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朱に交われば赤くなる、みたいな? まぁこれもコウタロウライブラリが元だけど。 |
一応おざなりに警戒しながら、軽食を食べながらアレハンドロに向かって帰る。 |
道の両脇には木の枝が張り出してて、そこから日差しがきらきらと入り込んでくる。風は吹いてるけど、ちょっと暑いね。30度近いのか。ホバリングの風をちょっと流用して涼しくなろう。 |
蝉が五月蠅いなぁ。あれって食べられるのかな? |
お腹減った。おっと、今リンゴ囓ってたね。あっはっは。 |
なんかロジャーさんの冷たい視線を感じる。 |
一応、5時前には帰り着いたか。ふう。3時には帰っておきたかったんだけどな。見積甘かったね。 |
組合に戻ると窓口のパティさんがびっくりしてた。1日で戻るって言ってたのは冗談だと思ってたみたい。 |
確かに探索術無しのソロの場合、夜行性のゴブリンを倒すには、罠を仕掛けて待ち構えるのが普通だよね。 |
ちゃんと僕が未加工の新鮮な魂倉を4つ取り出すと、パティさんは僕の後ろを見た。 |
「本物だ。事前情報と違い、四体のゴブリンを発見しその全てを殲滅した。受領証のサインも正統に行ったのを確認している」 |
フラム様が何故か得意げに告げた。 |
「本当だ。俺たちもちゃんと見た。この子供、いや、サウルは使命を果たした」 |
と、黒剣団のゴードンさん。 |
「分かりました。ではサウル君、受領証の提出を。……確かに受け取りました。これから審査に入りますので、フラムさんと黒剣団の皆さんは会議室へどうぞ。サウル君は、組合内で待っててください」 |
僕が休憩スペースに入ると、依頼を終えて暇な大人達がわっと寄ってきた。だから早く帰りたかったんだよ……。 |
僕がかすり傷一つ負わずゴブリン四体を倒したのを知ると、大人達は大興奮。どうやって倒したんだ、とか、ホバリング見せてくれとか、投げ矢はどこで作ったんだ、とか。質問だらけだった。 |
投げ矢については色々アドバイスを貰って助かった、かな。 |
精霊術の使い手が似たような事をしてるとかで。精霊術の場合は、風の精霊に矢を飛ばしてもらう都合上、軽くしてるとか。そのためにどうしても使い捨てになって中々使えないとか。鳥の羽のように大きな矢羽根にしてる人も居るとか。見せて貰ったけど、ツバメみたいで格好良かったなー。 |
ワイワイ話してるうちに「サウルの昇格前祝い」の宴会になっちゃって、会議室からの迎えが来た時には、サウルコールが始まって恥ずかしかったよ……。 |
本来10級から9級への昇格なんて、窓口で済ませるそうなんだけど、僕の場合はちょっと特殊なので会議室に呼ばれる事に。 |
会議室にはパティさんが招き入れてくれた。見た目は少年だけど中身は6才だからね。中には中年の男性が正面に二人、黒剣団の皆さんとフラム様が左に。 |
僕が一番手前に腰掛けると、正面のおじさんが口を開いた。髭がダンディなだね。黒髪の中にアッシュが混じっていて中々モテそう。 |
同じ黒髪なのにロジャーとはずいぶん…… |
『坊っちゃん、何を仰りたいんで?』 |
『なんでもないよ?』 |
「君がサウルか。私はドーソン。組合長だ。コミエ村のセリオ司祭には以前お世話になった事がある」 |
「はい。コミエ村のサウルです。今回は特別審査を行っていただき有り難うございました」 |
「ほう、殊勝な事を言うな。良い心がけだ。そのなりで6才。不思議な術の使い方からすると貴族か何かかと思えば、字も習った事のない貧農の出身。色々とアンバランスな子供だな」 |
「ありがとうございます」 |
「今のは褒めてないぞ」 |
ドーソンさんは顔をしかめた。 |
「まぁいい。結論を伝えると、君は9級に昇格だ。今後は普通の登録者と同じように昇格できる。ただ、君のタブレットは余り見せない方が良いだろう。ややこしい奴が興味を持ちそうだからな」 |
「ありがとうございます!」 |
「君はどこで活動する予定だ?」 |
「当分は、ここを拠点にします。コミエ村に定期的に通いますので」 |
「コミエ村はずいぶん遠いはずだが……。あぁ」 |
「はい。ホバリングがありますので」 |
さすがにその日のうちに往復可能とまでは言わないけどね。高度が出ないのが玉に瑕だけど、ホバリングは川の上も渡れるから、アレハンドロからコミエ村は一直線。寒さと顔に張り付いてくる羽虫にさえ目をつぶれば、バスカヴィル商会を出て2時間も有ればコミエ村に着くんだよね。 |
馬車でコミエ村からアレハンドロに来たときには5日掛かってる。泡倉の本当の大きさを言えなくてもこれは凄い事になると思う。 |
そこからは事務的な話が幾つかあり、解散となった。 |
「おい、サウル」 |
僕が会議室を出ようとしたとき、黒剣団のゴードンさんが声をかけてきた。 |
「はい?」 |
「今日は済まなかったな。だけど、今日からは同じ組合員だ。先輩として歓迎するよ。よろしくなサウル」 |
「こちらこそよろしくお願いします。先輩」 |
あれくらい、気を悪くする事じゃないからね。 |
【タイトル】 |
044 夏の夜の妖精 |
【公開状態】 |
公開済 |
【作成日時】 |
2018-08-07 07:16:03(+09:00) |
【公開日時】 |
2018-08-07 07:16:03(+09:00) |
【更新日時】 |
2018-08-07 07:16:03(+09:00) |
【文字数】 |
2,592文字 |
【本文(105行)】 |
冒険者組合には級があって、貢献度や実力によって10級から0級の11階級があるんだって。 |
僕がさっきまで入ってた10級は、見習いと呼ばれてる。非戦闘依頼だけが許可されてて、子供や街の徒弟が採取をするために入っていたり。怪我をして戦闘が出来なくなった人が席を残すために利用していたり。 |
9級は参入者、8級から7級は修行者と呼ばれ、6級から3級が冒険者と呼ばれる。つまり6級が一人前と認められる感じらしいね。でも小さい街とかだと7級でも当てにされるとか。 |
その上は、2級の到達者、1級の超越者、0級列神。ただ2級から上は実際にはいないんだって。一応、このアガテ王国の建国者である初代女王アガテは2級だったという話だけど。 |
それ、1級と0級作る意味あったのかな? |
そんな感じの事を僕は聞いていた。 |
飲み屋のカウンターで、ゴードンさんから。 |
ゴードンさんは、僕の審査に来てくれた黒剣団のリーダーさん。ちょっと暴走気味だけど、正義感の強いまっすぐな人だと思う。詐欺とか直ぐだまされそうだけどね。 |
Subsets and Splits
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