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 良く分からないけど。
 この野生色の少女は僕と深く関わりそう。
 何故か確信していた。
【タイトル】
047 機人と前世
【公開状態】
公開済
【作成日時】
2018-08-26 11:13:34(+09:00)
【公開日時】
2018-08-26 11:13:34(+09:00)
【更新日時】
2018-08-26 11:13:34(+09:00)
【文字数】
2,749文字
【本文(115行)】
「えっと、あの……」
「なんですか、マスター?」
 僕と地味マントの彼女は組合の休憩所にいた。
 休憩所は、夜は酒場で他は商談と打ち合わせの場所になる。今は正午前で、余り人は居なかった。
 彼女は僕の前に座り、やたらニコニコしているんだけど、僕は彼女をどう扱えば良いのか全く分からなかった。
 コウタロウさんの記憶に女性と記憶は無かったんだ。あ、いや有ったんだけど厳重に封印がされてる感じで。ロジャーはニヤニヤしながら姿を消した。なんだか黒猫みたいだった。最近、ロジャーは薄情だと思う。フラム様とばかり仕事してる。セニオは鼻を一つ鳴らしたかと思ったら接続を切った。呼びかけにも反応しない。緊急事態のベルを鳴らしても。セニオは僕の配下の筈だけど、忠誠心に大きな課題を持ってる気がしてならないんだよね。僕は。
 ハイエルフ達は僕が何を戸惑っているのか理解できない様子。
 仕方なくフラム様に聞こうとして、止めた。とても嫌な予感がしたんだ。コミエ村で目覚める前、色々いたずらされたけど、あの時みたいな感じ。
「あの、君は何か食べる?」
 術理具の指南や組合の仕事、泡倉から無難そうな物を売ったりして、僕にはそこそこお金がある。彼女の支払いを持つくらいならできるし、その方が良い気がした。
 あと、僕も何か食べたかった。成長期に入ってからは何か有ると直ぐお腹が減るんだよ。
「そうですね。その前に」
 彼女がにこりと微笑んで
「名前で呼んでください、《《マスター》》」
 とささやいたんだ。
 いつの間にか増えていたギャラリー(天井からぶら下がってる探索者もいた)がざわりとして
「修羅場だ、修羅場」「名前くらい覚えておいてやれよ」「え? あいつ6才?」「マント、地味すぎ」「ホバリングの術、全然出来ねぇ」
 と、好き勝手言ってる。
 彼女の表情は、きっと僕が分からないと思ってる感じで。それを楽しんでる。
 よーし。
 やってやる。
「分かったよ《《ハンナ》》。名前を呼ぶよ。しかし、最近の女の子は急に大人になるんだね?」
 よ、よし。ちょっとだけ、フラム様っぽくかっこつけてみたんだけど。
 あ、ハンナ(?)がびっくりした顔をしてる!
 外してたらホバリングで逃げよう。ええと、そう。コミエ村まで。そして一生村を出ない。
「さすがです、マスター!」
 地味マントの彼女改めハンナはにっこりと笑った。
 整ってるけど、綺麗すぎるわけでも可愛すぎるわけでもない顔。
 でもそうして笑ってると僕は目をそらせない。
「……あと2日は遊べると思ったんだけど」
「今何か言った?」
 僕は彼女のつぶやきが聞こえてたけど、聞かなかったことにした。
 僕の周りって僕をいじるの好きな人多すぎない?
『さすが坊っちゃん、あっしは上手くやると信じてましたぜ! 後は押せ押せでさ!』
『おや。少しは推理の真似事が出来るようですな。そのクルミ並みの脳髄が重さに見合った働きをして何よりです』
 ロジャーとセニオがすかさず祝辞を寄越してきたんだけど。セニオ、それ祝辞じゃ無くて皮肉じゃないかな?
「ちっ」「んだよ面白くねぇな」「爆ぜろ」「名前合ってたのかよ」「……おめでとうよ、クソ!」
 という祝いの声も聞こえてきたけどシャットアウト。
「それでハンナ、どうしてアレハンドロに?」
「え? この姿の前に?」
「姿の前に」
 ハンナはちょっと意表を突かれたみたい。良かったよ。多少は僕もやらないとね。
「もうすぐアランも来るの。ちょっと人と馬車を連れているから時間が掛かってるけど、今日の夕方には到着する」
「そうなんだ。アラン様が。また騒がしくなるね! で、ハンナが先行したのは何故?」「ん。この体に慣れておこうと思って」
 ハンナは髪を弄りながら僕を見る。なんだろう? 僕の顔に何か?
「あぁ、そうなんだね。アラン様に危険が迫ってる、とかそういうことじゃないんだね」「う、うん」
「? ええと、で、その体は? そこは僕も人の事言えないんだけど」
 僕は、5月に目覚めて3ヶ月で40cmも背が伸びて、体重は倍になってる。ハンナも多分同じくらい成長してる。
 僕が大きくなったのは前世の、コータローさん絡みなんだと思う。ハンナは何故だろう? 彼女は機人とかいう自動人形の一種だと聞いたことがある。人形なのに大きくなってる?
「私は……」