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「中々酷い話ですね」
 僕は喉をわざとらしくさすりながら言ってみた。色々言われてるだろうなとは思ったけど、そこまでだったかー。
「それで僕が見慣れない事をしてるから、つい、と」
「すまん」
「そもそもあなた方は不正がないか見守るのが仕事の筈。糾弾は組合の仕事では?」
「すまん」
「悪気が有ったわけじゃ無いんだ。ただちょっとリーダーは正義感が強くって……」
「ロブさん、悪気がなければ良いという物じゃないでしょう?」
 あぁもう。
「まぁいいですけど。採点は公平にお願いしますね? 後、今後もちょっと変わった事しますけど、後で解説しますから一々突っ込んでこないでくださいね?」
「分かった。気をつける」
『傑作だな! おい、サウル! お前の方が年上みたいじゃねぇかよ!』
 と、クールに見守ってたように見えるフラム様。裏では大受けだった模様。
 さて、森の奥に進んでいった事、とりあえず二体が動いてるのは間違いなさそうだ。じゃぁ、後は。ゴブリン達の進行方向に絞って術を掛ける。
 するとゴブリンのすねから下だけが現れて、スタスタ歩き始めた。全身見る必要も無いだろうしね。
 後ろがざわりとしてたけど、無視。もうめんどくさいから引き離そうかな。
 そう思ってたら、さすがに気配が消えたよ。うん。
 しばらく進むと、木の枝や下生えが雑に乱れている事が増えてきた。近い。
 音を立てないように気をつけて移動する。物陰を選びながらね。
 見つけてしまえばどうとでもなると思うけど、逃げられたら困る。
「ギギッ!!」「ギャギャッ!!」
 鳥のような、猿のような声の方を見て見ると、2m程の崖というか段差に、穴があった。そこにゴブリンが、四体いた。元気で、何か武器を持っている2体と、穴の付近でぼーっと動きの鈍い二体。
 鈍い方は、村での戦いを生き延びたのかな?
 まぁあれなら行けるかな。
 ただ、真っ正面から突っ込んでいけばさすがに怪我をしそうなので、ここでもう一工夫してみよう。
 実戦投入は初めてだけど、魂倉でシミュレートして泡倉でも練習してる。問題は無い、はず。
【タイトル】
042 参入者へ4
【公開状態】
公開済
【作成日時】
2018-08-04 16:33:47(+09:00)
【公開日時】
2018-08-04 16:33:47(+09:00)
【更新日時】
2018-08-04 16:33:47(+09:00)
【文字数】
2,345文字
【本文(103行)】
 さて、えいやっ! と、飛び込んでバッタバッタと切り裂くことも可能だけど、それではもしかして、ということもあるわけで。
 策を弄しましょうかね。
「クリエイトシャドウ。 1体 30m 匂い付き 音付き」
 パラメータを付けて起動すると、僕とゴブリン達の間にある茂みに人の気配が生まれた。僕のエーテルを直接流し込んで、匂いと音も付けている。でも、見た目は何かぼんやりした影。
 ようは囮だね。
 じゃれ合ってた元気なゴブリン二体が、おっかなびっくり茂みに歩いて行く。手に持ってるのは柄の折れた槍とぼろい鉈、かな? 多分。
 さて、次。
 泡倉から20cm程の長さの妙に細い投げ矢を3本取り出す。鈍い色をした投げ矢は、金属製。矢羽根もね。普通なら投げられないから、注文したときは装飾品かと思われたみたいだね。
 さてこれを僕の前に浮かべて、矢尻の後ろに思い切り圧縮した空気を置く。
 ゴブリン二体は何も疑う事無く、茂みに近づく。足を止める。
 風もないし、上手く行くはず。
 二体は顔を見合わせ、茂みに折れた槍を……
 上手く……
「ギーー!!」
「い、いけ!」
 一瞬ためらった僕は
 ゴブリンが叫び
 反射的に投げ矢を
 ボリッと音が
 ゴブリンの背中に噴水
 赤い白い
 ゴブリンはたおれ……
 どうしよう、ぼくはぼくh
「ギーー!!!」
 その声にはっとすると、崖の穴の二体が立ち上がってる。今準備の出来ている投げ矢は1本。咄嗟に発射すると、立ち上がりかけたゴブリンの一体の太ももに刺さった。
 残った一体は僕の場所が分からず、その場でギーギーと叫ぶ。
「っ行くぞ! ホバリング!」
 村に来るときの比じゃないスピードと爆音。僕は隠れ場所から飛び出すと泡倉から片手槍を取り出す。立ち上がり叫ぶゴブリンの元に一気に滑り込む! 反応できないゴブリンの胸に穂先を埋め込み、通り過ぎた。
「残り一体!」
 生き残ったゴブリンは弱々しく声を上げ、うごめくばかり。僕と戦える状態じゃない。でも討伐しなきゃ。
 ホバリングの状態からゴブリンを見下ろしていると、僕は両手両足共にガタガタと震えているのに気づいた。何時間も鍛錬した後みたいに震えてる。息も荒い。
 白兵戦で格好良くって思ってたんだけど、無理だね。