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パシリオさんと将来の夢とか話してると、ぽつりぽつりと人がやってきて桶の事を聞いてくれた。訓練が終わると、皆やってきて大盛況! 桶の中身の交換が大変だったよ。
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布用の桶とは別に特大の桶と、使い捨てのコップを人数分。特大桶の中身は良く冷えたお水。これも大好評だった。誰かが、村で唯一の店(雑貨屋兼、食堂兼、宿屋)で酒を冷やして欲しいと言ってたけど、マルコ様に睨まれてた。
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訓練が終わった後は、広場を整備するのかと思ったんだけど、そのまま解散かー。まぁいっか。
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ちょっと地の術の練習を。ゆっくり、じわっと。きっちり。広場の地面を整える。水たまりになりそうな所を整えて、デコボコを無くして石を砕いて。真ん中の方をちょっと盛り上げて、周りに排水するように。
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そのうち、村の中も整地した方が良いかも。排水の経路はどーすればいいのかな?
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整備が終わってぼーっとしていると、団長のイノセンシオさんが離れたところに立っていたのに気がついた。
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「あ、お疲れ様です団長さん」
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スキンヘッドにアイパッチ、傷だらけの団長さんが腕を組んだまま無言で僕を見下ろす。逆光も相まって凄く怖い。
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右腕を崩して、親指で今日作った舞台を指す。
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「あれは、なかなか良かった。どれくらい持つ?」
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しゃがれ声。乱取りにも使ってたもんね。好評で良かった。
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「四大術士か、石工の人がメンテナンスすればかなり持ちますよ」
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「四大術士に石工か。んでよ、この広場、良い具合じゃねぇか。誰に教わった?」
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「誰にって訳じゃ無いんですよ。敢えて言えば前世の知識、ですね」
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「鼻垂らして馬鹿みたいに笑うだけだったガキが、こんな口聞くたーな。前世ってのも罪なもんだ」
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「ホントです。僕としても、戸惑うばかりで……」
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「いや、そういうことじゃねぇんだが。まぁいい。マルコさんから話しは聞いてる。お前今度俺の所の畑手伝え。この四大術ならできることがある」
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「はい。出来る事なら手伝います」
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「じゃぁよ、明日の朝、お前の自分の仕事が終わったら畑に来い。場所は誰かに聞いてきな」
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「……あの、僕、お役に立つでしょうか?」
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思わず、口に出てしまった。イノセンシオさんは、僕をじっと見つめて
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「ちっと調子に乗るところはあるようだが、術士としてはまぁまぁだ。村としての需用はある。それを活かして、立場を作れるかはお前次第だ。まぁやるだけやってみな」
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「……はい」
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それが不安だから聞いてみたんだけど。
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はぁぁぁ。
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仕方ない。
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仕方ないね。
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その後は夕食の準備まで手伝いが無かったので、農地を見て回ったよ。
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【タイトル】
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022 村人になる3 夢枕
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【公開状態】
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公開済
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【作成日時】
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2017-08-10 11:57:06(+09:00)
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【公開日時】
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2017-08-10 11:57:06(+09:00)
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【更新日時】
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2017-08-10 11:57:06(+09:00)
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【文字数】
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3,586文字
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【本文(110行)】
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夜。ふと目が覚めた。
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暗闇の筈の部屋なのに、うっすらと天井が見える。トイレかな? と思ったら視線を感じる。視線の方を見ると、青白く光る見知らぬおじさんが立ってた。
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幽霊?
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魔物?
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僕は思わず叫ぼうとするけど、声が出ない!
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『ロジャーおじさん! セニオさん!』
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呼びかけるけど、応えが無いし、視界の端に見えていた情報が消えている?
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起き上がって逃げ出そうとするけど、指一本動かない。
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おじさんは動かない。僕は動けない。
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沈黙が続き。
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僕は多少余裕ができて、おじさんを観察する。
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おじさんは大きい。扉と比べると、多分、戦士いやマルコ様と同じくらいの身長かな。でも体つきは全然違うんだ。マルコ様が全身を筋肉で覆われていて、鎧のように固く見えるけど、おじさんは肌が白くぶよんとしてる感じ。赤ちゃんの柔らかさと言うより、カエルのお腹みたいな。
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うん。お腹は凄く大きい。樽がお腹に入ってるみたい。多分村で一番太ってる人より太ってる。僕が二人横に並ぶより大きいお腹だと思う。
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着てる服は見たことが無い種類の服。でも凄く仕立ての良いのは分かる。綺麗な布地で、模様が付いてる。模様は糸が盛り上がって無くて、色もむらが無い。刺繍をした人は凄く腕が良いんだろうな。ツギも当たってないし。
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顔はまん丸。セレッサ様がかけてた、眼鏡? をかけている。顔は村では見かけない感じの顔つきで、頭の毛は薄い。でも、人が良さそうな表情。
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怖い感じはしない。
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なんだろう、初めて会った感じがしない。
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おじさんが一歩前に出てきて、
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「すまなかったね。もう話せるよ」
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「あ、あなたは?」
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「君が前世の人と呼んでる人間だ。名前はスダ・コウタロウ、いや、こちら風に言えばコウタロウ・スダか」
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と、首をひねると二重顎がぬるりと動く。
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「コウタロウさん、何故、今なんですか? 僕はどうなるんです? あなたが僕になるんですか? 前世の人が今世の魂と入れ替わることがあると聞きました。折角前を向こうと決めたのに!」
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僕が叫ぶと、コウタロウさんは、ぐらりと後ずさる。輪郭も一瞬ぶれた気がする。なんだろう、ひょっとしてコウタロウさんは不安定な存在なの?
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そう思うと、ちょっと安心した。いざとなれば、何とかなりそう。
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気がつけば、体の自由も利くようになってるし。
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とりあえず寝床に腰掛ける。
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コウタロウさんは、ちょっと縮んだように見えた。さみしそうに笑うと、どこからともなく見たことの無い作りの椅子を取り出して腰掛けた。
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暗かったはずの部屋は昼間のように明るくなっている。
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でももう不安には思わなかった。
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「結論から言えば」
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