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アラン様、フォロー有り難うございます。赤マントとか言って御免なさい。だから、ニヤニヤ顔で『貸しだからな』って言うの止めてください。
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「……ええと、もっと低い出力から試してみますね」
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術の継続時間を5秒間にセットして、他の引数を調整しながら固い地面を探して棒を突き立てる。
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爆発はしなかったけど、思った効果が出ない。20回ほど調整して試したところで、見えた。引数は少ないので、推測しやすかったのもある。
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「今度こそ……」
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「今度こそ頼むぜ、クソガキ」
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「サウル、頼むぜー!」
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引数を調整した術が棒の先端で発動する。棒の先がゆらりと揺れたように見える。
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棒を地面に突き刺すと、あっけなく地面に刺さっていく。よし! 第一段階成功! そこで術が切れたので、棒を抜く。
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「おい、クソガキ。なんか、棒を刺した周りの土がもっこりしてるな」
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「あ、ふかふかだぁ! わーい」
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確かに棒を刺した穴の周辺10cmくらいが盛り上がってふかふかになっていた。ハンナはその柔らかくなった土を握りしめて団子を作り始めた。ミミズおにぎり、らしい。ハンナって結構野性的だよね……。
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「天才であるアラン様はもうお分かりかと思いますが、棒に風に関係する術をまとわせてます。それを利用して草を取ろうという考えです」
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「それは分かるんだがよ、術の元イメージはどーなってんのよ?」
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「え? それ、5才の僕に聞くんです?」
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「うっ」
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「さっきの貸し一つでいいです」
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「くそっ。まぁいいや。で?」
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「あれは振動、物が震える|様《さま》です」
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「震えるだけで、こんな風になるのか……」
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アラン様、ちょっとびっくりしてるみたい。
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「大きい話しをすれば、地震だって大地が震えるから起きるのです。小さい方で言えば、強い風が枝を揺らせば音が鳴ります。その音も振動です」
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そこからしばらく何故振動で地面がこんな風になるのか、説明したんだ。霊的センターには様々なイメージがあるけど、それを使うには、自分の中で納得が無いといけないんだ。確信できないイメージは使いこなせない。だから、どんな術者もイメージの検証が必要なんだ。そのために、術者は良く実験や観察を行うし、仲間内で討論も行う。らしい。
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ここまではコウタロウさんの受け売り。
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最期に、初歩の分かりやすく納得しやすい実験を伝え終わると、イノセンシオさんが帰ってきた。
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革の鎧に。……あれは、食料かな? それと大きな袋。
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「良し行くぞ」
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あ、イノセンシオさんも来るんですね。
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というわけで、僕たち4人は北にある森に向かったんだ。僕の足で歩いて1時間。
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お昼を軽く済ませた後に、木の枝やらツタやらを沢山手に入れる。アラン様もイノセンシオ様にもちょっと採取を手伝って貰った。
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そして村に急いで戻り、僕は早速道具作りに取り掛かる。
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イノセンシオさんとアラン様、ハンナには道具ができたら呼びに行くと伝えておく。
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道具作成は、泡倉で行った。僕の手に余る部分がどうしても出てくるので、そこはロジャーさんとセニオさんに手伝って貰った。セニオさんが無言で作業するのはちょっと怖かったけど。
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さーて、夕方になったけど出来上がったぞ。実験も上手く行ったし、お披露目だね!
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【タイトル】
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024 村人になる5 お披露目
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【公開状態】
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公開済
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【作成日時】
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2017-08-17 20:40:31(+09:00)
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【公開日時】
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2017-08-17 20:40:31(+09:00)
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【更新日時】
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2017-08-17 20:40:31(+09:00)
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【文字数】
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4,489文字
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【本文(151行)】
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時間は16時過ぎ。日没は18時半くらいだから、まだまだ明るい。本当なら僕は夕食の手伝いの時間なんだけど、今日は免除して貰った。空は鉛色の曇天で、雨が降ってきそう。嫌な湿度。気温は妙に高い。
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遠くでトビらしき鳥の鳴き声が聞こえて、僕はそっちの方を向くんだけど何も見えなかった。
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3人で作った道具の数々を畑の側の道に置く。一人でもって歩くのには難しい量だったので、泡倉から取り出した。もちろん、周囲に人が居ないかどうかロジャーさんに確認して貰っといた。以前、ちょこっと水を運ぶのにズルしてたのがバレてたことがあったし。探索術は習得できていないから仕方がない。技能を得るためのエネルギーも技能取得の可能性もきちんとあるから、そのうちどうにかなると思う。
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泡倉から道具を出し終わって、ちょっと試運転をして見る。泡倉の方で問題なかったけど、実地で確認するのは大事。
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しばらくすると、人が来たってロジャーさんに言われたので、そっちを見てみたよ。予定より人数が多いような……?
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「よー、クソガキ! 観客は多い方が燃えるだろ? 連れてきたぜー!」
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「え、あ、まぁそうですね」
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来たのは、アラン様、イノセンシオさん、ハンナ、それと神殿の皆様に村長さんもいる。まぁそのうち説明しなきゃって思ってたから良いけど、一言教えて欲しかったなー。
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「アランが凄いものを見せてくれると言うから、来てみたんだ。私たちのことは気にしないでも大丈夫だよ」
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「そうそう、アタシの事も気にしないで大丈夫。大体、術始めたばかりで大したことできる訳が無いんだし。あ、夕飯は食堂に行くからね。良い物見せてくれたら、肉付けてやるよ」
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と、神官のセリオ様と奥様のマリ様。うう。村長さん、黙ってみてるし。目が怖い。あぁ、もう。肉が付くし! 頑張る!
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「ええと、作ってきたのは草を楽に取る道具です」
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まず見せたのは、1.5m程の長い木の棒。先には、一辺20cm程の三角形の板が付いてる。これも木製だ。普通は三角形の部分は金属製でもっと小さい。柄も20cmくらいが普通なんだそうだ。草かきと言う道具。
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アラン様とマリ様だけが落胆せずに見ているが、木製と言うこともあり、皆さん、力が抜けているみたい。まぁしょうがないよね。
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「これを手に持って『草取り実行』と言うと」
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「あっ」
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「術理具?」
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「全部木じゃねぇのか?」
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「魂倉はどこだ?」
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「森から帰ってきて、ほんのちょっとしかたってねぇのに?!」
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お、皆さん驚いてる! やったね!
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板の部分が、青く光る。青は風の色だ。今回は移動、通信、音、という部分のイメージから風を使っている。音は割とうるさい。大きなハチの羽音みたいだ。これ、苦手な人いるよね、きっと。
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