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「違うと聞いてる。ギフト大盛の人間。そのギフトも前世の頑張りで溜めたご褒美のような物と聞いてる」 |
「僕たち何か使命とか有るの? 以前コータロウさんの幻影が好きに生きろとは言ってたけど。なんだか、凄い話が沢山出てきて怖いよ」 |
「ハンナも怖いけど、何も聞いてない」 |
「中途半端だなぁ。コータローさんと神々は何をさせたいんだろう。物語の英雄のように、運命に翻弄されるのを見て見たいだけなのかな?」 |
「分からない。でもハンナはサウルと一緒に居る」 |
「でもハンナ。僕は転生して記憶も継続してないからコウタロウさんとは違うよ?」 |
「それでもハンナのマスターはサウルしかいない。それともサウルはハンナが嫌い?」 |
大きな黒目がちの目が、悲しそうに歪み、僕を見る。口調は昨夜の物と違い、コミエ村で会った頃の物にすっかり戻ってた。 |
僕はちょっと変わった術や術理具は知ってるけど、ただの参入者で、神殿の預かり子だ。一方ハンナはアラン様の養子でとんでもない力を持つ機人だ。僕がハンナのマスターになる自信が無いし、気後れがする。 |
でもだからってハンナのことは嫌いじゃ無い。 |
そう思ったとき、昨夜の彼女の様子が浮かんだ。 |
月光に照らされて浮かぶ美しいおとがいの線。 |
「嫌いじゃ無いけど。でも、僕は冒険者としてはただの参入者だし。 |
神殿の預かり子だよ? 将来的にはコミエ村の神殿で下男をするのが順当だし。自由になるにはそれなりのお金を積まなきゃいけない。もちろん神官のセリオ様はお優しい方だからすんなり通るとは思うけど」 |
ハンナが細く冷たい目で僕を見る。僕が思わずびくりとすると、椅子がガタっと音を立てた。 |
「つまり、サウルが冒険者の階梯を上がり、身分を買い戻せばハンナのマスターになってくれる?」 |
違う! そうじゃない! と反射的に叫びそうになったけど、それはまずいと僕は確信。 |
「う、うん。ハンナがそれまで待ってくれるなら」 |
「分かった。じゃぁハンナも冒険者になる。そしてサウルと組む」 |
「え、あー。うん」 |
僕にはそれ以外言えなかった。 |
『坊っちゃん、黒剣団が来ますぜ。五つ数えたら術を剥がしますんで、お気を付けて』 |
「ハンナ、術が剥がれるから、上手く合わせて」 |
「! ……ん。分かった」 |
【タイトル】 |
049 パーティ結成 |
【公開状態】 |
公開済 |
【作成日時】 |
2018-09-01 18:40:47(+09:00) |
【公開日時】 |
2018-09-01 18:40:47(+09:00) |
【更新日時】 |
2018-09-01 18:40:47(+09:00) |
【文字数】 |
3,064文字 |
【本文(100行)】 |
「サウル、彼女とは知り合いか?」 |
黒剣団のゴードンさんが、僕たちの掛けているテーブルに来て声をかけてきた。何か憑かれているような感じだけど、後ろにいる他のメンバーは僕に手を振ったりしているので多分大丈夫。 |
「はい。彼女、ハンナはアラン・マサース教授の養子で、以前僕と会ったことが有ります。ハンナ、こちらは冒険者の黒剣団の皆さん。昇格試験では僕がお世話になったんだ」 |
ハンナは立ち上がり、丁寧に頭を下げた。 |
「アラン・マサースの養子、ハンナ・マサースです。サウルとはコミエ村で親しくさせていただきました。今後《《サウルと共に》》ここで冒険者をしていきますので、ご指導よろしくお願いします」 |
あ。 |
僕がぎょっとしてハンナを見ると、こっちを見てドヤ顔する。適当に誤魔化して逃げようと思ってたんだけど、外堀埋まっちゃった……。 |
僕、預かり子の身分に不満は無いんだよね。だから僕が開放されるために必要な金額も知らない。村の人達も好きだし、兄も母も好き。父はちょっと……。……うん。ええと、だからずっと神殿でみんなの役立つように生きていければそれで良い。 |
どちらかと言えば、それ以外の選択肢がある事すら考えてなかった、のかなぁ。別に意地でもコミエ村に拘ってるわけでも無いし……。 |
しかし、ハンナとは前前世(もっと?)からの因縁かぁ。 |
……おとぎ話みたい。でも信じてもいいかな。 |
ん? ゴードンさんがなんか挙動不審なような。ゴードンさんのこういう感じ、初めて見るかも? |
「あの、ゴードンさん。ハンナはこう見えて4才ですよ。子供ですよ」 |
「え?! あ、あぁそうだったか。サウルと同じでちょっと変わった体質、なのか?」 |
「ええ」 |
僕のギフトや体質はちょっと変わった、で済むようなモノじゃ無いけど。今、アレハンドロではそういうことにしてる。 |
僕の急成長を見ても皆余り驚かない。前世が絡んでたりするとたまにおかしな事があるから。なのでおかしな事があれば前世絡みということで思考停止。お陰で助かってるんだけど。 |
「はい。恥ずかしながらまだ4つでございます」 |
誰? 僕と話すときと全然違う。と、ハンナを見るけど、ハンナは《《猫を被る》》ことにしたみたい。元デグーだけどね。 |
黒剣団の皆さんと僕とハンナが席に着く。ちょっと狭いので近くのテーブルを引き寄せて。人も少ないし問題ないと思う。 |
「参入者審査のことなんだが」 |
「はい。何か問題が?」 |
「今回9級となってるが、依頼全体の事と、ホバリング、他の貢献もあって8級でもよいのでは、と言う話が有った。しかし、戦闘経験の少なさで流れた。サウルは6級を目指すのか?」 |
ん? どういう意図だろう? |
6級から3級の階梯名は文字通り『冒険者』で、そこから始めて一人前として扱われる事になる。ちなみに9級の僕は参入者。自衛以外の戦闘が認められる。8級、7級は修行者。黒剣団は6級。キマイラの咆吼は5級。アラン様セレッサさんは3級で、セリオ様、マリ様のコミエ村神殿の皆さんは4級。 |
ただ、人手不足だったり6級になるのが難しかったりで、最近は7級でも一人前と見なす事も多いみたい。 |
ちなみに2級は到達者で英雄。1級は超越者と呼ばれ、神々にスカウトされるんだってさ。最上位0級は列神。神様扱いだけど、名誉職らしく、たまに歩くだけでやっとのご老人がその地位に就くらしい。 |
このアガテ王国の建国王が2級から0級になってるとか。 |
「はい。まずはそこを目指します」 |
「お前は術理具や四大術での開発で名が知られつつある。わざわざ危険な冒険者をせずとも良いのではないか?」 |
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