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神官のアマダさんが好戦的に舌なめずりする。怖い! 一方コンラッドさんは苦笑い。だけど、その後あれよあれよと言う間にフラム様がアマダさんとコンラッドさんを焚き付けて、ちょこっとだけ僕たちの様子を見ることになってしまった……。
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一応、僕たちが余りに未熟なら、対戦は無しということで。
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でも、それで何故かハンナが燃え出しちゃって。すっかり本気出す気になってるし、僕のこと手を抜いたら、許さない。噛む! って脅すし。うえええ。僕泣きそうだよ。
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あ、5才だからこういうとき、泣いて謝れば済むのでは? え? だめ?
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組合の演習場の一部を借りることになり、対戦用の神術を組合の人にかけてもらい、逃げられない状況に。
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とりあえず、体術からということで闘気法混じりで準備運動。でもほら、僕は自警団の訓練くらいしかやってない。前世の記憶はあるけど、今の体に合った物じゃ無いからどーもぎこちない。
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一方ハンナは、ひゅんひゅんと動きまくって調子が良いみたい。前、僕と対戦した時より早い?
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僕の動きにガッカリしてたキメラの咆吼の面々(結局全員来た)とフラム様だったけど、ハンナには興味津々。ほんとはミグで成人してるのでは? とか聞かれてた。でも、ハンナは精霊術は使えずに四大術なので違うの。ほんとは機人だしね。
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次、四大術。これをどこまで見せるかか、だよね。あまり下手を打つとアラン様の顔を潰しかねないし、ハンナに噛まれる。でも余り圧倒的なのは、早すぎる。気がする。
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いつもより、ちょっと力を抜くくらいが良いのかな?
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流れ的にハンナから。
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最初、ハンナはその場から小石を打ち出した。神術の壁から結構な音がする。アザじゃ済まない音。続いて、ハンナは壁に向かってゆっくり歩く。歩きながら四大術を練る。口がぶつぶつと動き、呪文を作ってる。そして火の玉を飛ばした。結構なスピード。これも壁にぶつかって大きな音がした。
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僕の場合だと、気合いが入ると、魂倉と自分の世界に入り込んでしまい、動くどころか周囲の風景も目に入らなくなる。歩きながらはすごいと思う。
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「ハンナちゃん。歩きながら術が使えるとは! 子供とは思えない。下手な私塾ではトップクラスかもしれません。さすがマサース教授が養女にされただけのことはある!」
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ハンナが得意げにこっちを見た。ちゃんと周囲が分かってるんだなぁ。やるなぁ。ほんとはここから、闘気法による立体殺法プラス四大術の組み合わせがあるのだけど。それは無しにしたみたい。
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じゃぁ、僕だ。ハンナくらいの感じで……。
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『サウル。お前、あまりあたいをガッカリさせるなよ?』
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と、フラム様から釘を刺される。ていうか、念話では一人称あたいなんですね。あーもーどうしろと……。
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ええい。ちょっとだけ。
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「火の矢!」
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呪文書から一つ、火の矢を取り出して打ち出す。呪文名も叫ぶ。ホントはこれくらいなら言わなくても良いのだけど。
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「え? 早い! いや、予め準備しておいた? エーテル見えたか? アマダ」
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「んー、私は見えなかったわ。ちょっと油断してたかも」
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よしよし。しかし、フラム様は……?
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『おい、今のはなんだ? 瞬間的に術が形成されたぞ』
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『秘匿事項です』
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ご興味を引いたみたい。さて、もうちょっとだけ。
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一応持った木刀で、えいやーと型をやって見せて5秒。
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魂倉の呪文書から呪文を喚起、引数を与え現出させる。
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すると僕の目の前には「弱め」の「火の玉」が「3つ」出てきた。大きさは僕の頭と同じくらい。一般的な火の玉の大きさの筈。それを別方向に同時射出。
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ほんとはもっと出せるし、時間差の発射も可能だけど、そこまでやる事は無い。
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多分……
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「え! 凄い! 数日しか習ってないなんて嘘だ! あれだけ動きながら術を準備して、しかも火の玉は3つじゃないか! 並みの制御力じゃ無いぞ!」
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「サウルずるい! 自分で目立つなっていっといて!」
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『サウル、あれも瞬間的に形成したな? しかも3つ!』
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うん。十分だったね。
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まぁ実際には動きながら術を準備したんじゃ無くて、最期の放つ瞬間に魂倉の呪文書から出しただけなんだけど。
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皆驚いてくれてうれしいなー!
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って、あ、みんな、そんな一度に来ないで! こらハンナ、頭に載らない! 鼻をつまむな! コンラッドさん、真剣勝負とか無理ですから!
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その後、興奮したキメラの咆吼の面々というかコンラッドさんを宥め、コツは秘密と言うことで我慢して貰ったよ。あぁ、もうほんと。ついつい調子に乗ってしまう僕が憎い。ほんと。
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【タイトル】
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038 6才になりました
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【公開状態】
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公開済
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【作成日時】
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2018-08-01 15:34:30(+09:00)
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【公開日時】
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2018-08-01 15:34:30(+09:00)
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【更新日時】
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2018-08-01 15:35:45(+09:00)
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【文字数】
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2,284文字
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【本文(52行)】
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お久しぶりです。仕事が空いてきたので再開です。なるべく続けていきたい物です。
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今回から一話ごとの文字数を下げてみます。上手く行くと良いのですが。
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さて。今日も良い朝。
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夏本番で日が昇るのも早いし。おまけに今日は良い事が二つもあるんだよね。
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僕は相変わらずアレハンドロにいる。
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神殿の皆さんはコミエ村に帰り、アラン様達は王都に。体のことを考えれば、アラン様は僕と一緒に居た方が良いんじゃ無いかということで何度か話し合いがあったけど、結局僕とアラン様は別々に動くことになったんだよね。秘書のセレッサさんは平然とした顔をしてたけど、すごく辛そうだった。ハンナも。普段あんなにアラン様のことからかってるのにね。不思議な物だね。
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僕もアラン様にはお世話になったし。……クソガキ呼ばわりされるのは嫌だったけども。ハンナが泣きそうだし……。だから、ちょっとだけ。ちょっとだけ役立ちそうなベルト型の術理具をあげた。大した手間でもなかったし。三日くらいで作ったから大したもんじゃないよ。見た目は四角くて白い大きめのバックルの真ん中に赤いファンが付いてる感じ。アラン様の調子を見てファンが周囲のエーテルを吸収するようになってるんだ。これで一応アラン様の症状には対応出来ると思う。でも対処療法だからそのうち破綻すると思う。僕にもっと力があれば……。
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セリオ様、アラン様、それにバスカヴィル商会の人達のお陰で、僕はひとまずアレハンドロで立場を得た。僕の用意した付け届けも役に立ったみたい。
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まず僕はバスカヴィル商会の人達に術理具を見せた。馬車のもの、草刈り、草かき、倍力、マッサージ、土ならし。他にも需用があれば作りますよ、というと、商会主のコーデリアさんは大喜びした。ただ、幾つかの問題があって仕様の変更が必要だとも言われたよ。もっと構造を単純にしないと、僕以外には作成も手入れも難しいから。確かに、僕がずっと術理具作りしてるわけにも行かないものね。あ、後は見た目がシンプル過ぎるから装飾がないと売れない、とか。
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そうしてセリオ様はアレハンドロの神殿を攻略。僕が上げたおっきな水晶と特大珊瑚が現金以上に効いたと、セリオ様悪い顔してたよ。占い好きの副神殿長が嵌まってしまって大変とか言ってた。
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そうしてアラン様とセリオ様が組んで冒険者組合と領主一家の調略をしたみたい。
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一応僕も顔見せ程度のことはしたんだけど、ほとんど中身は聞いてないんだ。追加で色々魂倉から持ち出したけど。良かったのかなぁ。
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セリオ様は、アレハンドロが中立から味方よりになったと喜んでた。コミエ村が楽になるのならいいのかな。政治の話は分からないから、いっか。だって僕6才だしね。
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そうそう。僕、今日から6才なのです。
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8月10日は僕の誕生日。
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体もおっきくなりました。おっきくなりすぎてるかな。
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今、140cm、35kgなのです。
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