具体的内容
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背景・要因
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改善策
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記述情報
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専門分析班及び総合評価部会の議論
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関連したモノ
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専門分析班・総合評価部会の議論
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吸入酸素濃度
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事故の内容2
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訪問での専門分析班委員の主な意見
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人工呼吸器※
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薬剤
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誤った処方内容
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詳細
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参照
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画像
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事例の分類
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注釈
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種類
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研修医の情報
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両側胸水・心タンポナーデのため、呼吸器内科医師が左胸部より胸腔ドレーン(1本)を挿入し、ドレナージを開始した。その際、接続チューブが2本付いたチェスト・ドレーン・バッグ(Q-2タイプ)を準備し、使用した。挿入日は自然排液させ、挿入したカテーテルをクランプした。しかし、使用しない他方の接続チューブをクランプしなかった。翌日、カテーテルを開放して、陰圧吸引をかけると、呼吸困難をきたし、X線検査にて左気胸が判明した。
準備した胸腔ドレーンバッグは、別患者に使用するつもりで開封したが使用しなかったために、病棟看護師がこれから使用するように張り紙をしたものであった。使用前の確認不足があった。
・院内職員にこのような事例があったことを周知し(医療安全情報発行)、1本しか使用しない場合は接続チューブが1本付いた胸腔ドレーンバッグを使用する。やむを得ず、接続チューブが2本付いたものを使用する場合は、使用しないチューブをクランプすることを伝えた。・間違いが起こらないように、別のメーカの製品を採用した。
nan
右胸腔ドレナージ(水封)を開始した。2日後、排液部内に胸水が2080mL貯留していたため、胸腔ドレーンバッグを交換した。3日後のX線写真では、肺の拡張あり。SpOは97~98%(酸素24L/分)、労作時のみ呼吸苦があった。排泄時、ウォシュレットの使用の希望があったが室内トイレに設置されていなかったため、車椅子専用トイレまで移動していた。6日後、皮下気腫があり、マーキングを行った。X線撮影したところ、気胸が判明した。主治医が右胸腔ドレーンの引き抜きを行うが、呼吸性の移動がなかった。他の医師が、胸腔ドレーンバッグの排液部の三槽目を使用しない際に密閉するシールキャップが無く、排液部が開放されていることに気付いた。新しい胸腔ドレーンバッグに交換し、陰圧-5cmHOでドレナージを再開した。患者2の呼吸状態に大きな変化は無く、苦痛の訴えもなかった。外れたキャップを捜索し、情報収集すると、前日の午後、病棟廊下でその日の勤務の看護師がキャップを発見し、処理について他の看護師にも相談したが「不要」との見解で破棄していたことが分かった。
胸腔ドレーンバッグの開封時、構造に不備がないか点検する習慣がない。胸腔ドレーン挿入時より、呼吸性移動の観察をしていない。胸腔ドレーンのチェック表に不備があり、ダブルチェックが効果的ではない。シールキャップが外れていることが無いため、シールキャップの有無は観察していなかった。車椅子用トイレへの移動などベッド周辺以外にも行動していた。
・胸腔ドレーンバッグ開封時の構造上の不備がないか、確認を徹底する。・胸腔ドレーンのチェック表を見直し、効果的なダブルチェックを行う。・胸腔ドレーンを挿入している患者の観察項目を経過表に記録することを徹底する。・胸腔ドレーンバッグの準備・交換について、看護師全員の手技を確認する。・本事例の当該部署が担当し、看護手順の「胸腔ドレナージ(持続吸引)」を改訂した。
nan
食道癌手術を施行後、右胸腔ドレーンを挿入し、メラアクアコンフォートを接続した(その際は破損・異常なし)。21時頃、手術室からICUへの移送時に胸腔ドレーンバッグを倒しかけた(恐らくその時に空気導入口に衝撃が加わり破損したと推測される)。ICU入室時のチェックでは破損に気付かなかった。翌朝9時前、看護師は空気導入口のキャップの破損に気付き、医師に報告した。医師は、埃が入ってはいけないと思い、交換するまで同部位にテープを貼っておくよう指示した(医師は同部位が空気導入口であることや、同部位の閉塞で過陰圧になることの認識はなかった)。その後、胸腔ドレーンバッグは交換されず、破損に気付いた数名の看護師はおかしいと思ったが、直接医師には確認しなかった(申し送りでは破損していることを医師は知っており、テープ貼用を指示されたと伝達されていた)。その間、胸腔ドレーンバッグの作動(吸引)に問題なく、排液もあった。術後4日目の22時に、患者側のチューブがひしゃげ、吸引圧制御部のエアの発生が停止しているのを看護師が発見し、リーダー看護師に報告した。過陰圧であることを確認し、患者側のチューブをクランプして、貼ってあったテープをゆっくりとめくると、ピーッという大きな異音と共に、吸引圧制御部に入っていた水が勢いよく逆流し、排液部の三槽目に流入した。患者側のチューブをクランプしていたため、解除による患者への直接的な侵襲はなかった。その後、医師に報告し、医師は胸腔ドレーンバッグを交換した。胸部X線写真では血胸や気胸等を認めなかった。
・知識不足:医師・看護師の知識(調圧水注入口が空気導入口を兼ねていること、同部位を塞ぐと過陰圧になること)がなかった。・伝達・確認エラー:おかしいと思いながら、医師の指示でテープを貼っているので問題ないという思い込みがあった。医師へ胸腔ドレーンバッグの交換を依頼しなかった。・機器の破損:メラアクアコンフォートの空気導入口のキャップは横からの衝撃に弱く破損しやすい。また、キャップも取れやすい(キャップ紛失により、テープで代用する危険性がある)。・表示の不適切:胸腔ドレーンバッグの「調圧水注入口」は「空気導入口」であるが、胸腔ドレーンバッグには「調圧水注入口」のみで「空気導入口」という表示がないため、同部位を閉塞しても、過陰圧になるとは思わない。・添付文書の記載が不適切:内容により、同部位の説明でありながら、「調圧水注入口」と「空気導入口」の2つの用語が使用されている(シリンジでの蒸留水注入の説明では「調圧水注入口」、過陰圧注意の説明では「空気導入口」を使用しており、同じ場所の説明だと認識しにくい)。
・メーカーに依頼し、院内研修会を実施した。・全職員に対して、毎月1回発行の医療安全管理注意情報をメール配信し、院内に周知した。・今回使用した胸腔ドレーンおよび他メーカーの胸腔ドレーンバッグは装置自体の表示・添付文書の記載が十分でなく、臨床で汎用される医療機器について、各メーカーの同装置の表示改訂および添付文書の改訂が必要である。・過陰圧が生じた時の対処方法の記載が不十分で、誤った手技により患者に侵襲を与える可能性がある。過陰圧解除時の対処方法(患者側チューブをクランプしてから、少しずつテープを剥がす、シリンジで少量ずつエアを注入する等の手技を行う)を赤字で記載することが必要である。・メーカーに確認すると、今回のように調圧水注入口自体の破損は稀であるとのことだが、キャップを紛失したことによるテープ貼用はよくあるとのことで、臨床で一般的に使用されている医療機器でありながら、各部位の名称や機能について正しく理解して使用している人は案外少ないと思われるので、広く注意喚起が必要であると考える。
nan
患者は救急搬送後に入院し、呼吸困難があり、酸素15LにてSpO97%、意識レベルは2200であった。胸部X-Pの結果、右気胸が判明した。病棟で胸腔ドレーンを挿入したが、リーク・呼吸性移動は消失するも肺虚脱は改善なく、透視下で再挿入することになった。透視室へ移動し、透視台へ移乗した際、患者の動きはなく意識レベルは200であった。すぐに処置をするため透視台の柵は外していた。医師は患者の右側で器材を確認しており、看護師Aは頭部側で器材を準備、看護師Bは医師の左側に立ち患者を見ていた。看護師Cが交代に来たため、看護師Bは患者のそばを離れた。その時、患者が動き、高さ約75cmの透視台から転落した。患者は頭部と身体の左側を打撲、胸腔ドレーンが抜けて、左口唇に切傷を生じ、鼻腔から出血していた。呼吸が弱くなったため救急コールし、駆けつけた医師がCVCを挿入した。血圧測定不能のためカタボンHiの投与を開始し、気管挿管、胸腔ドレーンを挿入した。頭部・骨盤CT撮影後、人工呼吸器装着となった。当日のCTでは頭部の異常ははっきりしなかったが、翌日のCTにて外傷性くも膜下出血、軽度の脳挫傷の所見であった。
透視下で胸腔ドレーンを挿入するため透視台に移乗した。すぐに挿入する予定であり、挿入側である右側の柵は外していた。医師は患者の右側にいたが、透視台から約20cm離れた位置でドレーンのセットを確認していた。看護師Bは医師の左側で患者を見ていたが、代わりの看護師Cが「代わります」と言いながら入ってきたので、患者を見ないで位置を移動した。入院時の意識レベルが200であり、透視室でも患者の動きはなかったため、医療者全員が患者が動くとは思っていなかった。患者の安全確保のためのマジックベルト固定帯などを使用していなかった。また、病棟での胸腔ドレーン挿入後、患者が起き上がろうとした情報が透視室で処置についた看護師に伝達されていなかった。病棟で処置についた看護師と透視室で処置についた看護師は違う看護師であった。
・処置の直前まで柵を外さない。・柵を外すときは患者の動きを必ず観察する。・透視台は狭く、患者が動くと転落する可能性があることを考えて行動する。・透視台から離れず患者の身体に触れておき、動いたときに直ぐに対応できる体制を整える。・医療者間で役割を調整し、患者観察の役割交代の時は、交代者がそばに来てから患者のそばを離れる。・医療者間で情報を交換する。・必要時、マジックベルトなどの固定帯を使用する。
検査や治療・処置前
心臓カテーテル検査が開始されたが、冠動脈の石灰化が強く手技時間が長くなり、患者は安静が保てなくなっていた。検査中、胸部痛がありレペタン1AとアタラックスP1Aが投与され、患者は傾眠状態であった。医師の指示で看護師が物品を検査室の外に取りに行き戻ってきた時に、患者が右足からずれるようにカテーテル台から転落した。すぐに患者を引き上げ、全身状態を観察した。右後頭部に皮下血腫があったが、意識レベルはクリア、離握手可能で、しびれや脱力はなく、瞳孔にも異常はなかった。終了後に頭部CT検査を施行し、外傷性くも膜下出血を認めた。脳外科にコンサルトし、保存的に経過を観察することになった。
看護師は、医師に依頼された物品を検査室の外に取りに行き不在となった。医師は、患者に背を向けた状態で物品が並んでいる清潔台で作業していた。臨床工学技士は、機械の操作を行っていた。診療放射線技師は、撮影画像を確認していた。誰も患者を見ていない状況であった。検査時のカテーテル台の高さは約85cmであった。検査台は全長が273cmであり、頭部から145cmまでの部分は幅が45cm、145cmから273cmの部分は幅が65cmである。患者の左手側には備付けの手台(長さ:約64cm、高さ:約8cm)、右手側には差し込み式の手台(長さ:約40cm、高さ:4cm)がついていた。原則、患者に抑制はしないが、検査中の安静保持が困難と予測される患者や薬剤投与により鎮静中の患者には検査開始時から抑制をしている。しかし、今回は検査の途中で薬剤を使用したため抑制帯を使用していなかった。透析患者であり、全身の血管が脆弱であったこと、抗凝固薬・抗血小板薬を使用していたことでくも膜下出血を発症しやすい状態であった。
・患者から目を離さない。・離れるときは、お互いに声を掛け合い、コミュニケーションをとる。・患者が不穏状態や傾眠傾向になった時点で抑制を行う。・検査途中でも不穏等で体動が激しくなると予測できる時は、医師と相談し手技を中断して抑制帯(マジックテープで長さを調整して固定できる、検査台を含めて体幹や下肢を固定できる)を使用するようにした。
検査や治療・処置中
歩行時に軽度の脱力とふらつきがあり、脳血管障害精査で初期の脳梗塞鑑別のため頭部MRI検査を実施した。14:15にMRI対応ストレッチャーでMRI室に入室した。ストレッチャーからの移乗時、自力で少しは動けたが、看護師と診療放射線技師の介助で検査台へ移動した。その際、患者は指示に従うことができていた。患者から「ここはどこ?」との問いかけがあり、「今から20分間検査します」と言うと、「何の検査?」と返答があり、「頭の検査をします。」と言うと、「あー、頭ね。」との返答があった。異常を知らせる緊急用のブザーは、理解力が乏しい印象があり、患者が落としてしまう可能性が高いと判断して渡さなかった。頭部は、バンド、スポンジを使用して頭を動かせない状態で固定した。検査の間は動かないだろうと思い、体の固定はしなかった。14:16にMRI検査を開始した。撮影中は監視モニタを確認し、異常がなかった。14:26に検査の途中で検査室の監視モニタを確認したところ、患者がいないことに気付いた。検査室に入ると、検査台の右側の床に左側臥位でうずくまっている患者を発見した。すぐに応援を要請し、放射線科医師、MRI室の主任が駆けつけ、患者対応と救急外来への連絡をした。駆けつけた救急外来看護師が患者の状態を確認したところ、患者は右足が痛いと訴えた。救急部医師が到着し、X線撮影の指示があり、14:42に骨盤部・大腿骨X線撮影を実施した。右大腿骨頸部外側骨折と診断された。右大腿部痛に対してアデフロニック坐薬25mgを挿肛した。観血的整復術を施行した。
救急外来看護師は患者に認知症があることを知っていたが、意思の疎通ができており、MRI検査中は全患者、体幹をバンドで固定すると思っていたため、放射線科へ申し送りをしなかった。救急外来看護師は他の救急患者対応のため、撮影時に立ち会っていなかった。診療放射線技師は、患者が受け答えできているため、認知症を疑うことはなかった。脳梗塞の疑いの為、理解力が乏しい印象があり、緊急用のブザーを使用しなかった。患者の動きが緩慢であり、受け答えができていたため、体幹の固定をしなくてもよいと判断した。撮影室の机上は電子カルテや画像モニタ等の機材が多く、眼前の窓からの目視による監視が不十分であった。
・看護師と診療放射線技師で情報共有をきちんと行う。・撮影室の机上の電子カルテや画像モニタ等のレイアウトを変更し、目視での監視を強化する。・全患者にバンド、膝枕(検査中に足を動かして下方へ移動しにくくする)を使用する。・緊急用のブザーを落としてしまう可能性のある患者には、手のひらに貼り付けることとする。
検査や治療・処置中
アンギオ、血管内治療中に嘔吐があり、胃管を挿入した。患者は、左上下肢の動きがあり、抑制帯を使用していた。止血終了時に多量の排便があり、オムツ交換時に抑制帯を外した。止血が終了し、看護師は医師2人が患者のそばにいたため、記録をしようと患者のそばを離れた。1人の医師が挿入した胃管の位置を確認するため、聴診器を取ろうと患者のそばを離れた時に、突然患者に起き上がろうとする動作があった。そばにいたもう1人の医師が抑えようとし途中まで抱えたが抱えきれず、患者は検査台から転落した。血圧130/69mmHg、脈拍61回/分、呼名で開眼あり、瞳孔不同なし、左上下肢の動きあり。側頭部より出血していたため、医師が用手圧迫で止血し、側頭部を消毒してガーゼで保護した。CT検査を施行したが、転落が影響しているような新たな脳内出血はなくSCUへ帰室した。
血管内治療が終了し、病棟からの迎えを待っている時間であった。看護師は、医師2名がそばにいるので離れても大丈夫だと思った。患者は治療中も体動があったため、不意に動く危険性を予測し、危険回避の対策を取っておくべきであった。看護師、医師間の連携がとれていなかった。
・意識障害のある患者は、不意に動き危険であることを予測し、観察、ケアをする。・病棟からの迎えやストレッチャーへの移動までに時間がある時は、患者に説明し抑制帯を使用する。・移動に必要なスタッフが集まる前に安静が保てない患者や意識障害のある患者のそばを離れない。・転落の危険があることを医師、看護師間で認識し、お互いに声を掛け合う。
検査や治療・処置後
腰部X線撮影後、X線写真を現像しながら画像を処理している時に撮影室内から「ゴトッ」という大きな音がした。すぐに確認すると患者が撮影台から転落していた。X線撮影し、大腿骨転子部骨折の診断で入院となった。
X線撮影中は、外来看護師と診療放射線技師が患者のそばにいた。外来看護師は、途中で救急患者の電話対応のために患者のそばを離れた。診療放射線技師も現像のためにそばを離れた。患者に認知症があるという情報はお互いに知っていたが、左片麻痺があること、腰痛があり、撮影中も全く体動がなかったことから患者は動けないと判断し、患者を撮影室内に1人にした。患者のそばを離れる際のお互いの連携不足があった。看護師は救急患者の電話対応が多く、介助中であっても対応しなければならなかった。
・看護師は認知症であるという情報を必ず診療放射線技師へ伝え、認知症の患者の撮影時にはそばを離れない。誰かが必ずそばにいる(撮影時に家族の協力を得る)。・柵付きの撮影台を探し、ベルトなど転落予防に関して検討する。・外来看護師の救急患者の電話対応を工夫する。
検査や治療・処置後
ドルミカムで鎮静し、ERCPによる膵管精査を行った。検査終了間際にX線透視装置の操作盤の検査台傾斜スイッチに医師Aの衣服がひっかかり、スイッチが押された状態となった。このため、検査台が患者頭側へ約30度傾斜し、患者が検査台から頭側へ滑り落ちそうになった。患者の状態に気付いて医師A、B、C、看護師の4名でとっさに支えたが、患者は頭部から床に落ちた。速やかに検査台を元に戻し、患者を安静体位とし、バイタルサインに異常がないことを確認した。頭部CT撮影で異常がないことを確認した。帰室後の診察でも特に神経学的異常やバイタルサインに変化がないことを確認したが、左眼瞼周囲の浮腫と発赤を認め、転落に伴う皮下血腫が疑われ、クーリングで対応した。
透視検査台が本来の使用用途とは別の用途で使われていた。透視検査台の足台が転落防止策として検討されていたが、操作性等の理由により使用されていなかった。透視操作盤の傾斜スイッチが容易に動く構造となっている。ERCP検査時に専属の診療放射線技師が操作していなかった。
・ERCP検査時には転落防止のための足台を必ず用いることを徹底する(以前は使用していたが、検査時の操作性・簡便性および患者管理の面で、最近は使用していなかった)。・X線透視装置操作盤の使用時は、検査台傾斜スイッチに留意することを徹底する。・X線透視装置操作盤の検査台傾斜スイッチに誤作動防止のためにカバーを付けることを提案する。
nan
モルヒネ調製液の注射器を交換する際、麻薬庫の中に前日に使用しているはずのモルヒネ塩酸塩注があった。前日15時から当日の15時30分まで、注射器にモルヒネ塩酸塩注10mg/1mL4Aが入っていない状態のまま、生理食塩液44mLのみが投与されていたことが分かった。15時30分に新しい注射器に交換したため、処置はせず経過観察となる。主治医から家族に説明した。
点滴台には生理食塩液が入った注射器があり、モルヒネの点滴ラベルが貼られた状態で置いてあった。誰かが作成したと思い込み、混注後であるかを確認せず、注射器内の薬液の総量を見ていなかった。麻薬の残量がなくなる時間を把握しておらず、残量アラームが鳴っていたことを知らなかったため、慌てて交換した。注射器を交換した際に、ポンプチェック表を確認していなかった。
・注射器の薬液の量が指示通りの量になっているかを投与前に確認する。・混注したか分かるように、アンプルに貼られたシールを混注後の注射器に貼る。貼られていない場合は、麻薬庫の中を確認してアンプルが空になっているかを確認する。・混注後の注射器は点滴台に置かずに、麻薬庫の中に入れる。
nan
手術中に赤血球を輸血する際、患者は慢性腎臓病を併発していたため、高カリウム血症のリスクが高いと判断し、カリウム吸着フィルターを使用することとなった。カリウム吸着フィルターを使用した輸血の終了後、ルート内に残っていた血液を体内に投与しようとした。本来であれば吸着したカリウムイオンが急激に溶出するおそれがあるため、生理食塩液等での残血回収は行わないが、担当していた麻酔科研修医はそれを知らず、生理食塩液を用いて後押しをした。直後に指導医が気付き、血清カリウム値を測定したが正常値内であり経過観察となった。
院内の医療安全マニュアルに、カリウム吸着フィルター使用時の注意事項・運用を記載していたが周知が不十分であった。カリウム吸着フィルターの払い出し時に注意喚起文(使用上の注意等)を添付していたが目立たず、当事者は気付かなかった。カリウム吸着フィルター使用時は添付している注意喚起文を点滴台に貼付する運用となっていたが実行されていなかった。当事者は使用後に生理食塩液を流してはいけないことを知らなかった(使用方法、注意点の周知不十分)。個包装にも使用方法および使用上の注意が記載されているが、見づらく参考にされていなかった。
・安全対策委員会およびリスクマネージャー会議で事例を共有するとともに、周知文(全職員閲覧後署名)を通してカリウム吸着フィルターの適切な使用方法を周知した。・カリウム吸着フィルターの使用が必要な患者は限定されており、院内の運用を見直し使用可能な部署を制限することで、使用方法を熟知したスタッフのみが使用するように運用を変更した。・払い出し時に添付している注意喚起文の見直しを行い見やすく改訂した。また、カラーコピーにすることで添付されていることに気付きやすいようにした。・製造メーカに個包装の見直しおよびフィルター部への注意記載を要請し、変更された。・研修医を対象としたセミナーでカリウム吸着フィルターの事例を共有し、注意点を伝達した。
nan
日勤帯受け持ち看護師は、朝のラウンド時に患児の左足背から足底にかけて、SpOモニタのプ2ローブ様の熱傷を発見した。発見時は右足背にSpOモニタのプローブを装着していたが、い2つからできていたのかは不明であった。経過観察していたが、他看護師に熱傷を指摘され、医師に報告し皮膚科往診となった。皮膚科往診後、Ⅰ度熱傷と診断され、軟膏処置となった。
観察や看護師間の申し送りが不十分であった。患児は5ヶ月であり皮膚が脆弱であることも考えられ、頻回に観察し、SpOモニタのプローブ2の貼り替えや巻き直しを行う必要があった。
・各勤務、または頻回に観察し、同一部位にSpOモニタのプ2ローブを8時間以上装着することは避け、必ず巻き直しを行う。・今まで今回のような熱傷を生じたことがなく、情報共有を徹底する。
nan
看護師は、エルプラットを末梢静脈から投与している患者に対して、血管痛緩和目的でホットパックを使用した。患者に「腕を動かした際にホットパックが外れないようにして下さい」と言われたため、テープで点滴刺入部に固定した。1時間後、他の看護師が点滴アラームの対応のため訪室した。刺入部を確認した際、ホットパックを当てていた皮膚に発赤があることに気付いた。
ホットパックを使用する際に専用の布袋を使用することを知らず、通常の温罨法用の袋を使用した。同一部位に持続してホットパックを使用することで、低温熱傷の可能性があるという認識がなかった。低温熱傷の可能性があることを患者に説明していなかった。ホットパックを使用した後、皮膚や刺入部の観察を頻回に行わなかった。
・血管痛予防のためにホットパックを使用する際には、専用の袋を使用し、固定しない。・ホットパックの使用により、低温熱傷の危険性があることを認識し、患者に説明する。・ホットパックを使用する際には、皮膚の観察を頻回に行う。
nan
患者は自発呼吸があり、人工呼吸器は、CPAPモードでFiO0.35、PS23cmHO、PEEP6cmHOで設22定していた。8時44分にICUからHCUに転室となり、日勤の看護師3名でベッドを移動した。看護師Aは酸素投与を酸素ボンベへ切り替え、看護師AとBでベッドを移動し、看護師Cが人工呼吸器を移動した。その際、看護師Cは人工呼吸器のアラームが鳴るため、人工呼吸器をスタンバイにした。8時55分にベッドを固定し、電源類を看護師A、モニタ類を看護師Bが整理し始めたため、看護師Cは自分の受け持ち業務に戻った。その際、人工呼吸器をスタンバイの状態にしたことを伝えなかった。看護師Aは人工呼吸器が作動していると思い込んでおり、確認することなく患者に装着し、SpOが100%で2あることのみを確認してその場を離れた。9時25分にSpOが95%に低下して2アラームが鳴ったため、夜勤の受け持ち看護師が人工呼吸器のモニタ画面を確認したところ、スタンバイの状態であることに気付いた。すぐにスタンバイを解除し、人工呼吸器を再開した。1分後にSpOは299%に上昇し、患者の状態はベッド移動前と変化していないことを確認した。
人工呼吸器再装着時に設定が変更されていないと思い込んでいたため、人工呼吸器の作動確認を怠った。看護師Cは人工呼吸器をスタンバイにしたことを伝えなかった。ベッド移動の際、複数の看護師が関わっていたため責任の所在が曖昧であった。ベッド移動の際、夜勤の受け持ち看護師と患者の状態を共有することが出来ていなかった。
・人工呼吸器の再装着時は必ずダブルチェックで人工呼吸器の作動状態、患者の呼吸状態を確認する。・ベッド移動の際は、患者の状態を前の勤務帯の受け持ち看護師と情報共有する。・部署内で人工呼吸器装着患者のベッド移動時の手順を再度見直し、明確にする。
患者移動時の事例
Servoi
間質性肺炎の急性増悪のため救急外来に搬送された患者に人工呼吸器を装着した。しかし、人工呼吸器がスタンバイの状態になっており、患者は約4分後に心肺停止となった。
CT検査に行くため、人工呼吸器からジャクソンリースに変更した。その際、担当医が人工呼吸器をスタンバイにしたが、他の医師、看護師は知らなかったため、スタンバイの状態であることに気づかないまま人工呼吸器を患者に装着した。人工呼吸器装着後もスタンバイの状態に気付かなかった。
・人工呼吸器を装着する前に作動状態を確認する。・人工呼吸器装着後は胸郭の動き、患者の呼吸状態を確認する。・CT検査などの移動時に人工呼吸器からジャクソンリースなどにつなぎ替える際、人工呼吸器はスタンバイにしない。
患者移動時の事例
Evita2dura
入院患者の維持透析のため、病棟から透析室へ移動して透析を実施する予定であった。医師は、病棟から移動した人工呼吸器の配管を繋ぎ、電源を入れてセッティングを行い、人工呼吸器の作動を確認した。人工呼吸器につながっていたテスト肺が外れてアラームが鳴ったため、透析担当の臨床工学技士がスタンバイにし、医師に口頭でその旨を伝えた。その後、医師は人工呼吸器の作動を確認しないまま患者に装着した。人工呼吸器はスタンバイの状態になっており作動していなかった。透析担当の医師が設定を変更しようとした際、スタンバイの状態になっていることに気付いた。
人工呼吸器装着時の作動確認をしなかった。医療安全の院内共通リスクマネジメントマニュアルに人工呼吸器の項目はあるが、スタンバイ機能についての記載はない。院内では、長時間使用しない場合、または一時的に使用しない場合にはスタンバイ機能を使用している。
・診療科医師と透析室看護師で人工呼吸器装着時の作動確認を行う。
患者移動時の事例
Evita2dura
患者の酸素化が悪化してきたため、医師と看護師で気管吸引を行った。酸素化が改善し、人工呼吸器を接続した。約10分後、徐脈と低血圧になったため昇圧剤を投与した。薬剤投与中に人工呼吸器がスタンバイの状態になっていることに気付いた。
人工呼吸器をスタンバイにすると換気がされていない状態でもアラームが鳴らない。気管吸引後、人工呼吸器が作動しているか、医師、看護師ともに確認しなかった。お互いに、相手が人工呼吸器を作動させたと思っていた。気管吸引の手順は明文化されていなかった。
・気管吸引等、一時的に人工呼吸を停止する際は、人工呼吸器をスタンバイにしない運用とする。
気管吸引時の事例
Servoi
意識がなく自発呼吸がほとんどない人工呼吸器装着中の患者に対して、気管吸引時にスタンバイにし、吸引終了後にスタンバイを解除し忘れた。
院内では、気管吸引時に人工呼吸器のスタンバイ機能を使用しないこととし、通常はサクションサポートでの吸引を推奨していた。しかし、以前患者に対して何らかの処置を行った看護師がたまたまスタンバイの機能を使用したところ、吸引時に換気の吹き上げがなく、使い易さを感じたのがきっかけで、その後も使い易さを理由に少数の看護師が継続して使用していた。当該看護師は、スタンバイの状態では換気が行われないことを知っており、自発呼吸がある患者に限って吸引時にスタンバイ機能を使用し、使用後は確実にスタンバイを解除し、換気が行われていることを確認して使用していた。
・気管吸引後の作動状況の確認と患者の観察を徹底する。・人工呼吸器の本体部分の目に付くところに「処置後、胸郭の動きを確認」と表示し注意喚起した。・気管吸引時には、スタンバイ機能の使用を禁止し、マニュアルに追加した。・看護師長がスタッフ一人一人に伝え、マニュアルの追加内容を周知した。・医師には医療安全室長が事故の経過とともにマニュアルの追加内容を伝えた。・研修会で周知し、ラウンドして周知した結果の確認をした。・人工呼吸器の初級編の研修を、人工呼吸器を使ったことがない、あるいは何年も使っていない看護師を対象に実施した。また、人工呼吸器中級編の研修を、現在人工呼吸器管理を行っている看護師を対象に行った。講師は、集中ケアの認定看護師、臨床工学技士、呼吸療法士が中心となり、医療安全管理者、看護部も参加して留意点を説明した。・今後、人工呼吸器マニュアルの改訂とマニュアルが安全に実践できるかどうかのチェックリストを作成し、チェックで出来た者のみ、人工呼吸器の操作を行うことが出来る体制を確立する。
気管吸引時の事例
Servoi
主治医は、朝の採血結果を確認し、高カリウム血症(K6.2mEq/L)のため、GI(グルコース・インスリン)療法を行うこととした。電子カルテ上で薬剤オーダ「ブドウ糖液注50%シリンジ『テルモ』6筒、大塚糖液5%250mL1瓶、ヒューマリンR注100単位/mL10mL」を入力し病棟に電話した。看護師は指示通り、12:55に点滴を開始し、16:10に終了した。16:10の血糖値は82mg/dL、18:20の血糖値は42mg/dLであった。患者に意識障害はなかったが、一時的に血圧が低下した。看護師、薬剤師ともにインスリンが10mL(1000単位)で100倍量投与されていることに気づいた。
【環境側要因】電子カルテでの処方オーダで「ヒューマリンR注100単位/mL」を選択時、初期値で10mLと表示された。インスリン指示時、「単位」と「mL」が混在している。インスリンミキシング時の注射器の規定は、マニュアルに記載されていなかった。GI療法のマニュアルがなかった。【人間側要因】医師:「ヒューマリンR10単位」を処方しようとして、電子カルテ上で「ヒューマリンR注100単位/mL」と入力したところ、初期値で10mLと表示され、そのまま登録した。用量の単位の確認が不十分だった。外来診療中での処方オーダだった。GI療法の処方は、頻度が低く慣れていなかった。薬剤師:電子カルテ上でオーダを確認すると「ヒューマリンR注100単位/mL10mL」と表示され、用量に疑問を抱きカルテ上で「医師指示」を探したがなかった。看護記録の「A医師指示・側管からブドウ糖・ヒューマリンR・大塚糖液投与中」という記載から、病棟のストック薬を使い、看護師が用量を確認後投与していると思い、処方医への疑義照会はしなかった。看護記録では、「〇〇医師指示・側管からブドウ糖・ヒューマリンR・大塚糖液投与中は、1時間おきに血糖測定」と続いていたが、「1時間おきに血糖測定」が改行されており、「側管からブドウ糖・ヒューマリンR・大塚糖液投与中」までの部分を読み、「投与中」と判断してしまった。看護師:電話で口頭指示を受けた看護師、電子カルテで指示受けをした看護師、投与した看護師ともに、「ヒューマリンR注10mL」に疑問を抱いた。GI療法について他の看護師に確認し、インターネットで調べ、その疑問を解決しようとした。しかし、「医師の指示が10mLだから10mLで間違いない」「薬局も確認するから間違っていたら止めてくれるだろう」と解釈した。GI療法についての知識が不十分だった。口頭指示の受け方が遵守できていなかった。インスリン混注時、10mLの注射器を使用した。12:30で勤務者数が少ない時間帯であった。GI療法を早く始めないといけないとの焦りがあった。
・インスリンの単位の記載は、「mL」ではなく「単位」に統一する。・インスリンを注射器で吸い上げる時は、インスリン専用シリンジ「マイジェクター」を使用する。・インスリンの表示方法を、「ヒューマリンR注100単位/mL10mL」から「ヒューマリンR注1000単位/10mL/V」へ変更する。・電子カルテでのオーダ時、インスリンの用量初期設定を「0」とし、「指示単位数を入力」へ変更する。・電子カルテでのオーダで、「GI療法・高カリウム血症治療」の約束処方を作成する。・治療の目的、効果、リスクを把握した上で実施する。わからないことは必ず疑義照会する。・GI療法についてのマニュアルを作成し、インスリンの使用方法についての知識を周知する。・医薬品安全管理研修において、「ハイリスク薬としてのインスリン」についての知識を周知する。・製薬会社へ「ヒューマリンRのバイアルの容量変更(10mL→2mL等の小容量)」を要望する。
院内処方
・薬剤師は用量に疑問を感じたが、カルテで看護記録を参照して看護師が用量を確認後投与していると思い、疑義照会には至っていない。医師に直接問い合わせをしにくい背景があるのかもしれない。・インスリンの処方がデフォルトで「10mL」と表示されるのは事故を誘発する危険性があり、初期設定を「0」として指示単位数を入力するという改善策は適切と思われる。
nan
注射薬
薬剤量(過剰)
シリンジポンプでノボヘパリン原液0.3mL/h(7.2mL=7200単位/日)を投与していた。換算するときに5000単位/5mLのところを5000単位/mLと勘違いし、7.2mL×5000単位と計算し、36000単位を投与する指示をした。この計算は上級医師とも確認した。30000単位以上の処方をすると警告が出るシステムになっているが、警告を無視して入力した。1日目の薬剤師は医師と同様の計算間違いをして医師に疑義照会しなかった。看護師も気付かず、患者に36000単位投与した。翌日、薬剤師の監査で制限量を上回っていることに気付き医師に照会したところ間違いがわかった。APTTが150以上でありプロタミンを投与し、1時間後にAPTTは正常値となりヘパリンを再開した。頭部CTを施行し出血はなかった。
計算間違いをした。入力時の警告を無視した。上級医も確認したが気付かなかった。薬剤師も疑問に思ったが、医師と同様に誤計算し前日と同量であるため払い出した。電子カルテでヘパリンを36000単位入力するためには警告を解かなければならず、薬剤師は医師が意図を持って入力したと考えた。
・医師は確実に計算し、処方内容を慎重に確認する。・上級医は計算を見るだけでなく、自分でも計算する。・過量チェックで警告が出た際の対応を周知する。・ヘパリンが1日30000単位を超える場合、薬剤師は必ず疑義照会する。
院内処方
・薬剤師は、医師が意図を持って入力したと考え疑義照会を行わなかったが、量が多い場合は確認することが必要である。・処方を出す医師にも、適切な薬剤量などについて教育が必要である。
nan
注射薬
薬剤量(過剰)
医師は、小児患者にバンコマイシンを本来10mg/kg処方すべきであったが、100mg/kgで処方し10倍量の0.8g×4でオーダした。薬剤師は、点滴静注用バンコマイシン1回0.8gの処方で使用量が多すぎることに気付いたにもかかわらず、問い合わせをせず、小児使用量10mg/kg×4を遙かに超えているにもかかわらず調剤した。血中濃度を測定しているため、最近では数年前に比べて量が多くなっていること、AUCもかなり高い量で投与されていることで、担当者がシミュレーションをかけているだろうと勘違いした。看護師は、主治医に投与の有無を確認し、バンコマイシン0.8gを計3回投与した。翌日薬剤部から主治医にバンコマイシンの10倍量の過剰投与の指摘があり、間違いがわかった。
当直明けで疲労していた。判断力が鈍っていた。同病棟で重症患者が多数おり、同時に血液製剤を多数オーダした。医師、看護師ともに人員が不足しており、処置および治療が追いつかず、確認が不足していた。準夜帯の引き継ぎ時間帯にオーダが出された。指示受けを行った看護師から抗生剤投与の指示を受けたことを申し送られたが、投与量の再確認をしていなかった。抗生剤作成時、看護師2名で確認を行ったが、間違いに気づかず、投与した。看護師は、多重課題となり、抗生剤を投与することに集中してしまい、1回量まで確認することができなかった。薬剤師は、医師がシミュレーションをかけていると勘違いした。
・医師は、バンコマイシン投与指示を出す時は、体重あたりの使用量(換算量)をフリーコメントに記入する。・看護師は、体重あたりの標準薬品使用量の早見表を作成し、薬品の作成前に必ず量の確認を行う。量が多い・少ないと感じたときは、医師に確認する。・薬剤師は、医師の指示に疑問を生じた時は、必ず疑義照会を行う。
院内処方
・仮にシミュレーションしているとしても、問い合わせをするべき処方内容である。・小児の処方において体重でアラートをかけるのは難しいが、小児科からの要望でアラート機能をつけている医療機関もある。その場合は体重の測定、入力が必須である。
nan
注射薬
薬剤量(過剰)
担当医(経験7年)は主治医に、骨吸収抑制剤ゾレドロン酸注を使用するか相談し、主治医は量の変更はなしでという意味で「ゾメタをフルドーズで投与するように」と指示した。担当医はDI情報で投与方法、投与量を確認したが、投与期間については確認しなかった。連日投与を行わない薬剤と気付かなかったため、研修医にオーダ入力するよう依頼した際、3日間連続投与するよう指示した。研修医はその通りに入力し、リーダー看護師に翌日よりゾレドロン酸注を投与するようワークシートを渡した。病棟薬剤師が出勤日ではなかったため、研修医、看護師ともに薬剤師に確認を行わなかった。日勤看護師は指示通り、ゾレドロン酸を3日間投与した。
医師の知識が不足していた。医師は、抗菌薬などは通常3日程度から開始することが多いため、それにならった。薬剤師は、連日投与(3日間)を見落として払出しを行った。病棟薬剤師が休日で確認ができなかった。DI情報が見にくかった。
・医師は、初めて投与する薬剤はDI情報を投与方法、投与量だけでなく、投与回数、投与間隔まで注意して確実に確認してから、指示を出す。・DI情報の表記について可能な限りの改善を依頼する。・看護師は、薬剤準備時、投与時6Rでの確認を徹底する。・薬剤師は、今回の事例を薬剤部内で周知し、連続投与しない薬品の処方監査の注意喚起を行う。・注射薬の棚に「1週間以上の投与間隔必要」と表示する。
院内処方
・週に1回投与する薬剤は、薬剤師の処方監査におけるポイントの一つである。・3日間連日投与のオーダにアラートを出すことは難しいが、調剤時に気づけば未然に防止できる可能性がある。
nan
注射薬
日数
患者はCCUへ入院した。主治医は、DICに対しパナベート1500mgを末梢から投与する指示を出した。この時点でCVCの挿入の予定はなかった。薬剤師は、パナベートの投与量に対し希釈量が少ないと思ったが、医師に疑義照会せず、病棟へ薬剤を払い出した。19:00、看護師が左下肢に血管確保しパナベート1500mg+生食250mLを10mL/hで開始した。翌日8:30パナベートのラインの点滴漏れがあり、再度左下肢足部へ末梢ラインを確保した。点滴漏れした左下肢に血管の走行に沿った発赤と白色のびらんを認めた。それに対し、研修医は、ワセリン塗布の処置を指示し、施行した。2日後の16:00にCVCを挿入し、パナベートはCVCから投与に指示変更になった。経過観察の後、WOCより情報提供があり、医療安全係長とCCU副看護師長で皮膚の確認をし、主治医へ報告した。同日、形成外科へコンサルトし、パナベートによる壊死性血管炎と診断された。
ガベキサートメシル酸塩投与時の血管外漏出について、医師が知識不足であったため、指示を出した。ガベキサートメシル酸塩投与時の血管外漏出について、看護師が知識不足であったため、開始時に疑問を持つことができなかった。ガベキサートメシル酸塩を払い出す際、薬剤部が医師に疑義照会を行わなかった。ガベキサートメシル酸塩投与時の血管外漏出について、看護師が知識不足であったため、投与後に適切な観察ができず、速やかに発見、対応ができなかった。日本医療機能評価機構より配信される「医療安全情報」は、出されてから2、3日中にすべて医療安全ニュースとして院内掲示板で全職員に対し、情報提供している。今回の当該事例に関連した医師、看護師は、日本医療機能評価機構から配信された医療安全情報No.33:ガベキサートメシル酸塩使用時の血管外漏出、No.77:ガベキサートメシル酸塩使用時の血管炎(第2報)を認識していなかった。全職員が医療安全情報を目にしたかまでは確認が出来ておらず、一方通行になっている現状がある。
・ガベキサートメシル酸塩投与時の血管外漏出について、医師・看護師とも知識を確認し、周知する。・ガベキサートメシル酸塩の指示が出た場合は、電子カルテで注意警告の表示が出るようにする。・ガベキサートメシル酸塩の指示が出た場合、薬剤科は、主治医へ疑義照会する。・病棟へ払い出す際は、注意喚起の用紙を薬剤の袋へ一緒に入れて看護師が気付けるようにする。・ガベキサートメシル酸塩の指示が出た場合、薬剤科は、薬剤棚に払い出し表をつけて履歴管理する。・薬剤科は、平日日勤帯に払い出ししている患者のベッドサイドへ行き、投与経路を確認する。・ガベキサートメシル酸塩の使用方法を院内で下記の通り統一する。1)原則CVCからの投与とする。2)やむを得ず末梢から投与する場合は、0.2%の希釈濃度を超えない。・当該病棟、診療科については、各医療安全推進担当者が医療安全情報No.33とNo.77を直接渡して、指導を行った。医療安全推進担当者に自部署の閲覧状況の確認を行ってもらうなど、情報提供や確認の方法の検討をしていきたい。
院内処方
・CCUでガベキサートメシル酸塩を使用する頻度は少ないかもしれないが、末梢静脈から投与する際の適切な濃度や血管外漏出に関する知識は様々な部署で必要である。・ガベキサートメシル酸塩について、院内の医療安全ニュースで情報提供が行われたにもかかわらず本事例が発生したことから、定期的に繰り返して教育を行う必要性が示唆される。
※本事例の関連医薬品として報告された注射用パナベート500は、販売名をガベキサートメシル酸塩注射用500mg「AFP」に変更された(経過措置2016年3月31日終了)。
注射薬
投与方法
病歴の聴取から透析導入している患者であることは分かっていたが、用量調節を行う必要があることを認識しておらず、通常の用量(バルトレックス錠500mg6錠1日3回毎食後)で処方した。患者は、翌々日より呂律が緩慢となり、幻視も認められたため、外来を受診し、即日入院となった。
薬剤師は、バルトレックスが腎機能障害患者で減量すべきことは認識していたが、夜勤帯であり採血は実施されていないと思い込み、検査結果の確認をしなかった。カルテにて診察時の内容を確認したが、帯状疱疹との診断に目がいき、透析患者であることの確認をしなかった。
・医師の立場から:透析導入患者の場合は、いかなる場合でも投与量の確認を行う。また、内服薬ではなく外用薬を検討するなど、慎重に行う。・薬剤師の立場から:夜間においては、自己調剤・監査になるため、より慎重に正確な患者情報を収集し、必要に応じて医師へ確認をする。また、処方箋上の薬剤部の申し送りコメントで透析患者であることが分かるようになっているため、その確認を徹底する。
院内処方
・バルトレックスは腎障害のある患者には意識障害等の精神神経症状が現れやすいことから、多くの薬剤師が注意すべき薬剤として認識しており、プレアボイド報告も行われている。・本事例は透析患者への用量に関する警鐘的な事例であるが、その他の腎機能が低下した患者についても慎重に処方を確認する必要がある。
nan
内服薬
薬剤量(過剰)
医師は、オーダリングシステムでハーフジゴキシン錠(0.125mg)を1日1回朝食後0.5錠8日分と処方するところ、誤って5錠と入力した。患者は、4日間で4回分の20錠を服用し、息切れ、倦怠感の持続、食欲不振を認めたため、外来を受診し緊急入院となった。ジゴキシンの血中濃度は、3.78μg/mLと中毒域を示した。その後、ジギタリスは中止となり、血中濃度は低下した。
患者は、70歳代で中等度の腎機能障害(血清クレアチニン1.2程度)を認めており、副作用発現のリスクを下げるため、医師は通常より少量の0.5錠を処方しようとした。その際、間違って5錠と入力した。処方内容はジゴキシンだけであったが、医師は、外来終了時間の間際であったため、最終的な処方箋内容の用量確認を行わなかった。保険薬局では、処方内容に違和感があったため、管理薬剤師を中心とした複数の薬剤師と相談し調剤を行った。1.ジゴキシンの用法として急速飽和療法があり、その最大量を超えていないこと、2.患者との面談にて、検査を行いながら量を決める予定という話を聞いたこと、3.循環器内科医師からの処方であったこと、以上のことより薬剤師は、医師への疑義照会は不要と判断し、患者に用法を説明し払い出した。当該保険薬局は、病院の前にある保険薬局で、患者は初めて訪れた薬局であった。
・医師は、処方する際、ゼロやコンマの付け忘れがないかなどのオーダ量も含めた最終的な処方内容の確認を行う。・過量処方が出来ないように、上限量を2錠もしくは3錠とし、オーダリングシステム上で制限をかける。・保険薬局では少しでも疑わしいと感じた場合には、医師に疑義照会を行うことを徹底する。・現在では、ジゴキシンの急速飽和療法をあまり行うことがないが、添付文書にそのような用法記載があるため、薬剤師は疑義照会の対象とせず調剤する可能性がある。添付文書内容の定期的な見直しを要望する。※2011年改訂版の急性心不全治療ガイドラインには、「以前推奨されていたジギタリスの急速静注飽和療法は、現在では用いられることが少ない」との記載がある。
院外処方
・保険薬局では添付文書の情報をもとに疑義照会が必要かどうか判断することが一般的であり、用量が最大投与量の範囲内であったことから疑義照会を行わなかった事例である。・特に保険薬局では患者を待たせることに薬剤師が抵抗を感じやすく、疑義照会を行わない一因となっているのではないか。・患者が帰った後に、保険薬局から医療機関に問い合わせを行うことも可能であり、その結果処方修正となれば患者に連絡することもできたのではないか。
nan
内服薬
薬剤量(過剰)
大動脈弁置換術後、他院でワーファリンを処方され内服中であったが、関節リウマチによる関節炎が再燃したため、外来でケアラム25mg(イグラチモド)を処方した。保険薬局で処方薬が渡された患者は、併用禁忌であるワーファリン1.5mgとケアラム25mgを内服した。約1ヶ月後に発語障害、見当識障害(JCS:Ⅰ-3)、貧血を認め、本院に救急搬送され、急性硬膜下血腫と診断され緊急入院となった。PT-INRの延長を認め、ケアラムによるワーファリン過剰作用によるものと考えられ、ケアラム・ワーファリン投与を中止として、ビタミンKの投与、FFP、MAPの輸血にて対応し、PT-INR値をモニタリングしながら頭部CT・MRIで保存的に経過観察を行った。
外来主治医は本患者が他院でワーファリンを処方され内服中であったこと、ケアラムとワーファリンは相互作用で重篤な出血をきたす報告があり、併用禁忌であることの知識は持っていた。また、本院のオーダリングシステムでは、ブルーレターで通知があった薬剤については「警告文書」のアラート機能が働くことになっており、「ケアラム」の処方入力時にも「ケアラム錠はワルファリンとの相互作用による出血死亡例が報告されブルーレターが出ています」との警告文書が表示されていたが、多忙な外来業務(予約受診が多かったうえ、新患患者もあり、ケアレスミスを起こしやすい環境だった)で、ワーニングを乗り越えて処方してしまった。また、他院で処方されていたワーファリン処方も同一の保険薬局であったが、疑義照会はなく調剤されチェック機能が働かなかった。
・ワーファリン内服中であることが判明した時点で電子カルテのアレルギー禁忌薬欄にケアラムを入力し処方できないようにする。・外来にブルーレター・イエローレターの情報をポスター掲示する。・ケアラム処方時に患者・家族にもワルファリンとの併用禁忌の説明文書を渡し、患者・家族もチェックに参加できるようにする。・多忙な外来業務においては早めにサポート体制の強化を診療科全体で実施する。・保険薬局と本事例の背景要因と対策を情報共有するとともに、保険薬局での監査システム機能の強化も依頼する。・本事例はリスクマネージャー会議および安全管理委員会にて警鐘事例として提示、再発防止策を周知した。
院外処方
・保険薬局で薬剤服用歴が電子化されていれば確認がしやすいが、紙の場合は併用禁忌の処方を監査して未然に防止することは困難と思われる。
nan
内服薬
相互作用(併用禁忌)
患者は、入院前からメトトレキサート(2mg)を週1回朝1錠夕1錠服用していた。内服が開始になるため医師より院内処方された。医師は、紹介先からの薬剤情報を参照し、メトトレキサート2mgを1日2回(朝・夕)で院内処方した。薬剤師が調剤する際、メトトレキサートは週1回服用する薬剤であることを医師へ疑義照会し、薬剤師が入力内容を変更した。2日後、院内処方を中止のうえ持参薬再開の指示があり、看護師は、メトトレキサートを含む他の内服薬を医薬品識別依頼書・指示書と一緒に薬剤科に提出した。薬剤師は、持参薬の処方箋を参照し、医薬品識別依頼書・指示書にメトトレキサート(2mg)1日2回朝夕食後と入力した。医師は、医薬品識別依頼書・指示書にメトトレキサート(2mg)1日2回朝夕食後のまま指示をした。看護師は、医薬品識別依頼書・指示書のとおり、患者に6日間メトトレキサート(2mg)を与薬していた。患者は、その後に肝機能悪化と白血球減少をきたし、集中治療を行った。
持参薬は、医薬品識別依頼書・指示書(紙指示)で運用されており、スキャナで取り込んでいたが、医師が分かるように取り込めていない状態であったため、医師は患者に与薬している薬を電子カルテで把握できなかった。消化器内科の主治医は、メトトレキサートの薬効は理解していなかった。薬剤部が医師に院内処方の疑義照会をした際、薬剤師がメトトレキサートの用量・用法の入力を変更した。メトトレキサートの薬剤の包装シートに投与日を記載せず内服準備していた。薬剤部から疑義照会があった後、医薬品識別依頼書・指示書には、メトトレキサートの用量、用法が反映されていなかった。過剰投与があった時に、血液内科にコンサルトしておらず、対応が遅れた。病棟担当薬剤師や薬剤部への確認や相談は、いつでも実施できるようにはなっている。内服日を包装シートに記載すると薬剤が返却された場合に再使用ができないため使用していなかった。
・メトトレキサートの服用について、各病棟に医療安全情報を再度配布し、カンファレンスや会議でメトトレキサート過剰投与の事例を報告し、メトトレキサート服用量、方法について指導した。・薬剤師から、メトトレキサート服用について学習会を開催し、看護師全員に周知をした。・メトトレキサートなど特殊な服用方法の薬剤を払い出す際は、処方箋の薬剤名は赤で表記し、注意喚起する。・薬剤の包装シートを活用し、看護師が服薬する日を記載する。・メトトレキサートなど特殊な薬剤を服用している患者の薬剤指導を徹底する。・持参薬の指示書が紙運用のため、院内処方と同じように電子カルテに表示されるようにする(後発医薬品の入力業務量が課題)。・処方カレンダーを導入し、医師が処方入力を正しく実施し、服用薬が経過表に反映されるように進めるなど、電子カルテで対応できるようにシステムを見直す。
院内処方
・医薬品識別依頼書・指示書(紙)から電子カルテに情報が伝わっていないことが一つの要因である。・週1回服用する薬剤が増えているが、オーダする際に週1回と入力しにくいというシステムの現状がある。・当事者が20人と報告されており、医師1人、薬剤師3人の他、与薬に関わった看護師16人がメトトレキサートの連日投与に気づくことができなかった。持参薬の指示の間違いを発見することの難しさが示唆される。
nan
内服薬
日数
当院では同月の電子カルテシステム更新時に、内服処方オーダ方法を1日量処方から1回量処方へ変更を行った。その後、院外処方オーダ時にセルセプトカプセル250mg1回2CP、1日2回(1日4CP)と入力するべきところ、誤って1回4CP、1日2回(1日8CP)と入力した。薬歴管理を行っていた保険薬局から処方医師へ投与量の確認があり、正しい投与量へ変更され調剤が行われたが、電子カルテの処方オーダ歴は変更されなかった。患者が当院へ休日に緊急入院した際に、院外処方オーダを参考に処方オーダを行ったため、間違った投与量(1回4CP、1日2回)を患者が内服した。平日日勤帯にセルセプトの血中濃度測定結果が高いため過量内服が判明し、休薬を行った上で正しい内服用量へ変更した。患者は4回分服用した。
システム更新時に説明会を複数回開催していたが、内服処方オーダ方法の変更に関する重要性を説明する時間は短く、周知が不十分であった可能性がある。電子カルテ更新後、院外処方箋は、「1回1錠(1日3錠)」のように1回量と1日量が明記されている。保険薬局からの疑義照会は、外来で処方した医師が直接対応している。疑義照会の内容を医師がカルテに記載することになっているが、行わないこともある。薬剤部へは、保険薬局から疑義照会後の結果、調剤をした処方内容がFAXで送信される。それは薬剤部で保管するが、疑義照会を受けた医師へ渡したり、各患者のカルテ内に保存されたりはしていない。医師が電子カルテで処方オーダを修正できない場合は、薬剤部の判断で修正することもある。県下の病院で1回量処方オーダを行っている病院が少なく、医師にとっては入力間違いをしやすい状況にあった。
・薬剤部や医療安全管理部より注意喚起の資料を作成し、カンファレンスなどで薬剤師から1回量処方へ変更となった旨の周知を行うとともに、医師・看護師・薬剤師に対して周知確認書へサインをもらうことで周知の徹底を図った。・1回量処方に変更を開始した2日後に薬剤部ニュースを発行し、1回量処方オーダについて注意喚起し、処方例を掲載した。・医療安全会議、医療安全管理委員会、リスクマネージャー会議で事例を共有した。・保険薬局に対しては、県の病院薬剤師会を通して周知を行った。・処方オーダ入力後のオーダ確認画面において、最大投与量を超える旨の赤色のアラートをRP番号の横に表示し、用量を変更しない限りオーダの確定ができないようにした。
院外処方
・疑義照会によって処方が修正された後、電子カルテの処方オーダ歴に反映されていないと、次の処方で再び誤った処方がされてしまうため、処方オーダの修正は重要である。・医療機関や処方内容等によって対応が異なるが、保険薬局からの疑義照会による処方の修正内容を医師が確認している医療機関もある。
nan
内服薬
薬剤量(過剰)
骨髄異形成症候群に対し、化学療法が行われていた。医師は、入院予定注射でビダーザの処方を行ったが、希釈液を生食100mLで30分で投与とオーダした。添付文書上、ビダーザを点滴静注する場合、希釈液は50mLで10分で投与することとなっている。そのため、薬剤師による疑義照会が行われ、添付文書上の記載通りの処方に変更となった。
医師は処方オーダを行う前に、添付文書による希釈方法、投与方法の確認を怠った。
抗腫瘍剤の処方オーダを行う前に、添付文書で希釈方法、投与方法を確認する。
院内処方
注射薬
投与方法
アムロジピンOD錠5mg1錠1日1回朝食後の処方オーダが届いた。持参薬としてニフェジピンCR錠20mgをすでに服用中であり、同一系の降圧薬(Ca拮抗薬)であることから併用でよいか確認のため疑義照会を行ったところ、オルメテックOD錠20mg(ARB系)へ変更となった。
持参薬として同系統同効薬を服薬中であったことを確認できなかった。
持参薬を確認する。
院内処方
内服薬
同一、同効薬の重複
前立腺肥大症の患者に対し臨時処方としてPL配合顆粒の処方オーダが届いた。抗コリン作用により前立腺肥大症の患者では排尿困難を助長することより禁忌とされているため疑義照会を行い、葛根湯エキス顆粒へ変更となった。
患者に前立腺肥大症の既往があったが、感冒薬を処方する際、一般的なPL配合顆粒を処方した。
前立腺肥大症の患者への抗コリン作用を持つ医薬品の処方に注意する。
院内処方
内服薬
禁忌
今回、処方日数28日分として処方内容が入力された。処方薬の中にあるリカルボン錠50mgは、1錠1日分で30日間の効果が持続する製剤だが28日分でオーダされた。保険薬局より疑義照会があり、リカルボン錠50mg1錠28日分は1日分へ変更となった。
マンスリー製剤は1錠で28日分の薬効を保てる製剤で、処方オーダ時の投与日数入力でマンスリー製剤であったことをデイリー製剤(毎日服用タイプ)と思い28日分でオーダ入力した。
マンスリー製剤やウィークリー製剤などのオーダ時は処方日数に注意する。
院外処方
内服薬
日数
他院からの処方薬であるルボックス錠を内服中の患者に、今回当院でテルネリン錠が処方され、保険薬局より、ルボックス錠とテルネリン錠は併用禁忌のため処方変更の確認を依頼された。疑義照会を行った結果、テルネリン錠の処方が中止となった。
他院からの処方内容の確認はおくすり手帳で行っていたとしても、外来診察の度の確認は困難であり、医師が併用禁忌を見つけることは難題と思われる。
複数の医療機関に通院して処方箋が発行される患者へは、保険薬局を一ヵ所に絞り「かかりつけ薬局」を見つけるように指導する。医療機関が複数であっても、調剤する薬局が一ヵ所であれば薬歴管理は一元化されるので、相互作用や併用禁忌を防ぐことが出来る。
院外処方
内服薬
相互作用(併用禁忌)
担当医は、MRI非対応の搬送用コットで中待合室まで患児を搬送した。その後、児を抱っこしてMRI検査室に入った。患児が動き、検査が中止になったので、担当医は中待合室のドアを開き、コットをMRI検査室の入口近くに移動させたところ、コットがガントリに吸着し、コットに載せていたパルスオキシメータが患児を越えて落下した。
MRI検査室前の廊下が中待合室になっていた。今回の事例が発生する前より、中待合室にはMRI非対応の物品の持ち込みは禁止であった。担当医はコットがMRI非対応であることは認識していたが、中待合室までは大丈夫であろうと思っていた。看護助手は医師にコットの持ち込みは禁止であることを伝えたが、医師は入眠検査のためできるだけ寝かしておくため、中待合室までコットを入れた。以前に類似事例が発生した際、持ち込み可能な機器には医療安全管理部が「MRI対応」のシールを貼り、シールが貼られていない機器はMRI検査室持ち込み禁止としていた。また、医療安全ニュース(毎月発行)にシール貼付機器一覧および事例と対策を掲載し周知を行っていた。
・中待合室にMRI非対応物品の持ち込み禁止を徹底させる。・持ち込み機器の相談はMRI検査室が受け付けることを再度周知した。・病室では検査室入室前チェックシートを用いて確認し、MRI検査室入室前には受付にて金属探知機でボディチェックを行っている。・診療放射線技師より「MRI検査室における医療安全」の医療講習会を行っている。
医療機関のモノの事例
コット
患者が点滴台を押して看護補助者と共にMRI検査室に来た。前の順番の患者を撮影していたため、看護補助者は病棟へ帰り、患者のみ前室のソファーで待っていた。患者の撮影の順番となり、診療放射線技師は、撮影室の入口手前で患者の身の周りに金属がないか声を出しながら確認した。もう一人の診療放射線技師は、同じように指差ししながら目視で確認した。続いて、患者にMRIの寝台に横になってもらい、ポジショニングを実施した。途中より、1名の診療放射線技師は機械操作に移った。大きな音がしたため残された診療放射線技師が見ると、点滴台がガントリの下方部分に吸着しているのを発見した。とっさに点滴台を取り除こうとしたが外れず、さらに棒の部分が外れて、台の部分が一気にMRI装置の中心部分へ移動した。
患者入室の際、チェックリスト(名前、問診の有無、補聴器、入れ歯、その他金属)があった。以前は3~4名で2台のMRI検査を実施していたが、現在2名となり、人数不足により多忙であった。また、診療放射線技師の役割(患者の呼び込み、金属確認者と撮影者)が明確に決まっておらず、チェックリストで確認したスタッフと、入室直前の最終確認をしたスタッフが異なる場合があり、数ヶ月前からチェックリストが使われなくなっていた。患者が身に付けている金属には、普段から問診だけでは分からないことがあり、注意していたが、点滴台に対しては意識が薄れていた。また、車椅子やストレッチャーで来た患者に対しては、金属がないか確認することの意識が強かったが、今回は患者が歩行して来たことで意識が薄れたようである。また、年内最後の平常勤務日であり、気ぜわしい感じもあり、心理的に何らかの影響を及ぼした可能性があった。MRI検査室内には、非磁性の点滴台があり、印はあったものの分かりづらかった。また、MRI検査に関する研修会が数年行われていなかった。患者の搬送は看護補助者であることが多くなっていた。
・MRI検査室内に点滴台を持ちこまないようにすることを一番の対策とし、吊り下げ式の点滴台の導入を検討している。・実際に金属が吸着する場面も見てもらえるような研修会を定期開催する。・MRI検査室内の内装を金属があると違和感を覚えるような内装(例えば木目調)にする案がでた。
医療機関のモノの事例
点滴台
前日、頭蓋内腫瘍摘出術を行い、創部にJ-VACドレーンが留置されていた。MRI検査のため、患者をMRI検査室へ入室させた。患者が検査台に座ったところ、J-VACドレーンのリザーバー内にある金属製のバネが装置の中に吸い込まれそうになった。ドレーンのリザーバーは、袋に入って患者の首に下げられていたため、ドレーンは抜去されなかった。
脳腫瘍摘出術後のMRI検査は術後72時間以内に行うと、手術侵襲による造影効果が出にくく腫瘍摘出率の判定がし易い。当院のMRI検査の予約が取りやすくなったため、術後72時間以内のMRI検査施行が増加している。一方、症例により術後数日間ドレーンを留置することがあり、脳神経外科では従来からJ-VACドレーンを使用してきた。これらの要因が重なり、今回のケースが発生したと考える。術後のMRI検査の入力は主治医が行ったが、J-VACドレーンを使用していることは把握していたが、チェックを見逃してしまった。脳神経外科が使用しているドレーンは数種類あり「MRI禁」という情報が抜けてしまった。リザーバーが袋に入っていたため、リザーバーに記載されている「MRI等では使用しないでください金属のバネを使用しています」の文字が見えなかった。放射線部の職員はJ-VACドレーンのリザーバーが磁性体であることの知識が不足していた。
・MRI対応のドレーンバッグを使用することにした。・放射線部では、ドレーンのリザーバーの写真を撮り、部内で周知した。・ドレーンのリザーバーがポーチ様の袋に入っていると「MRI等では使用しないでください金属のバネを使用しています」の文字が見えないことも写真に撮り、周知した。・看護部では、今回の事例が発生したことを周知し、さらに、安全情報を回覧した。
医療機関のモノの事例
ドレーンのリザーバー
意識障害の精査のためMRI検査を行うことになった。受け持ち看護師は病棟異動2日目であり、患者基本情報のみ確認しMRIチェックリストに記載した(患者基本情報には患者が補聴器を使用している記載はなかった)。看護助手に搬送を依頼する時に、心電図モニタをはずし、他に金属類がないことを目視で確認した。看護助手は患者をベッドで検査室に搬送した。診療放射線技師は通常行う金属探知機の使用によるチェックを行わないまま、技師3名で検査台へ移動した。技師は、看護師が記入したチェックリストを確認したが目視での確認を行わず検査を開始した。位置決めの撮影を行った際に補聴器を発見した。
患者基本情報に補聴器を入力すると患者画面に障害情報として表示がされ、その部分をクリックすると補聴器情報が出る仕組みになっている。今回は、緊急入院であったため、入力ができていなかった。病棟看護師は、PCの画面の確認のみ行い、患者の家族への確認をしなかったため、チェックリストの記載が不十分になった。その後も、誰も確認作業を行っていなかった。本来であれば、1.チェックリストの記載(本人・家族・看護師)、2.患者に「MRI検査を安全に受けるために」のVTRを視聴、3.検査室での金属探知機の使用による確認の手順となっている。本患者は、救命センター内のMRI室で撮影したため、金属探知機は使用せず、診療放射線技師の目視による確認であった。
・チェックリストを改訂した。・意識障害がある患者の撮影を行う場合の直前の確認方法を検討する。
患者が持参したモノ
補聴器
MRI検査前にチェックリストで金属チェックを行った後、撮影室に入り骨盤の検査を始めた。撮影をした画像には金属によるアーチファクトが出たため、患者に確認した。患者は何もないと言ったが、明らかに金属による画像の乱れがあった。そこで、確認させてもらったが、特に金属製のものはなかった。さらに探していると、患者より「よもぎパットを使用している」と言われた。よもぎパットが磁性体かどうかは不明であったが念のため外してもらうことにした。生理用品と一緒に使用しているということであったため、患者から目を離してMRI検査室内で外してもらった。患者がよもぎパットを外したところガントリに吸着した。手でガントリから剥がすことができたため、検査を引き続き行った。
よもぎパットが磁性体であることを知らなかった。磁性体であるかどうか分からない状況で、MRI検査室内で患者に外させてしまった。金属探知機の使用でよもぎパットを発見できた可能性がある。
・どんなものかがわからない物であるからこそ、MRI検査室外の前室などで外してもらう。・MRI検査前のチェックリストによもぎパットを追加する。・金属類の持ち込み手順を見直し、金属類か分からない場合は、MRI検査室内で外さないことを追加する。・医師、看護師等関係職員へ周知する。
患者が持参したモノ
よもぎパット
気管支喘息の発作で入院した患者に、注射用ソル・メルコート4015mgをゆっくり静脈注射した。8分後、咳嗽、全身の膨疹が出現し、皮膚色不良となり、意識レベルが低下した。医師が診察を行い、アナフィラキシーショックと判断し、治療を行った。
患児が乳アレルギーであることを認識していたが、注射用ソル・メルコート40に乳糖が添加されていることを知らなかった。
・注射用の副腎皮質ホルモン剤を乳糖水和物が添加されていない製剤に変更する。・乳糖が添加されている薬剤は多く、職員への注意喚起を配信し、薬剤の乳糖の添加については、薬剤部へ問い合わせることにした。
nan
患者は初めての喘息発作のため入院した。12:20頃、主治医は注射用ソル・メルコート4010mgの指示をオーダした。12:40、看護師は指示箋を印刷し、薬剤を調製した。患者は外来で定期的に食物アレルギーに対しての食物負荷試験を受けており、経口的に乳糖を摂取しても反応はなかったが、卵・乳アレルギーがあったため、主治医は12:41に念のためプレドニン7mgに指示を変更した。しかし、主治医は看護師がまだ薬剤を調製していないと思い込み、指示を変更したことについて声を掛けなかった。12:50、看護師は注射用ソル・メルコート10mgを開始した。13:25、付き添っていた母親が眼瞼浮腫、蕁麻疹に気づいた。血圧60mmHg台のためアナフィラキシーショックの疑いで酸素投与を開始、アドレナリン注、ポララミン注を投与した。その後、血圧、脈拍、SpOは安定した。2
電子カルテの患者プロファイルにアレルギーに関する情報を入力すると、患者氏名の横にあるアレルギーマークが黄色で表示され、その部分にカーソルを当てると内容が明示される。患者は食物アレルギーとして卵・乳アレルギーと薬剤アレルギーが11種類あり、主治医は患者プロファイルにアレルギー項目として入力していた。注射用ソル・メルコートは40mgのみ、添加物として乳糖水和物が含まれている製剤であった。主治医は、看護師が指示を受けていないと思い込み、指示を変更したことを看護師へ伝えていなかった。看護師は薬剤投与時に医師へ声だし確認をしていなかった。
・乳糖を含まない薬剤に採用薬を変更する。・指示変更時は速やかに看護師へ変更内容について声を掛ける。・薬剤の投与時は、声だし復唱を実施する。・コミュニケーションを良好に保つ(情報の共有)。・来年度電子カルテシステムが更新されるため、新システムからは薬剤のアレルギー項目を入力すると、薬剤名を入力した際に、アラートがかかるよう申請している。
nan
患者は気管挿管され、鎮静中であった。経腸栄養剤(エンシュア)を投与したところ、開始15分ほどでSpOが63%、血圧50mmHg台に低2下した。ジャクソンリースで換気し、胃内容物を吸引、昇圧剤を投与して、速やかに血圧、SpO2は回復した。母親に問診を行ったところ、牛乳アレルギーがあることがわかった。エンシュアにはカゼイン蛋白が多く含まれることから牛乳アレルギーによるアナフィラキシーショックが疑われた。電子カルテには前回入院時に記載した卵アレルギー・牛乳アレルギーの登録があった。
患者基本情報のアレルギーに登録すると、電子カルテに表示され一目でアレルギーが分かるようになっている。医師と看護師は、エンシュアの中にカゼイン蛋白が含まれていることを知らなかった。患者基本情報にアレルギーは入力されているものの、処方箋には反映されないため薬剤部では確認できない。薬剤師は、食物アレルギーについて患者からの聞き取りおよびカルテ記載より情報を得て確認を行っているが全ての患者に対応できていない。患者基本情報に薬剤アレルギーを入力すると、薬剤マスタと連動して、アレルギーのある薬剤がオーダされた際に警告が出て入力できないシステムになっている。しかし、一部の薬剤であり、エンシュアは登録されていなかった。食事に関する食物アレルギーは、患者よりアレルギー情報を入手した場合は栄養課に連絡を行い、全例において給食オーダに入力するシステムになっているが、エンシュアは薬剤となっているためにこのシステムではチェックできなかった。
・患者情報と薬剤マスタに全ての薬剤を登録するのは現時点では困難なため、食物アレルギーに対する職員の認識を高める(緊急情報として職員全員にメールを発信して周知した)。・患者基本情報と給食システムにおいては、食物アレルギーが入力されると自動的に栄養課に伝わるシステムに改修した。
nan
肘の偽関節の手術の際、患者に麻酔がかかった時点で使用予定のインプラントが間違っていることに気がついた。使用予定のインプラントが届くまでに1時間半ほどかかる見込みであり、家族に状況を説明した上で、麻酔をしたまま待機し、インプラントが届き次第手術を開始する方針となった。
医師は、通常インプラントのオーダーを業者とメールでやり取りしており、直前に電話でも確認していた。今回使用予定のインプラントは「DTJスクリュー」であったが、間違って届いたインプラントは「TJスクリュー」であり、メールの内容を見落としていた。
・業者との連絡は、口頭および紙面で行う。その際、主治医だけでなく手術に参加する複数名の医師で確認する。・器材室へインプラントが届いた際には主治医がインプラントを確認する。
誤ったインプラントを準備していた事例
手術の約6週間前の外来診察時に、医師はA社の人工股関節のインプラントを使用する方針を決定してカルテに記載した。入院4日前、術前カンファレンスで方針を確認した。同日、業者より使用予定のインプラントの確認があり、医師は通常使用しているB社ではなくA社のインプラントを使用する方針であると伝えた。手術前日、手術申し込みの指示に「A社使用」と入力し、A社のインプラントが準備されると思っていた。業者は、手術確定を確認し、手術指示に「A社」と記載されているのを見て、器械係看護師へ「手術指示にはA社の指示がありますが、B社になっています」と伝えた。14:30、看護師が手術の持ち込み器材の確認を行う際、再度、手術指示にはA社とあるがB社を使用すると業者に言われた。そのため、業者が主治医に確認したと思い込み、手術指示コメント欄のインプラント名A社を消し、B社と記載し、内容を確認した。15:30、他の看護師と器械準備表のチェックを行う際、手術指示との照合をしなかった。また、夜勤看護師への準備器械の申し送りは、手術指示及び業者持ち込みリストと照らし合わせながら行い、器械係が訂正した手術指示でB社のインプラントを使用と申し送られた。夜勤看護師が準備する際、通常の人工股関節置換術であり、訂正されている手術指示コメント欄まで注意して見なかった。医師は、手術当日の朝8:30に手術室に入った。麻酔が終了したときに、B社のインプラントが準備されていることに気がついた。
業者に使用予定のインプラントを伝えるときは、口頭の指示だけで終わらず、今後は文書で再確認する必要があると考えられる。
・手術室で確認する際に、手術指示と異なったインプラントが用意されている場合は、今後は再確認をするように業者に依頼した。・使用予定のインプラントはあらかじめ外来の手術簿に記載するようにしているが、今回はカンファレンスで変更されたため、業者への連絡が口頭になった。直前に変更された際の連絡は間違いがないように、外来の手術簿への記載も含めて徹底する。・不明確な指示は、器械係看護師が必ず術者や主治医へ確認し修正入力を依頼する。入力依頼が間に合わない指示の訂正や変更時には、口頭指示受けメモを使用し確実に指示を受けて、申し送る。・指示受け者は、指示者や内容が確実な医師指示のみ受ける。・股関節置換や膝関節置換術時は、手術室申し送り時に、主治医に準備したインプラントの確認を行い搬入する。
誤ったインプラントを準備していた事例
透析性脊椎症に対して、これまでに2回の腰椎手術が施行されていた。今回、新たな腰椎病変に対して、追加の手術を予定した。前回使用したインプラントの確認・準備が不足しており、急遽手配を依頼したが、入手には時間を要するとの連絡があった。手術を開始して継続するには、患者への負担や危険性があると判断し、全身麻酔下であったが手術を中止した。
前回使用したインプラントの確認・準備が不足していた。当事者間の連絡が不足していた。
・術前の準備を徹底する。・インプラントを確認する。・当事者間の連絡を徹底する。
インプラントを準備していなかった事例
10時38分に業者立ち会いのもと全身麻酔下で両側人工股関節全置換術を開始した。術前の患者の大腿骨骨頭径の予測値は、左右ともに46mmであった。執刀医は左側から手術を開始し、大腿骨側のカップは46mm、骨頭は28mmを使用した。次に右側の手術を開始し、執刀医は業者に大腿骨頭のサイズを48mmと伝え、大腿骨側のカップ48mmが出された。骨頭はカップのサイズにより決まっており、業者は32mmを出すところ28mmを看護師へ渡した。看護師は渡された骨頭サイズを復唱して執刀医へ渡した。執刀医も業者が渡した骨頭サイズを聞いており、カップに合っているものを出しているだろうと業者を信じていたため、28mmを挿入した。14時11分に手術が終了し、執刀医はX線写真で術後の確認を行い、患者は手術室を退室した。業者が患者に使用したインプラントの確認をする際に、右側にサイズの違う骨頭を挿入したことに気づき、執刀医へ報告した。病室に帰室して間もなく、連絡を受けた執刀医は、患者、家族へ説明し、同日16時12分に手術室に入室し、16時31分に全身麻酔下で骨頭入れ替えの再手術を行い、16時57分に手術は終了した。1回目の手術時の出血が多く、輸血をしながら術後管理を行った。患者のバイタルサインは安定しており、全身状態は回復した。
執刀医は手術前に挿入予定のインプラントのサイズは把握していたが、変更時のカップに合う骨頭のサイズは把握していなかった。執刀医は業者がサイズを間違えたことがなかったために、出された骨頭サイズに間違いはないだろうと思い確認しなかった。看護師は業者が言ったインプラントのサイズと現物のインプラントのサイズに間違いがないか確認した。整形外科のインプラント挿入手術には業者が立ち会うため、インプラントのサイズの選択は間違いがないだろうと信用して任せていた。業者は、46mmのカップには使い方によって28mmと32mmのどちらの骨頭も使用することができるため、最初に出した46mmと勘違いした。業者は、患者が手術室を退室する前に挿入したインプラントのサイズを確認することになっていたが、過去に間違えたことがなかったために、この時も選択を間違えたとは思わず確認が遅くなった。
・執刀医は、手術前にインプラントのサイズを確認する。・骨頭の挿入時は、執刀医自身がカップに適合するサイズを選択する。・看護師は、事前に業者と予測されるサイズのインプラントについて打ち合わせをする。・業者にインプラントの適合するサイズの組み合わせ一覧表を準備してもらい、一緒に確認する。・使用したインプラントの種類とサイズは、患者が退室する前に確認する。
nan
右人工膝関節全置換術終了後、使用しなかった人工関節の物品をメーカーに返却した。術後1日目の夜、返却物品を確認したメーカーと業者が間違ったインプラントの組み合わせで使用していることに気づき、執刀医に連絡した。術後2日目に再手術を行い、正しいインプラントの組み合わせに交換した。人工膝関節は、大腿骨コンポーネント、インサート、脛骨プレートの3種類のインプラントを組み合わせる。今回使用した大腿骨コンポーネントには「HFタイプPSインサート」を使用するべきであったが、「PSタイプインサート」を使用した。
人工膝関節のサイズは幅広く準備し、手術中に使用するインプラントを決定する。また、変形の程度が強い場合は、種類も複数準備する必要がある。今回は執刀医の依頼以上に多くの人工関節の物品が業者によって準備されていることを執刀医が認識していなかった。「HFタイプPSインサート」を使用する予定であったが、「PSタイプインサート」という似た名前の別のインプラントも準備されている認識がなく、間違えるはずはないと思い込み、厚さのみを助手の医師と看護師に指示した。今回の手術にはPSタイプインサートを使用する必要はなかったが、変形が強い症例のため、執刀医が脛骨プレートは多くのオプションを準備するよう依頼していた。業者は大腿骨コンポーネントも色々な状況に対応できるようにと配慮し、使用する可能性が低いインサートも準備していた。
・複数の物品が準備されている場合には、サイズのみではなく、名称も確認する。・執刀医はインプラントを箱から取り出す際に再度確認する。・必要のないインプラントは極力準備しない。
nan
脳神経外科で血管内治療を目的に入院した際、術前に多発嚢胞腎を精査するため全身CT検査を施行した。その際、主治医は多発嚢胞腎があることを確認し、その他は異常がないと判断した。放射線科の読影の結果では、肺に異常陰影が指摘されていたが、画像診断報告書を確認していなかった。患者に説明しないまま入院から9日目に退院した。約8ヶ月後、患者は動悸等を主訴に循環器内科を受診し、胸部CT検査を行った。その結果、左肺に腫瘍が疑われ、呼吸器内科へコンサルトされ精査・加療目的で入院した。呼吸器内科医師が過去のCT検査の画像を確認すると、約8ヶ月前の時点で肺癌の疑いがあったことに気がついた。
医師:約8ヶ月前の全身CT検査の確認の際に、胸部異常陰影を確認できなかった。放射線科読影所見を確認していなかった。システム:入院中の患者の画像診断報告書の既読・既説明を確認するシステムがない。撮影目的と異なる部位に悪性所見を認めた際、担当医に報告するシステムがない。
・すべてのCT検査の画像診断報告書に「確認」と「説明」を行った医師名・日付を記載する欄を設け、担当医はそれぞれを実施した際に記録を行う。・放射線科医は、検査目的と異なる部位に速やかな対応が必要と思われる悪性所見が認められた場合、担当医に電話連絡を行う。・患者に対して説明されたか医療安全管理部門がモニタリングする。
悪性腫瘍以外の疾患・病態の精査で、悪性腫瘍の所見を見落とした事例
患者は左尿管結石にて当院を紹介受診した際に、腹部CT検査を受けた。その際に、医師は放射線科医の読影で直腸癌の可能性を指摘されたことに気付かず、精査は行われなかった。1年5ヶ月後、直腸癌にて当院を紹介受診した際に、過去のCT検査の画像診断報告書で直腸癌の可能性が指摘されていることが判明した。この間に、直腸癌の局所的進行があったことは否定できないが、遠隔転移は認められていない。その後、直腸癌に対して手術を行った。
CT検査を依頼した担当医は、泌尿器科に関する画像を自ら確認し、放射線科医からの画像診断報告書の確認は行わなかった。放射線科医は、担当医に対して、電話等で直腸癌の可能性を連絡していなかった。
・担当医は画像確認に加え、画像診断報告書を必ず確認する。・担当医が画像診断報告書を確認したかどうか、電子カルテで確認できるシステムを導入する。・悪性腫瘍が疑われる事例に関しては、放射線科医が担当医に直接連絡する。
悪性腫瘍以外の疾患・病態の精査で、悪性腫瘍の所見を見落とした事例
患者は検診科を受診し、腹部エコーで腹部大動脈瘤、またPSA高値を指摘され、さらなる精査目的で腹部大動脈瘤は循環器内科、PSA高値は泌尿器科の外来へ紹介受診となった。循環器内科の外来主治医(検診科担当医と同一医師)は腹部大動脈瘤を精査する目的で1ヶ月後に造影腹部CT検査を施行した。検査7日後の外来受診時に「半年後、大動脈瘤、腎機能をチェックする」とカルテに所見を記載し、採血と腹部エコー検査を予約した。4ヶ月後、外来経過中に施行した腹部エコー検査では、「腹部大動脈瘤に著変なく、腎臓には問題なし」であった。さらに7ヶ月後、成人病ドック受診時の腹部エコー検査で「腎細胞癌疑い」の所見が認められた。別の検診科医師が過去の検査所見を見返すと、約11ヶ月前に施行されていた造影腹部CT検査所見に「腎癌疑い、精査を」と記載されていたのを見落としていたことが分かった。
検診科担当医と検査を依頼した循環器内科主治医は同一人物であり、健康診断時の腹部エコーや尿細胞診の結果から、腎臓に関しては重要所見はないだろうという先入観があった。循環器内科主治医は大動脈瘤の精査目的で腹部造影CT検査をオーダしており、自身の専門領域の読影に自信を持っており放射線科の読影所見を見ていなかった。検診科から紹介を受けた泌尿器科の外来主治医は「PSA高値」で紹介されていたため、前立腺精査については骨盤MRI検査とPSAの再検査を実施したが、それ以外の検査所見(腹部造影CT検査)まで目が届かなかった。放射線科医は、緊急な対応・処置を要する所見(胸水の急激な増加、気胸など)であれば担当医に電話で連絡していたが、撮影目的外の癌の発見は連絡する体制になっていなかった。
・画像検査で、検査の目的や対象臓器と異なる部位の異常所見が発見された場合は、放射線科から主治医に警告サインを送るシステムの構築ができないかを考える。・外来で、検査結果の確認をする際に何らかのダブルチェック機構が働くようにする。・本例は健診科の主治医と腹部大動脈瘤フォローのために紹介された循環器内科の外来主治医が同一医師であったため、思い込みがあり腹部大動脈瘤以外に目がいかなかったので、ダブルチェックの観点からも今後は別の医師に紹介する。
悪性腫瘍以外の疾患・病態の精査で、悪性腫瘍の所見を見落とした事例
外来担当医Aは、膀胱がんのフォローを目的にしたCT検査を行うため、内服薬の処方に合わせて次の外来日にCT検査のオーダを行った。その後、外来担当医が医師Bに変更になった。外来担当医BはCT検査のオーダがあったことや検査を行ったことを把握しておらず、画像や画像診断報告書の確認を行わなかった。さらに外来担当医が医師Cに変更になり、年1回のフォローを目的にCT検査のオーダを行ったところ、進行性肺癌が指摘された。過去の画像診断報告書を確認すると、1年3ヶ月前のCT検査で肺がん疑いと指摘されていたが、画像診断報告書が未読であったことが分かった。
医師Aの記載したカルテには「CT検査は年1回(○月)」と記載されてはいたが、医師BはCT検査のオーダがあることに気が付かなかった。CT所見が未読の場合、通知が届くシステムであるが、オーダした医師Aに届き、現担当の医師Bの元には届かなかった。また、膀胱がんの組織・進行度より、局所再発がなければ転移の可能性は低く、CT検査を行っていることについての意識が低かった。
・CT検査、MRI検査、内視鏡の病理の結果は、所見がカルテに自動転記される仕組みとした。・報告先を選択しておけば、検査をオーダした医師だけではなく、選択した他の外来担当医にも画像診断報告書が未読であることの通知が届く仕組みとした。
悪性腫瘍の治療経過のフォロー・精査で別の悪性腫瘍の所見を見落とした事例
腎がんの精査のために造影CT検査を施行したところ、肝臓に悪性腫瘍の転移が疑われ精査するように画像診断報告書に記載がされた。しかし、外来主治医はこれに気づかず精査をしなかった。3ヶ月後、腎がんの手術目的で入院した際に、担当医がこの画像診断報告書に気付いた。精査の結果、直腸癌の肝転移である事が判明した。腎がんの治療は緊急性がないため今回は中止とし、化学療法を開始することになった。
外来の診察日にCT検査を施行したが、外来診察中には画像診断報告書の報告はないため、結果の確認をしなかった。CT検査を行った際に、検査の目的の腎病変に気をとられ、他の所見に気付かなかった。
・診療科で画像診断報告書についてリストを出力するなど、見落としを防ぐように徹底する。・CT検査の画像診断報告書の表示が見やすくなるよう改善する。・電子カルテの「todoリスト」のフィルター機能等で画像診断報告書の未読が抽出できるような機能を要望する。・医師が診療に集中できるように医師事務の増員を要望する。
悪性腫瘍の治療経過のフォロー・精査で別の悪性腫瘍の所見を見落とした事例
患者は喀痰による気道閉塞のリスクがあり、呼吸心拍モニタを装着していた。セントラルモニタに電波切れと表示されていたため主治医が病室に確認に行ったところ、患者が心肺停止状態であった。直ちに心肺蘇生を行い、挿管時に咽頭に直径4cmの喀痰塊を発見し取り除いた。その後、人工呼吸器管理を行った。モニタの送信機の電池が切れており、セントラルモニタの記録では5時間以上前に電池切れアラームの履歴が確認された。
送信機の電池切れによる交換サインが出た際に、深夜勤務者はセントラルモニタのアラームを消音にしたが、その後、送信機の電池交換を忘れた。早出勤務者(新人)が入浴介助の前にバイタルサインと全身状態を確認したが、バイタルサインの測定には自ら携帯した機器を使用し、患者に装着中の送信機の画面は見なかった。日勤者(6年目)は別の看護師(20年目)と共にオムツ交換等のケアを行い、顔色等は確認したが、送信機の画面は見なかった。リーダー看護師(16年目)が昼の経管栄養を開始する際、顔色等は確認したが、この時も送信機の画面は見なかった。以上4名の看護師がベッドサイドに訪れたが、その際に送信機の波形や数値を確認していなかった。アラーム発生時にしかセントラルモニタによる監視ができておらず、勤務開始時の確認もできていなかった。
・セントラルモニタの「電池切れ」の表示を見たら直ちに電池を交換し、交換終了までアラームを消音にしない。・勤務開始時にモニタの波形と数値を確認する。・アラーム発生時には必ず訪室して患者の状態を確認する。・ケア実施前後、退室時には送信機の波形や数値を確認する。・不要なアラームを発生させない。
nan
患者は慢性心房細動、心不全の投薬治療中であった。14:30にバイタルサインを測定し、意識レベルクリア、利尿剤の作用により10分おきにトイレに行っていることを確認していた。14:38、心電図モニタの送信機の電池切れのアラームが鳴っていることを確認したが、患者がベッドにおらず、電池を交換できなかった。16:00、抗生剤投与のため看護師が訪室した際、患者が心肺停止の状態であることを発見した。緊急コールをし、すぐに心肺蘇生を実施した。心拍は再開したが意識は戻らず、人工呼吸器管理となった。
心電図モニタの送信機の電池が切れていた。
・送信機の電池切れに対して速やかに対応することが必要なため、1時間に1回、リーダー看護師がセントラルモニタ上にて「電波切れ」や「電池切れ」の表示が無いか確認する。・該当する表示があれば受け持ち看護師を速やかに患者のもとに向かわせる。受け持ち看護師が対応できない場合は、リーダー看護師が対応する。・臨床工学技士が病棟ラウンド時に同様の状態を発見した場合は、病棟看護師に対応を依頼する。・定期的に電池の交換を実施していくか検討する。
nan
患者は心原性脳梗塞で、保存的治療をしていた。3時30分、SpOが70%2まで低下し、心電図モニタのアラームが鳴った。この際、看護師はセントラルモニタの画面で送信機の電池残量が1であることを確認した。病室に行き、吸引及び酸素投与を実施したところ、SpO2は98%まで改善した。その後、他患者の対応、ナースコール対応が重なったことで電池交換を失念した。9時20分、看護師が患者の肩をたたき、名前を呼ぶとうっすら開眼する状態であった。9時50分、回診のため訪室した主治医が心停止となっている患者を発見した。7時11分に送信機の電池が切れていたことが分かった。
送信機の電池残量が1であることを認識したが、業務が繁忙であり、電池交換を失念した。このため、電池切れになり心電図のデータが送信されていなかった。
・電池交換の表示が出たら速やかに電池を交換し、モニタが監視できる環境を確保する。・医療従事者はモニタが装着されている患者に対しては、アラーム警告時に限らずモニタ情報を確認する。・スタッフステーションで監視しているセントラルモニタには、送信機の電池残量が表示されるが、電池切れになった場合、アラームは鳴らない。今回のようにスタッフが気付かない場合もあることから、電池切れの際には、アラームで知らせる仕様にする等の改善を要望する。
nan
自己血採血オーダを1週間前に施行した。その際、前回の採血を参考にして自己血貯血200mLをオーダした。自己血採血の当日、Hb値が改善しており、400mLを貯血する方針としたが、貯血バッグは200mL採血用であることに気づかずに貯血を開始した。300mLまで貯血した時点でバッグの膨らみの異変に気付き、ロックをして抜針した。輸血部に電話したところ、200mLバッグに300mLを貯血した場合は使用できないことが分かった。
400mLの貯血だと思い込み、貯血オーダ量と貯血バッグの確認をしなかった。医師と看護師で自己血採血(貯血)時の連携が図れていなかった。
・医師と看護師で貯血前に貯血オーダ量の確認を行う。・医師と看護師は、貯血オーダと貯血バッグが適切かどうかの確認を行う。
nan
看護師は、白内障の手術にて術前処置を担当していた。手術伝票をもとに患者本人へ、手術部位が左眼であることを確認した。その後、看護師は、患者の手術伝票を持たずに「今日手術する方の髪と額にテープを貼ります」と説明を行い、患者を再度確認して左眼側ではなく右眼側にテープを貼り、点眼の準備を行った。その後、前処置の点眼を行う前に、「今日手術をする右眼に点眼しますね」と確認すると、患者が「はい」と答え、点眼を施行した。約3分後に患者より「手術する眼は左です」と言われ、左右を間違えたことに気がついた。点眼をする前に手術伝票を確認せず、患者本人からの返答で確認をした。
手術伝票をもとに手術部位の確認を行わなかった。
・術前処置を行う際、患者に確認するが、患者も間違えることがあるので、毎回必ず手術伝票を照らし合わせて確認する。・患者確認・部位確認・点眼までの一連の流れの間に他のことを行わない。
nan
シリンジポンプを使用してヘパリンを持続投与していた。新しい注射器に交換してから約2時間半後に看護師が確認したところ、注射器内に空気が20mL程度混入し、その分薬液が減っていた。ルートをたどって確認したが、途中で漏れている様子はなかった。すぐに持続投与を中止し、医師に報告した。
注射器の押し子のガスケットが損傷していた。生理食塩水の入った注射器の筒先から、別の注射器のヘパリンを混注した際、針先で押し子のガスケットを損傷した可能性が考えられる。シリンジポンプが患者より高い位置にセットされていたため、サイフォニング現象により薬液が流出した分、ガスケットの損傷部位から空気が混入したと考えられる。
・注射器の筒先から混注を行う際は、針先がガスケットに触れないよう、押し子を十分に引いておく。・混注時は針先が平坦な針を使用することを検討する。・シリンジポンプは患者より高い位置にセットしない。
nan
患者の体位を整えるため、看護師2名でベッドの両サイドに立った。ベッドの高さは一番低い状態で、床からマットまで50cmであった。頭側にベッド柵が左右1本ずつ設置され、チェストドレーンバッグは左側のベッド柵にフックで固定してあった。看護師は、体位変換前に胸腔ドレーンの固定状況を確認した。患者の左側にいる看護師が、胸腔ドレーンが引っ張られないようにベッド上でチューブを弛ませた。その際、胸腔ドレーンがベッドの下に落ちないように左膝をベッドのマット側面につけ、右手を腰の下(ドレーンチューブは右手の上)に、左手は大腿部の下(ドレーンチューブは左手の下)に深く入れた。看護師2名で患者の体を30cm程度頭側に移動した。その時、ブチッと音がしたため確認すると、固定テープ、縫合部分が外れ、胸腔ドレーンが抜けているのを発見した。すぐに、抜去部をガーゼで上から押さえた。夜勤リーダー看護師が当直看護師長に報告した。NPPVを装着し、SpO95~296%、血圧101/76mmHg、呼吸困難な状態は変わらなかった。30分後、当直医が来棟し、患者の診察を行った。胸腔ドレーン抜去部から明らかなエアリークがあったため、別の場所からドレーンを再挿入した。
胸腔ドレーンを挿入している患者の体位変換時の確認が不足していた。患者が重症肺炎であることやリスクを理解していなかった。胸腔ドレーン挿入中の管理が診療科によって違い、呼吸器内科は看護師がガーゼ交換を実施し、呼吸器外科は医師が毎日実施している。
・胸腔ドレーンを挿入している患者の体位変換のマニュアルを作成し、周知する。・胸腔ドレーン挿入中の管理の見直しを行う。
nan
患者は家族と病院内を歩行中、いつもと違うトイレに1人で入った。トイレから出る際に、点滴棒を支えにしようとしたが、点滴棒が動き左側に転倒した。
転倒のリスクが高く、尿測定中で、離床センサーを設置して対応し、病室を出る際には声をかけてもらうようにしていたが、家族と病室を離れてしまいその状況を把握していなかった。
・見守りを強化する。・安静度について患者、家族が理解できるように説明し、適宜掲示などを行う。
nan
新規の患者(30代)であったため問診を取ると牛乳アレルギーと書いてあった。処方の中にタンナルビン「ホエイ」があり、医療機関に牛乳アレルギーのある患者には禁忌であることを疑義照会したところ、タンナルビンは中止になった。患者には、粉の下痢止めが出ると聞いているかもしれないが、牛乳アレルギーの場合は飲めないので、医師に確認し削除になったことを説明した。患者は牛肉・豚肉・小麦粉にもアレルギーがあったため、お薬手帳に記載し、食物アレルギーで使えない薬があるので受診時には手帳のアレルギーの欄を見せて伝えるように指導した。
医療機関ではアレルギーの確認を行っていなかった。患者自身も影響があると思わず、アレルギーのことを医師に伝えていなかった。
・アレルギーの有無を確認してから調剤する。
牛乳
タンナルビン「ホエイ」
患者(0歳)にラコール配合経腸用液が処方されていた。保険薬局内で管理している情報に牛乳アレルギーとあったため、疑義照会した。エレンタールP乳幼児用配合内用剤に変更となった。
牛乳アレルギーのある患者には、ラコール配合経腸用液は禁忌である。病院でアレルギーのチェックを行っていなかったり、見逃されたりすることがあった。
・薬局で管理している情報のアレルギー欄を見る。・アレルギーについて禁忌薬を覚え、該当薬が処方された場合は、患者にアレルギーの確認を行い、薬局の情報に記載しておく。
牛乳
ラコール配合経腸用液
新規の患者(20代)はインフルエンザで、イナビルが処方された。問診にて乳製品アレルギーの既往があり、現在も体調が悪い時には蕁麻疹が出ることがあると聞いた。イナビルが処方されていたので、処方医に疑義照会したところ、タミフルへ変更となった。
未記載
未記載
乳製品
イナビル吸入粉末剤20mg
患者は顔面神経麻痺にて緊急入院となった。同日よりステロイド点滴治療の他、バルトレックス錠(3000mg/日)を処方し内服開始とした。患者は慢性腎不全があり維持透析を行っており、バルトレックスは添付文書上の「用法・用量に関連する使用上の注意」として、精神神経系の副作用があらわれやすいため、「血液透析を受けている患者に対しては減量(250mg/24時間ごと)することを考慮する」とされているが、主治医、薬剤師、看護師のチェックをすり抜け、2日間、通常量が投与された。手足のしびれなどが出現し、透析担当医師(腎臓内科)により過量投与が発見され、透析を追加で実施した。症状は軽快し、顔面神経麻痺は経過観察することとなり退院となった。
ステロイドの用量については注意していたが、バルトレックスについては確認が不足していた。薬剤部での調剤の際に、必ず、患者のバックグラウンドを確認することになっていたが、緊急入院であったこともあり、調剤時の確認が疎かになっていた。病棟薬剤師も与薬した看護師も気づけなかった。また、透析カンファレンスでもバルトレックスの内服量については注目されず、気付くのが遅れた。
・腎不全や腎機能が低下している患者に対して注意が必要な薬剤について、薬剤部・医薬品安全管理委員会より情報発信し、職員に周知する。・処方箋には腎機能データなど患者の直近の関連する検査データが反映される仕組みになっているが、形骸化しないよう薬剤部および病棟での薬剤師の確認を徹底しチェック機能を働かせる。・本事例は透析カンファレンスでも気づけたはずであり、今一度、カンファレンスのあり方を見直し、チーム医療でヒューマンエラーに早期に気付ける仕組みを強化していく。・本事例はリスクマネージャー会議で院内全体に情報共有するとともに、職員に対し警鐘事例として注意喚起を発信した。・禁忌薬であれば、処方時に警告表示が出され、ストップされるが、個々の病態により注意が必要な薬剤の場合は、知識を持ち確認をすることと、主治医グループ内でのチェック、薬剤師、看護師のチェック、透析カンファレンスなど他診療科からのチェック機能を活かして事故防止に努める。
新規処方
帯状疱疹に対して加療し改善したが、神経痛が残り、強い疼痛を訴えていたため、リリカ150mg/日の投与を開始した。患者は歩行障害、意識障害を訴え、3日後入院した。患者の推定GFRは18~20mL/分程度、推奨される投与量は50mg/日であり、リリカの過剰投与による症状と診断した。リリカを中止し経過観察をしたところ症状は消失した。念のため、入院時の血清でメーカーにリリカの血中濃度測定を依頼した。
腎機能低下の情報がなく、医薬品の情報も少なく、適応量が確認できなかった。院外処方のため、院内で疑義照会されず処方された。
・電子カルテによる腎機能低下の注意喚起を行う。
新規処方
S状結腸癌術後、敗血症及び副腎不全等を認めたが、加療により腎機能障害(CRE1.2mg/dL、eGFR40台後半)、心房細動はあるものの徐々に全身状態は安定してきていた。リハビリ後に脈ありVT(心室頻拍)と意識低下を認め、DCを実施した。洞調律に復帰したが、その後も脈ありVTを繰り返し、DCや薬剤投与を行ったが、再度VTが出現し酸素化も不良となったため、気管挿管後、集中治療管理を行うことになった。虚血鑑別目的でCAGを行い、狭窄の所見はあったが、VTの原因とは考えにくく、心電図の波形からピルシカイニド塩酸塩中毒が疑われた。VT発生日の血中濃度検査で、3.26mg/Lと通常の治療濃度(0.2~0.9mg/L)に比べ中毒域に達していたことが判明した。
循環器内科医師が一週間前の対診時、「現状量の継続」と回答した。ピルシカイニド100mgのところ、プログレスノートに「サンリズム150mgで一度は洞調律に戻っていた」と記載したことで、消化器外科担当医は150mgと解釈し、100mgのところを150mgに増量となる処方をしていた。腎機能障害により血中濃度が上昇した(100mgの処方であっても血中濃度は上昇していたという見解であった)。薬剤師から疑義照会があったが、医師は手術中で直接応答ができず、処方の変更には至らなかった。
・カルテ記載を慎重に行う。・現在の服用量が一目でわかるようなカルテシステムの構築を行う。・腎機能低下患者に対してのピルシカイニド等の抗不整脈薬処方時に処方量確認のポップアップや表示が望まれる。・腎機能低下の患者にサンリズム(ピルシカイニド)投与時の注意を促す。・循環器内科医師による血中濃度測定、心電図の確認などで状態を把握する。
継続処方
腎機能障害(SCr1.74)、糖尿病の患者が転倒し、右大腿骨転子部骨折と診断され、A病院へ入院となった。手術目的のため当院に転院したが、合併症などから手術が困難であるため、再度転院をすることになり、転院調整を開始した。入院から10日後、持参したリスモダンR300mgがなくなると連絡を受けた医師は、看護師に対し薬剤師へ持参薬と同等の採用薬の確認をするよう指示した。その2日後、医師は薬剤師からシベノール300mgが持参薬と同等の薬剤であるとの報告を受け処方し、内服の開始を指示した。バイタルサイン等に著変はなかった。翌日、患者は転院した。転院後は当院からの持参薬を全て継続した。転院7日後、朝から体調不良の訴えがあった。23:00、患者から再度体調不良の訴えがあり、BP60~70mmHgに低下した。23:50、医師の診察があった。心電図異常を認め、SpOが88%に低下した。転院28日後、2:00に心拍停止を発見した。除細動を実施し、気管挿管、PCPSを開始した。肺塞栓、虚血性心疾患を疑い、循環器内科に転科しGICUに入室した。抗不整脈薬の血中濃度を測定したところ、コハク酸シベンゾリン:2892μg/mL(参考血中濃度治療域:0.2~0.8μg/mL)、ジゴキシン:1.6μg/mL(参考血中濃度治療域:0.5~2.0μg/mL)であった。腎機能はBUN39mg/dL、Cre2.83mg/dLであった。
入院時の持参薬確認の際に、採血がなされていなかったため腎機能に対する投与量の確認がされていなかった。調剤時に腎機能に対する投与量の確認をする年齢が65歳以上であったため、本症例では調剤時の投与量確認が実施されなかった。看護師は持参薬から採用薬へ切り替えの問い合わせを調剤室へ行ったため、薬剤師は患者の状態を把握せずに採用薬の返答をした。抗不整脈薬の処方に不慣れな整形外科が処方をした。
・調剤時の腎機能の確認を全年齢で実施する。・適切な投与量の提案のため、入院患者の薬剤に関する問い合わせを病棟担当薬剤師に行う。・抗不整脈薬の処方に懸念がある場合は、専門医の循環器内科医師に問い合わせる。
持参薬から院内採用薬への変更
子宮腺筋症核出術、子宮筋腫核出術、右卵巣核出術、癒着剥離術を行い、腹腔内にペンローズドレーンを留置し腹壁を閉じた。手術後は毎日回診の際にドレーンチューブが腹壁より1cm程度出ていたことを確認していた。術後4日目の朝、回診にてペンローズドレーンを抜去しようとしたところ、縫合糸だけが残りペンローズドレーンは見当たらなかった。X線検査を行い、腹腔内への迷入を確認した。その後、全身麻酔下にてペンローズドレーンを挿入していた箇所に切開を加え、筋膜を1cmほど開放し、腹腔内にあったペンローズドレーンを回収した。術後は経過良好にて、退院となった。
ペンローズドレーンに糸をかけたが、きちんと確認ができていなかった。手術室からの申し送りにもドレーンチューブの固定状況を伝達していなかった。帰室後、創部の観察時にドレーンチューブの確認を行ったが、固定状態の確認をしていなかった。ペンローズドレーンは体表面から1cmほど出て固定されていたが、体動時にペンローズドレーンが動いた可能性が考えられた。
・ペンローズドレーンを固定する場合は、糸がドレーンチューブに通っているか確認を徹底する。・手術室看護師は、医師に安全ピンを使用するか確認をする。・帰室時は病棟看護師にドレーンチューブの固定方法を記録にて申し送る。・術後は回診時に皮膚固定がされているか確認し、自然抜去・迷入を予防するため、ペンローズドレーンにマーキングして固定状態を定期的に確認する。・ドレーンチューブがテープで固定されている場合は、必要に応じて貼り替える。ペンローズドレーンが短い場合は、医師に声かけをする。
体内に迷入したと認識した事例
直腸癌術後再発に対して腹会陰式直腸切断術を施行した。腹腔内癒着著明のため、12時間に及ぶ長時間手術となった。術後、手術創感染および骨盤内膿瘍形成を認め、創部洗浄、抗生剤投与、シリコーンドレーン(フラット)留置による保存的加療を行っていた。会陰部から骨盤底に留置していたドレーンチューブからの排液の減少を認め、術後7日目より段階的に抜去の方針とし、テープ固定のみとしていた。術後10日目の包交時はドレーンチューブを視認したが、術後11日目の退院日の包交時にはドレーンチューブを視認できず、自然抜去したものと認識した。退院後、当院外来にて複数回診察を受けるも、症状なく経過していた。約8ヶ月後、臀部痛を主訴に近医を受診した。会陰部創に膨隆を認め、創部奥から15cm長のシリコンチューブが出てきたと外来担当医師へ報告があった。その1ヶ月後の定期外来受診時に、患者より上記エピソードを聞き、自然抜去したと思われていたシリコンドレーンが会陰部から体内へ迷入していたことが分かった。
術後の骨盤内膿瘍に対してドレナージ治療が奏功し、段階的にシリコンドレーンを抜去する方針であったため、あえて縫合糸固定などを行わずにテープのみで固定していた。安全ピンの刺通などの迷入予防の対応をしていなかった。退院前日まで包交時にドレーンチューブの断端を確認していたが、退院当日の包交時にそれが視認できなかったことを自然脱落したものと思い込み、脱落したチューブを確認しなかった。退院前(術後9日目)、退院1ヶ月後のX線検査や、術後約6ヶ月後のCT検査では気付かなかった。しかし、CT検査の画像診断報告書には、「会陰部から骨盤内に留置されているドレーンチューブ周囲に若干effusionが残存しているようです。」と記載されていた。
・膿瘍に対してドレナージが奏功し、ドレーンチューブの必要性が少なくなった時は段階的な抜去ではなく、一期的抜去を検討する必要がある。・必要時、迷入予防のための安全ピン刺通などの対応を行う。・ドレーンチューブが抜去したと思われる時間帯の担当看護師へ確認する。・医師は診察して確認する。・CT検査の画像診断報告書の確認を行う。
自然抜去したと認識した事例
手術創皮下にペンローズドレーンを留置し、ナイロン糸で縛った状態で固定した。9日後より、ペンローズドレーンから膿性滲出液が観察された。約3週間後のガーゼ交換時、主治医は皮下に留置しているペンローズドレーンを2cm引き抜き、2cmカットした。カットしてから3日後、主治医がガーゼ交換時、留置しているはずのペンローズドレーンがないことに気付いた。主治医は、自然に抜去したと認識し、創孔が閉じないよう新たにペンローズドレーンを挿入した。翌朝の検温時、看護師が創部を観察したところ、ペンローズドレーンがなくなっていることに気付き主治医へ報告した。主治医は、再度自然抜去したと認識し、ネラトンカテーテルを挿入し先端に安全ピンを取り付け、皮下への迷入を防止した。約1ヵ月後、術後評価のX線検査を行ったところ、2本のペンローズドレーンが画像に映っており、皮下に迷入していることに気付いた。患者に処置の必要性を説明し、透視下でペンローズドレーンを抜去した。
ペンローズドレーンの皮下への迷入を防止するための対策がとれていなかった。医師、看護師は、ペンローズドレーンが皮下組織に迷入することを予測できなかった。医師、看護師は、紛失したペンローズドレーンの所在を確認すること無く自然に抜去したと認識した。看護記録にペンローズドレーンが留置されていることが明確に記載されていなかったことで、いつからペンローズドレーンが紛失したか分かり難くかった。
・皮下組織に留置しているペンローズドレーンの皮下への迷入を防止するため、ドレーン先端に安全ピンを使用する。・皮下組織に留置したペンローズドレーンを紛失した際は、皮下に迷入していることも予測し、紛失したペンローズドレーンが発見できない場合は、X線検査にて確認する。・ペンローズドレーンの留置中は、経過表の観察項目に「ペンローズドレーン」を追加し、ペンローズドレーンの留置状況を継続して観察し記録に残す。
自然抜去したと認識した事例
腹腔鏡下幽門側胃切除術を施行した。術中、術後の経過は問題なく、5日目に腹腔に留置していたペンローズドレーンを抜去し、16日目に紹介元の病院に転院した。紹介元の病院を退院後は、当院外来の定期通院となった。術後1年目の定期受診時に撮影した腹部CT検査にて、骨盤底から臍下に線状の異物を確認し、ペンローズドレーンの遺残が分かった。状況から、右上腹部のポート創を通して手術時に留置したペンローズドレーン2本のうち1本が腹腔内に脱落し、遺残したものと考えられた。その後、全身麻酔下で腹腔鏡下異物除去術を施行し、直径8mm、長さ約150mmのペンローズドレーンを回収した。
術中にペンローズドレーンの固定が十分ではなかった可能性がある。術後5日目のペンローズドレーン抜去時に、2本留置していたことを確認せず、1本のみ抜去した。その後、腹部単純X線検査、CT検査を行っているが、骨盤腔にあったペンローズドレーンと考えられる線状陰影を見落とした。主治医は画像診断報告書の内容を確認していなかった。
・ドレーンチューブを確実に固定し、確認を行う。・留置しているドレーンチューブの本数を抜去時に確認する。・画像撮影、診断結果の確認と連携について院内のルールを決め職員に周知する。
nan
心臓カテーテル治療を施行後、コンパートメント症候群となり、整形外科にて減張切開を行った。その際、創部は開放創とし、ペンローズドレーンを2本留置した。8日後、ペンローズドレーンを抜去後、創の縫合と皮膚移植を施行し、退院した。約7ヶ月後、右前腕の腫脹のため、自宅近くの病院で切開排膿を行い、蜂窩織炎と診断された。その際、右前腕の皮下からペンローズドレーンが1本出てきた。その後、当院に転院となり治療を行った。
ペンローズドレーンを2本留置し、皮膚表面に出していた。しかし、抜去時には1本が皮下に埋没していたため、1本しか抜去しなかった。また、抜去時に、ペンローズドレーンが何本留置されているか情報収集を行わなかった。皮膚表面に出したペンローズドレーンは皮膚と縫合して固定したが、固定が甘かった可能性が考えられた。皮膚表面に出していたペンローズドレーンが短かった可能性がある。
・ペンローズドレーンは皮膚に縫合し、固定を確実に行う。・皮膚表面に出すペンローズドレーンは長くして埋没しないようにする。・抜去の際は手術記録等で留置してある本数を確実に把握してから行い、抜去した本数もカルテに記載する。
nan
16時10分、助産師は新生児室にて児Aと児Bの2名を担当していた。日勤リーダーは、児Bの15時の授乳が遅れているため、児Bを母親の病室に連れていくこととその際に搾母乳を持っていくことを助産師に指示した。日勤リーダーは児Bの母親がシャワーに行って不在であることを知っていたが、そろそろ病室に戻る頃だろうと考えた。助産師は児の名前を確認しないまま児Bの隣にいた児Aのコットに、児Bの搾母乳の入った哺乳瓶を置いた。助産師は、児Bの母親の病室に児Aを連れて行った。病室には児Bの父親がおり、助産師は搾母乳の入った哺乳瓶に貼られた児Bの母親の氏名と、搾乳日時を父親と確認して搾母乳を渡した。この時、児の確認を行わずに父親に児を引き渡し、病室を退室した。その後、児Bの父親が哺乳中に自分たちの子どもではないと気がつき報告があり、児を誤った親に引き渡してしまったことが判明した。児Aは児Bの母親の搾母乳を約5mL飲んでいた。
児の引き渡しは母親以外に行わないルールとなっていたが、母親が不在であったため、ルールを逸脱して父親へ引き渡した。児の母親の搾母乳であることを父親と確認したが、児の確認は行わなかった。スタッフ間の双方向コミュニケーションの欠如により、日勤リーダーは母親が戻ってから母親と児の照合をして授乳ができると考えた。助産師は、母親が不在だが、父親に授乳を行ってもらうために児を連れていかなければならないと考えた。
・児の引き渡しは母親のみであり、母親以外の家族へ児を引き渡さない。・児の引き渡しは母児識別バンドの共通番号を用いて照合するというルールを再度周知徹底する。・家族にも児の引き渡しは母親のみであるというルールを理解いただくために、説明文書を新たに作成し、分娩予約時、入院時の配布物に追加して、説明を行う。・現行の「搾母乳の取り扱い・使用手順」について、1)搾乳を行う母親へ児の氏名と生年月日を印刷したラベルを渡し、搾乳日時をラベルに記載し母親がその場で哺乳瓶に貼付する。2)授乳する際に哺乳瓶に貼付された児の氏名と生年月日を児のリストバンドと照合する。その際に母親とダブルチェックを行うことは現行どおり実施する。・双方向のコミュニケーションを強化し、教育計画を立て実施評価を継続する。
nan
児Aが啼泣しており、前回の授乳の際に、母親に児Aが泣いたら搾母乳を飲ませて欲しいと依頼されていたため、湯せんで温めた。その後、児Aは泣き止み、別の児Bが泣いていた。そのため、児Bのリストバンド、コットネームを確認せずに抱き、児Aだと思い込み、湯せんしていた搾母乳を飲ませた。授乳終了後に哺乳瓶の名前シールを見ると児Aの名前があり、飲ませた児と違うことに気づき、リストバンドを確認すると児を取り違えたことに気づいた。
授乳で母親に児を引き渡す際、搾母乳を温める際、渡す際などには児のリストバンドとコットネームを確認し、母親に名乗ってもらってから行うことになっているが、今回は母親が不在で助産師が授乳を行った。本来は、授乳の前にリストバンド、コットネーム、哺乳瓶の名前シールを確認する手順になっているが、その手順を怠った。
・新生児の第1標識・リストバンド・コットネームを必ず確認する。・母親に児を引き渡す際は、母親と第1標識・リストバンド・コットネームを確認し、母親に名乗ってもらう。・母親が不在で看護スタッフが搾母乳を飲ませる場合は、哺乳瓶の名前シール、児の第1標識・リストバンド・コットネームを指さし呼称で確認する。
nan
帝王切開術後7日目で、母親Aは自律授乳を行っており、授乳のために新生児室に行った。この時、すでに授乳を終えた母親Bの児(母親Bは帰室しており不在)が啼泣しており、母親Aは、啼泣している母親Bの児を自分の子と間違え、直接授乳を行った。授乳後、母親Aは、ベッドネームが自分の児ではないことに気づいた。授乳を行った時間は、1~2分であった。その後、産科医師より、母親Bの児の両親へ経緯を説明した。
前日、母親Aより授乳に関する指導を受けることがストレスであるとの訴えがあり、母親の育児行動を見守る形とすることをスタッフ間で情報共有していた。授乳時のスタッフによる児の確認が行えていなかった。授乳時の母親の確認行動に関する介入不足があった。
・授乳時は、児の確認を手順通り行い、母親を新生児コットに案内し、新生児リストバンドを母親と一緒に確認する。・授乳時、母親への児の確認行動に関する指導を徹底し、実施を確認する。・新生児室内にベッドネームとリストバンドの確認を注意喚起するポスターを掲示する。
nan
10時に看護師が調乳室の保管庫にある搾母乳を取りに行くと、保管庫に搾母乳が入ったシリンジが1本しか見当たらなかったため、児Aのものと思い込み十分に名前を確認せず持参した。搾母乳を注入する際に名前、投与内容、注入量の確認をしないまま注入を開始した。他の看護師が児Bの搾母乳がないことに気づき探したところ、児Aに児Bの搾母乳を注入していたことが分かった。
調乳室の保管庫から取り出す際にシリンジが1本しかなかったことから自分の受け持ちの児Aの搾母乳と思い込み、名前や搾母乳の内容の確認を怠った。さらに注入直前の確認も怠った。
・毎日のカンファレンスにより今回の誤注入の事例を共有する。・スタッフ間で準備・実施における確認行動を再確認し、再発予防策を周知した。
nan
手術室にて局所麻酔下の白内障手術(眼内レンズ挿入)を行っていた。外回り看護師Aは眼科執刀医が指示した眼内レンズを外回り眼科医師と確認し、外箱を開封して中からアルミ包装を取り出した。さらにアルミ包装の中の、眼内レンズと一体化のインジェクターが入ったプラスチック包装を器械台に出した。その直後、外回り看護師Aは、アルミ包装の裏側に貼ってあるシールの一部に赤字で「滅菌されていません。まず、不潔領域で(不潔者が)アルミ包装から内容物を取り出してください」と記載されているのを確認し、器械台に出したプラスチック包装が未滅菌ではないかと思い、器械出し看護師Bと共にアルミ包装に明記された文言を確認した。しかし、文言から器械台に出したインクジェクターが入っているプラスチック包装が未滅菌か滅菌済みであるか判断できなかった。看護師のやりとりを聞いていた眼科助手医師は、外回り眼科医師に開封の仕方を看護師に教えるよう指示した。外回り眼科医師と外回り看護師Aと外回り看護師Cの3名でアルミ包装を確認し協議した結果、アルミ包装内のプラスチック包装は滅菌されていると判断した。ドライラミネートされた紙フィルムには「E.O.G滅菌済」と記載があった。器械出し看護師Bは器械台に出されたプラスチック包装を開封し、眼科執刀医にインジェクターを渡した。眼科執刀医は患者へ眼内レンズを挿入し、手術が終了した。その後、別患者に同製品の眼内レンズを挿入する手術を行った際、外回り看護師Aは、外回り看護師Cがインジェクターのみを器械出し看護師に出しているのを見た。外回り看護師Aは、再度アルミ包装を外回り看護師Cと確認したが、やはり未滅菌か滅菌済みであるか確信できなかった。そこで、別の手術室看護師Dに確認したところ、「アルミ包装内のプラスチック包装は、未滅菌である。」と言われた。その後、外回り看護師Aは、アルミ包装を開封した際に切り離し捨てていた切れ端を見つけた。捨てた切れ端側に残っていたシールには「警告、このアルミ包装の内側は」と記載があり、シールを切り離す前の状態に合わせてみると、「警告、このアルミ包装の内側は滅菌されていません。まず不潔領域で(不潔者が)アルミ包装から内容物を取り出してください。」と記載されていた。このことから、アルミ包装内のプラスチック包装は、未滅菌であったことが分かった。
手術部において、眼内レンズ包装の正しい開封方法の周知が不十分であった。今回の眼科執刀医のみが使用する眼内レンズであり、外回り・器械出し看護師共に取り扱うのが初めてだった。二重包装であったため(他の眼内レンズのパッケージは全て二重包装ではない)アルミ包装の内側も滅菌してあると思い込んだ。手術室内は眼科手術のため薄暗かった。また、赤字の警告文のシールは、アルミ包装を開封するために切り離す部分に貼付してあり、文章が切れていたため読み取ることが困難であった。
・包装変更まで他の製品を使用する(他の製品においては、統一した包装となっており、未滅菌の物が滅菌物と誤認されることはない)。・手術材料の採用の際には、品質や用途、平易な取り扱い方法だけでなく標準的なパッケージかどうかも採用判断基準に加える。・スタッフは、確実な確認のうえ実施すること、不確実なまま実施しないことを周知した。・新しい製品を使用する前には、必ず業者から取り扱いの説明会を実施することを眼科医師に依頼した。それらに関して、眼科手術担当看護師へ周知した。
nan
16時、看護師はエルネオパ1号輸液1000mLにヘパリン1mLを混注後、開通シールを剥がした。隔壁を開通しようとした時に他の処置に呼ばれ、作業を中断した。処置が終わり作業に戻ったが、隔壁を開通していないことを忘れ、そのまま輸液を交換した。翌日0時頃に心拍数が上昇し、2時40分に無呼吸となり、バッグバルブマスクで補助換気し、回復した。その後、意識レベルが低下し、気管挿管後、人工呼吸器管理となった。原因を検索したところ、隔壁の開通がされず上室内のブドウ糖が混入されなかったため、患者が低血糖になったと考えられた。
エルネオパ1号輸液の隔壁を開通する際、隔壁を開通する前に開通シールを剥がしたため、中断した作業から戻った時にはすでに開通したと思い込んだ。輸液を交換する際、2人でダブルチェックを行ったが、輸液の内容は確認していなかった。夜勤看護師は2時間毎の輸液確認を行っていたが、遮光袋を外してまで輸液バッグを確認していなかった。そのため、隔壁を開通した場合には輸液が黄色になるはずだが、透明であったことに気付かなかった。
・開通シールは、隔壁を開通してから剥がす。・作業を中断する場合は中断カードを使用し、作業途中であることを明確に示してその場を離れる。作業に戻った際には始めから丁寧に確認作業をする。・ダブルチェックは今回も行われていたが上手く機能していなかったため、確実なダブルチェックを徹底する。
nan
腸閉塞が疑われ、患者は緊急入院となった。左上肢に末梢静脈ラインを挿入し、輸液を開始した。14時頃、右内頚静脈から中心静脈カテーテルを挿入した。X線検査で位置を確認後、ヘパリンロックした。医師は、「20時から中心静脈カテーテルよりエルネオパ1号投与」と指示を入力し、看護師Aが指示を受けた。準夜勤務の看護師Bは、始業点検時に末梢静脈ラインから輸液が投与されていることを確認した。看護師Aから中心静脈カテーテルを挿入したという申し送りはなく、中心静脈カテーテルのラインは病衣に隠れており、気付かなかった。20時、看護師Bは看護師Cとダブルチェック後、1人で点滴を認証、実施した。この時、末梢静脈ラインにエルネオパ1号輸液を接続した。翌日の8時30分、日勤の担当看護師Dが末梢静脈ラインから高カロリー輸液が投与されていることに気付いた。医師に報告後、中心静脈ラインへつなぎ替えた。
看護師Bは5Rを確認する際に投与経路をたどって確認しなかった。また、中心静脈カテーテルが挿入されていたことを知らなかった。
・点滴認証における5Rを徹底する。・投与開始時間を一律20時としていたが、注射指示を見直し、中心静脈カテーテルを挿入後、先端の位置を確認してから開始することとした。・不要なラインは抜去する。・輸液の外装に「中心静脈栄養のみ」であることを強調する表示を要望する。
nan
手術の際、患者の皮膚が術前より乾燥気味で脆弱であったため、左大腿部前面に皮膚保護目的でキャビロン(非アルコール性皮膜)を塗布し、電気メス用の対極板を貼付した。手術時間は約8時間、手術体位は仰臥位であった。手術終了後、対極板をリムーバーで剥がした際、貼付部に異常はなかった。約30分後、ICU看護師との引き継ぎの際に対極板貼付部を確認したところ、熱感を伴う発赤(約15cm×約6cm)を発見した。手術中は対極板の異常アラームは鳴らなかった。ICU入室後、皮膚科当直医が診察し、Ⅰ度熱傷もしくは接触皮膚炎と診断され処置を継続していたが、徐々に水疱、表皮剥離等がみられ、術後4日目にはⅡ度熱傷と診断された。
外回り看護師は6年以上の経験があった。担当看護師は術前訪問で、患者が「アルコール綿」のアレルギーがあることを事前に確認し、術前訪問用紙にも記載していた。手術当日は、患者の皮膚が脆弱であり、キャビロンを塗布してから対極板を貼った。手術部では、皮膚が脆弱な患者に今回と同様の方法を用いる看護師もいたが、これまでに熱傷事例は起きていなかった。キャビロンの添付文書の禁忌・禁止の項に、「本品の使用により、皮膚の電気抵抗が増加することがあるので、電気メス等で用いる対極板の適用部位には使用しないで下さい」とあるが、周知されていなかった。
・キャビロンの添付文書にある「電気メスの対極板貼付部には使用しない」を全スタッフに周知する。・対極板の取り扱い手順に、キャビロンを塗布しないことを追加した。
nan
入院3日目、朝食にパンが配膳され、看護師が見守りながら摂取を開始した。5分後、他患者の対応のため食事介助を一時中止する必要があり、患者に手に持っている食パン(1/4枚)を離すよう声を掛けたが、患者は離さなかった。前日までむせ込みなく摂取できていたため、その場を離れて他患者の対応を行った。2~3分後、モニター上で脈拍44回/分であったため、ナースステーションにいた別の看護師が訪室したところ、呼吸停止している患者を発見した。口腔内に食パンの塊を確認した。心肺蘇生後、人工呼吸器管理となった。
看護師は、前日までは問題なく食事摂取できていたため、少しの間なら患者のもとを離れても大丈夫だろうと思った。入院時の既往歴や看護情報から、嚥下・咀嚼状況をアセスメントした食事形態の検討がされなかった。患者情報のアセスメント内容が全スタッフに共有されていなかった。医師は、食事オーダを全粥と入力する場合、「パン禁止」とオーダを入れなければ、パンが提供されてしまうことを知らなかった。
・前回入院時の情報も含め、嚥下・咀嚼状況に合った食事形態のアセスメントの徹底と、医師を含めた患者情報の共有を徹底する。・誤嚥・窒息のリスクが高い患者の食事介助中は目を離さない。他の患者の対応は他のスタッフに依頼する。・嚥下障害患者の食事形態は、食事開始時に適切かどうか検討し、嚥下状態を確認しながら評価する。・「全粥」と食事オーダされた場合には、「パン」は原則禁止とする。
nan
6ヶ月前、患者は胸部X線異常陰影の精査目的に外来を受診し、入院精査の方針となった。患者は、入院時の説明等を受け、帰宅した。その後、入院決定の連絡がないまま呼吸困難感を自覚するようになり、前医へ相談した。当院へ問い合わせがあったため確認したところ、入院予約オーダが入力されていないことが判明した。
入院予約から入院当日までに、入院予約オーダの入力確認を行う仕組みが不十分であった。外来検査で当日に結果が判明しない場合、結果を確認する仕組みが不十分であった。
・内科外来の入院予約のチェック体制として、入院予約に関する業務の標準化、ダブルチェック体制の整備を図る。・病理検査等の検査結果の通知方法等に関して、検討ワーキンググループを開催し、見直しを図る。
nan
前日にECLHA装置の交換を行った際、回路内を充填する目的でソル・メドロール250mgを回路内に注入した。ACSYSの指示画面には10時30分にソル・メドロール250mgの静脈注射、ワンショットの指示が入力されていた。しかし、当日以降も継続の指示になっており、翌日の10時30分に患者にソル・メドロール250mgが投与された。12時以降の指示を出す段階で気付いた。
当日分のみの指示だったが、指示画面のオーダで当日分のみのチェックを入れ忘れた。
・指示画面のオーダ期日を設定しなければ「期限なし」でオーダが発行される設定を、いずれかの期日を必ず選ぶように変更する。・運用上の決まりを徹底する。
医療事故情報
・指示画面の最初に出てくる初期設定値は見過ごしやすいため、注意が必要である。・投与期間の初期設定を当日のみにしても、毎日にしても、入力間違いをした際にそれぞれ無投与や連日投与につながる可能性がある。改善策にも記載があるように、どちらの運用にしても医療機関で指示を出す際のルールを統一し、徹底する必要があるだろう。・重症系システムは、それぞれの医療機関の集中治療部門に合ったシステムの仕様にしていることが多い。指示出しの際に「期限なし」ではなく、3日間や1週間を最大値に設定しておくことも一案である。
指示出し
患者は、サイトメガロウイルス感染症による重症肺炎のためにデノシンの投与を必要としていたが、腎障害等があり投与量の調整が必要であった。投与すべき用量は80mg/日であり、誤投与が起きるまでは、投与量を80mg/日前後に調整しながら治療が継続されていた。当日の指示を出すため、前日の指示を当日用に入力し直す際に、デノシン1バイアル500mg製剤で投与量(80mg)を入力するつもりが、入力画面で用量をクリックした時に自動的に「1V」(500mg)に変更されたが、それに気付かず確定した。この時、医師は、患者の点滴の種類が多く、多剤を入力したため、デノシンの投与量が誤っていたことに気付かなかった。また、システム上、同一点滴処方の複数日設定が可能であり、複数日を設定して一括で入力した。デノシンの投与量が誤っていたことに他の医師や看護師も全く気付かず、8日間にわたり過剰投与された。患者に腎機能低下、肝機能異常、白血球減少、血小板減少、貧血の進行は認められず、肺炎の改善が認められたため、担当医は異常に気付くことはなかった。患者の状態が改善してきたため、デノシンの投与を感染管理専門医と検討した際に、感染管理専門医が過剰投与されていることに気付いた。
ICUでは、基幹システムとは別の重症系システム「GAIA」を使用している。GAIAには、前日分の指示をコピーして指示を出す方法があるが、医師はコピーの仕方を知らなかったため、多数の薬剤を入力する際にも全て新規に入力し直していた。指示を入力する際に、1バイアル500mg製剤で投与量(80mg)を入力したつもりが、デフォルトでは1回量がバイアル単位で「1V」と入力されるようになっていたため、用量設定タブをクリックした時に自動的に1V(500mg)と入力された。基幹システムでは、薬剤量はデフォルトで入力されない。点滴の種類が多く、多剤を全て新規に入力したため、誤入力したことに気付かなかった。デノシンは複数日に投与する予定であったため、複数日を一括して入力し、指示が継続された。毎日、投与量までチェックする体制ではなかった。指示を入力後、長期間の指示一覧を表示する画面がなく、実際の投与状況を以前と比較して確認できなかった。GAIAの使用方法は教示されていたが、慣れていないこともあり確定内容を十分に確認できなかった。経過表に投薬内容が表示されるが、間違っているかもしれないという認識がなく用量の確認まで行わなかった。ICUには薬剤師が常駐しておらず、投薬内容についてダブルチェックする体制になかった。看護師も前日からの薬剤の用量変更に気付かず、正しい投与量か確認しなかった。当院のICUは麻酔科医師が専従であるが、患者の呼吸循環管理を主に担当し、それ以外は各科の担当医が管理している。また、感染症については感染管理専門医の助言を受けながら、担当医が管理している。GAIA運用時のルールとして、「外科はICUを使う医局員が、内科は診療科の電子カルテ担当責任者がGAIAの使い方についての講習を受け、他の医師に教える、またはベンダーに依頼する」としていたが、守られていなかった。当該診療科は、ICUを頻繁に利用していなかったため、入力した担当医は、所属診療科の電子カルテ担当責任者からの教育やベンダーからの講習を受けておらずGAIAの操作に習熟していなかった。
・デノシンは1バイアル500mg製剤のみである。ダブルクリックで「1V」と入力されないように、単位を「mg」で入力しないと確定されないように初期設定を変更した。・「GAIA」の操作訓練を受けるよう医師に指導する。・翌日以降の数日の指示一覧を印刷して、2人以上の医師で内容を確認する。
医療事故情報
・基幹システムと重症系システムの薬剤マスタが違うため、指示画面の薬剤名や単位など初期設定の表示に違いが出た事例である。・基幹システムでは薬剤ごとに複数の単位から選択することができ、使用する単位の優先順位を設定しておくことができるが、重症系システムではできないため、単位の表示に違いが出たであろう。・基幹システムと重症系システムの初期設定値を可能な限り一致させることができるように、薬剤マスタ更新のタイミングや両システムのメンテナンスを同時期に実施するなどして、指示画面の見え方に相違がないようにすることが望まれる。
指示出し
18時の内服薬投与前のダブルチェック時、ツムラ100大建中湯の残薬が1包多いことを発見した。前日分のツムラ100大建中湯が患者に投与されていない可能性があった。
18時の内服薬投与前に看護師2人でACSYSの指示と内服薬の薬袋をダブルチェックした。患者には18時にフロセミド細粒4%、ミヤBM細粒、ツムラ43六君子湯、ツムラ100大建中湯の指示があった。ツムラ100大建中湯の処方箋には○/24朝までと記載があり、本来18時投与分のツムラ100大建中湯の残薬が4包のところ、5包残っていた。ACSYSの指示ではツムラ43六君子湯とツムラ100大建中湯は1つの欄に記載されていた。
・ACSYSの内服薬の指示はツールチップにて全て表示して内服薬が2種類以上ないか確認する。・医師にACSYSの指示を内服薬ごとに分けて記載してもらうよう依頼する。・薬包を取り出す前に薬袋の薬剤名を確認する。・薬剤のダブルチェック時、残薬確認も看護師2人で必ず行う。
ヒヤリ・ハット事例
・指示画面の1つの欄に1薬剤という取り決めをしてはどうか。・画面に表示されている薬剤名が途中で切れないように、薬剤名を全て表示するなど画面表示の工夫が必要であろう。
指示受け・投与
7時に経腸栄養開始の指示があった。まず、内服薬を腸瘻カテーテルから投与した。内服薬は注入できたが、後押ししようとしたところ、カテーテルが閉塞していた。PIMSの指示画面には、内服薬はNGチューブから投与と記載があったが見落としていた。
患者にはNGチューブと腸瘻カテーテルが挿入されており、内服薬はNGチューブからの投与であった。指示はPIMSの画面の下の方にあった。
・PIMSの指示画面を下の方まで確認し、確実な投与経路で投与する。
ヒヤリ・ハット事例
・それぞれの職種に必要な情報を整理して、その情報が見やすく画面に表示されるような工夫が望まれる。
指示受け・投与
ラジオ波焼灼治療室から滅菌室に使用済みプローブが搬送された。委託業務者Aは2本を洗浄梱包し、滅菌機に入れた。その後、委託業務者Bが更に2本のプローブを洗浄梱包した。委託業務者Bは委託業務者Aが滅菌した2本のプローブの滅菌期限の記載が間違っていることに気付き、開梱して梱包し直した。この合計4本のプローブを翌日滅菌しようと思い、本来であれば滅菌準備棚に収納すべきところ、組み立てエリアの作業台に置いた。翌日、委託業務者Cは、作業台上に置いてあったプローブ4本を滅菌済みと思い込み、既滅菌エリアに搬送し、滅菌棚に収納した。当日、ラジオ波焼灼治療室の看護助手Dが滅菌室にプローブを受け取りに来た際、委託業務者Cは滅菌済みかどうかの確認を怠り、4本のプローブを払い出した。その際、看護助手Dはインジケータの色がいつもと違うことに気付いたが、新しくなって変わったと思い込み、受け取った。看護助手Dはラジオ波焼灼治療室の看護師にも報告せず、器械台に準備し、医師はプローブを使用した。その後、看護助手Dが他の滅菌物を受け取った際にインジケータがいつもの色であり、朝に受け取った際の色と異なることに気付き看護師へ報告した。この時すでに4本の未滅菌のプローブはそれぞれ4名の患者に使用されていた。前回、プローブを使用した4名の患者のうち、HCV陽性が3名、HBs抗原陽性が1名であった。誰にどのプローブを使用したか特定することは難しく、未滅菌のプローブを使用した4名に対して肝炎ウイルス曝露後フローチャートに準じ、ヘブスブリンIH静注用1000単位およびB型肝炎ワクチンを接種し、4・8・12・24週後に肝臓専門内科で診察し、AST、ALT、HBs抗原・抗体の測定、HCV抗体、HCV-RNA測定を実施することになった。
洗浄、消毒、滅菌と区分の違う物品が混在していたエリアがあった。異なる区分の物品は混在しないようにゾーニングすべきところ、消毒エリア内のテーブルにプラズマ滅菌された物品が置かれ、受け渡しも同じテーブルで行われていたため、取り違えが発生した。インジケータの色の変化について正しく理解していない職員が存在していた。滅菌物の払い出し時に、梱包表面のインジケータの変色の確認を怠った。滅菌物の器械台への準備を滅菌について知識の少ない看護助手が行っていた。使用する前に滅菌パッケージ内のインジケータの変色確認が行われていなかった。
・区分別のゾーニングを徹底するため、区分の異なる物品を同一エリア内に、通過・一時保管・長期保管のいずれもできないように、物流工程を見直し、変更した。・1枚ドアのプラズマ滅菌装置の使用を中止した。・医療安全管理室が各滅菌方法によるインジケータの色の変化について一覧表を作成し、翌日にニュースレターとして発行し周知した。・滅菌室からの払い出し時に、外装のインジケータの変色を確認して払い出すことを徹底する(チェックリストへ追加)。・滅菌物の器械台への準備は、看護助手単独では行わず、滅菌済みのインジケータの確認は複数の職員で実施することとした。・開梱後は、滅菌物の使用開始までにインジケータの変色を確認してから使用する。侵襲的処置の直前にタイムアウト時の確認項目として実施するように規定する。・改善策の実施状況について感染対策室、医療安全管理室にて定期的に巡視を行う。
ラジオ波穿刺プローブ
看護師は心房中隔欠損根治術の器械準備を行うため、コンテナを開封した。その際、ロックの状態やフィルターの有無、滅菌期限は確認したが、滅菌インジケータを見落とした。そのため、未滅菌であることに気付かないまま手術に使用した。手術終了後、器械を洗浄するため洗浄室へ運んだ際に、インジケータが変色していないことに気付き、未滅菌の器材を使用し手術が行われたことが分かった。その後、感染予防として患者に抗生剤を投与した。
タイムアウト時に滅菌されていることを確認することになっていたが、手順が形骸化していた。
・クリーンサプライに滅菌物と未滅菌物が混在しないよう、洗浄室からの器械動線が一方向となるように配置を変更した。・スタッフに再教育し、徹底を図る。
手術に使用した器械全て
早朝より心臓血管外科の手術が続き、本事例は当日3件目の手術であった。2件目の手術に使用されている一部の器械(テープ鉗子、クーリー鉤、弁剪刀、M弁持針器、スティーレ持針器)を3件目の手術でも使用する必要があった。看護師は2件目の手術で使用した器械をまとめ、中央消毒滅菌室に出した。中央消毒滅菌室では、洗浄室担当のメディカルスタッフが洗浄を行い、乾燥後、器械とインジケータをパッキングした。パックされた器械は、手術室の高圧蒸気滅菌装置で滅菌を行うため、手術室に運び込まれた。看護師Aはパックされた器械を手術室内で受け取り、高圧蒸気滅菌装置の扉を開けながら設定モードを器械滅菌用に変更した。その後、パックされた器械とバイオロジカルインジケータを入れ扉を閉め、モードを再確認してスタートボタンを押した。高圧蒸気滅菌装置の運用管理台帳に使用記録を記入した。看護師Bは、3件目の手術の段取りを看護師Aと相談し、手術の準備は1時間でできると判断し、患者移送時刻を19時と決め、関係部署に連絡した。看護師Aは手術室の部屋を準備後、高圧蒸気滅菌装置の画面に「運転完了、ドア開」のランプが付いるのを見て扉を開けた。中からパックされた器械を取り出し、手術室の部屋の手前のワゴンに置いた。その後は部屋の不足品の確認や患者の情報収集を行った。看護師Cが手術室の部屋に行った際、看護師Aから「みんなで器械を出したら間に合うから19時に手術出しします」と言われた。通常は清潔介助担当の臨床工学技士が器械出しをするが、臨床工学技士がその場にいなかったため、看護師B、Cは他の看護師とともに器械出しを行った。器械出しは、基本的なセットを中心に鉗子操作で器械を展開した。19時02分、患者の手術を開始し、5時間後に終了した。夜間帯の手術のバイオインジケータの判定は、始業時(翌朝8時30分)にするルールであったため、地下の中央消毒滅菌室にあるバイオインジケータ判定機器まで運んだ。朝、中央消毒滅菌室の看護師がバイオインジケータ判定を開始したところ、7分後に陽性でアラームが鳴ったため、結果を師長に報告した。師長は臨床工学技士に高圧蒸気滅菌装置の作動履歴の確認を依頼した。作動記録では、当日は7回作動していた。その後の聞き取りで心臓血管外科手術の3件目用の滅菌を行ったとされる時間に高圧蒸気滅菌装置の作動記録に当てはまる時間が無く、ヴォイディックテスト(真空式高圧蒸気滅菌器の空気排除の適格性を確認する化学的インジケータ)を行った分を考えると、作動回数が台帳と合わないことが判明した。手術室師長から心臓血管外科と感染制御部に報告し、2件目の手術に使用していた器械であったため、2件目の患者に感染症がないことを確認した。また、消毒洗浄工程において他の器械と混載して消毒洗浄をしていないことを確認した。診療科にて抗菌薬(バンコマイシン・メロペネム)がすでに投与されていたため、そのまま経過観察とした。
高圧蒸気滅菌装置のスタート忘れ、滅菌完了表示の見間違い、パックのインジケータの見落とし、パック開封時のインジケータの見落とし、もしくは見間違いが考えられる。高圧蒸気滅菌装置の取り出し口の安全機構が未設定で未滅菌でも開く設定であった。ドアインターロックに関する情報の不足があった。滅菌物取り扱いに関するスタッフの認識の違いがあった。3人以上で器械出しをする際の役割分担が不明確であった。
○高圧蒸気滅菌装置・滅菌工程が正常完了しなければ手術室(清潔)側の扉が開かないよう設定を変更した。・滅菌完了後、清潔側の扉が開かないと外周廊下(未滅菌)側の扉が開かない運用を再確認した。・未滅菌の器械は、手術室側から入れないワンスルー(一方通行)を厳守する。○滅菌物の確認手順の遵守・確認する項目:滅菌保証期限、パックのピンホールの有無、パックの汚れの有無、インジケータ適正変色(パック外装、封入したCI検知カード)。・滅菌を確認する場面:高圧蒸気滅菌装置の滅菌工程の終了時、収納時、準備時1(必要器械を集める時)、準備時2(清潔台に器械を出す時)、手術時に指さし呼称を行い確実に確認する。・今後、視認性の良いインジケータを検討し、インジケータの色見本を掲示する。・インジケータ確認をカウント板に追加し、確認者2名がサインをする。・急いで滅菌を行う状況を減らすために器械を調整する。・滅菌物の取り扱いは、手術室内だけではないため、看護補助者の教育に「滅菌物の部署への運搬と収納」、「滅菌物の取り扱い」を追加する。・手術室以外の看護職に対して、滅菌物を開封する際の確認について再確認する。・滅菌済の確認についてのポスターを作成、掲示し注意喚起を図る。
手術に使用した器械の一部
患者は肺炎、高血圧症で、意識障害があり経鼻胃管を挿入していた。患者の全身状態が改善したため、これまで内服していたニフェジピンCR錠20mgを再開する方針となった。研修医は、患者が経鼻胃管を挿入しているとは知らず、ニフェジピンCR錠20mgを処方した。看護師は錠剤で届いたニフェジピンCR錠20mgを粉砕し、経鼻胃管から投与した。30分後、血圧を測定したところ収縮期血圧が90mmHg台であり、1時間後には80mmHg台まで低下した。生理食塩液の投与により血圧が100mmHg台まで改善した。病棟薬剤師は、当日は薬剤部で業務をしていた。翌日、病棟薬剤師は患者の急激な血圧低下についてのカルテ記載を発見した。経口投与であれば急激に血圧が低下することはないため原因検索をしたところ、経鼻胃管を挿入している患者であり、ニフェジピンCR錠を粉砕して投与していたことに気付いた。
薬剤を処方した研修医は、ニフェジピンCR錠が徐放性製剤であることや、粉砕して内服してはいけないことを知らなかった。徐放性製剤の知識が不足していた。医薬品情報の確認を怠った。上級医への詳細な確認を怠った。血圧が高いので降圧薬で下げなくては、という意識が強かった。入院時に降圧薬で血圧が下がった経緯があったため降圧薬を投与すれば血圧が下がるという意識が先行した。徐放性製剤の効果を考えていなかった。研修医がニフェジピンCR錠を処方した際に、粉砕指示を入力していれば「粉砕不可薬剤です」のアラートが表示され処方できなかった。また、薬剤部に問い合わせがあれば代替薬としてセパミットRを推奨した可能性があった。病棟薬剤師が作成した粉砕不可一覧表を活用していなかった。
・粉砕して投与する薬剤を処方する際は、必ず粉砕の指示を入力する(粉砕できない薬剤に粉砕の指示をすると、「粉砕不可のアラート」が表示される)。・経管投与する薬剤に粉砕の指示がなく錠剤(OD錠は除く)のまま病棟に届いた場合、看護師は医師に処方の出し直しを依頼することにした。・原則として、錠剤を病棟で粉砕しない(吸湿性が高い薬剤、温度や光に不安定な薬剤などは投与直前の粉砕としている)。・粉砕に関する薬剤の一覧表を作成し、投与前に活用する。・徐放性の降圧薬を経管投与する場合は、セパミットRを投与する。・事例発生の翌月に開催されたリスクマネジャー会議および医療安全対策委員会で「徐放性の薬剤の粉砕投与により急激な血圧低下をきたした事例」として事例を報告し、情報提供・共有した。
nan
患者は術前より降圧剤3剤(ニフェジピンCR錠、オルメテック錠、フロセミド錠)を含む内服薬を服用していたが、下咽頭腫瘍摘出術のため全ての内服薬が中止になった。術後4日目より血圧の上昇を認め、ジルチアゼムの持続投与を開始したが、血圧のコントロールは不良であった。そこで、医師は術前に内服していた降圧剤3剤の再開の指示を出し、看護師は3剤すべてを粉砕して胃管より投与した。薬剤の投与から20分後、収縮期血圧60mmHgと血圧低下を認め、酸素化が不良となりICUへ入室した。その後、人工呼吸器を装着し、カテコラミンの投与が必要となった。
胃管から降圧薬を投与するよう指示した医師および投与した看護師は、ニフェジピンCR錠が徐放性製剤であり、粉砕して投与することで急激な血圧低下が起きる可能性があることを知らなかった。また、院内で作成している「経管栄養の手引き」には「院内採用薬経管投与不可・注意一覧」が掲載されているが、職員に周知されていなかった。ただし、本事例が発生した翌日の朝に患者は下血しており、血圧が低下した要因として循環血液量の減少も考えられた。また、複数の降圧薬を高用量で投与していたことも要因の一つと考えられた。全病棟に病棟薬剤師を配置しているが、今回は準夜勤務帯に粉砕して投与する指示が出され、翌朝には投与されたため、病棟薬剤師が関与することができなかった。
・安全管理対策委員会およびリスクマネジャー会議で事例を共有し、職員に対して薬剤部から「院内採用薬経管投与不可・注意一覧」を再周知することとなった。・既に調剤された薬剤を経管投与する場合は、薬剤部で作成した「院内採用薬経管投与不可・注意一覧」で確認できるようにした。・日勤帯は病棟薬剤師およびDI室、夜間・休日は当直薬剤師に24時間問い合わせが可能な体制とした。・経管投与不可薬剤では、処方箋や電子カルテ上に注意喚起などを行えないか検討していくこととなった。
nan
患者が嚥下困難となったため、医師は、内服薬を腸瘻から投与する方針とした。患者は疼痛管理のためオキシコンチン錠10mg1日2回で服用しており、医師はオキシコンチン錠についても他の薬剤と同様に、粉砕・溶解し、腸瘻より投与するよう指示した。看護師は医師の指示通り、オキシコンチン錠を粉砕し腸瘻より投与した。投与後、看護師は病棟薬剤師に腸瘻からの薬剤投与について確認したところ、オキシコンチン錠を粉砕することで急激な血中濃度上昇により呼吸抑制のリスクが高くなることが分かった。その後、患者は急激な血中濃度上昇により、一時的に意識レベルと呼吸状態の悪化を認めた。
医師、看護師ともに、徐放性製剤は粉砕してはいけないことについて知識の不足があり、指示出し、指示受けの判断を誤った。徐放性製剤を粉砕し投与することで、血中濃度が上昇し呼吸抑制等のリスクがあることを把握できていなかった。新たにオキシコンチン錠を処方する場合であれば、薬剤師が粉砕の記載に気付き疑義照会をすることができたが、今回は、以前に処方されていた内服薬を医師が経管投与用として粉砕の指示を出したものであり、薬剤師が疑義照会する機会がなかった。処方前に薬剤師に問い合わせがあれば、「オキシコンチン錠は徐放性製剤のため、粉砕や簡易懸濁は出来ない。現在、オキシコンチン錠を1日20mg使用しているため、同じ種類のオピオイドを使用するのであれば、オキノーム散5mgを6時間ごとに経管で4回定期投与する、またはフェンタニル貼付剤を1日製剤であれば2mg、3日製剤であれば4.2mgに換算することが可能である。」と提案することができた。
・医師・看護師はオキシコンチン錠などの徐放性製剤は、粉砕や溶解ができないことを理解する。・医師(病棟医長)や看護師長のリスクマネジャーが参加する会議において事例を紹介するとともに、院内の「ヒヤリハットニュース」を用いて医師・看護師・薬剤師へ事例を周知した。また、研修医に対しても医療安全研修会にて事例紹介を行った。・病棟薬剤師は、必要に応じ徐放性製剤に関する情報提供を行う。・経口投与から経管投与へ変更する場合は、経口服用中の薬剤について安易に粉砕の指示を出さず、薬剤師に粉砕の可否を確認する。粉砕、簡易懸濁などを行う場合は、再度処方を行うか、再処方をしない場合は原則薬剤師に問い合わせを行うことを伝えた。・薬剤名を見ただけで徐放性製剤であると認識しづらい薬剤もあるため、粉砕や簡易懸濁の可否の判断が難しい場合は、必ず薬剤師に問い合わせるようにした。
nan
患者は冠動脈造影検査、血管内治療目的に入院した。同日医師は日勤帯の受け持ち看護師Aにメトホルミン塩酸塩錠の中止指示を口頭で伝え、クリティカルパス指示書に「○/15夕~○/17朝メトグルコ休薬」と記載したが、処方指示画面上の中止指示入力を失念した。夜勤帯の受け持ち看護師Bは申し送り時パスで休薬指示を確認した。検査の前日、17:00に看護師Aは処方指示画面に沿って配薬準備、配薬を行った。19:10に看護師Bは患者がメトホルミン塩酸塩錠を服用したことを確認した。21:20に看護師Bに医師よりメトホルミン塩酸塩錠について問い合わせがあり、中止すべきメトホルミン塩酸塩錠を服用していたことが判明した。
医師は処方指示画面上の中止指示入力を失念した。看護師はメトグルコ錠とメトホルミン塩酸塩錠が同一成分含有薬であること、検査前に休薬することを十分に認識していなかった。入院日、入院支援室で作成した「入院時チェックリスト」に「メトホルミン○/14夕から休薬」と記載されていたが、病棟看護師は確認していなかった。
・入院日に入院支援室で作成される「入院時チェックリスト」の休薬情報を確認する。・ビグアナイド系薬剤一覧と注意事項について再度周知する。
nan
医師は、入院日に○/14朝食後~○/17夕食後のメトホルミン塩酸塩錠の中止指示を行っていた。入院日の担当看護師は、内服自己管理であったため持参薬を全て患者へ返却した。○/13の日勤看護師は処方指示画面の確認を行わなかった。○/14の日勤看護師はメトホルミン塩酸塩錠が中止であることを確認したが、中止薬について患者に説明されているか、中止薬が回収されているか確認しなかった。○/14と○/15は検査のため内服中止が説明されており、患者はメトホルミン塩酸塩錠を服用しなかった。○/16の造影CT検査後に患者は朝食後薬を服用しており、中止指示のあったメトホルミン塩酸塩錠が服用されていたことに看護師が気付いた。
看護師は、ヨード造影剤使用時、ビグアナイド系糖尿病薬の投与を中止することを知らなかった。指示画面の確認、中止薬の回収確認を怠った。造影剤を使用する検査による休薬(中止指示)について患者に説明されていなかった。
・内服指示確認、中止指示に対する業務手順を遵守する。・ヨード造影剤とビグアナイド系糖尿病薬使用時の注意点について周知する。
nan
患者はメトホルミン塩酸塩錠を服用しており、かかりつけ医からの紹介状に記載はあった。患者自身が記載した造影CT検査の問診表の「糖尿病薬はありますか」には「はい」に丸を付けていたが、「服用している糖尿病薬名」の項目は記載がなかった。外来担当医、画像診断医師、診療放射線技師も確認を怠り、ヨード造影剤を投与して検査を実施した。誰も休薬の指導を行わず帰宅した。検査4日後、無尿・嘔吐等の症状が出現し、検査の結果、乳酸アシドーシス、急性腎不全にて緊急入院となり、緊急透析を施行した。
当該事例は土曜日の当日緊急CT検査の依頼であったが、他の曜日や予定CT検査の場合でもチェックが出来るようなシステムになっていなかった。2年前に薬剤部からDIニュースは発行されているが、医師は知らなかった。メトホルミン塩酸塩錠を投与している患者への内服中止・再開の説明について、外来では検査指示を出した医師から行うが、検査の同意書記載時や、検査後の外来診察時など、どのタイミングで行うかは医師により異なる。また、ヨード造影剤投与後のメトホルミン塩酸塩錠の休薬期間について、知らない医師も数名いた。入院中は医師もしくは薬剤師から説明をしている。後発医薬品であり当院採用ではなかったので誰も気が付かなかった。問診表に不備があったが、医師、診療放射線技師が確認をしていない。また、問診表に検査後の内服に関する説明をしたかどうかが分かる工夫はしていない。本来、紹介状は外来担当医が診察時に確認をし、問診表は検査施行時に画像診断科医師及び診療放射線技師が確認をする決まりである。造影CT検査を行った患者に対し、看護師もしくは診療放射線技師より、異常出現時は時間内であれば検査室、夜間帯であれば時間外外来に連絡するよう説明している。
・セイフティトピックスを発行する。・造影CT検査の問診表を改訂する。・画像診断センターに日本医学放射線学会ホームページで情報提供されているポスターを掲示し活用する。
nan
門脈塞栓術目的で入院予定となる。入院当日は朝食摂取可だったので糖尿病薬内服可と外来で説明した。入院後、糖尿病薬がメトグルコ錠で、治療時に造影剤使用のため検査前後各2日間休薬が必要と薬剤師から指摘された。
治療当日の入院だが、朝食を食べて良いという指示があったのでメトグルコ錠も内服してよいと思った。造影検査時の休薬について意識が及ばなかった。
・検査内容により内服薬中止の有無を確認する。
nan
CT検査の前後48時間は抗糖尿病薬メトグルコ錠の休薬指示があった。本人持参の薬は看護師管理としていたが、患者は退院処方の中からメトグルコ錠を取り出して内服していたことが分かった。
退院処方内に中止中のメトグルコ錠を入れたまま患者に渡してしまったこと及び、内服を自己管理にしたり看護師管理にしたりと統一されていなかったことが要因である。
・自己管理が難しい患者の場合、中止中のものは退院処方でも本人には渡さず、退院処方の薬袋に「中止中、○月○日~内服開始」などと患者本人に分かるようにメモを貼るなどして再発防止に努める。
nan
医療機関Aにてヨード造影剤使用のCT検査をした後、医療機関Bにて高血糖の為、メトグルコ錠が初めて処方された。メトグルコ錠交付時に造影剤使用時はメトグルコ錠を服用していると医師に伝えるようにと指導したところ、本日、医療機関Aにてヨード造影剤を使用しCT検査をしたと判明した。メトグルコ錠は、ヨード造影剤との併用により乳酸アシドーシスを起こすことがあるため、造影剤使用後48時間空けることを添付文書にて確認し、医療機関Bに疑義照会した。メトグルコ錠は2日後から服用開始となった。
医療機関Aは、CT検査の後、患者に説明の用紙は渡したが、ヨード造影剤を用いたCT検査をしたことや、メトグルコ錠との併用についての注意喚起は医療機関Bに行わなかったと思われる。
・医療連携は必要だが、薬剤師としてもメトグルコ錠服用時にCT検査をする場合の注意をするようにしていく。
nan
手術終了後、後頚部の皮下ドレーンを頚部に2ヶ所固定していた。腹臥位から仰臥位に体位変換し退室用ベッドに移動する前に、気管チューブ、末梢静脈ライン、動脈圧ライン、膀胱留置カテーテル、皮下ドレーンが抜去されないように位置の確認を行った。診療科医師3名、麻酔科医師1名、看護師2名でゆっくり体位変換を行ったが、皮下ドレーンが退室用ベッドの角に引っ掛かり抜去された。
テープ固定はマニュアル通り2ヶ所に行っていた。体位変換およびベッド移動前に、全てのドレーン・チューブの長さが足りるか、引っ掛かりがないか確認した。手術台と退室用のベッドの位置関係の確認が不十分であった。他スタッフとの連携が不足した。
・体位変換およびベッド移動前は、手術台と退室用のベッドの位置、ドレーン・チューブの位置やたるみを他スタッフと共に確認する。
手術
手術中に腹臥位にて関節鏡を実施後、骨接合を実施するために、腹臥位で手術台に臥床している患者を仰臥位にし、リカバリーベッドに移乗することとなった。普段は、手術台の中央から患者を一旦端に寄せて、90度身体を回転させたところで止め、腹臥位から仰臥位に、回転しながらリカバリーベッドへ移乗していた。移乗は6名の医師・看護師で行った。麻酔科医師Aは手術台側の患者の頭側、整形外科医師Bは患者の上半身付近、看護師Cは下半身付近に立った。麻酔科医師Dは移動するリカバリーベッド側の患者の頭側、整形外科医師Eは上半身側、整形外科医師Fは下半身側に立った。整形外科医師の「移動の準備は良いか?」との声かけで、手術台の中央からリカバリーベッドへ一度に患者を回転させて移乗した。その際に、手術台の患者の頭側付近(整形外科医師Bの近く)に掛けていた採尿バッグを移動しなかったために、チューブが引っ張られ、蒸留水10mLが入ったまま膀胱留置カテーテルが抜去された。尿道から少量の出血が認められたため、医師は尿道損傷を疑い、直ちに圧迫止血した。数分後には出血は認められなくなった。泌尿器科当直医が診察し、膀胱留置カテーテルを再留置して、手術を継続し終了した。
手術予定時間を超えていることもあり、急いでいた。体位変換に6名の医師・看護師が関わっていることで、誰かが確認しているだろうとお互いに思っていた。チューブ類が少なく注意する気持ちが散漫になっていた。麻酔科医師が研修医であり、移動時の声かけ、先導ができなかった。麻酔科医師も整形外科医師の率先した行動に追随してしまった。
・移動時・体位変換時のタイムアウトの手順を作成し、その手順に沿ってチューブ類の確認を行い、移乗をする。
手術
CT検査のため、医師3名、看護師1名で用手換気にてベッドごとCT検査室へ出棟した。医師が患児の身体、頭、気管チューブを持ち、ベッドからCT検査台へ移動した。左右の手背に点滴ラインを挿入中であり、看護師、診療放射線技師は、点滴ラインやモニタの移動をしていた。CT検査中は医師2名が付き添った。20時35分に検査が終了した後、患児をCT検査台からベッドに移動するために体を持ち上げた際、医師は蘇生バッグを気管チューブに接続したまま患児を移動した。この時、医師は指で気管チューブを固定しておらず、抜去となった。SpOは100%と低下はなかっ2た。医師が呼吸音を確認し、チューブが気管内に入っていないと判断した。急遽、バッグバルブマスク換気にて病棟に帰室した。20時43分に再挿管し、以後SpOは99%にて経過した。2
多くの職種が患児に関わっており、移動時のリーダーが誰か曖昧なまま移動を行った。それぞれが十分に声をかけず、お互いの行動を把握せず移動を行った。蘇生バッグを気管チューブにつけたまま移動をした。
・蘇生バッグを気管チューブから外して移動する・テープでの固定だけでなく、移動時は指で気管チューブの固定をしっかりする。・移動時はお互いに声をかける。
検査・処置