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今日はちょっと暑い。現在気温24度。でも横にはハンナがべったりくっついてる。確かに、アレハンドロでお別れになるけど、くっつきすぎだと思う。暑い。
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「そういえば、ハンナ。機人って何か知ってる?」
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「知ってる」
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「ちょっと聞かせてよ」
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というと、顎を、斜めに持ち上げた。そこを撫でろ、と言うことらしい。もう。ついでに、人足の人に貰った乾燥果物をひとかけら、あんぐり開いた口に放り込んであげる。もぐもぐしながら、お風呂にゆったり入ってるみたいに目を閉じてうっとりしてる……。
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しばらくそのままにしてると、うっとりと目を閉じたまま、ハンナが口を開いた。
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「それは最高を望む召使い。主が月を切れと言えば月を切り。国を滅ぼせと言えば鏖殺する。主が強く望めば、自らを省みること無く全てを叶えようとする召使い。
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かつて、古代文明では……」
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口を開けたまま止まったので、乾燥果物を放り込んでやる。
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「もぐもぐ。んぐ。……ええと、かつて古代文明では、もっとも標準的な機体でさえ、騎士と術師の一個小隊を相手にして勝った、らしい」
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「機人、って戦闘用、なの?」
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このちょろちょろ動いて昼寝好きなハンナが戦闘だけに血道を上げるのは嫌だな。
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「主が望めば如何様にも。女中として過ごした機体も、研究者にも」
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「主はどうやって決めるの?」
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「今では、機人を製造する事は出来ないし、稼働する機人は無い、らしい。なので記録では、というかアランに聞いた話だと。教育期間が終わった時に、『お披露目』を行い」
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顎はもう良いらしいので耳の後ろ。
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「機人が主人を選ぶ。ちなみにハンナはサウルが良いと思ってる。懐かしい匂いがするから」
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「え、あ、ありがとう?」
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「何故疑問系なのか。ハンナは尽くす女」
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「どこでそんな言葉覚えたんだ」
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「セレッサが」
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この状態で尽くす、とか言われてもなー。苦笑が浮かんでしまう。
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「おい、クソガキ! アレハンドロの壁が見えてきたぞ」
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「あ、ホントだ。結構高さあるんですね」
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「8mだったか。落ちたら死ぬな!」
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皆の力で予定よりずいぶん早くアレハンドロが見えてきた。正確にはその壁が。
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このアガテ王国には幾つか「壁付」と呼ばれる都市がある。このアレハンドロもそう。古代文明期に作られたとおぼしき城壁をそのまま都市の壁として転用しているのだそうだ。これらの都市は、周辺の町の盟主として存在し、いざ魔物の災害などがあればそれらの住民を守り匿う。
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ただ、壁の大きさと人口がかみ合わず、守備には苦労してるとも聞いたよ。そこを埋めるのに冒険者組合が食い込んでて、それなりの力関係があるとか。
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しかし冒険者と聞くと荒くれ者で字も読めない、みたいなイメージがあるけど。そうでもないのだねー。
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検査を受けて、入り口を通り過ぎる。結構並んでて、一組ずつ、何かやり取りしながら進んでたから時間が掛かったよ。一組、衛兵さんに取り押さえられて連れて行かれてた。
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お腹空いた。なんか最近お腹やたら減るんだよね。アラン様より食べちゃうし。
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服ももう駄目。鑑定結果のタブレットを見ると、この一月で身長10cm近く伸びてるし。そりゃ服もパツパツだよね。
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アレハンドロに入ってからはさすがに速度は抑え気味。でも、周りの人がこっちをみる。しばらくすると大きな倉庫が併設された建物に着いた。ここは珍しい二階建てだ。
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到着した商隊を、建物の人達が迎える。やっぱりここがバスカヴィル商会なんだね。預かり子としては仕事手伝わねば……。
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で、でも何しよう?
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「サウル、ちょっとこっちにおいで」
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戸惑ってるとセリオ様が呼び寄せてくれた。助かったよ……。
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呼ばれた方に行くと、アラン様もロージーさんとシルビオさんも一緒で、一人知らないおばさんがいた。赤毛の恰幅の良いおばさん。太ってると言うよりは骨格が太い感じ? いい顔で笑ってる。
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セリオ様も、なんかリラックスした感じで笑ってる。
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「コーディ! この子がサウルだよ」
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「へぇ、この子がマリ様の秘蔵っ子かい? あたしがコーデリア・バスカヴィル。バスカビル商会の主人さ。当分うちであんたらを預かるよ。ゆっくりして行きな!」
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声でかい!
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「あ、ええと。コミエ村のサウルです。神殿の預かり子の5才です。何も分からない未熟者ですが、よろしくお願いします」
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「あはは! なかなか殊勝じゃないか。まぁよろしく頼むよ」
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その後はハンナと周辺をうろつきながら商店や街の様子を観察してた。
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ここは比較的良い場所みたい。見えるところに大きな三階建ての屋敷があって。立派な身なりの門番が立ってる。多分、あそこ領主の館じゃ無いかな? 綺麗な鎧の兵士や官僚が行き来してた。
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道は広い。幅は10m程もあって、僕たちの馬車が縦列駐車しても大丈夫みたい。歩いてる人の身なりは割と綺麗。護身用の武器を持ってる人も多い。
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しかし、兵士の人達って、村の自警団とあまり腕は変わらない、かな?
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店の中を見て回る。
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沢山の台が有り、サンプルが置かれている。置かれているものは、幅広い。布や食料、武器に鉱石、薬品もある。あ、あの薬品はマリ様のだ。容器に見覚えがある。
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そうして店員さんが忙しく立ち回り、お客さんがサンプルを手に店員さんと交渉してた。すごく活気があるなぁ。
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あ、術理具もちょっとだけある。灯りの術理具か。ええと、値段は? お、おお。金貨四枚? 40万クレ、かー。確かに装飾とか綺麗だけど……。あっちのちっちゃい送風の術理具は金貨7枚?! うわーうわー。
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どうしよう。僕の考えた術理具、安すぎる?
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「サウル、ちょっと」
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セリオ様が再び僕を呼ぶ。どうもこれから奥でお話し合い、みたい。
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「なんでしょう? セリオ様」
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「うん。ちょっとお話し合いに時間が掛かりそうなんだ。それに、お昼もまだだろう? 君が懐いてるフラムにお守りを頼んでおいたから、ちょっと暇を潰しておいで」
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と、確かに僕の後ろの方にフラム様がいる。
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「おう、クソガキ。うちのハンナも一緒に連れてけ」
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「あ、はい。しかし、良いんですか?」
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と、フラム様の方を向く。フラム様はニコニコしてた。
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「勿論さ。お金を貰ってるから立派な依頼だ。それに君なら面倒は掛けないだろ?」
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「え? まぁそうですね」
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確かに、僕は普通の五歳児とは違うから、迷子になって泣きわめくなんて事も無い、と思う。いざとなればロジャーさんに探索して貰えば良いしね。
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「では、セリオ様、アラン様、皆様。行ってきます」
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「誘拐されんなよ! あ、されても良いけどハンナだけは傷一つ付けんなよ! ギャハハ!」
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アラン様、フラグ立てるの止めてください!
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