して設定していることもある。本事例では、時間を短縮するために、アレルギーの判定を外して設定していることが推測される。・パスの内容を説明する時に、使用する薬剤まで患者に説明すると患者が気付けた可能性がある。・本事例発生時に患者用のパスがあったかは不明であるが、使用予定の薬剤が患者用のパスに記載されていれば、患者が気付けた可能性がある。
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主治医より血液培養検査と尿培養検査、ピペラシリンNa注射用2g2V+生理食塩液100mLを50mL/hで投与の指示が出た。血液培養と尿培養を採取後、点滴を調製した。初回投与になるため看護ステーションにて看護師Aと看護師Bで抗菌薬投与にあたっての問診票を確認した。薬によるアレルギーとして「ペニシリン」と記載されていることを発見した。投与前に主治医へ電話で報告を行い、投与は中止となった。
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・主治医と病棟薬剤師は患者カルテのアレルギー歴からアレルギー薬剤を確認し、記載してあるのは「モルヒネ」と「ピリン系」であったため注射指示を入力した。・抗菌薬投与にあたっての問診票には、主治医が「ペニシリン」と記載していた。・入院時の問診票には「ピリン系」と家族が記載した。・患者に確認すると、「ピリン」も「ペニシリン」もアレルギーであると返答があった。
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・問診票を受け取った際は、患者と家族にアレルギーの有無について記載内容に間違いがないか確認する。・点滴を調製する前に患者へ投与する薬剤のアレルギーの有無を確認する。・入院時の問診票や抗菌薬の問診票を確認する時に、電子カルテにアレルギー情報が反映されているかを確認する。
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決められた場所にアレルギー情報が登録されていなかった事例の内容
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・問診票には主治医がペニシリンと記載し、オーダ入力する際にアレルギー歴にモルヒネ、ピリン系と記載してあることを確認したが、問診票の内容は忘れていた事例である。一般的に、問診票に戻ってアレルギー情報を見つけることは難しいだろう。
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患者は、腎機能の悪化から尿毒症の症状が出現しており、連日嘔気の訴えがあった。本人用に頓用で制吐剤のドンペリドンが処方されており、毎食後に内服している。頓用薬がなくなっており、主治医に処方を依頼していたが、臨時処方であったため使用したいタイミングに間に合わなかった。看護師Aは指示簿に病棟ストック薬のプリンペランがあることを確認し、ペアの看護師Bに投与を依頼した後に昼休憩に入った。看護師Bは薬剤を準備して患者に投与するため訪床した。ベッドサイドのアレルギー項目に「メトクロプラミド」と記載されていた。プリンペランを投与せずナースステーションのカルテで確認したところ、プロファイルのアレルギー薬剤の欄に「メトクロプラミド:錐体外路症状」と記載されていた。プリンペランと同成分であることを確認し、さらに薬剤部に確認した。患者へのアレルギー薬剤の投与を未然に防ぐことが出来た。その後主治医に連絡し、指示簿の内容を修正し、ベッドサイドのアレルギー欄に「プリンペラン」を記載した。
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・指示簿にアレルギー薬剤と同成分の薬剤が記載されていた。・看護師Aはアレルギー薬剤をプロファイルで確認しなかった。・看護師Bは「メトクロプラミド」が制吐剤であることに気付き、同成分ではないかと予測して確認した。
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・よく使用される薬剤にアレルギーがある場合は、ベッドサイドのアレルギー欄に同成分である薬剤名(後発医薬品)も同時に記載する。・いつも使用している薬剤ではないものを使用する際は、カルテのプロファイルでアレルギーがないか確認し、投与する際にはベッドサイドに掲示しているアレルギー欄を確認する。
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電子カルテ・オーダリングシステムで薬剤を処方しなかった事例の内容
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・アレルギーがあることをベッドサイドのホワイトボードに書く、患者のリストバンドの色で識別するなどの方法もある。患者にアレルギーがあるということが一目でわかる仕組みを作ることも一案である。
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患者はインスリンで血糖コントロール中であった。朝一番の手術のため絶食であったが、インスリン投与の指示があった。指示簿カレンダー上に「ライゾデグ配合注フレックスタッチ1日2回皮下注食直前(26-0-18)、用法:7時、18時」と入力されていた。前勤務者は、午前中に手術があり絶食のため、「手術当日の朝は絶食であるが、朝のライゾデグ配合注フレックスタッチ26単位を中止しないのか」と医師に確認したところ、投与の指示であった。そのため、前勤務者は深夜看護師(当事者)から投与の有無を確認された際に、投与可と返答した。投与前に血糖測定を実施し、出室前に再検すると血糖値低下と冷汗を認めた。ブドウ糖を2回内服し手術に臨んだ。
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・看護師は、薬剤の種類について疑問を持ちながらも作用を調べることを忘れていた。・医師は、ライゾデグ配合注フレックスタッチをインスリンと認識していたが、持効型のインスリンと思い、投与するよう指示した。しかし、ライゾデグ配合注フレックスタッチの作用は、超速効型インスリンと持効型溶解インスリンを3:7の割合で含有するものであった。・当院では、ペン型インスリンの定期注射は、電子カルテ上の指示簿カレンダーで「薬剤名、単位数、用法(時間入力)」の指示を行う。スライディングスケールは、注射処方カレンダーで指示を行う。・絶食の場合、その都度医師がインスリンの内容を確認し、インスリンの続行、減量、中止の指示を出すことになっている。
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・看護師は疑問に思ったらすぐに調べる。・医師の認識の違いが大きいため、医師はインスリン製剤について、十分な知識を持つ。・看護師も薬剤の知識を持ち、医師に確認を行う。
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インスリンの指示出し
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患者は、食事摂取量と定時血糖測定によるスライディングスケールでインスリンを投与されていた。朝食を配膳したが、患者は体調不良で食事を摂取することができず、主食の摂取量は0であった。そのため、本来の医師の指示ではインスリン投与中止であったが、指示を誤って理解し、ヒューマログ注6単位を投与した。11時30分頃、昼食前の血糖値を測定したところ、39mg/dLまで低下しており、意識もぼんやりした状態となっていた。
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・インスリンの指示が理解しにくい表記になっていた。・食事摂取量によってスライディングスケールでインスリンを投与する場合は、食事摂取量を含めダブルチェックした後に投与することを知らなかった。・食事摂取ができていない患者に超速効型のインスリンであるヒューマログ注を投与することの危険性を理解していなかった。
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・インスリンの指示(特に食事摂取量に応じたスライディングスケール)について、わかりやすい指示の表記をルール化する。
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インスリンの指示受け
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患者は急性呼吸不全のためICUで加療中であった。血糖コントロールが不良のためヒューマリンR注を持続静注し、1時間毎に血糖測定・インスリン量の調整を行っていた。気管切開のため6時より経管栄養が中止となっていたが、ヒューマリンR注は持続静注が継続されており、低血糖に至った。
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・医師は、禁食とした際にインスリンの指示を変更しなかった。・看護師は、禁食となった際にインスリン持続静注の継続に疑問を持たなかった。
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・インスリン投与中の患者で食事の変更があった場合は、腎・内分泌・代謝内科に相談する。・看護師は食事・経管栄養とインスリンの投与量を常にアセスメントする。
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インスリンの指示出し
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患者は胃管が留置され、経管栄養投与ならびに咽頭外瘻から気管への流れ込み防止で胃管減圧ドレナージ中であった。12時、看護師Aが血糖値測定を行い血糖値80mg/dLであった。13時に看護師Bが食直前のヒューマログ注9単位を皮下注射した。その後、胃管の三方活栓部に経管栄養のルートを接続し、栄養剤の投与を開始した。15時30分に胃管減圧ドレナージバッグの内容を破棄するため訪室した。栄養剤がすべてバッグ内に流れてたまっており、三方活栓を確認すると患者側が閉鎖されていた。患者は低血糖症状を認め、15時31分には血糖測定不能であった。医師へ報告後、15時35分に50%ブドウ糖20mL2Aを静注した。15時45分に血糖値111mg/dLとなり経過観察となった。
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・経管栄養開始前の胃管留置位置確認後、一時的に三方活栓の患者側を閉鎖していた。・注入開始時にルートの確認を行わなかった。
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・注入開始時は、鼻孔から胃管の接続部まで辿ってからルートを接続し、指示された速度で投与されていることを確認する。・注入中は適宜患者の様子を観察する。
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経管栄養の実施
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患者は、膵頭部癌、糖尿病に対するインスリン療法目的で入院中であった。12時にヒューマリンR注12単位を投与後、多量の嘔吐があり、SpOが80%台に2低下した。経管栄養を中止し、サクションを施行するも酸素化不良であり、呼吸管理目的でICU入室となった。病棟看護師はICU看護師に、血糖測定中であること、ヒューマリンR注を投与後であることを申し送り忘れた。17時30分、病棟内に当該患者のインスリン指示書があることに気付き、ICUに連絡して指示書を送付したが、その後ICU看護師より低血糖を起こしていると連絡があった。ブドウ糖の投与により血糖値は改善した。
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・多量の嘔吐により患者の呼吸状態が悪化し、サクションを何度してもSpOが上がらず緊迫した状2態であった。その中で、転棟時に持って行く指示書を確認したが、持参し忘れていた。・呼吸状態が悪化したことを簡潔に申し送りしただけで、ICU看護師に詳細を申し送れていなかった。・転棟の際にパートナーシップで指示書や物品のダブルチェックができていなかった。・休日で看護師の人数が少なく、業務が多忙であった。
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・転棟時に持って行く指示書や持参物はパートナーやリーダーとダブルチェックし、抜けがないようにする。・緊急に転棟した場合は、詳しく患者情報を申し送る。・忙しくても落ち着いて行動する。
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情報の伝達
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上腸間膜動脈塞栓症による腸管壊死からの腹膜炎で入院し、6日前に開腹手術を実施した。慢性腎不全があり、左上肢にシャントを造設し透析をしていた。入院後、右内頚静脈よりバスキャスカテーテルを挿入し、持続血液濾過透析を施行している。播種性血管内凝固症候群(DIC)を合併しており、血栓が生じやすい状態であった。患者は人工呼吸管理中、バスキャスカテーテル、動脈ライン、胃管や傍結腸部ドレーン、小腸瘻等の多数の管が挿入されていた。抑制帯の装着を開始し、観察記録には左シャント部位の拍動の有無、シャント音の聴取は問題なしと記載されていた。抑制帯の装着開始2日後、看護師が10時の検温時に抑制帯を外してシャント部位の拍動の有無、シャント音を確認したところ、拍動、シャント音が確認できず、医師に報告した。腎臓内科にコンサルトし、シャントの再開通は難しく、全身状態が落ち着いたら右側にシャントを造設する予定となった。
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・抑制帯によりシャント部位に持続的な圧がかかり、血栓を形成しシャント閉塞に至った可能性がある。・抑制帯の装着によるシャント閉塞のリスクがあることを考慮したケアや観察がされていなかった。・発見前日の勤務者は、シャント部位の拍動が無く、シャント音が聴取できなかったが、抑制帯が装着されていたため、すでに閉塞したシャントであると思い込んだ。
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・抑制を考慮する際、ミトンで可能な場合はミトンを選択する。・抑制帯を選択する場合には、動脈ライン固定用のアームもしくはシーネを使用し、アームもしくはシーネに抑制帯を装着し、直接シャント部位に当たらないようにする。・血栓が生じやすい患者のシャント部位は随時、拍動やシャント音を確認する。
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病室・透析室の事例
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患者は腎がんで泌尿器科に入院していた。慢性腎不全があり、左前腕に内シャントが造設され維持透析を週3回実施していた。10時30分頃に軽度胸痛があり、急性冠動脈症候群の疑いで16時に緊急心臓カテーテルを実施し、16時57分にCCUに入室した。入室直後、担当看護師は、左前腕に内シャントがあることは確認したが、シャント音、スリルの観察はしなかった。翌日6時、他の看護師がシャント音を確認すると、シャント音が聞こえず、シャント閉塞と診断された。その後、右内頚静脈にカテーテルを挿入して透析をした。
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・シャント管理の知識不足があり、観察を失念した。・8日前よりシャント音が弱いと経過表に記載されていたが、転棟後にその情報を収集できていなかった。・IVR血管造影検査室から、挿入物等は「検査シート」を用いて引き継ぎされるが、本事例はシャントがあることは記載されておらず口頭による引き継ぎだった。・電子カルテシステムにおいて、一般病棟で使用する「一般経過表」の観察項目は、集中治療部門で使用する「重症治療経過表」に引き継がれないため、CCU転棟後は観察項目の再入力が必要であった。
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・部署全体で事例を共有し、シャントの情報収集の方法、シャントの観察の必要性について勉強会を開催する。・透析患者入室時は、必ずシャントや表在化などを確認して、適切な観察項目を確実に入力する。
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病室・透析室の事例
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腹部大動脈瘤に対して人工血管置換術を実施した。腎不全のため、左手首にシャントが造設され、使用していた。手術翌日、ICUから一般病棟に転棟後、せん妄症状が出現した。術後2日目、クイントンカテーテルやCVカテーテルを自己抜去したため、センサーベッドの使用を開始し、鎮静目的にアタラックスP注射液やセレネース注を使用した。術後3日目、日勤帯から呼吸状態が悪化しCPAPマスクを装着して補助換気を開始した。上肢の動きや点滴を実施していたことにより、日勤帯の看護師は両手にミトンの使用を開始した。その後、準夜帯ではミトンやCPAPマスクの接続を外そうとする行動があり、両手関節に抑制帯を装着した。患者は、暴れたり興奮する様子はなく、セレネース注は使用しなかった。準夜帯では、カルテにシャントの血流確認の記載がなく詳細は不明であった。術後4日目、深夜看護師は2時、4時の巡視および体位変換時にシャントの血流音を確認しなかった。6時30分頃の検温で、左手首のシャントの血流を確認したところ、スリルやシャント音が不明瞭であった。シャント閉塞の可能性を考え、左側の抑制をすべて解除した。その際、抑制帯やミトンで特に強く絞めつけられていた様子はなかった。循環動態に変化はなかったため、7時15分頃に主治医に報告した。8時30分に主治医が診察したところ、抑制帯の使用によるシャント閉塞または狭窄の可能性があると判断し、循環器科医師に依頼して経皮的動脈形成術を実施した。
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・せん妄症状の出現により、危険行動があった。・夜間帯は勤務者数が少なく訪室が難しいため、抑制帯の使用が必要であると考えた。・シャントは手首にかかる位置まであり、抑制帯で容易に圧迫されやすい状況であった。・抑制帯の使用を開始したが、シャントの保護および血流の観察ができていなかった。
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・シャントの血流状態の観察と記録を徹底する。・シャントがある患者の抑制方法を検討する。・せん妄症状に対して鎮静剤を使用する。
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病室・透析室の事例
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9時50分、全身麻酔下で膵全摘術を開始した。11時、間接介助看護師がシャント音を確認した。血圧は110mmHg台であった。11時20分と13時32分に間接介助看護師はシャントガードがシャント部位を圧迫していないことを確認した。14時40分、間接介助看護師がシャントガードを除去してシャント部位を確認すると、スリルが無く、シャント音が確認できなかった。主治医と麻酔科医に報告し、主治医は腎臓内科医に診察を依頼した。腎臓内科医はシャント閉塞と診断し、温罨法を開始した。手術後も温罨法を継続したが、翌日になってもシャントは開通しなかった。その後、左前腕AVシャント血栓除去術を施行した。一旦開通したが同日再度閉塞した。翌日、再度左前腕AVシャント血栓除去術を施行し、抗凝固療法としてヘパリンを投与して開通した。
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・シャントを造設した当日にも閉塞し、同日再建術を施行した既往があった。・手術中、血圧の変動が大きかった。
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・シャントが閉塞するリスクが高い患者は、シャント音やスリルを1時間ごとに確認する。
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発生場所が手術室の事例
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1ヶ月前に腎臓内科で左前腕にシャントを造設したが、3日後にシャントが閉塞し、血栓除去術+再建術を施行した。今回、後腹膜鏡下右腎尿管摘出術、腹腔鏡下膀胱全摘術、尿道摘出術、ヘルニア根治術を目的に入院した。8時10分、手術室に入室し仰臥位で全身麻酔を導入した。8時47分、右腎摘位へ体位変換した。左シャントは術野外から容易に確認出来る状態であった。腹腔鏡下右腎尿管摘出術を施行した。12時20分、砕石位にし、左手は腹腔鏡下膀胱全摘術がしやすいように巻き込みにして、シャントが圧迫されていないことを確認しながら体位を固定した。腹腔鏡下膀胱全摘術、右鼠径ヘルニア根治術を施行した。手術中、看護師が定期的にシャント音を確認していた。出血やトラブルは無く手術を終了した。19時20分、手術室の看護師がシャント音の消失を確認した。19時50分、腎臓内科にコンサルトした。手術室で腎臓内科医師がシャントを診察し、現時点では処置は行わず、後日シャントを再造設する方針となった。頚部より透析用のカテーテルを挿入する方針となり、内頚静脈にバスキュラーカテーテルを留置した。
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・腹腔鏡下膀胱全摘術を行う際に、いつも通りに上肢の巻き込みで手術を行った。・十分にシャントを保護した状態で、手術中もシャント音を聴取して閉塞していないことを確認していたが、手術後にシャントが閉塞した。
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・シャントがある患者の手術の際は、可能な限り巻き込みでの手術は行わず、簡単にシャントの状態を確認できる体位を選択する。・長時間手術の場合、シャント側の上肢を巻き込みにしないなど事前に検討する。
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発生場所が手術室の事例
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左前腕にシャントを造設した。日勤看護師からシャント音は良好であることを申し送られた。夜勤で引き継ぎ後、17時台に確認した際は、シャント音は良好であった。23時台のラウンドでシャント音を確認し、翌日の日勤看護師へ申し送りをするまで確認しなかった。9時台に形成外科医師のラウンドでシャント音が確認出来ず、シャントが閉塞していることが分かった。その後、シャント再造設術を施行した。
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・シャントを造設した当日であったが、看護師は創部を確認しなかった。・シャント造設術後の観察項目について知識が不足していた。・シャントの確認が不足し、異常の早期発見が出来なかった。・経過表にシャントの観察項目を追加しておらず、観察することに気付けなかった。また、日勤看護師が担当の時点で経過表に入力をしていなかった。
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・手術当日は創部を確実に確認する。・経過表にシャントの観察項目を追加して記録し、各勤務で必ずシャントについて申し送りをする。・シャント造設術後のアセスメントをする。
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内シャント造設術後に閉塞した事例
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母は、患児の体温を確認して、沐浴前のケアを開始した。看護師は湯の準備に取り掛かった。患児の看護プランに「準備する湯は沐浴漕に出てくる湯の一番熱い温度」「この方法で体温低下なく実施できたため沐浴方法を統一していく」と記載があった。看護師は沐浴温度の適温は40℃前後である知識は持っていたが、湯温調整のつまみを「高」に合わせて、何度か分からない湯を沐浴漕に溜めた。看護師は肘で湯温を確認したところ、熱さを感じ不安に思った。母にもエプロンから肘を出して確認してもらったが、母は「熱いが体温が下がりやすいので大丈夫だと思う」と言った。母が沐浴を開始した直後、患児に不穏な様子があり、「熱いからかもしれない」と母より申し出があり、水を足して対応した。約5分後に沐浴を終了したが、患児の身体後面の紅斑が強く、冷タオル等でクーリングし、体温と心拍数を測定した。その後、担当医に報告した。皮膚科にコンサルトしⅠ度熱傷と診断された。
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・湯温を示す客観的指標に欠けた準備をしていた。・手順書には「温度計を使用する」とあるが、病棟の慣習で測っていなかった。・患児にとっては低体温を防ぐために、熱い湯が必要であると判断を誤った。・看護プランには、沐浴前に母が行うケアにかかる時間を見越した湯温設定が記載されていたが、プランからは読み取れなかった。・体温の評価中であったため、忠実にプランを実施しようという思いがあった。・水を足して湯温が下がったことで安堵し、沐浴中の皮膚の観察が不十分だった。
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・温度計を用いることを徹底する。・低体温になりやすい患児でも40℃前後の湯温にする手順を遵守する。・温度計の破損を想定し、肘で確認して熱い場合は、前腕を長めに湯につけて、皮膚色の変化や沐浴可能な温度であるかの確認を行う。・高温の湯とわかった時点で患児を安全な場所に移動し、速やかに湯温を変更したり、沐浴を中止して他の方法に変更したりすることを検討する。
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nan
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患児は早産による低出生体重と、呼吸窮迫症候群及び心臓疾患を認め、全身管理を目的にNICUに入室していた。出生17日目の昼頃、哺乳前に沐浴を実施することにした。その際、看護師は沐浴槽に出る湯の温度が、最高温度の約60℃に設定された状態であることに気付かずに沐浴を実施した。その結果、左臀部から肛門周囲、腰背部、大腿外側、左下腿後面に10%の熱傷を生じた。直ちに冷却処置を開始して皮膚科医師をコールし、熱傷の処置を開始した。
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・沐浴時の温度確認手順が不明確であった。・沐浴実施前にブリーフィングを行わなかった。・沐浴担当者が新卒者(1年目)であったが、新卒者に対する指導、監督体制が不十分であった。・感染防止のため手袋を二重に装着しており温度を感じにくかった。・温度計が設置されておらず、湯の温度が分からなかった。・温度調整ハンドルが至適温度以上に設定可能であった。・沐浴以外の目的で沐浴槽の給湯設備から出る湯が使われていた。・高温設定になっていた温度調整ハンドルを至適温度に戻した後も沐浴を継続し、皮膚を冷却しなかった。・沐浴実施時の熱傷発生に対する知識不足があった。
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・湯の温度が分かるよう温度計を設置する。・沐浴実施時の温度確認手順を明確化する。・沐浴槽の給湯設備は他用途への流用を禁止する。・混合水栓から至適温度以上の湯が出ないよう改修する。・ブリーフィング手順を明確にし、処置実施前にブリーフィングを行う。・新卒者に対する指導体制を見直す。・沐浴実施時の熱傷のリスクに対する教育を行う。
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