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酷く冷静に投げ矢を取り出すと、その場からたたき込んだ。近づきたくなかった。 |
ほんのちょっと、返り血が足に掛かった。 |
ホバリングを解除し、へたり込む。 |
初めて人型の何かを倒した。 |
人によっては吐いたり、異常な行動を起こしたりすると聞いたけど、僕はそうじゃなかったようだ。 |
それはそれで冷血なようで嫌なんだけど。 |
ただ、酷く消耗した。疲れたと言うより消耗したと言うのがぴったりくる。 |
コップを取り出し、冷えた水を出す。勿論四大術でね。甘いモノを持ってくれば良かったなぁ。 |
5分もすると一息ついた。 |
立ち上がろう。まだやらなきゃ行けない事がある。 |
魔物にも魂倉がある。肉体が死んでも魂倉が残っていると、復活する事もあるそうだ。肉体に依存していると滅多にそうならないそうだけど。 |
そして肉体から離された魂倉は、特殊な処理をされ、術理具の材料になる。残った肉体は魔物からただの肉になり、瘴気をまき散らす事はなくなる。 |
冒険者組合から討伐依頼を受けた場合には、魂倉がその証明になるし、分解しきる前に採取した特殊な部位は、魂倉と同じような加工をする事によって様々な物に使われる。 |
魂倉をかっさばかないといけないんだよね……。 |
腰に差した短剣を抜き、ゴブリンの下腹部に刃を刺す。 |
「くっ、臭い」 |
思わず吐きそうになったので、慌てて距離を取る。 |
僕からゴブリンの方へ強風を吹かせて、採取を再開。 |
「あー、これ、かな?」 |
内臓の中に埋まった魂倉を傷つけないように取り出す。 |
「……うえー、きたない……くさい……」 |
風を流しても多少は臭い。どんだけ臭いのゴブリン? |
水をじょぼじょぼじょぼーーーーっと流し、手と短剣と魂倉を洗う。後三体有るのだから後でまとめて洗えば良かったんだろうけれど、だってやだもの。 |
「なんとか、遠隔で取り出せないかな……。うえええええ」 |
ブツブツ言いながら魂倉を取り出していったんだよね。最初にぶっ飛ばした二体も魂倉残ってて良かった。肉片と一緒にシャワーになってたら探すの大変だったよ……。 |
戦闘自体は1分もかからなかったのに、後始末は30分以上掛かった。うえええ。夏の暑苦しい空気、蝉の声、ゴブリンの血肉の匂い。もうほんとたまらないよ。助けて欲しい。誰だよ、ソロでやろうとか言ったの。 |
はぁ。 |
幸いなのは、ゴブリンには採取部位が無いところだね。もっとも。もし採取部位があっても放棄しただろうけど。 |
くさーい。 |
何かコータローライブラリに無いか探すよ。次の依頼までの課題だね。 |
周囲の土を集めて、ゴブリンの死体をざっくり隠す。2日もすれば死体は消えるんだけど。ちょっとだけ匂いを隠したかっただけで。気分の問題で余り意味は無い。野生生物が掘り返そうと思えばあっという間。まぁでもいいさ。その場に僕はいないだろうからね。 |
身を隠す必要も無くなったので、ホバリングでさくっと帰還するよ。 |
まだ手足の力がちゃんと入らないしね。これで襲われたら死んじゃう。 |
さっさと戻ろう。 |
なんか疲れたよ……。 |
村の周辺に到着したのはまだ11時前。ホバリングのままで帰るとびっくりされるだろうから、歩きに切り替える。まぁ狩人の人達にはバレてると思うけどね。 |
余りに早い帰りに、村の人達は不思議な顔をしてたよ。 |
僕が革袋から魂倉を取り出してみせると、大騒ぎになった。 |
黒剣団の皆さんとフラム様は遅れて到着し、僕がもみくちゃにされてるのを助けてくれた。 |
ホント助かったよ。うちの娘やるから、とか言われても僕6才だし。結婚無理なんですよ、といっても信じてくれないし。タブレット見せても字を読める人居ないし。 |
もうほんと大変だった。 |
【タイトル】 |
043 参入者へ5 |
【公開状態】 |
公開済 |
【作成日時】 |
2018-08-05 15:50:08(+09:00) |
【公開日時】 |
2018-08-05 15:50:08(+09:00) |
【更新日時】 |
2018-08-05 15:50:08(+09:00) |
【文字数】 |
2,948文字 |
【本文(90行)】 |
結局村を出たのは午後2時を過ぎていた。 |
泊まっていけとうるさい村の人を引き剥がして村を出るのは苦労したよ。ソロの僕が突発的に数の増えたゴブリンを難なく倒した事。その数が四体だった事。さほど時間も掛けず帰ってきた事が村の皆さんを興奮させたみたいだね。 |
普通は、突発的に数が増えたら、それも倍になったら作戦の組み直しに一時撤退するのが当たり前。ソロなら応援を呼ぶべき。たとえゴブリン相手でもね。 |
ゴブリン四体は、ソロに取っては致命的。黒剣団の皆さんは介入するつもりだったみたいだね。フラム様はオーガでも出なきゃほっとくつもりだったらしいけど。それはそれで酷い気がする。 |
それと時間。山歩きがさほど得意でも無さそうな僕が、巣穴までまっすぐ行ってさっと倒して帰ってきた。 |
まぁ確かに有望に見られるかなー。 |
帰りもホバリングでゆっくり進む。別に歩いても良いんだけど楽だし。 |
皆さん後ろで小さい声でお話ししてたので、僕はぼんやりと反省していた。 |
まずはびびった事。ソロでは致命的。たまたま正気を取り戻したから良かったけど。でもこればっかりは実戦をこなすしかないのかな? |
次は投げ矢の精度。あれは四大術にも普通にあるボルトの術をアレンジした物。四大術は、純粋に思念だけで現象を起こすより、何か《《助け、触媒》》があると難易度が下がったり副次効果が付いたりする。難易度下がる分、威力を上げる事も出来る。そこで射出するものを投げ矢で代用したんだよね。 |
後、発射原理も念動のような物から空気圧に変えたんだ。そっちの方が物理法則に近いから、楽。 |
威力は凄かったね。申し分無いかな。当分挽き肉は見たくない。ただ、投げ矢を後ろから押すだけだと、ずれちゃうね。最初の二本は上手く行ったみたいだけど、三本目は胸じゃなくて太ももだった。あの辺りは無風だったんだけどね。何か誘導する物がいるかも……。 |
あ、ほほう。カタパルトってのがあるのかー。ありがとうコウタロウさん。 |
後は最期の《《ランスアタック》》(?)。ぶっつけ本番だったけど、上手く当たってよかったよ。コウタロウライブラリに、なんでランスアタックの動作が入ってたかは分からないけど。あのおデブのコウタロウさんが馬に乗ってる様子なんて想像付かないな。 |
そういえば、新しい知識を取得したときに頭痛がしてたけど、最近そうならないなぁ。痛くない方が助かるけどね。沢山知識を得て知能が上がったから、かな? |
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