具体的内容
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背景・要因
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改善策
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記述情報
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具体情報
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分類
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段階
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専門分析班及び総合評価部会の議論
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当事者職種(職種経験年数)1人目
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関連したモノ
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専門分析班・総合評価部会の議論
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吸入酸素濃度
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挿入した職種
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事故の内容1
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事故の内容2
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訪問での専門分析班委員の主な意見
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人工呼吸器※
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薬剤
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詳細
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参照
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画像
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画像2
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事例の分類
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注釈
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研修医の情報
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発生要因
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人工呼吸器管理中、皮膚障害を考慮し、気管チューブの固定をテープからアンカーファストへ変更した。患者は頬骨の突出とるい痩があり、皮膚保護剤パッドの装着面が浮いて頬には貼れないため、看護師Aと看護師Bでパッドの一部をはさみでカットして調整した後、パッドを口角付近に貼ることとした。右頬の皮膚保護剤パッドの固定を行う際、パッドが口唇に触れてしまうため、右口角付近でカットした。その際、インフレーションチューブが近くにあることを確認せず、はさみを入れた。カットしたのと同時に空気が抜ける音がして、患者の声が漏れ出るとともに1回換気量の低下がみられ、インフレーションチューブを切断してカフの空気が抜けたことに気が付いた。すぐに看護師Bが、切断されたインフレーションチューブにスーパーキャスの外筒を接続してカフに空気を注入し鉗子でクランプした。同時にリーダー看護師Cを応援に呼び、看護師Cが担当医に報告した。医師が来棟するまでの間、気管チューブを保持し呼吸状態を観察していたが、SpO2や1回換気量の低下はなかった。その後、医師が来棟し、気管チューブの入れ替えとなった。
・患者は頬骨の突出とるい痩があるため、口角付近に皮膚保護剤パッドを貼付しカットした。・インフレーションチューブが近くにあることを確認せず、誤ってインフレーションチューブを切断した。
・やむを得ず、口角付近で皮膚保護剤パッドをカットする際には、チューブ類が周りにないことを確認して実施することを徹底する。
長さや大きさの調整
夕方、後期研修医は胸腔ドレーンを抜去するため、一人で包交車を持って患者の病室へ行った。病室内は薄暗い状態であったが、処置用ライト等は使用せず、病室の照明で処置を実施した。胸腔ドレーンは、刺入部より少し離れた所で皮膚に2ヶ所絹糸で縫合されていたため、絹糸を切ろうと眼科剪刃を使用した。切った絹糸を取り除こうと見たところ、ドレーンが体表面の直上で切断されており、胸腔内の陰圧により、体側のドレーンが引き込まれた。ただちに上級医を呼び、局所麻酔下で小切開し皮下を探るがドレーンは見当たらず、CT撮影を実施した。CT所見として胸腔内にドレーンが落ちていることを確認したため、3日後に他院で体内に残存した異物摘出を胸腔鏡下で行った。
・処置をする場所が薄暗かった。・後期研修医が、日勤帯以外に一人で処置を実施した。・当院は、循環器内科の医師が少なく、後期研修医も医師の一人として業務にあたることが多く、上級医のいないところで処置を行う場合もある。
・処置を実施する場合は処置用のライトを使用するか、処置室を使用する。・処置は日勤帯で実施する。・胸腔ドレーンを抜去する際は、ドレーンの体表面に近い部分をペアン等で保持してから固定糸を切除する。・後期研修医が処置を実施する場合は、なるべく上級医と一緒に行う。
抜去時の固定糸の切断
医師は、体外式ペースメーカーの抜去を行う際、右内頚静脈の挿入部に固定のため結紮していた糸を剪刃により切断した。その際、誤ってペーシングカテーテルを切断した。牽引されていた反動で、断端が右内頚静脈内に迷入した。右大腿静脈に新たなシースを挿入し、スネアを用いて抜去したが、カテーテルの先端(1.0~1.5mm)が皮下組織に遺残した。
・感染予防目的に頭部まで覆布で覆っていた。・覆布の下に潜り込んで固定糸の切断を試みた。・視野が悪い状態で糸を切断した。
・覆布で覆う前に、体外式ペースメーカーのリード固定糸を切断し、テープで固定しておく。・やむを得ず、覆布で覆った状態で固定糸を切断する際には、ライトで照らしながら視野の確保に努める。
抜去時の固定糸の切断
患児は、左肘窩に末梢静脈挿入式中心静脈用カテーテル(以下、PICC)が挿入され点滴管理中であった。看護師は入浴準備のため訪室した。ルート固定部の包帯の巻きが緩かったため包帯を巻き直し、PICCルートのクレンメでロックを実施した。PICCルートの先端が不潔にならないように先端のみを包帯の間に入れ、その上からビニール袋とドレッシング材で刺入部の防水保護を実施した。入浴後、患児と一緒にドレッシング材を剥がしていたが、ドレッシング材が束になり患児の腕が圧迫されて痛がっていたことと、手で剥がすことが困難であったことから、患児と父にはさみを使用することを説明し、上腕側から2回はさみを入れ、ドレッシング材を切断した。ビニール袋を剥がした際に切断されたPICCルートの一部が出てきたことから、誤って切断したことに気付いた。ロックしていた部分より外側を切断したため、ルートから血液の漏れは無かった。PICCを抜去し、翌日に再挿入となった。
・ルート挿入中の患者に対して、単独の判断ではさみを使用した。・日頃から、ドレッシング材が手で切れない時ははさみを使用していた。・ドレッシング材を剥がす際にPICCルートが挿入されていた上側(肩側)から剥がしていた。・日常的にはさみを使用していた。・入浴時のルートの保護方法に手順がなく、看護師により方法が異なっていた。・後日、調査すると全病棟看護師の86%が常時ポケットにはさみを入れていることが判明した。
・ドレッシング材を剥がす際は、束にならないよう丁寧に剥がしていく。・うまく剥がせない場合は、他のスタッフに相談する。・処置をする際は、起こり得るリスクや予測されることを考えて行動する。・丁寧に確実に処置に当たる。・緊急時は患者の傍を離れずナースコールを押して他の看護師を呼ぶなどして対応する。・病棟スタッフ全員が過去の医療安全情報を閲覧する。・病棟内で入浴時のルートの保護方法をマニュアル化する。・ドレーン・チューブ類の取り扱いについて、はさみ使用のルール作りと明文化を検討する。
テープ等の除去
スパイナルドレナージの穿刺部の出血が少量ずつ持続していたため、医師と看護師2名で穿刺部の貼り替えを実施した。固定のテープの血液汚染のひどい部分を切るように医師より指示があり、看護師が切る部分を確認して切った。体位を整え、再度穿刺部を確認した際、髄液様の排液があることを発見し、ドレーンの切断に気付いた。
・医師が急患対応中で慌てていたため、看護師も早くしなければと思っていた。・切る前に触ったり、自分の目でテープとドレーンの離れ具合を確認したりしなかった。
・ドレーン固定のテープは途中で切らずに貼り替えを行う。・ドレーンなどの傍らではさみを扱う際は、必ず手で触って、実際に見て確認する。
テープ等の除去
日勤帯の看護師2名で昼分の内服薬と吸入薬の準備を行った。その際、患者名・スピリーバレスピマットの吸入時間・回数・残量を確認した。10時頃、病棟内をラウンドしていた病棟師長が、オーバーテーブルの上に置かれていた患者の吸入薬の吸入用器具レスピマットにカートリッジが入っていないことに気が付いた。患者は入院した際、新品の吸入薬を持参していた。箱は未開封のままであったことから、3週間薬剤が投与されていなかった。カートリッジが入っていなくても吸入用器具レスピマットのメモリは120を指しており、看護師はメモリで残量を確認していたため、気が付かなかった。
・自己管理のため、薬剤師は新品のカートリッジを装填せずに患者に渡した。・看護師はこの吸入薬をはじめから使用したことがなく、箱の中のカートリッジは予備分と考え、装填しなかった。・看護師教育が不十分であり、当事者の他にも使用方法が分からない看護師が数人いた。分からないまま使用していたため、無投薬となった。・薬の確認項目に、「カートリッジが入っていること」がなかったため、確認不足となった。・吸入用器具レスピマットの外側にラベルが貼ってあるため、カートリッジが入っているかの目視がしにくい状態だった。・カートリッジが入っていなくても吸入用器具レスピマットの目盛が120を指していたことから残量の確認が曖昧だった。・自己管理のため患者が自分で持っており、吸入したかの確認をしていない看護師もいた。
・看護師への教育・研修を行う。・吸入薬を初めから薬剤が充填されているものに変えることや、外からカートリッジが見えるような工夫を業者に提案する。
吸入用器具レスピマットにカートリッジを挿入せず使用していた事例
入院時、担当医は持参薬のエクセラーゼ配合錠を院内処方に切り替える際、電子カルテに「エクセ」と3文字を入力して検索した。その際、当院採用薬にエクセラーゼ配合錠はなく、エクセグラン錠(抗てんかん薬)の後発医薬品であるゾニサミド錠のみが候補薬として表示されたため、処方した。担当医はゾニサミド錠が抗てんかん薬であることは知っていたが、エクセラーゼ配合錠が消化酵素剤であることを知らず抗てんかん薬と思い込み、ゾニサミド錠の処方を疑問に思わなかった。緩和ケア病棟への転棟時に、緩和医療科医師がてんかんの既往がないことに気が付き、内服を中止した。患者は、ゾニサミド錠を25日間内服していた。
・担当医は、エクセラーゼ配合錠の薬剤情報(DI)を調べず、消化酵素剤であることを知らなかった。・担当医は、処方する際、電子カルテで「エクセ」と入力したところ、エクセグラン錠(抗てんかん薬)の後発医薬品であるゾニサミド錠が候補として表示された。用法・用量が同じであったため、ゾニサミド錠がエクセラーゼ配合錠の同効薬だと思い込み、処方した。・当院採用薬にエクセラーゼ配合錠はないため、処方できない。・当院では、平日の予定入院患者を対象に入院持参薬コーナーで持参薬の鑑別を行っている。持参薬コーナーでは薬剤師による面談後、薬品鑑別報告書が発行され、その後、薬品鑑別報告書と持参薬は病棟に搬送される。・入院持参薬コーナーの対象外の患者の持参薬の鑑別は、入院先の病棟看護師が対応している。・当該患者は緊急入院であり、入院持参薬コーナーの対象ではないため、薬品鑑別報告書は発行されず、病棟看護師が持参薬を鑑別した。その際、病棟薬剤師は鑑別を担当していない。
・本事例を院内に周知し、医師は処方時に知らない薬があれば、薬剤情報(DI)を確認することを徹底する。・薬剤検索システム(3文字検索)の検索方法の改善について検討を行う。薬剤検索方法は現在3文字検索であるが、4文字検索を導入する方向で準備中である。
持参薬を院内処方に切り替える際、3文字入力で検索して表示された別の内服薬の後発医薬品を処方した事例
患者は脳外科手術後、意識障害があり体動が激しく、両上肢を抑制していた。右橈骨動脈ラインを抜去し、抜去部位にステプティPを貼付した。貼付したステプティPを外すことを失念し、14時間後に除去したところ、褥瘡を形成していた。
・ステプティPは2時間で除去しなければいけないが失念していた。・ステプティPが抑制帯のバンドに隠れていた。・抑制帯を固定している部位の定期的な皮膚の確認をしなかった。
・ステプティPが隠れる際は、別途メモなどに除去する時間を記載する。・抑制帯下の皮膚確認を定期的に行うルールを遵守する。
圧迫止血用パッド付絆創膏を長時間貼付したことにより褥瘡を形成した事例
9時20分に検査のため担当看護師は患者の点滴を一時ロックした。10時20分頃に患者は検査から帰室したが、担当看護師はすぐに対応できなかった。別の看護師が、点滴ボトルに貼付されている点滴ラベルを見て、輸液ポンプの流量を設定し点滴を再開した。その際に、それぞれの点滴ボトルの直下に設置されていた輸液ポンプの流量設定を行ったが、2つの輸液ルートが途中で交差した状態となっており、ポンプが逆転した状態であった。その後、担当看護師は輸液ポンプの流量設定のみを確認し、輸液ルートなどの確認は行わなかったため、ポンプが逆転していることに気が付かなった。12時45分頃、輸液ポンプの気泡アラームが鳴り病室に訪室すると、ヘパリン15000単位+ソリタT1号200mLが80mL/hで設定され、点滴ボトルが空になっているのを発見した。2時間24分でヘパリン12450単位(20倍量)が急速投与された。
・当院のルールである、刺入部から点滴ボトルまでの確認と輸液ポンプ使用時のダブルチェックを実施していない。また、10分後の点滴確認も実施していなかった。・心臓血管外科病棟であり、過剰・急速滴下による心負荷予防のために、ほぼ全例に輸液ポンプを使用していた。輸液ポンプの取り扱いに対する危機意識が低下していた。・ヘパリンを使用する頻度が多い部署であり、取り扱いに注意が必要な薬剤であるという意識が低くなっていた。
・刺入部から点滴ボトルまでの確認とダブルチェックの方法が手順通りに実施されているか、全スタッフの手技と手順を確認する。・輸液ポンプ・シリンジポンプの使用基準を検討し、不必要な輸液ポンプ・シリンジポンプは使用しない。・ヘパリンの作用・副作用・注意点について、薬剤師が講義を実施し、知識確認のテストを行う。
2台の輸液ポンプを使用中、ルートが交差しており流量を取り違えて設定した事例
手術時に右内頸静脈から中心静脈カテーテルを挿入した。術後、離床は計画的に進められていた。術後6日目に看護師が訪室した際、髭が伸びていたため髭剃りを勧めた。洗面台に移動介助を行い、患者自身がT字カミソリで髭を剃ることになったため、退室した。患者は、以前からT字カミソリで髭剃りをしており、電気シェーバーは持参していなかった。その後、ナースコールがあり訪室すると、患者は洗面所の椅子に座って意識消失しており、眼球上転、努力様呼吸を認めた。皮膚は湿潤し末梢冷感を認めた。中心静脈カテーテルを確認すると固定テープの剥がれはなく、刺入部周囲の固定テープに少量出血があり、濡れていた。テープを剥がすとカテーテルに0.5cm程度の損傷があり、空気塞栓症が疑われた。緊急コールし気管挿管後、全身管理目的のためICUに入室した。
・術後6日目、室内トイレへ看護師の見守りのもと移動できるまで回復していた。・術後、髭剃りを行っておらず、髭が伸びていた。・クリニカルパスには髭剃りのケアがなかった。・看護ケアとして髭剃りの計画が立案されていなかった。・患者が持参していたのはT字カミソリで、看護師は使用経験が少なかった。・患者が自分で行うと言ったため看護師は退室した。
・T字カミソリの病院内への持ち込みを禁止する。・髭剃りは、電気シェーバーを使用する。・顔や頸部にルートが固定されている患者の髭剃りについて、看護師はケア介入を行う。・クリニカルパスに髭剃りのケアを追加することを検討する。
髭剃り中にT字カミソリで中心静脈カテーテルを損傷した事例
薬剤師は入院時初回面談を行い、持参薬を患者と共に確認した。その後、電子カルテに持参薬を登録してプレ処方を作成した。医師はその内容を確認し、薬剤師のプレ処方を全てコピーして持参薬処方として処方し、入院中の持参薬の投与が開始された。入院7日目の8時半頃、看護師がラウンドした際に、患者に左下肢のしびれ、不全麻痺があることを確認した。頭部、下肢のCT検査にて左下肢動脈血栓症を認めた。処方内容を確認すると、リクシアナ錠が中断されていることが判明した。化学療法中の発症であり、血栓治療のため他院へ転院となった。
・患者は心房細動の既往があり、血栓予防としてリクシアナ錠を内服していた。・前回の入院中に他院処方のワーファリン錠をリクシアナ錠に変更しており、退院後にかかりつけ医への受診を予定していた。そのため、退院時は、かかりつけ医でリクシアナ錠が変更となる可能性を考慮し10日分を処方した。・かかりつけ医はリクシアナ錠の継続を可としたが、継続分を処方せず、リクシアナ錠は10日分を服用後、途切れていた。・薬剤師は、持ち込まれた薬剤のみでプレ処方を作成したため、処方が切れた薬剤があることに気付かなかった。・医師は、薬剤師が登録したプレ処方の内容を確認したが、不足している薬剤があることに気付かなかった。
・入院時の持参薬の確認は、患者が持ってきた薬剤だけでなく薬歴を考慮したうえで薬剤の登録を行う。・外来主治医と入院担当医の間で、かかりつけ医への紹介状の内容、処方変更の状況などを共有する。
鑑別した情報の不足:鑑別漏れ
・事例を報告した医療機関の医師とかかりつけ医の間でどちらがリクシアナ錠を処方するか明確になっていなかった可能性がある。・本事例のように、処方切れなどで患者が薬剤を持参していない場合、鑑別から漏れてしまう危険性がある。この患者の場合、入院歴があるため、前回の入院時の処方歴と患者が持参した薬剤の照合を行ってもよかった。・退院している間に患者がかかりつけ薬局で薬剤を交付されていたら、保険薬局で処方切れに気付いた可能性がある。「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」が改正され、薬剤師の業務として患者の服薬状況を継続的に把握することになり、患者が入院する際は、保険薬局からも情報提供してもらえるような仕組みができるとよいだろう。
患者は13日夜に土手から転落、翌日発見され当院へ救急搬送された。患者は他病院で脳腫瘍の術後化学療法中であった。入院2日目、家族が薬剤を病棟に持参した。病棟から薬剤部に鑑別を依頼し、鑑別結果が病棟に報告された。鑑別した8種類の薬剤の中に、12日に終了したはずのテモダールカプセル100mgが含まれていた(8日~12日まで服薬、13日~翌月7日まで休薬)。入院3日目より、持参薬の鑑別をもとに8種類全ての内服薬が処方され、調剤、鑑査後に病棟へ払い出された。その後、看護師管理として患者へ投与した。以後、翌月26日まで計9回処方され、テモダールカプセル100mgを毎日内服した(合計117カプセル)。入院39日目、患者の口腔内より出血を確認し、歯科口腔外科を受診した。採血の結果、汎血球減少を認め、骨髄抑制が起こっており、テモダールカプセルを連続投与していたことが判明した。テモダールカプセルは、5日連続投与後23日休薬する28日を1クールとして内服する薬剤であったにも関わらず処方が継続され、誤りに気付くことなく調剤、鑑査、指導を繰り返していた。汎血球減少にて抗生剤投与、輸血、グラン注射液の皮下注射が開始となった。
・入院2日目に家族が内服薬を持参し、内服薬の種類を確認せずに薬剤部に鑑別を依頼した。・薬剤部は鑑別を依頼された薬剤の種類、数量のみを記載し、鑑別書と持参薬を病棟へ返した。その際、テモダールカプセルに関する注意喚起の情報は記載していない。・鑑別後、看護師は主治医へ持参薬の継続投与を確認した。その際、主治医は持参薬に抗悪性腫瘍剤が含まれていることを確認しないまま、持参薬の継続投与を指示した。・持参薬の残数が少なかったため、看護師は研修医に処方を依頼した。・依頼を受けた研修医は持参薬鑑別書を基に処方した。・内服薬は看護師が管理しており、テモダールカプセルが抗悪性腫瘍剤であることを知っていた看護師もいたが、休薬期間がある薬剤であることの知識はなかった。・入院1週間後、他院から診療情報提供書が送付されたが、内容の確認が不十分であった。・入院39日目に口腔内からの出血の症状に対し、歯科口腔外科の診察後、採血結果により汎血球減少の状態が認められ、血液内科の診察を受けて今回の事象が判明した。
【薬剤部門】・薬剤システムにおいてハイリスク薬の場合はアラートが表示されるようにした。また、休薬期間に処方された場合はコメントが表示される。・テモダールカプセルの薬品入れの蓋には注意書きの用紙を貼付し、処方薬準備時に再確認する。・処方箋の注意事項に服用・休薬期間を追加すると共に、薬歴により投与日数が分かるようにした。【医師部門】・現病歴の確認、診療情報提供書等の情報をもとに持参薬の内容の確認を徹底する。【看護部門】・持参薬を預かったら、お薬手帳等をもとに用法・用量を確認し、鑑別に出す。・ハイリスク薬品(抗悪性腫瘍剤等)が含まれている場合、服薬方法や副作用などについて情報収集を行い、服薬に関する看護計画を立案する。
鑑別した情報の不足:休薬期間の記載漏れ
・持参薬の鑑別では、家族が持参した薬剤の種類と数量だけを報告するのではなく、お薬手帳、診療情報提供書や患者からの聞き取りなどで内服状況を把握して報告する必要がある。・持参薬の中に抗がん剤が含まれている場合、医師に注意すべき薬剤であることが伝わるような報告をするとよい。・入院中、テモダールカプセルは9回処方されているが、多くの薬剤師が関与しながら、処方監査で気付いていない。抗がん剤が処方された場合は薬歴を確認し、疑義があれば医師に照会が必要であろう。
患者は、12日の16時過ぎに脳梗塞で緊急入院した。持参薬があり、日勤の受け持ち看護師は、薬剤師へ持参薬の鑑別を依頼した。鑑別終了後、受け持ち看護師は薬剤師と持参薬確認書・指示書を見ながら確認した。医師へ内服継続の確認と指示を記載してもらい、指示受け確認をした。14日の日勤の受け持ち看護師が、翌日分の内服薬(透析日)を用意しようとした際、持参した薬剤がセットされていたシートと、持参薬確認書・指示書が合っていないことに気付いた。確認すると、他院からの診療情報提供書の記載と持参薬確認書・指示書に相違があった。休日で主治医に確認できず、15日は透析日用の朝の内服薬をセットした。翌日、主治医の来棟時に状況を報告し、診療情報提供書に従い、内服となった。患者は正しく内服し、影響はなかった。
・他院からの診療情報提供書に記載された処方内容が分かりづらかった。リオナ錠250mg朝食直後は透析日、非透析日に関係なく毎朝2錠内服、透析日はさらに昼食後に内服であった。Rp1.リオナ250mg2錠分1朝食直後7日分Rp2.ファモチジン1錠分1朝7日分Rp3.リオナ250mg2錠分1ホスレノール1錠分1昼食直後透析日Rp4.ケイキサレート2包分1アムロジピンOD1錠分1昼、3日分、透析日Rp5.ケイキサレート1包分1アムロジピンOD1錠分1朝、4日分、非透析日・持参薬確認書・指示書には、朝食直後のリオナ錠250mgの用法に、1日1回朝食直後(非透析日)と記載されていた。・入院日の受け持ち看護師は、薬剤師が読み上げた薬剤が持参薬確認書・指示書に記載されているか確認していた。・患者が持参した薬剤は、各シートに日付ごとに貼付されていたため、持参薬確認書・指示書と相違があることに気付けた。・15日が入院後初めての透析であった。・持参薬の鑑別の際、薬剤師がどのように確認したかは不明である。
・入院時は、診療情報提供書と持参薬確認書・指示書を照らし合わせながら、薬剤師と確認する。・処方内容が分かりにくい場合は、薬剤師へ声をかけ再確認を依頼する。
用法・用量間違い
・他院の処方は、毎日内服、透析日に内服、非透析日に内服の3つに分かれており、今回の事例で問題となったリオナ錠は、毎日内服と透析日に内服する場合の2つに分けて処方されている。情報提供した医療機関ではよくある処方かもしれないが、他の医療機関では理解するのが難しい。・看護師が内服薬を準備する際に、診療情報提供書に戻って処方内容を確認したことはよかった。
患者は入院時、シーブリ吸入用カプセル(抗コリン薬)とシムビコートタービュヘイラー吸入(β刺激剤2+ステロイド薬)を持参し、薬剤師は鑑別書を作成した。その際、シーブリ吸入用カプセルの代替採用薬として、ウルティブロ吸入カプセル(β刺激剤+抗コリン薬)を記載し2た。その後、医師はウルティブロ吸入用カプセルとシムビコートタービュヘイラー吸入を処方した。調剤して病棟へ払い出した後、他の薬剤師が処方内容を見て、ウルティブロ吸入用カプセルとシムビコートタービュヘイラー吸入の成分でβ刺激2薬が重複していることに気付いた。患者は吸入前で重複投与には至らなかった。
・鑑別書のシステムを過信してしまい、切り替える薬剤の成分の確認を怠った。・シーブリ吸入用カプセルとウルティブロ吸入用カプセルが全く同じ成分だと思い込んでいた。
・システムを過信せず、曖昧なことは調べて確実に鑑別する。
代替薬を提案した際、併用薬と薬効が重複
・吸入薬は、薬剤名から配合剤であることが分からないため、このような間違いは他の医療機関でも発生していると思われる。・シーブリ吸入用カプセルの代替薬としてウルティブロ吸入用カプセルを選択した場合、シムビコートタービュヘイラーをステロイド単独の製剤に変更できたらよかった。・背景要因に「鑑別書のシステムを過信した」とある。このシステムは代替薬を探すことができるシステムと推測されるが、最終的には添付文書で薬効などを確認する必要がある。・本事例では、病棟に払い出した後に他の薬剤師が処方の誤りに気付いており、払い出し後でも処方内容を確認できる仕組みがあるのはよい。
患者は頚椎症性脊髄症に対する手術後、リハビリテーション中に脳梗塞を発症し、他院にて治療を行った。脳梗塞発症14日後にリハビリテーション目的で当院へ再入院となった。前回の当院入院中に内服していたワーファリン錠は、今回の脳梗塞発症でエリキュース錠に切り替わっていた。医師は、エリキュース錠の内服は紹介状から確認していたが、持参薬の中にはワーファリン錠があり、治療のために2剤内服していると思い込み、エリキュース錠に加え、ワーファリン錠も継続投与としていた。
・診療情報提供書の処方欄には、「エリキュース錠5mg2.0錠分2:朝夕食後7日」、看護サマリには、「現在は脳保護療法とエリキュース内服にて対応」と記載があった。・薬剤師が患者の妻に聴取した際、妻は患者が持参薬を内服していると回答した。・薬剤師は、持参薬・診療情報提供書を確認した上で、電子カルテに持参薬の鑑別内容を入力しているが、持参薬は2回に分けて妻から薬剤師へ提出されていた。1回目は入院当日であり、その中には脳梗塞発症前から内服しており、前回当院入院中に預り転院を機に返却したものが含まれていた。2回目は少し時間が経ってからであり、この時に転院先で内服していたエリキュース錠が提出された。・薬剤師は持参薬を確認した際、「2剤を併用する時期もある」という知識と、他院からのエリキュース錠の処方期間が1週間であったことから、エリキュース錠は飲みきり終了とし、元々内服していたワーファリン錠に切り替えるのだろうと思った。・薬剤師は、服薬指導をしていない患者の場合は、カルテを確認していなかった。・主治医は通常1剤の投与だと理解していたが、2剤併用と思い込み、前医への確認やリハビリテーション科医師への相談をしなかった。・主治医は採血結果を確認しており、異常値ではなかったため、このまま併用しても問題ないと判断した。・リハビリテーション科医師は2剤投与されていると思っていなかった。・看護師はエリキュース錠とワーファリン錠の使用方法についての知識が不十分であり、2剤投与に疑問を持っていなかった。
・持参薬鑑別について見直す。・紹介状と処方履歴の照合を確実に行う。・前医との連携を密にする。・薬剤部門との情報交換を密にする。
鑑別した内容の誤り:現在投与していない薬剤の記載
・入院時の持参薬には、投与の中止、別の薬剤への切り替えなどにより、現在は内服していない薬剤が含まれている可能性がある。・転院前の医療機関から診療情報提供書や看護サマリが提供されており、持参薬だけで鑑別するのではなく、正しい情報で確認する必要である。・抗凝固剤の処方は、循環器の専門医へ相談してから処方してもよいだろう。
入院後、持参薬のヒダントールF配・医師は、処方時に持参薬の用量と・医師は「最大投与量」のアラー合錠1回4錠1日2回を院内処方に薬剤の含有量の確認をしなかった。トが表示された時は必ず許容量切り替える際、医師は、薬剤師が同・医師が処方した際に「最大投与量」等の確認を行う。効薬として記載したアレビアチン散のアラートが表示された。「最大投・薬剤師は「最大投与量」を超え10%1回1200mg1日2回、与量」のアラートが表示された場て処方された薬剤はカルテで確フェノバール散10%1回400合、「突破理由」の欄にコメントを認し必ず疑義照会を行う。mg1日2回を処方した。最大投与入力して「OK」ボタンを押すと、・入院時より専門の脳神経内科に量を超えているとアラートが表示さオーダが可能になる。今回は「継コンサルトして薬剤調整等を依れたが、コメントに「継続分」と入続分」とコメントを入力してオー頼する。力してオーダした。薬剤部では書記、ダした。・臨床症状の原因が不明の場合、調剤1、調剤2、鑑査と確認し、最・病棟薬剤師は、入院時に持参薬の専門外の病態の判断は専門の医師に診察を依頼して判断を仰ぐ。大投与量を越えているが、「継続分」代替薬をRPコメントに入力する際というコメントを見て、カルテで処に医薬品集の「今日の治療薬」で用量を調べた。「今日の治療薬」には方歴などを確認済と思い込み、薬剤12錠中の用量が記載してあったが、1錠中の用量と誤って認識し、師は疑義照会をしなかった。翌朝、12錠中の用量を入力した。正しくはアレビアチン散10%1回100担当看護師はダブルチェックして患mg1日2回、フェノバルビタール散10%1回33.332mg者のベッドサイドに行った。患者か1日2回であった。ら「これは本当に私の薬ですか?」・病棟薬剤師は、カルテの経過記録に記載する際には、添付文書で1錠あと聞かれ、看護師も多いと思ったたたりの用量を調べて記載を行ったが、その際にRPコメントの訂正入力め医師に確認した。医師は、持参薬を忘れてしまっていた。を院内処方に切り替えているため、・通常、薬剤師は処方コメントに「継続分」と記載がある場合でも、処方目的や過去の処方歴について確認し、必要に応じて疑義照会を行ってい内服させてよいと指示した。患者にる。しかし、今回は疑義照会をしなかった。その旨を説明し、アレビアチン散10%1200mg+フェノバール散10%400mgを与薬した。その後、嘔気・嘔吐の症状があり、水頭症とてんかんの病態の確認のために、頭部CT検査と頭部MRI検査を実施したが、1ヶ月前の画像と比べて変化はなかった。夜勤の看護師も内服薬が多いと思い、当直医とカルテの処方画面を確認した。当直医も量が多いと思ったが、以前から内服している薬であり、悪化しないためにも必ず内服させるように指示した。22時、患者に説明し与薬した。翌々日の朝、呂律が回らず意識障害があったため、当直医に相談し、脳神経内科医師の往診があった。診察にてフェニトイン中毒を疑い血中濃度を測定したところ、フェニトイン、フェノバルビタールともに高値で内服中止となった。入院時の持参薬と比較すると、用量が12倍多いことが判明した。
・医師は、処方時に持参薬の用量と薬剤の含有量の確認をしなかった。・医師が処方した際に「最大投与量」のアラートが表示された。「最大投与量」のアラートが表示された場合、「突破理由」の欄にコメントを入力して「OK」ボタンを押すと、オーダが可能になる。今回は「継続分」とコメントを入力してオーダした。・病棟薬剤師は、入院時に持参薬の代替薬をRPコメントに入力する際に医薬品集の「今日の治療薬」で用量を調べた。「今日の治療薬」には12錠中の用量が記載してあったが、1錠中の用量と誤って認識し、12錠中の用量を入力した。正しくはアレビアチン散10%1回100mg1日2回、フェノバルビタール散10%1回33.332mg1日2回であった。・病棟薬剤師は、カルテの経過記録に記載する際には、添付文書で1錠あたりの用量を調べて記載を行ったが、その際にRPコメントの訂正入力を忘れてしまっていた。・通常、薬剤師は処方コメントに「継続分」と記載がある場合でも、処方目的や過去の処方歴について確認し、必要に応じて疑義照会を行っている。しかし、今回は疑義照会をしなかった。
・医師は「最大投与量」のアラートが表示された時は必ず許容量等の確認を行う。・薬剤師は「最大投与量」を超えて処方された薬剤はカルテで確認し必ず疑義照会を行う。・入院時より専門の脳神経内科にコンサルトして薬剤調整等を依頼する。・臨床症状の原因が不明の場合、専門外の病態の判断は専門の医師に診察を依頼して判断を仰ぐ。
鑑別した内容の誤り:同成分代替薬を提案した際の換算間違い
・ヒダントールF配合錠の添付文書は2019年4月に改訂され、それまで有効成分が12錠中の記載であったが、1錠中の記載に変更されている。しかし、書籍などにはまだ反映されていないものがあると思われる。・薬剤に関する情報は、最新の情報である添付文書で確認する方がよい。・整形外科の医師が抗てんかん薬を処方した事例であり、改善策にもあるように専門医へ確認し、安全な処方を行う必要がある。・処方を鑑査した薬剤師は「継続分」と記載されていたため医師へ疑義照会しなかったとあるが、処方量からすると確認すべき処方内容である。・「アレビアチン散10%1回1200mg1日2回、フェノバール散10%1回400mg1日2回」を調製した薬剤師は、製剤の量が多すぎることに疑問を感じてもよい事例である。・内服の際に患者から確認があったり、看護師がおかしいと思うことがあったり、処方量が間違っていることに気付くことができる場面がいくつかあったにもかかわらず活かせていないのは残念である。・てんかん診療ガイドライン20181)の「抗てんかん薬の血中濃度モニターを行う一般的な適応」に、「7.剤形の変更や後発医薬品への変更により定常状態の血中濃度が変化したかを評価する場合」とある。血中濃度の測定を早めに行うこともよいだろう。
患者は関節リウマチで、当院の膠原病内科に通院中であった。帯状疱疹に罹患し、金曜日の15時に入院した。持参薬の鑑別は15時までであれば病棟薬剤師が確認をして電子カルテに報告をするが、15時を過ぎていたので看護師が持参薬の鑑別を行った。看護師は、患者から薬袋に入った持参薬を回収した。その際、患者はお薬手帳を持参していなかった。薬袋と持参薬を確認しながら電子カルテの持参薬鑑別書に入力した。薬袋には「メトレート錠2mg1日2回朝食後(2錠)・夕食後(2錠)木曜日内服」と記載され、4日分で処方されていたが「木曜日内服」を見落とし「1日2回朝・夕食後」のみを入力した。メトレート錠など週1回内服の薬剤はいずれも4日分の処方、他の内服薬は28日分の処方で入院時に残薬はそろっていた。主治医は「木曜日内服」が入力されていないことに気付かず、持参薬鑑別書を確認して持参薬の継続を指示した。患者は自分で薬剤シートから薬を出せないため、看護師の配薬とした。病棟の配薬車に内服薬をダブルチェックでセットしたが、連日の内服になっていることには疑問を持たなかった。入院当日の金曜日の夕から月曜日の朝まで、合計24mg、入院前日を含むと32mgを内服した。患者は木曜日に内服する薬であることを理解していたが、看護師が配薬するので内服しなければならないと思っていた。月曜日に、病棟薬剤師が患者を訪問した際、患者はメトレート錠を毎日内服していることを薬剤師に伝え、連日投与が判明した。
・本来の持参薬の鑑別の流れは、平日であれば薬剤師が確認して電子カルテに入力する。その後、主治医が確認して持参薬指示を出すことになっている。・入院時間が15時であったため、看護師は医師が勤務する時間に持参薬を確認してもらい、内服の指示を受けたかった。・薬剤師による持参薬の鑑別は15時までというシステムのため、薬剤師に連絡ができなかった。実際は15時を過ぎても病棟薬剤師に電話連絡をすれば持参薬の鑑別を依頼することができた。・鑑別した看護師は、メトレート錠が週1回内服の薬であるという知識がなかった。・当院の主治医が処方している内服薬であり、電子カルテの処方歴で用法・用量を確認できたが、していなかった。
・平日の日勤帯の持参薬鑑別は病棟薬剤師に依頼する。・看護師が持参薬を確認する場合は、用法・用量など指差し、声だしをして確認する。・薬剤についての知識を各個人が身につける。・看護師長会議、看護推進担当者会議にて注意喚起を行った。・PMDA医療安全情報No.49(2016年11月)を、再配布して注意喚起を行った。・主治医は持参薬鑑別書の内容を十分確認してから指示する。・診療部運営会議で持参薬の鑑別の確認について注意喚起を行う。
鑑別した情報の不足:内服曜日の記載漏れ
・関連診療科はリウマチ科になっているが、背景要因に「看護師はメトレート錠が週1回の内服である知識がなかった」とあるため、別の診療科の病棟に入院した可能性がある。・持参薬の鑑別をいつでも薬剤師に依頼できる医療機関は少なく、緊急入院や夜間の入院であれば看護師が対応しているところもある。しかし、事例の背景要因にあるように、実際は15時を過ぎても病棟薬剤師に連絡をすれば持参薬の鑑別を依頼することができたようなので、薬剤師に相談できればよかったであろう。・メトレート錠は当該医療機関で処方されており、患者の処方歴を把握できた事例である。医師は鑑別の内容を確認したうえで処方する必要がある。・看護師は各勤務帯で交代するため、週1回の投与が誤って連日投与になっていることに気付けない可能性がある。ただし、メトレート錠などメトトレキサート製剤のPTPシートには、「1週間のうち決められた日にだけ服用してください」と記載があるため、配薬時などにシートをよく見ていたら処方の誤りに気付いた可能性もある。
患者はミグリトール錠25mg1回1錠1日3回毎食直前で服用していた。持参薬から院内処方に切り替える際、院内採用薬はセイブル錠50mgであり、持参薬鑑別の際には規格が持参薬と院内採用薬とでは異なることを薬剤師より申し送りされていた。しかし、医師は、セイブル錠50mgを1回1錠1日3回毎食直前でオーダした。病棟に薬剤が届いた際、病棟薬剤師は、規格が違うため用量に誤りがあることに気付いた。医師は患者に投与される前にオーダを修正した。
・持参薬と院内採用薬では規格が違っていたが、医師は院内採用されている規格が把握できておらず、処方時に表示された規格のみと思い込み処方した。・明らかに用量が間違っていなければ、調剤室の薬剤師では処方の誤りに気付かない。・病棟薬剤師がきめ細かく配慮するしかない状況である。
・現在の持参薬の確認は、そのまま電子カルテオーダができず、院内処方に切り替える場合は処方し直す必要がある。・電子カルテ更新とともに、薬剤の全件マスターを導入するとともに持参薬オーダを可能にするシステムを検討する。
薬剤量間違い
用量間違い
患者が入院した際、病棟薬剤師が持参薬の確認を行った。持参薬鑑別書に「ベタニス錠25mg1錠分1昼食後代替薬:ベタニス錠50mg(成分量違い・剤形一致)」と記載した。院内処方に切り替える際、医師は「ベタニス錠50mg1錠分1昼食後」とオーダした。看護師は規格が異なっていることに気付き、医師へ確認したところ、処方が修正になった。
・消化器外科の医師は、普段処方しない薬効の薬剤であったため知識が不足していた可能性がある。・持参薬鑑別書からDo処方が可能な仕組みにしているが、院内で採用されていない薬剤は薬剤名を選び直す必要がある。・院内で採用されていない薬剤の場合、持参薬鑑別書に代替薬を記載しているが、薬剤を選び直す際に入力を間違えた可能性がある。
・薬剤師による持参薬の確認と、院内処方へ切り替える時の処方確認を徹底する。
薬剤量間違い
用量間違い
慢性閉塞性肺疾患の急性増悪で入院した患者は、持参薬にアンブロキール錠15mgがあり、継続の指示が出た。また、院内処方でムコソルバンL錠45mgの処方があった。同一成分薬であり、重複となるため病棟薬剤師が主治医に確認したところ、アンブロキソール錠は中止となった。
・持参薬と院内処方が重複した。・後発医薬品は、薬剤名で重複と認識しづらい。・持参薬は電子カルテに入力ができないため、薬剤師の持参薬記録を医師がタイムリーに確認できない。
・電子カルテに持参薬オーダを入力できるようにし、院内処方との重複をシステム的にチェックできるようになるとよい。
nan
重複処方
薬剤師は、別の薬剤師から医師に処方の確認をするように依頼をされた。患者は持参薬でニトロールRカプセル20mgを1日2回朝夕食後1錠ずつ服用していたが、院内処方にする際にニトロール錠5mg1日2回朝夕食後で処方されていた。持参薬鑑別書には代替薬としてフランドル錠20mgが表示されていた。持参薬のニトロールRカプセルは徐放錠だがニトロール錠は徐放錠ではないため1日3~4回1錠ずつ服用するのが通常の用法である。医師に疑義照会し、ニトロール錠で処方する場合は用法を1日3~4回にするか、同成分で徐放性のあるフランドル錠に薬剤変更し、1日2回朝夕食後にするのはどうかと提案した。医師はフランドル錠20mg1日2回の処方に修正を行った。
未記入
・個々の薬剤の用法を把握する。・状況に応じて持参薬鑑別書を確認する。
薬剤間違い
剤形間違い
医師は、深夜帯に緊急入院した患者にお薬手帳を基に内服薬を処方した。ジャヌビア錠の院内採用薬はグラクティブ錠であるが、医師が「ジャヌ」で検索した際、スージャヌ配合錠がオーダ画面に表示されたため、スージャヌ配合錠を処方した。日勤帯になり、薬剤師が医師に配合剤に変更するのか疑義照会したところ、処方間違いが判明した。その後、処方をグラクティブ錠に変更した。
・時間外であり、薬剤師の持参薬鑑別が実施できず、医師が自分でお薬手帳を見ながら処方した。・医師はジャヌビア錠の代替薬がグラクティブ錠であることを知らなかった。
・電子カルテのオーダ画面で薬剤情報を確認する。
薬剤間違い
名称類似薬の処方
9:19、セフェピム塩酸塩静注用2g+5%ブドウ糖液100mLを輸液ポンプにセットして100mL/hでPICC(末梢挿入型中心静脈カテーテル)より投与を開始した。11:50、患者よりナースコールがあり、呼吸困難、咳嗽、嘔吐の症状があった。輸液ポンプの気泡アラームは鳴らず、点滴ボトルとチューブは空で積算量は145mLと表示されていた。輸液ポンプの予定量は設定されておらず、チューブは引っ張った状態でセットされていた。11:52、主治医へ報告し、診察した。患者は咳嗽と嘔気が持続、血圧は安定し、SpOの低下はなかった。12:205、症状は回復した。心電図モニタでモニタリングを開始し、胸部X線検査と頭部・胸部CT検査を実施した。空気は見られず明らかな脳梗塞、肺梗塞の所見はなかった。
・輸液ポンプの予定量を設定しなかった。・輸液ポンプの気泡アラームが作動しなかった。・輸液ポンプにチューブを引っ張った状態でセットしていた。・輸液終了予定時間を過ぎても患者の観察を行わなかった。・輸液ポンプを正しく使用していなかったことに対しては、知識不足がある。正しく使用しないとどうなるか、なぜそうするのか、という根拠が理解できていない。
・既存の委員会等での周知に加えて、医療安全管理室より全看護師に向けて院内メールを使用して事例の共有と注意喚起を行った。また、各部署長より看護師全員一人一人に周知する。・輸液ポンプの正しい使い方の資料を配布し根拠を踏まえて再学習してもらう。・気泡アラームの鳴らなかった当該輸液ポンプは、メーカーで検証している。
nan
nan
患者は神経サルコイドーシスで外来フォローされていた。3ヶ月前からステロイドパルス療法を行い、1ヶ月前から免疫抑制剤併用のためリウマトレックスカプセル(MTX)4mg/週(月:1回2mg朝夕)とフォリアミン錠5mg/週(木:1回5mg朝)の内服を開始した。2週間後にMTXを6mg/週(月:1回2mg朝夕、火:1回2mg朝)へ増量した。さらに2週間後の外来で、PSLを17.5mgへ減量し、MTXを8mg/週(月:1回4mg朝夕)へ増量の予定であったが、院外処方時に28日分処方していた。その際、処方箋のリウマトレックスカプセルのコメントに「週1回(月)に服用」およびフォリアミン錠のコメントに「週1回(木)に服用」と記載していたが、薬袋に上記コメントの記載はなく、患者は上記2剤を連日内服していた。患者は、リウマトレックスカプセル(薬局では後発医薬品のメトトレキサートカプセルを調剤)増量の旨は主治医から説明を受けていたが、増量の際の具体的な用法についての説明は記憶になかった。保険薬局の薬剤師は内服日・用法について患者の良好な理解度を考慮して説明を省略していた。患者は、おかしいと感じながらもメトトレキサートカプセルを薬袋に書かれている指示通り連日内服していた。咽頭痛が出現し、14日後頃からかかりつけ医や他院の耳鼻咽喉科を受診し、お薬手帳を提示していたが、内服薬の妥当性についての検討はされなかった。28日後の当院定期受診時にメトトレキサートの合併症が疑われ、翌日入院し、入院2日目に病棟薬剤師が患者からの聴取を行い過剰内服が判明した。
・当該患者へのリウマトレックスの処方は3回目であった。・リウマトレックス、フォリアミンの処方日数が28日分となっていたが、外来主治医は処方日数に気付かず患者に渡した。・医師はリウマトレックスの1日量である4カプセルと日数の4日分の記載を誤認した可能性があった。・医師は週1回内服とコメントに記載し、処方箋を渡していたが、保険薬局(行きつけ)において薬袋にコメントの記載がされていなかった。・薬剤師の監査(処方箋と薬袋記載内容の照合を含む)が確実にできていなかった。・リウマトレックス(メトトレキサート)の処方日数について、疑義照会がなかった。28日分なので28週分に該当するが、薬剤師はリウマトレックス、フォリアミンのみ長期処方されたと思い込んでいた。・保険薬局の薬剤師は、リウマトレックスが特に注意が必要で週に1~2日服用する薬剤であることは知っていた。恐らく骨髄抑制や間質性肺炎が起こるなどの知識はあったと推測される。・保険薬局の薬剤師は患者の理解度を考慮し、患者に対する説明(内服期間、内服方法)を省略していた。・患者は、医師より増量することについては説明を受けていたが、具体的にどのように増量するのか理解しておらず、保険薬局の薬剤師から具体的な説明がなかったため、薬袋の記載通り28日間内服していた。・メトトレキサートカプセルのPTPシートへの服用日の記載について、保険薬局では必要に応じて記載はするようだが、本事例では患者は自己管理ができると判断して、服用日の記載はしていなかった。
・免疫抑制剤などリスクの高い薬剤については、特に注意して投与量、日数、コメントについてダブルチェックを行う必要がある。・リウマトレックス(メトトレキサート)を処方する患者には、特に内服のタイミングについて回数を重ねて注意深く指導することが望ましい。・システム上の対策案について検討した結果、システムで日数制限をかけるのは現実的でないとの結論に至った。・院内処方、院外処方ともに、リウマトレックスカプセル、メトレート錠を処方する際には、処方箋の薬剤名の下の行に「1週間のうち、特定の日に服用します」「用法用量を確認してください」の2つのコメントが自動的に印字され、院内処方では薬袋にも自動的に印字されるようにした。これにより、保険薬局の薬剤師や患者が用法に関して気付く機会が増え、連日服用を避けることにつながる。
外来-院外処方(調剤)
nan
患者は関節リウマチ・難治性胃潰瘍・認知症で通院していた。関節リウマチのため、12年前からメトトレキサートを週1回内服していた。今回、いつものように整形外科医からメトトレキサートカプセル2mg週1錠8週間分が処方された。薬剤師は、薬袋に赤色で「日曜朝」と記載することになっていたが、その日は記載せずに渡した。帰宅後、家族が薬袋を確認したところ、曜日の指定はなかったため毎日服用するものと思い込み、10日間服用させた。その後調子が良かったが、3、4日後から歯肉出血、全身倦怠感で起きられなくなり、救急外来を受診し、入院となった。入院後、家族からの聴き取りで、患者はメトトレキサートを毎日内服し、さらに残薬があったため継続して内服していたことが判明した。患者は重度の骨髄抑制となり、濃厚な治療を行った。
・医師はカルテに「毎週日曜日朝食後内服」とコメントを記載した。・処方箋には医師のコメントが記載されているため、医師は薬袋にコメントが反映されると思っていたが、反映されていなかった。・薬剤師は、いつもは薬袋の表に赤色で「日曜朝」と手書きで記載するが、記載を忘れた。・鑑査者は異動したばかりで前の病院のシステムが頭にあったため、鑑査をすり抜けた。・業務手順書では薬剤師が薬袋に専用のシールを貼ることになっていたが、内服のパターンが増えたため中止となった。その後は手書きとなったが、ルールが明文化されておらず個人任せとなっていた。
・システムを改善し、オーダ時の電子カルテの医師のコメントが薬袋に赤字で印刷されるようにした。・薬剤情報提供書の使用上の注意で、内服の頻度と危険性について分かりやすく改訂した。・メトトレキサートなどの危険薬については個別に面談し、服薬指導及び残薬チェックを行う。・調剤のルールを見直した。電子カルテの医師のコメントが薬袋に印字されることになり、専用シールは用いないこととし、内容を改訂した上で薬剤科内に周知徹底した。・地域の保険薬局に注意喚起の情報を提供する。
外来-院内処方(調剤)
nan
患者は関節リウマチで、当院の膠原病内科に通院中であった。帯状疱疹に罹患し、金曜日の15時に入院した。持参薬の鑑別は15時までであれば病棟薬剤師が確認をして電子カルテに報告をするが、15時を過ぎていたので看護師が持参薬の鑑別を行った。看護師は、患者から薬袋に入った持参薬を回収した。その際、患者はお薬手帳を持参していなかった。薬袋と持参薬を確認しながら電子カルテの持参薬鑑別書に入力した。薬袋には「メトレート錠2mg1日2回朝食後(2錠)・夕食後(2錠)木曜日内服」と記載され、4日分で処方されていたが「木曜日内服」を見落とし「1日2回朝・夕食後」のみを入力した。メトレート錠など週1回内服の薬剤はいずれも4日分の処方、他の内服薬は28日分の処方で入院時に残薬はそろっていた。主治医は「木曜日内服」が入力されていないことに気付かず、持参薬鑑別書を確認して持参薬の継続を指示した。患者は自分で薬剤シートから薬を出せないため、看護師の配薬とした。病棟の配薬車に内服薬をダブルチェックでセットしたが、連日の内服になっていることには疑問を持たなかった。入院当日の金曜日の夕から月曜日の朝まで4日間、合計24mg、入院前日を含むと5日間、合計32mgを内服した。患者は木曜日に内服する薬剤であることを理解していたが、看護師が配薬するので内服しなければならないと思っていた。月曜日に、病棟薬剤師が患者を訪問した際、患者はメトレート錠を毎日内服していることを薬剤師に伝え、連日投与が判明した。
・本来の持参薬の鑑別の流れは、平日であれば病棟薬剤師が確認して電子カルテに入力する。その後、主治医が確認して持参薬指示を出すことになっている。・入院時間が15時であったため、看護師は医師が勤務する時間に持参薬を確認してもらい、内服の指示を受けたかった。・病棟薬剤師による持参薬の鑑別は15時までというシステムのため、薬剤師に連絡ができなかった。実際は15時を過ぎても病棟薬剤師に電話で連絡をすれば持参薬の鑑別を依頼することができた。・鑑別した看護師は、メトレート錠が週1回内服する薬剤であるという知識がなかった。・当院の主治医が処方している内服薬であり、電子カルテの処方歴で用法・用量を確認できたが、していなかった。
・平日の日勤帯の持参薬鑑別は病棟薬剤師に依頼する。・看護師が持参薬を確認する場合は、用法・用量などを指差し、声出しをして確認する。・薬剤についての知識を各個人が身につける。・看護師長会議、看護推進担当者会議にて注意喚起を行った。・PMDA医療安全情報Nо.49(2016年11月)を再配布して注意喚起を行った。・主治医は持参薬鑑別書の内容を十分確認してから指示する。・診療部運営会議で持参薬鑑別の確認について注意喚起を行う。
入院-持参薬鑑別
nan
患者は関節リウマチのため他院でリウマトレックスを処方されていた。今回、洞不全症候群にて当院に紹介され、入院となった。入院後は、リウマトレックスは休薬していた。入院6日目、ペースメーカー埋め込み術を施行した。術後3日目の○月23日に内服が再開となり、抗リウマチ剤(メトトレキサート錠)が他の薬剤とともに2日分処方され、薬剤師が調剤し、鑑査者に回した。鑑査者は、メトトレキサート錠が連日処方されていることを医師に疑義照会したが、「退院が近いため、こちらで調整するのでそのまま出してほしい」と言われ、2日分を払い出した。医師が電話対応時に忙しい様子であったため、それ以上の確認をしなかった。また、このやり取りの詳細が看護師に伝わっておらず、患者は2日間連日でメトトレキサート錠を内服した。その後、患者は○月25日に退院となった。この時、30日分の退院処方が出され、メトトレキサート錠も30日分処方された。前回の調剤者・鑑査者とは別の薬剤師が気付き、医師へ疑義照会を行い、4日分に変更になった。退院処方を調剤した薬剤師は、投与日数は確認したが、週1回の内服指示がないことに気付かず、調剤を行った。鑑査した薬剤師は、前回の処方時に疑義照会を行った薬剤師であり、4日分に変更になっていることを確認し、払い出した。その際、何曜日に内服というコメントはなかったが、入院前から服用している薬剤であったため、間違えないだろうと思い込み、確認をしなかった。患者は入院中2日間と退院後4日間の計6日間連続してメトトレキサート錠を内服し、○月30日、汎血球減少、口内炎、感染症にて入院となった。
・患者は関節リウマチで抗リウマチ剤を内服していたが、今回は循環器内科に入院し、医師、看護師の疾患、薬剤に関しての知識不足があった。・薬剤師が疑義照会をしているが、効果的に機能せず、初めの2日分の処方では、医師からのそのままでいいとの返答を受け、修正をしていなかった。・疑義照会のやり取りが看護師に伝わっておらず、コミュニケーション不足もあった。・退院処方は、疑義照会により処方日数の30日分を4日分に変更したが、週1回や内服する曜日のコメントは追加されなかった。・退院処方を患者に渡した看護師は、薬のことは理解し、説明しているが、患者の理解が不良でも追加の説明(薬袋や薬に内服日を記入するなど)は行わなかった。・看護師は、薬のことは知っていたが、副作用の危険性まで理解しておらず、説明の技術不足もあった。・リウマトレックスからメトトレキサート錠に変更になったことの指導を行っていなかった。・祝日や日曜日であったこと、退院日が急に決まったことで、病棟薬剤師からの指導ができなかった。・疑義照会後の再処方であったため、大丈夫だろうという思いがあり、最終確認が曖昧であった。
・医療安全対策委員会、リスクマネージャー会議にて審議した。今後は当該科医師、病棟看護師、薬剤部を交え、多職種にてRCA分析を行う予定である。<現段階での対策>・疑義照会をしたら、必要なコメントを入れる。・メトトレキサートの服用日を確認し、週1回、何曜日のコメントを入れ、薬袋に表示する。・疑義照会をしたら曖昧にせず、必ず修正する。・ハイリスク薬に対しては、「そのままで」などの曖昧な回答を受けないことを徹底する。・看護師は、患者が理解できないときは、指導方法を検討・相談する。
入院-処方(持参薬からの切り替え・退院時処方)
nan
手術翌日、他覚的屈折検査にて予定の度数より遠視が強く出た。眼内レンズの度数を再検討したところ、眼内レンズの選択時、誤ったデータが電子カルテに取り込まれていたことが分かった。患者と相談し、再手術にて眼内レンズの入れ替えを行うこととなった。
・検査機器が電子カルテと連動していないため、人為的な間違いが起こる可能性が高かった。・眼科外来受診患者の8~9割程度に検査を実施し、データの取り込みを行っている。・執刀医は電子カルテに記載された検査データを利用して眼内レンズを選択した。
・検査機器が電子カルテと連動していないため人為的ミスが起こる可能性は高いが、現時点では以下の3点を対策に挙げ再発防止に努める。1)検査台紙が複数枚になる場合、2枚目以降は氏名の記載がない白紙にデータを貼っている。データには患者IDが記載されているが文字が小さく読みづらい。今後は2枚目以降の台紙に氏名を明記する。2)医師事務作業補助者はスキャン取り込み時、2枚目以降についても患者IDに間違いがないことを確認する。3)医師は検査データの確認及び、術眼と僚眼(健側眼)の比較をして眼内レンズを選択する。
検査値の誤入力
nan
手術翌日の診察時に、術眼の屈折値が予側値から大幅にずれていた。原因を精査したところ、約2ヶ月前に実施した検査結果として、他患者のデータがカルテに取り込まれていた。誤ったデータをもとに度数の計算が行われ、想定していた度数より術後近視が残存した。手術2日後に眼内レンズ交換のための再手術を施行した。
・外来検査室では、IOLマスター(光学式眼内寸法測定装置)の検査データを順次手動でNAVIS−AZU(医療情報システム)へ転送するシステムとなっている。・今回は検査施行後にタイムリーに転送せずに、時間が経過した後に検査データをNAVIS−AZUへ転送した。・IOLマスターで患者を選択した時に、ほぼ同時刻に検査をした一件前の患者のデータを電子カルテへ転送した。
・現時点でシステムを早急に変更することは困難であるため、診療科内で次の取り組みを開始する。1)担当医はNAVIS−AZUへ取り込まれているIOLマスターの検査データの患者氏名を確認する。2)電子カルテ内に取り込まれた検査データに相違が無ければ、「IOLマスター本人のものと同一であることを確認した」とカルテに記載する。
他患者の検査値の入力・転送
nan
患者は1例目の手術であった。外回り看護師Aは、1例目と3例目の患者のコスト伝票を一つの板に挟んでいた。外回り業務を看護師Bに交代した際、看護師Bは3例目の患者のコスト伝票を受け取った。眼内レンズは本日手術予定の3名分が一つの袋に入れてあり、手術室内に置いてあった。手術中、コスト伝票を見て、器械出し看護師と患者氏名・レンズ内容を指差し声出し確認を行い、眼内レンズを袋から出した。手術後、申し送りでカルテの名前とコスト伝票が違うことに気付き、レンズの誤挿入が判明した。
・当該患者以外の伝票・レンズが手術室内にあった。・申し送り時に、電子カルテ・ネームバンド・患者氏名等を確認しなかった。・看護師は、医師とダブルチェックを実施しなかった。
・患者確認は電子カルテ・ネームバンドで行う。・他の患者の伝票・レンズを手術室に持ち込まない。・看護師は、医師と指差し声出し確認してからレンズを清潔野に出す。
他患者の眼内レンズ
nan
両眼の白内障のため超音波乳化吸引術、眼内レンズ挿入術を施行した。手術当日、両眼の眼内レンズが眼科の医局から手術部に持ち込まれた。メーカーの異なる2種類のレンズが左右それぞれに準備された(第1選択レンズと第2選択レンズがあった)。右眼から手術を開始した。手術中、医師は看護師Aに「レンズを下さい」と言った際、看護師Aは2種類あるメーカーのどちらを出せば良いか医師に口頭で確認した。種類(メーカー名)を確認し、看護師Aは右眼の手術を行っている事は理解していたが、左眼用のレンズを手に取った。右眼用のレンズと思い込んだまま、レンズの種類(メーカー名)・サイズ・期限を医師に口頭で確認して術野に出した。医師はレンズを受け取り挿入した。その後、左眼の手術に移り、医師がレンズを求めた。その際、看護師Aは器材を取りに出ており、手術室にいた看護師Bがレンズを出そうとしたところ、左眼用のレンズの箱が既に開いていることに気付いた。看護師Aに確認し、右眼に左眼用のレンズが挿入されたことが判明した。
・両眼の手術を同時に行う件数が増えていたが、眼内レンズの確認手順は片眼の手術時と同じであった。・左右の眼内レンズを並べて準備していたことで、左右を取り違えた。・左右を取り違えるリスクに対する手順が定まっていなかった。・医師、看護師間の眼内レンズの確認が口頭のみで実施され、レンズのオーダと照合して確認するような具体的な手順が決まっていなかった。
・左右の眼内レンズを並べて準備しない、置き場所を定める、左右の確認方法の手順等、医師・看護師で具体的なルールを定め共通認識を図る。・上記手順は医療安全管理部とともに手術部、診療科でカンファレンスを開催し検討する。・左右の誤認に関する事例発生として院内に周知した。
左右間違い
nan
患者は慢性心不全に伴う血栓予防のため、循環器内科でワーファリン錠を継続処方されていた。口腔外科を受診した際、併用禁忌であるオラビ錠口腔用50mgが処方された。その後、ワーファリンの血中濃度が上昇し、下腿の紫斑およびPT-INRの過延長を認め、緊急入院となった。
・オラビ錠口腔用50mgの処方時、ワーファリン錠はシステムの日数計算上は前日で内服終了とみなされ、相互作用チェックシステムが機能しなかった。・同日、循環器内科外来でワーファリン錠が処方された際、併用禁忌のエラーメッセージが表示されたが、普段の診療でエラーメッセージに慣れてしまっていたことが考えられる。・保険薬局からの疑義照会が行われなかった。
・他診療科の処方内容の把握に努める。・併用禁忌のエラーメッセージに適切に対応するように注意喚起する。
ワーファリン錠を内服中の患者に併用禁忌であるオラビ錠口腔用50mgを処方した事例
nan
患者Aの輸液交換時、リストバンドが布団の中に入っていたため、手入力で患者IDを入力し、バーコード認証を実施した。認証後、隣の患者Bの輸液速度が気になり、認証後の患者Aの輸液をトレイに戻して、患者Bのベッドサイドに行った。先に患者Bの輸液を交換することにした際、バーコード認証を実施せず、同じ薬剤であった患者Aの輸液を患者Bに投与した。その後、患者Bの輸液を患者Aに投与した。勤務終了まで輸液の投与状況の確認をしておらず、次の勤務帯になり輸液を取り違えたことが判明した。
・夜間でもリストバンドでのバーコード認証を徹底しているが、患者IDを手入力した。・業務中断後、患者確認を最初から行わなかった。・1患者1トレイになっていたが、実施する患者以外のトレイもワゴンの上に並べていた。・患者の名字が似ていた。・同時刻に薬剤を更新する患者3名を受け持っていた。
・個別指導及び部署内で手順の確認・周知を行う。・看護師長連絡会にて周知する。
患者確認を手順通りに行わず、患者Aと患者Bの輸液を取り違えた事例
nan
患児は13時30分に脳波・ABRの検査の予定であった。11時20分頃、担当看護師が酸素ボンベの残量を確認し、ベッドサイドに準備した。検査まで時間があるため、酸素ボンベのバルブを閉めた。12時30分にトリクロリールシロップの内服で鎮静した。酸素0.25L/分を投与中であったため、酸素ボンベに切り替えて検査室に移動した。13時30分、検査室に到着後、SpOが92~94%で変動するた2め、同行した看護師が酸素ボンベの酸素流量を1L/分にした。14時過ぎ、患児が入眠し、SpOが97%以上を維持し変動2しなくなったことを確認して、担当看護師は病棟へ戻った。15時頃、検査室からSpOが低下していると連絡があった。看護2師は検査室で臨床検査技師から酸素ボンベの残量がないと言われため確認すると、酸素ボンベのバルブが開栓されていないことに気が付いた。約1時間30分の間、酸素が投与されていなかった。
・必要物品等はペアの看護師とダブルチェックしたが、酸素ボンベに切り替えた時にダブルチェックや指差し確認をしなかった。・酸素流量計にニップルコネクターを装着し、アクアパックを使用していなかったため、酸素が出ていないことに気が付かなかった。・母親へのオリエンテーションがあり、検査時間が迫り焦っていた。・SpOの変動は鎮静の影響であると2判断し、アセスメントが確実にできていなかった。・他の患児も受け持っており、多忙であった。・患児の病態や低酸素状態による合併症などの知識が不足していた。・担当看護師は、酸素を使用した患児の検査は経験済みであったため、検査への同行をPNSのペアの看護師ではなく、他のスタッフへ依頼した。
・酸素ボンベを使用する際は酸素チューブをたどり、指差し確認、ダブルチェックをする。・検査がある時は、スケジュールを見直す。・検査中は担当看護師が付き添い、状態が変化した時にはすぐに対応できるようにする。・患児の状態が変化した時の観察力、分析力、アセスメント力を強化する。・患児の状態が変化した時や判断に迷った時はペアの看護師や他のスタッフに相談する。・患児の病態等についての知識を深め、酸素の必要性を認識する。・多忙な時には他スタッフに仕事を依頼する。
酸素ボンベを使用した際、バルブが未開栓であった事例
nan
大動脈弁狭窄症に対して大動脈弁置換術・上行大動脈置換術を施行した。器械出し看護師A(1年目)と外回り看護師C(1年目)はトレーニング中であり、それぞれ看護師B(10年目)と看護師D(5年目)が指導を行っていた。「右心耳、左心耳」は研究用検体として保冷庫での保管予定であった。「大動脈弁、大動脈壁」は病理検査部へ提出予定であった。手術中に「右心耳」、「左心耳」、「大動脈弁」、「大動脈壁」の4つの検体が摘出された。看護師Bが蓋付き容器に移し入れる際、検体名を記載しなかった。看護師Aは容器に検体名を記載せず、「右心耳」、「左心耳」として2つの検体を外回り看護師に手渡したが、実際は「右心耳」と「大動脈弁」を渡していた。この検体は研究室に届けられた。「左心耳」と「大動脈壁」はホルマリン容器に入れ「大動脈弁」、「大動脈壁」として病理検査室に提出された。後日、臨床検査技師が「大動脈弁」として提出された検体の形状が違っていることに気付き、検体の提出間違いが判明した。
・器械出し看護師、外回り看護師ともにトレーニング中であったが、検体処理をする場面で指導者が現場を離れていた。・ルールを逸脱し、検体を容器に入れる際に、タイムリーに検体名を記載していなかった。・心臓外科手術では、検体が摘出された際に、検体名をすぐに書けない現状があった。・心臓血管外科手術のマニュアルには検体の取り扱いについて記載が無く、指導されていなかった。
・マニュアル及び教育体制の整備を行う。
検体容器に検体名を記載せず、別の検体を病理検査に提出した事例
nan
ブドウ糖注射液5%250mL+サンドスタチン300μgの合計253mLを輸液ポンプ(TE-161S)を使用して24時間持続で投与していた。12:45に看護師は薬剤を交換した際、10.5mL/hで設定しようと思っていたが、誤って105mL/hに設定した。ダブルチェックをした確認者も誤りに気付かなかった。昼休憩の時間になり、15分後のチェックを依頼することになっていたが、依頼を忘れた。15:30に患者からナースコールがあった。訪室すると、輸液ポンプのアラームが鳴っており流量設定の間違いに気付いた。
・交換時ではなく、交換後にダブルチェックを依頼した。・本来2人で確認することになっているダブルチェックが形骸化していた。・15分後のチェックの依頼を忘れた。・使用していたポンプが小数点以下の設定が出来ないことを知らなかった。
・輸液ポンプの開始時は、必ず2人の看護師がベッドサイドで確認することを病棟で徹底する。・15分後のチェックを必ず行う。・院内には、小数点以下が入らないTE-161Sと、小数点以下が入るTE-171の2種類の輸液ポンプがあることを再周知した。・今後、小数点以下は設定できない機種1種類に統一する予定としている。
桁を誤って入力した事例
<事例のイメージ><参考>誤って105(mL/h)と入力した画面病院内で使用されている別の機種の輸液ポンプ105(mL/h)と入力した画面10.5(mL/h)と入力した画面※テルフュージョン輸液ポンプTE-161S※テルフュージョン輸液ポンプTE-171
輸液ポンプ
CVポートから高カロリー輸液のエルネオパNF2号輸液1000mL2本を0時~12時と12時~0時で投与していた。12時、受け持ち看護師が休憩で不在のため他看護師が輸液を更新した。その際、輸液ポンプの流量を83.0mL/hとすべきところ、誤って830mL/hと設定した。受け持ち看護師は流量が誤っていることに気付かなかった。1時間後に輸液ポンプのアラームが鳴り、訪室した看護師が流量設定の間違いに気付いた。1時間で830mL投与され、血糖コントロールの不良をきたした。
・4ヶ月前から輸液ポンプの機種が変更になっていた。変更前:テルフュージョン輸液ポンプTE-161S変更後:テルフュージョン輸液ポンプLM型TE-LM800A・輸液ポンプの流量の表示形式が従来と異なり小数点以下2桁表示となっていることを認識しておらず見間違えた。・院内手順の基本に則った輸液開始前後の確認ができていなかった。・休憩交替時の連携が不足していた。
・手順に基づいた業務の実施を徹底する。・輸液ポンプの使用方法について再教育を行う。・休憩交替前後のスタッフ間の連携、患者の状態の確認を徹底する。
桁を誤って入力した事例
<事例のイメージ><参考><参考>誤って830(mL/h)と正しく83.0(mL/h)変更前に使用していた輸液ポンプ入力した画面と入力した画面※テルフュージョン輸液ポンプLM型TE-LM800A※テルフュージョン輸液ポンプTE-161S
輸液ポンプ
シンビット静注用4V+生理食塩液50mLを0時〜12時で投与を予定していた。担当看護師は点滴接続時に投与速度を電卓で計算して4.1mL/hであることを確認した。患者認証後、末梢ルート挿入部の確認等を行い、ダブルチェックを依頼した。シリンジポンプ(TE-SS702N)の流量の設定時に4.1mL/hではなく、41mL/hにしてしまった。一瞬疑問を抱いたが再度確認せず間違いに気が付かなかった。ダブルチェック者は他患者のアラームが鳴っていたため、シリンジポンプの前まで行かず通路から液晶画面を見た。4と1の数字は確認できたが、小数点は見えなかった。声出し確認はしたが、指差し確認はしなかった。30分後にアラームが鳴り訪室すると点滴は終了していた。
・流量を4.1mL/hで設定することを確認したが、設定時に失念して41mL/hにしてしまった。・設定時に一瞬疑問を抱いたが確認をしなかった。・ダブルチェック者は多忙であり、数値だけを確認し、小数点が見えなくても41はあり得ないため小数点があると思い込んだ。
・シリンジポンプの前で声出し指差し確認し、小数点は必ず確認する。・多忙であっても点滴交換時は集中できるように十分な時間をとる。・ダブルチェック者は、間違っていることがあるという前提で確認する。
桁を誤って入力した事例
<事例のイメージ><参考>誤って41(mL/h)と入力した画面正しく4.1(mL/h)と入力した画面※テルフュージョンシリンジポンプSS型TE-SS702N
シリンジポンプ
5%ブドウ糖注射液500mL+リトドリン2Aを輸液ポンプを使用して15mL/hで投与中であった。5時に閉塞アラームが鳴ったため訪室した。看護師はルートをクランプ後、停止・消音スイッチを押して輸液ポンプのドアを開けた。逆血、点滴漏れを確認し、特に問題がなかったため、ルートをセットし直してドアを閉めて開始スイッチを押した。7時30分の配膳時、他の看護師がポンプの流量が115mL/hになっていることを発見した。2時間30分、115mL/hで滴下していた。流量を15mL/hにして医師に報告した。患者に自覚症状はなかったが、脈拍は通常70~80回/分のところ、一時的に100台になった。
・勤務の交替時は、開始時に必ず流量・残量を確認して記録している。しかし、アラームの対応をした時のチェックの決まりはなく、流量確認の記載はしていなかった。・輸液ポンプを使用する患者は平均5~6名おり、流量変更の指示があるときは、ダブルチェックをしているが、アラームの対応に関しては、シングルチェックになっている。・通常通りの操作をした認識のため、確認をしたつもりで、指差し呼称は行っていない。・左手で輸液ポンプを支えて操作を行った際に流量の100の位を誤って押したと思われる。・アラームの対応時、停止スイッチを押し、流量の変更が可能な状態になっていた。・発生時間が5時前であり、身体的疲労からの注意力の低下が考えられる。
・ポンプ操作時のチェック表を作成する。・輸液ポンプ、シリンジポンプにチェック表を添付し、ポンプを操作した時には必ず流量を記載するようにした。定時のチェック時にも記載する。・ポンプ操作時には、指差し呼称を徹底する。
100の位に誤って入力した事例
nan
輸液ポンプ
遺残胎盤摘出術のため、子宮鏡を行った。術前に執刀医は膀胱留置カテーテルを指差しながら「術中ここから生理食塩液を入れるから」と外回り看護師に説明した。外回り看護師は、執刀医が指を差した箇所は固定水を注入する箇所だと認識した。手術時、執刀医から「生食を200mL入れて欲しい」と指示があった。外回り看護師は30mLシリンジを用いて、生理食塩液を注入した。50mL程度注入した時点で、膀胱内でバルーンが破裂した。膀胱内にゴム片が残存したため、泌尿器科医師が膀胱内異物除去を行った。
・この術式を行う際は、膀胱損傷の有・医師は、具体的に説明を無を確認するため、膀胱内に生理食行う。塩液を注入し、リークがないか確認・看護師は、疑問に感じたしている。場合は、その都度確認す・医師は、挿入した膀胱留置カテーテる。ルから、膀胱内に生理食塩液を注入するつもりであった。・医師は、術前に膀胱留置カテーテルの箇所を指で差しながら、ここから生理食塩液を注入すると外回り看護師へ説明した。・医師は指差しで説明をしており、具体的な注入箇所を明示しなかった。・外回り看護師は、カテーテルではなく、固定水を注入する箇所から注入すると認識した。・外回り看護師は初めて経験する処置であった。・外回り看護師は、固定水を注入する箇所から生理食塩液を注入するのはおかしいと疑問に思ったが、確認しなかった。・当該術式のマニュアルには膀胱内に生理食塩液を注入する手技について記載がなかった。
・医師は、具体的に説明を行う。・看護師は、疑問に感じた場合は、その都度確認する。
nan
<参考>事例に関連した膀胱留置カテーテルのイメージ
膀胱留置カテーテル
患者は下血し、フレキシシールが長期留置になっていたため、医師は抜去を指示した。看護師が抜去する際、固定水が最大45mLまでのところ100mL入っているのを発見し医師へ報告した。フレキシシール抜去前のHbは8.0〜9.0g/dLで推移しており、下血直後14時のHbは8.4g/dLであった。腸管粘膜の潰瘍、壊死も考えられるため、経管栄養を中止した。同日19時にはHb6.9g/dLまで低下したため、輸血を行い、経過観察となった。2日後、内視鏡にて肛門7時の方向に潰瘍が形成されていたが出血は認めなかったため経過観察となった。
・フレキシシールの閉塞予防のため各勤務で洗浄を行っていたが、イリゲーション/薬液注入ポートではなくバルーン膨張ポートに洗浄水を注入していた可能性がある。・フレキシシールの挿入、管理についての知識不足があった。
・フレキシシールの管理について勉強会を実施する。・フレキシシールの管理について手順を作成し、スタッフ全員に周知する。・固定水の注入口と洗浄水の注入口を間違えないよう、固定水の注入口にキャップをつける、テープで塞ぐなど、通常使用できないようにする。
nan
<参考>事例に関連した直腸用チューブのイメージ
直腸用チューブ
患者は、癒着性イレウスのためイレウスチューブが挿入された。挿入後、ドレーンバッグを接続し病棟に帰室した。その後、間欠的持続吸引の指示(30秒吸引30秒休止−15cmHO)が出たため、イレウス2チューブの吸引口からドレーンバッグを外し、止め栓を付けた。イレウスチューブのエアーベント口にメラアクアシールDバッグのド2レーンポートを接続し、間欠的持続吸引を開始した。イレウスチューブの位置確認等のため、検査室で処置を行う際に誤りに気付いた。
・間欠的持続吸引の設定を2名で確認したが、接続間違いには気付かなかった。・看護師は、イレウスチューブの間欠的持続吸引の処置は初めてであった。・抵抗なく接続できた。
・イレウスチューブ及び間欠的持続吸引の手順書・プロトコールを遵守する。・イレウスチューブ及び間欠的持続吸引の手順書・プロトコールに基づく教育を行う。・看護部の会議で周知する。
nan
<参考>事例に関連したイレウスチューブのイメージ
腸管用チューブ(イレウスチューブ)
内視鏡室で胃瘻交換後、排液バッグを接続してHCUへ帰室した。その後、胃瘻の挿入部の長さと固定を確認し、経管栄養を投与した。翌日、胃瘻の栄養注入口に排液バッグが接続されていることを発見した。
・排液バッグを接続する際、「胃減圧口」ではなく、「栄養注入口」に誤って接続した。・排液バッグが接続された状態で病棟に帰室した後、空いていた「胃減圧口」に経管栄養をつなげた。・経管栄養をつなげるときに「栄養注入口」の表示を確認しなかった。
・チューブを接続する際は、接続口を確実に確認する。
nan
<参考>事例に関連した胃瘻栄養用チューブのイメージ
胃瘻栄養用チューブ
胸腹部造影CT検査を施行する際に、挿入されていたパワーPICC(末梢静脈挿入式中心静脈用カテーテル)のトリプルルーメンカテーテルの高圧注入不可のルートから造影剤を注入した。ルートが圧に耐え切れず離断し、造影剤が血管外に漏出した。
・当院では造影剤高圧注入可能型・末梢静脈挿入式中心静脈用カテーテルは、シングル、ダブル、トリプルの3種類を採用している。シングル、ダブルはすべてのルートが高圧注入可だが、トリプルは1本のルートのみが高圧注入可でそれ以外は高圧注入不可となっている。・トリプルの各ルートは、高圧注入可と不可の判別がしにくい表示(海外製品であり英字による表示)であった。・当事者はシングル、ダブルの使用に慣れていたため、トリプルの使用時に確認をせず、適切なルートの選択ができなかった。・高圧注入可のルートには昇圧剤が接続されポンプで投与されていたため、造影剤の接続ができない状態だった。・患者は気管切開され人工呼吸管理中であったため、注入の指示をした医師と接続をした看護師、準備をした診療放射線技師の注意が分散していた。
・パワーPICCのトリプルルーメンカテーテル使用時の注意事項を再周知する。・造影前チェックにて本品の使用状況を確認する。
nan
<参考>事例に関連したPICCのイメージ
末梢静脈挿入式中心静脈用カテーテル(PICC)
医師は、他院の診療情報提供書に「炭酸リチウム600mg2×」と記載されていたのを、600mgの2倍と解釈し、1200mg/日を処方した。患者に10日間投与後、血中濃度検査でリチウム濃度3.3mEq/Lと中毒域であることを確認した。その後、緊急透析を行うことになった。
・医師は、電子カルテに薬剤師から持参薬報告の記載があったが、参照しなかった。・持参薬報告を入力した薬剤師は、院内処方の誤りに気付かなかった。
・持参薬報告や処方提案があった場合には、内容を確認するよう各種会議等で医師に周知する。・医師が記録に気付きやすいような記載の仕方などを、システムを管理する部署と検討する予定である。
薬剤量間違い
・診療情報提供書の「2×」の記載は誤解を生みやすいため、「1日600mg1日2回朝夕食後」のように一回量と回数を表記する方法で記載すべきであろう。診療情報提供書の処方内容の記載方法が統一されることが望まれる。・医師は、持参薬から切り替えて処方する際には必ず持参薬鑑別書を確認することを徹底すべきである。・委員の所属する医療機関では、薬剤師の初回面談や持参薬のカルテの記載方法を院内で統一しており、一目で確認しやすくしている。医師は薬剤師がカルテに記載した内容を見ることは当然であるが、薬剤師も医師が見やすいように書くことも一つの対策であろう。・持参薬から院内処方に切り替えた際は、薬剤師が処方内容の確認ができるとよい。・炭酸リチウムは、血中濃度モニタリングが推奨されるため、血中濃度をチェックすることで早期に発見できる可能性がある。
持参薬と同じ規格の薬剤が採用されていた:用量間違い
他院からクエチアピン25mg3錠分3の処方されていた患者は、乳がんの加療目的で当院に入院となった。入院当日、薬剤師は持参薬を鑑別した。当院ではクエチアピン25mgは採用しておらず、代替薬を「成分量違い・剤形一致」としてセロクエル100mg錠の0.25錠に相当すると持参薬鑑別書に入力した。医師は持参薬から院内採用の代替薬に切り替える際、セロクエル100mg錠を3錠分3で処方した。翌日、薬剤部からセロクエル100mg錠が払い出され、看護師は処方通りに配薬した。患者はセロクエル100mg錠を朝・昼食後に服用したところ、傾眠となった。夕方、看護師が持参薬鑑別書の記載を見て、4倍量の処方に気付いた。患者に麻痺などはなく、CTでも頭蓋内病変はなかった。夜間、薬剤性傾眠のため無呼吸や酸素化の低下、低血圧となった。
・当院では、薬剤師が患者から持参薬を預かり、持参薬鑑別書を病院情報管理システムに登録する。その後、医師は持参薬オーダ画面より個々の薬剤について継続・中止の指示を入力する。・持参薬鑑別書には、「持参薬:クエチアピン錠25mg「サンド」抗精神病薬、代替薬:【成分量違い・剤形一致】セロクエル100mg錠クエチアピン錠25mgの1錠はセロクエル100mg錠の0.25錠に相当します」と記載されていた。・当院では持参薬を院内処方へ切り替える場合、代替薬があるものは選択して指示することができ、医師が院内処方時に代替薬を選択すると処方オーダ画面に展開される仕組みとなっている。その際、薬剤の規格の確認が不足した。・医師が院内処方した際、添付文書に記載された上限以上の用量であった場合のみ、薬剤師が持参薬鑑別書の内容と確認している。・患者は傾眠傾向であったが、治療のためロラゼパムも服用しており、セロクエルが過量投与されていることに気付きにくかった。
・持参薬の数が多くても、ひとつひとつ規格を確認して院内処方に切り替える。・電子カルテの操作時、連続でEnterを押すとリスト上部の規格のものが勝手に選択されてしまうことがあるため、確認が必要である。・持参薬から院内処方へ切り替える際は、持参薬鑑別書と処方内容を照らし合わせ、変更の有無を確認し患者へ投与する。・薬剤が院内処方され、薬剤部から払い出された後、病棟看護師が開始日や内容を確認する。
薬剤量間違い
・持参薬鑑別書には代替薬の規格が違うことが記載されているにもかかわらず、医師が処方時に確認できていないことは残念である。・代替薬を選択すると処方オーダ画面に展開される仕組みは非常に便利であるが、そのために医師がシステムを過信し、薬剤師が作成した持参薬鑑別書をよく見ずに処方することが誘発された事例であろう。・代替薬を選択すると処方オーダ画面に展開される仕組みが、院内採用薬に合わせた用量で展開できる(この場合セロクエル100mg錠0.25錠)とよいが、現状ではなかなか難しい。・セロクエル錠の処方量は、添付文書上の上限の範疇ではあるが、精神科ではない患者への処方量としては多いと思われるため、薬剤師が調剤時に履歴を確認するなどの行動がとれれば誤りに気付いた可能性がある。しかし、向精神薬は、患者の状態によって投与量の幅が広いため、患者の状態を知らないとその量が適切かどうかわかりにくく、薬剤師は疑義照会をしにくい可能性もある。・傾眠となった患者の状態から、看護師が持参薬鑑別書を確認する行動がとれ、4倍量で処方されていることに気付くことができたのはよかった。
持参薬とは規格が違う薬剤(後発医薬品を含む)が採用されていた:用量間違い
救急科に緊急入院した患者に対し、医師が前医より継続中の持参薬を処方する際、「ビーマス配合錠2錠1日2回朝、夕」(緩下剤)が含まれていたが、院内未採用であったため、薬剤部に電話で照会した。薬剤師は、リーマス錠(躁病治療剤/院内未採用)と誤って認識し、院内採用薬である炭酸リチウム錠が代替薬であると伝えた。医師はこの情報を基に炭酸リチウム錠を処方し、内服開始となった。緊急入院から3日後、患者は病棟に転科となった。病棟担当医は救急科から処方されていた薬剤を継続する際にDo処方し、処方されている薬剤の内容を確認しなかったため、炭酸リチウム錠が含まれていることに気付かなかった。その後、症状が軽快したため退院となったが、患者は退院時に処方された炭酸リチウム錠を継続して服用した。退院2日後、意識レベルの低下を認め、再度緊急入院となった。意識障害の原因が特定できないため神経内科にコンサルトしたところ、躁病の既往がないのに炭酸リチウム錠が処方されており、リチウム中毒の可能性を指摘された。
・予定入院の患者の持参薬は病棟薬剤師が確認しているが、今回は救急科への緊急入院であったため、薬剤師は持参薬の確認を行っていなかった。・持参薬を院内処方した医師は、救急科の後期研修医で、患者の持参薬は前医の診療情報提供書で把握した。・医師はビーマス配合錠が緩下剤であることは知っていた。・薬剤師にビーマス配合錠の代替となる院内採用薬を尋ねた際、「ビーマス」のみ伝え、「ビーマス配合錠」と伝えなかった。・医師は、薬剤師から院内採用薬として回答のあった炭酸リチウム錠の薬効を知らないまま処方した。リーマス錠と回答があれば躁病治療剤だと分かったが、院内では採用されていなかった。・抗癌剤や麻薬などの院内で決められた薬剤については、研修医には処方制限があったが、今回処方した薬剤は処方制限のない薬剤であり、上級医による処方の確認はなかった。・薬剤に関する問合せは薬剤部のDI室に連絡して確認することになっていたが、医師は、夕方の勤務交代などで忙しい時間帯に調剤室にビーマス配合錠の院内採用薬を問合せた。・薬剤師は、医師が処方した炭酸リチウム錠に疑義が生じず、薬剤を払い出した。・当院では、処方と連動して血中濃度のモニタリングが必要な薬剤についてアラート等が表示される仕組みはなく、入院中、炭酸リチウムの血中濃度を測ることはなかった。
・医師はやむを得ず口頭で照会する場合は、薬剤名を正確に伝達できるよう一般名などは名称の最後まで呼称する、または識別コードや薬効などを伝える。・主科に係らない疾患に対する薬剤を処方する際は十分に注意する。・研修医には、効能などが分からない薬剤を処方せず、調べたり聞いたりしてから処方することを伝えた。・救急科医師からの希望があれば、緊急入院した患者の持参薬を薬剤師がチェックすることにした。・リスクマネージャー会議で、警鐘事例として報告し各部署への周知徹底を依頼した。
薬剤間違い
・電話での照会は、聞き間違いの可能性が高くなるため、カルテを見ながら確認できればよい。しかし、今回の事例はカルテを見るほどの質問ではないため、聞き間違いや勘違いの可能性を認識したうえで、医師も薬剤師も互いに、正確な薬剤名を伝えることや薬効など複数の情報で確認することを心掛けてほしい。・炭酸リチウム錠は、精神科以外で新規に処方することは少ないので、処方できる診療科の制限がかけられるとよいだろう。・知らない薬剤の場合は、医師は処方前、看護師は投与前に、必ず添付文書等を確認する習慣を持つことは重要である。・緊急入院の場合、薬剤師による持参薬の確認がリアルタイムに出来ないことは仕方ないが、病棟薬剤師がいるのであれば、血中濃度のモニタリングが推奨される薬剤であることを伝えるなど、薬剤師より何らかのアラートを出す仕組みがあるとよかった。・持参薬から院内処方に切り替えた場合には、調剤時に薬剤師が持参薬と処方内容をチェックする体制があるとよい。
名称類似薬の処方
入院時、担当医は持参薬のエクセラーゼ配合錠を院内処方に切り替える際、電子カルテに「エクセ」と3文字を入力して検索した。その際、当院採用薬にエクセラーゼ配合錠はなく、エクセグラン錠(抗てんかん薬)の後発医薬品であるゾニサミド錠のみが候補薬として表示されたため、処方した。担当医はゾニサミド錠が抗てんかん薬であることは知っていたが、エクセラーゼ配合錠が消化酵素剤であることを知らず抗てんかん薬と思い込み、ゾニサミド錠の処方を疑問に思わなかった。緩和ケア病棟への転棟時に、緩和医療科医師が患者にてんかんの既往がないことに気が付き、内服を中止した。患者は、ゾニサミド錠を25日間内服していた。
・担当医は、エクセラーゼ配合錠の薬剤情報(DI)を調べず、消化酵素剤であることを知らなかった。・担当医が処方する際、電子カルテで「エクセ」と入力したところ、エクセグラン錠(抗てんかん薬)の後発医薬品であるゾニサミド錠が候補として表示された。用法・用量が同じであったため、ゾニサミド錠がエクセラーゼ配合錠の同効薬だと思い込み、処方した。・当院では、平日の予定入院患者を対象に入院持参薬コーナーで持参薬の鑑別を行っている。入院持参薬コーナーでは薬剤師による面談後、持参薬鑑別報告書が発行され、その後、持参薬鑑別報告書と持参薬は病棟に搬送される。・入院持参薬コーナーの対象外の患者の持参薬の鑑別は、入院先の病棟看護師が対応している。・当該患者は緊急入院であり、入院持参薬コーナーの対象ではないため、持参薬鑑別報告書は発行されず、病棟看護師が持参薬を鑑別し、病棟薬剤師は鑑別を担当していなかった。
・本事例を院内に周知し、医師は処方時に知らない薬があれば、薬剤情報(DI)を確認することを徹底する。・薬剤検索システム(3文字検索)の検索方法について検討を行い、4文字検索を導入する方向で準備中である。
薬剤間違い
・3文字検索での薬剤間違いの事例は比較的多く報告されている印象があり、注意が必要である。・3文字検索で薬剤を検索すると同効薬以外の薬剤も候補の薬剤として表示されるシステムであり、間違いが起こる要因となっている。改善策に4文字検索の導入が記載されているが、4文字検索はある程度有効であるものの完全ではない。検索時の薬剤の表示方法を「(抗てんかん薬)ゾニサミド」のように、薬剤名に薬効を追加して表示するシステムなど、施設の状況に合わせて有効な対策を検討できるとよい。・No.3の事例と同様に、医師は、知らない薬剤を処方する前に、必ず添付文書等で確認する習慣を持つことは重要である。また、抗てんかん薬等の特殊な薬剤は、病名が入力されていないと処方できないような仕組みがあるとよい。・患者は緊急入院であったため、病棟の看護師が持参薬を確認しているが、適切な代替薬を提案するのは難しい。病棟薬剤師がいるのであれば、緊急入院などで入院持参薬コーナーでの薬剤師による確認の対象外となった患者の場合は、入院後に病棟薬剤師が持参薬を鑑別するようなシステムがあるとよいのではないか。
名称類似薬の処方
患者は、COPDの悪化で緊急入院した。当直医は、主治医が決定してから持参薬を続行するか確認するように、看護師に指示した。入院時の当直医の記録には利尿剤の記載はなかった。翌日、主治医が決定したが持参薬に関する指示はなかった。また、薬剤部の鑑別書には利尿剤が記載されていたが、主治医は持参薬に利尿剤が含まれていることに気付かず、指示していなかった。2日後の眠前より呼吸苦が出現し、心不全の増悪と診断され、フロセミド注を投与した。その後は利尿良好となり心不全も改善傾向となった。
・休日(日曜日)の入院で主治医がおらず内服確認ができなかった。・入院時に担当した医師が服薬中止を伝えていたため、確認が遅れた。・患者は、お薬手帳を2つ持参していたが、1つだけと思い込んでしまった。・休日のため病棟薬剤師が関われなかった。
・持参薬の確認不足が原因であり、特に休日は薬剤師の確認がないことを踏まえて確認する。
投与を継続する持参薬の処方・指示の漏れ
・患者は複数のお薬手帳を持っていることもあり、お薬手帳の情報だけでは不完全になることがある。当該医療機関で治療をしていたのであれば、外来の処方内容を見るなど、別の情報で確認することが必要であろう。・薬剤師が持参薬の鑑別を行うようになり、医師や看護師の負担が減ったが、薬剤師がいない時間帯の場合、慣れていない医師や看護師が鑑別を行うと、間違いが起きやすい可能性がある。・休日の入院の場合は、通常より情報の共有不足が起きやすいと考えられる。少なくとも週明けの月曜日に、薬剤師が持参薬を確認できれば、処方漏れに早く気付いた可能性がある。・持参薬を継続するか否かについては、当直医から主治医へなど直接医師同士が申し送りを行う体制や、情報共有のツール(サマリーを記載するなど)が必要である。
nan
患者は腹部大動脈瘤に対し手術目的で入院した。前医よりクロピドグレル錠は中止し、ヘパリン持続点滴となっていた。薬剤師が持参薬を入力後、医師は持参薬の承認を行ったが、クロピドグレル錠の中止指示を入力していなかった。翌日より3日間クロピドグレル錠が投与され、手術が延期となった。
・医師の持参薬承認時の確認が不足していた。・医師・看護師は、薬剤師の記録(持参薬確認報告)を確認していなかった。・看護師は周術期の使用に注意を要する薬剤であることに気付いたが、指示通りに投与した。
・医師は、薬剤師が入力した持参薬の内容を確認して指示する。・医師、看護師は持参薬連絡カード、薬剤師の持参薬確認報告を確認する(医療安全管理マニュアルの持参薬確認システムの運用方法の流れ)。・医療安全管理ニュースに掲載する。
持参薬の中止指示の漏れ
・外来経由の患者であれば、外来や入退院センターなどで手術前に中止する薬剤があることに事前に気付けた可能性がある。患者は前医で点滴が挿入されヘパリンが投与されており、内服薬のチェックがかからなかった可能性がある。診療情報提供書などで情報を得る、または情報提供がない場合は問い合わせるなど、患者の情報を正しく把握する必要がある。・手術目的での入院であれば、医師と看護師は周術期に中止する薬剤がないか、持参薬鑑別書をもとに確認する必要がある。また、薬剤師は周術期に中止する薬剤が中止されていないことを指摘する役割がある。・看護師は疑問があれば医師に伝える必要があり、円滑に確認するためには日頃のコミュニケーションが大切であろう。また、手術時に中止する薬剤であることに気付いた看護師が、その気付きを医療チームに発信することが、患者の安全にとって重要であることを教育しておくとよい。・委員の所属する医療機関では、手術目的で入院した場合は、医師や看護師がわかりやすいように、薬剤師が持参薬を入力する際に、コメントに手術前に休薬が必要なことなどを記載している。
nan
患者は、呼吸器内科を受診した際に肺癌が疑われ、15日後に入院し、入院翌日に気管支鏡を施行する予定であった。問診票には「抗血小板剤内服あり」に○印があったが、外来主治医は気付かず確認しなかった。入院時、薬剤師は持参薬鑑別書を作成し、タケルダ配合錠の備考欄に「アスピリン、7日間休薬が必要」と記載した。病棟担当の研修医は、持参薬鑑別書の備考欄を見落とし、持参薬鑑別書をもとに内服指示簿を作成した。研修医は、タケルダ配合錠を胃薬だと思っていた。当日15時の検査前、検査室の看護師が最終確認を行ったところ、抗血小板剤を飲んでいることを聞き、検査は中止となった。本来であれば、外来受診時に薬剤中止およびヘパリン置換のため1週間程度の入院の予定を組むべきだった。
・患者はタケルダ配合錠(有効成分:アスピリン/ランソプラゾール)や降圧剤など4剤を内服していた。全て他院で処方されたものであった。・患者の病歴を把握しておらず、タケルダ配合錠が処方されていた理由は不明である。・抗血小板剤を内服している患者に気管支鏡で生検を行う場合、1週間前に入院し、抗血小板剤を中止してヘパリン製剤に置換する必要があった。今回は、抗血小板剤を内服していることに気付かなかったため、検査の前日に入院となった。・外来の問診票には、「抗血小板剤内服あり」「血液をサラサラにする薬を飲んでいる」という項目があり、患者はチェックを付けていた。・外来担当医は、診察時に患者が記載した問診票を見たが、「抗血小板剤内服あり」、「血液をサラサラにする薬を飲んでいる」にチェックがあるのを見落とし、患者に確認しなかった。・通常であれば、患者が内服している薬剤を外来担当医が把握し、その後、外来の看護師がチェックして、患者に休薬等の説明をすることになっていたが、今回はいずれも行われなかった。・入院後、病棟薬剤師は患者から持参薬を預かり、持参薬鑑別書(紙)を作成した。その際、入院前にタケルダ配合錠を飲んでいたか否かを確認しなかった。・薬剤師は、患者が抗凝固剤や抗血小板剤を内服している場合、医師に口頭で情報提供していた。しかし、今回は医師には伝えず、看護師に「抗血小板剤を飲んでいる」と伝えた。看護師は医師と情報を共有しなかった。・タケルダ配合錠は院内採用されていなかった。・病棟担当の研修医は、タケルダ配合錠が抗血小板剤であることを知らず、持参薬鑑別書の記載を見落とし持参薬の継続指示を出した。・持参薬鑑別書を作成した病棟薬剤師は、医師の内服指示を確認していなかった。・患者に関わった病棟看護師は、タケルダ配合錠が抗血小板剤であることを知らなかった。・薬剤部は、薬剤のカラー写真付きの「抗凝固剤・抗血小板剤の一覧表」を作成し、外来や病棟に配布していた。その中には、タケルダ配合錠も記載されていた。しかし、一覧表の共有の仕方は、各外来・各病棟に任せており、患者が入院した病棟では、一覧表の共有ができておらず活用されていなかった。
・外来主治医が問診票を確認するとともに、口頭でも患者に確認する。・研修医の薬剤の知識を高める。・持参薬鑑別書を備考欄まで確認してから内服指示簿を作成する。・問診する薬剤師は中止を要する薬剤の内服歴を見つけたら、実際にいつまで内服していたか、現在も内服しているのか確認する。・持参薬鑑別書を電子化した。・病棟で抗凝固剤・抗血小板剤の休薬一覧表を活用する。
持参薬の中止指示の漏れ
・7日間休薬する薬剤は、入院時に持参薬の鑑別を行って内服していることを発見しても予定通りに検査ができないため、外来を受診した際に休薬する薬剤がないか確認する必要がある。外来での看護師の説明が抜けたことは要因の一つであるが、外来受診時の薬剤師の介入や入退院センターなど患者が内服している薬剤を把握する仕組みがあれば防げた可能性がある。・患者が記載した問診票の情報を見落としたり、薬剤師の記載した持参薬鑑別書の情報を見落したり、薬剤師が看護師へ伝えた「抗血小板剤を飲んでいる」との情報が共有されなかったりしているため、医療チームの中での情報共有の在り方を見直す必要があるだろう。・「タケルダ配合錠」は、この事例以外にも薬効を間違えた事例が報告されている。同じように薬効がわかりにくい薬として、「コンプラビン配合錠」(プラビックスとアスピリンの配合剤)もある。配合剤の処方・指示は注意が必要である。・「抗凝固剤・抗血小板剤の一覧表」が活用されていないのは残念である。活用されていない原因を調査し、現場が活用しやすい内容や運用について検討する必要がある。
nan
NICU入院中の患児に、ヘパリンNa注を100単位/kg/日で開始する予定であった。医師は、誤って100単位/kg/hで投与量を算出し、予定していた量の24倍で指示した。当院のNICUでは、注射指示はチャート(紙)運用であり、医師はチャートに手書きでヘパリンの希釈方法と流速を記載した。持続投与の薬液は薬剤師が調製しているが、ヘパリン開始指示が時間外であったため、看護師が薬液を調製して投与を開始した。2日目、ヘパリンを継続する指示がチャートに記載されていた。チャートの内容は、医師が2名で確認し、薬剤師が監査と薬液の調製を行った。この際、薬剤師はヘパリンの投与目的を医師に確認したが、投与量が過量であることに気付かなかった。患児は採血時に出血があり、胃内容物は凝血塊が混じっていたが、出生後にも認められており経過観察していた。3日目、朝の採血でAPTT>300秒と高値であり、ヘパリンを1時間中止し、流速を25%に減量して投与を再開した。21時の採血でもAPTT>300秒と高値であり、ヘパリンを中止した。臨床症状として鼻出血を認めた。4日目、朝の採血でAPTT90秒を確認し、ヘパリンを再開することにした。医師はヘパリンの組成を再計算するために投与量を算出したところ、前回のヘパリンの指示が過量であることに気付いた。1日あたりで計算するべきところ、1時間あたりで計算され、24倍量のヘパリンが投与されていたことが判明した。
・当院の注射指示は電子カルテで行われているが、NICUではチャート(紙)で運用している。・時間内は、医師がチャートを作成し、2名でダブルチェックを行う。NICU担当薬剤師は、チャートの内容を確認し、24時間持続投与する薬液を調製している。看護師は、チャートで指示を受け、投与している。・時間外は、NICU担当薬剤師が不在のため、医師がチャートで指示し、看護師が指示を受けて実施する。・臨時で追加する薬剤は、手書きでチャートに追記することが多く、1名の医師が対応することもある。・チャートはNICUにあり、投与中の注射薬を把握するためにはNICUに見に行く必要がある。・投与する薬剤は注射オーダされるが、実際の投与量が反映されない処方(例えば、1回の投与量をチャートに記載し、注射オーダでは1バイアルを処方する)が多いため、薬剤部で調剤する際の監査は機能していなかった。・調剤した薬剤師はオーダされた投与量が多い印象を持ったものの、チャートの内容の確認ができないため、チャートに正しい投与量の指示があると考えて疑義照会をしなかった。・ヘパリンの開始を記載したチャートには、ヘパリンの希釈方法と流速のみが記載されており、どのような意図で投与量を算出しているか記載されていなかった。・NICUでは腫瘍崩壊症候群の予防の目的でヘパリンを使用する症例は少なく、担当した薬剤師は投与方法の知識がなかった。また、2日目に調製を担当した薬剤師2名は、それぞれNICUへ異動して3ヶ月目と1ヶ月目であり、経験が少なかった。・2日目は医師2名でヘパリンの投与量を確認していたが、過量であることに気付かなかった。
・チャート(紙)による運用は、電子カルテ上で投与している注射薬の情報共有が難しいため、注射指示の電子カルテへの移行を検討中である。
nan
不安定狭心症による虚血症状に対してPCIが行われた。帰室後、主治医はリーダー看護師に「メイン点滴内にヘパリンを混注」と口頭指示した。オーダ画面では「ヘパリンNa静注用1mL/h5V」と指示されていた。リーダー看護師は、量が多いため主治医に確認してから実施するように担当看護師に伝えた。担当看護師は、リーダー看護師が同席する時に「ヘパリン25,000単位を残っている点滴に入れてよいか」と主治医に確認した。主治医は「それでよい」と回答したため、担当看護師はダブルチェック後、メイン点滴内に混注した。この時、メイン点滴は残400mL、40mL/hで滴下中であった。準夜看護師に引き継がれ、穿刺部位に出血が無いことを確認しながら徐々に圧迫解除が進み、20時30分に完全解除となった。2時、深夜看護師は穿刺部位に出血が無いことを確認した。2時50分、患者からのナースコールで訪室すると、左上肢の疼痛を訴え、左前腕部の腫脹、皮下出血を発見した。当直医師に報告し、ヘパリンが混注されたメイン点滴を変更した。7時50分、左上肢のCT撮影を行った。8時15分、主治医が訪室した際、メイン点滴内に混注するヘパリンは5,000単位の予定であったことが分かり、過剰投与が判明した。8時45分、出血点の検索のため左上肢の血管造影検査を実施したが、出血点は判明しなかった。その後、プロタミン硫酸塩を使用し、止血バンドの固定で止血が得られた。
・オーダ画面の指示内容「ヘパリンNa静注用1mL/h5V」と、口頭指示の内容「メイン点滴内にヘパリンを混注」が異なっていた。・オーダ入力時、ヘパリンの数量と、投与方法(点滴内への混注ではなく、シリンジポンプによる単独での持続注入)が誤っていた。・主治医は他院から赴任したばかりで当院の電子カルテでのオーダに不慣れであった。指示出し方法が未習熟であり、誤った量・投与方法をオーダ画面上に入力した。・担当看護師は、通常行っているシリンジポンプによる持続注入(1mL/h程度)とは異なる投与方法と量であると認識し、「ヘパリン25,000単位を残っている点滴に入れてよいか」と医師に口頭で確認した。しかし、通常の5倍量で危機感があると伝えられなかった。・担当看護師が医師へ口頭で確認した時、薬剤量の誤りを訂正できなかった。・院内では電子カルテを使用しているが、看護師が記載する重症看護記録は、紙の記録である。
・分からない場合や不明瞭な場合は、必ず上席者に指導を受け、正しい指示を出すように教育・指導する。・口頭での指示出し・指示受け時の注意事項について教育する。・通常とは異なる投与方法や量の場合、異なることを言葉で相手に伝えて確認する。・特に、慣れない医師の指示が通常と異なる場合には、指示受け者も3回ルールで確認する。
nan
患者は、くも膜下出血の手術後で入院していた。D-dimer20.4μg/mLに上昇し、造影CT検査で肺塞栓症を認め、ヘパリンカルシウムを1回5,000単位1日2回朝夕皮下注射で投与する方針となった。薬剤をオーダする際に旧販売名の「カプロシン」と入力すると、「ヘパリンカルシウム2万単位/0.8mL」が自動的に選択された。使用量を入力する際、単位の表示は「V」であり、使用量は1Vとなった。投与経路を「皮下注」、投与回数を「2回/日」と入力した。処方医は2万単位の製剤であることに気付かず、5,000単位の製剤と思い込み、1回2万単位1日2回朝夕(合計4万単位/日)をオーダした。調剤および最終鑑査を行った夜勤薬剤師2名は、添付文書上の最大投与量を超過していることに気付かず、病棟に払い出した。○/20夕、○/21朝・夕、○/22朝の合計4回投与した。○/22の採血でAPTT157.6秒と過延長になっていることに気が付き、ヘパリンカルシウムの中止指示を出した。○/22夜、処方医は別の医師と薬剤を確認し、過剰投与になっていたことに気が付いた。患者は皮下注射した部位に皮下出血を認め、経過観察の方針となった。○/23に脳室-腹腔シャント術を予定していたが、ヘパリンの過剰投与があったこと、感染徴候があることから手術は延期となった。
・処方医が以前勤務していた病院では、「カプロシン」と同一成分であるヘパリンカルシウム注の採用は5,000単位の製剤のみであり、当院の採用も5,000単位の製剤であると思い込んでいた。・当院では、ヘパリンCa皮下注2万単位/0.8mL「サワイ」、ヘパリンカルシウム皮下注5千単位/0.2mLシリンジ「モチダ」を採用している。・処方医は2万単位の製剤の存在を知らなかった。・ヘパリンカルシウムをオーダする際に薬剤情報は確認したが、規格の確認をしなかった。・注射オーダの薬剤検索画面から旧販売名の「カプロシン」で検索すると、ヘパリンカルシウム2万単位/0.8mLのみが自動で選択され、オーダ画面に5,000単位の製剤が表示されず、他に5,000単位の製剤があることに気付きにくかった。・2万単位の製剤はカプロシンからの名称変更品、5,000単位の製剤はカプロシンからの変更品ではないという理由から、旧販売名の「カプロシン」で検索すると2万単位の製剤のみが選択、表示される薬剤マスタの設定となっていた。・調剤および最終鑑査を行った薬剤師は、いずれも投与量の確認が不足していた。
・処方医は、製剤の規格を確認してオーダする。・調剤および最終鑑査を行う薬剤師は、投与量の確認を十分に行う。・旧販売名で検索した場合、同一成分の全ての規格が選択肢として表示されるように、薬剤マスタを見直す。・ヘパリンカルシウムの2万単位の製剤は、使用頻度が少ないことから採用の見直しを検討する。
nan
15:55、急性心筋梗塞を発症した患者にヘパリン製剤を投与するため、担当医は「ヘパリン3,000単位IV」と受け持ち看護師に口頭で指示した。受け持ち看護師は他看護師に「ヘパリン3,000単位をIVする指示を受けたのでダブルチェックをお願いします」と言い、病棟にあるヘパリンNa注5000単位/5mLを6V持ってきた。ヘパリンNa注1Vは5,000単位と理解していたが、6Vを3,000単位と思い込んでダブルチェックした。その際、バイアルの「5,000単位」の表示を見なかった。その後、受け持ち看護師はヘパリンNa注をシリンジに吸うように他看護師に依頼した。他看護師は全量吸い、受け持ち看護師に渡した。受け持ち看護師はヘパリン30,000単位を患者に急速静注した。16:40、患者は心筋梗塞の治療のため、副担当医とともに他院に救急車で転院した。17:40、看護師が記録を見直していた際に、医師の記録に3,000単位と記載があり、ヘパリンを過剰投与したことが判明した。
・受け持ち看護師は、口頭指示の内容を復唱したが、メモをしなかった。・他看護師に口頭指示の内容を口頭で伝えて、ダブルチェックを依頼した。・バイアルの量・規格の表示を見ずに思い込みでダブルチェックした。・緊急性の高い処置であったが、指示実施後に医師が入力した口頭指示の内容を確認しなかった。・口頭指示で使用したヘパリンのバイアルを実施登録前に廃棄した。・当該部署に常備しているヘパリンは定数が4Vであったが、骨髄穿刺で使用する処置用のヘパリンが別に保管されており、それを追加して使用した。
・口頭指示は原則受けない、出さない。緊急性がありやむを得ない場合は、看護師は指示された内容を復唱し、メモをする。・口頭指示で使用した薬剤のバイアルは、指示実施画面と照合して確認するまで捨てない。・病棟常備薬を使用する際は、指示内容を見ながらダブルチェックで確認する。・薬剤投与時は、投与目的、患者氏名、薬剤名、薬剤量、投与方法、投与時間を指差し声出し確認する。・指示実施後に速やかに実施入力を行う。医師が入力した口頭指示の内容の確認と口頭指示で実施した内容を記録に残す。・病棟に常備するヘパリンは、過剰投与防止のために上限2Vまでとする。
病棟配置薬からの取り揃え
ヘパリンナトリウム12,000単位+生理食塩液12mLを1mL/hで持続投与しており、10時頃、当日分のシリンジを交換した。本来は、翌日の10時頃に終了して交換の予定であったが、21時15分に残量アラームが鳴り残量が少ないことを夜勤者が発見した。シリンジポンプの積算量は11.6mLであり、シリンジ内の残量は少量であった。患者の状態に変化はなかった。神経内科当直医に報告し、採血を施行したところ、APTT78.2秒、D-dimer5.3μg/mLであった。ヘパリン投与を中止し、翌朝に再検の予定として経過観察となった。翌日0時と6時のCT検査では出血はなかったが、その後、MR検査で脳梗塞と脳出血を認めた。
・注射薬は、注射箋を確認しながら準備した。・ヘパリンと生理食塩液がそれぞれ12mLの組成であり、本来は合計24mLになるところ合計12mLと思い込んだ可能性がある。そのため、シリンジ内の薬液が12mLであることに違和感をもたなかった可能性がある。・先にヘパリンナトリウム12mLをシリンジに吸い、他看護師と量を確認した。その後、生理食塩液12mLを吸っていないが、作業の中断はなかった。・注射箋に準備印と実施印は押印したが、開始時間を記載していなかった。・シリンジを交換した際、パソコンで患者認証を実施し、投与速度の確認をしたが、投与量は確認しなかった。・午後の検温時、投与速度が1mL/hであることは確認したが、残量の確認はしなかった。・夜勤者にシリンジポンプの残量と交換時間の引き継ぎをしなかった。
・注射薬は、注射箋を確認しながら確実に準備する。・ルールに準じて、注射箋に注射薬の準備時間と開始時間を記載する。・注射薬の患者認証の際、投与速度だけでなく投与量も確認する。・投与速度を確認する際、残量の確認を行う。・夜勤者と引き継ぎの際、シリンジポンプの投与速度と残量の確認を行う。
調製
誤嚥性肺炎で緊急入院した患者は、既往にうつ病と嚥下障害があった。入院翌日の昼から看護師の見守りのもと、一般全粥で食事を開始した。患者は咀嚼ができず、口腔内に貯留させてから一気に飲み込む傾向があった。入院3日目、朝食にパンが配膳された際、看護師の見守りのもとで食事を開始した。5分後、看護師は他の患者の対応が必要になり、食事介助を一時中止するため患者に手に持っている食パンを離すよう声を掛けたが、患者は拒否した。患者は前日までむせ込みなく摂取できていたことから、看護師はそのまま患者のそばを離れた。2~3分後、ナースステーションにいた別の看護師がモニタ上でHR44回/分であることに気付き訪室したところ、患者の呼吸が停止していた。口腔内には食パンの塊があった。心肺蘇生を実施し、人工呼吸管理となった。翌日、人工呼吸器を離脱した。
・医師は、全粥を選択した場合は「パン禁止」とオーダしなければ、パンが提供されることを知らなかった。・患者情報のアセスメント内容が全スタッフに共有されていなかった。・患者は前日までは誤嚥せずに摂取できていたため、看護師は少しの間なら患者のもとを離れても大丈夫だろうと過信した。
・「全粥」とオーダされた場合には、「パン」の提供は原則禁止とする。・嚥下障害患者の食事形態は、食事開始時に適切かどうか検討し、嚥下状態を確認しながら評価する。・前回入院時の情報も含め、嚥下・咀嚼状況に合った食事形態のアセスメントと医師を含めた患者情報の共有を徹底する。・誤嚥・窒息のリスクの高い患者の食事介助中に他患者の対応をする場合は他のスタッフに依頼し、患者から目を離さない。
食事オーダ時
患者はかきこんで食べるため、食事の見守りが必要であった。朝食に食パンが提供されており、2枚目を半分ほど食べた頃から口腔内に食物が残る状態であった。そのため、看護師はパンを下げようとしたが制止が効かず、牛乳を飲むよう促した。パンを全て摂取後に、さらに一口大のオレンジを口に詰め込み、誤嚥、窒息した。
・医師は、摂取カロリーを上げるため1600kcalの特軟菜食を選択した際、朝食の既定値はパンになっており、全粥に変更しなければならないことを知らなかった。・現在の食事オーダと変更後の食事オーダを一画面で見比べることができない仕様であった。・「全粥・一口大とろみ食」から「1600kcalの特軟菜食」に変更した際に、朝食がパンに変更になってもアラートが表示される機能はなく、栄養士からの確認もなかった。・「食事は見守りが必要」と看護計画が立てられていたが、内容が具体的ではなかった。・食事変更後、朝食のパンを食べて窒息しそうになったことがあったが、情報が共有されていなかった。・患者が口腔内いっぱいに食物を入れた後に、看護師は食物を口腔外に出させずに、牛乳を飲ませて押し込もうとした。
・食事オーダの特軟菜食の主食の既定値を「全粥」に変更する。・食事の見守りが必要な患者は、何を見守るのかを具体的にする。・患者の食事摂取について何が問題か情報共有する。・口腔内に食物を詰めている場合は、水分で押し込まず一旦口腔外に出させる。・患者の食事状態の観察、咀嚼・嚥下機能の観察と評価の必要性について、医師・看護師に定期的に周知していく。・かきこみ食べの対処法について予め検討する。
食事オーダ変更時
患者は車椅子に乗車し、食堂で自分で昼食を摂取しており、看護師は付近で見守っていた。8割ほど摂取したところで患者はむせ始めた。他患者の食事介助をしていた看護師が患者の顔面蒼白に気付き、直ちに吸引を行い他の看護師を呼んだ。その場で吸引したが顔面蒼白は改善せず、看護師2名は患者を自室へ搬送し、吸引の継続および心肺蘇生を行った。同時にその場にいた看護師長が応援看護師を呼び、主治医へ連絡した。気管挿管時、うずらの卵やその他の食材が吸引された。
・誤嚥性肺炎で入院した患者は、NST(栄養サポートチーム)の介入により、介助者の見守りのもと自力で食事を摂取できるようになっていた。・患者の食事形態を段階的に評価・調整し、事故当時は咀嚼・嚥下機能が低下した患者を対象とする「極軟菜食・一口大・水分とろみ食」であった。・患者は食物の送り込みが不良で、すすって食べていたが、咀嚼は可能であることから「極軟菜食」は妥当であった。・食事メニューは鶏肉のオイスター炒め(ブロッコリー、鶏肉、うずらの卵を片栗粉で絡めたもの)などであった。・栄養管理室における「一口大」とは約3cm以下という認識であったが、食材の硬さや一口大のサイズはいずれも感覚的な表現であった。・卵のようにツルンとした食材は、すすり食べの有無にかかわらず咀嚼機能が低下した患者には噛みにくい食材であった。
・栄養管理室では、「極軟菜食」「心臓極軟菜食」「糖尿極軟菜食」には、うずらの卵を使用しないことにした。・上記以外の食種でうずらの卵を使用する場合は、半分にカットして使うことにした。
調理の事例
前頭側頭型認知症の患者は、病棟デイルームで看護師が継続的に見守り、軟菜きざみ食を摂取していた。患者が早食いしていたため、看護師が制止しようとした際、食物残渣を嘔吐した。窒息による全身チアノーゼが出現し、意識消失した。医師A、医師Bがハイムリック法を施行し、看護師は口腔内を吸引し、背部を叩打した。ドクターハリーコールを要請し、応援医師がマギール鉗子を用いて口腔内から9cmの長さの牛肉を掻き出した。気管挿管、胸骨圧迫を施行し、ボスミンを静脈注射して心拍再開を確認した。人工呼吸器を装着しCT検査等を実施後、ICUで治療を継続した。翌日、呼吸状態が改善しICUを退室した。
・患者には焦燥感と早食いがあり、食事は咀嚼機能の低下した患者用の「軟菜きざみ食」が選択されていた。・9cmの長さの牛肉は、従来の「きざみ」で出される副菜のサイズより大きかった。・看護師は配膳時に食材の大きさを確認せずにセッティングした。・「食事介助(ハイリスク)」の看護オーダはあったが、看護計画には挙げられていなかった。
・厨房内に「きざみ」の大きさを写真付きで表示し、調理員が確認できるようにした。・誤嚥のリスクのある患者には、主食は全粥や軟飯の嚥下食をオーダする。・食事の変更は、看護師間で話し合いを行い、医師に依頼して医師の判断で変更する。・食事の変更を依頼した看護師は看護計画の評価日を翌日に設定し、翌日のカンファレンスで食事形態が適切か評価を行う。・観察が継続して行えるように、看護計画、看護オーダを入力する。
調理の事例
看護師は間欠導尿を行うため、外尿道口を逆性石ケン液0.02「ヨシダ」(ベンザルコニウム塩化物0.02W⁄%)で消毒するVところ、逆性石ケン液10「ヨシダ」(ベンザルコニウム塩化物10W⁄%)で消毒しVた。患者の家族から「いつもの容器とデザインや色が違う」と指摘があり、濃度の高い消毒薬を使用したことが分かった。皮膚科医が消毒部位を洗浄し、ステロイド外用薬を塗布して経過観察した。
・間欠導尿の際に使用する消毒薬の規格を確認せず、濃度の高い消毒薬を使用した。・看護師は似た名称で濃度の異なる2つの消毒薬が採用されていることを知らなかった。・逆性石ケン液10「ヨシダ」は、製氷機の清掃に使用されていた。・消毒に使用する逆性石ケン液0.02「ヨシダ」と環境清掃に使用する逆性石ケン液10「ヨシダ」は分けて保管するルールであったが、濃度の異なる似た名称の消毒薬が同じ場所に保管されていた。・間欠導尿の手順書に消毒薬の濃度の記載がなかった。
・間欠導尿の手順書に、必要物品として逆性石ケン液0.02「ヨシダ」の記載と、導尿に必要な物品の写真を掲載し、処置する者が確認できるようにした。・消毒薬を用途別に配置することにした。・逆性石ケン液10「ヨシダ」の院内採用を中止し、同じ成分で販売名の異なるヂアミトール消毒用液10W⁄%に変更する。V
導尿の際に誤って濃度の高い消毒薬を使用した事例
患者が腸瘻チューブを自己抜去したため、内服薬を注射薬へ変更し、PICC(末梢挿入型中心静脈カテーテル)から投与する指示に変更されていた。患者より呼吸困難感の訴えがあったため、担当看護師Aは医師が出していた指示を確認した。医師の指示は「メプチン吸入:呼吸症状のあるときに投与してください1回あたりメプチン0.3mL/生理食塩液10mL症状増悪時は1日4回まで可」と記載されていた。担当看護師Aはメプチンの吸入を実施した経験がなく、メプチン吸入液をPICCから静脈内注射すると思い込み、1mLの注射用シリンジにメプチン吸入液0.3mL、10mLの注射用シリンジに生理食塩液10mLを用意した。次に、担当看護師Aは看護師Bと電子カルテの医師指示の画面を見て、患者氏名、薬剤名、用量、時間を確認した。その際、投与経路の確認は行わなかったが、確認を依頼された看護師Bは、看護師Aが吸入の準備を行い、その確認をしているものと思っていた。約9時間後、担当看護師Aは実施した看護行為を振り返った際に、メプチン吸入液の投与経路を間違えたことに気付き、医師に報告した。投与後、患者から気分不良等の訴えはなく、夜間の病室ラウンド時も変わった様子はなかった。
・担当看護師Aはメプチンの吸入を実施したことがなく、メプチン吸入液が吸入薬であると気付かなかった。・メプチン吸入液の準備時に看護師2名で確認を行ったが、投与経路は確認しなかった。・吸入薬の準備時に注射用シリンジを使用する場合が多いため、看護師Bは担当看護師Aが静脈内注射をするつもりでいることに気付かなかった。
・メプチン吸入液の保管場所に「禁注射」の表示を加えて、注意喚起を行った。・投与経路の確認を徹底するように部署内に再度周知した。・血管内に投与しない薬剤の準備時は、注射用シリンジ以外のもので準備することを検討中である。
メプチン吸入液を静脈内に投与した事例
乳癌で手術予定の患者に血液型検査を実施した。ABO血液型検査において、表試験と裏試験に乖離を認め、血液型の確定が困難であった。カルテを確認すると、約30年前に他院で同種骨髄移植の既往があり、移植前の患者のABO血液型とドナーのABO血液型が異なる可能性があった。担当医が同種骨髄移植に関わる情報を患者から聞き取ったところ、患者は移植前にAB型でドナーはB型であったことが分かり、輸血部に情報提供した。
・院内で同種骨髄移植を実施する場合は、血液・細胞療法部の担当医が、電子カルテの患者プロファイルの造血幹細胞移植歴に移植前の患者のABO血液型と移植後の輸血製剤のABO血液型を記載し、輸血部と情報共有することが輸血マニュアルに規定されている。・今回は他院で移植していたため、主治医(乳腺科)が問診や診療情報提供書等で情報を把握できれば、電子カルテに入力するか輸血部に連絡して情報共有する流れであったが、既往歴が輸血部に伝わっていなかった。
・他院で同種骨髄移植を施行した場合は、担当医が、問診にて移植前の患者のABO血液型と移植後の輸血製剤のABO血液型を聴取しカルテに記載する。・患者から得た情報を輸血部と情報共有することをルール化する。
30年前に他院で行った同種骨髄移植の情報を共有できていなかった事例
患者は消化管出血にて他院から紹介された。内視鏡センターから臨床工学技士へペースメーカが入っている患者に内視鏡による治療を行うと連絡が入った。患者はICD手帳を持参しておらず、臨床工学技士は紹介状でICDが入っていることを確認した。救急外来医師(研修医)と消化器内科医師もICDが入っていることを認識していた。内視鏡検査の前にCT検査にて出血源の精査を行うことになった。診療放射線技師は、消化器内科医師にペースメーカらしきものが写っている範囲を除いて撮影するか確認したところ、胸部も撮影範囲に入れるように指示があり、撮影を行った。臨床工学技士も同席していたが、ICDの製造販売業者や設定等に関する情報が得られておらず、対応が困難な状況の中で撮影が行われていた。
・臨床工学技士は内視鏡による治療までに状況を把握できれば良いと思っていた。・消化器内科医師はICDに関する知識が不足していたが、自己判断でCT検査を指示した。・院内でのICDに対する対応基準が明確になっていなかった。・患者に挿入されていたICDは、EveraXTICDDRであった。
・臨床工学技士は、ICDが植え込まれた患者に関する対応について院内ルールを作成する。・作成した院内ルールを職員に周知徹底する。・患者には常にICD手帳を持参するように教育する。・臨床工学技士は、ICD手帳に使用上の注意について記載する。・ポスター等を放射線部に掲示し、患者がICD等を植え込まれていることを申告することを促す。
自動植込み型除細動器(ICD)が植え込まれている患者にCT検査を実施した事例
○月12日、小児科外来で予防接種を実施し、中止のため使用しなかったMRワクチン(麻しん風しん混合ワクチン)1本を薬剤部に返品した。薬剤師はMRワクチンの有効期限が○月17日であることを見て所定の置き場に戻した。MRワクチンの在庫は1本だった。○月16日、小児科外来看護師が○月19日の予防接種のワクチン名とそれぞれの数を確認し、薬剤部に伝票で発注した。薬剤部事務助手が発注伝票を受領した。○月17日、薬剤部事務助手は、在庫にMRワクチンが1本あることを確認し、それ以外の在庫がない予防接種のワクチンを薬剤メーカーに発注した。○月18日、薬剤部事務助手は、○月19日に小児科外来で使用する予防接種のワクチンを、発注伝票を確認しながら準備し、MRワクチンは在庫の1本を準備した。その際、有効期限は確認しなかった。○月19日、14名の患者の予防接種の予約があり、MRワクチンは当該患者1名であった。9:00に小児科外来看護師が薬剤部に発注した予防接種ワクチンを取りに行くと、薬剤師は他の業務をしていたため薬剤部事務助手が対応した。小児科外来看護師は、薬剤部事務助手とワクチン名と本数を発注伝票と確認し、14名分のワクチンを受領した。その際、有効期限は確認しなかった。12:30、予防接種予約患者の受付を開始した。13:04、当該患者が来院し受付をし、小児科外来看護師は予約票と持参された母子手帳を見て、患者名・予約日・予防接種の種類・間隔・期間に間違いがないか確認した。14:00、小児科医が当該患者の問診・診察を行い、その後MRワクチンを接種した。16:00、市役所より外来に「本日MRワクチンを受けた患者の母より有効期限の過ぎたワクチンを接種されたと電話があった。確認してほしい。」と問合せの電話があった。予防接種予診票の薬剤ロットシールを確認すると、有効期限は○月17日で、2日過ぎていた。
・外来から有効期限の近いMRワクチンが薬剤部に返品された際に、有効期限が近いことへの注意を促す表示は特にせず定位置に戻した。また、薬剤部内で情報共有ができていなかった。・ワクチン返納時は、薬剤師が販売名・規格・本数を確認し定位置に戻しているが、有効期限を確認する取り決めはなかった。・薬剤部での薬剤管理は、月末の棚卸の際に在庫数と有効期限を確認している。有効期限まで半年未満のものは、電子カルテの使用一覧表に薬剤名と有効期限を掲載している。在庫の予防接種ワクチンについても同様の確認を行っているが、特に有効期限が近い表示はしていなかった。・薬剤部で伝票請求によるワクチン管理の担当者が明確に決まっておらず、ワクチンの払い出し手順もなかった。・ワクチンの伝票請求から払い出しまでに、薬剤師が介入しなければいけなかったが、小児科外来看護師がワクチンを取りに来た際、薬剤師が多忙で近くにおらず、薬剤部事務助手の判断で払い出された。・薬剤師は外来への払い出し前に、ワクチン名・規格・数量を確認する決まりだが、有効期限の確認をしていなかった。・外来看護師は、当日払い出されたワクチンの有効期限が過ぎているとは思わず、有効期限を確認しなかった。・小児科外来では、ワクチン準備時・実施時に有効期限を確認していなかった。・予防接種手順に、有効期限を確認することが明記されていなかった。
・薬剤部での棚卸の際は、有効期限まで半年未満の薬剤に関して、有効期限の表記を行い、有効期限まで長い薬剤とは別の場所に管理する。・有効期限まで長い薬剤の保管場所に「有効期限□月△日の薬剤◯個あり」と記載した札を置き注意喚起する。・ワクチンの管理は薬剤師が行う。・薬剤部長が予めワクチン払い出し責任者を決め、その薬剤師が責任を持って払い出しを担当する。・薬剤部でワクチンを払い出す際は、外来看護師と薬剤師がワクチン名・本数・有効期限・接種日を確認する。・薬剤部で見直した有効期限確認手順をマニュアル化し、スタッフ全員に周知し、実践する。・外来でのワクチンの準備時・接種時は、ワクチン名・有効期限を、医師と看護師で確認する。接種時は患者の保護者にも確認してもらう。・予防接種手順に有効期限を確認することを明記し、スタッフへ周知徹底する。
薬剤部から部署へ有効期間が過ぎた予防接種ワクチンを払い出した
翌日に4名のインフルエンザワクチン接種のオーダが入り、薬剤師は「ビケンHA」2Vと4名分のラベルを袋に入れて払い出した。接種当日、1名の患者は中止となり、3名に接種した。1ヶ月後、薬剤部の在庫を確認した際に有効期限の過ぎた前年分のワクチンがあることに気付いた。接種歴と在庫を確認したところ、1ヶ月前に払い出したワクチンも有効期限が過ぎていたことが分かった。
・調剤者は、払い出す際に有効期限を確認しなかった。・3ヶ月毎にワクチンの在庫を確認していたが、有効期限の確認はしていなかった。・インフルエンザワクチン接種のシーズンが終了した月には、残ったワクチンは廃棄する取り決めとなっているが遵守されていなかった。・ワクチン接種時に、有効期限の確認をしなかった。
・在庫確認時は必ず有効期限の確認まで行うことを再教育する。・インフルエンザワクチン接種のシーズン終了時にワクチンを廃棄するルールを遵守する。・ワクチン準備時は、有効期限を確認する。
薬剤部から部署へ有効期間が過ぎた予防接種ワクチンを払い出した
患児は超低出生体重児で退院が近いため、プレベナー13水性懸濁注、ヒブワクチン、4種混合ワクチン、B型肝炎ワクチンを接種することになった。ワクチンはNICU内の薬剤保冷庫に定数として保管していたものを使用し、看護師が4種類のワクチンを準備した。看護師2名でダブルチェックを行い、接種時にも看護師と医師で氏名やワクチン名を確認したが、有効期限は確認しなかった。患者に接種した後、ロット番号シールを予診票に貼付する際に、有効期限を1日過ぎていたことに気付いた。プレベナー13水性懸濁注の箱には「こちらを先に」のシールが貼られていたが、期限が近いことは明示されていなかった。
・薬剤部では、有効期限まで6ヶ月未満となった薬剤は病棟に定数として支給しない取り決めであった。・今回使用したプレベナー13水性懸濁注は、有効期限まで短くなったため小児科外来から引き上げ、個人処方があった際にのみ使うことで、「こちらを先に」のシールを貼って薬剤部で保管していた。・約2週間前にNICUよりプレベナー13水性懸濁注の定数請求があった際、シールに気付かなかった。また、有効期限を確認せずに払い出した。・NICUの定数薬剤は、月1回、病棟薬剤師が有効期限を確認している。1週間前に行っていたが、この時にも気付かなかった。
・薬剤部では、定数薬剤の補充の際に有効期限まで6ヶ月未満のものを支給しないことを徹底する。・注意喚起のシールが目立たず見落とす可能性があるため、有効期限を明記したシールにすることを検討する。・病棟に不必要な定数薬剤がないかについて確認するとともに、病棟薬剤師の月1回の有効期限の点検で漏れがないように確認表を見直す。・予防接種ワクチンを準備、接種する医療者は有効期限をダブルチェックで確認する。・やむを得ない場合に両親が同席しなくても事前の同意を得たうえで予防接種を行っていたが、今後は原則、両親の面会時に行うこととした。
部署の薬品保冷庫で保管していた予防接種ワクチンの有効期間が過ぎていた
9時頃、耳鼻科外来の看護師Aは、受付からインフルエンザワクチンの接種を希望している患者がきたと連絡を受けた。外来担当医師Bは患者Xを診察してワクチン接種可能と判断し、予診票(同意書)にサインをし、患者Xも接種に同意した。予診票を受け取った看護師Aは、インフルエンザワクチン1Vに2名分入っているため、呼吸器内科に連絡し、余剰分のワクチンを使用してもらうことにした。看護師Aは、看護師Cに余剰分のワクチンを呼吸器内科に渡すことを伝えた。看護師Cは、耳鼻科外来の薬用保冷庫の1段目の最前列にあったインフルエンザワクチン1Vが入った箱を取り出した。2段目には、冷所用の青い袋に入った今年度製造のインフルエンザワクチンの箱があった。看護師Cは、ワクチンの有効期限を確認しないままバイアルから0.5mLを注射器に吸い上げた。看護師Cは残りのワクチンが入ったバイアルを箱に入れて呼吸器内科外来に届けるよう看護助手に依頼した。9時10分頃、看護師Aはワクチンを患者Xに接種し、予診票にワクチンのロットNo.のシールを貼ったが、有効期限の記載が必要であることに気付かなかった。30分間経過観察後、患者Xは帰宅した。呼吸器内科外来の看護師Dは、耳鼻科外来から届いたインフルエンザワクチンを受け取り、薬用保冷庫に保管した。インフルエンザワクチン接種希望の呼吸器内科外来の患者Yは、外来担当医Eの診察を受けワクチン接種可能と判断された。医師Eは予診票(同意書)にサインし、患者Yも接種に同意した。看護師Dは予診票を外来受付から受け取り、耳鼻科外来から受け取ったワクチンを薬用保冷庫から取り出した。呼吸器内科外来で請求したワクチンもあったが、1名分が残っているワクチンを先に使用した方がよいと思い、有効期限を確認せず注射器に吸い上げた。10時20分頃、看護師Dはワクチンを患者Yに接種した。看護師Dは予診票に有効期限を記載しようとしてワクチンの箱に記載された有効期限を確認したところ、2ヶ月半前の日付であり、有効期限が過ぎたワクチンを接種したことに気付いた。通常、看護師Dはワクチン接種時に有効期限を確認していたが、今回はすでに耳鼻科外来で接種済であったため、接種可能だと思い確認しなかった。また、昨シーズンのワクチンが残っているとは思っていなかった。看護師Dは患者Yの外来担当医Eと外来看護師長に報告し、耳鼻科外来にも連絡した。
・耳鼻科外来・呼吸器内科外来の双方でインフルエンザワクチンの有効期限を確認しなかった。・外来で使用したインフルエンザワクチンの余剰分を他の外来で使用する慣例があった。・インフルエンザワクチン接種のシーズンが過ぎても残ったワクチンを薬剤部に返却していなかった。・すでに他の外来で接種済であったため安心し、確認がおろそかになった。・定期的な薬剤チェックは定数薬剤のみ行っていた。
・定数薬剤以外の薬剤も定期チェック時に確認する。・インフルエンザワクチン接種のシーズンが過ぎたら、ワクチンを薬剤部へ返却する。・接種前に有効期限を必ずダブルチェックで確認する。・インフルエンザワクチンの予診票に有効期限を記載してから、患者に接種する。
部署の薬品保冷庫で保管していた予防接種ワクチンの有効期間が過ぎていた
患者は、変形性股関節症の手術のため入院することになった。術前の外来では、医師、薬剤師それぞれが、患者が服用している薬剤やサプリメントなどを確認し、術前に中止すべき薬剤はないと判断していた。入院時、病棟薬剤師は患者がマーベロン28を服用していることに気付いた。手術は延期となり、貯血していた自己血を廃棄した。
・通常、薬剤師は術前外来で中止すべき薬剤について、薬剤やお薬手帳を用いて患者本人へ確認し、医師へ報告している。・患者は術前外来に薬剤とお薬手帳を持参していなかったが、薬剤師は患者への聞き取りを十分行わず、休薬が必要な薬剤はないと判断した。
・医師、薬剤師は、経口避妊剤が幅広い世代で服用されていることについて意識を高め、患者へ確認する。・術前外来でのカルテ記載内容をテンプレート化し、どの医師でも同じように必要な薬剤情報などを取得できるようにする。・患者は経口避妊剤を「薬」や「女性ホルモン剤」と認識していない可能性があるため、経口避妊剤を服用しているか、サプリメントや健康食品を飲んだり食べたりしていないかなど、質問を具体的にする。・薬剤師が使用しているチェックリスト、患者への説明書に記載している「女性ホルモン剤」の表記を、「女性ホルモン剤(低用量ピル)」に変更する。
患者が服用していることを把握していなかった
患者は、頭部骨腫瘍摘出術を目的に受診した。入院4ヶ月前、初診を担当した脳神経外科医師は患者の服薬状況を確認し、フリウェル配合錠LDを内服中である旨をカルテに記載した。入院3ヶ月前、脳神経外科主治医は手術日を決定し、患者へ説明した。その際、初診時のカルテの記載を確認したが、休薬の指示はしなかった。入院当日、病棟薬剤師が持参薬を確認した際、フリウェル配合錠LDを休薬していないことに気付き、脳神経外科医師へ報告した。血栓症のリスクは低いと考えられたが、進行性疾患ではないことから手術延期の方針となり、同日退院となった。
・脳神経外科の主治医は、患者がフリウェル配合錠LDを服用していることを把握していたが、手術前に休薬が必要な薬剤であるという認識がなかった。・外来看護師は、月経困難症治療剤は術前に休薬が必要な薬剤であることを認識していたが、医師に休薬するか確認していなかった。・他の診療科では入院前に薬剤師による面談を導入しているが、脳神経外科では導入していなかった。・過去に当院のリスクマネジメントニュースで、低用量ピルの休薬忘れの事例について職員へ周知していたが、脳神経外科医師はニュースの内容を覚えていなかった。
・入院前の薬剤師による面談を導入する。・脳神経外科医師は、術前に休薬が必要な薬剤(低用量ピル・抗凝固薬等)を患者が服用していることをカルテに赤字で記載し、注意喚起する。・低用量ピル一覧表を診察室に掲示する。・当院のリスクマネジメントニュース(低用量ピルの休薬忘れの事例)を診療科内で再周知する。・看護師は、術前に休薬が必要な薬剤について、指示の確認を行う。
手術前に中止する必要があることを知らなかった
外来受診時、9日後に肩腱板損傷の手術を行うことになり、術前検査や入院センターでの説明を行った。その際、患者からの聞き取りにより、トリキュラー錠28を内服中であることを情報収集した。外来の医師や看護師は、患者がトリキュラー錠28を内服していることを確認したが、手術の4週間前に中止の必要があることについての知識がなく、中止の説明をしなかった。9日後に入院した際、病棟看護師はトリキュラー錠28を中止していないことに気付いた。医師に報告し、手術は延期となった。
・外来の医師や看護師は、経口避妊剤が術前に中止が必要な薬剤であることの知識がなかった。・院内の委員会等では、経口避妊剤が術前に中止が必要な薬剤であることを伝達していたが、周知されていなかった。・診察前に、経口避妊剤についての問診は実施していなかった。
・診療科部長、看護部各部署、関係部署に医療安全情報を配布し、再度周知を図った。・経口避妊剤についての問診は、すでに実施している診療科があり、当該科でも追加することを検討する。
ヒヤリ・ハット事例として報告された事例
産婦人科に入院中の70歳代の患者が自宅退院をするために、理学療法士による歩行訓練を開始した。初回介入日に、両下肢のROM、MMT、バランス機能評価、歩行訓練を実施した。歩行訓練は歩行補助具は使用せず、理学療法士が点滴スタンドを把持し、患者の左側で左腋窩を介助し実施した。右下肢が床に躓く傾向があり、注意して歩行訓練を行っていたが、理学療法士が点滴スタンドの位置を歩行中に修正しようとした際に患者の右足部が床にひっかかり、右半身から床面に倒れた。倒れ始めた際に、理学療法士が左上肢を支えようとするが支えきれず転倒した。患者は、右上肢で受け身をとり頭部は床に打ち付けなかったが、右下肢痛があった。X線撮影にて右大腿骨頚基部骨折と診断され、人工骨頭挿入術を実施した。
・理学療法士は、バランス機能評価の結果で、右下肢の支持性が低下していることは把握していたが、点滴ルートが左前腕に挿入されていたため左側で介助することを選択した。その結果、患者がふらついた時に素早い介助ができなかった。・入院前のADLは屋内杖歩行が自立であったこと、下肢MMTは3~5とある程度保持されていることから、歩行補助具は使用しなかった。・患者は早く退院したいという気持ちが強く、焦りがあった。・リハビリテーション初日であったが、電子カルテ上における情報収集のみで職種間のコミュニケーションがなかった。
・介助する際の立ち位置は、躓きやすい側を選択する。・訓練中は可能な範囲で、末梢ラインを一時的にロックし、ルートを減らすなど歩行しやすい状況にする。・今回の事例の場合は末梢ラインを患者の袖に通し、介助の位置は躓きやすい右側を選択することが最善である。・チーム医療の観点から、リハビリテーション初日の開始時に、理学療法士は看護師へ声をかけ、患者の性格やリハビリテーションの受け止めなどを情報共有する。
転倒・転落
・初回のリハビリテーションでは、病棟の看護師から患者の情報を得るとよい。しかし、看護師も患者の情報を十分に把握していない場合もあることから、現実的には初回のリハビリテーション担当者の経験をもとにリハビリテーション部門で患者の情報を共有することも多い。・初回のリハビリテーションでは患者の能力を過信せず、補助具の使用や複数名でのサポートなどを含めて慎重に検討するとよいだろう。・点滴の時間が決まっている場合は、その時間を避けてリハビリテーションを行うことも一案である。
右ACL再建術+内側半月板縫合術+外側半月板部分切除術後の患者がリハビリテーション実施中、膝の熱感があった。理学療法士は、ホット・コールドパックを皮膚に直接あててアイシングを実施した。約10分後、アイシングを終了した際、ホット・コールドパックがあたっていた部分に発赤、腫脹を認めた。時間をおいても改善が乏しく、医師が診察したところ、凍傷1度と診断された。
・従来の使用方法と異なる方法で物品を使用した。・以前、別患者で同様の方法で使用したときは問題がなかったため、今回も同じように使用した。
・取扱説明書でホット・コールドパックの適切な使用方法を確認し、布・タオルを巻くなどして使用する。・患者の特性に応じた使用方法を検討していく。
転倒・転落以外による外傷
・ホット・コールドパックの添付文書や取扱説明書を確認し、付属のカバーに入れるなど、適切な方法で使用することが必要である。・特に、新規に使用する製品の場合は、添付文書や取扱説明書を確認する習慣をつけるとよい。・術後の患者は患部の知覚鈍麻がある可能性もあることから、アイシング終了後だけでなく実施中の評価も行うとよいだろう。
両側人工膝関節置換術後15日目、通常通り患者はリハビリテーション室に入室した。担当理学療法士は採血データを確認し、Dダイマー19.8μg/mLと上昇していたため、入院病棟に確認の連絡をしたが連絡がとれなかった。患者を待たせた状況であったため、モニタを装着してリハビリテーションを開始した。途中で気分不快の訴えがあったため、バイタルサインを測定し、問題ないことを確認した。座位で様子を見て体調は回復したが、念のため、車椅子で病棟に帰室した。申し送り後、患者を床上安静とし、モニタを装着した。15:30、造影CT検査を実施したところ、肺塞栓症となっていたことが判明した。循環器内科に診察を依頼したところ、左肺動脈下葉枝の一部の微小な肺塞栓症であり、エリキュースの内服を3ヶ月継続していくと指示が出た。
・整形外科ではDダイマーの値で造影CT等の精査を行うとしており、両側人工膝関節置換術後はDダイマー20μg/mL以上が指標であった。今回はその指標には該当していなかったため造影CT検査は実施していなかった。・リハビリテーション室で患者の採血データが変化していることを把握したが連絡が取れず、心配しながら床上でのリハビリテーションとしたが、医師に確認をしなかった。
・術後2週間以内のDVT発生の可能性は高く、Hb値を踏まえてクレキサン投与としている。採血も頻回に実施している状況で発見しやすくなったともいえるため、判明した時点で患者の命を守るためにも、リハビリテーションの実施ではなく、病棟と連携をとる。・整形外科病棟とリハビリテーション室で1回/週のカンファレンスを実施している。更に連携がとれるように確認内容の項目を明確にして実施する。
全身状態の悪化
・理学療法士が検査値を確認し、病棟に確認しようとしたのはよかったが、病棟に連絡が取れなかったためリハビリテーションを実施したことについてはもう少し改善できるかもしれない。・検査室におけるパニック値の連絡体制なども参考にして、連絡が取れなかった場合はどうするかについても検討し、体制を整えておくとよいだろう。
患者がリハビリテーション室に来た際、理学療法士は患者と別患者を誤って受付した。理学療法士はそのことに気が付かずリハビリテーションを実施し、別患者の電子診療録に記載した。当該患者と別患者のリハビリテーションの内容は、どちらも両肩関節可動域訓練で、可動域に差はなかった。
・当院では、患者受付時に入院患者はリストバンド、外来患者は診察券で患者認証をすることになっているが、今回は患者IDを手入力して打ち間違えた。・理学療法士は思い込みをしたまま電子診療録を展開し、患者名と予定されているリハビリテーション内容が合致しているかの確認をしなかった。・理学療法士は、思い込みをしたまま、患者に実施したリハビリテーションの内容を別患者の電子診療記録に記録した。
・入院患者はリストバンド、外来患者は診察券で患者確認を行う。・電子診療録の展開後は、患者名を読み上げ、開かれた診療録が患者のものであるか、リハビリテーション指示内容が正しいものであるかを確認する。・患者誤認がないことを確認後、行った内容を記録する。
患者間違い
・リハビリテーションに限らず、どのような場面でも患者確認は確実に行う必要がある。・継続的に通院している患者には氏名を名乗ってもらいにくいかもしれないが、医療機関のルールであることを患者に説明し、協力を得ることが重要である。
リハビリテーション指示ではなく一般指示として両下肢免荷が記載されていたことに気付かず、術側免荷で車椅子移乗を行った。
・前日のカルテに「明日車椅子離床開始、術側荷重は来週より開始」と記載されていたため、術側免荷で車椅子移乗を行った。・安静度指示は一般指示で両下肢免荷と記載されていたが、リハビリテーション指示の変更はなかったため気付かなかった。・リハビリテーション指示箋の発行がない状況で、カルテ記載の内容でリハビリテーションを実施したが、カルテには詳細な指示内容はなく、両下肢免荷に気が付かなかった。
・リハビリテーション指示の変更がある場合は具体的な内容を示した指示を出してもらうようにする。・リハビリテーション指示が出ていない場合は指示を依頼し、指示内容、注意点等を確認する。・リハビリテーションに関する指示は「リハビリテーション指示」で出すように依頼した。
免荷・荷重の指示からの逸脱
・日頃から看護師とリハビリテーション部門でコミュニケーションをとり、安静度指示が変更された時などにはタイミングよく情報共有ができるとよい。・電子カルテ(基幹システム)とリハビリテーション部門システムを併用している医療機関もあるが、両者が連携していないと両方の指示を確認する必要があるため、システムの連携が望まれる。
歩行車で歩行訓練中、方向転換した際に高さ調節のネジが緩み、持ち手の片側が下がってしまった。2名で介助していたため転倒には至らなかった。
・高さ調節のネジがくぼみにしっかりはまっていなかったと考えられる。・歩行車自体が古くなってきている。
・使用前に確認を行う。・新しいものの購入を検討する。
物品の管理不足
・歩行車の保守・点検が適切にできていない医療機関は少なくないと思われる。・リハビリテーションに使用する歩行車などの用具や物品の管理について、医療機関で検討しておくとよいだろう。
6時30分頃、患者はトイレに行こうとして滑って転倒した。右大腿骨頚部骨折と診断された。
・日中のリハビリテーション時、理学療法士は「4点杖で短距離であれば歩行できているが、見守りは外せず、起居移動動作は見守りが必要」と判断していたが、看護師に伝わっていなかった。・夜勤の看護師は、勤務初めの患者の歩行状況と、患者の「2日前から昼間は一人で歩いている」との言葉から、ADL介助を「消灯後は、利尿剤使用中のため頻尿であるからベッドサイドで尿器を使用してもらう」「点灯後は、トイレ移動は一人でしてもらうが、排泄後にズボンを履くことを介助するために、排泄後にナースコールしてもらう」と、一人で判断した。
・看護師と理学療法士間の、より適切な情報共有やカンファレンスのあり方を検討する。・ADLの評価は複数で行い、可能であれば患者も参加とする。・カンファレンスの内容は必ずカルテに記録する。
転倒・転落
・医療機関によっては、病棟で定例のリハビリテーションカンファレンスを行うことは難しいこともある。また、日中のカンファレンスで共有した情報が、夜勤の看護師には伝わらない可能性もある。・改善策として、より実効性の高い情報共有の方法を考える必要があるのではないか。例えば、誰に伝えれば看護師全員に伝わるかという窓口を明確にして、リハビリテーション部門と申し合わせをしておくことも一つの方法である。
患者は認知機能低下があり、ミトンを装着中であったが、リハビリテーションの際はミトンを外していた。理学療法士と看護師で患者を車椅子からベッドに移し、看護師がミトンを装着しようとすると、理学療法士が「次はベッド上でリハビリテーションをするのでそのままにして下さい」と言ったため、看護師は「リハビリが終わったら声をかけて下さい」と伝え、退室した。約30分後に看護師が訪室すると理学療法士はおらず、フィーディングチューブが自己抜去されていることに気が付いた。医師に報告して再挿入となった。
・看護師は、リハビリテーションが終わったら理学療法士が教えてくれると思い、観察をしていなかった。
・理学療法士に「リハビリが終わったら呼んで下さい」だけではなく、「チューブ抜去のリスクが高く、ミトンをする必要があるため、すぐに声をかけて下さい」と、具体的に伝える。・リハビリテーション等でミトンを外している時は、出来るだけ頻回に観察する。
チューブ類のトラブル
・このような事例は医療現場で数多く発生していると思われる。・改善策に記載されているように、看護師はなぜリハビリテーション終了時に声をかける必要があるのかを理学療法士に伝える必要がある。・理学療法士も看護師に声をかける目的を理解して報告することが重要である。患者の担当以外の看護師には、単に「終わりました」と声をかけても、意図が伝わらないことが多い。リハビリテーション終了時は、「〇〇さんはミトンをする必要があるので、リハビリが終了したら看護師に声をかけるように依頼されています。終了しましたのでお願いします」などのように、患者の状況がわかるように伝えるとよい。・チューブを抜去するリスクが高い患者の場合は、理学療法士は患者から離れず、ナースコールを使用して看護師に連絡するとよいだろう。
16時過ぎ、急性虫垂炎のため腹腔鏡下虫垂切除術を緊急で実施した。虫垂を切除後、回収バッグに虫垂を納め、腹腔内洗浄、切除部の補強、ドレーン挿入、閉創と手術は終了へと向かっていた。17時頃、腹腔内洗浄を実施した際に日勤終了時間が近づいたため、看護師A・Bは遅出看護師C・Dへ交替した。器械出しの看護師Aは、遅出看護師Cに「標本は取れて、回収バッグの中に入っています」と申し送った。遅出看護師Cは、標本は体外へ摘出されていると解釈した。外回り看護師Bは遅出看護師Dに「標本は回収バッグへ入れ、洗浄しています」と申し送った。閉創時、回収バッグに入った虫垂が腹腔内に残っていることに誰も気付かず、サインアウト時にも標本があるか確認しなかった。その後、患者はHCUへ移動した。主治医は手術室で標本がないことに気付き、手術中に録画していた映像を見直したところ、虫垂を入れた回収バッグを取り出していないことが分かった。主治医は、患者と家族へ虫垂が腹腔内に残っていることを説明した。再度手術を行い、虫垂を摘出した。
・通常の手術手順ではカメラポートを抜去し、臍部より回収バッグに入れた標本(虫垂)を取り出すことになっているため、看護師Cは通常通り取り出したと思い込んだ。・体内に挿入したものを記載するカウントボードの手順には、回収バッグをカウントする取り決めがなく、今回の手術では回収バッグを体内に入れたことを記載していなかった。・サインアウトの項目に「標本摘出」とあるが、外科では確認していなかった。・サインアウトを実施する際、タイムアウト表を確認しなかった。・看護記録に記載することになっている「イベント:標本摘出」「病棟への持参物品:標本名、個数」などを記載していなかった。・主治医は、標本を取り出したことを確認していなかった。
・体内に入ったものは、回収バッグも含めてカウントボードに記載しカウントする。・閉創時のカウントで確認する項目の「ガーゼ」「器械」「針」に「標本」を加える。・短時間の手術の場合はできるだけ看護師の交替がない人員配置をする。・自分の役割だけでなく、先輩が後輩をフォローできるようにチームとして手術を担当できるようにする。・申し送りをする際、相手の理解度を確認しながら行う。・決められたことを看護記録に確実に記載する。
nan
直腸S状結腸癌に対する腹腔鏡下高位前方切除術を施行した。切除した直腸S状結腸癌に小腸の癒着を認め、合併切除を施行した。執刀医は、腹腔内より切除した標本を摘出し、外回り看護師へ渡した。手術終了後、患者は回復室へ移動した。標本を整理していた医師が、切除した小腸がないことを執刀医へ報告した。腹腔内に残存している可能性があるため、再手術を施行し、腹腔内に残存していた小腸を摘出した。
・腫瘍は原則として一括切除することにしているため、執刀医は、小腸を分離せず一緒に摘出した認識であった。・医師は、摘出した標本を外回り看護師に手渡す前に目視で確認しなかった。・閉創前に腹腔内の確認をしなかった。
・手術室内に標本整理台を置き、別の医師が、標本の分離のみ(固定は困難と思われるため)術中に行い、切除した標本が全て含まれているか確認する。・医師と外回り看護師間で標本の受け渡しをする際には、明確なやり取りを行い、一緒に目視確認をする。・閉創時の確認は、執刀医、助手、器械出し看護師がコミュニケーションを取りながら確実に行う。
nan
進行胃癌に対し腹腔鏡下胃全摘術を施行した。また、肝転移の疑いがあり、術中超音波検査を行うことになっていた。食道と空腸を吻合後、犠牲腸管を体外に摘出しないまま、術中超音波検査のために体位変換を行った。その際、犠牲腸管が骨盤内に落ちてしまい、画面上で確認できなくなった。その後、犠牲腸管の摘出を忘れ手術を終了した。術後、軽度の下腹部痛と炎症反応の遷延を認めたため、術後7日目にCT検査を行ったところ、体内に犠牲腸管が残存していることが分かった。同日、腹腔鏡手術で残存した犠牲腸管を摘出した。
・通常は、犠牲腸管は切除後すぐに摘出するが、今回は肝転移の疑いのため、切除した犠牲腸管を横隔膜下に置いて術中超音波検査施行後に摘出しようとした。・術中に超音波検査のため体位変換したところ、犠牲腸管が横隔膜下から骨盤内に落下し、カメラの画面上で確認ができなくなったため、摘出を忘れた。
・臓器を切除後すぐに回収バッグに入れ、臍部の創より摘出してから、次の操作に移る。
nan
多発性子宮筋腫に対して腹腔鏡下子宮筋腫核出術を施行した。核出した子宮筋腫は、1cm大のものから最大10cm大のものを含めて合計10個あった。1cm大の小さい筋腫数個は、すぐに取り出さないと見失う可能性があるため、核出するたびに12mmのポートから腹腔外へ取り出していたが、大きい筋腫は核出後すぐには体外へ出さずに腹腔内に置いておき、回収バッグに収納後にまとめて組織細切除去器にて取り出した。術後の経過は概ね良好であった。術後4日目の診察時、3cm大の腫瘤像を認め、血腫が疑われると判断した。術後の血液検査で著明な貧血の進行がないことから患者と相談し、外来にて経過観察の方針として同日退院した。後日、主治医が手術動画を見直したところ、10個核出した子宮筋腫のうち9個しか体外に取り出していないことに気付いた。主治医は、核出した子宮筋腫が残存している疑いがあると執刀医に報告した。執刀医は手術動画を確認し、3cm大の子宮筋腫1個が体内に残存していることを確認した。
・手術終了前、執刀医は助手2人と核出した子宮筋腫の個数を確認し共有したが、その都度体外へ取り出す筋腫と腹腔内に置いておきまとめて取り出す筋腫が混在し、結果的に核出した子宮筋腫の個数を誤って認識していた。・核出した子宮筋腫の個数については術者間でのみ共有し、看護師には伝えておらず、今回も、医師と看護師間で個数の共有はしていなかった。・多数の子宮筋腫を核出した事例では、手術記事を詳細に記載するため手術動画を見直した。・今回、退院時診察の超音波検査にてダグラス窩に3cm大の腫瘤像があり、その時点では血腫が疑われると判断した。しかし、子宮筋腫の体内残存の可能性も疑いながら、手術動画で筋腫の核出と体外へ取り出す操作の場面を詳細に確認したところ、体内残存の可能性が高いことが分かった。
・子宮筋腫を核出するたびに、腹腔内に置いているか、体外へ取り出したかを、器械出し看護師に伝える。・器械出し看護師は、外回り看護師にその情報を伝達し、外回り看護師は記録して多数のスタッフで情報を共有する。
nan
患者は10歳代で意識障害があった。尿路感染、気道感染の診断で抗生剤の投与を開始することになった。9時頃、医師から、20分後に末梢静脈ラインを確保するため四肢を温めておくようにと指示を受けた。担当看護師は、給湯器(表示は90℃)の湯と給湯器下のシンクの水栓から水を流し、ビニール袋内で混和させ、その中にタオルを浸し、絞った。その際、湯の温度は確認しなかった。温めたタオルの温度は、手袋を着けていない手掌で確認した。ビニール袋にタオルを入れ、患者の両手両足を右上肢から交互に2~3分程度温めた。その後、医師が患者の左手に留置針を挿入した。17時30分頃、準夜勤務看護師は、患者の右手掌と右第5指に水疱、第3・4指の水疱が破裂し、浸出液が出ている状態を発見し、医師に報告した。医師から経過観察と翌日主治医に診察してもらうよう指示を受けた。翌日、主治医が診察し、洗浄とワセリン塗布の処置を開始した。4日後、皮膚科の往診があり、温めたタオルを当てたことによる熱傷と診断された。
・温めたタオルを血管拡張目的で四肢に当てた。・温めたタオルの温度の確認が不十分であった。・温めたタオルをビニール袋に入れて直接患者の皮膚に当てた。・発見までの間、排泄ケア、吸引等を行ったが、タオルを当てていた部位の観察は行っていなかった。・温罨法の手順はあるが、血管拡張目的でタオルを温めて使用する際の手順はなかった。・低温熱傷に関する職員の知識不足があった。・患者は皮膚が薄く脆弱であるため、一般的な温罨法の温度でも多大な影響を与える可能性がある。患者の状態をアセスメントし危険を回避する方法を取る必要があった。
・血管拡張目的で温めたタオルを使用する際の基準を作成し、手順を次の通りとする。1)湿布材料(温タオル)の温度を40~45℃になるように調整する。2)湿布材料(温タオル)を湿布カバー(ビニール等)で被覆する。3)被覆した湿布材料(温タオル)をバスタオルなどで包み、温めたい部分に接触させる。4)貼付5分後、15分後、30分後に貼付部位の皮膚の状態を観察する。以後、30分から1時間毎に部位の観察を行う。5)効果を確認し、看護記録に記載する。・温罨法を行う際は業務手順を遵守して実施する。・温度の確認は2名で行い、温度計を使用して湯の温度を確認するか、上腕内側の皮膚にタオルを当てて確認する。・直接患者の皮膚に当てずにカバー等をつける。・患者の状態をアセスメントし、実施する援助が患者に与える影響を考えたうえで危険を回避する方法を取る。
静脈穿刺前の血管拡張
患者は70歳代で、本日生検予定であったため、末梢静脈ラインを確保する必要があった。担当看護師は、2回穿刺して確保できなかったため、温罨法を実施したうえで他看護師へ末梢静脈ラインの確保を依頼しようと考えた。ホットパックがなかったため、清拭用タオル2枚を電子レンジで20秒温めた後、透明の袋に入れ、その上から乾いた清拭用タオルで包んで患者の上腕に当てた。他看護師へ末梢静脈ラインの確保を依頼した後、業務が煩雑であったため、タオルを当てた皮膚の状態を観察していなかった。約30分後、他看護師は末梢静脈ラインを確保した。その後、患者は担当看護師へ上腕が赤くなっていると伝え、皮膚科を受診したところ、Ⅰ度熱傷と診断された。
・乾いたタオルで温めたタオルを包んでおり、熱傷の危険性を考えていなかった。・高齢者の皮膚は脆弱であるため、より熱傷の危険性について考えるべきであった。・患者に、熱すぎたら動かしてよいことや、熱傷の危険性を説明していなかった。・以前に末梢静脈ライン確保の際に同じ方法で温罨法を実施した際に、15分程度経過するといつもタオルが冷めていた経験があった。
・温めたタオルで熱傷になる可能性を踏まえたうえで温罨法を活用する。・患者に、熱すぎたら動かしてよいことや熱いまま同じところを温めると熱傷になる危険性があることを説明する。・温罨法を実施する際はタオルを当てている部分を定期的に観察する。・高齢者の皮膚が脆弱であることを踏まえて温罨法を活用する。
静脈穿刺前の血管拡張
患者は30歳代で、無痛分娩を希望したため、13時50分頃より硬膜外麻酔を開始した。14時15分頃、ビニール袋に水で湿らせた4つ折りのタオルを入れ、電子レンジで約1分温めた後、枕カバーに入れて、患者の腰部に当てた。15時過ぎ、患者からタオルの温め直しを依頼され、電子レンジで2分温め、5分ほどしてから患者に手渡した。患者は温罨法開始直後、右側臥位になって家族と話をしていた。その際、温めたタオルが右大転子部にあることに看護師は気が付かず、約30分そのままの体位で過ごした。17時過ぎ、分娩が進まないため硬膜外麻酔の流量を減量した。17時45分頃、患者から右大転子部辺りがヒリヒリとすると訴えがあり確認すると、20cm四方の発赤と水疱、表皮剥離を発見した。皮膚科医が診察し、低温熱傷と診断された。
・硬膜外麻酔中であるにもかかわらず、感覚鈍麻によるリスク評価ができておらず、必要なケアや観察、患者指導ができていなかった。・右側臥位で過ごした際、温めたタオルが身体の下敷きになり、密着していた。
・硬膜外麻酔中の温罨法は禁止する。・電子レンジで温罨法用のタオルを温めることを禁止する。・硬膜外麻酔中の患者への看護について再学習する。・今回の事例を看護部内に報告し、情報共有を図る。
疼痛緩和のための温罨法
手術中、外回り看護師は、麻酔科医より局所麻酔剤アナペイン注7.5mg/mLを5mL準備の指示を受けた。その際、看護師はアナペイン注を神経麻酔分野の誤接続防止コネクタの黄色シリンジではなく、通常のシリンジに準備し、麻酔科研修医と薬剤のダブルチェックを実施した。研修医はアナペイン注に関する知識がなく、準備されたシリンジが神経麻酔分野の製品ではないことから、末梢静脈ラインから投与した。その後、麻酔科医が誤りに気付いた。
・看護師はアナペイン注を神経麻酔分野の新規格製品のシリンジで準備しなかった。・神経麻酔分野の新規格製品のシリンジは準備台の上のかごにセットされていた。・術野に針糸を出すなど、慌ただしい状況だった。・看護師と研修医は、薬剤名と量をダブルチェックしたが、投与経路は確認しなかった。
・アナペイン注は神経麻酔分野の新規格製品のシリンジで準備することを遵守する。・薬剤の確認は研修医のみでなく、麻酔科医も一緒に行う。
硬膜外に投与する局所麻酔剤を専用シリンジで準備せず、静脈ラインから投与した事例
患者は肝移植後に免疫抑制剤を服用していた。入院中、免疫抑制剤のブレディニン錠は看護師管理、その他の薬剤は患者管理とした。看護師は、定時薬が患者管理であったため、ブレディニン錠も患者管理と思い込み、配薬しなかった。その後、ブレディニン錠の残数が合わないことに気が付き、3回分投与していないことが判明した。
・入院時、看護師と薬剤師は「自己管理アセスメントシート」を用いて、看護師管理か患者管理か決定している。・「自己管理アセスメントシート」では、「意思」「病態・治療の変化の有無」「服薬習慣」「薬剤の理解の程度」「服薬に必要な行動」の5項目を「はい」「いいえ」で評価し、内服薬自己管理(患者管理)の可否を決定している。・看護師管理の場合の配薬の手順は以下の通りである。 1) 指示受け一覧の画面で患者の内服指示を把握する。 2) 患者スケジュール画面の指示確認一覧の画面で、内服指示に矛盾がないことを確認する。 3) 患者スケジュール画面の伝票詳細の画面で指示内容と薬袋を確認する。 4) 準備した薬袋と伝票詳細の画面が合っているか指差し声出し確認を行い、1回分の薬剤を取り出す。 5) 薬袋の裏に残数を記入し、残数が合っていることを確認する。 6)患者に配薬し、服用できたか確認する。 ・ 看護師管理の薬剤をメモしなかった。 ・ すべての内服薬を患者管理だと思い込んだ。 ・ 患者に内服薬をすべて服用したかを確認せずに実施入力を行った。 ・ 残数を確認しなかった。 ・ 病態生理や薬剤に関する看護師の知識が不足していた。
・免疫抑制剤の投与について、薬剤に関する医療安全検討委員会委員長・一般消化器外科(移植班)医師・看護師・薬剤師が協力して対策案を検討した。・全診療科が参加しているセーフティマネジャー会議にて本事例を周知し、看護師管理薬の確認の徹底を依頼した。
看護師管理の免疫抑制剤を患者に配薬しなかった事例
コイル塞栓術後、CT検査を行うため検査室に移動する際、脳神経外科医師がジャクソンリース回路を用いて呼吸管理を行った。医師は、ジャクソンリース回路内の余剰ガスを排出する必要があることを知らず、気道内圧が上昇し血圧が低下した。看護師がバッグが過大に膨張していることを発見し、誤りに気付いた。
・多くの医師が受講するBLS、ACLS等の講習では、蘇生バッグが使用されている。・ジャクソンリース回路による換気方法を学ぶ機会がなかった。
・院内での患者搬送には蘇生バッグを使用することを基本とする。・ジャクソンリース回路を使用したい医師は、使用することを周囲に明確に伝える。
ジャクソンリース回路内の余剰ガスを排出せずに換気した事例
輸血開始時はアレルギーの出現リスクが高いため、医師が投与を開始している。投与開始後、医師はアレルギーの有無の評価を行い、看護師は滴下速度の調整を行うことになっていた。しかし、新人看護師は、医師が滴下を調整すると思い込み、滴下を調整しなかった。輸血開始5分後に患者のもとへ訪室したところ、赤血球製剤1単位(140mL)の8割が投与されていた。
・輸血投与の業務が自立していない新人看護師であったため、先輩看護師の指導のもと実施したが、教育・指導が足りなかった。・医師はクレンメを全開にして輸血を開始した際、速度が速いことは分かっていたが、アレルギーの評価を行うまでが医師の仕事であり、看護師が滴下速度を調整すると思っていた。
・部署の病棟会議で今回の事例を振り返る。・輸血投与時の手順を見直し、看護師が滴下速度を調整することを手順書に明記した。
輸血開始時に滴下調整を行わず、急速投与した事例
食道癌に対し鏡視下手術を施行後、永久気管孔から酸素マスクを使用して酸素投与が行われていた。16時25分、患者は浅表性呼吸を呈し、SpO2が70%台となり意識レベルが低下したため、16時33分に集中治療科医師へ対応を依頼した。16時35分、集中治療科医師が来棟し、気管孔を塞ぎ、バッグバルブマスクによる用手換気を試みたが、換気できなかった。16時37分、消化器外科(主診療科)に連絡した。来棟した医師は、患者は永久気管孔造設後であり、口から換気ができないことを指摘した。その後、呼吸がほぼ消失し脈拍が20回/分となったため、CPRを開始した。心拍再開後、人工呼吸器管理を行った。
・電子カルテ上で、永久気管孔であることが明確に共有されていなかった。・担当看護師は主に医師カルテの記録から情報収集しており、患者プロファイルや系統レビューからの情報収集をしなかった。・患者プロファイルや入院時の系統レビューに永久気管孔の情報が記載されておらず、情報共有が困難であった。・担当看護師は、永久気管孔を気管切開孔と誤って認識していた。・当院の決まりとして、ナースコールボードに黒マグネットを付けてコミュニケーション障害があることの共通認識を図っていたが、詳細な状況がわからない表示であった。
・永久気管孔の患者であることを、患者プロファイルへ必ず入力する。・情報共有の手段を統一し、医療者間で情報共有ができるように掲示板や患者プロファイルに詳細に記載する。・患者プロファイル、系統レビュー、手術内容、入院経過など様々な場所から患者情報を収集する。・永久気管孔についての危険予知トレーニングや学習会を実施する。
患者の永久気管孔を塞いでバッグバルブマスクを使用した事例
左鼠径部のAシースからIABPカテーテルが挿入され、側管には三方活栓が付いていた。右鼠径部にはAシースとVシースが挿入され、Aシースは動脈ラインとして使用し、Vシースからノルアドレナリンやアンカロンなどの循環作動薬を投与、末梢静脈ラインからヘパリン製剤を投与していた。低カリウム血症となったため、「側管(速度あり)CV、KCL注10mEqキット10mL20mL+生理食塩液30mL所用時間60分」の指示が出た。看護師は、左鼠径部のAシースをVシースと思い込み、カリウム製剤を接続し、他の輸液もつなぎ変えた。その後、6名の看護師が関わったが、刺入部の確認は行わなかった。翌日の午後に主治医により指摘され、左鼠径部のAシースからメイン輸液、ニコランジル点滴静注、ディプリバン注、フェンタニル注射液、抗生剤などを11時間投与していたことが分かった。
・通常、Aシースの刺入部は状態が確認できるようにガーゼを除去してフィルムテープに貼り替えている。しかし、今回の事例では、IABPカテーテル挿入後19時間が経過していたが、Vシースの刺入部ともにガーゼで保護したままであり、刺入部が確認できなかった。・左鼠径部にはAシースのみ挿入されていたが、Aシースの側管の三方活栓が見える位置にあり、それをVシースと勘違いした。・輸液を左鼠径部のAシースに接続後、カルテに「左鼠径部Vシースラインから投与」と記載した。・関わった複数の看護師は、カルテの記載内容を見てVシースから投与していると思い込み、投与を継続していた。・輸液は全てポンプを使用して投与していたため、血液が逆流することはなかった。
・Aシースの刺入部がガーゼで覆われている場合、刺入部が見えるようにガーゼを除去してフィルムテープに貼り替える。・動脈ラインには、赤いテープを貼っている。IABPカテーテルのシースもVシースと区別できるよう赤いテープを貼り、識別できるようにする。・薬剤投与や経路を変更する際は、刺入部まで目視で確認し、投与する。・Aシースの側管は、誤って薬剤などを投与しないよう束ねておく。
nan
18時、準夜帯看護師が腹部を確認した際、腹腔内ドレーンの洗浄用チューブに経腸栄養チューブが接続され、経腸栄養剤が注入されていることを発見し、直ちに経腸栄養剤の注入を中止した。当直医師へ報告し、20時に腹腔内の定期洗浄で注入予定であった生理食塩液100mLを、時間を早めて開始した。その後、主治医の指示により、さらに生理食塩液1000mLで持続洗浄を行った。
・腹腔内ドレーンから1日3回、生理食塩液100mLで洗浄を行っていた。・腹腔内ドレーンの洗浄用チューブを閉鎖する際に院内に対応品がなかったため、経管栄養チューブに使用する黄色のカテーテルジョイントを付け、洗浄時以外はカテーテルジョイントの蓋を閉めて閉鎖していた。・離床時は、腸瘻チューブもカテーテルジョイントで閉鎖していた。・腹腔内ドレーンと腸瘻チューブは全く違う種類のチューブであったが、どちらもカテーテルジョイントを付けていたため、接続部が同色で類似していた。・経腸栄養剤の注入を再開する際、誤って腹腔内ドレーンの洗浄用チューブに付けたカテーテルジョイントへ接続した。・腸瘻チューブには「腸瘻」とラベルを貼付していたが、接続する際に挿入部まで確認しなかったために、間違いに気付くことができなかった。・腹腔内ドレーンの排液側には「腹腔」とラベルを貼付していたが、洗浄液の注入側にはラベルを貼付していなかった。
・接続の際には接続部から挿入部まで辿って確認する。・全てのチューブ類にラベルを貼付し、接続の際にはラベルの確認を行う。・チューブ類を接続する際には看護師2人でダブルチェックを行う。・腹腔内ドレーンに使用しているカテーテルジョイントに緑のテープを貼付し、経腸栄養用のジョイントと視覚的変化をつける。
nan
10年6ヶ月前に胃癌の手術を行い、6年前まで当院でフォローしていた。1年前、咳嗽があり近医胃腸科を受診し、肺癌疑いで当院を紹介され、CT検査、気管支鏡検査等を行った。結果はClassⅠであり、他院呼吸器科にフォローを依頼した。前月半ば頃より皮膚の掻痒感があり、近医胃腸科を受診し、肝腫瘍の精査で他院を紹介受診した。精査の結果、手術不能の肝内胆管癌疑いで当院を受診し、肝内胆管癌を疑う所見が見つかった。1年前のCT検査の画像診断報告書を確認したところ、「肝外側区に不均一な増強、肝内胆管軽度拡張、軽度の萎縮を認めます。慢性の炎症や腫瘍など考えられます。精査ください。」と記載されており、画像診断報告書の見落としが判明した。
・肺癌疑いに対する精査目的の1泊入院であり、肺の所見しか確認しなかった可能性がある。・検査結果が癌ではなかったため、フォローが他院に移った。・CT検査の画像診断報告書は、紹介先の他院呼吸器科に送られたが、呼吸器科であり所見に気付かれなかった、もしくは呼吸器以外の所見については当院でフォローされると思った可能性がある。・当時は、SYNAPSEの既読・未読システムは導入されておらず、既読管理は主治医や診療科に任されていた。
・約6ヶ月前に導入したSYNAPSEの既読・未読システムの運用を確立し、未読や想定していなかった診断(重要レポート)の対応について確認する仕組みを構築する。・画像診断科は、画像診断報告書を見やすくするため重要な箇所は赤字で記載する。・画像診断科は、想定していなかった診断の場合に依頼医へ電話で連絡する。・主治医は、画像診断報告書を読んだら既読にする。・診療科単位で、既読と結果に対する対応について確認する。・医療安全管理室は、重要フラグの画像診断報告書の結果への対応を定期的に確認する。また、定期的に未読の管理を行う(30日間未読で通知)。・今後、重要フラグに加えてグレーゾーンについてもフラグを立てて、結果への対応を確認する予定としている。・診療科によっては、画像診断報告書を患者と一緒に見ながら説明するなどの方法をとっている。想定していなかった診断の見落としによって、治療の遅れが生じることがないように対策を継続する。
nan
約4年前、前腕悪性軟部腫瘍に対して、当院整形外科で広範囲腫瘍切除術を施行した。その後は外来で肺転移の有無を中心にフォローされていた。1年前、定期フォローのため頚部~骨盤単純CT検査を行い、翌週に外来を受診した。外来主治医は画像診断報告書を確認したが、「肝S4低吸収域:増大傾向、US対比を」の記載に気付かず、肺転移を認めなかったため経過観察とした。6ヶ月前、定期フォローのため頚部~骨盤単純CT検査を行い、翌週に外来を受診したが、この時、画像診断報告書は作成されていなかった。医師はCT画像を確認したが、肝臓の病変には気付かなかった。今回、定期フォローのため頚部~骨盤単純CT検査を行い、翌週に外来を受診した。外来診察時、医師は画像診断報告書を確認し、「肝S4の淡い低濃度腫瘤:前回より増大。悪性腫瘍の除外を」の記載に気付き、消化器内科に併診を依頼した。その後、肝生検を実施し、前腕悪性軟部腫瘍の転移と診断され手術の方針となった。その過程で、1年前の画像診断報告書に肝転移の指摘および精査を勧める記載があったことが判明した。4ヶ月後、開腹肝部分切除および胆嚢摘出術を施行した。早期に診断されていれば腹腔鏡下での手術が選択された可能性があり、診断の遅れにより侵襲性の高い手術が必要となった可能性がある。
・放射線科医が記載した専門用語や略語の意味が主治医に伝わっていなかった。・原疾患は肺への転移が多いため、定期フォロー時には主に肺の所見を確認しており、肝臓の陰影に気付かなかった。
・放射線科医が画像診断報告書を作成する際、どの診療科の医師にも確実に情報が伝わるように略語の使用を避ける。・画像診断報告書の記載内容のうち、特に指摘したい重要な事項を強調する仕組みを検討する。・事故調査委員会の提言を受け再発防止策の検討を予定している。
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子宮頚癌ⅢA期に対する同時放射線化学療法後の外来経過観察中に施行した造影CT検査において、骨盤内・局所のコントロール良好をもって寛解と判断した。その際、「多発肺転移、多発縦隔リンパ節転移の疑い」の記載を見落として化学療法を開始せず経過観察とした。約2ヶ月半後、患者は改善しない咳嗽を主訴に近医呼吸器内科を受診したところ、頚部の多発リンパ節腫脹を認め、原疾患を治療中の当院に紹介となった。転移を疑う所見と共に肺炎を疑う所見も認めたため入院となった。
・担当医は、画像診断報告書の原発巣に関する内容のみを確認した。・カルテに画像診断報告書をコピー&ペーストして記録した。・診療科内のカンファレンスは2週間に1回の頻度で開催され、本症例も提示されていたが、造影CT検査の前に開催されており、画像を複数の医師で確認していなかった。なお、症例の選択は担当医の判断に委ねられ、すべての外来患者を対象にしていなかった。
・依頼医が画像診断報告書を見る際に、重要所見を注視できるように記載順序の定型化、フォントの変更等を行う。・担当医は、外来診療の前に患者の検査結果を確認する。・検査結果の説明時には、患者・家族と共に画像を供覧するといった患者参加型の方式を導入する。
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5時40分、患者は胸痛を発症し、急性冠症候群を疑い当院に救急搬送された。救命救急科医師は循環器内科医師と初療を開始した。心電図から心筋梗塞は否定できないが、大動脈解離の否定が必要と判断したため、造影CT検査を行った。CT検査で大動脈解離がないことを確認し、すぐに心臓カテーテル検査のために血管造影室に入室した。心臓カテーテル検査後は、循環器内科に入院となり、治療後に退院した。6ヶ月後、患者は持続性の咳を主訴に来院した。CT検査を行ったところ、画像診断報告書には右下葉肺癌の疑いの指摘があり、前回より増大傾向にあると記載されていた。救急搬送時に実施したCT検査の画像診断報告書にも「肺癌疑い」と記載されており、医師が画像診断報告書を確認した履歴は残っていたが、認識しておらず、対応していなかった。
・来院当初、患者は急性冠症候群を疑う切迫した状況であった。救命救急科医師は、循環器内科医師と共に診療し、診療補助の意識で初療にあたっていた。・造影CT検査を行ってすぐに血管造影室へ入室し、そのまま入院となった。また、夜勤から日勤への切り替えのタイミングでの患者搬送であった。
・画像診断報告書の重要な所見に気が付くように、重要な部分については、文字の色を変える、サイズを大きくする等の対策ができないか、放射線科に記載方法を検討してもらう。・悪性疾患など特別な対処が必要な病態を偶発的に見つけた場合は、積極的にオーダした医師に連絡する。・複数の診療科が関わる場合は、情報の共有、引き継ぎができる体制を構築する。・救命救急科は、他科が主体の患者の診療補助に入ることも多く、また読影結果が時間差で出ることから、翌日のカンファレンスで読影結果を確認することを検討している。
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卵巣癌の既往がある患者がCA19-9高値で膵腫瘍の検査を希望し来院した。膵腫瘍と卵巣癌転移の検索目的で、採血、超音波検査とPET検査を行った。検査の結果、膵癌や卵巣癌再発はなく、膵嚢胞に関して6ヶ月程度で定期検査を行うことを患者に説明した。7ヶ月後、患者は右乳房のしこりを自覚し、近医を受診した。その1ヶ月後、当院を受診した際に乳癌と診断されたことを聞き、主治医はPET検査の結果について再度所見を見直した。PET検査の画像診断報告書に「乳癌の疑い」と記載されていた。
・PET検査の画像診断報告書を注意深く確認しなかった。・システム上、検査データが見えづらいことがある。
・画像診断報告書を注意深く確認し、受診内容以外の所見にも注意する。・悪性疾患や特に注意する事項が発見された場合など、画像診断報告書の記載方法についての改善を検討する。
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患者は80歳代女性でパーキンソン病があり、左THA術後のリハビリテーションを行っていた。理学療法士は病棟内廊下で患者の左後ろに付き、杖歩行の訓練を実施した。患者は100m程度歩行し、エレベーターホール付近で左足をつまずき前方へ転倒した。理学療法士は患者の左側にいたが、突発的なつまずきと転倒であり、転倒を回避できなかった。転倒時、患者は両膝・右脇腹・右顔面を打撲した。すぐに医師に報告し、診察を依頼した。その後、X線・CT撮影により左膝蓋骨骨折と診断された。
・転倒前の患者のADLは、病棟内では杖を使用してトイレ歩行が自立していた。夜間は車椅子・歩行器を使用して看護師が付き添いをしていた。・患者は看護師の見守り下に病棟からリハビリテーション室まで杖1本で歩行できていた。・荷重制限なしで、術後3ヶ月目に退院を控えていたため、歩行は支えなしで可能と判断していた。・土曜日のリハビリテーションで代行者による実施であり、引継ぎ・事前のカルテチェックを行っていたが、通常の担当者ほど細やかな対応が十分できる状況ではなかった。・歩行中に足が杖にひっかかった可能性がある。・靴を新しくしたため履き慣れていなかった。・歩行時、理学療法士は患者に触れずに見守っていたため、患者の異変にすぐに対応できなかった。
・リハビリテーション科内で、症例の検討を行い、転倒についての予防方法を再確認した。・理学療法士間で、ADLが自立していない患者には手を添えて介助することの必要性について認識の統一を図った。・動作観察時に疲労について確認し、判断できなければ、患者に手を添えて支える。・THA術後の注意点(筋力低下・禁忌肢位など)を周知する。
医療事故情報
・代行者がリハビリテーションを担当する際はより慎重な対応が必要であり、患者に手を添えて介助することも一つの方法である。・医療機関によっては、リハビリテーションの担当者は1患者に1名ではなく、5~6名のチームで担当し、患者の情報を共有しているところもある。・本事例のようなパーキンソン病の患者の場合は、初めにウォーミングアップを行い、体勢を整えてから歩行訓練に臨むとよいだろう。・廊下での歩行訓練は、場所によって歩行者の数や障害物などの環境が変化することに注意が必要である。
10時に右足関節外果骨折後の50歳代女性のリハビリテーションを開始した。下肢筋力強化運動、ROM訓練を実施した後、11時頃から歩行訓練を開始した。術側(右下肢)は免荷で、松葉杖歩行練習を行った。理学療法士は患者の左側に立ち、見守りを行っていた。5m程度進んだところで、右側の松葉杖が脇から抜け、バランスを崩した。理学療法士が支えようとしたが間に合わず、患者は前向きに左膝を床に打つように転倒した。手術をした右足部は打っていないようであったが、右アキレス腱部の疼痛を訴えた。右足部に変形や出血はなく、動きに異常はなかった。その後、医師の診察、X線撮影で異常がないことを確認した。
・運動後で疲労があったためか、起立直後に少しふらつきが見られていた。・歩き始めるとふらつきはなくなり、退院も近く、歩行の自立を目指すため、理学療法士は軽介助していたが、近接監視とし、患者から手を離した。・時間を確認するために、一瞬、患者から目を離した。・松葉杖の使用状況の確認をしなかった。
・患者の体力を見て、疲労が強くなる前に歩行練習を実施する。また、運動量を検討する。・ふらつきのある時、ふらつく可能性がある時は、すぐに対応できるように、患者から目も手も離さない。・免荷歩行は軽介助を基本とする。・歩行中も松葉杖の脇当ての位置、姿勢が適切であるか確認し、指導する。・忙しい時は、他のスタッフにも協力を得て、精神的にも余裕をもって患者に対応できるようにする。
ヒヤリ・ハット事例
・松葉杖の長さや持ち手の高さが患者に合っているかなどの基本的なフィッティングについて、初めに確認しておくことが重要である。・松葉杖を使用する患者に対しては、下肢だけでなく上肢の筋力評価も必要である。