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相変わらず金のエーテルが漏れている僕は、いつもより出力を出せる。 |
ここに来るときだって死ぬかと思ったのに、また同じ、いやもっと危ないことをしようとしてる。 |
ドンッと大きな音が鳴ったと思ったら、僕の体は森の木々より高く飛んでいた。 |
ふわりと浮遊感を感じた次の瞬間、もう一度大きな音を立て風の管は僕を地面にたたき落とす。 |
そのまま落ちれば僕は小鳥の卵のように潰れただろう。 |
だけど、ホバリングに続けて自動発動した風の繭は何とか僕を守り切った。 |
アラン様と馬車の間。無様に転がってるけど、問題ない! かなり痛いけど! 次はもっと良い術開発する! |
襲撃者達が瞬間こっちに注意を向けた、その時。 |
「神聖光条」 |
天の神、主神メトラルが持つ陽の権能。その光をお借りして飛ばす。 |
本来、幻魔や不死の魔物を倒すのに使うが、今回は目くらまし。この術の一番良いところは、必ず狙ったところに当たる所。 |
「良くやった! 石弾!!」 |
アラン様が叫び、一時的に視力を失った相手を大量の石つぶてで吹き飛ばす。数m以上吹っ飛んだ襲撃者は倒れて動かない。落ちた拍子に首と胴が離れ死亡を確認。 |
「くそっ、ガキが一人増えたくらいなんだってんだ!」 |
襲撃者の一人が叫ぶ。そう、神聖光条の悪いのは、直接ダメージの無い所。 |
だけど、もう問題なかった。 |
【タイトル】 |
054 赤の乗り手 |
【公開状態】 |
公開済 |
【作成日時】 |
2018-12-02 17:36:49(+09:00) |
【公開日時】 |
2018-12-02 17:36:49(+09:00) |
【更新日時】 |
2018-12-02 17:36:49(+09:00) |
【文字数】 |
3,190文字 |
【本文(102行)】 |
「……無茶しやがって。ぼろ雑巾みてぇじゃねーか。 |
ちっとだけ。 |
取っておきを見せてやる」 |
アラン様がこっちを見てもいないのに酷いことを言う。 |
「そんな! 僕はまだ!」 |
体勢を立て直し、僕は起き上がろうとした。 |
しかし体が、動かない。そして動かないと言うことを認識した途端、筋という筋、肉という肉、骨という骨に殴られたような激痛が走る。え? なにこれ?! |
「大人しくしてな。あんな動きをしたら熊に撥ねられたようになるのは当たり前だクソガキ。首の骨が折れてねぇのが不思議なくらいさ」 |
神聖光条の影響が無くなった襲撃者が4人、こちらを遠巻きにしている。右下のバックモニターからはハンナが近づくのが見え、同時に僕を支えてくれる。 |
とても痛い。 |
コータローライブラリには痛みに耐える方法もあるし、スキルもある。 |
でも、痛すぎてそれを実践出来ないし、スキルも取れない。 |
次はちゃんと対策する。僕は心に決めた。 |
4人の襲撃者の1人が口を開く。 |
「わざわざ有利な時間を潰してくれて有り難うよ。俺らも面子ってもんがある。冥土の土産にマサース教授あんたの命を頂いていく」 |
「けっ。わざわざ隙を晒してたのにご苦労なこった。冥土の土産は今から見せるもんで勘弁して貰おうか」 |
「何をする気だ」 |
「こうだ!見ろ! ……変身!」 |
アラン様のベルトがけたたましい金属音を奏でる。それは頭がずきり。あぁ。コータローさんの前世にあったバイクのような音。 |
赤と黄色のマントがぐるりと巻き付いたかと思うと、ミイラのように人型を取る。 |
それはまるで赤と黄色の怪人だ。顔は極度に抽象化された仮面のようになっている。目はあるが鼻も口もデザイン上あるだけだ。そこに穴は空いてないように見える。そして、角が、額から二本。そこだけ黒い。アラン様はまるで幻魔に魂を売り渡したかのような赤と黄色の怪人の姿になっていた。 |
次の瞬間、全身が一度青い炎を巻き起こし、陽炎が全身を覆ったかと思えば、赤い怪人から風が吹く。 |
そこでアラン様が、いや怪人が言葉を発した。 |
「変身。赤の乗り手(レッドライダー)。冥土の土産に十分なもんだろ?俺のエーテルと周辺のエーテルをガンガンに集積して鎧の姿を採ったもんだ。まぁ鎧と言うより搭乗型ゴーレムと言うべきだな」 |
「なるほど、それで乗り手(ライダー)、か」 |
「そうだ。……じゃぁ、来な」 |
言葉に合わせて乗り手(ライダー)が手招きし、戦闘が始まった。先ほどの僕の無茶な機動をアラン様、いや赤の乗り手はなんなくこなし。 |
あっという間に戦闘はおわった。 |
まるで劇場で見た殺陣のようだったよ。 |
戦闘が終わると、荷車を覆っていた炎の壁が消え、セレッサさんが姿を現した。沢山いた魔物どもは何とか撃退したらしい。そして、アラン様が元の姿に戻った途端、魂倉の不調で倒れた。 |
30分ほど休息を取り、なんとか神術を行使できそうになると、僕は隠すこと無く行使した。荷車に一緒にやってきた職人さんとご家族さんがいたけど仕方が無い。 |
神術の治癒の術は本来一つしかない。軽症の治療から復活まで全て一つ。しかし、実際には術者の認識が追いつかないため、用途と程度で術を細かく分けている。 |
僕は、診断と治癒の二つで大抵の事に対応可なんだ。これはもちろんコータローライブラリの医学知識の賜物なんだけどね。 |
まぁそれはそうと、僕自身とアラン様の治癒を行った。 |
とはいえ……。アラン様の左手は僕では無理だ。多分神じゃ無いと。 |
だから、魂倉と霊的センターの不調を整え、傷を塞ぐだけになってしまった。 |
「けっ。気にしてんじゃねぇよ。俺を誰だと思ってる? 天才様だぞ? 良く考えろクソガキ。ハンナのあの体を作ったのは誰だ? あ? オレサマだろうが。後は分かるな?」 |
「あぁ、とうとう自分自身の改造の道を歩むのですか? でも、魂倉は駄目ですよ。誰も開腹手術をしながらの霊的作業なんて出来ませんからね」 |
セレッサさん自身も酷い怪我なのに、いつものような軽口をたたけるの、凄いなぁ。 |
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