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イノセンシオさんと村長の会話にセリオ様が混じる。
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「さて。この辺りの土地神様はフラム様、らしいよ。復活歴になってから400年、目覚めてたことはないそうだけど」
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「しかし、昔は神様達も俺たちみたいな体で地上に降りていたそうだが」
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「子供作ったりな。半神様、だっけ? おとぎ話の世界だな」
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「すげーエーテル余波が流れてるからよ。目を覚ましてサウルを見にやってきたりしてな! ギャハハハ!」
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「……そんな事は無いだろう」
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セリオ様、微妙に溜めないでください。僕は不安になってしまいますよ。だって、神殿で女神様の像が僕を凄く見ていたじゃ無いですか……。
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微妙に不安に襲われつつ、村の食堂で宴会が始まった。途中からは僕そっちのけだったけど。
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でも、久々にエミルやアニタ、後普段余り遊ばなかった子達も一緒に遅くまで食べたり飲んだりしてた。まるで村祭りみたいだったよ。
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途中で気が大きくなったアラン様が、払いを全部持つ宣言とかして大変だった。
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暇な人、皆来たんじゃ無いかな? それぞれ食べ物、飲み物を持ち寄って楽しそうだった。
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アラン様と偵察のテオさんが、僕の草かきを持ってきて、みんなに見せてたよ。調子に乗った二人は、食堂の前の固い地面をあっけなくほぐして、皆をびっくりさせてた。技能を持ってない普通のおじさんや子供もおっかなびっくり使ってた。さすがに技能無しだと僕やアラン様が使うより効果が低かったけど。
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あー、あと、やっぱり音が怖いって人居たので、なんか考えなきゃなぁ。
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ふと見ると、ちょっと離れたところに実家の皆が居た。兄は他の子達と色々話してた。楽しそうにしててホッとした。両親は、誘ってくれたらしい人としばらく話してたけど、人の輪から離れていった。しばらくするとこっそり帰って行った。
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最期にちょっと母と目が合った。声かければ良かったかな。でも、なんて話せば良いか分からなかった。|牛《ぎゆう》|鋤《すき》、喜んでくれると良いな。
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【タイトル】
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025 珊瑚と真珠
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【公開状態】
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公開済
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【作成日時】
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2017-08-30 16:59:32(+09:00)
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【公開日時】
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2017-08-30 16:59:32(+09:00)
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【更新日時】
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2017-08-30 16:59:32(+09:00)
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【文字数】
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4,601文字
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【本文(115行)】
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5月15日は雨。昨夜遅くから降ってたみたい。ロジャーさん情報。
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しとしと雨で、肌寒い。湿度も高いし気持ち悪い。肌に接した寝床の藁が匂うんだよね。ダニやら何やら居るので、朝はかゆい。何日も噛まれた跡が取れない時もあるし。これ、なんとかならないかな。コウタロウさんの知識によると、寝床の虫が原因で病気になることもあるそうだし。
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雨なので訓練は中止。
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なので気兼ねなく食事の手伝い。水汲みは井戸が外にあって濡れるので、マリ様が四大術の練習に変更してくれた。水瓶に直接水を生み出す。普通に出すと美味しくないので、かめに残ってた水を見本に。ついでにお風呂にも。四大術を使い始めて数日なのに、生まれる前から使ってた様に馴染んでる。お風呂をお湯にするのは夕方の仕事。
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それだけでは訓練にならないということで、竈の火を薪を使わず全部僕の術で行うことに。マリ様が竈の前で作業をするので、僕はちょっと離れたところで制御する必要がある。今回操る竈は2つ。竈の火は単に強弱が有るだけじゃ無くて、料理の状況によって奥の方に持っていったり、手前に持ってきたりしないといけないんだ。マリ様の指示に従ってやっていくのは大変だったよ。片方だけ動かすように指示されたのに、気がつくと、両方動かしてたり。気が緩むと火の勢いが強くなって、スープを焦がしそうになったりね。
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どうも気がつくと思い切りやってしまいそうになるのは僕の癖みたい。今後の課題だってマリ様にも言われたよ。
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朝食の時に、アラン様達が今日の出発を延期することになった、と告げた。なんかうれしかった。雨が降ってることと、マリ様とセレッサ様の作業が遅れているというのが理由みたい。セレッサ様はとても眠そう。眼鏡がずれてるのを直そうともしない。
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セリオ様とマリ様に、泡倉で作業をする許可を取る。当たり前だけど、お昼の手伝いには戻りますので、と伝えておく。そしてロジャーさんに、時間になったら教えて貰うようにしておく。そうじゃないとずっと作業してそうだし。
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アラン様とハンナが付いてくると言うことだったので、今日は一人で作業になりそうだね。ロジャーさんもセニオさんも人に姿を見せちゃいけないのだそうだ。とほほ。
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早速泡倉に移動することにする。今日は作りたい気分なんだ。アラン様もハンナももちろん付いてきてる。泡倉の方は晴れてた。泡倉は15度、涼しい感じだ。季節は同じくらいだと思うんだけど。設定されてる緯度が違うのかな?
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念話でセニオさんに木を切る許可と、広場での作業許可を取る。僕が持ち主だけど、管理者はセニオさんだからね。あまり勝手をしたらセニオさんの立場が無いよね。しかし、屋敷には工房があるらしいんだけど、広場かその周辺にも簡単な作業小屋欲しいなぁ。
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今日の予定としては、術理具の材料採取と作成。後、ちょっと昨夜考えついた術理具の試作。草かきは幾つか作っておかないと、多分大変だと思う。それと、収穫の時期が近いからそれに合わせた道具が欲しいな。
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僕の作った草かきと|牛《うし》|鋤《すき》は実は正当な術理具じゃ無い。普通、エーテルの取り出し口と術の格納は魔物などから得た魂倉を加工して使ってる。でも、僕はそんなの持ってないので工夫した。
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エーテルは使用者から緩やかに取り出すようにしたし、術は道具全体に分散して記述した。普通の術理具より出力は低いし、もろいけど、安く作れる。壊れても部品だけ交換できるようにしたのも自慢のところ。
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武器に応用しようとしても難しいと思う。そこも自慢。材料の初期化(いわゆる聖別?)が難しいし、四大術だけじゃなくて闘気法や神術に対する理解も必要。必要な技能レベルはそれほどでも無いのだけど、複数の術を持てる人はまずいないそうなので、理解できている人も余り居ないのだそうだ。
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さて、木を取りに行くよ。ハンナはいつも元気だなぁ。なるべくまっすぐな枝が欲しいな。多少なら火と水を使って修正できるけど。足りない物はセニオさんから貰おう。
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泡倉の中ならセニオさんも入り口作れるそうなので、そこを通して渡して貰うつもり。それならセニオさんが見られる事は無いもんね。
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広場周辺は、誰かの手が入っていて低い位置に枝が無い。なのでちょこっと奥に入る。ただ、気をつけないと管理されてない魔物が居るから危ないとのこと。そうアラン様とハンナに告げると、
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「けっ! 俺様を誰だと思ってやがる。天才四大術師アラン・マサース様だぞ? 有象無象の魔物なんざ敵じゃねぇ!」
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「ハンナも強いよ! もう4才だし!」
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んー、探索術無いけど、気をつけて。駄目なら逃げよう。多分大丈夫。
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アラン様が術を使って警戒してくれるとのこと。だけど、その間は動けない。だから僕とハンナだけで作業しなきゃね!
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ナラやカエデの良さそうな枝を見つけては切っていく。ハンナの剣と、僕の四大術を併用して沢山切る。持ちきれない荷物は、さっさと元の作業場所に送ってしまう。泡倉だけで使える技だけど便利だなぁ。しかもこれ、『枝だけ』って指定すると葉っぱや付いてた虫が残るんだよ。ほんとすごい。
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警戒に当たってくれていたアラン様がびっくりしてた。
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「ほんと、クソガキ様はメチャクチャだな。まぁそもそもこの泡倉がおかしいぜ。神々だってこんな規格外なギフト持ってないかもな」
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「神様なら持ってるんじゃ無いんです? 世の中広いんですから僕以外にも持ってて隠してる人が居るかも」
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アラン様がちょっと真面目な顔で
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「あのな、クソガキ。この天才にして古代文明研究家でもある俺に言わせて貰うとよ。神々の中でも大多数を占めてる戦神様や土地神様なんてのは、そんなすげーもんじゃねーんだ。いや確かに力はすげーんだけどよ。
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戦神様は戦闘力で言えば一柱で千人の軍人にも匹敵するし、土地神様は担当の地域を幻魔から守護する力は一流だ。でもそれだけなんだよ。理を外すような神ではないんだ。当然こんな泡倉を持ってたという話もねーぜ」
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「つまり、僕の泡倉は変わり種なんですね?」
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「そーいうこった」
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その後僕たちは、古代樹の枝や木の皮、丈夫な蔓などを手に入れて、広場に戻った。足りない動物の皮、布、紐、青銅なんかもある。これは泡倉管理人のセニオさんが届けてくれた物。
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「あ、この布可愛い!」
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布の中に結構凝った刺繍がされているモノがあったみたい。ハンナが大喜びしてる。
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「気に入ったなら上げるよ」
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「やったー! サウル大好き! いつかハンナのご主人様になってね!」
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「え? う、うん」
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でも僕村人だし家来は持てないと思うけど。
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「で、この見慣れない布や紐はどっから出てきたんだ?」
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「あぁ、あの……。泡倉の住人に届けて貰いました」
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嘘は言ってないもんね。
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「住人ね……。それ会えるのか?」
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「すいません。持ち主にしか姿を見せられない誓言があるそうで」
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