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「すごーい! サウルは頭良いね!」 |
「いや、ええと、僕の家は貧しかったので出汁とか知らなかったと思います。多分、前世知識かな?」 |
ピラフもスープも美味しかったのに、何を生意気なことを言ってるんだ僕は。恥ずかしい! とか、思ってるうちに凄く眠くなってきて、あっという間に寝ちゃった。 |
ざわざわっと、声が聞こえる。目は見えなくて真っ暗で。体はぴくとも動かないけど。 |
「サウル君、どんな感じなんです? 四大術が使えて、神術も、闘気法も使えて、私からすると末恐ろしい感じですけど」 |
「あー、まーよ。 |
四大術の実技に関しては駆け出しの域は超えてるな。魂倉のスタミナも大したもんだ。容量がでかいのか、効率が良いのかわからねぇけどよ。発動の早さも悪くねぇな。 |
ただ、術に意識を取られすぎるのが問題か」 |
「まぁ今日初めてですからね。神術に関しても同じです。 |
サウルが5才じゃ無くて15才なら、冒険者に放り込んでも大丈夫でしょうね」 |
「そうですな。何にしても、サウル君は体が小さい。 |
骨格もよろしくないし、肉付きも悪い。 |
だから、動かそうと言う意識はあっても体が付いてこないし、直ぐ息が切れるから隙ができる。 |
闘気法の使い方自体は憎らしいほどなんですがなぁ。私には昨日今日始めた初心者とは思えんですよ」 |
「すごいですね……。古代文字も読めるし、計算もできて。3つも術が使えるなんて」 |
「まーなー。確かによー。2つってーのはたまに聞くな。大体、何かと闘気法だ。3つってのは聞かねぇやな。 |
俺は四大術だけだが、そこの美人秘書様は四大術と闘気法だ。でもよ、四大術は長年やってもぱっとしねぇじゃねぇか。大体どいつもこいつもそんなもんだ。両方モノにした奴ってのは大体ハッタリだぜ? それがそこのクソガキは実践したてで駆け出し卒業ときたもんだ。それも全部だ。 |
ほんと、このクソガキはどーなってんだかよ?」 |
「すごい……。唾つけとこうかしら……」 |
「おいおい、止せよ。クソガキが大人になる頃は、おめー、ひ孫が居る年だ……! あ! イテテテ! くっそ、テメ、この、ご主人様に向かってなにしy! イタ! くっそ! 悪かったよ! お前らほんとめちゃめちゃおにあい! くっそ! いてー!」 |
楽しい人達だなぁ、と、何か他人事のように聞いてた。そっかー、僕、中々なんだ? 良く分からないけど。 |
ぼんやりしてると、目が醒めた。13時半くらい。 |
「お、起きたかクソガキ。おめーのせーでえらい目に遭ったぞ」 |
アラン様がブツブツ言いながら近づいてきた。あ、体の下に布が敷いてある。 |
「あ、すいません」 |
思わず謝ってしまうと、セレッサ様が凄く良い笑顔で |
「いいんですよ、アラン様の自業自得なんですから」 |
「え? そうなんです?」 |
アラン様は渋い顔。 |
「まぁいいけどよ。初めてだし、魂倉の回復もあるだろうから、今日はここまでだ。まだ半分も戻ってねぇだろ?」 |
ホントはもう全快になってるんだけど、黙っておく。 |
ロジャーおじさんが、教えてくれた。あの状態からなら、普通は6時間の睡眠か、2時間の瞑想が必要だって言ってた。僕は1時間の仮眠でそれをやったわけで。 |
「そうそう、聞いておきたいことあるか?」 |
「えっと、術の発動って、もっと早くなりますか? 今回、僕の術は発動まで6秒から7秒掛かってました。命のやり取りする時なら大変だと思うんです」 |
「あー、そうだな。あんま変わんねぇ。慣れた術だと2秒以下ってのはあるけどよ。 |
あ、昔、早撃ちって言われた奴が1秒の半分以下でファイアボールぶっ放してたって言うけどなー。ほんとかどうかわかんね。 |
発動時間は手順的に画期的な手はねぇな。少なくとも俺は見つけてねぇ。だから、俺ら術者は前衛に発動時間を稼いで貰うって訳だ」 |
「それなんですけど。多分、良い手が有ると思うんです」 |
「けっ。んな、昨日今日始めたばかりのポッと出が、数百年の歴史をひっくり返せるかよ。……まぁいいや、論破してやるから言ってみ?」 |
「毎回毎回、新しく術を魂倉と一緒に中間物を構成しますよね。あれ、エーテル通して術にした後、捨ててるじゃ無いですか。あれ、どうにかなりませんか?」 |
「けっけっけ! 残念だったな! 俺も昔試したけどよ。1回エーテル通すとスカスカに劣化してよー? できた術は使いもんにならなかったぜ!」 |
アラン様すごくうれしそう。くそー。ここからなんだもんね。 |
「ええ、それはさっき試しました。でもですね。あの中間物、《《複製》》できますよね?」 |
「それもさっき試してたんか?」 |
「はい」 |
「よーし、良い度胸してやがんな、続けてみ?」 |
「複製した中間物で生成した術も原盤と変わらない術になります」 |
「まぁそうだけどよ、それは実戦じゃ使えねぇ。状況に合わせた術を使わなきゃならんし、結局切り替える度に中間物を一から作る羽目になるからな」 |
「中間物を永続的に保存し、かつ任意のタイミングで取り出せるとすれば?」 |
アラン様と脇に居たセレッサ様の顔が怖くなる。 |
「魂倉の中に潜ると、《《地の領域》》が有るじゃ無いですか。 |
あそこに《《部屋》》を作り、《《呪文書》》を置くんです。使う時には、適当な呪文の中間物を《《呪文書》》から喚起、複製します」 |
「でもサウル君、魂倉内の構成物は術者の干渉が無くなると、すぐに同化されてしまうわよ?」 |
「霊的センターと部屋にパスを結んでおくんです。地水火風空の五元素全てでパスを結ぶと魂倉は、術者と繋がったままと認識するので部屋は崩壊しません。さっきご飯を食べる前に作った部屋は、睡眠を挟みましたけど、まだ残ってますよ」 |
「おい、クソガキ。その部屋は、どれくらい持つんだ?」 |
「んー、時折手入れすればずっと、だと思うんですが。手入れの間隔は分かりません。ほら、今初めてやったばかりですから」 |
「ケッケッケ! 面白ぇ! 面白ぇじゃねーか、クソガキ! |
くっそ、クソガキ! 俺様の先に行きやがって、お前気に入らねぇ! |
でもよ! |
危険性、難易度、どんな術でもいけんのか? どんだけ保管できるよ? |
検証すべきことが色々有るじゃねぇかよ! たまんねーな! み・な・ぎってきたー! ギャハハ! ヒヒヒヒヒ!!」 |
そういうと、アラン様は広場の向こうに走っていった。入り口を開けた場所の方。すごい勢いで走って行って、直ぐ戻って来た。うん。まぁ入り口開けてないからね。 |
「おい、クソガキ! 入り口開けろ。んですぐ行くぞ!」 |
「どこにです?」 |
「大学だ! んで、実験して論文書くぞ! お前共著者な。古代文字いけるんだから大丈夫だろ?」 |
「え? あの、僕、ただの村人で5才の子供ですよ?」 |
「馬鹿か! 才能に年齢は関係ねーんだよ!」 |
「アラン様が良くても、周りの方が認めないんじゃ無いかと思うんです」 |
「そうですよ、アラン教授。ハンナちゃんのことでも、かなり色々言われてるんです。またここで騒ぎを起こすのは……。それに、この村で力を蓄えさせるんでしたよね? 落ち着いてください、教授」 |
セレッサ様がフォローしてくれた。すると、アラン様は落ち着いたけど、機嫌悪そうになった。 |
「ちっ、くっそつまんね。あの凡俗どもが、いつもいつもこの天才様の足引っ張りやがって……。まぁいい。王都行きはまた今度な! そんときゃよ、派手にやってやっからよ! ギャハハ!」 |
いえ、結構です。と思ったけど、懸命な僕は口に出さなかったよ。大人になったなぁ。5才だけど! |
と思ってたら、アラン様が咳の発作を起こしてセレッサ様に介抱されていた。ホントこの人は……。 |
【タイトル】 |
019 泡倉と修行4 海と管理人 |
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