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「現物になりますが、術理具が生産を開始するまではこの泡倉の物品を売ろうと思ってます」 |
「具体的には?」 |
「木材と海辺の珊瑚、後は水晶などの鉱物を考えてます」 |
「木材と言いますと、コミエ村でもちょっとお見かけした、あのやたらエーテルの溢れる木ですかな?」 |
「あれです」 |
「珊瑚と水晶は先日セリオ司祭が持ち込んだあれですか。まさかその出所がここだったとは……。珊瑚も水晶も大きなものであれば値は跳ね上がります。適当な大きさであれば程良く売れるでしょうね」 |
「良かった」 |
「ただあれらを売るのは慎重にしなければ出所を探られてしまうでしょう。現金化は時間が掛かるですから、ちょっと買値は下げる形になるかも知れません。よろしいですかな?」 |
「はい構いません」 |
「後は、サウル君が作る術理具を幾つか欲しい所です。今、非常に品薄でしてな。うちのブレンダン達も頑張ってるんですが、中々歩留まりが悪くて……」 |
「わかりました。急いで幾つか納品出来るようにしましょう。それでどれがご入り用です?」 |
「どれも、と言いたいところですが、草刈りの術理具と換えの部品ですな。あれがどこの村からも要求されてまして」 |
「分かりました」 |
「ちょっと待って! 商売の話はこの部屋を出てからも出来るでしょ?」 |
ロージーさんが眼鏡をきらんとさせながら口を挟んだ。この世界で眼鏡は何かしらの術が掛かった術理具で、扱うにも多少の四大術の素養が必要なもの。つまりロージーさんは商売人であると同時に四大術師でもあるんだよね。 |
「確かにそうですね」 |
と首をすくめてシルビオさんが引いた。 |
「結局その前世の人って誰なの? 有名な人?」 |
確かに。コウタロウさんについては僕は積極的に調べた事は無かった。聞いてみても良いだろう秘密保持契約があるんだし。 |
「コウタロウ、といいます。ご存じです? 僕もちょっとだけ調べましたけど見つかりませんでした」 |
「そうね、私も知らないわ」 |
ロージーさんはくりっとした目を更に丸くしてる。 |
「でも、王都の先生に聞けば何か分かるかも。ねぇ、ちょっと契約内容を変更してもらえない?」 |
『セニオ、どう思う?』 |
『失礼ながら、変えない方が良いかと。ご本人様以外にコウタロウ様の情報が漏れるのは……』 |
『しかし、コウタロウさんの情報が得られるとしたら大学か神殿でしょう? 場合によっては何を調べているのか聞かれるかも知れない』 |
『だからこその契約です。契約に縛られていると知ったならそれ以上の追求はしないでしょうから。契約が彼女の身を守ると言うことになります』 |
『分かった』 |
多分、時間にして1秒も経ってないと思う。みんなには僕がちょっとだけ考えたように見えたと思う。 |
「すいませんが、契約の内容はそのままで」 |
「そっか、残念。じゃぁいつか王都に行かないといけないね。どこかのサーガに歌われてるのかも知れないし、古代帝国の時代の貴族だったのかもしれないし」 |
一通り質問に答えた後、鑑定機の部屋から直接元の場所に戻ったよ。 |
その時コーデリアさんが |
「これ、兵士を中に乗せて移動したらえらい事になるねぇ。いいかい、決してえらい人にバレないようにするんだよ?」 |
と忠告してくれたよ。ほんとだよね。そうなったら貴族達に良いように使われるのだろうね。こわいなぁ。 |
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5/13 誤字修正 |
【タイトル】 |
060 コミエ村へ |
【公開状態】 |
公開済 |
【作成日時】 |
2019-05-13 17:46:16(+09:00) |
【公開日時】 |
2019-05-14 07:00:17(+09:00) |
【更新日時】 |
2019-05-14 07:00:17(+09:00) |
【文字数】 |
3,222文字 |
【本文(137行)】 |
お話が終わったところで、僕とハンナはアレハンドロを出る事にした。日はまだ高い。水上を移動すれば、コミエ村までは夕方になる前にたどり着くはず。コミエ村で神官様や村長さんに事情を説明しておかないと。 |
と思ってたんだけど。 |
冒険者組合の人に見つかった途端、組合まで連れて行かれてしまったんだ。僕悪いことしてないはずだけどなぁ。 |
中に入るといつもより雰囲気がとげとげしい。僕を連れてきた剣士のおじさんに尋ねてみようとすると、 |
「無事で良かった!」 |
と、受付のパティさんがカウンターを飛び越えて走ってきたんだ。避けるわけにも行かなくて受け止めると |
「あぁ、無事で良かった」「けがはないか?」 |
などと他の冒険者の人達も声をかけてきた。 |
「はい、何とか大丈夫でした。しかし……」 |
アラン様達のことは当分秘密にしないといけないんだから……と、一瞬考え込んだとき、ハンナが声を上げた。 |
「アラン様達は途中で私たちとの同行を拒否しました。これ以上、私たちに迷惑はかけられないって。アラン父さん、セレッサ母さん……」 |
と泣き出した。恐らく演技だと思う、と、事情を知っている僕が考えるほどハンナの演技は完璧だった。 |
その声を聞いた冒険者達は、怒りに燃える。しかし、領主の決定には逆らえない。領主が何故親しい仲のはずのアラン様を陥れるような事をしたのか、理由が分からない。 |
ならば……、と、数人が姿を消した。多分、探索術で証拠か何かを探すんだと思う。 |
「で、サウルよ、お前はどうするんだ?」 |
「僕は僕に出来る事をしますよ。まずはコミエ村を助けます。僕とハンナのホバリングがあればきっと役に立つことも有ると思うんです」 |
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