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【公開状態】 |
公開済 |
【作成日時】 |
2017-07-22 21:59:32(+09:00) |
【公開日時】 |
2017-07-22 21:59:32(+09:00) |
【更新日時】 |
2017-07-22 21:59:32(+09:00) |
【文字数】 |
3,768文字 |
【本文(126行)】 |
セレッサ様とハンナがアラン様の介抱をしている間に、竈などの片付けを行っていく。最初は僕の権能で片付けようと思ったんだけど、それじゃ修行にならないと言うことで四大術を使っていく。 |
固定された術なら、単に《《呪文書》》から呼び出すだけでも良いけど……。こういう範囲が可変になる作業は、それじゃ駄目。範囲毎に術を作っていったんじゃ、前と変わらないよ。 |
んーーー。 |
あぁ、《《引数》》、つまり《《パラメータ》》を与えて呼び出す形にすれば良いんじゃ無いかな。例えば、今のこの「竈を土に戻す」という場合だと、竈の材質と範囲、実行速度辺りを引数にして術を設計すれば……。 |
受け口、についても、同じ術に幾つかあると楽だよね。見た目で指定する時と、長さを指定したい時、とにかくぶっ放したい時。同じ術で受け口があると楽。 |
……となると……。 |
「サウル、難しいのかい?」 |
神官様が心配そうに話しかけて来た時には、おおよそできてた。 |
「いえ、ちょっと術の改良を……、あ、できました……『《《リターントゥザグラウンド》》』」 |
「おお、早い! そして綺麗だね。しかもちゃんと周りの地面と同じようになってる。昔、こういう術のお世話になってた頃があるけど、あんまり《《綺麗》》《《になりすぎる》》んで、探索役と一緒にカモフラージュしたもんだけどね」 |
慣れない術だったんで、術の名前を口に出してみたんだ。この方が、負荷が分散される感じがして楽だね。他の荒れた地面を均していく。 |
「神官様、この後はどうされますか?」 |
「そうだね、ちょっと付近を見てこようかと思ってる。 |
あ、そうそう、サウル。つい言いそびれていたんだけどね。私たちを呼ぶ時には名前で呼んでくれるとうれしい」 |
「しかし、身分が違いますし……」 |
そう、神官様は、本来は王都の貴族と聞いたことがあるんだよね。何か事情があってこの村に赴任されたけど、本当は王都で活躍される方、と、父と村長さんが話してたんだ。 |
「困ったね。どこで聞いたのか分からないけど、今はただの神官だよ。役職で呼ばれるとどうも他人行儀に感じちゃってね。仲間になってくれないかい?」 |
「は、はい」 |
そう言われると、仕方が無い。 |
その後、アラン様も交えて話をして、海に行く事になったんだ。まぁほとんどアラン様の我が儘みたいなもんだけど。ほんとアラン様って……。 |
海岸までは、1km弱。道は無いので、森を歩く。普通なら結構な時間が掛かるんだけど……。 |
「ヒャッヒャッヒャッ! おい、クソガキ! しっかり《《練習》》しろよ! 追いついちまうぞ!」 |
僕が先頭に立って、道を作りながら海岸に進んでいる。木を避けるのは泡倉の権能でやって、道を均すのは四大術。道の幅は4m程。無駄に広いし! しかも歩きながらなんて! 結構大変だよこれ! |
僕はハンナと同じくらい体が小さくて、大人の人と一緒に歩くだけでちょっと駆け足になっちゃうのに。ほんとヒドい! |
アラン様がヒドいことを言うのに、他の人は全然とがめない。大人としてどうなの? |
白い砂浜が見えると、アラン様が僕を追い抜いていった。慌ててセレッサ様とハンナが追いかけていく。 |
後からゆっくり神官様、えっとセリオ様と、戦士のマルコ様が歩いて行った。僕もとぼとぼと後を追う。 |
「お、なんだこの枝みたいな奴? 緑に、赤に……? どっかで見たな、おい、セレッサ! これなんだっけ?」 |
「アラン様! これ、珊瑚ですよ。海から取れる宝石!」 |
「マジか! こりゃ一財産じゃねーか! おい、クソガキ! あ、いやサウル様! これくれ!」 |
なんというか、いっそ清々しいな、アラン様は……。 |
「ええ、いいですよ」 |
「だよなー、やっぱ駄目だよな。まぁ聞いてみ……?! え?! おい、正気か!」 |
「聞いたのはアラン様じゃないですか」 |
「いや、ええと。すまん。やっぱ止めとくわ。つーかな、お前、俺様が悪い奴だったらどうすんだよ」 |
「え? アラン様、こんなクソガキを搾取する悪い奴なんです?」 |
「くっそ、このクソガキ! まぁいい。ところでよ、この海、ちゃんと海なんだよな? 魚もはねてるしよー」 |
「ですね-。さっき見た時には結構見えましたよ」 |
「お。向こうには島か? 鳥も飛んでるしよ。不思議なもんだな、ここは。海は深いのか?」 |
「えーと」 |
『最深部は20kmでございます、サウル様』 |
知らない男性の声が頭にすっと入ってきた。渋くて低い。セリオ様よりお年かも。 |
『えっと、どなたです?』 |
『この様な形でお目に掛かること、お詫び申し上げます。私、泡倉管理人セニオリブスと申します。セニオとお呼びください』 |
『……分かりました。後でゆっくり話しましょう。何か有りましたら補足お願いします』 |
『はっ』 |
「どしたー?」 |
「あ、ええと、一番深いところは20kmですね」 |
「マジか! 落ちたら大変じゃねぇか」 |
「え? アラン様泳げないんですか?」 |
「ば、ばっか、おめー、この天才が泳げねぇわけねーだろ? ふざけんな」 |
あ、泳げないんですね。懸命な僕は黙っておく。処世術という奴だね。僕も多分泳げないし。 |
その後、程良く温まった砂浜で遊び回ったよ。 |
僕とハンナは、どっちが高い山を作れるか競争したり、海の深いところに歩いて行けるか競争したり。 |
釣りをしようという話もセリオ様から出たんだけど、網もモリも釣り竿もないから諦めようかと、一端まとまったんだよね。しょうがないよね、という感じで。ところがそこで、入り口開けて取ってくれば良いじゃ無いかとアラン様が言い出したんだよね。 |
こっそりセニオさんに聞いたら大丈夫というので、その場で開けると、マルコ様が神殿からモリを取ってきてくださった。 |
散々遊んで、魚や貝を捕ってお土産に。荷物は全部持ってきてたので、最初の広場には戻らず、神殿に帰ったよ。 |
捌いた魚やら貝は、夕食に出たよ。初めて食べる味の筈なのに、とても懐かしくて涙が止まらなかったんだ。 |
残った魚は桶に氷を一杯入れて、その中に突っ込んで保存。氷は僕が出したよ。 |
昼間提案した方法で、ひな形になる氷作成の術を作って、引数に氷の大きさと形と数を指定して起動すると、ざらざらざらーーーーーっと直径2cm程の氷が。普通は大きな氷が一個出るだけだって言うから、僕が奥様、じゃなかったええとマリ様に説明したんだ。マリ様は凄く驚いてたよ。そのマリ様の様子を視て、アラン様が余計なことを言って怒られてた。 |
そうそう。アラン様達は、明後日には村を出るのだそうだ。ほんとはもっとゆっくりするつもりだったけど、今日の術の話で気が変わったんだって。 |
セリオ様がやんわり引き留めるけど、アラン様の意思は固いみたい。ハンナが泣きそうになってた。僕? 僕は全然平気だよ。 |
食事が終わり、部屋に戻ると、僕はその場で入り口を作って泡倉の広場に移った。ロジャーおじさんにも出てきてもらう。 |
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