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『面白そうな話じゃないか』
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『もし良かったら一口噛みませんか?』
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『当たり前だ。こんな面白いことに参加出来なかったら女神がすたるってもんだ』
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ホバリングしながらの会話はちょっと途切れがちではあるんだけど、前方をハンナに先導して貰い、後方からついて行くだけにすることで何とか事故を起こさずに済んでる。
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『では、アレハンドロでの噂話をお願いしたいです』
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『具体的には?』
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『王都の政争をアレハンドロに持ち込んで憐れな職人達が虐げられている。身を粉にして頑張ってきたコミエ村も取り潰されようとしている。領主は何をしているのか、俺たちのアレハンドロをそんな汚い戦いの場としてけがして良いのか?! ここは俺たち開拓者の町だ! みたいな感じで』
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『お、おう。なかなかやるじゃないか坊や』
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『実際、開拓者の中には王都や他の町に居られなくなってやってきた人も多いと聞きますので』
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『分かった。で、何か困ってることとか有るかい? 多少の融通ならきかせるぞ』
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『では遠慮無く。今分かってるのは神殿に詰める神官さんをどうするかと言うことと、自警団。後は、毎回私とハンナが必要物資を運ぶのは大変なので、そこをどうするか、ですね。何せホバリングは音が目立つので……』
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『分かったちょっと考えておく。あたいもここ数ヶ月の活動でできる事が増えたからな』
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アレハンドロに突いたところで、一端休憩。
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一度門から入る。門番さんがちょっと気まずそうにしてるけど、僕は気にせず通る。こうしておけば、僕とハンナがアラン様達と離れた証拠になる、はず。
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バスカヴィル商会に戻ると、皆が手を止めて出てきてくれた。
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「えらい目に遭ったって話だったが、大丈夫だったかい?」
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商会長のコーデリアさんが心配そうに声をかけてくれた。
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「ええ、何とか。ただ、アラン様達はしばらく身を隠す事になると思います」
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「あぁ、やっぱりねぇ。変なお触れがさっき出たそうだから、このままだとコミエ村に匿うって訳にもいかないんだろ? どうするんだい?」
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さすがにそれを天下の往来で言うわけには行かないよね。秘密保持契約結んでない人も沢山いるし。だから
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「大丈夫です、きっと何とかなります」
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としか言えなかった。
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その様子を見て、コーデリアさんがやっとピンと来たみたいで
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「よし、ちょっと上でお茶でも飲もうか。あ、そのお嬢さんはどなただい?」
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「彼女の紹介も上でしますね」
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二階の応接室に入ったのはコーデリアさん、娘のロージーさん、隊商のリーダーのシルビオさん。そして僕とハンナ。
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お茶が出るのもそこそこに、口火を切ったのはロージーさんだった。
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「ねぇサウル、その子誰?」
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「あぁ、この子はアラン様の養子のハンナですよ。ちょっと大きくなっちゃいましたけど」
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「普通、数ヶ月会わなかっただけでここまで大きくならないと思うけどね。でも、ここにサウルという実物を見てしまってるから信じるしかないか」
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「ハンナは、今後サウルを主人として付き従うから。ずっと一緒」
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「え? 何どういう事?」
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「ええと、何というか……」
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ハンナが機人という事を言わずに上手く取り繕えないかな? と思ってるうちに言葉に詰まってしまった。
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「ハンナは機人。機人は主人に付き従う。前、こっちに来たのは主人のような気配がこっちにあったから」
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あ、あっさりと……。
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「機人と言いますと、自動人形の最上位、かつては星を切り大地を砕いたという」
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シルビオさんが確認するようにつぶやく。
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「そう、その機人。信じてくれなくても良い。ハンナはサウルと一緒だから」
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「そう、ですか」
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次に口火を切ったのはコーデリアさんだった。
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「あのハンナちゃんがねぇ。確かに話す様子を聞いてるとそのままだけど。まぁそれはいいさ。今後はどうするんだい?」
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「はい、隠れ里を作る積もりで居ます。倍力の術理具や草刈りの術理具なんかもありますし、ちょっとした里を作るだけなら何とかなるんじゃ無いかと」
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「場所は?」
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「コミエ村から西に数十キロ」
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「海辺に作るのかい?」
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「ええ、ちょうど良い場所を偶然知ってまして」
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「コミエ村がアレハンドロの一番西で、そっから先には人間は住んでないはずだ。なのにそんな場所にあてがあるって? 馬鹿言っちゃいけないよ」
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そこからしばらく押し問答が始まってしまった。
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僕は泡倉のことを話したくない。巻き込む人を下手に増やして収集就かないようになるのが怖い。
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コーデリアさんは今まで常識と比べて僕が馬鹿なことを言ってると信じている。
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確かに隠れ里計画は僕の泡倉とハイエルフ達あっての計画。ここを信じてもらえないと話が進まない。
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「分かりました。では僕の秘密を教えます」
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『セニオ、秘密保持契約の準備を』
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『ご主人様、いつでもどうぞ』
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「すいませんが、この秘密を見てしまったら秘密保持契約を結んでもらいます。よろしいですね?」
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「あぁ、構わないよ。どんな秘密だろうがびっくりするもんかね。あたしは仮にも商会長として色んなもんを見てるんだ」
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「ロージーさんもシルビオさんもよろしいですね?」
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「うんいいよ。サウルが良い子なのは分かってるし」
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「私も構いません」
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応接室の床に白い円が現れる。もちろん、泡倉との入り口の円だよ。
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「さぁ、そこに足を踏み入れてください。そこに僕の秘密がありますよ」
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と告げた。
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【タイトル】
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059 秘密保持契約
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【公開状態】
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公開済
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【作成日時】
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2019-05-13 05:47:27(+09:00)
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