具体的内容
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| 背景・要因
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| 改善策
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| 記述情報
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values | 人工呼吸器※
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values | 誤った処方内容
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|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
入浴介助後、スタッフ4名で患者を浴用ストレッチャーからベッドへ移動した。看護師1名は患者上半身の浴用ストレッチャー側、業務技術員(看護助手)1名は患者足元の浴用ストレッチャー側、看護師1名と准看護師1名がベッド側に立っており、看護師が患者の身体にバスタオルを掛け、採尿バッグを患者の腹部の上に乗せた。移乗は2段階で行い、まず、ストレッチャーからベッドの端まで移動し、次にベッドの中央まで移動した。2回目の移動の直前、業務技術員(看護助手)がストレッチャーの柵付近に採尿バッグのチューブが引っ掛かっているように見えたため「待って」と声をかけたが間に合わず、移動してしまった。患者が「痛い」と訴えたためバスタオルを外して確認すると、バルーンが膨らんだまま膀胱留置カテーテルが抜けており、尿道口から少量出血しているのを発見した。
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浴用ストレッチャーからベッドに移動する際に、採尿バッグの位置は確認していたが、採尿バッグのチューブの確認をしていなかった。患者の体格が大柄だったため、勢いをつけて移乗動作を行った。業務技術員(看護助手)が、採尿バッグのチューブが引っ掛かっていることに気付いて声を出したが間に合わなかった。膀胱留置カテーテルの抜去防止のためのテープ固定を行っていなかった。患者の身体にバスタオルを掛けていたため、膀胱留置カテーテルの挿入部の観察が出来ていなかった。
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・移動前のカテーテル類の確認は、目視だけでなく手でチューブをたどって確認する。・安全確認の責任者である入浴介助の看護師は、チューブの長さは移動動線で余裕があるかどうかの確認を行う。・全員で患者の全身や周囲を声だし確認し、安全が確認されたらリーダ-の声掛けによって静かにゆっくりと、観察しながら移動する。・スタッフ全員が移動時に同じ項目を確認できるように、チェックポイントをリストアップし、脱衣室に掲示する。・移動動作中は、移動だけに専念するのではなく、患者の表情を観察する担当者と、チューブ類から目を離さない担当者など役割分担し、様々なリスクに対しての安全を確保する。・膀胱留置カテーテルは抜去防止のためにテープで固定する。
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入浴
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救急搬送され、重篤な非ST上昇型前壁心筋梗塞のため入院し、カテーテル治療を行った。翌日早朝、急激な血圧低下をきたし蘇生を行った。急変の原因検索のため血液検査とCT検査を行い、出血などがないことを確認した。血液検査で高カリウム血症に気付き、急変の原因と考えCHDFの準備を進めた。しかし、高カリウム血症による不整脈などは起こっていなかったため、別の原因があると考えた。再度、血液検査結果を確認した際に血糖値13mg/dLであることに気付き、血糖値を補正したところ、血圧が上昇した。しかし、意識の回復は無く、その後、死亡した。
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パニック値の場合、臨床検査技師は主治医に連絡することがマニュアル化されている。主治医に連絡がつかない場合は、各病棟や外来の看護師に連絡することになっていた。臨床検査技師は、病棟(ICU)に連絡すれば、医師も看護師もいるので主治医に伝わると思い、直接連絡しなかった。医師に連絡すると場合によっては怒られることがあった。看護師は、血糖値が13mg/dLであると連絡を受けた際、患者は心肺蘇生中であったため、状況を見て報告しようと思った。しかし、その後、報告することを忘れた。報告忘れに気付いた時には夜勤から日勤への勤務の引き継ぎ時刻となり日勤看護師へ伝えたが、日勤看護師は医師に伝わっていると思い、医師へ報告しなかった。
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・検査結果がパニック値の場合、主治医に直接連絡する。・主治医に連絡がつかない場合、内科系患者は内科系当直医師、外科系患者は外科系当直医師に連絡する。
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nan
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9:30、血糖値がパニック値の38mg/dLであったため、9:33に検査部から外来へ連絡した。臨床検査技師は、応答したクラークに対して「緊急連絡値の報告です。グルコースが38と低値です。主治医への報告をお願いします。」と伝えた。クラークは、当該患者の検査結果を出力し、「検査部よりグルコース38と連絡がありました。確認願います。」と記載しカルテ棚に置いた。9:45に看護師がカルテ棚の用紙に気付き、すぐに担当医へ連絡したが通話中であった。看護師が患者を探して確認したところ、患者は低血糖症状を自覚し飴玉を摂取していた。
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臨床検査技師が「緊急連絡値(=パニック値)」と伝えた際、クラークは「異常値」と理解したが、緊急性があると思っていなかった。緊急連絡値の連絡体制等の院内の手順書がなく、臨床検査技師が外来や病棟に電話連絡していた。
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・検査値がパニック値であった場合の報告手順を作成し、周知する。・その後作成した「パニック値(緊急連絡値)連絡体系図」では、該当する外来診療科または病棟に電話し、緊急を要する検査値のため、主治医に至急連絡するよう伝えることにした。
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nan
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肺腺がん(脳転移、副腎転移、骨転移)と診断された患者に対し、全脳照射施行後、抗がん剤の投与を行っていたが、PD判定となり中止した。次の治療としてクリゾチニブ500mg/日が開始となった。【医師】クリゾチニブ開始後、4回目の血液検査の結果では肝酵素の軽度上昇はあったが、問題となる数値ではなかった。5回目の血液検査の結果でAST211IU/L、ALT181IU/Lと上昇したが、ビリルビン値は0.3mg/dLと上昇はなく、全身状態が良好なこと、抗がん剤の効果が得られていたことから医師は経過観察とした。4日後の6回目の血液検査は退院日と重なったため、医師はキャンセルしたつもりであったが、退院の調整がうまくいかず血液検査がキャンセルされていなかったため実施された。血液検査の結果が出る前に退院手続きが完了していたため、医師は血液検査を行ったことに気付かず、結果を確認しないまま患者は退院した。退院後11日目、初回の外来を受診した際に、ASTが1,443IU/L、ALTが2,362IU/L、ビリルビン値2.1mg/dLであり、確認すると退院日の血液検査の結果はすでにASTが1,096IU/L、ALTが1,443IU/Lに上昇していたことに気付いた。医師はクリゾチニブを中止し、入院加療とした。【臨床検査技師】6回目の血液検査は午前11時に初検結果が出たが、複数の項目が前回値より上昇していたため臨床検査技師Aは再測定を行った。昼休憩のため臨床検査技師Aは臨床検査技師Bと交代した際、医師にパニック値の連絡をしていないことは引き継がなかった。臨床検査技師Bは同時間帯に他の測定器の試薬が無くなり、その対応も行ったためパニック値であることを見落とし、医師への報告はしなかった。【看護師】退院日当日に患者を受け持った看護師は、朝の情報収集の時点で血液検査を行っていることに気付かず、結果の確認をしないまま退院処理を行った。【薬剤師】薬剤師は患者にクリゾチニブが開始となった後、効果や副作用をモニタリングし、また血液検査の結果に異常がないかなども確認していた。しかし退院日当日の指導では、退院後の服薬説明に重点を置いていたため血液検査の結果が出ていることに気付かず、結果を確認しなかった。
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【医師】血液検査のオーダをキャンセルしたと認識し、退院日のデータの確認をしていなかった。抗がん剤は致死的な副作用が起こるという認識が不足していた。また、病棟内での情報共有が不足していた(退院予定時間より早く退院しており、診察ができていなかった)。【看護師】退院日に検査オーダがないかチェックできていなかった。【臨床検査技師】臨床検査技師Aは、パニック値の場合、再測定する前に医師に連絡・確認することになっていたが、今回は再測定を優先した。臨床検査技師Bは、他の測定器の試薬補充に気を取られて、再測定の結果が出た時点でパニック値の報告を見落とした。結果値の判断は、システム上で前回値との比較、基準値のチェック、パニック値のチェックなどが設定されているものの、最終判断は人の目によって確認していた。臨床検査技師が交代する時に、確実な引き継ぎが行われていなかった。パニック値の対応について、項目や数値などは結果を確認する端末付近に掲示されており、対応を促す体制は考慮されていたものの、再測定よりも前に一旦連絡することが周知されていなかった。【パニック値の報告の流れ】1.原則として、当該検査の依頼医または担当医に直接電話連絡する。2.依頼医または担当医が不在等のため連絡が取れない場合は、以下の対応とする。1)外来患者・平日の診療時間内は、各科の緊急患者対応当番の医師に報告する。・平日の診療時間外および休日は、各科の当直医師に報告する。2)入院患者・平日日中は病棟の各科の医師に報告する。・夜間・休日は各科の当直医師に報告する。
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・退院当日に検査オーダが出ていないか確認する。・血液検査や画像検査を行った日の退院は原則やめる。・検査当日に退院せざるを得ない時は、検査結果を確認してから退院オーダを出す。・新規薬剤や希少疾患に対する薬物治療の際には、命に関わる副作用が出る可能性があるという認識を持ち、短い間隔で経過観察を行う。・以前に副作用が出現した場合は、より慎重に経過観察を行う。・患者の検査日やデータの把握に努める。・退院日に血液検査を行った場合は、患者が退院した後でも検査結果を確認する。・パニック値報告に関する取り決めを徹底するよう、再度周知する。・パニック値が認められた場合、結果登録時に警告ウインドウが展開し、検査項目名と結果が表示され確認を促す設定を追加した。・パニック値を認めた場合には、必ず複数のスタッフで認識を共有する。・担当者が交代する場合には、現在行っている検査の状況を確実に引き継ぐ。・引き続き、パニック値報告台帳に、いつ、誰が、誰に、何を報告したかを記録に残す。・経口抗がん剤などのハイリスク薬を服用している場合には、退院時指導の前に検査値の再確認を行い、副作用の早期発見に努める。・パニック値を認めた場合、薬剤部にも連絡されるシステムを検討する。
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患者は、持参薬のホスレノールOD錠を服用していた。手術当日、ICUへ入室し、術後2日目に持参薬がなくなり、当院採用薬のホスレノールチュアブル錠へ変更となった。週末であり、ICU担当薬剤師は患者に面談する機会がなかった。術後4日目、患者はICUから病棟のHCUへ転棟した。HCUでは状態の悪い患者が多く、病棟薬剤師による面談指導は行っておらず、処方内容の確認のみ行っていた。術後14日目にHCUから一般病室へ移動した。術後15日目に病棟薬剤師が服用方法について患者に確認したところ、ホスレノールチュアブル錠を噛み砕かずに服用していたことが判明した。術後2日目から術後15日目の昼までに38錠内服しており、術後14日目の腹部X線画像上11錠、術後16日目のX線画像上4錠が残存していた。
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当院採用薬のホスレノールチュアブル錠はホスレノールOD錠とは異なり、噛み砕いて服用する必要がある錠剤であった。医師・看護師は、チュアブル錠の用法の理解が不十分であった。持参薬から当院採用薬へ切り替える際、患者は噛み砕いて服用するように説明・指導されていなかった。薬袋やPTPシートに噛み砕いて内服するよう注意書きがあったが、医療者管理であったため、気付けなかった。病棟薬剤師は、患者がHCUに入室している間に処方の確認は行っていたが、直接患者に面談する機会がなかった。
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・チュアブル錠(咀嚼錠)は、噛み砕いて服用する錠剤であることについての注意事項の周知を行う(医療安全管理ニュース)。・院内採用薬をホスレノールOD錠へ変更する。
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nan
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ヘパリンナトリウム注14.5mL(14,500単位)+生理食塩液33.5mLを2mL/hで持続点滴を行っており、午前中にヘパリンのシリンジを交換した。昼過ぎから、患者は口渇・動悸を訴え、血液検査(血糖測定は含んでいない)を行ったが、カリウム値が低値である他に異常はなかった。翌朝、患者は嘔吐後に意識消失した。血液検査の結果、血糖値14mg/dLと低血糖であり、血中インスリン濃度が1057μU/mLと異常高値であった。持続点滴を中止し、薬液成分を検査したところ、インスリン製剤の混入が判明した。薬剤の調製を行った看護師がヘパリンとインスリンを取り違え、ヒューマリンR注14.5mL(1,450単位)+生理食塩液33.5mLを2mL/hで約22時間投与していたと考えられた。
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ヘパリンおよびインスリンが使いかけの状態で、同じ冷所の一段違いの棚にそれぞれ保管されていた。薬剤の調製を行った看護師は、バイアルの取り違えに気付かず、インスリンを生理食塩液に混注した。ダブルチェックをした看護師は、クリーンベンチの隣で抗生剤を調製しながら確認作業を行った。生理食塩液はボトルを見て確認したが、インスリンのバイアルはよく見ていなかった。
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・看護師による薬剤調製時のダブルチェックを標準化し、チェックリストを作成した。・ヘパリンとインスリンの余剰分を冷所に保管していたが、冷所保存が必要なインスリンとの取り違えを避けるため、今後はヘパリンの残薬は保管せず、破棄することにした。
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nan
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研修医は、降圧薬(ニカルジピン)の点滴投与中の患者が尿意を訴えたため、点滴のクレンメを閉鎖せず輸液ポンプから外し、トイレへ移送した。その間に降圧薬が急速投与された。
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研修医は輸液ポンプの取り扱いに不慣れであった。輸液ポンプから点滴を外す前に、点滴ラインのクレンメを必ず閉じる手順が遵守できていなかった。
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・研修医に輸液ポンプから点滴ラインを外す際の手順を周知する。・輸液ポンプから点滴ラインを外す前後に医師、看護師の複数で確認をする。
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患者は、安静時は4L/分、労作時は5L/分で経鼻カニューレで酸素投与されていた。10時30分にナースコールがあり、看護師Aが訪室した。トイレに行きたいと言われ、看護師Aは携帯用の酸素ボンベの残量が10MPaであることを確認し、経鼻カニューレのチューブを中央配管から酸素ボンベに繋ぎ替え、酸素流量計を5L/分に設定した。トイレまでの歩行に付き添い、終わったらナースコールを押すよう説明し、トイレから離れた。10時35分にトイレからナースコールがあり、看護師Bがトイレから病室まで付き添った。病室に到着後、患者から、「お風呂に行くかもしれない」と言われたため、経鼻カニューレは携帯用の酸素ボンベに繋いだまま退室した。10時40分にナースコールがあり、看護師Cが訪室した。患者より呼吸苦の訴えがあり、酸素ボンベを確認するとバルブが閉まっており、酸素が投与されていなかったことが判明した。
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前回使用後、バルブを閉じた後に酸素ボンベの圧力計を「0」にしていなかった。使用前にバルブを開栓しなかった。移動中、患者のそばを離れる前に酸素ボンベの残量、流量、チューブの接続等の確認が不十分であった。
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・酸素ボンベの取り扱いに関する取り決め事項(看護手順)を再確認する。・使用後は、(1)バルブを閉じる、(2)圧力計の目盛が0になるまで酸素を放出する、(3)酸素流量計(フロー式)のつまみを閉じる(ダイヤル式の場合はダイヤルを0に戻す)、という手順を再周知する。
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nan
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22時15分に肺炎にて入院し、酸素、点滴等で治療を開始したが、換気不良のため気管挿管をした。その後、人工呼吸器を接続し、SIMVFiO:55%2に設定した。加湿の指示がなかったため、人工鼻を使用した。その後、23時頃より加温加湿器の使用を開始したが、人工鼻を外すのを忘れた。8時40分に臨床工学技士が訪室した際、気道内圧上限アラームが連続して発生し、患者は咳き込み、SpO:89%で、人2工呼吸器と同調していなかった。人工呼吸器の設定はSIMV+PS、一回換気量は380mLであった。呼吸回路を点検したところ、人工鼻が接続されていることを発見した。人工鼻は水分を多く含んだ状態となっていた。
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人工呼吸器の使用時に加温加湿器と人工鼻を併用した。
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・人工呼吸器のチェックを確実に実施する。・臨床工学技士による教育とカンファレンスを継続する。
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nan
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肺移植後の感染に対してデノシン点滴静注用を投与することになった。医師は125mg/bodyを投与する予定としたが、重症系システムに500mg/bodyと指示を入力した。投与開始後、重症系システムの投与指示を確認していた病棟薬剤師が過剰投与であることに気付いた。その時点で約200mgが投与されていた。
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当院のICUでは薬剤のオーダは基幹システムを用いて行い、薬剤の投与指示は重症系システムで行う。今回、基幹システムではデノシン125mg/bodyと処方し、薬剤を取り寄せた。しかし、重症系システムの指示を500mg/bodyと入力したため、過剰投与された。基幹システムは、過剰投与の処方をブロックする機能を有しているが、重症系システムではブロックできない。病棟薬剤師は、注射薬については重症系システムのみを確認している。
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・ICUの重症系システムと基幹システムの連動、もしくは基幹システムにICUの重症系システムを統合することが必要であるが、現時点での対応は難しい。
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医療事故情報
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処方・指示
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朝から開始の内服薬(リボトリール、アミオダロン、ニコランジル)とフランドルテープが基幹システムで処方され、前日の準夜帯に薬剤部より薬剤が届いていた。準夜から深夜勤務者に申し送りを行う際に、GAIAの指示簿に朝から開始されるそれらの薬剤の投与指示がないまま申し送りを行った。深夜勤務者はGAIAに指示がないため、投与をしなかった。
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患者は、胸部大動脈全置換術後に病棟でうっ血性心不全となり、呼吸状態が悪化して前々日にICUへ入室した。当日朝から内服薬が再開される予定であった。
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・基幹システムでオーダされ、薬剤部より届いた薬剤についてGAIAの指示簿に指示が入力されているかすぐに確認する。・翌日から開始であっても、医師に前もって指示を入力してもらう。
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ヒヤリ・ハット事例
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処方・指示
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オノアクト50mg1Vを生食50mLで溶解して投与していた。流量が多くなったため、オノアクト50mg3Vを生食50mLに溶解して投与することになった。GAIAの指示はオノアクト150mgに変更され、溶解濃度が変更になっていた。しかし、担当医師はオノアクト50mg1Vを生食50mLで溶解する内容で点滴をオーダしていた。GAIAの指示と基幹システムのオーダが違うことに気が付き、オノアクトを過少投与していたことに気付いた。
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頻脈に対してオノアクトを持続投与していた。
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・GAIAの指示内容と基幹システムのオーダが違っていないか注意して確認する。・点滴のmg数まで確認する。
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ヒヤリ・ハット事例
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処方・指示
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直腸がんの術後1日目、38度台の発熱が継続し、医師へ報告したところ、メチロン注1Aの投与指示が重症系システムに入力された。この時、医師、担当看護師は基幹システムでアレルギーの有無を確認しなかった。日勤看護師への引き継ぎの際、日勤看護師から、患者にはピリン系のアレルギーがあることを指摘され、アレルギーのあるピリン系の薬剤を投与したことが分かった。医師へ報告し、全身観察および経過を観察したが、異常なく経過した。
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当院の基幹システムは富士通であり、重症系システムはPIMSを使用している。基幹システムでの薬剤処方は、アレルギーのある薬剤を入力するとアラートが出る。PIMSとの連携はなく、PIMSでアレルギーのある薬剤を入力してもアラートは出ない。医師はPIMSに指示を入力する際に、看護師は実施時に、アレルギー情報を確認するようにしているが、確認をしなかった。
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・基幹システムとPIMSの連携が必要であり、システム要望書を提出し、PIMSの担当者と打ち合わせを行い、今後システムを変更する予定である(現在システム変更には至っていない)。・確認を徹底するように再周知した。しかし、ヒューマンエラーをゼロにすることは難しく、システムの変更が必要である。
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医療事故情報
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授乳のためにベッドサイドに母乳を持って行き、ペアの看護師と指示内容を確認した。指示量より5mL少なかったが、PIMSの指示量と基幹システムのオーダ量に相違があったために不足していると思い込み、基幹システムのオーダ量を確認せず、母乳45mLに普通ミルク13%を5mL追加して授乳を開始した。確認の際にPIMSの指示画面で児の名前と投与量を読み上げたが、指さし確認は行っておらず、児の母乳だと思い込んでいた。授乳中にホットキャビネットに16時分の児の母乳が残っているのをペアの看護師が発見し、再度確認すると違う母親の母乳を授乳していた。その時点で哺乳瓶には10mL残っていた。
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児は授乳前から啼泣していることが多かった。児は全量経口哺乳することが出来ているが、消化不良があり、NGチューブを留置して、授乳前に胃内残渣を確認していた。
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・相互確認を行う場合は指さし確認を徹底し、思い込みが起きないような確実な相互確認を行う。・ミルクの指示を受ける場合は、PIMSの指示量と基幹システムのオーダ量を確認するように徹底する。
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ヒヤリ・ハット事例
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GAIAの指示でペプタメンスタンダードを注入した。21時、夜勤看護師が食事オーダを確認すると、基幹システムではアイソカルに変更になっていた。しかし、GAIAの指示は変更されていなかった。また、看護師は医師から変更の連絡を受けていなかった。
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看護師が情報収集した時には、基幹システム、GAIAともに注入食はペプタメンスタンダードであった。21時、夜勤看護師が基幹システムの食事オーダを確認した際、夕方からアイソカルに変更になっていたが、GAIAの指示は変更されていなかった。
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・医師は指示を変更した際、担当看護師またはリーダー看護師に報告する。
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ヒヤリ・ハット事例
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患児(AB型)に輸血をするため、医師は「RCC-LR22単位を30mLずつ分割」とコメントを入れてオーダした。輸血部では、無菌的に30mLずつ4袋に分割し、4日に渡って1袋ずつ投与日にNICUに搬送し、すべて投与された。残りのRCCは元の袋のまま保管していた。12日後、医師は20mLのRCCを6mL×3回、2mL×1回に分割して投与する予定とした。20mLを分割して投与する場合、PIMSに指示を入力する際には実施タイプを「持続」とすべきところ「1回」を選択した。その後、医師は輸血部に電話した。輸血部では、残りのRCCから無菌的に20mLを1袋に分割し、放射線照射後にNICUに搬送した。医師は、RCCを6mLずつ3本と、2mLを1本の計4本のシリンジに分注した。その際、別の医師とダブルチェックしながら薬袋ラベルに輸血のロット番号シールを貼付し、その薬袋ラベルをシリンジに貼付して冷蔵庫に保管した。19時、準夜看護師Aは薬袋ラベルのバーコードと患者のリストバンドのバーコード照合を行い、RCCの投与を開始した。勤務交代時の申し送りの際、看護師Aは深夜看護師BにNICUで輸血をしている患児は現在1名だけであることを伝えた。翌日1時、看護師BがRCCを更新する際、冷蔵庫の左扉を開けたところ、赤色のトレイが2つあり、下のトレイは空で、上のトレイにRCCが分注されたシリンジが3本入っていた。看護師Bは輸血をしている患児が1人だと聞いていたため、他の患児の輸血が残っているとは思わず、上のトレイからシリンジを1本取り出した。看護師Bは、PIMSの経過表の画面でシリンジを照合しようとしたが、照合画面に進まなかった。そのため、医師の指示の出し方に問題があると思い、あとで指示を出し直してもらおうと考えてシリンジを交換した。バーコードで照合ができないため、看護師Bは手書きで実施記録に「0:21RCC-LR6mLシリンジ交換実施」と記録した。7時30分頃、看護師BはRCCを更新した。この時も照合画面に進まなかったため、バーコードでの照合を行わなかった。8時に日勤看護師Cに申し送りを行い、投与中の輸液、薬剤、輸血の投与量や残量をダブルチェックした。11時頃、家族面会時に、他患児(O型)の輸血が誤って患児に投与されていることが家族からの指摘で判明し、直ちに投与を中止した。1本目のRCCは患児に投与するもので間違いなかったが、2本目、3本目は他患児のものであった。
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PIMSに指示を出す際、実施タイプを「1回」とすると、1回実施(照合)をしたら指示が終了になり、バーコード照合の画面に進むことができない。医師は、RCCを20mLで終了すると決めていたので、20mLを1回と考えて「1回」を選択した。しかし、指示の実施が1回しかできないとは考えていなかった。輸血部では、輸血製剤を小分けする際、5枚程度の輸血のロット番号シールを貼付する。輸血製剤には患者氏名とIDが記載された「供給票」(1枚)が一緒に搬送される。NICUで分注したシリンジには、PIMSの指示画面から印刷される「薬袋ラベル」が貼られる。薬袋ラベルには、患者名、製剤名、照合用のバーコードが印字されており、輸血のロット番号シールを貼付していた。ただし、ロット番号シールは輸血製剤に余分に添えられている時もあれば、添えられていない時もあった。看護師Bは、申し送りの内容から当該患児のみ輸血をしていると思い込んでいたため、トレイからシリンジを取り出した時に、氏名を確認しなかった。看護師BがPIMSで2本目のシリンジの薬袋ラベルのバーコード照合を行おうとした際、1本目で実施されていたため、氏名認証の画面から先に進まない状況であったことから、バーコード認証の手順が抜けた。NICUでは、分注された輸血の使用期限を分注後48時間以内とするルールを定めていたが、古い輸血の処分手順が具体的に決まっておらず、気付いた人が処分していた。
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・PIMSと基幹システムとの相互の情報受け渡しが難しく、同様の問題は、手術室や集中治療室の部門システムとの間でも存在する。基幹システムと重症系システムの開発経緯が異なり、両方の利点を有するシステムはおそらく国内には存在しないと思われる。改修については、メーカーに確認中である。・現状としては機器を用いた照合システムでの解決は困難であり、従来からルールとしていたダブルチェックによる照合を行うしかないと考えている。・現場の業務負担の軽減について、ミルクの分注や薬剤の間違いなど、NICUにおける他のエラーも含め、業務負担の軽減を切り口に業務内容の見直しをするワーキングを複数立ち上げた。
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医療事故情報
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CRPが0.3に上昇し、医師は夜間にバンコマイシンを処方した。その際、バンコマイシンの投与量は0.025g(25mg)であったが、誤って「1V0.5gを生食10mLで溶解、そのうち5mLを使用」と溶解指示に入力した。看護師はコメント通りに溶解して投与した。バンコマイシンの開始後3日目にCRPがさらに上昇し、投与量を0.03g(30mg)に変更した。4回にわたり10倍量が投与された。5回目の投与時に看護師は、PIMSの画面のコメントで溶解した量と、注射ラベルに記載された指示量の違いに気付き、計算し直したところ投与量の間違いが分かった。開始後4日目に過量投与に気付いた。
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院内では基幹システム(HAPPYACTIS)を使用し、NICUでは重症系システム(PIMS)を使用している。薬剤部に処方オーダが届くためにはACTISからオーダを行う必要があり、その際、投与量をgやmgで入力する。ACTISへの入力後、PIMSに情報が送信され指示簿となるため、NICUではPIMSの画面で情報を得ている。事例発生時、PIMSの画面では「用量(gやmg)」は表示されず、換算された「液量(mL)」と用法、コメントに記載された溶解方法が表示されていた。以前は、オーダされると自動的に薬剤確認表がプリントアウトされていたが、現在は基本的にはパソコンの画面で情報を得ている。医師は感染の可能性を考え、すぐにバンコマイシンを投与しなければならないと焦っていた。患者へバンコマイシン注0.5g/Vを0.025g(25mg)と指示する際、コメントに「バンコマイシン1Vを生食10mLで溶解後、うち1mLを10mLに希釈し、そのうち5mLを使用」と記載するところ、「バンコマイシン1Vを生食10mLで溶解し、うち5mLを使用」と記載した。バンコマイシンの投与量は250mgとなり10倍量になる。バンコマイシンの開始後3日目にCRPが上昇したため、投与量を0.03g(30mg)に変更した際、前回のオーダをコピー&ペーストして投与量のみを修正したため、コメント内容の間違いに気付かず、300mgの指示になった。夜間であり医師は1人で確認した。薬剤師は、医師がオーダ入力した後、ACTISの画面で用量を確認して調剤したが、夜間であり1人で調剤~鑑査~払い出しを行った。日中は、指示量と希釈方法などが書かれているコメントの内容を確認しているが、コメントの内容の確認はしないまま、薬剤とラベルをNICUに払い出した。NICUでバンコマイシンがオーダされることは少なく、バンコマイシンが2段階の希釈が必要であることを知っている看護師と知らない看護師が混在していた。リーダー看護師は、指示を受けるたびにコメントに記載された希釈方法と指示量が正しいかどうかを計算して確認はしていない。看護師は、PIMSを見て薬剤を調製している。調製の際、看護師同士で指示と薬剤をダブルチェックしている。その際、薬剤部から薬剤とともに払い出された注射器に貼るラベルとPIMSの画面で内容を確認することになっていたが、PIMSの画面のコメントのみを確認した。ACTISでは用量が「g」で表示されていたがPIMSでは「mL」で表示されており、実際の用量が分からないままコメントのみを見て溶解していた。NICUには病棟薬剤師は配置されていない。
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・PIMSの画面上もACTISと同じく「用量(gやmg)」で表示されるよう薬剤のプログラムを一部修正した。・医師は、オーダ時に前回のオーダをコピー&ペーストする際は、内容を再確認する。・看護師は調製前に、コメントの溶解量が指示量と一致するか計算する。・2段階で溶解するなど調製が複雑な薬剤は、溶解方法を表にすることを検討している。また、なるべく溶解方法を分かりやすくするなど、調製を1段階で行えるように変更した。・投与量とコメントの整合性がチェックできる機能を検討する。・NICUに病棟薬剤師を配置する予定である。
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医療事故情報
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子宮癌による両側尿管狭窄に対して、緊急両側経皮的腎瘻造設術を施行した。左腎瘻造設は問題なく施行した。右腎瘻造設時に腎盂内に挿入したガイドワイヤーを引き抜いたところ破断し、断端部より先端が右腎盂尿管内に残存した。なお、右腎瘻は予定通り造設した。後日、破断したガイドワイヤーを経腎瘻的に回収することとして、10日後に遺残したガイドワイヤーを摘出した。
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ガイドワイヤー操作中にやや抵抗があった。ジップワイヤー(親水性のガイドワイヤー)は先端の取り回しがよく使用しやすいため、以前から使用していた。ジップワイヤーは金属針との使用は禁忌という事実を知らずに使用していた。
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・ガイドワイヤー操作時に抵抗があった場合は慎重に操作する。・腎瘻造設時は、腎瘻造設用セット内の金属針と金属ワイヤーを使用することを徹底する。・親水性ガイドワイヤー挿入が必要な場合は、金属ワイヤーにダイレーターもしくはシースを乗せ換えた上で使用する。
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nan
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右鎖骨下より中心静脈カテーテル(ヒックマンカテーテル)を留置した。その際、ガイドワイヤーが上方に行ったことを透視で確認した。透視下でガイドワイヤーを引いている時に軽度抵抗を認めたため、穿刺針とともに抜去した。その際、透視下で体内に金属片が残存していることを認めた。また、抜去したガイドワイヤーの先端15cmほどの部分はコーティングが剥げている状態であった。
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ヒックマンカテーテルには専用のガイドワイヤーがあるが、担当した医師はガイドワイヤーの安定性がよいので以前からラジフォーカスガイドワイヤーを使用していた。この製品は、金属針や金属製外套管に使用しないよう注意書きされており、本来の用途ではない使用方法をとっていた。
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・ガイドワイヤーの操作を行う場合には穿刺針を抜いてから行う。・ガイドワイヤーの選択において用途に合った器具の選択を遵守する。
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nan
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患者が手術室に入室後、麻酔科医師が中心静脈カテーテルを挿入した。医師は、ガイドワイヤーの挿入途中で抵抗を感じ、20cm以上進まなくなり、力をかけたところガイドワイヤーのみ抜去となった。抜去したガイドワイヤーの先端を見てみると、先端部分が通常より細く線維状になっているため、先端部の体内遺残を疑い、X線撮影で遺残が見つかった。急遽耳鼻科医師に依頼し、頚部を切開して遺残部分を取り出した。
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経験不足であった。
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・ガイドワイヤー挿入が円滑でない場合、金属針・ガイドワイヤー・カテーテルなどをまとめて抜去し、金属針で挿入物が切断されないよう注意する。・超音波画面だけでなく、実施者も介助者も手元を観察し、刺入が深すぎないか観察する。・針先は超音波で確認し、慎重に刺入を行い、見失ったら再穿刺を試みる。
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ガイドワイヤー挿入時に抵抗があり、抜去する際にガイドワイヤーのみを引っ張ったところ破損した事例
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透視下で、PICC用マイクロイントロデューサーキットを用い、右上肢から挿入を開始した。キット内の21Gセーフティ針で穿刺し、ガイドワイヤーを挿入した。抵抗なくガイドワイヤーが10cm程度進んだところで、透視で確認したところ、ガイドワイヤー先端は穿刺部から5cm程度の部位にあり、ループを形成した状態で中枢側に進んでいた。ガイドワイヤーを引いたところ抵抗が有り、ガイドワイヤーはアンラベルの状態となった。放射線科血管内治療担当医に連絡し、エコー、透視で、ガイドワイヤーの先端は穿刺部の血管外の皮下組織にあることを確認した。ガイドワイヤーを残したまま、セーフティ針を抜去した。皮膚切開を加え、ガイドワイヤーの抜去を試みたが、操作中にガイドワイヤーの先端1~2cmが切断し、遺残となった。
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添付文書には「穿刺ニードルが刺入された状態でガイドワイヤのみを引き戻さないこと。(針先によるガイドワイヤの損傷や剪断を避けるため)」と記載されているが、今回同行為を行った。また、この内容を知っている医師が少ないということも判明した。当院放射線科ではキット内の金属製の穿刺針でなく、金属製以外の外筒がついた穿刺針を使用しているが、その理由が添付文書に基づいたものという認識では無かった。
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・「穿刺ニードルが刺入された状態でガイドワイヤのみを引き戻さないこと。(針先によるガイドワイヤの損傷や剪断を避けるため)」を院内で周知する。・穿刺針が金属製以外のイントロデューサーキットへの変更を検討する。
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PICC挿入の際にガイドワイヤーは抵抗なく進んだが、ガイドワイヤーのみを引き戻したところ破損した事例
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車椅子への移乗の介助の際、患者が完全に端座位の状態になるのを確認した。理学療法士が靴を履かせる際に姿勢保持が不安定であったため、看護師1名が後ろから支え、もう1名の看護師が右肩と右足を支えていた。端座位になっている、足底が床についているか、車椅子のフットレストがしっかり上がっているか、ロックがしてあるか、移乗しやすい位置にあるかを確認した後、理学療法士が患者の前方、看護師1名が車椅子の後方に入り右臀部を支え、左横からもう1名の看護師が左臀部を支えて移乗を行った。移乗の途中で、患者が「痛い」と言ったため確認すると、右膝下がフットレストに当たっており、出血していた。ガーゼで圧迫止血し医師に報告した。ベッドに戻り外科医師がキシロカインで局所麻酔し、7針縫合して、カラヤヘッシブで保護した。処置中から処置後までバイタルサインの変動はなく、両足背動脈の触知は可能であった。
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介助者が3人いたが、お互いの声かけが不十分であった。それぞれが自分の介助する患者の身体の部位に集中し、患者の足が安全な状態であるか確認が不十分であった。立位から車椅子へ約110度の方向転換時に、両下肢の方向転換が上半身について来ず、膝が右斜めに傾いたことが考えられる。椎体の圧迫骨折などの既往もあり、歩行障害も出現していた。普段のリハビリや車椅子移乗の時に「しんどい」「嫌だ」などの言動があり、説明は行っていたが、移乗に際して患者の協力が得にくかった。
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・複数名で移乗の介助をする時は、事前にお互いの役割確認を行う。・普段から理学療法士と協力し、リハビリの様子などを情報共有する。・安全な車椅子移乗方法を理学療法士と話し合い、統一した方法で実施できるように看護師間でも共有する。
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車椅子へ移乗した事例
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11時半、車椅子に移乗させるため患者に靴下を履かせた。その時は足背部に異常はなかった。車椅子への移乗を看護師1名で行った。車椅子に乗車後、患者は声を出して嫌がり、ベッドを指差しベッドに戻りたいという意志表示をした。側にいた看護師に声掛けし、2名で介助しベッドに戻した。14時、患者の足を観察すると足背部に腫脹と熱感があり、触れると痛みを訴えた。その後、整形外科にて右脛骨遠位病的骨折と診断された。
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看護師1名で車椅子に移乗をした際、車椅子のフットレストに右足をぶつけ、骨折に至った。患者は右足関節部に変形拘縮があり、体重の負荷はかけられない。患者が介助者の身体につかまる事が出来るため、移乗は看護師1名で良いとしていた。体重が35kgであり、1名で介助するには安全面で不安を感じる看護師もいた(その時は援助を依頼する事になっていた)。患者は貧血と低栄養状態で、介助者に掴まる力は低下していたと考えられた。患者を抱きかかえるようにして介助を1名で行うと、患者の足下は見えない。検証すると、1名で介助を行った場合、患者の右足背部は上げられているフットレストに触れる状態にあったので、事故発生の場面では強く当たったことが考えられた。
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・移乗の介助は2名で行う。・当院作成の「骨折事故防止マニュアルの移乗動作時の基本動作」(2人バージョン)に則り行う。
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車椅子へ移乗した事例
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車椅子からベッドへの移乗時、看護師1名で患者の両脇を抱え込み、付き添いの家族が腰を支え、ベッドに戻った。その時に患者が痛みを訴えたため確認すると、左下肢の皮下組織とともに皮膚が裂け、8cm×5cmにわたり筋膜が露出していた。当直医の診察後、皮下組織を4-0バイクリルで可及的に縫合後、3-0ナイロンで18針縫合した。
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患者はベッド上で臥床していることが多く、移乗は看護師による全介助が必要であったが、付き添いの家族がおり、一度介助したことがあったため、看護師1名でもできると思った。車椅子のフットレストが強く下肢に当たった状態で移乗した。ズボンが持ち上がり、下腿は露出していた。全身浮腫がみられプレドニン内服中であり、皮膚は脆弱であった。
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・複数の看護師で介助を行う。・フットレストにバスタオルをはさみ、介助する。・介助者の足を患者の外側にし、患者の足をフットレストから保護して移乗の介助をする。
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車椅子から移乗した事例
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17時頃にリハビリが終了し、病室で理学療法士と看護師の2名で車椅子からベッドへ移乗を介助した。その際に、左下腿がフットレストに接触し、左下腿を損傷した。
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全身浮腫が強く、下腿にも浮腫があり皮膚が脆弱であった。個室から4人部屋に移動後初めての移乗の介助であり、スペースの確保および移乗時の下肢への注意が十分ではなかった。常に2名で介助していたが、それぞれの役割が明確でなかった。移乗時の人員が不足していた。
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・病棟での看護師、理学療法士のカンファレンスの結果、移乗動作の際の介助者を増員することとした。・下肢の浮腫などにより皮膚が脆弱な患者の下肢にタオル等を巻き、皮膚を出来る限り露出せずに移乗を実施する。・患者の全身状態の情報共有をする。
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車椅子から移乗した事例
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15時頃、患者のバイタルサインに問題はなく、シャワー浴の許可も出ていたため、看護師と看護助手の2名でシャワー浴の介助をした。シャワー浴を済ませ、シャワーチェアから車椅子へ移乗する際、患者は手すりを持って立位になり、看護師は背部を支えていた。看護助手がシャワーチェアを外し、車椅子に入れ替えた時に患者が痛いと言い、看護助手が謝罪する場面があった。この時、車椅子のフットレストが左下肢に当たったようであったが、その場で下肢の観察は行わなかった。車椅子に座ってもらい、脱衣所に移動後、着衣介助を行った。左下肢の異常には気づかず、その後は患者からの訴えもなかった。そのため、看護師は担当看護師への申し送りや記録の必要性はないと判断した。20時15分、ナースコールがあり患者から左下肢の痛みの訴えがあった。その際、患者は「シャワー浴中に車椅子にぶつかって痛みがあった」と言った。左下肢は暗紫色を呈し腫脹しており、当直医の診察後、下肢の安静と挙上にて経過観察となる。21時20分、左下肢の腫脹の増強を認め再度当直医が診察した。22時35分、患者より痛みが強くなったとの訴えがあり、当直医指示により鎮痛剤内服したが痛みは軽減しなかった。不穏傾向にあり0時15分にリスパダール0.5mgを与薬し、翌朝まで下肢の安静と挙上、鎮痛薬投与で経過観察することとなった。3時の時点で水疱が形成され、腫脹が増強し、5時に水疱部から血性の浸出液が認められた。シャワー浴中に左下肢を打撲していたことが推定された。翌日、CTにて皮下巨大血腫を確認し、皮膚・血管外科を受診した。CTの結果、筋肉内のコンパートメントはないが、皮下のコンパートメントがあり、植皮が必要となった。
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発作性心房細動のためにワーファリンを内服中であったが、前日のPT-INR:3.19のため事故発生日から中止していたことや、皮膚が脆弱していたことなどから、外的刺激に注意しケアや観察を行う必要があった。しかし、情報の共有が十分ではなかった。ワーファリンを当日から中止していたことに関して、当日の受け持ち看護師は把握していたが、シャワー浴を実施した看護師へは伝えていなかった、シャワー浴用の情報提供用紙には「特記事項なし」としていた。介助した看護師は車椅子のフットレストが下肢に当たった後の観察の重要性を理解出来ていなかったことが考えられる。介助した看護助手は、シャワーチェアと車椅子を入れ替える際、患者の足の位置が確認できていなかった。シャワー浴を介助した看護師が打撲した事実と状況を主治医・担当看護師に報告しておらず、継続した観察ができなかった。シャワー浴の介助を要する患者が多く、時間内に予定患者のシャワー浴を終えなければいけないという焦りがあった。
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・担当看護師とシャワー浴担当看護師間の情報共有・情報交換を行う。・看護助手からの連絡系統を明確にし、文書化する。・看護師が看護助手に移送や介助を指示する際は、看護師の責任のもと、適切な患者情報の提供と指示内容を示し、お互いに確認する。・看護師は看護助手からの実施報告を確認し、患者観察を行い、必要時は記録する。・移乗や動作の前に必ず声かけして足の位置を確認し、丁寧に車椅子を差し入れ、打撲に注意する。・フットレストの位置確認を行う。・浴室でシャワーチェアから車椅子に移乗することを止め、移動タイプのシャワーチェアに変更する(購入予定)。・シャワー浴介助日を分散した。
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車椅子を患者へ寄せた事例
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患者からトイレ希望のナースコールがあった。看護師は、患者を車椅子で病棟内トイレに搬送し、車椅子を真っすぐトイレの中に入れ、患者にフットレストを上げてもらうよう声をかけた。患者は、前屈みになってフットレストを上げたが、不十分な状態であった。看護師はそれに気づかなかった。患者が手すりにつかまって立ち上がり、方向を変えて便座に座ろうとしたため、そのまま車椅子を後ろに引いた。患者が「痛い」と言ったため見ると、左下腿外側を挫創し、出血を認めた。その後、皮膚科医師が診察し、創部洗浄と14針縫合処置となった。
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病棟内に車椅子専用トイレがない。設備構造上トイレの入り口が狭いため、看護師が車椅子でトイレの介助をする際、フットレストが上がっているか観察しづらい。過去にも車椅子のフットレストによる挫創が院内で発生していたが、時間の経過と共にリスク感性が下がっていた。フットレストのカバーとして、クッション性のない物が取り付けられていた。前病棟より、患者は「皮膚が弱いので注意」と情報用紙に書かれていたが、下腿を包帯で保護するなどの対策は立てられていなかった。
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・安全な車椅子使用のための技術教育を実施する。・皮膚が脆弱な患者のケアや皮膚の保護方法についての勉強会を実施する。・患者の情報の共有化を徹底し、看護計画に活かす。・フットレストのカバーをクッション性のあるものに変更する。
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車椅子を患者から引いた事例
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化学療法2日前に、電子カルテの新規作成データベースに患者情報を追加登録したところ、入院時の体重が自動的にひも付けされ、カルテ上入院時の体重が最新の体重として更新、反映された形となった。この体重をもとに化学療法の投与量を設定したが、化学療法時の体重は入院時体重より減少していたため、結果的に過量のオーダとなりその量を投与した。
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電子カルテのデータベースの追加登録により、以前の入院時の体重が自動的にひも付けされ、最新の値として更新され、ケア項目に反映された。
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・化学療法前に、前回の体重と投与量に関して違いがないか、複数人で確認する。・コンピューターシステムを見直す。
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体重間違い
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患者は化学療法の目的で入院した。検温表入力時に体重42kgのところ、違う患者の体重60.9kgを看護師が誤って入力した。この数字で抗がん剤の投与量を計算し、本来投与されるべき量よりも、約17%過量に投与された。
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・検温表へ体重を誤入力した。・検温表の確認が不足していた。・抗がん剤指示書の確認が不足していた。・レジメン登録画面の体重が自動表示された。・初回の化学療法であった。
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○体重の誤入力防止対策・看護師による体重入力方法の手順を作成し、周知を行った。○誤入力発見対策・薬剤師は患者と共に身長、体重を確認する。・医師、薬剤師は体重の履歴をみて、前回の体重と違いがないか確認する。
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体重間違い
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○月19日、入院初日に看護師が身長と体重を計測し、用紙に156cmと記入したが、電子カルテに入力する際に、身長記載欄に356.0cmと誤入力した。26日、外来で化学療法入力を行った際、この誤入力に気が付かず体表面積が2.7m2となったままオーダし、CPT-11150mg/bodyのところ270mg/body投与予定とした。同日に別病棟へ転棟したが、誤入力には気付かなかった。30日、薬剤師は身長の誤入力により体表面積が過大になっていることに気が付かず、化学療法前日調剤準備(処方確認+前日調剤)を行った。その後、前日調剤鑑査、当日調製、鑑査を通過した。薬剤部の調製の際にも気が付かれず、実施確認の際にも気が付かれずに同日患者に過剰投与を行った。翌月10日、day9投与予定であったが、下痢症状が強く、同日緊急入院した。採血所見上は明らかな骨髄抑制や肝腎機能異常は認めなかった。補液を施行して症状は改善し、11日に退院した。12日に薬剤部で翌日に施行予定のレジメン確認の際に過剰投与に気付き、医師に報告があった。
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・患者の身長は156cmであったが、看護師がプロファイルに身長356.0と誤入力したため、自動計算され体表面積が1.5m2→2.7m2となった。・医師は体表面積が1.5m2→2.7m2となったため、CPT-11150mg/bodyのところ270mg/body投与の指示をした。・薬剤師は、体表面積の確認を行っていないため身長の誤入力により体表面積が過大になっていることに気が付かず、化学療法前日に調剤準備(処方確認+前日調剤)を行った。・当日投与確認を行ったが、身長の誤記入に気が付かず過剰投与となった。
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・看護師は電子カルテに身長の入力を行う場合は、前後の履歴を確認する。また、ダブルチェックでもう一度確認を行う。・化学療法入力時の体表面積が2.0m2以上の場合、電子カルテで指示できないようにシステム化を図る。・薬剤部での化学療法前日調剤準備(処方確認+前日調剤)、前日調剤鑑査、当日調製・鑑査の手順を見直し、身長・体重、体表面積を確認する。・投与時に、化学療法治療計画書、直近の身長・体重を確認し、抗がん剤の投与を行う。
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身長間違い
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患者は急性白血病に対して、初回の抗がん剤投与を目的に入院した。看護師は、入院の際に患者の身長・体重を測定し、電子カルテに入力した。その時、身長55cm、体重162.2kgと値を逆に入力した。薬剤部ではがん専門薬剤師が抗がん剤レジメンチェックを行う。薬剤量算出のために参考にするのは、身長・体重をもとに自動計算された体表面積である。がん専門薬剤師が見た用紙には身長55cm、体重162.2kg、体表面積1.141m2と印字されていたが、間違いに気が付かなかった。監査者も調剤者も、体表面積と算出された薬剤量を見て問題ないと判断した。医師は投与する薬剤量がやや少ないように感じた。しかし患者はやせ型であり、標準投与量の下限に含まれる量であったため、あり得る量だと判断した。初回の抗がん剤治療であったため、薬剤に関する詳細な説明が患者に必要だと考えた病棟薬剤師は、がん専門薬剤師に説明内容について相談した。相談を受けたがん専門薬剤師はレジメンを確認したところ、薬剤投与量が少ないと感じた。処方医に減量しているのかを確認したところ「通常用量でオーダしているはずだ」と回答があり、原因を確かめると体表面積が小さく、身長と体重の値が逆に入力されたことによって過少投与になっていることが発見された。
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・看護師は患者が入院する際、多くの情報と書類を取り扱う。特に身長・体重は治療にも関わる重要な値であるため、その値はダブルチェックを行うこととなっていた。しかし入力したか否かの確認のみで、その値は確認されなかった。・電子カルテには前回入力した身長・体重の値よりも5%以上差がある場合、ワーニングメッセージを表示する仕組みがある。しかし当該患者は初回入院であったため、メッセージが表示されなかった。・薬剤部ではがん専門薬剤師がレジメンチェックを行う。用紙には身長・体重と、身長・体重から自動計算された体表面積が印字されていた。体表面積は確認したが、まさか身長・体重の値が間違っているはずはないと思った。・医師は薬剤投与量が少ないように感じたが、全くあり得ない量ではなかったため、再確認しなかった。
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・身長・体重は治療に関わる重要なデータであるため、入力した値はダブルチェックを徹底する。・レジメンチェックの際には、薬剤投与量を算出するための体表面積と、そのもとになる身長・体重も確認する。・20歳以上の患者の場合、身長の値が100cm以下で入力されるとエラーメッセージが表示されるシステムに変更した。・電子カルテバージョンアップの際には、身長の値よりも体重の値が大きくなる場合には、レジメン機能にワーニングメッセージを表示する、あるいはエラーを表示する仕組みの導入を検討する。
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身長・体重間違い
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人工股関節再置換術の手術中、閉創前のガーゼのカウントを器械出し看護師と外回り看護師で行った。総数120枚のところ119枚であり、ガーゼが1枚足りなかった。医師に報告後、リーダー、管理者へ報告した。再度、器械出し看護師と外回り看護師の2人でガーゼのカウントを行いゴミ箱や手術台の下、ガーゼカウントパックを数え直すなど、捜索を行った。しかし、ガーゼは119枚であり再度1枚足りないことを医師へ報告したところ、術野にはないと返答があった。術野の清潔保持のために捜索は後にしてほしいと要望があり、そのまま閉創となった。閉創後、看護師5人で手術室内を捜索したが見つからず、術後にX線撮影し、確認することになった。X線画像にガーゼが写っており、ガーゼが挿入されたまま閉創されたことが判明し、再開創してガーゼを摘出した。
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術野のガーゼの確認が不足していた。狭い術野のため、ガーゼの残存が起こりにくいと考えていた。
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・ガーゼの数が合わない場合は全員が手を止めてガーゼを捜索する。・医師へガーゼカウントの協力依頼を再度周知する。・ガーゼの数が合わない場合、どの時点でX線撮影するか検討し、ルール化する。
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nan
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腹腔鏡下結腸左半切除術の手術中、トロックスガーゼのカウントが1枚合わなかったため、腹腔内を探した。しかし、ガーゼは発見できなかった。患者は、内臓脂肪の多い肥満体型で、通常よりも視野の確保が困難であった。手術中にX線撮影を2回実施し、複数の外科医師と看護師で確認したが、ガーゼを発見することができなかった。診療科部長と手術室師長に相談し、体内にガーゼ遺残がないと判断して閉創した。閉創後、再度X線撮影を行ったが、ガーゼは発見できなかったため、抜管した。ICU入室後、X線画像を反転画像で再度検討したところ、仙骨前面に骨と重なったガーゼを疑う像が判明した。家族に説明後、再度手術室に入室し、腹腔鏡でS状結腸間膜の背側よりトロックスガーゼを摘出した。
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ガーゼカウントでガーゼが1枚合わなかったため、X線撮影を行い複数の医師と看護師で確認したが、ガーゼを発見できなかった。撮影条件は仰臥位で胸部・腹部単純撮影のみであった。ガーゼがX線画像に写ることがなく、どこを探しても発見できない状況であったため、本手術の関係者は冷静な判断ができなかった。また、他診療科への相談や放射線科医師への協力依頼等の連携が行われていなかった。これだけガーゼを捜索してもないという医師の判断で閉創した。抜管後、ICUで反転画像により疑わしい画像を確認した。ガーゼカウントが合わずX線撮影を行ったが発見できない場合や、手術中に使用した器具等が見当たらずX線撮影を行ったが発見できなかった場合などの対応が医療安全管理マニュアルに記載されていなかった。再手術に対しても医療安全管理マニュアルに対応が記載されていなかったため、口頭で説明し、書類による説明と同意を得ることがなかった。
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医療安全管理マニュアルに以下の6項目を追加する。1.体内異物残留を疑う症例の対応・ガーゼカウントが合わずX線撮影を行ったが発見できない場合。・術中に使用した器具等の異残物が見当たらずX線撮影を行ったが発見できない場合。2.遺残理由とこれから行う処置・検査等の必要性とそのリスクについてわかりやすい言葉で説明する。3.緊急検査について(家族への説明・同意を得ること)・X線撮影条件:部位により2方向撮影する。・反転画像の確認を実施する。・CT撮影を実施する。・放射線科医師へ読影を依頼する(可能な場合)。4(.時間内・外を問わず)当該診療科のみで診断(確認)せず、他科医師に依頼し複数の目で診断(確認)する。5.CT撮影に関わる注意点・全身麻酔時、挿管または抜管の判断は、麻酔科医師と相談する。・移送時は複数の医師と看護師で対応する。6.再手術時の麻酔説明・手術説明と各承諾書は説明時にもらう。
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nan
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遠位弓部大動脈瘤切除再建術を行った。閉胸前にガーゼカウントを器械出し看護師と外回り看護師の2名で実施した。外回り看護師は、ガーゼの枚数と重さをカウントする機械(以下、カウン太くん)を使用してガーゼカウントを行い、器械出し看護師は、術野で使用したガーゼを手順通りにカウントした。閉胸前の時点で手術に使用したガーゼの総数が合い、執刀医に報告して閉胸開始となった。閉胸終了後、再度、器械出し看護師と外回り看護師でガーゼのカウントを実施し総数は合っていた。その後、X線撮影して医師が画像を確認した。問題がないということで、患者を手術台から病棟のベッドに移動したところ、助手の医師から弓部ステント直上にガーゼと思われる陰影があると指摘があった。患者を手術台に戻して再度開胸した。同時に、外回り看護師がカウン太くんを使用して再度ガーゼを確認したところ、ガーゼが1枚不足していた。胸腔内よりガーゼが1枚発見された。その後、ガーゼカウント総数が合ったため閉胸した。閉胸終了後のガーゼのカウントも問題なく患者は手術室を退室となった。
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外回り看護師は、カウン太くんのカウンター総数を1人で確認していた。外回り看護師がカウン太くん使用時に血餅などのガーゼ以外のものをカウントした可能性が考えられた。カウン太くんを使用する時は、必ず1枚ずつ入れることをルールとしているが確実にできていなかった可能性があった。器械出し看護師は、術野のガーゼを1人で確認していた。閉胸前のガーゼカウントが合っていたため、ガーゼが遺残しているとは考えにくい状況であった。器械出し看護師は閉胸前のカウント時、外回り看護師と目視でのガーゼカウントを行わなかった。心臓外科手術時はガーゼの使用量も多く、カウントに時間を要する。日中は、外回り看護師2名体制であるが、時間外では1名になる。本事象は定時手術であったが、時間外の体制であった。
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・カウン太くんを使用する際のガーゼカウントの手順を再検討する。・ガーゼカウント用物品の導入、1枚ガーゼから柄付きガーゼ、タオル(ガーゼ15・10・5枚相当)などへの一部変更やICタグ付きガーゼの導入を検討する。
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nan
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腹式単純子宮全摘・両側付属器切除術を行った。閉創前のガーゼカウントは合っていた。手術終了後、手術室から退室する前に腹部X線撮影で異物の有無を確認し、第2助手の医師が異物なしと判定した。手術6ヶ月後の定期受診の際に腹部造影CT検査を実施した。担当医師がCT画像を確認中に、ガーゼの体内遺残の疑いを発見した。
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閉創前のガーゼ・医療材料のカウントが合っていたため、閉創後に撮影した腹部X線画像の確認が形骸化していた可能性がある。また、X線撮影後の画像の確認をノートパソコンの画面で行っていた。ノートパソコンの画面は小さく、確認時にはX線画像を拡大する必要性があった。第2助手の医師は、過去にガーゼの体内遺残の画像を見た経験がなかった。また、他病院から異動した最初の手術であり、パソコンの操作も慣れていなかったと思われる。1人でX線画像を確認し、異物なしと判定した。手術で使用した医療材料のカウントは、皮膚を縫合した後は行っていなかった。
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・手術後のX線撮影による異物の確認は、16cm×28cmのノートパソコンから、27cm×48cmのデスクトップパソコン画面での確認に変更した。・X線画像は、4者(術者・麻酔科医師・手術室看護師・診療放射線技師)の複数人での確認に変更した。・X線画像を「カテ先・ガーゼ強調画像」に変更し、画質の精度を上げた。・手術室内のホワイトボードに使用した医療材料を記入する。・手術安全チェックリストの閉創前の項目に、医療材料を追加する。・閉創前にホワイトボードに記入した医療材料を全て確認する。・手術終了時のX線撮影前に、使用したガーゼ・医療材料をすべて回収し、カウント用紙に記入してある数と一致するか再度確認する。
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nan
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患児は手術の4日前からフロモックスを内服していた。麻酔科指示にて手術当日0時より絶食、11時より絶飲であった。最終食事時間は前日19時、最終飲水は当日10時に水を摂取していた。フロモックスの最終内服は、当日8時であった。手術は14時オンコール予定であったが、15時の時点で手術室から呼ばれていなかった。看護師が訪室したところ、児の活気がなく、GCSはE4V1M4であり、母親より「ぐったりしています」と発言があった。血糖測定を行うと、血糖値20mg/dL以下のエラーが出たため、絶飲食の指示を出していた麻酔科医に報告した。麻酔科医より小児科医に報告後、末梢ラインを留置し、20%ブドウ糖注射液10mLを静脈注射し、血糖値は140mg/dLまで上昇した。
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乳幼児の午後の手術であった。絶飲食時間の設定と家族への説明が不足していた。小児がフロモックスを内服することにより低血糖の副作用が出る可能性があることを知らなかった。薬剤部からフロモックス内服による低血糖について、12年前と6年前に情報提供して注意喚起していた。
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・絶飲食指示に関して、前の手術が延長した際には病棟に連絡し糖分摂取を促す。・小児患者のフロモックスの内服時は、低血糖を生じやすいことを症例検討等で取り上げる。
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フロモックスを内服していた小児患者が低血糖を起こした事例
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担当看護師は、抗がん剤治療の際はケモセーフインフュージョンセットを使用していると他看護師から説明を受け、輸液ラインを交換し、アブラキサンの投与を開始した。開始後間もなくして輸液ポンプの閉塞アラームが鳴り、抗がん剤の投与を熟知した看護師に相談した。担当看護師が交換した輸液ラインはフィルター付のタイプで、アブラキサンはフィルターを通してはいけない抗がん剤であった。フィルターの付いていないケモセーフインフュージョンセットに変更し、その後は予定通り投与ができた。フィルター付きのインフュージョンセット内のアブラキサンの量は不明であるが、破棄することとなった。主治医に過少投与について報告した。
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担当看護師は抗がん剤投与を経験したことがなく、知識・技術が不足していた。病棟に異動直後で慣れない上、やるべき事が多々あり焦っていた。そのため、マニュアルを確認する時間の余裕がなく、先輩看護師に確認しながら抗がん剤投与を行おうと考えていた。しかし、先輩看護師は多忙で確認できないまま、他看護師に確認しながら自己判断で行った。当病棟では抗がん剤を投与する機会が少なく、熟知している看護師は少ない。特に、アブラキサンを投与する機会は少ない。抗がん剤は調剤室で作成されており、フィルターを通してはいけないという注意書きの紙が添付されていた。
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・抗がん剤投与時の注意点や看護、ケモセーフの操作手順について学習し、知識・技術の習得を図る。・抗がん剤投与時は看護師2名で確認しながら行う。・フィルターを通してはいけない抗がん剤があることを周知した。・病棟薬剤師にも相談し、あらかじめ抗がん剤がオーダされている患者については、注意事項があれば、担当チームの看護師に伝えてもらうようにした。
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アブラキサンをフィルター付の点滴ラインで投与した事例
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患者は人工呼吸器管理となり、プロポフォールとカテコラミンが投与されていた。シリンジポンプで投与するため、プロポフォール1V100mLを50mLの注射器2本に分けて使用していた。1本の注射器にはバーコードラベルを貼り、残りの1本には手書きラベルを貼った。深夜帯で7時頃にカテコラミンの残量アラームが鳴り、事前に準備していた注射器を交換した。手書きのラベルが貼ってある注射器であったため、交換時にバーコード認証はしなかった。8時頃に病棟師長が訪室すると、プロポフォールが重複投与されていることを発見した。
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薬剤を交換する際にダブルチェックをせずに1人で行った。交換後に薬剤ラベルの確認をしなかった。多忙であり、ナースコールも非常に多く、ダブルチェックや交換時の確認をしなかった。他チームの看護師も多忙であり、ダブルチェックの依頼をしにくかった。部屋の電気をつけず、明かりが不十分な環境で交換した。
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・薬剤を交換する際にダブルチェックを行う。・薬剤交換時には部屋を明るくする。・訪室時に投与経路、薬剤名、投与速度等の確認を行う。・患者のバイタルサインをモニターする。・ダブルチェックの方法を検討する。
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シリンジポンプでプロポフォールとカテコラミンを投与中に注射器の交換を誤り、プロポフォールが重複投与された事例
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血漿交換中に患者の血圧が低下し、昇圧剤などで対応していたが、改善がなかったため、血漿交換が中止となった。その後、回路内の血液を返血する際に、FFPのラインのクレンメが閉じており、血漿交換中に投与ができていなかったことが判明した。血漿交換の装置は正常に動いていたため、事象が判明するまで、1時間30分で1700mLの除水となっていた。
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看護師が血漿交換中にFFPのバッグを交換した際に、ラインのクレンメの開放を忘れた。GICU看護師の血漿交換装置に関する知識が不足していた。臨床工学技士は装置チェックの時間間隔を遵守していなかった。点検項目が決まっていたが、観察が不十分であった。血漿交換のマニュアルがないため、血漿交換中の操作方法に個人差があった。血漿交換時の臨床工学技士と看護師の役割が集中治療室と透析室とで異なっていた。GICUに入室している他の患者が急変し、多重課題となっており、本来、血漿交換装置のアラームが鳴る前に対応すべきところ、アラームが鳴ってからの対応となっていた。GICUでの血漿交換療法施行中の患者管理の責任の所在が、主治医、腎臓内科、麻酔科間で曖昧であった。
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・集中治療部、臨床工学部、血液浄化センター、関連部署と共に以下を実施する。1)血漿交換療法マニュアルの作成とその後の遵守。2)血漿交換療法の勉強会の実施。3)血漿交換療法チェックシートの改訂。・血漿交換療法時のブリーフィングおよびハドルを実施する。
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血漿交換時にFFPが投与されず、血圧が低下した事例
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内視鏡治療の際、医師は「ミダゾラム2mLをIV」と口頭指示を出した。看護師Aはミダゾラム注10mg1Aと生理食塩液8mLで調製し、看護師Bに注射器を渡した。看護師Bは「ミダゾラム入ります」と言い、全量投与した。ミダゾラムを入れると聞いた看護師Aは、看護師Bを見て全量投与したことに気付き、直ちに医師に報告した。患者に呼吸抑制がみられたため人工換気を行い、拮抗剤を投与し、内視鏡治療は延期となった。
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ミダゾラムを使用した鎮静に関する看護師Bの知識が不足していた。投与時、看護師Bはミダゾラムの組成や投与量を言わなかったため、周囲のスタッフは誤りに気付かなかった。
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・口頭指示受けマニュアルを遵守する。・口頭指示受けメモの活用と医師によるチェックバックの後に投与することを徹底する。
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検査時、ミダゾラムを誤って1アンプル全量投与した事例
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医師は、5歳の患者(体重18.22kg)に麻酔前投薬としてセルシンシロップ0.1%を処方する際、体重から12mL(1mL中ジアゼパム1mg)を処方した。薬剤部から量が多いのではと疑義照会があったが、シロップが入った量だと思い、他の剤形が内服できる年齢ではないので、そのまま調剤するよう指示した。結果、添付文書に記載されたジアゼパム10mgを上回る量を処方し、内服させた。
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・医師は、疑義照会があった際に添付文書を必ず読む。・薬剤師は疑義照会をする際に、添付文書では何mLまでになっているなど、疑義照会の意図がわかるようなコミュニケーションをとる。
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・小児の場合、○mg/kgで投与量を換算して処方することが多いが、体重によっては添付文書の上限を超えた投与量になってしまう場合があるため注意が必要である。・疑義照会の際に、薬剤師は医師が出した処方の意図を確認したり、添付文書上の最大投与量を超えていることを伝えたりするなどの工夫が必要であろう。・セルシンシロップ0.1%の添付文書には、4~12歳は1日量のジアゼパムとして2~10mgと記載されているため、小児についてはシステムで最大投与量の上限を設定し、アラートを出すことを検討してはいかがか。
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体重で計算をしたため、ジアゼパム12mLが添付文書の上限より多いことを知らなかった。疑義照会の電話に対して、シロップ量も入っているから、全体量が多いのだろうと思った。
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ザイボックス錠600mgの添付文書には、小児には1回量を10mg/kgと記載されていた。医師は1歳の患者に抗菌剤を処方する際、体重が9184gであったため、処方量としては1日270mgを1日3回(1回量が90mg)とすべきところ、1日90mgを1日3回(1回量30mg)で処方をした。調剤時の鑑査で気付かれず病棟に払い出され、1/3量の30mgを2回投与した。翌日、ICT担当薬剤師が抗菌剤の投与量が少ないことに気付いて、医師へ連絡した。
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・掲示している用法用量に1日量表記も記載する。
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・12歳未満の患者の場合は体重で投与量を決定するため、添付文書に1回量で表記されているのは仕方がないが、12歳以上の場合と表記が違うのは親切ではない。<参考>ザイボックス600mgの添付文書の記載1)(一部抜粋)【用法・用量】通常、成人及び12歳以上の小児にはリネゾリドとして1日1200mgを2回に分け、1回600mgを12時間ごとに経口投与する。通常、12歳未満の小児にはリネゾリドとして1回10mg/kgを8時間ごとに経口投与する。なお、1回投与量として600mgを超えないこと。・1回量を処方するシステムであれば間違えなかった可能性がある。・背景要因に「鑑査者はあまり調剤しない薬剤のため不慣れであった」とあるが、不慣れであるからこそ添付文書などの確認が必要である。・当事者に記載された薬剤師2名の職種経験年数が1年8ヶ月と2年8ヶ月であるため、院内での教育システムについても検討が必要であろう。
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添付文書の用法・用量には、成人及び12歳以上は1日量と1日2回、12歳未満は1回量と8時間ごとに経口投与と書いてあり、読み間違いしやすかった。鑑査者もあまり調剤したことのない薬剤であったため不慣れであった。
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医師は、バクタ配合顆粒を処方する際、DI室に確認した。1日量4~8mg/kgが成分量(トリメトプリム)での換算と気付かず、患児の体重が6kgであることから、1日量を成分量のまま25mg(0.025g)と計算し、バクタ配合顆粒として0.025gで処方した。本来の予定投与量は1日量0.4gであった。調剤者は用量が少ないと感じたが、添付文書で確認した際、製剤量と成分量を見間違えたため医師に疑義照会を行うことなく調剤を行った。調剤鑑査者も同じく用量が少ないと感じながらも間違いと思わずに疑義照会を行わず交付した。1ヶ月後、薬剤師の指摘にて過少投与に気付き、通常量に変更した。
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・処方量が成分量の場合と製剤量の場合があるので注意が必要であり、入力方法を統一出来れば、より安全である。
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・バクタ配合顆粒は、有効成分が2種類入った配合剤であり、小児科医であれば処方時に注意する薬剤の一つである。・配合剤を処方する場合、体重から有効成分の量(成分量)を計算し、さらに製剤量に換算する必要がある。・小児とはいえ、1日量0.025gは少ないため、薬剤師の処方監査で処方の誤りに気付けるとよい。薬剤師は、処方量が少ないと感じた際に、別の薬剤師に確認するなど疑問を解決する行動に移せると良いだろう。・1ヶ月後に薬剤師が処方量の誤りに気付いており、そのきっかけを検討できれば、今後の医療安全の参考になると思われる。
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医師はバクタ配合顆粒の小児用量について添付文書で確認した。成人には製剤量で、小児には配合成分の1つであるトリメトプリムの成分量で記載されていたが、その点に気付かず、小児のトリメトプリム投与量である4~8mg/kgをバクタ配合顆粒の製剤量として計算してしまった。計算値も適正な範囲であると判断した。当院では、倍散など成分量と製剤量が異なる薬剤は成分量で処方することになっている。ただし、配合剤は配合されている個々の薬剤の量で処方できないため、製剤量として処方することになっている。
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0歳0ヶ月の患者にアルダクトン0.01g/日(1回0.003g)の内服を開始した。3日後に0.04g/日へ増量し、この時点では1回0.003gと1回0.01gの薬袋に分かれていた。5日後に医師は7日後の昼分からのアルダクトンを処方する際、1日量0.04gのところを誤って10倍の0.4gとオーダした。薬剤師Aが処方監査を行い、現在は1回量0.013gであることを処方箋に記載した。薬剤師BとCが調剤・鑑査を行い払い出した。7日後の8時頃、処方指示画面で看護師Dはアルダクトンの増量に気付き、看護師Eへ確認したが「2袋になっていたものが1袋になったから。」と返答があった。15時頃、看護師DとFが配薬準備を行い、看護師EとFで投与した。17時頃、病棟薬剤師が同日昼より10倍量になっていることに気付き、過量投与に気付いた。
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・医師は、処方オーダ時、「処方指示」画面上で前回指示との比較を確実に行う(診療科ルールの遵守)。・薬剤師は、調剤・監査時、年齢や体重等にもとづいた適正量であることを確認する(業務手順の遵守)。・疑義があった場合には、思い込みで判断せず、確認するべき現物を直接確認する。
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・処方量を増量した際に、増量分を処方するのではなく、安全の観点から新たに処方しなおす方がよい。医療機関のシステムによっては、同薬剤の重複処方と見なされ処方できない場合もある。・患者の年齢(0歳0ヶ月)から、1日0.4gが処方された場合、薬剤師は疑義照会すべき処方量である。・監査時などに処方量を計算するときは暗算をやめ、計算機を使用することや、処方箋上にどのように監査を行ったか記録しておくことも重要である。・小児患者への処方量間違いをシステムでチェックするのは難しいが、ハイリスク薬などに限定して行ってはどうか。・看護師が増量に気付いた場面が生かされず、確認が不十分で誤りが修正されなかったことは残念である。
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処方オーダ時「処方指示」画面で前回指示との比較確認を行わなかった。処方監査時、処方指示画面で前回量を確認し1回量の「0.013g」を記載したが、0.039g(1日量)を暗算し≒0.4g(1日量)と誤認した。調剤者、監査者ともに適正量(年齢・体重)であるかの確認を怠った。看護師Dが増量に気付いた場面で、看護師Eは「処方指示」画面を共に確認しなかった。
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日直勤務中にSPDが取り揃えたNICUの薬剤を鑑査した。アミカシン硫酸塩注射液100mgのところ200mgが入っていたが、鑑査者は気付かず払い出した。受け取った看護師も気付かなかった。翌日11時頃、病棟より注射薬の規格が違うと電話があり、交換した。
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・注射調剤であっても必要に応じてチェックを記載し、規格の確認を充分に行う。・NICUの患児にアミカシン硫酸塩注射液200mgを使用することは通常なく、小児患者への規格間違いの調剤ミスが続いていることからも、調剤時に年齢を確認するため、調剤印を押す場所の下に年齢を表記させ、押印時に年齢を確認できるようなレイアウトに変更することにしている。調剤時に年齢を確認することにより、今回のような事例は減少するものと思われる。・規格間違いの調剤が続いているため、規格にチェックを入れる等の対応を取り、確認を怠らない。・ピッキングを行うSPDにも事例を共有してもらい、再発防止に努めてもらう。
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規格・剤形間違い
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・薬剤師は、処方箋とピッキングされた薬剤を調剤鑑査する際は、処方箋とモノが正しいかという視点で確認する必要がある。・薬剤のピッキングにバーコードを利用したり、集めたアンプルやバイアルの重量換算をしたりすることによって、他の薬剤の取り違えなどに気付ける仕組みを導入している医療機関もある。・処方箋に薬剤の棚番号を入れ、薬剤名ではなく棚番号で薬剤を探すと規格・剤形・名称類似に惑わされずにピッキングできる可能性がある。
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アミカシン硫酸塩注射液に100mgと200mgがあることは知っていた。しかし、鑑査した際には2規格あることに考えが及ばず、規格チェックが不十分であった。
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ヒヤリ・ハット事例
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3歳の患児にラシックス細粒4%8mg、アルダクトンA細粒10%8mgを当院外来で処方した。家族は保険薬局で薬剤を受け取った。約1ヶ月後、気道症状により緊急入院し、持参薬の内服を開始した。計7回内服した時点で、持参した薬袋に用量が記載されていないことに担当看護師が気付いた。調剤明細書を見ると「アルダクトンA細粒10%0.8g」と記載されており、薬剤師に薬包の確認を依頼した。その結果、アルダクトンA細粒が80mgで調剤されていることが分かり、投与を中止した。保険薬局で薬剤を受け取った後、残薬があったため自宅では内服していなかった。
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・投与量が確認できない持参薬は投与しない。・薬袋の表記内容に用量がないことを把握した時点で、薬剤師へ相談、あるいはおくすり手帳など他の資料で確認するなどの対応を行い、指示された内容との照合を確実に行う。・処方されている薬剤の内容が確認できない場合は、持参薬を使用しないことを医師・薬剤師とも共有する。
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秤量間違い
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・保険薬局の調剤間違いを医療機関で気付いた事例である。・秤量間違いとなった背景・要因は不明であるが、秤量する際に計算を誤った可能性がある。散剤の秤量などは、調剤する量が自動計算される散剤システムなどを使用しているところが多い。・薬袋に薬剤の用法・用量が記載されていない薬剤を投与することは危険である。・医療機関と近隣の保険薬局で事例の共有や勉強会を行うことなどを検討してはいかがか。
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保険薬局に担当医が問い合わせたところ、誤って10倍量を調剤したことが分かった。持参薬を受け取り、処方指示をする際に、持参した薬袋に「用法1日2回35日分朝・夕食後に服用、1回に粉薬各1包(2種類)、ラシックス細粒4%、アルダクトンA細粒10%、錠剤0.15錠(1種類)タナトリル錠5.5mg」と表記されており、用量は明記されていなかった。用量が記載された調剤明細書は見ていなかったことから、用量が不明な薬剤を投与していた。持参薬報告では特記事項はなく、確認した薬剤師も誤りに気づけなかった。
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ヒヤリ・ハット事例
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患児に、エナラプリル錠5MEEKを0.15mg(1日1回)、トラクリア錠62.5mgを8mg(1日2回1回4mg)処方した。エナラプリル錠とトラクリア錠はともに散剤がないため、錠剤を粉砕し乳糖を混ぜて調剤している。その際、エナラプリル錠の1回量は、1錠の0.03錠で調剤すべきところ、0.3錠で計算した。トラクリア錠は、1錠を16包に分割するところ、誤って2錠を16包に分割した。その結果、エナラプリル錠が10倍量、トラクリア錠が2倍量の過量投与となった。1週間後、新たに処方指示があり、薬剤師が前回の処方箋を確認して気付いた。過剰投与開始後3日目頃より、若干血圧が低めで経過し、経過観察中である。
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・前回処方分の処方控えに手書きで計算式を残していたが、鑑査者も確認しやすいように、薬剤名、1日量、回数、日数を入力し「粉砕する錠数」が整数となるよう日数変更する。・必要包数、破棄包数、全体量が自動計算される「錠剤粉砕計算シート」を作成した。・散剤のない微量薬剤の粉砕処方はできるだけ避けたいため、医師や製薬会社へ申し入れを行う。
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その他
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・事例では、1回量のmgを錠に置き換えて調剤しているが、錠剤を粉砕する場合は、1回量(mg)×投与日数から全体量を計算して調剤するとよいのではないか。・新たに「錠剤粉砕計算シート」を作成しているが、このシートにおいても「0.03錠」を入力するところから始まるため、ここで「0.3錠」と入力を間違えてしまうと同じ誤りになってしまう可能性がある。一度間違えると正しい投与量に直すのは難しいため、計算を他者に確認してもらうなどの工夫が必要であろう。・剤形が錠剤だけであった薬剤の中には、散剤や顆粒剤などの剤形を増やしているケースもある。小児の場合、1回量が微量であるため、可能であれば錠剤以外の剤形が販売されることが望まれる。
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錠剤を粉砕してオーダする場合、1回量のmg数を入力すると錠剤1錠の分量が表示される。今回、エナラプリル錠は1日量が0.03錠になっていたため、本来は1錠粉砕したものに乳糖を混ぜ33包作り、そのうちの7包とすべきところ、0.3錠で計算したため10倍量となった。トラクリア錠は、誤って2錠を16包に分割したため2倍量になった。調剤者は手計算した用紙を見ながら、粉砕した錠剤の空包装及び分包された包数などを目視で鑑査していたため、間違いに気付かなかった。
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医療事故情報
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生後11ヶ月の患者は、CVカテーテルより輸液が投与されており、昨日ICUより退室していた。朝の採血時、医師は胸水が増えていることに気付き、点滴の流量が指示と異なっていることに気付いた。医師の投与指示は10mL/hであったが、実際には20mL/hで投与していた。前日の日勤帯で点滴を交換しており、その後も看護師はチェック表で輸液を確認しているが、流量の間違いに気付かないまま過剰投与を続けていた。利尿剤の投与を行い、経過観察となった。
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勤務開始時に、ワークシートやカルテの点滴指示と、実際に投与されている点滴との5Rの照合をしていなかった。点滴のラベルやワークシートと実際に投与されている量を確認出来ていなかった。勤務開始時にチェック表を使用してチェックをしていたが、流れ作業になってしまい指差し呼称が出来ていなかった。ICUから退室した直後であったが、水分出納のバランスやドレーンからの排液量などを照らし合わせ、児の状態を正しくアセスメント出来ていなかった。
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・点滴交換時、必ず医師指示をカルテで確認し、ワークシートや点滴ラベルで5Rを確認する。・点滴投与中の患者は勤務の始めにカルテやワークシートと照合し5Rを確認する。・確認が流れ作業にならないように、指差し呼称をしながら確認する。・5Rの確認中はナースコール対応をしたりして確認を中断せず、やむを得ず中断した場合はもう一度始めから確認を行う。
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投与速度間違い
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4歳の患者は、耳痛、発熱、採血データ上、血小板・白血球の低下があり、精査目的で入院した。造影CT検査のため、CT検査室に入室し、診療放射線技師(以降、技師)Aに体重と喘息の既往があることを伝えた。技師Aが画像診断部の医師に体重を伝えると、医師より「オイパロミン300注シリンジ34mL投与」の口頭指示が出た。技師Aは、口頭で検査室にいる技師Bに「34mLね」と言った際、検査室にいた看護師は「34mLですね」と確認した。しかし、技師Bには聞こえておらず、復唱はしなかった。看護師が末梢ルートにシリンジをつなぎ、技師Bは、造影剤注入器(インジェクター)で流速を小児用の1mL/secに設定した。全量投与と思い込み、成人量の97mLのまま設定し、スタートボタンを押した。投与中、看護師がシリンジの50mLラインを越えていくのに気づき、「多くないですか?」と指摘し投与を中止した。すでに74mL投与されていた。
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技師Aと技師Bの投与量に関する認識の違いがあり、技師Aは34mL投与と認識していたが、技師Bは全量投与すると思い込んでいた。技師Bは全量投与すると思い込み、技師Aに投与量の確認をせずに投与を行った。技師Bは何かの情報から投与量を考えたのではなく、自分の経験に基づき全量投与するという思い込みがあった。医師は投与量の指示を口頭で行っていた。技師Bは技師Aに投与量の確認をしていなかった。指差し、声だし確認やダブルチェックをしていなかった。放射線検査室では造影剤の量の調整が必要な場合のルールがなかった。造影剤注入器の開始時もダブルチェックすることなく、技師Bが考えた投与量で投与された。
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・小児の場合は、検査表に必要量を記載する。・放射線検査マニュアルを作成し、教育と周知を実施する。・投与量は検査に必要な量のみ準備し、あとは事前に破棄する。・小児の場合は造影剤注入器を小児モードにしてから実施する。・TeamSTEPPSのチェックバックを科内の目標にしてポスターで周知する。
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投与量間違い
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膨隆疹が出現した患者Aに、薬剤を投与するため医師と共に訪室した。ベッドサイドには同室の患者Bが椅子に座っており、患者Aと共にゲームをしていた。医師が輸液ルートの三方活栓からソル・コーテフ静注用100mgをIVし、退室した。その直後に患者Aより尿意の訴えがあり、排尿するため患者Aが動くと、患者Bの真横にある点滴台から繋がっているルートが持ち上がったため輸液ルートを確認した。ソル・コーテフ静注用を投与予定であった患者Aの輸液ルートは、患者Bの真横にあった点滴台から繋がっており、ソル・コーテフ静注用を投与した輸液ルートは患者Bのルートであった。患者Bの輸液ポンプを停止し、IVをした医師に報告した。医師は、IV後にルート内を早送りしていないため、薬剤は体内に届いていないと判断し、患者Bのルート交換を実施した。患者Bの主治医に報告し、経過観察となった。患者Aには、ソル・コーテフ静注用をIVした。
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ベッドサイドに患者が2名いたが、輸液ボトルの名前を確認せずに薬剤を投与した。患者の近くにある点滴台が患者のものだと思い込んでいた。
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・ベッドサイドに患者本人以外がいる際は自分のベッドに戻るよう声かけし、患者間違いが起こらないよう環境を整える。・医師と看護師で薬剤投与前に輸液ボトルで名前を確認し、患者までルートをたどり、輸液ルートと患者に間違いがないか確認することを徹底する。
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患者取り違え
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看護師は、超音波ネブライザーの機器と赤色のカラーシリンジに入った吸入用薬液(ブロムヘキシン塩酸塩吸入液0.2%1mL+生理食塩液9mL)を病室へ持参した。患者と付添いの祖母は不在であったため、ベッドサイドにネブライザーと吸入薬を載せたワゴンを置いた。看護師は、患者は祖母と共にデイルームで昼食中であることを確認し、祖母に病室に戻ったら吸入を行うので知らせて欲しいと伝えた。30分後、ナースコールがあり訪室した際、準備しておいた赤色のカラーシリンジに薬液が入っていないことに気付いた。祖母に尋ねると「飲みましたよ」と返答があり、赤色のカラーシリンジに入った吸入薬を昼食後の内服薬と思い患者に飲ませたことが分かった。
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当該病棟では、内服の水剤を黄色のカラーシリンジで準備している。患者は毎食後に水剤の内服薬があった。普段は母親が付添っているが、祖母に交代していた。祖母は赤色のカラーシリンジに準備されていた薬液を内服薬と思い患者に飲ませた。吸入用薬液は赤色のカラーシリンジで準備するが、機器に薬液を入れて持って行くルールになっていた。
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・吸入用薬液は機器に入れて病室に持参する手順を遵守する。
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投与経路間違い
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ミントオイルは、上部消化管内視鏡検査時に、胃蠕動運動を抑制するために胃に直接投与している。ミントオイルは予めシリンジに準備しておき、医師の指示時に手渡している。今回、ミントオイル20mLを投与するべきところを、誤って20%ホルマリン液20mLを投与した。5人目に投与したあとに、検査台周囲で検査医師がホルマリン臭を疑い、検査台以外の看護師に問いかけた。その看護師がボトルを確認したところ、ホルマリン液の誤投与に気付いた。
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20%ホルマリン液のボトルとミントオイルのボトルが同じ大きさ、同じ色であった。それぞれ薬品名が記載されたラベルが貼付してあったが、貼付面の反対(裏側)からはラベルが見えなかった。検査終了後にスタッフが片付ける時に、ミントオイルのボトルは本来の保管場所に戻した。ホルマリンのボトルは、本来の保管場所とは異なる、ミントオイルの保管場所に戻された。同じボトルであったため、検査中はホルマリン液のボトルと認識していたが、片付ける時にはそのことを忘れ、ミントオイルのボトルと思って、ミントオイルのボトルの保管場所に片付けた。その際ラベルを確認しなかった。翌日の内視鏡検査時に、ミントオイルと思って注射器に吸って患者に投与した。保管場所からボトルを取り出すときにラベルを確認しなかった。ミントオイルとホルマリン液のボトルに対するマニュアルがなかった。
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・内視鏡室看護マニュアルを改訂し、ダブルチェックすることとした。・ミントオイルの院内製剤を中止し、市販のミンクリア内用散布液0.8%に変更した。・ホルマリン液の院内製剤は容器を変更し、どこから見ても薬品名が分かるよう2ヶ所にラベルを貼付した。また、「危険」や危険物であることが分かるイラストのシールを貼った。・内視鏡室からホルマリン液のボトルを撤去し、標本を入れるホルマリン液入りの容器(大、中、小)と、内視鏡ESD用ホルマリン液入り容器を検査室から払い出すことにした。
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nan
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コルポスコピー下生検を実施するため酢酸綿球を膣内に挿入したところ、強い痛みの訴えがあり、液が垂れた殿部の痛みも訴えた。また、酢酸綿球の臭いがかなり強いため、酢酸の濃度が高い可能性が考えられ、酢酸による熱傷の疑いで皮膚科医師に診察を依頼した。診察した結果、会陰部から臀部にかけて浮腫性の紅斑、臀部に小水疱が形成されており、処置を行った。その後、担当看護師への聞き取りで、原液の酢酸を希釈せずに綿球カップに注ぎ、準備をしたことが判明した(通常3%に希釈)。
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酢酸の希釈は看護補助者が行っており、方法についてのマニュアルはなく、口頭での伝達で指導され、メモを見ながら行っている。医師の関与はなかった。本事例の酢酸綿球を準備したのは、他部署から応援に来ていた看護師であった。他の看護師は、その看護師が酢酸綿球を準備すると思わず、特に指導を行わなかった。酢酸の原液の容器瓶と3%酢酸液の容器瓶は同じ流しの下に置かれており、3%酢酸液の容器瓶にはテプラで酢酸と明示されたテープが貼られていたが、3%とマジックで追記した文字はほぼ消えてわからなくなっていた。また、原液の容器瓶に「薄めて使用する」等の注意書きや、3%酢酸液の容器瓶に「コルポスコピーに使用する」等の記載はなかった。原液の酢酸は臭いが強いが、患者へ使用する前には担当医師も他のスタッフも気が付かなかった。
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・婦人科コルポスコピー検査に用いる3%酢酸液は、今後は薬剤部で調製することとする。・婦人科コルポスコピー検査に用いる酢酸(試薬)については、すでに適応外使用として臨床倫理委員会に諮り承認されている。院内製剤である3%酢酸液は未承認薬の扱いとなるため、使用患者は全例把握したうえで、有効性および安全性の評価を行い臨床倫理審査委員会で報告する。・院内で使用している試薬について、各診療科・部署にアンケート調査を行い、現状を把握し対処する。
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nan
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鼻骨骨折の処置を行う際に、看護師Aがボスミンキシロカインガーゼを準備するところ硝酸銀を浸みこませたガーゼを医師に渡し、医師が左鼻腔内に挿入した。その際に患者から疼痛の訴えがあったが、鼻腔粘膜に傷がありそのための疼痛と考え、処置を中断することなく右鼻腔内へもガーゼを入れた。その時、側を通りかかった看護師Bが処置台の上に硝酸銀のボトルが準備されていることに気が付き、ボスミンキシロカイン液と硝酸銀を取り違えていることを指摘した。すぐに、ガーゼを除去し生食で鼻腔内を洗浄した。また、水でうがいを施行し、耳鼻科に診察を依頼した。耳鼻科診察の結果、両側鼻内、下鼻甲介および中鼻甲介粘膜とも白色に変化を認めた。喉頭は明らかな白色変化及び浮腫はなく、食道入口部の可視範囲に異常は認めなかった。
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ボスミンキシロカイン液と硝酸銀は院内製剤であり、どちらのボトルもオレンジのポリ容器のため類似していた。また、硝酸銀のボトルのラベルは手書きであった。ボスミンキシロカイン液と硝酸銀のボトルを同じ棚の上下に配置していた。薬品配置棚の下の引き戸内は三段になっており、中段が劇薬置き場であった。硝酸銀は中段のため取り易い場所であり、ボスミンキシロカイン液は上段であった。ボスミンキシロカイン液の使用頻度が高く、薬品の使用に慣れがあった。ボトルの薬品名を確認せず、コメガーゼを薬液に浸した。
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・形状が類似した薬品は近くに配置しない。ボスミンキシロカイン液は冷所保存に変更した。・使用頻度の少ない劇薬の置き場を変更し、簡単に手の届く場所に置かない。硝酸銀は薬品配置棚の下の引き戸内の下段に置くことにした。・薬品使用時は、ダブルチェックで確認する。・正しい薬品が選択できるように薬品棚を整理整頓する。・硝酸銀のボトルのラベルを大きくし、手書きをやめ、スタンプで印字し判読しやすいようにした。
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nan
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医師Aは、患者から右眼硝子体注射による治療の同意を得て治療計画を電子カルテに入力した。次に、治療日程を決めるため、眼科外来受付で発行される「眼科受付票」に治療の指示を記載して医師事務作業補助者へ渡した。医師事務作業補助者は、「眼科受付票」を見ながら、「検査・治療指示書(スタッフ用)」に『ひだりアイリーア硝子体注射○月○日』と記載し、「ひだりアイリーア硝子体注射日程表」に日時を記載して患者に渡した。眼科外来の患者全体を管理する「検査・治療予定表」に患者ID、氏名、L(左)、IVA(左眼アイリーア硝子体注射の略称)と記載した。治療当日、医師Bは「検査・治療指示書」を見ながら、治療する眼を患者に確認した上で、左眼にアイリーア硝子体注射を実施し、電子カルテに「左眼アイリーア硝子体注射notrouble」と記載した。患者は、治療後にタリビット眼軟膏を入れ、眼帯をして帰宅した。次の診察日、医師Cが左右の取り違えに気付いた。医師Aに報告し、患者に事実を伝え、改めて右眼にアイリーア硝子体注射を実施した。
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医師事務作業補助者が「眼科受付票」の指示を見間違えた可能性がある。電子カルテの治療計画を確認せず、「検査・治療指示書」の間違った指示を見ながら治療をした。硝子体注射の際、治療する眼を患者に確認したが、患者は間違った左眼に「はい」と答えた。
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・検査・治療の際には、電子カルテの治療計画・指示と「検査・治療指示書」を確認する。・何を聞かれても「はい」と答える患者もいるので注意する。
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nan
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治療する右眼に対して散瞳していたが、麻酔と開瞼を左眼に実施したため、本来右眼にすべき硝子体注射を左眼に実施してしまった。実施後、患者から確認されたことで気が付いた。
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麻酔と開瞼を実施した医師は、患者の頭側に立って処置をしていたが、通常は対面で治療等を行っており対側(左右逆)となることから無意識に患側とは反対の左眼に処置をした。手術時は左右のマーキングを義務付けていたが、処置についてはマーキングを実施していなかった。手術時のように「安全チェックリスト」に基づいてタイムアウトをして確認する習慣がなかった。
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・看護師と担当医がカルテで施行日時・左右・薬剤の確認を行い、患者にも確認した上で担当医が術眼上方の前額にマーキングを行う。・看護師がマーキングを確認して局所麻酔薬を点眼する。・担当医がマーキングを確認して消毒する。・術者がタイムアウト(氏名、左右、薬剤名、術者氏名)をして確認する。
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nan
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右人工股関節置換術を施行するため全身麻酔を導入した。その後、腸骨筋膜下ブロックを施行する際、左手に手術部位を明記したシールが貼ってあるのを見て、手術部位を左と思い込み、カルテで確認せず左側に神経ブロックを施行した。整形外科主治医より指摘があり誤りに気付いた。すぐに局所麻酔薬の極量を超えないことを確認した上で速やかに右側へ神経ブロックを施行し、手術自体は問題なく終了した。
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病棟で行ったマーキングが患側の右ではなく、手術部位を書いたシールを左上肢に貼っていた。医師は手術部位の確認手順を遵守していなかった。看護師はおかしいなと思ったが、いつもと違うアプローチをするのかと思い声をかけなかった。
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・マーキング方法を変更し、シールは使用せず患側にマジック等でマーキングする。・全診療科の側性のある手術のマーキングについて取り決めた。・麻酔、手術施行前の確認について、医師、看護師共に連携をとり、指差呼称を行い手順に沿って確認する。
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nan
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手術前日、看護師は外来通院時の手術申込書に誤って左足と記載されていることに気が付いた。その際、右足であることを担当グループ医師に確認していたが、麻酔科医師には伝えていなかった。右脛骨腫瘍に対する切開生検手術当日、同意書には右足と記載されており、入室時の確認は右足で行い、全身麻酔を導入した。坐骨神経ブロック準備前に麻酔科医師が皮切部を触って教えてほしいと言ったところ、整形外科医師は左足を触ったため、触った側に神経ブロックを行った。看護師が下肢にタニケットを巻く際に左右の間違いに気付いた。
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患者は、2ヶ月前頃まで左足を患っており、手術申込書に左足と記載した。また、執刀しない医師が手術申込書を作成していた。麻酔科医師が前日に行った術前確認の際、患者や家族に左右の確認をしなかった。手術当日、右足と確認したが、手術麻酔伝票を訂正しなかった。また、患者が小児であったため、麻酔科医師が患者から目が離せない状況であった。
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・小児の場合は手術前日までに手術部位にマーキングまたは手術側のバンド固定の義務化を徹底する。・手術申込書の記入の間違いが分かった場合には新しい申込書を作成する。・手術当日の確認の際、麻酔記録・手術同意書・手術申込書も一緒に確認する。また、確認事項等がある場合はすべての作業を止めて確認する。
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nan
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4年前に黒色便の訴えがあり本院消化器内科を受診した。上部消化管内視鏡検査を施行したが新たな出血は指摘できず、膵酵素の上昇も認められたため、仮性脾動脈瘤からの再出血と判断し、プレタールを中止して経過観察する方針とした。この際、食道の切歯より30cmの部分に3mm大の浅い陥凹を認めたため、1ヶ所生検を施行した。再診時、出血症状のないこと、血液検査でも貧血の進行がないことを確認したが、生検結果の確認や説明はせず帰宅とした。以後も半年から1年に1回程度、外来で経過観察をしていたが、生検結果は確認されることなく経過した。嚥下時のつまり感が出現したとのことで近医からの紹介で本院を受診した。今回、上部消化管内視鏡検査を施行し、切歯より27~30cmの部分に癌を強く疑う所見を認め、生検を施行した。この際に4年前の内視鏡所見を確認し、同時に行われていた生検で扁平上皮癌が検出されていたことが判明した。精査加療目的で入院となった。
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カルテには内視鏡検査時に食道より生検1ヶ所、次回受診時にCBC・病理の説明と記載されているが失念した。検査の主目的は出血源の検索であったが、それとは関連のないものとして見つかったものであったため、強く意識されなかった。当該診療科においては、病理結果の未確認防止のための手順作成や過去の未確認事例の調査を実施していなかった。病理結果や画像診断結果の未確認防止のための仕組みを作り、安全で安心できる体制を構築していなかった。
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・検査結果の伝達についての認識を患者と共有するために、内視鏡検査実施時の患者への説明文書に検査結果についての注意喚起をする文言を記載する。・重要な診断結果が出た場合は、病理部より依頼医に対してメールを送信する。・1ヶ月に1回、今回の事例が発生した診療科内において、内視鏡検査時に病理組織検査を依頼した全症例についてカンファレンスを開催し、すべての病理検査の結果について確認し、治療経過について情報共有する。
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消化器疾患・症状の精査
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泌尿器科医師が術前の胃潰瘍スクリーニング目的で消化器内科に対診依頼を行った。消化器内科にて上部内視鏡検査を施行し、隆起病変を認めたため、生検を行った。2週間後、泌尿器科外来時に検査結果を確認したところ病理結果の所見が出ていなかった。5ヶ月後、検査医が検査結果の確認を失念していたことに気付き主治医に連絡した。十二指腸癌を認め、患者への説明が行われた。
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所属3年目の消化器内科医師が、本来病理検査結果が報告され次第、内視鏡結果報告書に記載すべきところ記載することを失念していた。生検結果の説明予定日に病理結果が出ておらず、主治医である泌尿器科医師は、次回受診時に生検結果の有無の確認をすべきところ、確認が抜けた。消化器内科の医師は、読影結果を記載予定日にカルテに記載していなかったことを5ヶ月後まで認識していなかった。
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・病理所見について、放射線読影結果と同様に、電子カルテ上で関係者に通知するアラート機能を次年度導入予定である。・本事例を、安全管理部会、RM会議で報告し、各医師に確認の励行を伝達した。・消化器内科では、結果記入手順の確認と周知徹底を行った。
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スクリーニング
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喉頭癌で放射線化学療法を施行した患者に、重複癌の検査目的で同時期に実施した上部消化管内視鏡検査での食道癌の病理診断結果を確認していなかった。4年後、患者から、物が飲み込みにくいという訴えがあり上部消化管内視鏡検査を行い、その結果を確認した際に4年前の病理結果に気が付いた。
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喉頭癌に関しては病変部位、進行度の同定、浸潤やリンパ節転移の有無などを行っているが、その過程の中で、消化管内視鏡の病理結果を確認することを失念した。内視鏡の依頼は直接診療科から行う。内視鏡検査時の病理検査依頼は内視鏡施行医が行う。病理検査が出た段階で病理部から電子カルテを通してメッセージを出すが、そのメッセージは病理検査を依頼した内視鏡施行医に対して出る。内視鏡検査を依頼した主治医にはメッセージは届かないシステムである。そのため、主治医は意図的に病理診断結果を確認しなければ、見落としが起こる状況にある。
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・診療科は腫瘍カンファレンスで症例確認の必須項目を明確にして確認できるようにする。・診療科は悪性腫瘍のチェックシートを作成する。そのシートには重複癌の検索結果の記載を含める。・電子カルテのシステムとして、内視鏡検査実施後に依頼があった病理検査に関しては、結果が出たことを通知するメッセージを内視鏡を依頼した診療科の主治医にも知らせる。・内視鏡検査レポートは所見と病名が一目でわかるレイアウトにする。・内視鏡検査後の患者には、生検の結果を主治医に確認する旨の注意書きを手渡し、患者からも結果確認の行動が取れるようにする。
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頭頸部癌の精査
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腎代謝内科受診時に貧血を認めたため、血液検査と上部消化管内視鏡検査を実施した。生検を実施し、結果が報告されていたが、担当医は気付かず、鉄欠乏性貧血と胃潰瘍との診断で内服治療を行った。7ヶ月後に通過障害が出現し、上部消化管内視鏡検査を実施したところ、胃がん疑いで入院となった。この時、7ヶ月前の生検結果の存在を確認し、治療開始が約7ヶ月遅れたことが判明した。入院後に幽門側胃切除術を施行し、以後、抗がん剤治療等を行った。
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腎代謝内科の担当医が内視鏡検査を依頼し、消化器内科医師が施行したが、カルテには胃潰瘍と記載されていた。そのため、担当医は経過観察とした。また、担当医も、内視鏡検査を施行した消化器内科医師も、生検結果(病理組織診検査報告書)の確認を怠った。さらに、生検した1ヶ月後に腎代謝内科の担当医の退職により後任医師へ交代する時も、胃潰瘍で申し継がれ、後任の医師も検査結果等の確認をしていなかった。
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・病理組織診検査結果の患者説明:本事例以降、基本的に2週間後、内視鏡検査を施行した消化器内科の外来で患者に結果を説明する運用に変更した。・病理組織診検査報告書の確認・ダブルチェック:当院のオーダリングシステムは、検査結果を誰が、いつ確認したかを表示できないため、病理検査で悪性所見があったものについては、全例、担当科の部長へファイルを送り、主治医が適切な処置をしているかチェックする運用に変更した。・担当医交代時の申し送り:交代時に、患者カルテや病理検査を含む検査結果を遡って確認すれば、がん情報を発見できた可能性がある。本事例を院内周知し、交代時のカルテ、検査結果等の確認の徹底を図った。
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貧血の精査
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救命救急センター治療室に入室中の患者の末梢静脈ラインをヘパリンロックする際に、医師がヘパフラッシュ100単位/mLシリンジを使用する意図で「ヘパリン5mLを生食5mLで希釈し、3mLを投与」と看護師に口頭で指示した。指示を受けた看護師は、定数薬であるヘパリンNa注5千単位/5mL(1000単位/mL)を通常の手順に沿って準備し、投与した。上記内容の口頭指示が継続され、当日夜から翌日早朝までの間に、左上肢から2回、右下肢末梢から1回薬剤を投与する指示があり、計3回投与した。翌日、患者に鼻出血を認め、ヘパリンの過量投与が判明した。患者にプロタミン硫酸塩を投与し、ヘパリンを中和する処置を行った。
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口頭指示であった。電子カルテに指示が入力されていなかった。当該部署で通常投与するヘパリンは、ヘパリンNa注5000単位/mLであり、ヘパフラッシュ100単位/mLを使用することは少なかった。ヘパリンを3回投与した際、いずれの場面も投与時に医師は現場にいなかった。
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・投与する薬剤は電子カルテで指示を入力する。・口頭指示で完結せず、指示内容を医師と看護師で確認する。・当院では口頭指示手順を以下の通り定めている。1)口頭指示は原則禁止する。2)口頭指示を行う場合、医師は事前に指示の入力を行う。3)事前に入力できない場合、医師・看護師は口頭指示メモで薬剤名・投与量等を確認する。今回の改善策は上記3)の遵守であり、特に当該病棟では、小児患者の経験が少ないため、現物の薬剤を医師に見せて確認するこことした。・小児患者に限らず、指示に疑問が生じた場合は同様に対応する。
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薬剤の事例
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患者の膵体部癌に対して膵頭十二指腸切除術が施行された。術後4日目に、看護師からの「点滴タケプロンの続きなし」とのメッセージがToDoリストにあったため、リーダー看護師に「タケプロンは終了です」と口頭で伝えた。その際、静注用であることを明確にしなかった。リーダー看護師は、タケプロンの一般名がランソプラゾールであるため、タケプロン静注用とランソプラゾールOD錠の両方が中止だと認識し、処方の一覧に「○月○日~ランソプラゾール中止」と記載して中止処理をした。術後12日目の未明、患者に下血が見られ、造影CT及び上下部消化管内視鏡検査を実施した結果、胃~空腸吻合部からの出血が疑われた。医師は、継続処方する際にランソプラゾールOD錠が処方されていないことに気付かなかった。アスピリンの内服や経腸チューブの留置による影響も考えられるが、ランソプラゾールOD錠の中止が要因となった可能性もある。
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膵頭十二指腸切除術のクリニカルパスはなく、術後投与する薬剤は、処方期間が終了するタイミングに応じてその都度新たにオーダされていたため、投薬スケジュールの全体を把握しにくい状況にあった。通常、術後吻合部潰瘍、胃潰瘍の予防投与のため2日間タケプロンを静注、3日目からはランソプラゾールOD錠を経腸投与することになっている。そのことをオーダする医師は認識していたが、指示を受ける看護師は認識していなかった。当該病棟では、看護師が医師の指示切れ等の連絡をする際にはToDoリストを使用しており、今回も2日間のタケプロン静注用の投与が指示どおり終了したことからメッセージを入力していた。医師は、術後4日目に電子カルテを開いた際、看護師からToDOリストに前日付で「点滴タケプロンの続きなし」とメッセージがあったため、リーダー看護師に「タケプロンは中止です」と伝えた。
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・口頭指示をした際には、必ず継続指示を修正する。・点滴の指示か、処方の指示かを明言して指示を行う。・医師は継続処方の際、投与すべき薬剤が全て処方されているかを確認する。・本事例の発生後、クリニカルパスを新たに作成し、現在はタケプロン静注やランソプラゾールOD錠の投与について明示したものを使用している。
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薬剤の事例
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右胸水貯留があり、胸水排液のためのカテーテルを留置する方針とした。DICの徴候があり血液製剤で凝固能を改善した後であったため、出血のリスクを下げるために、あえて細い径のカテーテルを用いた。超音波エコーにて胸水貯留を確認し、胸腔内にカテーテルを挿入した。外筒を進める際、内筒を抜かずに進めたため、横隔膜を穿刺し横隔膜下血腫となった。その後、止血処置、緊急輸血を行い、患者の容態は安定した。
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実施した医師は、カテーテルを挿入した際、指導医の「そのまま進めて」という言葉に従い、内筒を入れたまま、外筒を進めた。指導医は、内筒を抜き、外筒のみ進めることを意図して指示したつもりであった。実施した医師は、胸腔穿刺の経験はあったが、今回のカテーテルを使用するのは初めてであった。
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・経験の浅い医師が行う施術については、事前に指導医とともに手順等を確認して実施することを徹底する。
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治療・処置の事例
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卵巣腫瘍に対する腹腔鏡下子宮付属器摘出術施行時に輸血を用意していた。患者は不規則抗体陽性のため、T&Sオーダが出来ず、RBCが払い出されていた。手術中の出血量が多くなく、輸血は不要であったが、GICU入室後に患者に不要な輸血が施行された。
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通常は、輸血に関して「返して」「戻して」という言葉は使われていないが、今回は「返して」「戻して」という言葉が使われた。婦人科医師は、RBCを輸血部に返却する意図で「返して」「戻して」と伝えたが、麻酔科医師は患者に輸血すると解釈した可能性があった。
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・診療科と麻酔科の連携方法を確立し、医師間での口頭のやり取りを止め、カルテ上に記載を残す。・輸血を実施する際には、採血データを確認し、必要性を確認する。・手術後、GICU入室の際の血液製剤持ち込みについて、システムを見直す。・手術時、不規則抗体陽性患者の血液製剤オーダ方法を見直す。
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輸血の事例
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化膿性膝関節炎のため、手術を受ける患者にバンコマイシン塩酸塩点滴静注用0.5g1Vがオーダされ、投与速度の記載はなく、「手術室持参」とコメントが記載されていた。薬剤師は、「抗菌薬TDMガイドライン」に従い処方監査した。患者の体重と腎機能より初回推奨投与量として1,717mg(25mg/kg)を算出し、医師へ疑義照会した。この時、投与速度についての情報提供は行わなかった。バンコマイシン塩酸塩点滴静注用0.5g4Vへ処方が変更となり、薬剤を払い出した。20時に手術室に入室、全身麻酔の導入を開始した。20時22分に持参したバンコマイシンの投与を開始した。20時38分に頻脈と血圧低下を認め、換気量が低下した。麻酔科医師がアナフィラキシーショックを疑い、挿管管理としてエフェドリンとステロイドを投与した。20時40分頃に血圧と換気量が回復し手術を継続、21時52分に手術を終了した。その後、SICUに入室し経過観察となった。バンコマイシン急速投与に伴うRedneck症候群が考えられた。
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注射処方箋に投与速度の記載がなかったため、薬剤師は投与速度について提案しなかった。麻酔科医師、手術室看護師に抗生剤に関する申し送りがなかった。全身麻酔管理のため、通常の抗生剤と同様に投与が実施された。術者は、膝関節の処置に集中し、抗生剤投与に注意を払っていなかった。
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・調剤業務においては、ガイドラインの情報に投与速度の情報を加えた早見表等を作成し、処方監査を行う。・注射処方箋に投与速度、投与時間を記載する。・オーダ入力時に投与速度に関する指示が入力されるように検討する。
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バンコマイシンの急速投与により血圧低下をきたした事例
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手術の際、閉創した後に腹部の皮膚を洗浄するための温かい生理食塩液が清潔野になかった。手術中に使用していたカップに入った温かい蒸留水を用いて皮膚を洗浄したところ、蒸留水の温度が高く皮膚に熱傷が生じた。温めた蒸留水は、硬性内視鏡の曇りを防止するために使用しており約60度であった。
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看護師は指を入れて蒸留水の温度を適温と判断したが、手袋を二重にしていたため適切に温度を判断できなかった。内視鏡を用いる場面を過ぎると蒸留水の加温をやめるため、手術終盤では蒸留水の温度は下がっていると考えていた。
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・内視鏡を温めるために用いる蒸留水を他の用途に流用しない。・内視鏡の曇り止めは、温めた蒸留水以外の方法を用いるようにする。
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内視鏡の曇り止めのために温めた蒸留水を用いて皮膚を洗浄し熱傷をきたした事例
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患者はNHF(ネーザルハイフロー)を装着していた。体位変換時、看護師は誤ってNHFの電源コードをコンセントから抜いてしまい、作動が停止した。SpOが低下し、2JCSⅠ-1からⅢ-300まで低下した。酸素10Lでバッグバルブマスク換気、吸引を実施しSpOは82%2まで改善した。NHFを再開し、SpO93%、JCSⅠ-12へ改善した。
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1時58分、SpOが84%まで低2下していたため姿勢を整えようとした。ベッドコントロールのリモコンの作動不良にて、電源コードを挿し直した際、頭元でベッドの電源コードとNHFの電源コードが交差しており、誤ってNHFの電源コードを抜いてしまった。SpOは70%2台まで低下し、口呼吸を認めた。NHFを再開しようとしたが起動に時間を要するため、10Lリザーバーで酸素投与を開始するが、SpOが40%まで低下し、バッ2グバルブマスクへ変更して換気を開始した。当直医師をコールしたところ吸引施行の指示があり、多量の痰を吸引した。2時10分に当直医師が来棟し、処置を継続して2時43分にSpOは82%ま2で改善した。NHFを装着していたが、設定の時点で操作が止まっており作動していなかったことに医師が気付いた。2時50分、NHFの作動を再開しSpOは293%となった。
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・NHFの電源コードにビニールテープで「NHF」と分かるようにタグ付けをした。・頭元のコード類を含め、環境を整備する。・NHFの操作、特に開始時の操作を再確認して周知する。
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ネーザルハイフローの電源コードを誤って抜いたため作動が停止した事例
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医師は、ICUで患者Xの血液検査を近くにある電子カルテからオーダした。患者Xから採血後、検体容器に分注して検査室に提出した。採血結果が患者Yに記載されていたため確認したところ、誤って患者Yのカルテでオーダしたことが分かった。検査部に連絡しデータの訂正を依頼した。
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血液検査をオーダするときに患者Xの近くにある電子カルテからオーダした。患者Xのカルテが開いていると思い込みそのまま確認せずオーダし、ラベルに印刷された氏名を確認せず提出した。ベッドサイドの電子カルテは基本的にそのベッドにいる患者1名のみで使用しているが、時々他患者のカルテを開けることがある。他患者のカルテは速やかにログアウトするように指導していたが徹底できていなかった。動脈ラインで採血し検体容器に分注後、ラベルの貼付を研修医に依頼したが、研修医も患者氏名を確認していなかった。手術からの帰室直後であり多忙であった。
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・カルテが開いているときは、まず当該患者であるか氏名を確認する。・患者のベッドサイドにある電子カルテは、当該患者しか開けない。・術後必要な血液検査は、あらかじめオーダし検体容器を準備しておく。・検体ラベルがプリンターから出てきたときは、当該患者の氏名であることを確認する。・検体の提出を他の人に依頼するときは、患者の名前をフルネームで伝える。
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患者Xの採血を患者Yの電子カルテでオーダした事例
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0歳2ヶ月の患者にアセリオ静注液1000mgバッグ60mgの指示があった。看護師Aは60mgを60mLと勘違いした。ダブルチェックをした看護師Bも誤りに気付かなかったため、結果的に10倍量の薬剤を誤投与した。バイタルサインの著変はないが、念のため、アセチルシステインを使用し2時間ごとの経過観察となった。
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当院の電子カルテや患者認証参照画面、PDAでは、注射薬の投与量は60mgのみ表示され、6mLは表示されない。看護師Aと看護師Bは、60mgを60mL(600mg)と誤認した。また、シリンジに40mL吸ってあったため、60mLがバッグ内に残っていると考え、「60」という数字に基づいた準備がされていると考えた。さらに患者が疼痛で啼泣し、投与を急いでおり、ダブルチェックや実施の場面で投与量を誤認した。当該病棟ではアセリオ静注液の小児への投与経験があまりなかった。今回の医師の指示では、アセリオ静注液の投与速度がワンショットになっていたため、看護師は医師の指示不備(アセリオは15分かけて投与する薬剤である)と考え、輸液ポンプで15分かけて投与する設定にした。その際、本来であれば6mLを投与するため24mL/hと設定するところ、240mL/hとした。アセリオ静注液の60mLという投与量や、15分で投与するための240mL/hという投与速度、シリンジポンプではなく輸液ポンプで投与するという投与方法に関して、2人の看護師は違和感がなかった。アセリオ静注液は1000mg/100mLの製剤しか存在しないため、看護師Aと看護師Bは小児科患者に対して100mLのうちの60mL使用することに違和感を持たず、6mLだけ使用するとは思いもしなかった。
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・電子カルテなどで、mgとmLの2つの単位が確認できるように改修した。・看護師は調製時に薬剤の量を2つの単位(mg、mL)で確認する。・ダブルチェックは各人がそれぞれ独立してチェックを行い、もう1人に誘導されないように行う(看護師Aは40mL吸ったシリンジの存在に誘導されている)。・医療スタッフマニュアルに基づき、看護師は注射指示を末尾(単位)まで確認する。・看護師は小児の輸液管理に関して学習する。・看護師は患者の体重を患者認証参照画面や注射箋で確認する。・看護師は、小児の薬用量についても学習する。・医師は必要な場合(アセリオの場合は15分かけて投与という必要性があった)は、明確な投与速度の指示を出す。・看護師は指示に疑問を持ったら、医師に確認する。・用量が少ない規格を採用したいが、アセリオ静注液は1000mg/100mLの規格しか販売されていない。
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薬剤量の間違い
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・事例が発生した病棟は脳神経外科病棟であり、成人の患者への投与に慣れていると、小児の患者に対して、100mLのうちわずか6mLを投与するとは思わなかったのではないか。・アセリオ静注液1000mgバッグは成人に投与する量で製剤が製造されているが、小児科領域でも使用される製剤であり、小児用の容量の製剤が販売されるとよいのではないか。
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指示の誤認:mgとmLの見間違い
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0歳0ヶ月の患者に入院した日からバンコマイシン40mg+生理食塩液5mL/1時間1日3回(6時、14時、22時)の指示があった。22時、担当看護師は多忙で他の看護師3名が当該患者を含む10名分の注射薬の準備を行った。当該患者のバンコマイシンは1年目看護師Aと4年目看護師Bが、バンコマイシン0.5g1バイアルと生理食塩液5mL1アンプルと注射指示票を見てダブルチェックを行った。その後、看護師Bは暗算し「バンコマイシン0.5gを生理食塩液5mLで溶解して4mLでいいね」と言い、看護師Aは「はいそうです」と返事をした。看護師Bは、バンコマイシン調製液4mLに生理食塩液1mLと合わせて計5mLを作成し、看護師Aがシリンジポンプで投与した。翌日6時、6年目の担当看護師Cと3年目看護師Dは、バンコマイシン0.5g1バイアルと生理食塩液5mL1アンプルと注射指示票を見てダブルチェックを行った。その後、看護師Cは暗算し「バンコマイシン0.5gを生理食塩液5mLで溶解して4mLでいいね」と言い、看護師Dも「はいそうです」と確認した。その後、バンコマイシン調製液4mLに生理食塩液1mLと合わせて計5mLを作成し、シリンジポンプで投与した。11時前、主治医がバンコマイシンの血中濃度が66.1μg/dLと異常高値であることに気付いた。夜勤の担当看護師Cは血中濃度が高値であることを聞き、気になってバンコマイシン溶解時の計算を確認した。「バンコマイシン0.5gを生理食塩液5mLで溶解して0.4mLが40mgに相当する」に対して、実際は計算を間違えて「バンコマイシン0.5gを生理食塩液5mLで溶解して4mL(=400mg)」とし10倍量を投与したことに気付いた。6時に採血をした血中濃度は前日22時の投与を反映していることから、22時の投与量も多いことが考えられた。準備した看護師Aと看護師Bに確認したところ、2名とも『1g=100mg』と誤って認識していたことが分かり、主治医に10倍量を投与したことを報告した。
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22時、6時のどちらもバンコマイシン40mgの計算を1人の看護師の暗算で行った。バンコマイシンは1回分ずつ、ビニールの小袋に入っていて、1日分が伝票とともに大袋に入った状態であがってくる。溶解液の生理食塩液は一緒に交付されないため、箱単位で請求し病棟に常備している。「1g=1000mg」であるが、今回は「1g=100mg」と思い込み、それをもとに誤った計算をしていた。当時は、重症患者の処置・看護、ナースコール対応など繁忙であった。通常から、全例において看護師が調製する薬剤の計算をしており、医師が希釈方法をコメント欄に記載することはなかった。確認を依頼した看護師は暗算した内容を口頭でダブルチェックの看護師に伝えた。ダブルチェックを担当した看護師は自分で計算をしないで「はいそうです」と返事をした。当該病棟では計算式を紙に書いて継続的に使用するなど統一したルールはなく、その都度各看護師が計算していた。計算した結果を医師に確認していなかった。計算は当該科では日常的に行われることが多く、頻度が多いがゆえに暗算するなど慎重さに欠けていた面があった。
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・医師は全患者の処方箋のコメント欄に希釈方法を具体的に記載する(薬剤を生理食塩液○mLで溶解し、うち△mLを使用する)。・初回投与時の計算は医師と看護師で紙に書いて行い、両者で確認する。・指示入力時は、紙に書き計算した物を見て行い、入力した画面を医師と看護師の両者で確認する。・医師は注射指示箋に何mLで溶解して何mLを使用するか具体的に入力をする。・「1g=1000mg」と点滴準備台に表示をする。・計算式を継続的に使用できるように点滴準備台に表示する。・計算式を注射指示箋(注射ワークシート)に記入する・情報を共有して慎重な業務ができるようにする。・実施状況の確認を半年後に行う。
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薬剤量の間違い
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・同じ間違いが続けて2度発生した事例である。・「~でいいね」という確認の仕方は、「はい」という回答を誘発する聞き方であり、ダブルチェックになっていない。・単位には様々なものがあり、「1m=100cm」や「1dL=100mL」など「1と100」の組み合わせで換算する単位も存在する。「cm」や「mL」で表される単位は目で見て長さや量を把握できるが、「mg」は視覚で量を把握するのは難しい。改善策にある通り「1g=1000mg」と掲示しておくことも一つの方法であろう。・改善策に「医師が全ての処方の際に希釈方法を具体的に記載する」とあるが、現実的に可能であるか検討が必要であろう。ただし、医師が処方箋のコメントに希釈方法を記載すると、薬剤師の処方箋監査で確認できる可能性がある。
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gとmgの換算間違い
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1歳10ヶ月の患者は、気管支炎による喘息治療と呼吸管理目的で入院した。医師より「注射用ソル・メルコート1251バイアルを生理食塩液2.5mLで溶解(50mg/mL)し、そのうち0.2mLをビューレット内に入れ、1時間で投与(医師の指示では10mg)」を1日4回の指示があった。注射用ソル・メルコートには注射用水が添付されており、生理食塩液と一緒に薬剤部より病棟に上がってきていた。看護師Aと看護師Bはダブルチェックを施行し投与量を確認した。医師の指示では生理食塩液の指示量で溶解して投与するよう記載があったが、注射用ソル・メルコートに添付された注射用水2mLで溶解し、さらに指示量の生理食塩液で希釈し、そのうち0.2mLを投与した。朝、看護師Cとダブルチェックをした際に、計算上濃度が薄まっていることを指摘され、過少投与が判明した。
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投与した看護師が新人であり、小児の看護をする機会が少なく経験が浅かった。溶解液が添付されている薬剤の取り扱いの経験が浅く、薬剤溶解方法の知識が足りなかった。薬剤の計算方法を知らず、先輩に計算方法を確認しなかった。自己で計算をせずに、先輩の言うままに疑問を持たずに実施した。確認した看護師も計算せずにダブルチェックを実施し、溶解液使用後の薬液を生理食塩液で溶解しても濃度は変わらないと思い込み、新人看護師に対する指導が不足していた。
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・小児に対する薬剤投与時はワークシートに投与量の記載があっても、自己で計算を実施し、必ずダブルチェック者も自分で計算して投与量の確認を行う。・薬剤投与に疑問を持った際は不明なままにせず、他看護師にも相談を行う。・ワークシートを確認し、医師の指示の意味が分からなければ医師に確認する。・医師の指示以外の薬剤がある場合は、使用方法を薬剤部に確認する。
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希釈に使う液量の間違い
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・薬剤は、希釈液量が多いほど濃度が薄まることを理解する必要がある。・注射用ソル・メルコートは、注射用水が添付された製剤である。医師の指示で添付の注射用水を使用しない場合は、薬剤部から注射用水を除いて払い出す方法もある。・注射用ソル・メルコートは、添付されている注射用水の量が製剤によって違うため、処方や調製時には注意が必要である。注射用ソル・メルコート40:注射用水1mL添付注射用ソル・メルコート125:注射用水2mL添付注射用ソル・メルコート500:注射用水8mL添付注射用ソル・メルコート1,000:注射用水16mL添付
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溶解だけするところ、さらに希釈した
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患者Aには、「リスペリドン内服液0.1%(1mg/mL)0.4mL+水(付加分)合計2mLを1日2回」が処方されていた。患者Bには、「リスペリドン内服液0.1%(1mg/mL)0.25mL+水(付加分)合計1mLを1日1回」が処方されていた。深夜帯(5時)、患者Aに定期投与中のリスペリドン内服液の残量が指示量1mL(リスペリドン含有0.2mg/mL)のところ0.5mL足りなかった。受け持ち看護師はリーダー看護師に相談し、患者Bのリスペリドン内服液を0.5mL(リスペリドン含有0.25mg/mL)使用し、合計1mL(リスペリドン含有0.225mg/mL)を投与した。17時の投与の際にリスペリドン内服液がなかったため、深夜帯看護師に確認したところ、本来投与すべき量より0.025mg過剰に投与していたことが分かった。師長と当直医に報告し、当直医、日勤帯受け持ち看護師より家族に説明を行った。5時に誤った量を投与後、患者の全身状態に変化はなかった。
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小児科医は、希釈する水の量についてもオーダに記載しており、薬剤部では処方どおりに調剤している。水薬のボトルは、1回の投与量(今回の場合は「1mL」)のみが記載されており、原液か希釈液か、含有されている薬剤の量などの情報は記載されていない。前日、患者Aの水薬の蓋の閉め方が甘く、冷蔵庫の中で倒れてこぼれ、本来1週間分あるはずのリスペリドンが約3日分不足していた。そのため、18時に医師に処方を依頼していたが、土日であったため主治医が依頼を確認する前であった。水薬の準備の際は、黄色のジェイフィード注入器(キャップ付き)の内筒を抜き、外筒を使用して計量していたが、先端のロス部分にも水薬が入るため、途中で足りなくなることが多かった。準備の際、量が足りないことに気付いたが、深夜帯(5時)であったため、当直医師に連絡し、処方してもらうことを躊躇した。受け持ち看護師は、他患者のリスペリドンの濃度が当該患者の濃度と同じと思い込んでいた。受け持ち看護師から相談を受けたリーダー看護師は、リスペリドンが希釈されており、患者毎に濃度が違うことを知っていたが、流用することが多かったトリクロリールシロップと同じ感覚でダブルチェックした。当該病棟では、入眠導入剤(トリクロリールシロップ原液)や浣腸液、座薬、吸入液などが不足することが多く、検査前に緊急で使用しなければならない状況や、処方が届くまでに医師や患者からの催促もあったため、内容を確認し、他患者に処方されたものを使用することが病棟全体で黙認されてしまっていた。
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・他患者に処方された薬剤を使用しない。緊急で必要な場合も医師に依頼し、患者本人の処方が届くまでは投与しない。患者本人にも処方が届くまでは待ってもらうよう伝える。・薬剤をこぼすなどして薬剤が不足すると予測された時点で直接医師に報告し、処方を依頼する。・水薬は、不足してしまうことが多いため医師・薬剤師と対策を検討し、1日分多く調剤してもらうことになった。・ジェイフィード注入器(キャップ付き)の外筒で計量するのをやめ、滅菌済スポイトを使用してロスを減らすことにした。
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希釈に使う液量の間違い
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・改善策にあるように、他患者の薬剤を借用して投与する方法はやめるべきである。・希釈液量の量まで指示する体制は、薬剤の調整に詳しい医師がいるからこそできるのかもしれないが、最近では、水薬は希釈しないで処方することが多くなっている。・水薬は、複数回にわたり量り取るうちに足りなくなることが多いため、一定の申し合わせのもと、目減りを加味して増量して調剤することもある。
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その他
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○月7日、患者はがん化学療法の目的で入院した。13時、主治医は○月10日にジーラスタ皮下注3.6mgを注射する予定でオーダ入力を行ったが、投与日の日付は○月7日となっていた。担当看護師は指示を受け、15時に患者へジーラスタ皮下注3.6mgの皮下注射を実施した。8日9時、CRC(治験コーディネータ)は10日に投与するジーラスタ皮下注3.6mgのオーダ入力がないことを病棟当番医へ報告した。病棟当番医は○月10日付けでジーラスタ皮下注3.6mgのオーダ入力をした。10時から患者は抗がん剤治療を受け、翌日に退院した。9日、外来看護師は10日に外来で投与する注射薬を確認していたところ、患者へ7日にジーラスタ皮下注3.6mg、8日に抗がん剤が投与されていることを発見した。○月14日に患者は発熱性好中球減少症を発症し、入院加療が必要となった。
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医師はジーラスタ皮下注3.6mgをオーダ入力する際に投与日を正しく入力できていなかった。注射オーダ入力画面の投与日の日付は、処方入力日がデフォルトとなっているため、投与する日に変更が必要である。看護師は、ジーラスタ皮下注3.6mgを注射するのが初めてであった。ジーラスタ皮下注3.6mgは外来で注射しているため、病棟で取り扱う機会がなかった。看護師は、患者に発熱性好中球減少症の既往があったため、ジーラスタを抗がん剤投与前に注射すると判断した。薬剤師は、ジーラスタ皮下注3.6mgを薬剤部より払い出す際に、抗がん剤投与前日の処方であることに気がつかなかった。CRCと病棟担当薬剤師の連携が取れていなかった。
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・医師はオーダ入力時に、投与日に誤りがないか指さし呼称で確認をする。・注射オーダ入力画面の投与日の日付は、その都度入力する仕様にすることを検討する。・病棟でジーラスタ(持続型G-CSF製剤)、発熱性好中球減少症の学習会を実施する。・薬剤師は、ジーラスタ皮下注3.6mgを払い出す際に、注射箋に記載されている抗がん剤投与歴を確認し、投与日に疑義がないか確認をする。・病棟薬剤師は、CRCと連携し、投薬管理への関わりを持つ。
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○月20日、医師はBEP療法2コース目の治療開始7日目(○月30日)にジーラスタ皮下注3.6mgを投与する予定で、電子カルテにてオーダした。○月21日17時頃、21日付けでジーラスタ皮下注3.6mgが投与されていることを発見した。ジーラスタ皮下注3.6mgは、投与24時間前および投与後14日間の化学療法実施の安全性が確立していないため、○月24日から開始予定としていたBEP療法2コース目を延期せざるを得ない状況となった。ジーラスタ皮下注3.6mgの投与による明らかな自覚症状はなかった。○月25日、白血球33,100/μL、好中球30,200/μLと上昇を認めたが、○月28日、白血球27,000/μL、好中球23,430/μL、○月30日、白血球18,200/μL、好中球15,500/μL、翌月1日、白血球15,000/μL、好中球12,780/μLと漸減を確認した。血液検査において、白血球数、好中球数の減少傾向を認めたため、同日、患者および家族に説明のうえ、治療延期による不利益などを総合的に判断し、翌日からBEP療法2コース目を1週間遅れで開始した。化学療法中は嘔気を認めていたが、全身状態は概ね安定している。
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卵黄嚢腫瘍に対する標準化学療法であるブレオマイシン/エトポシド/シスプラチン併用化学療法(BEP療法)の1コース目で発熱性好中球減少症を発症した。そのため、2コース目における発熱性好中球減少症の発症予防、治療完遂の可及的担保を目的とし、持続型G-CSF製剤であるジーラスタ皮下注3.6mgを予防投与することとした。○月24日から予定されていたBEP療法2コース目の治療開始7日目(○月30日)にジーラスタ皮下注3.6mgの投与を失念しないため、○月20日に電子カルテにて同薬剤をオーダした。システム上、注射オーダをした際に投与日を選択しなかった場合には、翌日付でオーダされるが、今回投与日の確認をしなかった。
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・婦人科病棟では、持続型G-CSF製剤の予防投与を出来る限り選択せずに、従来のG-CSF製剤で対応する。・やむを得ず、持続型G-CSF製剤の使用を行う際には、医師はオーダ時に上級医と相互確認、看護師は投与前に医師に再度確認することを徹底する。・持続型G-CSF製剤のオーダ時に、アラートが表示されるよう薬剤部に依頼することを検討している。
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乳がんのため、抗がん剤治療開始予定であった。医師は外来で投与するジーラスタ皮下注3.6mgの処方を行った。ジーラスタ皮下注3.6mgは、添付文書上「通常、成人にはがん化学療法剤投与終了後の翌日以降、(中略)化学療法1サイクルあたり1回皮下投与する。」との記載があるため、薬剤師は抗がん剤の投与歴の確認を行った。患者はジーラスタ皮下注3.6mgの投与前に、抗がん剤投与歴はなく、処方日の7日後よりTC療法が開始予定となっていた。そのため、今回のジーラスタの投与は不適切だと思われたため、医師に疑義照会を行った。ジーラスタ皮下注3.6mgの処方が削除となった。
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医師は処方オーダを行う前に、抗がん剤の投与日の確認と添付文書での確認を怠った。
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・医師は、抗がん剤の投与日と添付文書を確認した上で処方を行う。
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18時、患者B(0歳)は発熱のため救急外来を受診した。19時42分に医師が診察し、20時40分に小児科病棟に入院した。患者A(2歳)は同日20時6分に痙攣重積にて救急搬送された。同じ医師が診察し、22時45分に救命病棟に入院した。医師は患者Aのホストイン静注を入力する際、誤って患者Bの電子カルテに入力した。しばらくして救命病棟の看護師からホストイン静注のオーダが入力されていないと再入力の依頼があったため、医師は1回目の入力が登録されなかったと考え、今度は正しく患者Aの電子カルテでホストイン静注をオーダした。しかし、1回目のオーダで患者Bにホストイン静注が処方されていたため、薬剤部より小児科病棟へホストイン静注が払い出された。薬剤師は、ホストイン静注は開始量と維持量が違うため先に早見表にて速度の確認をした。体重、年齢は確認したが投与量の監査が疎かになってしまった。小児科病棟の看護師は疑問を感じたため、リーダー看護師に相談した。2人で電子カルテや薬剤情報を確認したが、医師には確認しなかった。患者Bは2日前にも発熱にて入院していたため痙攣の予防目的の投与と判断し投与した。小児科病棟の看護師2人は患者Aが救命病棟に入院していることは知らなかった。薬剤師はホストイン静注が続けて2人の患者にオーダされたことが気になっていたが、忙しくて医師に確認できなかった。0時50分、薬剤師が医師に確認したところ、オーダが間違っていたことが分かった。薬剤師は小児科病棟に連絡し、患者Bに投与したホストイン静注は患者Aのオーダであったことを伝えた。
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医師は赴任1ヶ月目であった。同日夜間帯に2人の患者が入院し、業務は煩雑だった。同時間帯に2人の患者の入院指示を入力していた。ホストイン静注のオーダの際に電子カルテの患者氏名の確認が十分ではなかった。1回目の入力が患者Aにオーダされていなかったのは「登録」ボタンを押さなかったためと思っていた。薬剤師は、当直を1人でしており、救急外来患者の対応に追われていた。ホストイン静注の対象年齢などを知らなかった。年齢・体重による投与量の監査が疎かになってしまった。病棟の看護師とリーダー看護師は疑問に感じたが、痙攣予防のためのオーダと解釈し、医師には確認しなかった。
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・医師はオーダの際に患者氏名、IDを十分に確認する。・2人の患者の電子カルテを同時に開かないようにする。・薬剤師は処方監査の基本として、年齢・体重・投与量を確実に監査する。不審な点や気がかりな点は早急に確認する。・看護師は疑問や不明な指示について、医師に必ず確認する。
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処方
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手術室で患者Aに輸血をオーダする際、一件前に手術をした患者Bのカルテ画面が開いていた。気付かずそのまま血液製剤をオーダし、異型の血液製剤が手術室に運ばれた。
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輸血オーダをする際に患者氏名の確認をしなかった。輸血伝票が出された際、患者氏名の確認も行っていなかった。
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・電子カルテは手術が終了したら、必ずログオフする(長時間開いたままの場合は自動ログオフになる設定とした)。・手術時は麻酔がかかった後は、手首に巻いているネームバンドを切って、カルテに貼り、麻酔科管理とする。・輸血伝票がでたら、ネームバンドで確認する。・術前タイムアウトで外科医に血液型を呼称してもらい、血液型カードを外回り看護師が点滴棒にかける。・輸血前は医師・看護師で輸血伝票・電子カルテ・血液製剤・ネームバンドを用いてダブルチェックをする。
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輸血
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患者A:80歳代女性(心臓血管外科)患者B:80歳代女性(循環器内科)医師Xは、心臓外科手術後の患者AがICUに入室する前に、術後のオーダを入力しバーコードラベルを出し、ICUのベッドサイドの台の上に置いた。17時、手術が終了し患者AがICUに入室した。研修医は動脈ラインから血ガス用シリンジと生化学用シリンジに採血を行い、生化学用シリンジを看護師に渡し血ガスを測定しに行った。看護師は血液を容器に入れ、準備されていたラベルを貼付して検体を提出した。20時30分、医師Yは患者Aの検査結果が出ていないことに気付き、再度血液検査をオーダし、採血を行い提出した。翌日、医師Zが、患者Bに覚えのない時間に採血がされていること、結果がこれまでと全く違っていたことから、患者を間違えてオーダし検査していたことに気付いた。
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医師Xがオーダをする際、隣のベッドに入室している患者Bの電子カルテを開いていた。なぜ間違って開いたのか覚えていない。準備した医師や容器に血液を入れた看護師は、患者の名前とラベルの名前を確認していない。採血から検体提出まで複数の医師、看護師が関与している。ベッドサイドにあるものはその患者のものと思っており、患者を確認していなかった。受け持ち患者が限定されるため、患者を確認する必要がないという思いがあった。鎮静剤の投与中で名前を名乗ってもらえない患者も多いが、名乗れる患者にも名乗ってもらっていなかった。
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・以前にも同様の事例が発生していることから、さらに予防対策を強化した。・病棟において患者確認の必要性の再教育と注意喚起の表示を行った(電子カルテ、ラベルプリンター、検体入れ)。・1つの作業は原則1人で最後まで行う。人を介するときは患者確認をする。・検体ラベルの字体を明朝体からゴシック体に変更した。
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血液検査
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手術前の検査にて眼軸長と角膜曲率半径の測定を実施した。4日後、医師がレンズを決定するためにレンズ度数を確認したところ計算がされていなかったため、視能訓練士に計算を依頼した。視能訓練士は電子カルテで患者Aを検索した際に、同姓の患者Bを選び、患者Bのデータで計算した。医師はそのデータを元に眼内レンズを注文し、手術を実施した。術後4日目、退院時の測定をした際にレフエラーがあり確認したところ、眼内レンズの計算時に他患者のデータで眼内レンズを注文したことが分かった。その5日後(術後9日目)に緊急で再手術を実施し、正しい眼内レンズを挿入した。
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眼内レンズの計算のためデータを検索した際に、患者のフルネームやID番号を確認しなかった。データはアルファベット表記で分かりづらかった。
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・検査データを検索する際は、患者の氏名・ID番号・眼軸長・角膜曲率半径・前房深度の検査数値を確認する。・他の検査結果との整合性を見る。・電子カルテ使用時、必ず自分のIDカードで立ち上げ、検査担当責任者の所在を明確にする。
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患者Aは両側人工膝関節置換術後問題なく経過していた。外来診察時、誤って変形性膝関節症の患者Bの電子カルテを見ながら診察し、左膝関節腔に不要な注射(サイビスクディスポ関節注2mL)を施行した。その後、患者Bの診察時、カルテを取り違えて患者Aを診察し、誤って注射してしまったことに気付いた。発生後、上級医、医療安全管理者へ報告した。患者Aの家族に患者を取り違えたことを報告し謝罪した。人工関節置換術の術後で感染の可能性が高いことを考慮し、予防的に抗菌薬を投与することや状況を説明し、処方の受け取りのために来院を依頼した。その後、外来にて、患者Aに再度説明した。
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患者に名前を名乗ってもらい患者確認することを怠った。患者と電子カルテの名前の照合を怠った。人工関節置換術後に対し、ヒアルロン酸注射は通常不要であり違和感はあった。薬剤の適応について知識があいまいなまま使用してしまった。当院での再診に不慣れな状態であった。
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・患者に名乗ってもらい、患者氏名とカルテの照合確認をする。・診療に疑問を覚えた時点で他の医師を含めスタッフに相談をする。
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他院からクエチアピン錠25mg「サンド」3錠分3を処方されていた患者が、乳がんの加療目的で当院に入院となった。入院当日、薬剤師は持参薬を鑑別した。当院にクエチアピン錠25mgの採用はなく、規格の異なるセロクエル100mg錠が採用されていた。薬剤師は「成分量違い・剤型一致」として、セロクエル100mg錠:クエチアピン錠25mg「サンド」の1錠はセロクエル100mg錠の0.25錠に相当します、と持参薬鑑別書に代替薬を入力した。医師は持参薬から院内採用の代替薬に切り替え翌日開始の内服を処方した。その際、医師は代替薬のセロクエル100mg錠を3錠分3で処方した。入院翌日、薬剤部からセロクエルが払い出された。看護師は処方通り配薬した。患者はセロクエル100mg錠を朝昼食後服用し、傾眠となった。夕方、看護師が持参薬鑑別書に「クエチアピン錠25mg1錠はセロクエル100mg錠0.25錠分に相当する」と記載されているのを見て、4倍量処方に気付いた。麻痺などはなくCTでも頭蓋内病変はなかった。患者は夜間薬剤性傾眠のため無呼吸や酸素化の低下、低血圧を認めた。翌朝患者は覚醒した。
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当院では持参薬を院内処方へ切り替える場合、代替薬があるものは選択して指示することができる。薬剤規格の確認が不足した。患者が傾眠傾向であったが、治療のためロラゼパムも服用しておりセロクエルが過量投与されているとは気付きにくかった。
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・処方薬の数が多くても、ひとつひとつ規格を確認して処方する。・連続でEnterを押すとリスト上部の規格のものが勝手に選択されてしまうことがあるため、電子カルテの操作時の確認が必要である。・持参薬から院内処方へ切り替えがある際は、持参薬鑑別書と処方内容を照らし合わせ、変更の有無を確認し患者へ投与する。
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持参薬のブロプレス錠2mg1錠を退院時処方する際、誤ってブロプレス錠4mg1錠を処方した。患者は自宅で4mgを内服後、低血圧であること、処方薬の用量が異なることに気付き、内服を自己中断した。
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患者の退院当日の午前、退院直前に行った処方であり、確認を行う時間的・心理的余裕がなかった。ブロプレス錠2mgは院内採用がなく、4mgを0.5錠で処方しなければならなかったが、医師が誤って1錠で処方した。薬袋を渡す際は、使用していた薬袋との照合を行うルールであったが、焦りがあり確認を行わなかった。
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・処方時の確認を徹底する。・それまでの処方薬や持参薬と異なった処方にした時は注意喚起する。・持参薬が院内採用薬に切り替わる際は、薬剤名や用量を慎重に確認する。・患者に薬袋を渡す際、6Rに沿って確認を行う。
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患者は脳性麻痺のため随意運動ができず、両下肢は伸展した形で拘縮している。また、意思表示はできず、コミュニケーションは困難である。16時、腸瘻交換のために準備をしていた。看護師1人でおむつ交換を行い、スライダーを使用してストレッチャーに移乗させようと、ストレッチャーをベッドの右隣に付け、ベッドの左側から患者の左肩と腸骨を支えてストレッチャー側へスライドするように力を加えた。その時、ストレッチャーがベッドから離れるように移動して、スライダーと共に体が沈み込むように転落した。転落直後、主治医が診察した。心肺に異常なく、右足趾上部から出血していた。下肢CT撮影を行い、明らかな骨折は確認できなかった。時間経過とともに患部に骨折後の内出血が出現し、右脛骨内果骨折をしていた。
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通常は2人で移乗介助を行っているが、時間がないと焦っていたので1人で実施した。ロックがかかった状態でストレッチャーを押すと車輪自体は動かないが、キャスター(車輪を設置している支点となる部分)が回転し、車輪も回転する。そのため、ロックがかかっていたが、キャスターの遊びの範囲内でストレッチャーが動いた。スライダーの使用手順が熟知できていなかった。患者の背部にスライダーを敷き込み、その後ストレッチャーをベッドの右隣につけた。その際、スライダーの端がストレッチャーにどの程度かぶさっていたかは確認できていない。ストレッチャーをベッドの右隣に付けた際にベッドとストレッチャーの間に隙間がないことを確認した。病棟では、週に2回、使用前に点検を行っている。
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・移乗介助の方法を検討し、2人での介助が必要な患者を選出してスタッフ全員で情報を共有して実施する。全員ができているか看護師長が実施状況をチェック表にて評価する。・ストレッチャーの修理保全・使用時の注意を表示し、周知する。・移乗や入浴など患者に負担のかかる行為の時には、必ず誰かに声をかけ、安全の確保ができるまで実施しないことを周知する。・スライダーを使用して移乗介助の体験学習を行い、使用方法を周知する。
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看護師Aはベッド側、看護師Bは患者の頭側、看護師Cはストレッチャー側に位置していた。看護師Cは、患者の足がスライダーからはみ出ていたため直そうと足元へ移動した。その時、ベッド側にいた看護師Aは患者の移動を開始してスライダーの上の患者を押した。そのはずみでストレッチャーが動き、ベッドとストレッチャーの隙間から患者が臀部から転落し、頭部も打撲した。看護師Bは患者の肩を支えたが、患者を支えきれなかった。CT検査の結果、外傷性硬膜下血腫と診断された。
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機械浴用ストレッチャーは毎日使用されているため定期的な点検は実施されていなかった。また、4年前に購入してからメーカーによる点検も実施されていなかった。事故後メーカーで点検した結果、タイヤの摩耗があり4輪とも交換となった。タイヤの摩耗でストレッチャーが横滑りしたようであった。一部の看護師は、時々ストレッチャーのロックのかかりが悪く動いてしまうことを認識していたが、何度かやり直すと正常になるためロックのかけ方(手技)の問題と思っていた。移動時に誰も声掛けをしていないため、看護師Aと看護師Cの意思統一が図れておらず各自の思いで行動してしまった。
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・患者は大柄で、看護師3名では人数が足りなかった可能性もあり、今後は4名で対応して声を掛け合いながら実施する。また、実施手順を作成した。・患者移動に関するシミュレーション学習会を全スタッフが参加できるように計画した。・異常時の点検依頼は迅速に行うよう指導した。・ストレッチャー、車椅子等の点検手順については業務委員会で検討する。・メーカーによる院内のストレッチャーの点検も視野に入れ企画課にて見積もり中である。
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特殊浴槽に入浴するために介助者2名で、移動用ストレッチャーから入浴用ストレッチャーにスライドシートを使用して移動した。ストレッチャーの間を通過する時に、移動用ストレッチャーが動いて隙間が広がり、体が入り込んでマットごと滑るように床へ転落した(高さ約75cm)。右頭部側から滑り、右後頭部、右肩を打撲した。右後頭部に6×9cmの皮下血腫、右肩に疼痛と腫脹が出現した。意識レベルは変化なく、バイタルサインも昨日と著変はない状態だった。翌日朝、主治医の指示で頭部、頚部、胸部、腹部、下腹部のCT撮影、胸部、両肩、両上腕のX線撮影を行った。その結果、右肩鎖関節亜脱臼、右鎖骨遠位部骨折と診断された。頭蓋内の外傷性変化はなかった。
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日曜日であったため、職員の数も少なく、入浴介助は4名(平日は6名)で行っていた。移動用ストレッチャー側に1名、入浴用ストレッチャー側に1名が立ち、右方向に移動した。移動用ストレッチャーと入浴用ストレッチャーの間に隙間があった。移動用ストレッチャーのロックが出来ておらず、体幹の移動時にストレッチャーが動いて広がった隙間に体が入り込んだ。入浴用ストレッチャーのロックはかかっていた。
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・移乗介助を行う際は、ロックの確認を十分に行い、送り手側2名、受け手側2名で行う。・送り手側のストレッチャー柵を受け手側のストレッチャーに乗せ、橋渡しとする。
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9時30分、入浴のためにベッドからストレッチャーへ移乗介助をする際、看護師は体重を測る目的でストレッチャー式体重計を準備した。ストレッチャー式体重計のロックは以前から不具合があったため、通常は使用を控えていた。また、型番が古く修理対象ではなかったことは他の看護師も知っていた。9時44分、看護師3名でロールボードを用いてベッドからストレッチャーへ患者を移動しようとした時に、ストレッチャーが動いてベッドとの間からロールボードと共に床に転落した(高さ約80cm)。直ちに医師、看護師長へ報告した。患者の意識レベルは入院時と同様であり、一般状態の悪化はなかった。10時に頭部CT検査を実施、10時20分に頭部、頸椎、胸骨~骨盤、両下肢のX線撮影を行った。12時、肋骨骨折に対してバストバンドを装着した。
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ストレッチャーの選択を誤り、ロックがかからないストレッチャーを用いて移乗を介助した。体重測定と入浴をするのに、他の患者の介助も控えており急いでいた。点検・整備等、施設管理上の不備があった。
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・安全なストレッチャーを用いて移乗介助を行うことを周知した。・多忙や焦る状況に対しての業務改善として、体重測定と入浴の実施日を分けて行う。・点検を実施し、整備が必要な医療用具等を把握した。関係者で協議し早急に対応する。
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ICUでは、「緊急指示票」で決められた規格・容量・希釈方法を指示しており、不整脈の散発に対してアデホス-Lコーワ注20mgを生理食塩液で希釈して投与していた。一般病棟に転棟後、患者に不整脈が現れたことから、医師はICUで使用していた「緊急指示票」に準じて投与するよう口頭で指示を出した。看護師は病棟常備のアデホス-Lコーワ注40mgを生理食塩液で希釈して投与した。ICUには20mg、当該病棟には40mgが常備されていた。その後、医師がオーダ指示画面に入力した規格は20mgであった。後日、指示量の倍量が投与されていたことが分かった。
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ICUの「緊急指示票」を参考にした際、ダブルチェックで確認したが、使用薬剤の規格の確認に不備があった。不整脈での緊急時対応のため、医師からは口頭指示となり、オーダ指示画面での確認ができなかった。部署により常備薬剤の規格(ICU:20mg、病棟:40mg)が異なっていたが、看護師は認識しておらず、確認が不十分であった。
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・口頭指示の場合は、反復復唱とチェックバックを行うルールとしており、このルールを再度徹底した。・当院でアデホス-Lコーワ注は、1)10mg/2mL/A2)20mg/2mL/A3)40mg/2mL/Aの3規格を採用している。3規格の液量が全て2mLであり、過量投与や過少投与の危険性があることから、採用する規格を減らし、可能なら1つの規格に統一する。
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ICUと病棟に常備しているアデホス-Lコーワ注の規格が異なり、過剰投与した事例
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顎変形症に対して全身麻酔下で手術を施行した。退院後の初回外来時、患者は手術後から腹部に傷が2ヶ所あり痛みが継続していると言った。手術中に使用する機器のコードをオイフに固定する際、誤って患者の皮膚を挟み込んでいたことが原因と思われた。発赤が残存していたため、形成外科を受診して軟膏処置を開始した。
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手術準備でコード類を鉗子で固定した際、患者の皮膚が巻き込まれていないかの確認が不足していた。手術時間が長時間であったため、皮膚損傷が重症化した。術後の皮膚状態の確認や病棟での患者への確認、観察等が適切に行われず発見が遅れた。
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・コード類を整理するために鉗子を使用する時は、複数の医療者で確認する。・術後の皮膚トラブルの早期発見のため、皮膚の観察は複数の医療者で確認する。
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手術時に鉗子で皮膚を挟み込み皮膚損傷をきたした事例
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患者は、肺尖部と肺底部にドレーンが留置されていた。肺底部のドレーンを抜去するため、医師3名と看護師1名で処置を開始した。医師は、肺底部のドレーンを固定していたテープを除去する際、2本のドレーンのテープが重なっていたため、肺尖部のドレーンを固定していたテープも外した。次に、滅菌穴あきシーツを掛けて刺入部の固定を外した。その後、新たに別の医師が処置に加わり、固定のテープが外れているドレーンを肺底部のドレーンと判断して抜去した。抜去後に肺尖部のドレーンであることが判明した。
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肺尖部と肺底部にはそれぞれ形状の異なるドレーンが挿入されており、外観上の違いがあった。抜去時は、滅菌穴あきシーツで肺尖部のドレーンの刺入部は覆われており、刺入部からルートを辿っての確認が出来なかった。抜去した医師は途中から処置に加わったため、処置の経過を把握していなかった。
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・ドレーンが2本ある場合には、事前に刺入部からルートを辿って、対象のドレーンが分かるように目印をつけておく。
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2本のドレーンのうち、留置を続けるドレーンを抜去した事例
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患者は便秘のため浣腸を希望した。看護師は患者に側臥位での実施を勧めたが、浣腸液がすぐ出るのでトイレで実施して欲しいと希望された。トイレへ移動し、グリセリン浣腸液60mLの先にワセリンを塗布し、ストッパーを5cmの位置に固定して、立位(肛門を突き出す姿勢)で挿入した。抵抗なく挿入でき、浣腸液を約50mL注入して便座に移動した。チューブの先に便の付着があったが、出血や注入時の痛みの訴えもなかった。10分後、トイレからコールがあった。患者は排便困難を訴え、肛門周囲に3cm幅の腫脹と少量の出血を認めた。消化器外科医師が診察し、直腸診で硬便が多量に確認され摘便した。腹部単純X-Pでは直腸穿通の所見はなく、結腸に多量の便貯留が確認された。その後、陰嚢の腫脹が出現し、CT検査で直腸右壁から腸管の外にエアーが確認され、直腸穿通と診断された。病態が悪化した場合、直腸、肛門周囲膿瘍やフルニエ壊疽にまで進展し全身状態が悪化することも危惧され、翌日、腹腔鏡下にストマ造設術を施行した。手術中、経肛門的に摘便と腸洗浄を行い、残便を排除した。腹腔鏡下に腹腔内から直腸とその周囲を観察したが、腸管損傷や便汚染の所見は認めなかった。
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患者は慢性の便秘症で直腸に硬便が多量に貯留しており、肛門周囲がうっ血状態になっていた。硬便が多量に貯留している状態で浣腸を実施することは、それ自体が直腸壁を穿通するリスクがあった。明確な穿通の確認はできていないが、経過や画像所見から浣腸と穿通との因果関係はほぼ確実であり、浣腸は危険とされている立位で実施された。当事者は、2012年に配信されたPMDA医療安全情報を見ていなかった。
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・PMDA医療安全情報を再配信し、立位での浣腸実施の危険性を周知した。・排便コントロールの方法、下剤の選択方法をルーチン化する。・浣腸実施時の注意点をまとめ、看護手順を改訂する。・排便コントロール、浣腸、摘便の安全な実施方法を多職種で検討する。
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浣腸を立位で実施し直腸穿孔をきたした事例
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本事業では、医療安全情報No.3「グリセリン浣腸実施に伴う直腸穿孔」(2007年2月)を提供している(http://www.med-safe.jp/pdf/med-safe_3.pdf)。その後、第31回報告書(2012年12月公表)「再発・類似事例の発生状況」においても取り上げている(http://www.med-safe.jp/pdf/report_2012_3_R002.pdf)。また、独立行政法人医薬品医療機器総合機構は、PMDA医療安全情報No.34「グリセリン浣腸の取扱い時の注意について」(2012年10月)を公表している(http://www.pmda.go.jp/files/000143821.pdf)。
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点滴は主管からソルデム3A輸液を60mL/h、側管からヘパリンNa20,000単位入りの生理食塩液を10mL/hで投与していた。看護師は、保清のため点滴を一時的にヘパリンロックしていたのを再開しようと訪室した。点滴ルートは電源の切れた輸液ポンプにセットされていた。そのままの状態で点滴を患者に接続して、2台の輸液ポンプの電源を入れて予定量と流量を設定して再開した。2時間後に別の看護師が訪室した際、ソルデム3A輸液とヘパリン入りの生理食塩液の予定量・流量が逆に設定されているのを発見した。
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輸液ポンプの上にある点滴が交差していた可能性があり、それに気づかず真上にある点滴の流量を輸液ポンプに設定した可能性がある。点滴を再開したのは新人看護師であった。
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・ルートを辿り、薬剤と輸液ポンプ、投与部位を一連のものとして確認するよう院内に注意喚起する。・普段からルートが交差しないように輸液ポンプを設置するように周知する。
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2台の輸液ポンプの流量を逆に設定し、ヘパリンが過剰投与された事例
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担当医師は本日の外来受診患者のカルテを確認していた。患者Aのカルテを確認していた際に、病理診断結果と電子カルテの記載を照らし合わせたところ、記載していた内容が違っていたことに気が付いた。患者Aの病理診断結果は、「TN(トリプルネガティブ)ホルモン剤の効かないタイプ」であったが、電子カルテには患者Bの「TNホルモン剤の効くタイプ」と記載されていた。患者Aに対して、効果のないアリミデックス錠を1年2ヶ月間投与していたことが分かった。
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1年2ヶ月前、主治医は病理診断報告書の内容を電子カルテに記載する際に、最初に乳がん術後の患者Bのカルテを開けて報告書を読み、カルテに内容をコピー&ペーストした。この時、電子カルテの機能のみを使用していれば問題なかったが、キーボードの機能を使って「Ctrl+C(コピー)」→「Ctrl+V(ペースト)」とした。その後、患者Bのカルテを閉じ、患者Aのカルテを開き、病理診断報告書を読んだ。同じ方法で患者Aの結果をコピーしたつもりだったができておらず、患者Aのカルテにペーストした際に患者Bの内容がペーストされた。主治医は内容を確認せずに電子カルテを閉じた。
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・電子カルテのコピー&ペースト機能は、1患者のカルテでのみ行えるようシステムを変更した(カルテを閉じたらコピーした履歴が消える)。・電子カルテの使い方と注意について説明会を開催した。・院内で事例を共有した。
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他患者の情報を電子カルテに入力した事例の内容
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患児は自宅で使用していた人工呼吸器(トリロジー)を入院後も継続して使用していた。看護師Aがスタッフステーションのモニターを見ると、患児の酸素飽和度が60%と低値を示し赤く点灯していたが、アラームが一時消音となっていた。看護師が訪室すると、患児の気管カニューレと人工呼吸器の接続が外れ、顔色不良となり心拍60台と徐脈を呈していた。ベッドサイドモニターと人工呼吸器のアラームは鳴っていたが、人工呼吸器は在宅用運搬カバーに覆われアラーム音が小さくなっていた。緊急コールを押しスタッフを集め、酸素を投与しジャクソンリースで加圧すると、バイタルサイン、顔色ともに改善した。人工呼吸器のアラーム履歴を確認すると、3分前に回路外れでアラームが鳴っていた。
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モニターのアラームが消音になっていた。誰が消音にしたか不明だが、消音した後に訪室していなかった。人工呼吸器のアラーム音の設定が在宅仕様のままであり、音量が大小2つの設定のうち「ソフト(小)」の設定になっていた。人工呼吸器はメーカー担当者が準備した運搬用カバーに覆われており、アラーム音が小さかった。気管チューブと人工呼吸器の回路の接続が緩んでいた可能性がある。児の成長により四肢や体幹の動きが激しくなっていた。家族の付き添いがないことを部屋持ち看護師のみ把握しており、他のスタッフは知らなかった。当院では、トリロジーは採用していない人工呼吸器であった。在宅から持ち込まれた人工呼吸器に対して、臨床工学技士の介入はない。院内で在宅用の人工呼吸器をリースまたはレンタルした場合は、診療科とメーカーが連絡を取り合っているためMEセンターや臨床工学技士の関与はない。対応もメーカーがしているが、病棟から連絡があった場合は、臨床工学技士が対応することがある。
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・家族の付き添いの有無はスタッフ間で共有する。・在宅で使用していた人工呼吸器であっても、家族に説明の上、入院中はアラームの音量を最大に設定する。・カバーなどアラーム音が小さくなるようなものは取り外す。
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人工呼吸器回路の接続が外れた事例
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・臨床工学技士の介入の有無は医療機関によって様々であり、介入する場合の入院時の連絡方法も一定ではないのが現状である。・在宅ではアラームの音量を小さくしていることが多く、入院後もそのままの設定になっていたり、家族が付き添っている場合に音量を上げるのを躊躇したりすることがあるが、入院中は適切な音量に設定する必要がある。・人工呼吸器メーカーが推奨する専用カバーは、アラーム音を発出するスピーカーが完全に覆われない構造になっており、アラームの音量に影響することはないと思われる。
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患児は母親に付き添われて短期入院した。入院2日目の5時57分、SpO91%2に低下した。吸引しても肺の副雑音を聴取したため、6時15分にカフアシストを実施した。6時16分、カフアシスト終了後にトリロジー100プラスを装着した。持ち込みの呼気ポートは透明で蓋付きで、カフアシストのI字管は乳白色であった。カフアシストから人工呼吸器を装着する時に、カニューレとI字管が接続された状態で、カフアシスト回路を蛇腹から外し、呼気ポートのついた回路を接続できなかったため、呼気ポートを外して人工呼吸器の蛇腹をI字管に接続した。6時30分、アラームが鳴り、吸引するとさらさらの痰が引けた。6時35分、SpO68~270%に低下したため、酸素を全開にして用手換気し、96~97%に回復した。6時45分、トリロジー100プラスを装着した。「回路リーク低下アラーム」が頻回に鳴った。看護師2人で確認したが呼気ポートがついていないことに気付かなかった。7時09分、当直医師、当直副看護師長が来室した。再度SpO70%2に低下した。7時30分、血液ガスを採取し、pCO68.4、pO116、22pH7.187であった。7時40分、臨床工学技士による回路点検で呼気ポートが接続されていないことに気付き、呼気ポートを接続した。
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約1ヶ月前に病棟で短期入院の受け入れを開始した。患者は、COナルコーシ2スのため約2ヶ月前に他院で気管切開され、トリロジー100プラスを24時間装着し、排痰援助のためカフアシストの使用を開始してから初めての入院であった。人工呼吸器の回路等諸物品は、人工呼吸器を導入した施設でそれぞれ違う。当該事例の場合、患者が在宅で使用していたトリロジー100プラス(回路含む)を持ち込み、院内で継続して使用していた。入院時に使用方法の確認や周知ができる手順書を作成していなかった。病棟で人工呼吸器を使用する際、臨床工学技士は入院日に機器の点検を行っている。人工呼吸器の簡易説明書やアラームトラブルシューティング表を持参しておらず設置していなかった。準備不足であった。アラームが鳴り続け、原因が分からない時に人工呼吸器を交換できていなかった。入院時の診療情報提供書には、「2ヶ月前に気管切開術を施行、その後トリロジーを導入して問題なく経過しております。カフアシストは、設定を一部変更して実施しております。(一部抜粋)」と記載がされていた。カフアシストは、入院中は5回2セットを昼の注入前に実施していた。
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・入院時に使用方法を確認し、統一した使用ができるように写真を用いて視覚的な手順書を作成する。・医療機器(カフアシストとトリロジー100プラス)の勉強会を実施する。・人工呼吸器の簡易説明書やアラームトラブルシューティング表を病棟で準備して設置する。・アラーム対応困難な場合は、人工呼吸器の交換をする。
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カフアシストを使用後、呼気ポートを外して回路を接続した事例
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・呼吸回路の呼気ポートを外したことにより呼気ができなくなった事例であり、生命に関わるおそれがあった。・アラームの原因が確認できないまま人工呼吸器を使うのは危険であり、原因を確認するのが対応の基本である。・アラームの原因がわからない時は、人工呼吸器を作動させることよりも、まず患者の呼吸を維持することが重要であり、用手換気に切り替えてアラームの原因を確認し、原因が特定できない場合は人工呼吸器を交換するとよいだろう。
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患者は筋萎縮性側索硬化症のため、在宅よりBiPAPA40システムを使用しNPPVにて呼吸管理中であった。午前0時頃アラームが鳴ったため看護師が訪室すると、呼吸回路の途中からエアーが漏れていた。回路側面についていた蓋を閉めたところアラームが止まった。アラーム停止後、酸素飽和度が90%台前半となっていたが、看護師はマスクフィッティング不良によるものと判断し、調整し様子を見ていた。その後4時頃になり酸素飽和度が77%まで低下したため、再度患者のもとへ訪室した。他のサチュレーションモニターを使用し再測定を行ったが同様の数値であった。喀痰の貯留は無く、呼吸苦の訴えはなかった。回路を見直したところ、人工呼吸器と酸素をつなぐチューブが外れており、酸素供給がされていなかったことが判明した。酸素チューブを正しく接続し直したところ、酸素飽和度が90%台後半まで改善した。
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勤務交代直後より他患者の対応に追われており、回路ならびに機器設定の確認が不十分であった。勤務交代時にNPPVの値だけメモし、NPPVチェックリストによる全項目の確認・記録を行なわなかった。0時頃にアラームが鳴った際も他患者への対応により慌ててしまった。また、深夜ということもあり、部屋も暗いまま作業を行ったため、回路の確認もしっかりできなかった。看護師はNPPV装着患者の担当が初めてであり、機器の知識が不足していた。また、当該病棟においては在宅からのNPPV装着患者の増加に併せ、臨床工学部と協力しNPPV勉強会の日程調整中であった。
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・勤務交代時、NPPVチェックリストを使用し、全チェック項目を確認して記録に残す。・アラームが鳴った際は酸素チューブを含む呼吸回路の確認を行う。・バイタルサインの変化が早期に発見できるように心電図モニターのアラーム設定を再確認する。・異常があった場合は他のスタッフや医師に報告する。・NPPV勉強会を部署内で開催した。本事例は危険度が高かったこと、当直医師の診察を受け、責任者へ報告すべき事案であったことを共有した。
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人工呼吸器から酸素供給チューブが外れたことに気付かなかった事例
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・NPPVの場合、酸素飽和度低下はマスクフィットの問題と考えがちだが、回路に異常がないか確認することも必要である。・本事例では「、呼吸回路の途中からエアーが漏れていた。回路側面についていた蓋を閉めたところアラームが止まった。」とあるが、本来はここに酸素チューブを接続する必要があった。・酸素チューブの接続が、ロック式に改良されると外れにくくなるのではないか。
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<参考>BiPAPA40システムシルバーシリーズの使い方(一部抜粋)1)
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酸素供給装置(酸素濃縮装置・酸素ボンベ)を併用する場合機器送気口へプレッシャーバルブ、呼吸回路を直列に取り付けます。プレッシャーバルブの接続口に酸素チューブを接続し、酸素供給装置のスイッチをONにします。
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午前2時42分頃、看護師が担当患者ラウンド中に患者の病室を訪室し、人工呼吸器の回路を外し、喀痰吸引を実施した。看護師は喀痰吸引中の人工呼吸器アラームを消すために消音ボタンを押すべきところを間違ってスタート/ストップボタンを押した。喀痰吸引後に人工呼吸器の回路を接続した。人工呼吸器は作動していたが、その後人工呼吸器の液晶画面の「機械の運転を停止してもいいですか」の表示に対して、結果的には「はい」を選択し、人工呼吸器を停止させてしまった。人工呼吸器の液晶画面が点灯したままでいつもと変わらないため、正常に作動していると思った。約10分後、看護師はナースステーションのセントラルモニターのアラームで呼吸心拍の異常に気付き、心肺停止状態であるところを発見した。直ちに心肺蘇生術が行われ、約3分後に心拍再開し、HCUに転床した。
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看護師の喀痰吸引、人工呼吸器操作の習熟が十分とはいえなかった。喀痰吸引に院内のマニュアルが合っていなかった。自発呼吸が乏しい患者に装着している人工呼吸器の種類(VELIA)としては、適切とはいえなかった。VELIAは自発呼吸がしっかりしている患者向けに開発された機種であり、在宅で使用されることが多い。それゆえ、作動音が小さく、液晶画面も含めた機械全体も小さく、他機種に比べて比較的容易に機械を停止させることができるようになっている。ボタンが少なく、1つのボタンで複数の機能を兼ねている。VELIAは当院で採用していない機種であり、今回は添付文書や取扱説明書のいずれも院内に存在せず、入院時にも持ち込まれていなかった。病棟のモニタリングシステムが十分とはいえなかった。作業環境としては、適切であるとはいえなかった。ベッドをはさんで吸引器は左側、人工呼吸器は右側に配置していた。昼間だけでなく、夜間の作業環境も想定し、ベッドと様々な機器の位置関係も使い勝手を考慮しながら、明るさの基準を設定し、機器の配置を決定していくことが十分ではなかった可能性がある。情報共有が不足していた。レスパイト入院希望が当院に伝わった時点では、呼吸機能低下のため人工呼吸器の機種変更が必要であるとの情報は伝わっておらず、7日後に診療所の医師から診療情報提供書のFAXに初めて人工呼吸器の機種変更の必要性が記載されており、重要な情報が抜け落ちた状況での入院申し込みだった。入院後に初めて診療情報提供書を見た主治医は、VELIAからASTRALへ機種変更を依頼されていることを知った。
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・人工呼吸器操作の教育・訓練を行う。・適切な人工呼吸器を選択する。・病棟のモニタリングシステムを改善し、ベッドサイドモニターの併用も積極的に考慮する。・作業環境を改善する。・情報共有の質の向上を図る。当院の現状の体制説明など、普段から在宅側の診療所等ともっとコミュニケーションをとる。・看護師に、心電図だけでなく呼吸関連のモニタリングに注意を払うことを普段から訓練・教育する(道具的支援等を含めた教育やシステム上の対策が必要)。・申し送りは書面をベースとした形で行うこととした。・病院内のマニュアルや点検表を整備する。・マニュアルを改訂し、「30秒間は離れずに患者や機械を観察する」「夜間でも部屋は明るくし、アラームを消音せずに作業する」「セントラルモニターで呼吸波形を表示することを徹底する」項目を追加し、実施する。
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人工呼吸器の作動を意図せず停止した事例
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・当該人工呼吸器はTPPVも可能であるが、基本的にはNPPVに適した機種である。NPPVの場合、患者や家族が人工呼吸器の作動/停止を操作することが多いため、比較的簡単に停止できるように設計されているのではないか。・レスパイト入院や機種変更目的の入院先となる病院は、在宅で使用する人工呼吸器の使用に必ずしも慣れていないことがある。
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患者は筋ジストロフィーで長年来人工呼吸器を使用しており、現在は在宅で使用している本人用の人工呼吸器を入院先の病院でも使っていた。今回PEG目的で入院したときに、初めて、本人持ちの人工呼吸器であることが判明した。本来、当院では、転院元の病院の機器の場合は付け替えて持って帰ってもらっていた。今回、PEG入れ替えの主治医である消化器内科医は継続使用を予定した。しかし、トラブル時の対応や破損時の責任問題などのため、呼吸器内科医の進言で、結局18時頃に付け替えることになった。
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PEG依頼時の紹介状に、人工呼吸器装着中と記載があったが地域連携担当の職員は見逃した。病棟看護師は詳細なことを紹介元に事前に確認しなかった。消化器内科の医師はリスクアセスメントせず、本人用の人工呼吸器を継続すれば良いと判断した。臨床工学技士は付け替えるものと思って代替機を用意したが、付け替えを強く消化器内科医に進言しなかった。困った病棟看護師から呼吸器内科医に連絡があり付け替えることが出来た。持ち込み機器は院内の機器に付け替えると言われていたが、明文化されたものがないことが判明した。
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・侵襲的人工呼吸管理を要する患者が入院した時の対応をマニュアル化し、診療会議で周知した。
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人工呼吸器の持ち込み時のルールに関する事例
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・院内の人工呼吸器に交換することによるリスクも考えられるため、患者の状態や入院期間などを考慮して交換を判断する医療機関もある。・ルールで対応を統一する方法もあるが、患者にとって最適で安全な方法を検討することが重要ではないか。
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患者は在宅から持ち込んだ人工呼吸器を使用していた。○/6に臨床工学技士Aが病棟に入院時の点検及び設置確認を行った。申し送り・呼吸器患者記入用白板への記入がされていなかった。申し送りがなかったため、○/7~○/12に臨床工学技士による人工呼吸器の点検がされていなかった。臨床工学技士Bが○/13に看護師より呼吸回路交換の依頼を受けたところ、患者が入院していることがわかり、ME点検を行った。
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通常の入院時対応以外に、ナースコール対応などを行っていたことで、申し送りをすることを忘れてしまった。
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・ICU担当者で対策を検討する。
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入院時に臨床工学技士に連絡がなく点検が行われなかった事例
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・在宅から持ち込まれた人工呼吸器に臨床工学技士が対応する体制はあるが、申し送りができていなかった事例である。・入院時の連絡を忘れないように、電子カルテ上の付箋や掲示板などの機能を利用して「入院時は臨床工学技士に連絡」などの情報を共有している医療機関もある。
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