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時間にして1分も経ってないと思うけど、凄い迫力。まぁ僕の倍は有る身長の二人がぶつかり合うんだから当たり前だけど。やっぱり本物の迫力は違うって思った。冒険者ごっことは違うんだ……。エミルとアニタに会ったら自慢しよう。
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そう思ってるとお二人が寄ってきて、もう一回素振りをやってみることに。目の前に相手がいるつもりになって、だそうだ。見張りの人が、それって素振りじゃ無いと思うんですが、と言ってたけど戦士様は黙殺。
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50cmくらいの棒を剣に見立てて右手に握る。盾は僕には大きすぎて持てないから真似だけ。
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お二人が見る中、庭の真ん中に立つ。心が緊張でざわつくので四拍呼吸をする。目を開けたまま呼吸を繰り返すたびに心が、しん、となる。
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僕の目の前に相手が居るつもりで。そう言われた通りにしてみるが、中々見えてこない。
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相手が居る。そう思い直す。
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そこにいて、僕を倒そうとしている。人か獣か、男か女か、片手武器か両手武器か。盾はあるのか、鎧はどうか……。
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そう思うと何かぼんやりとした影が居る気がした。シルエットは戦士様に似ているけど、持っているのは竿状武器。盾は無し。野獣のような気配。僕は自然と棒を構え、前に突進した。
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相手は竿状武器の柄で剣をいなし、絡め取り、僕の体ごと引き倒そうとする。思い通りに動かない体に焦りながらも、打ち合いを繰り返す。僕は相手より小さな体を活かしてでいりをくりかえ……
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そうとしたところで、僕は体が全然思った通りに動かないことに気がついた。具体的に言えば、足が動かない。
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その場に座り込んでしまう。
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息が上がってる?
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なんで?!
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遊びの時はずっと走っていられるのに!
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剣に見立てた棒を振ろうとしても、全く勢いが無い!
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あれじゃ相手をたたきのめすなんて無理じゃないか! 数回思い切り棒を振っただけなのに、もう指がおかしいし!
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まるで思い通りに動かず、イライラしていると、お二人が近づいてきた。
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「最初動き始めたときはすごいもんだと思ったが。まぁ年相応の体力といったところだな。仕方ない」
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「そうですね。誰を想定してたのか分かりませんが、竿状武器が相手だったようですね。ここにはない武器ですけど、どこで見たんだか」
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「それにあの動きは、駆け引きを想定したものだ」
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その後、色々と聞かれたが、僕にも良く分からない。相手が何となく見えて、それに対応する様な動きをした、としか言い様がない。戦いを見たのは今日が初めてだし、父はそういうのとは無縁だし。
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多分、前世の人繋がりなんだと思うけど、見張りの人は誓言を受けてないのだから言わない方が良いんだろうと思い黙ってた。
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その後、庭を走り回ったり、剣を実際に振ってみたりと色々した。鬼ごっこみたいに逃げ回るのは楽しかったけど、戦士様の顔がちょっと怖かった。
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結果としては、体力不足みたい。今後鍛える、と言われたけど。僕戦う人になるのかな? 術も好きなんだけどな。
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【タイトル】
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013 目的と方針1
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【公開状態】
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公開済
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【作成日時】
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2017-06-27 16:44:08(+09:00)
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【公開日時】
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2017-06-27 16:44:08(+09:00)
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【更新日時】
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2017-06-27 16:44:08(+09:00)
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【文字数】
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3,709文字
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【本文(87行)】
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武術と体力の測定が終わった後しばらく休憩して、闘気法と探索術の試しをしたんだ。闘気法は、エーテルを魂倉から全身に回して体を強くするのが基本なんだって。鋼のような体になって、鬼のような力を持ち、影のように走り回る事も出来るそうなんだけど、戦いながら使い続けるのはかなり難しいみたい。
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僕は一応戦う構えをしたまま四拍呼吸をして魂倉からエーテルを動かそうとしたけど、止められた。既に魂倉にあるものを使うように、だそうだ。確かに武器で戦ってる最中に四拍呼吸をする間があることはないよね。
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魂倉からあふれた黄金のエーテルが体の隅々に行き渡って、体が活性化するイメージ。そしてさっきと同じように相手を想定して動くと、かなり長く動くことができた。さっきよりヘトヘトになってない。これ便利だなぁ。
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『ねぇロジャーおじさん、魂倉の残量は?』
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『消費は全体の2%前後ですな。1分で1%の目安かと。まだ燃費の改善は可能だと思いやすぜ』
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『分かった、ありがとう』
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長いと思うか、短いと思うか。魔物相手の遭遇戦なら余裕があるけど、戦場に入ることを考えれば、短いのかも。
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お二人の評価は、まぁまぁ。続いて探索術。これはあまり王都などでは評価が低いそうなんだって。下品とかで。でも、野外活動でもなんでも情報は必要だと思う。
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これは四拍呼吸しながらで構わないそうで。ただ、体中の毛穴から、薄くエーテルを出して広げることと、相手に感づかれないように大気に溶け込ませるようにしなさいと言われた。
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四拍呼吸からアレンジする。息を細く長く吐く。自分を中心に波が広がるようにエーテルを広げる。体にまとうようにエーテルを押し出そうとするけど上手く行かない。体から漏れるのだけど、それを広げることができないままだった。
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しばらく続けたけど、埒が開かない感じだったので目を開けた。
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「どうした、サウル」
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「上手く行かないみたいで……あ」
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お二人の向こう、神殿の方向に人が3人いる。大人の男女、僕と同じくらいの女の子が一人。
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「よー! マルコもパストルも久々だな! 何やってんだ? いじめか? ギャハハハハハ!」
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と、赤地に黄色のストライプのローブを着けた男性が大きな声を出す。大きな声で笑ったと思ったら、倒れ込んで咳き込んでる。ローブが真っ赤なのでまるで血の花が咲いているみたい。背の高い体に張り付くような黒服を着た大人の女性は、背後の荷物を開けて何かを探すようにしている。もう一人仕立ての良いふわっとした服を着た女の子が慌てた様子で男性の背をさすっている。
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戦士様が早足で寄っていき、見張りの人が神官様と奥様を呼びに行く。
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僕は、新しく来た人達の方に歩いて行った。戦士様も男性の腰に下がった水袋を出して飲ませようとしているが上手く行かないみたい。
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そうしているうちに、大人の女性が何か細長い透明な入れ物を取り出して、栓を抜いて、男性に飲ませる。術が加わった薬なんだろうな。すぐに男性は調子を取り戻した。
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「アラン、良く来た! しかし、相変わらずだなぁ。セレッサさんも相変わらずお美しい。そして、その小さな子は以前話してた子?」
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神官様がやってきて呼びかけた。アランと呼ばれた赤いローブの男性は立ち上がり
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「おう、セリオも相変わらずだな! 女と見りゃ声かけやがって、ジジイは自重しろよ!」
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「アラン様」
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黒服の女性が名前を口にした途端、アラン様? がシャキッとしたのは面白かったな。女性の両目に何かガラスの枠のような物が付いてるけど、あれなんだろう? 指でくいっと直す仕草がカッコイイ。
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ともあれ、食堂に僕たちは場を移した。といっても僕と奥様と見張りの人はお茶の準備とかしてたけどね。
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僕が食堂に戻ると、大きな机の上に鑑定機が載っていて、神官様とアラン様が何やら話していた。座ってなさいと言われたので、適当なとこに座ると、小さな女の子が近づいてきた。さっきの子だ。フワフワで、つややかな黒髪をおかっぱにしている。
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「あ、あの! わたしはハンナです! よんさいです!」
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「えと、僕はサウル。5才だよ」
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ハンナ、ハンナ……。聞かない名前なのに、何か懐かしい。そして胸が痛む。申し訳ない気持ちがわき上がる。思わず頭を撫でた。
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ハンナはちょっとビクビクしてたけど、僕が頭を撫でるとにへーーっとしてる。思わずあごの下を撫でたくなるけど、女の子にしちゃ駄目な気がする。
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「ハンナちゃんはどこから来たの?」
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「ハンナはおうとエスパのシンセロイ大学からきました! いつもはアラン様やセレッサ様達といっしょ! とおくにくるのははじめてだよ!」
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「そうなんだ、えらいねぇ」
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