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V14N04-04
近年,構文解析は高い精度で行うことができるようになった.構文解析手法は,ルールベースのもの(e.g.,\cite{Kurohashi1994}),統計ベースのもの(e.g.,\cite{Kudo2002})に大別することができるが,どちらの手法も基本的には,形態素の品詞・活用,読点や機能語の情報に基づいて高精度を実現している.例えば,\begin{lingexample}\single{弁当を食べて出発した}{Example::Simple}\end{lingexample}\noindentという文は,「弁当を$\rightarrow$食べて」のように正しく解析できる.これは,「〜を」はほとんどの場合もっとも近い用言に係るという傾...
V15N04-04
計算機科学でいう「オントロジー」とは,ある行為者や行為者のコミュニティーに対して存在しうる概念と関係の記述であり「概念」というのは,何らかの目的のために表現したいと思う抽象的で単純化した世界観である(Gruber1992).認知科学では,「概念」について外延的意味(事例集合で定義された意味)と内包的意味(属性の集合から定義された意味)の見方があるとする\cite{Book_02}.我々の認知活動の中で,概念化は,語,文,文脈,動作の仕方,事柄,場面など,様々なレベルで行われている.では,なぜ対象の概念化が必要かというと,河原では,MedinandGoldstone\nocite{book_24}を引用して「概念」の機能を次のように述...
V14N02-01
シソーラスは,機械翻訳や情報検索のクエリー拡張,語の曖昧性の解消など,言語処理のさまざまな場面で用いられる.シソーラスは,WordNet\cite{Miller90}やEDR電子化辞書\cite{EDR},日本語語彙大系\cite{goitaikei}など,人手で長い年月をかけて作られたものがよく用いられている\footnote{2003年からはWordNetだけに焦点を当てたInternationalWordNetconferenceも開催されている.}.しかし,こういったシソーラスを作成するのは手間がかかり,また日々現れる新しい語に対応するのも大変である.一方で,シソーラスを自動的に構築する研究が以前から行われている\cite{...
V09N03-01
決定リストとは統計的なクラス分類器である.自然言語処理の多くは,クラス分類問題として捉えることが可能であり,近年,様々な自然言語処理において,決定リストによる手法の有効性が示されている\cite{Yarowsky:unsupervised,新納:日本語形態素解析,宇津呂:コーパス,白木:複数決定リスト}.特に,語義曖昧性解消問題に対しては,語義曖昧性解消システムの性能を競う競技会であるSenseval-1において,決定リストを階層的に拡張した手法が最も良い成績をあげている\cite{Yarowsky:Hierarchical}.クラス分類器としては,分類精度の点だけでいえば,最近ではサポートベクタマシン\cite{vapnik95n...
V10N03-04
本論文では,Nigamらによって提案されたEMアルゴリズムを利用した教師なし学習の手法\cite{nigam00}を,SENSEVAL2の日本語翻訳タスク\cite{sen2}で出題された名詞の語義の曖昧性解消問題に適用する.その結果,通常の教師付き学習で得られる分類規則の精度を向上させ得ることを示す.自然言語処理では個々の問題を分類問題として定式化し,帰納学習の手法を利用して,その問題を解決するというアプローチが大きな成功をおさめている.しかしこのアプローチには帰納学習で必要とされる訓練データを用意しなければならないという大きな問題がある.この問題に対して,近年,少量のラベル付き訓練データから得られる分類器の精度を,大量のラベルな...
V10N01-03
文書データベースから必要な文書を検索する場合,対象となる文書を正確に表現する検索式を作成する必要がある.しかし正確な検索式を作成するためには,検索対象となる文書の内容について十分な知識が必要であり,必要な文書を入手する前の検索者にとって適切な検索式を作成するのは難しい.レレバンスフィードバックはこの問題を解決する手法であり,システムと検索者が協調して検索式を作成することで,検索者にとって容易かつ高い精度で文書検索を行う手段である.検索者はまず初期の検索条件を与え,この検索条件により検索される文書からシステムが特定のアルゴリズムに従ってサンプル文書を選択する(本稿ではこの選択アルゴリズムをサンプリングと呼ぶ).サンプル文書から検索者が...
V12N05-07
\label{sec:hajime}最近、種々の応用を睨んで言い換えの研究がさかんになっている\cite{inui02,acl03}。例えば、語彙的言い換えの研究\cite{yamamoto02}は種々の応用に役立つ。また、機械翻訳の前処理や評価\cite{kanayama03}、情報検索、質問応答、情報抽出の柔軟性を上げること\cite{Fabio03,Shinyama03}、年少者や初心者向けの教科書やマニュアルを読みやすくする、などは直接的に役立つ応用である。似た研究としては聾唖者に理解し易いテキスト言い換えもある\cite{inui-acl03}。また、非母国語話者が理解しやすいように簡易な言い方に言い換えることも有意義であ...
V08N02-01
本論文では日本語単語分割を分類問題とみなし,決定リストを利用してその問題を解く.このアプローチは文字ベースの手法の一種となり,未知語の問題を受けないという長所がある.また分類問題ととらえることで,ブースティングの手法が適用できる.その結果,単独の決定リストを利用するよりも,さらに精度を向上させることができる.日本語形態素解析は,日本語情報処理において必須の要素技術であり,その重要性は明らかである.日本語形態素解析は単語分割と分割された単語への品詞付与という2つのタスクをもつ.正しい単語分割からは英語の品詞タガーなどの技術を利用して,高精度に品詞付与ができるために,日本語形態素解析の本質的に困難な部分は単語分割である.特に未知語の問題...
V09N01-03
\label{sec-intro}音声対話システムとは,ユーザとの音声対話を通して,あらかじめ決められたタスクをユーザと協同で実行するシステムである.タスクとは,音声対話システムごとに定められた作業のことであり,たとえば,各種の予約,個人スケジュールの管理といったタスクがある.近年の音声情報処理技術,自然言語処理技術の発展に伴って,様々なタスクにおいて音声対話システムが実現されてきている~\cite{TRIPS,DUG1,PEGASUS}.音声対話インタフェースは,人にとって親しみやすく,手や目を占有しないという利点をもつ.人とコンピュータが,円滑な音声対話を通して意思疎通できるようになれば,音声対話は理想的な人−コンピュータのイン...
V20N02-08
label{intro}述語項構造解析は,言語処理分野における挑戦的な研究分野の一つである.この解析は,自然文または自然文による文章から,「誰が,何を,誰に,どうした」というような,基本的な構造情報を抽出する.これらの情報は,文書要約や機械翻訳など,他の応用的な言語処理研究に不可欠なものであり,その他にも幅広い応用が期待されている.図\ref{example1}に,日本語の述語項構造の一例を示す.この例では,「行った」が\textbf{述語}であり,この述語が二つの\emph{項}を持っている.一つは\textbf{ガ格}の「彼」,もう一つは\textbf{ニ格}の「図書館」である.このように,述語とそれに対応する項を抽出し,\te...
V12N01-04
省略補完や代用表現の解釈といった対話理解のための対話構造のモデル化と解析は,音声対話を対象にした機械翻訳の分野で特に重要とされている.これに対し,チャット対話を対象とした対話構造のモデル化と解析は,情報抽出やコミュニケーション支援といったチャット対話を言語資源として利用する研究分野においても重要とされている\cite{Khan:02,Kurabayashi:02,Ogura:03}.このような分野では,「現在話されている話題は何か」「誰がどの話題について情報をもっているか」といった情報を獲得することが必要であり,各発言の相互の関係を示す対話構造を同定する必要がある.チャット対話では,表\ref{tbl:chat}のようにメッセージを...
V16N01-05
\label{sec:intro}単語オントロジーは自然言語処理の基礎データとして様々な知識処理技術に利用されており,その重要性は年々高まっている.現在広く知られている日本語オントロジーとしては,例えば日本語語彙大系\cite{goitaikeij}等が挙げられる.日本語語彙大系は人手により編集された大規模オントロジーであり,約3,000の意味カテゴリーを木構造状に分類し,約40万語を各意味カテゴリーに割当てている.しかしながら,これらは翻訳への適用を主な目的として作成されており,利用目的によっては必ずしも適切な分類とはならない.言い換えれば,オントロジーは利用目的に応じて異なるものが求められるのである.ところが,オントロジーの作成...
V16N05-04
\label{sec:introduction}テキスト中の含意関係や因果関係を理解することが,質問応答,情報抽出,複数文章要約などの自然言語処理の応用に役立つと知られている.これを実現するためには,例えば,動詞「洗う」と動詞句「きれいになる」が,何かを洗うという行為の結果としてその何かがきれいになるという因果関係である,といったような知識が必要である.本論文では,事態と事態の間にある関係を大規模にかつ機械的に獲得するための手法について述べ,この手法を用いた実験結果を示す.因果関係,時間関係,含意関係等の事態間関係を機械的に獲得するための研究が既に存在する~\cite[etc.]{Dekang-Lin,inui:DS03,chklo...
V25N05-02
label{introduction}ニューラル機械翻訳\cite{bahdanau2014neural,sutskever2014sequence,cho2014learning}は,ソース言語を数値ベクトルによる分散表現で表し,それをニューラルネットワークを用いて変換して求めた数値ベクトルからターゲット言語の単語列を求めることで翻訳を行う手法である.従来の統計的機械翻訳\cite{koehn2003statistical}では対訳コーパスから求めた変換規則の確率を用いてソース言語の単語やフレーズをターゲット言語への単語やフレーズに変換していたため,フレーズ同士の長い区間でのつながりが十分に反映されていなかった.これに対して,ニュ...
V07N04-02
韓国語言語処理について述べる.朝鮮半島は日本にとって歴史的,経済的,社会的に関係の深い周辺地域であり,その意味において韓国語は非常に重要な外国語の一つである.また言語的に,韓国語は日本語に類似する特徴を最も多く持つ言語,つまり日本語に最も近い言語と考えられている.すなわち,日本語言語処理にとって最も参考にすべき外国語が韓国語である.このような背景にも関わらず,日本における韓国語処理,特に日韓翻訳や韓日翻訳に関する研究は,十分に議論されているとは言えない.韓国語は日本語に最も類似した言語であるが故に機械翻訳も容易であり,研究の必要性は低く見られがちである.しかし日韓翻訳に関して文献\cite{日韓評価}が指摘するように,市販システムの...
V26N03-02
世界的に高齢化が進む中,高齢者の社会からの孤立は特に深刻な課題である.内閣府の調査では,65歳以上の高齢者のうち夫婦または単身で生活している高齢者の割合は56.9\%で,子ども世代と同居している高齢者の割合の39\%に比べて高くなっている\cite{naikakufu1}.また,60歳以上を対象にした「対面だけではなくメールや電話も含めてどのぐらいの頻度で他者と対話するか」という調査では,一人暮らしの高齢者のうち男性では7.5\%,女性では4.9\%が週に1度以下しか他人と会話しないという結果が出ている\cite{naikakufu2}.このような社会的な背景から,高齢者の話し相手となる対話システムの研究が盛んにおこなわれており,高...
V03N03-03
\vspace*{-1mm}機械翻訳システムは,巨大なルールベースシステムであり,NTTにおいて開発を進めている機械翻訳システムALT-J/E~\cite{Ikehara89,Ikehara90}でも,1万ルール以上のパタン対ルール(翻訳ルール)を利用している.他のルールベースシステムと同様,機械翻訳システムにおいても,ルールベースの作成・改良工数は大きな問題であり,特にそのルール数が巨大なだけに,その工数削減が強く望まれている.ルールベースの構築・保守を支援する手法として,近年,事例からの学習を利用する研究が活発となっている.機械翻訳システムにおいても,ルールベース構築への学習技術適用が試みられており,田中は,英日翻訳事例(コーパ...
V10N03-07
われわれは2001年に行なわれたSENSEVAL2\cite{senseval2}の日本語辞書タスクのコンテストに参加した.このコンテストでは,日本語多義性の解消の問題を扱っており,高い精度で日本語多義性の解消を実現するほどよいとされる.われわれは機械学習手法を用いるアプローチを採用した.機械学習手法としては多くのものを調査した方がよいと考え,予備調査として先行研究\cite{murata_nlc2001_wsd}においてシンプルベイズ法,決定リスト法,サポートベクトルマシン法などの手法を比較検討した.その結果,シンプルベイズ法とサポートベクトルマシン法が比較的よい精度を出したのでその二つの機械学習手法を基本とすることにした.また,...
V20N02-02
\label{First}ロボットと人間との関係は,今後大きく変化していくと考える.今までのような単純な機械作業だけがロボットに求められるのではなく,例えば施設案内や介護現場のサポート,愛玩目的,ひいては人間と同じようにコミュニケーションを行うパートナーとしての存在も要求されると考える.このとき,人間との円滑なコミュニケーションのために必要不可欠となるのが会話能力である.あいさつや質問応答,提案,雑談といった様々な会話を人間のように行えてこそ,自然なコミュニケーションが実現すると考える.ロボットがこういった会話,とくに提案や雑談といった能動的なものを行うためにはそのためのリソースが必要である.例えば日々の時事情報が詰まった新聞などは...
V09N04-04
\label{hajimeni}情報検索の結果から検索意図に適合する文書をふるいわけるのに,文書内容に対する手がかりとして要約が用いられる.このようなindicativeな目的に用いられる要約の目標は,できるだけ短い時間で正確な判断ができることである.多くの自動要約システムでは,単語の頻度や文の出現位置などの情報を用いて文ごとにスコアを付与し,高スコアの文をピックアップする方法(以降では重要文選択と呼ぶ)を採用している.この方法では長く複雑な文が選ばれがちである.このような要約を読むには,頭の中で文の構造を再構築するプロセスが必要になり,読者にとって負荷になる.我々は,この負荷を軽減するため,「読む」のではなく「一目でわかる」要約,...
V20N02-07
\label{sec:introduction}文字による記述だけでなく,画像も付与された辞書は,教育分野\cite{Popescu:Millet:etc:2006}や言語\linebreak横断検索\cite{Hayashi:Bora:Nagata:2012j}での利用,子供や異なる言語の話者\cite{Suwa:Miyabe:Yoshino:2012j},文字の認識に困難を\linebreak伴うような人とのコミュニケーションを助けるツール\cite{Mihalcea:Leong:2008,Goldberg:Rosin:Zhu:Dyer:2009}の構築に使うことができるなど,様々な潜在的な可能性を持っている.そのため,本稿では...
V24N02-01
\label{sec:introduction}自然言語処理において高度な意味処理を実現する上で,同義語の自動獲得は重要な課題である\cite{inui}.例えば,近年の検索エンジンのクエリ拡張においては同義語辞書が用いられている\cite{utsumi}が,新出単語に対し全て人手で同義語辞書を整備することは現実的ではない.同義語の獲得には様々な手法が提案されている.例えば笠原ら\cite{kato}は国語辞典を用いて,見出し語に対して語義文により単語のベクトルを作成した後,シソーラスにより次元圧縮を行う方法で同義語の獲得を行った.また,渡部ら(渡部,Bollegala,松尾,石塚2008)は,\nocite{watanabe}検索...
V08N03-05
\label{sec:introduction}よく知られているように,人間が英語を日本語に翻訳するとき,英語の代名詞を日本語の代名詞としては表現せず,ゼロ代名詞化したり他の表現に置き換えたりすることが多い.これに対して,従来の英日機械翻訳システムでは,多くの場合,英語の代名詞はそのまま日本語の代名詞に訳される.このように代名詞を直訳すると,英文が伝えている意味と異なる意味を伝える訳文が生成されたり,文意は同じでも不自然で読みにくい訳文が生成されてしまうという問題が生じる.従って,品質の高い英日機械翻訳システムを実現するためには,ゼロ代名詞化する必要のある代名詞や他の表現に置き換えるべき代名詞を直訳しないようにすることが重要な課題と...
V22N05-03
\label{sec_intro}近年,ブログ等の個人が自由に情報を発信できる環境の爆発的な普及に伴い,膨大なテキスト情報がWeb上に加速度的に蓄積され,利用できるようになってきている.これらの情報を整理し,そこから有益な情報を得るためには,「誰が」「いつ」「どこで」「何を」といった情報を認識するだけでなく,文に記述されている事象が,実際に起こったことなのかそうでないことなのかという情報を解析する必要がある.我々はこのような,文中の事象に対する,著者や文中の登場人物による成否の判断を表す情報を事実性と呼ぶ.\eenumsentence{\item[a.]\underline{\mbox{商品Aを使い}}始めた。\item[b.]\u...
V08N01-04
情報検索の分野は,欧米において過去数十年の間に,英語を中心とした文書を対象に研究が盛んに進められ,高速な文字列検索アルゴリズムや自動索引づけなどに多くの成果が得られた.これらの技術が基礎となり,大規模な文書集合に対する検索技術,新しい評価技術の向上を目的として,TREC(TextREtrievalConference)\footnote{TRECワークショップホームページ:http://trec.nist.gov}などのコンテストが開催され,新しい技術の開発やこれまでの技術の改良などが活発に行われている.日本においても,情報抽出,検索技術に関する研究が盛んに行われ,数多くの優れた日本語情報検索システムが提案されている.このようなシス...
V26N02-02
テキストのリーダビリティ評価は,人間の作文の評価だけでなく,機械による文生成の評価においても重要な問題である.日本語のリーダビリティ研究は表記や語彙の難易度など表層的な情報に基づいて,テキストの難易度の評価モデルとして研究が進められてきた\cite{渡邉-2017,李-2011,柴崎-2010,佐藤-2011}.しかしながら,既存のモデルのほとんどは読み手を陽に仮定していない.リーダビリティは,眼球運動に基づく読み時間により,直接的に評価できる.筆者らは視線走査装置に基づいた読み時間データを整備するだけでなく,統語・意味分類や情報構造との関連について調査してきた.単語や文節の統語・意味分類が読み時間にどのように影響を及ぼすかだけでな...
V12N03-03
近年のWroldWideWeb(WWW)の急速な普及により,世界中から発信された膨大な電子化文書へのアクセスが可能になった.しかしながら,そのような膨大な情報源から,必要な情報のみを的確に得ることは困難を極める.的確な情報を得るために,テキストを対象とした文書分類や情報の抽出などの様々な技術が注目され,研究されている.しかしながら,Web上に存在するのはテキスト情報だけではなく,表や画像など様々な表現形式が使用されている.ここで,表形式で記述された情報について着目する.従来の情報検索システムなどでは,表はテキストとして扱われることが多かった.表は属性と属性値によって構造化された情報であり,その特性を考えると,表をテキストとして扱うの...
V17N04-06
近年の音声合成技術の進歩により合成音声によるカーナビのガイダンスやパソコンによるテキストの読み上げなど様々な場面で合成音声が聞かれるようになった.また,Webを読み上げるための取り組みが進められており,Webコンテンツを音声に変換するための議論がなされている\cite{SOUMU,Guidance,Dialogue}.音声合成の分野においては従来からTTS(Text-to-Speech)\cite{MITalk,TTS}により電子化されたテキストを音声に変換する試みがなされてきた.メール,電子図書,Webページに至るまで様々なテキストを合成音声によって流暢に朗読する仕組みが検討されている.そして近年では,テキストに制御タグを挿入して...
V25N01-02
言語に関する能力を,客観的かつ自動的に把握する需要が高まっている.言語能力把握の需要がある場面の一つに,認知症スクリーニングがある.日本は世界に先駆けて超高齢社会に突入した.2013年の高齢化率は25.1\%にのぼり\footnote{内閣府平成26年5月「選択する未来」委員会.\\http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/future/chuukanseiri/04.pdf},世界でも例を見ないスピードで高齢化が進行している.高齢化の進行に伴い,認知症高齢者の増加も見込まれる.2012年8月の厚生労働省発表によると,2010年における日常生活自立度II\footnote{「...
V06N07-03
GeorgeA.Millerは1956年に人間の短期記憶の容量は7±2程度のチャンク\footnote{チャンクとはある程度まとまった情報を計る,情報の認知単位のこと.}(スロット)しかないこと,つまり,人間は短期的には7±2程度のものしか覚えられないことを提唱した\cite{miller56}.本研究では,京大コーパス\cite{kurohashi_nlp97}を用いて日本語文の各部分において係り先が未決定な文節の個数を数えあげ,その個数がおおよそ7±2程度でおさえられていたことを報告する.この結果は,人間の文の理解過程において係り先が未決定な文節を短期記憶に格納するものであると仮定した場合,京大コーパスではその格納される量がちょ...
V17N04-08
現在,機械翻訳システムの分野において,対訳データから自動的に翻訳モデルと言語モデルを獲得し統計的に翻訳を行う,統計翻訳が注目されている.翻訳モデルは,原言語の単語列から目的言語の単語列への翻訳を確率的に表現するモデルである.言語モデルは,目的言語の単語列に対して,それらが起こる確率を与えるモデルである.翻訳モデルには,大きくわけて語に基づく翻訳モデルと句に基づく翻訳モデルがある.初期の統計翻訳は,語に基づく翻訳モデルであった.語に基づく翻訳モデルでは,原言語の単語から目的言語の単語の対応表を作成する.対応する単語が無い場合はNULLMODELに対応させる~\cite{IBM}.しかし,翻訳文を生成する時,NULLMODELに対して,...
V05N01-02
従来の自然言語処理研究の多くは,言語の論理的側面に注目したものであった.しかし,計算機が人間と同じように自然言語を取り扱うことができるようになるためには,言語の論理的な取り扱いだけでなく,言語が人間の感性に及ぼす働きの実装が不可欠である.このような観点から,我々は感性を取り扱うことのできる自然言語処理システムの開発に向けた基礎研究のひとつとして,待遇表現の計算モデルに関する研究を行っている.待遇表現とは,話し手が,聞き手及び話題に含まれる人物と自分との間に,尊卑,優劣,利害,疎遠等どのような関係があるかを認識し,その認識を言語形式の上に表したものである(鈴木1984).本研究ではこれらの関係を総称して{\bf待遇関係}と呼び,待遇表...
V03N04-07
自然言語の機械による処理方法の一つに,人間が与えた規則を用いて解析する方法がある.この方法では,一般に知識が複雑になるほど精密な解析ができるが,この複雑化に伴い知識獲得が難しくなるため,解析の対象となる話題を限定することがほぼ必須となる.この点において,人間により与えられた規則にのみ基づく解析は,限界にきているとの見方もある.これに対して,自然言語に関する統計的情報を自然言語処理に利用する研究が盛んに行われている\cite{utsu,kudo,mich}.人間によって与えられた規則を元に解析を行う方法においても,規則の適用される確率を統計的に調べておくことにより良い結果が得られることが多く,統計的な情報を自然言語処理に用いることは処...
V21N01-04
本稿では語義曖昧性解消(WordSenseDisambiguation,WSD)をタスクとした領域適応の問題が共変量シフトの問題と見なせることを示す.そして共変量シフトの解法である確率密度比を重みにしたパラメータ学習により,WSDの領域適応の解決を図る.共変量シフトの解法では確率密度比の算出が鍵となるが,ここではNaiveBayesで利用されるモデルを利用した簡易な算出法を試みた.そして素性空間拡張法により拡張されたデータに対して,共変量シフトの解法を行う.この手法を本稿の提案手法とする.自然言語処理の多くのタスクにおいて帰納学習手法が利用される.そこではコーパス\(S\)からタスクに応じた訓練データを作成し,その訓練データから分類...
V10N03-05
本論文では,SENSEVAL2の日本語翻訳タスクに対して帰納論理プログラミング(InductiveLogicPrograming,以下ILPと略す)を適用する.背景知識として分類語彙表を利用することで,正解率54.0\,\%を達成した.この値は,訓練データを新たに作成しない翻訳タスク参加の他システムと比較して優れている.SENSEVAL2の日本語翻訳タスクは,TranslationMemory(以下TMと略す)と呼ばれる日英対訳対が与えられ,テスト文中の該当単語を英訳する際に利用できるTMの例文番号を返すタスクである\footnote{厳密には,英訳自体を解答としてもよいが,ここではこの解答形式は考慮しない.}\cite{sen2}...
V04N02-02
自然言語処理における重要な問題の一つに,形態\hspace{-0.1mm}$\cdot$\hspace{-0.1mm}構文\hspace{-0.1mm}$\cdot$\hspace{-0.1mm}意味といった言語に関する様々な曖昧性の問題がある.一般に,意味的な曖昧性を解消するためには,意味に関するさまざまな情報を規則化し記述しておく必要がある.しかし,意味は文脈に依存して決まるため,あらゆる文脈に対応できるすべての意味を予め規則として網羅的に記述しておくことは難しい.CollinsEnglishDictionary,Rogetのシソーラス,分類語彙表など,機械可読辞書として電子化されたものがあるが,辞書の記述は語の定義が言語学者に...
V24N05-04
一般に,自然言語処理システムでは単語を何らかの数値ベクトルとして表現する必要がある.単純にベクトル化する方法としてはone-hot表現がある.これは単語の種類数が$N$の場合,$N$次元ベクトルを用意し,単語$w$が$i$番目の種類の単語であれば,$N$次元ベクトルの$i$番目だけを1に,他は0にして$w$をベクトル化する方法である.one-hot表現によるベクトル化は単にベクトル化しただけであり,ベクトル間の関係はその単語間のなんらかの関係を反映しているわけではない.処理の意味を考えれば,単語のベクトルはその単語の意味を表し,ベクトル間の関係は,単語の意味の関係を反映したものになっていることが望ましい.このような背景下で,Miko...
V12N05-02
近年,コーパスを利用した機械翻訳の研究においては,翻訳システムに不足している翻訳知識を人手で増強していく際のコストを軽減する目的で,対訳コーパスやコンパラブルコーパス等の多言語コーパスから様々な翻訳知識を獲得する手法の研究が行なわれてきた~\cite{Matsumoto00a}.これまでに研究されてきた翻訳知識獲得の手法は,大きく,対訳コーパスからの獲得手法とコンパラブルコーパスからの獲得手法に分けられる.通常,対訳コーパスからの獲得(例えば,\cite{Gale91a})においては,文の対応の情報を利用することにより,片方の言語におけるタームや表現について,もう一方の言語における訳の候補が比較的少数に絞られるため,翻訳知識の獲得は...
V11N02-04
対訳コーパスの充実に伴い,コーパスから自動学習した知識を用いる機械翻訳システムが提案されてきている\cite{Brown:SMT1993,Menezes:PAandTranslation2001,Imamura:PatternGeneration2002}.しかし,対訳コーパスを無制限に用いて翻訳知識を自動構築すると,コーパスに内在する翻訳の多様性に起因して冗長な知識が獲得され,誤訳や曖昧性増大の原因となる.翻訳の多様性はコーパスサイズの拡大と共に増加する.たとえば,対訳コーパスは大規模になるに従い,通常,同一の原文であるにも関わらず異なった翻訳文が含まれる.また,文脈や状況に依存した特異な翻訳も大規模コーパスでは増加する.我々の対...
V14N04-03
\label{はじめに}言語処理技術を利用した文章の推敲や校正の支援に関する研究が行われている.この研究分野を次の5段階に分けて考える.\begin{description}\item[表記レベル]誤字の検出と修正,表記揺れの指摘など.\item[統語レベル]統語構造の複雑さに起因する読みづらさの指摘など.\item[意味レベル1]欠落した格要素の推定や,照応先の特定が困難な場合の指摘.\item[意味レベル2]情報不足(論理の飛躍や説明が不足しているもの),情報過多(表現が冗長)の指摘.\item[文脈・構成レベル]文間のつながりに関する理解しづらさの指摘.文の構成による論旨の展開についての指摘など.\end{descriptio...
V16N03-04
インターネットの普及にともない,多種多様な電子情報が至るところに蓄積され,溢れている.我々は,インターネットを介して,時と場所を選ばず,即座にそれらの情報にアクセスすることができるが,その量は非常に膨大である.「情報爆発」というキーワードのもと,わが国でも文部科学省,経済産業省が新しいプロジェクトを立ち上げ,新技術の開発に取り組み始めている.この膨大な量の情報を人手で処理することは,不可能に近い.情報には文書,画像,音声,動画など様々なものがあるが,自然言語で書かれた文書情報は,その中で最も重要な情報の1つである.文書情報を機械的に処理する技術の研究,言い換えると自然言語処理技術の研究が極めて重要になっているのはそのためである.自然...
V06N06-02
インターネット,イントラネットが急速に拡大し,情報洪水と呼ばれる程,多くの情報が氾濫している.氾濫する情報を効率良く入手する技術として,従来から,要約や抄録に関する研究が行なわれている\cite{tamura,hara,yamamoto}.これらの多くは,主に一つのドキュメントの内容を要約することに重点を置いているため,新聞やニュースのようなイベントに対して複数のドキュメントが存在する場合,時間的なイベントの変化のようなエピソード的な情報を構造化しにくいという問題がある\cite{yoshida}.情報を構造化して要約する手法としては,ドキュメントに対する重要項目をテンプレートとして準備し,テンプレートを用いて抽出した情報から要約を...
V05N04-06
バリアフリーというキーワードの下に各種福祉機器の開発やパソコンソフトの開発が企業や大学で進められている.なかでも視覚障害者向けには点字ピンディスプレイや音声合成装置などを用いて,コンピュータによる積極的な情報処理教育,職業訓練が行われている.このためにはコンピュータのマニュアルや教科書等を点字に翻訳する必要があるが,点字翻訳ボランティアの数は少なく,年間,一人のボランティアが翻訳できる専門書は3,4冊程度である.日本語を点字に翻訳するシステムは過去にいくつか提案されており,市販されているものもある.日本アイ・ビー・エムの嘉手川らは約77000語の基本単語辞書を用いて分かち書きと漢字かな変換を行うシステムを開発した\cite{kade...
V07N04-07
\label{sec:introduction}これまでに開発されている機械翻訳システムの多くはトランスファ方式に基づいており,原言語の性質だけに依存する解析辞書・規則と,原言語と目的言語の両方の性質に依存する対照辞書・規則が個別に記述されている.他方,翻訳対象言語対と翻訳方向を固定した上で,解析知識の記述を,原言語の性質だけでなく目的言語の性質も考慮に入れて行なうという設計方針もある.このような方針を採ると,ある原言語(例えば日本語)の解析知識を,異なる目的言語へのシステム(例えば日英システムと日中システム)で共用できるというトランスファ方式の利点が失われ,別の目的言語へのシステムを開発する場合には新たな解析知識の記述が必要になる...
V07N04-05
\label{sec:introduction}様々な状況で利用される機械翻訳システムが直面する現実の文には,システムが持つ言語知識では適切に解析できない様々な言語現象が現れる.このような現象を含む文は,人間にとっても適格でない(が理解できる)絶対的不適格文と,人間にとっては適格であるがシステムの処理能力を越えている相対的不適格文に分けられるが,両者を適切に扱える頑健なシステムが求められている\cite{Matsumoto94}.絶対的不適格現象のうち語句の欠落や主語述語の不一致などの構文レベルの現象へ対処することを目的とした手法としては,部分解析法\cite{Imaichi95}や制約緩和法\cite{Mellish89,Kato...
V15N02-05
近年,Webの普及や様々なコンテンツの増加に代表される不特定多数の情報の取得や不特定多数への情報の発信が容易になったことで,個人が取得できる情報の量が急激に増大してきている.個人が取得できる情報量は今後さらに増え続けるだろう.このような状況は,必要な情報を簡単に得られるようにする一方で不必要な情報も集めてしまう原因になっている.この問題を解決する方法として大量の情報の中から必要な情報だけを選択する技術が必要で,これを実現する手段として検索,フィルタリング,テキストマイニングが挙げられる.このような技術はスパムメールの排除やWebのショッピングサイトの推薦システム等で実際に使われている.本論文では大量の情報の中から必要な情報を取得する...
V20N05-03
\label{sec:hajimeni}インターネットの普及により,個人がWeb上で様々な商品を購入したり,サービスの提供を受けることが可能になった.また,これに伴い,商品やサービスに対する意見や感想が,大量にWeb上に蓄積されるようになった.これらの意見や感想は,ユーザが商品やサービスを購入する際の参考にするだけでなく,企業にとっても商品やサービスの改善を検討したり,マーケティング活動に活用するなど,利用価値の高い情報源として広く認識されている.近年ではさらに,ユーザ参加型の商品開発が注目されるなど,ユーザと企業とがマイクロブログやレビューサイト等のソーシャルメディアを通して,手軽に相互にコミュニケーションを持つことも可能となって...
V03N04-05
自然言語処理のための言語リソースとして語彙辞書が最も基本となるが,構文構造の基本となる構成要素は,2文節間あるいは2単語間の係り受け構造である.係り受け関係は,CFG規則の最も単純な形式であるチョムスキ標準形と見なすことができる.通常この関係は共起関係と呼ばれている.本論文は,文法規則というよりは言語データの一種と見なせる共起関係を用いて日本語の係り受け解析を行い,かつ更新,学習機能を取り入れることにより,カナ漢字変換に見られるような操作性の良さを有する簡便な日本語係り受け解析エンジンを提示することを目的とする.これまで共起関係による自然言語解析には,\cite[など]{Yoshida1972,Shirai1986,Tsutsumi...
V26N02-08
\label{sec:introduction}述語項構造解析は,様々な自然言語処理アプリケーションの土台となる技術である.本研究が対象とする日本語のような談話指向言語では,文から項が省略されることが多い\cite{kayama2013}.これらの省略された項は,ゼロ代名詞とみなされる.項は述語との係り受け関係があるか否かにより,係り受け関係有りかゼロ照応かに分けられる.ゼロ照応は,項がテキスト中に現れるか否かにより,文脈照応か,外界照応かに分けられる.文脈照応は,項が述語と同一文内に出現するか否かにより,文内照応か,文間照応に更に分けられる.\vspace{0.5\Cvs}{\small例1.1)\メールを\書いて$_{v_1}$...
V03N04-01
\label{sec:1shou}最近,国文学の分野においても,文学作品のテキストをコンピュータに入力し,研究に活用しようとする動きが盛んである~\cite{dbwest:95}.これは日本語処理可能なパソコンなどの普及により,国文学の研究者が,自分の手でデータを作成する環境が整ってきたことによる.すでに,多くの文学作品が電子化テキストとして作成され,蓄積され,流通され始めてきている.例えば,村上ら~\cite{murakami:89}による語彙索引作成を目的とした幸若舞の研究は,最も初期のものである.これは田島ら~\cite{tazima:82}により,万葉集を始めとする多くの文学作品の電子化テキスト作成の試みに引き継がれている....
V04N01-04
英語前置詞句(PrepositionalPhrase,PP)の係り先の曖昧性は文の構造的曖昧性の典型例をなすものである.その解消は自然言語処理における難題の一つとしてよく知られている.この問題の解決法には,大略,構文構造に基づく手法,知識に基づく手法,コーパスに基づく手法,シソーラスに基づく手法がある.構文構造に基づく手法は,文の構成素の結び付き関係を構文情報によって決めようとするものである.この手法の代表例に,RightAssociation(Kimball1973)とMinimalAttachment(Frazier1978)がある.RightAssociationでは,文の構成素は右側に隣接する句と結び付く傾向があると考え,M...
V25N03-02
\label{introduction}ある二つの文について,それぞれの文がどのような意味を持ち,一方の文と他方の文とがどのような意味的関係にあるかという文間の関連性の評価は,情報検索や文書分類,質問応答などの自然言語処理の基盤を築く重要な技術である.これまでの自然言語処理における文の意味表現の方法は,ベクトル空間モデルが主流である.情報検索においては,単語や文字の出現頻度といった表層的な情報を用いて,統計的機械学習に基づいて文ベクトルを導出する手法が用いられてきた.また,さらに正確な文の意味表現を目指して,単語やフレーズといった構成要素を組み合わせて文の意味を計算するベクトル空間モデル~\cite{Find-similar,mit...
V24N05-03
日本語は比較的語順が自由な言語であるとされるが,多くの研究において日本語にも基本語順が存在していることが示唆されている\cite{Mazuka2002,Tamaoka2005}.しかし,どの語順を基本語順とみなすかについては意見が分かれる場合があり,二重目的語構文についても,二つの目的語の基本語順に関し多くの説が提案されている.具体的な争点としては,二重目的語構文の基本語順は「がにを」である\cite{Hoji1985}か,「がにを」と「がをに」の両方である\cite{Miyagawa1997}かや,後者の立場の類型として基本語順は動詞の種類に関係するという説\cite{Matsuoka2003}や,ニ格の意味役割や有生性が関わって...
V15N03-05
我々は,人間と自然な会話を行うことができる知的ロボットの実現を目標に研究を行っている.ここで述べている「知的」とは,人間と同じように常識的に物事を理解・判断し,応答・行動できることである.人間は会話をする際に意識的または無意識のうちに,様々な常識的な概念(場所,感覚,知覚,感情など)を会話文章から判断し,適切な応答を実現しコミュニケーションをとっている.本論文では,それらの常識的な判断のうち,未知語の理解に着目し,研究を行っている.知的ロボットとの円滑なコミュニケーションを実現するにあたり,重要となる技術が自然言語処理である.近年,自然言語処理において,単語を意味的に分類したシソーラス\cite{NTT_Thesaurus:97},...
V23N03-02
\textbf{仮説推論}(Abduction)は,与えられた観測に対する最良の説明を見つける,論理推論の枠組みのひとつである.仮説推論は,自然言語処理や故障診断システムなどを含む,人工知能分野の様々なタスクにおいて古くから用いられてきた(NgandMooney1992;Blythe,Hobbs,Domingos,Kate,andMooney2011;Ovchinnikova,Hobbs,Montazeri,McCord,Alexandrov,andMulkar-Mehta2011;井之上,乾,Ovchinnikova,Hobbs2012;杉浦,井之上,乾2012).\nocite{Ng92,Blythe11,Ovch11,Inou...
V08N01-07
自然言語処理では,機械翻訳システムの研究開発を中心に,過去10年以上にわたって多大な投資が行われ,言語解析アルゴリズムなど,大きく発展してきた(田中穂積1989;長尾真1996;田中穂積1999)が,解析の過程で発生する表現構造と意味に関する解釈の曖昧性の問題は,依然として大きな問題となっている.日本語の構文解析では,特に,述語間の係り受け関係の曖昧さ(白井ほか1995)と並列構造の識別(黒橋,長尾1994)が問題とされているが,名詞句(冨浦ほか1995;菊池,白井2000)や複合語(小林ほか1996)の構造の曖昧さも大きな問題である.英語では,前置詞句の係り先の曖昧さ(隅田ほか1994)などがクローズアップされている.また,機械翻...
V08N03-07
日本語とウイグル語は共に膠着語である.膠着語には,概念などを表し単独で文節を構成することが可能な自立語と,単独で文節になることはなく,自立語に接続して,その自立語の文中での役割を示したり,自立語に新たな意味を付加する付属語の区分がある.膠着語では,付属語がよく発達しており,言語構造上重要な役割を果たす.これらの特徴は,日本語とウイグル語だけでなく,韓国語,トルコ語,モンゴル語などのアルタイ語系に属する言語に共通するものと考えられている\cite{JPORG}.このグループに属する言語間の機械翻訳については,グローバル化の流れの中で多言語間機械翻訳の重要性が高いにもかかわらず,これまでほとんど行われておらず,日本語と韓国語との翻訳につ...
V25N02-01
\label{s:introduction}機械翻訳システムでより多くの文を対象に翻訳精度を維持したい場合,その量に応じた大きさの語彙をシステムが取り扱う必要がある.語彙サイズは様々な機械翻訳手法の性能や効率に影響を及ぼすが,特に近年活発に研究されているニューラル翻訳モデル\cite{encdec}では,語彙サイズの増加に伴う影響が顕著である.図\ref{fig:nmt}はエンコーダ(Encoder:符号化器),デコーダ(Decoder:復号器)および注意機構(Attention)と呼ばれる個々のネットワーク構造からなる翻訳モデル\cite{bahdanau14,luong15}であり,ニューラル翻訳モデルとして典型的に使用される構...
V04N01-03
label{sec:Intro}近年の音声認識技術の進歩によって,話し言葉の解析は自然言語処理の中心的なテーマの1つになりつつある.音声翻訳,音声対話システム,マルチモーダル・インターフェースなどの領域で,自然な発話を扱うための手法が研究され出している.しかし,話し言葉の特徴である,言い淀み,言い直し,省略などのさまざまな{\bf不適格性}\,(ill-formedness)のために,従来の適格文の解析手法はそのままでは話し言葉の解析には適用できない.我々は,適格文と不適格文を統一的に扱う{\bf統一モデル}\,(uniformmodel)に基づく話し言葉の解析手法を提案した\cite{伝:言処-投稿中}.そこでは,テキスト(漢字仮...
V17N01-02
\label{sec:introduction}現在では,ウェブ上の文書をはじめとして,多種多様な文書に簡単にアクセスすることができる.ニュースやブログの記事にはさまざまな出来事が記述され,その中には数多くの地名が含まれている.地名等の固有名詞は辞書未登録語であることが多く,文書の自動処理における未知語処理の問題の主因の一つとなっている.地名は,人名や組織名等の他の固有名詞と比べてその要素に変動が少なく,詳細な辞書の作成が可能という特徴がある.地名については,地図作成や郵便業務等のため,どの国でも詳細な辞書が存在するため,これを利用することでその地名に付随する国や場所等の属性を得ることが可能である.しかし,文書中に出現する地名はその...
V07N02-05
\label{sec:intro}本稿では,比喩の一種である換喩を統計的に解釈する方法を述べる.比喩は大別すると,直喩・隠喩的なものと換喩的なものとに分けられる\cite{Ye90}.まず,直喩・隠喩的な比喩とは,喩えるもの(喩詞)と喩えられるもの(被喩詞)との類似性に基づいた比喩である.たとえば,「あの男は狼のようだ」という直喩,あるいは,「あの男は狼だ」という隠喩は,喩詞である「狼」と被喩詞である「あの男」との間の何らかの類似性(獰猛さなど)に基づいている.ここで,直喩と隠喩との違いは,直喩が比喩であることを言語的に明示するのに対して,隠喩はそのようなことを明示しない点にある.一方,換喩的な比喩とは,喩詞と被喩詞との連想関係に基...
V18N02-04
日本語や中国語のように,明示的な単語境界がない言語においては,自動単語分割は自然言語処理の最初のタスクである.ほとんどの自然言語処理システムは,単語単位に依存しており,自動単語分割器はこれらの言語に対して非常に重要である.このような背景の下,人手による単語分割がなされた文からなるコーパスを構築する努力\cite{京都大学テキストコーパス・プロジェクト,Balanced.Corpus.of.Contemporary.Written.Japanese}とともに,経験的手法による自動単語分割器や同時に品詞を付与する形態素解析器の構築\cite{統計的言語モデルとN-best探索を用いた日本語形態素解析法,形態素クラスタリングによる形態素解...
V06N07-01
\label{sec:introduction}日本語の形態素解析は,日本語の自然言語処理にとって基本的なものであるので,多くの研究・開発が行われている.形態素解析システム\footnote{以下,システムとは,形態素解析システムのことであり,解析結果あるいは形態素解析結果とは,形態素解析システムの解析結果のことである}には,主に,人手で作成された規則に基づくシステム\cite[など]{kurohashi97,matsumoto97,washizaka97,fuchi98}と確率に基づくシステム\cite[など]{nagata94,mori98,yamamoto97}がある.本稿では,人手で作成された規則に基づく形態素解析システムを...
V18N02-01
確率的言語モデルは,統計的手法による仮名漢字変換\cite{確率的モデルによる仮名漢字変換}\cite{Google.IME}\cite{漢字かなのTRIGRAMをもちいたかな漢字変換方法}や音声認識\cite{音声認識システム}\cite{Self-Organized.Language.Modeling.for.Speech.Recognition}などに広く用いられている.確率的言語モデルは,ある単語列がある言語でどの程度自然であるかを出現確率としてモデル化する\footnote{単語の定義に関しては様々な立場がある.本論文では,英語などの音声認識の言語モデル\cite{Self-Organized.Language.Model...
V13N01-03
人間はあいまいな情報を受け取り適宜に解釈して適切に会話を進めたり適切な行動を取ることができる.これは,人間が長年にわたって蓄積してきた,言語やその基本となる語概念に関する「常識」を持っているからである.すなわち,ある単語から概念を想起し,さらに,その概念に関連のある様々な概念を連想できる能力が重要な役割を果たしていると考えられる.ここで,ある単語に関連のある様々な単語を連想できるためには,単語間の意味的類似性だけでなく,単語間に存在する常識的な関係も含めた単語間の距離を評価できる必要がある.単語間の意味的な類似度の計算や距離計算は,自然言語処理における基本要素技術である.本稿では,単語間の距離計算法を提案している.従来,単語間の距離...
V16N03-02
一般家庭にもPC,ブロードバンドが普及し,ユーザは手軽に情報を収集できるようになってきている.しかし一方では,情報が過度に溢れ過ぎ,利用者の要求に合った情報を探し出す必要性が高まっている.その中で要求に適合した情報のみを選出するのではなく,情報をランキング付けして提示することも重要となっている.ランキング付けは,検索要求と検索対象との間の類似性や関連性をもとに行われ,これらを定量化することが求められる.その際,従来の情報検索でよく用いられているベクトル空間モデル\cite{Salton:75}などでは文書における単語の出現頻度や統計情報などを利用して検索要求と文書間の類似性を判断し,文書を選別している.このような手法は検索要求と文書...
V03N03-02
\label{sec:introduction}比喩は自然言語に遍在する.たとえば,李\cite{Yi82}によると,小説と新聞の社説とにおいて比喩表現の出現率に大差はない.また,比喩を表現する者(話し手)は,比喩により言いたいことを端的に表現する.したがって,自然言語処理の対象を科学技術文から評論や小説に拡大するためには,比喩の処理が必要である.比喩表現は,喩える言葉(喩詞)と喩えられる言葉(被喩詞)とからなる.話し手は,それを伝達か強意かに用いる\cite{Nakamura77a}.伝達のために比喩を用いるときは,伝達したい事柄が相手(聞き手)にとって未知であると話し手が判断したときである.たとえば,「湖」は知っているが「海」は...
V14N03-09
インターネットが普及し,ユビキタス社会が浸透するなか,人間がコンピュータと対話する機会も増加する傾向にある.これまでの対話システムは言語情報のみを扱い,そのパラ言語情報を扱うことは少ないため,人間同士の対話と比較すると,コンピュータとの対話ではコンピュータが得る人間の情報は少ない.本研究では音声の言語表現の特徴と音響的特徴から推定可能な感情を検出するために,感情の程度による言語表現の特徴および音響的変化を分析し,コンピュータと人間とのインタラクションにおける人間の感情および態度表出を捉えることを目指す.それにより,両者の円滑なコミュニケーションを図ることを目的としている.将来の具体的応用対象として考えられる対話を想定し,コールセンタ...
V05N02-04
日本語には単語間に明示的な区切りがないので,入力文を単語に分割し,品詞を付加する形態素解析は日本語処理における基本的な処理である.このような視点から,今日までに多くの形態素解析器が人間の言語直観に基づき作成されている.一方,英語の品詞タグ付けではいくつかのコーパスに基づく方法が提案され,非常に高い精度を報告している\cite{Grammatical.Category.Disambiguation.by.Statistical.Optimization,A.Stochastic.Parts.Program.and.Noun.Phrase.Parser.for.Unrestricted.Text,A.Simple.Rule-Based....
V03N02-05
近年,電子化された大規模なテキストデータベース(コーパス)が身近に存在するようになり,その中から必要とする情報のみを高速に検索することができるテキスト検索システムの重要性が改めて認識されるようになってきた.また,検索の目的としても,単にある文字列を検索してくるというだけでなく,用例ベースの翻訳支援システムなどで要求されるように,ある言い回し,ある種の意味内容について検索してくるといった高度な検索が求められるようになってきた\cite{Kishimoto1994}.このような高度な検索のためには,検索対象であるテキストデータを解析して種々の情報をあらかじめ付加しておく必要がある(タグ付きコーパス).タグ付きコーパスとしては,形態素解析...
V25N04-05
\label{sec:intro}並列構造は等位接続詞などの句を連接させる働きのある語にともなって,句や文が並列して出現する構造である.並列構造は自然言語において高い頻度で現れるが,並列構造が包含する句の範囲には曖昧性があり,また並列構造によって1文が長くなるため,自然言語解析を困難にしている主な要因となっている.近年,句構造や依存構造などの構文解析の手法は顕著に発展してきているが,並列構造を高い精度で解析する決定的な手法は確立されていない.並列構造の曖昧性が解消されることで構文解析の誤りを減らすだけではなく,科学技術論文の解析や文の要約,翻訳など広い範囲のアプリケーションでの利用が期待される.並列構造の構成要素である個々の並列句に...
V06N04-03
現代日本語で「うれしい」「悲しい」「淋しい」「羨ましい」などの感情形容詞を述語とする感情形容詞文には,現在形述語で文が終止した場合,平叙文の際,一人称感情主はよいが二人称,三人称感情主は不適切であるというような,人称の制約現象がある\footnote{本稿で言う「人称」とは,「人称を表す専用のことば」のことではない.ムードと関連する人称の制約にかかわるのは「話し手」か「聞き手」か「それ以外」かという情報である.よって,普通名詞であろうと,固有名詞であろうと,ダイクシス専用の名詞であろうと,言語化されていないものであろうと,それがその文の発話された状況において話し手を指していれば一人称,聞き手を指していれば二人称,それ以外であれば三人...
V21N03-01
機械翻訳システムの開発過程では,システムの評価と改良を幾度も繰り返さねばならない.信頼性の高い評価を行うためには,人間による評価を採用することが理想ではあるが,時間的な制約を考えるとこれは困難である.よって,人間と同程度の質を持つ自動評価法,つまり,人間の評価と高い相関を持つ自動評価法を利用して人間の評価を代替することが実用上求められる\footnote{本稿では,100文規模程度のコーパスを用いて翻訳システムの性能を評価すること,つまり,システム間の優劣を比較することを目的とした自動評価法について議論する.}.こうした背景のもと,様々な自動評価法が提案されてきた.BLEU\cite{bleu},NIST\cite{nist},ME...
V07N02-01
コンピュータで利用する電子化文書データの増大に伴って,文書の自動分類に関する研究開発が非常に活発であり,文書全体の情報を利用して,類似度を計算するベクトルモデル\cite{長尾他1996,野村1999,徳永他1994}や確率モデル\cite{Fuhr1989}の技術が確立されてきた.しかしながら,実際の文書は,複数の話題や分野を混合して含み,検索したい内容は文書の一部分(断片)に存在する場合がほとんどであるので,文書全体を検索対象とするのではなく,検索要求に合致した文書断片のみを抽出するパッセージ検索技術が着目されている\cite{Callan1994,Kaszkiel1997,Melucci1998,望月他1999,Salton1...
V08N01-06
\label{sec:introduction}形態素解析は日本語解析の重要な基本技術の一つとして認識されている.形態素解析の形態素とは,単語や接辞など,文法上,最小の単位となる要素のことであり,形態素解析とは,与えられた文を形態素の並びに分解し,それぞれの形態素に対し文法的属性(品詞や活用など)を決定する処理のことである.近年,形態素解析において重要な課題となっているのは,辞書に登録されていない,あるいは学習コーパスに現れないが形態素となり得る単語(未知語)をどのように扱うかということである.この未知語の問題に対処するため,これまで大きく二つの方法がとられてきた.一つは未知語を自動獲得し辞書に登録する方法(例えば\cite{Mor...
V21N02-08
述語項構造は,文章内に存在する述語と,その述語が表現する概念の構成要素となる複数の項との間の構造である.例えば次の文,\enumsentence{[太郎]は[手紙]を\underline{書い}た.}では,述語「書く」に対して,「太郎」と「手紙」がこの述語の項であるとされる.また,述語が表現する「書く」という概念の上でそれぞれの項の役割は区別される.役割を表すためのラベルは用途に応じて様々であるが,例えば,ここでの「太郎」には「ガ格」「動作主」「書き手」などのラベル,「手紙」には「ヲ格」「主題」「書かれる物」などのラベルが与えられる.このように,述語に関わる構成要素を構造的に整理する事によって,複雑な文構造・文章構造を持った文章にお...
V19N04-03
本論文では対象単語の用例集合から,その単語の語義が新語義(辞書に未記載の語義)となっている用例を検出する手法を提案する.新語義の検出は語義曖昧性解消の問題に対する訓練データを作成したり,辞書を構築する際に有用である.また新語義の検出は意味解析の精度を向上させる\cite{erk}.また新語義の用例はしばしば書き誤りとなっているので,誤り検出としても利用できる.新語義検出は一般にWordSenseDisambiguation(WSD)の一種として行う方法,新語義の用例をクラスターとして集めるWordSenseInduction(WSI)のアプローチで行う方法\cite{denkowski},及び新語義の用例を用例集合中の外れ値とみなし...
V10N05-08
大量の文書情報の中から必要な部分を抽出するために,自動要約技術などによって文書の量を制御し,短い時間で適確に内容を把握する必要性が高くなってきている.自動要約には,文書中の文を単位とし,なんらかの情報をもとに重要語を定義して各文の重要度を計算する方法がある.たとえば,文書中の出現頻度が高い単語は重要語になる可能性が高いという仮定のもとに,単語の重要度を計算する方法({\ittfidf}法)\cite{salton1989},自立語の個数を考慮して単語の重要度を計算する方法\cite{robertson1997},語彙的連鎖を用い重要度を計算する方法\cite{mochizuki2000}がある.新聞など文書の構造上の特徴から重要文を...
V26N02-06
登場人物(キャラクタ)は小説,コミック,アニメ,ドラマ,映画などの物語世界における重要な構成要素の一つであり,ライトノベルのように「キャラクタ中心の物語」(メイナード2012)\nocite{maynard:2012}すら存在する.近年は,ユーザの命令に従ってタスクを実行したり,会話をしたりする対話エージェントにおいても,エージェントのキャラクタが重視されるようになり,マイクロソフトの「りんな」\footnote{https://www.rinna.jp/}をはじめとして,特定のキャラクタを冠した対話エージェントが数多く作られている\footnote{https://www.nttdocomo.co.jp/service/shabe...
V18N01-01
日本語非母語話者が日本語の作文をする場合,共起表現知識が不足するため,不自然な文を産出することがある.日本語に言語直観のない非母語話者にとって,共起表現の適切さの判断は難しい.\cite{杉浦}は,母語話者と非母語話者の知識の決定的な違いは,記憶しているコロケーション知識の量と質の違いではないかと考え,非母語話者の作文の不自然さを説明している.このような非母語話者の問題に対して,第二言語習得の研究では,文の産出には,例文の提示\cite{Summers}や,語の用法・共起関係の学習\cite{Granger}が重要であると考えられている.しかし,日本語学習者に対する日本語知識の情報源として,国語辞典はあまり役に立たない.国語辞典は,...
V14N03-01
「話し手は,迅速で正確な情報伝達や,円滑な人間関係の構築といった目的を果たすために,言語を使って自分の感情・評価・態度を表す」という考えは,言語の研究においてしばしば自明視され,議論の前提とされる.たとえば「あのー,あなたは失格,なんです」という発言は,単に聞き手の失格(命題情報)を告げるだけのものではない.「失格は,聞き手にとってよくないことだ」という話し手の評価や,「聞き手にとってよくないことを聞き手に告げるのはイヤだ,ためらわれる」といった話し手の感情・態度をこの発言から読みとることは,多くの場合,難しくない.また,このような話し手の評価や感情・態度を早い段階(たとえば冒頭部「あのー」の段階)で読みとることによって,聞き手は,...
V15N02-04
\label{sec:intro}言い換えとは,ある言語表現を意味が等価な別の言語表現に変換する処理のことである.自然言語処理においては,言い換えはさまざまな応用をもっており,例えば,情報検索,機械翻訳,文章作成支援,文章読解支援などに応用されることが期待されている.\begin{table}[b]\caption{日本語表現の分類}\label{tab:classWord}\input{04table01.txt}\end{table}\begin{figure}[b]\begin{center}\includegraphics{15-2ia4f1.eps}\caption{内容表現の言い換えと機能表現の言い換えを組み合わせた幅広...
V13N03-05
述語項構造とは述語とその項の間の意味的な関係を表現する構造の一つである.例えば,「彼が扉をひらく」という文中の述語「ひらく」の項構造は[agent,theme]のように表すことができる.agent,themeは項が述語に対してどのような意味的関係となっているかを表す意味役割である.また,所与の文章中の各述語に対して,(1)述語が取り得る項構造のうち最も文の解釈に適った項構造を選択し,(2)その構造の各項に対応する要素を同定することで述語項構造を出力する処理を項構造解析と呼ぶ.例えば,文「彼が扉をひらく」を述語項構造解析する場合には,述語「ひらく」に対して図\ref{fig:arg_dic}\,に示すような項構造辞書から対応する項構造...
V07N02-07
近年のWWW(WorldWideWeb)などのインターネットの発展や電子化文書の増加により情報検索\cite{ir_tokunaga,ir_doukou,Fujita99}の研究は盛んになっている.これを背景に日本で情報検索コンテストIREXが行なわれた.われわれはこのコンテストに二つのシステムを提出していたが,記事の主題が検索課題に関連している記事のみを正解とするA判定の精度はそれぞれ0.4926と0.4827で,参加した15団体,22システムの中では最もよい精度であった.本論文は,この二つのシステムの詳細な説明と,これを用いた詳細な実験結果を記述するものである.われわれの情報検索の方法では基本的に,確率型手法の一つのRobert...
V09N01-01
\label{はじめに}日本語には語順の入れ替わり,格要素の省略,表層格の非表示などの問題があり,単純な係り受け解析を行っただけでは文の解析として十分とはいえない.例えば,「ドイツ語も話す先生」という文の場合,係り受け構造を解析しただけでは,「ドイツ語」と「話す」,「先生」と「話す」の関係はわからない.このような問題を解決するためには,用言と格要素の関係,例えば,「話す」のガ格やヲ格にどのような単語がくるかを記述した格フレームが必要である.このような格フレームは文脈処理(照応処理,省略処理)においても必須の知識源となる.これまで,重要な用言の典型的な格フレームについては,人手で辞書をつくるということも試みられてきた.しかし,格と同じ...
V02N03-04
自然言語には定型表現と呼ばれる単語間の共起性が強い表現が数多く存在する.定型表現を収集,整理しておくことは言語学的な観点からも機械処理の観点からも有益である.例えば「目を盗む」や「かたずを飲む」などの慣用表現は,その表現の意味が個々の構成語の意味からは作り出すことができない\cite{miyaji}.このために,機械処理ではそれら表現に例外的な処理を施す必要がある.また言語学的にも語の持つ意味の標準的用法と非標準的用法の境界を考察する上で,このような表現を網羅的に収集することが望まれる.また慣用表現ではなくとも,「に関して」「も少なくない」「て欲しい」などの定型表現では個々の構成語に分割して処理するよりも予め一語として捉えていた方が...
V14N05-03
存在文はいかなる言語にも存在し,人間のもっとも原始的な思考の言語表現の一つであって,それぞれの言語で特徴があり言語により異なりが現れてくる.日本語と中国語でも,前者が存在の主体が有情物か非情物かで使われる動詞が異なる(「ある/いる」)のに対し,後者では所在の意味か所有の意味かで使われる動詞が異なる(「在/有」)など,大きな違いがある.日本と中国の言語学の分野では,存在文について論述があるが(飯田隆2001,西山佑司2003,金水敏2006,儲澤祥1997),日中機械翻訳の角度からの研究は殆ど見あたらない.また日中機械翻訳において現在の日中市販翻訳ソフトでは,存在文に関する誤りが多く見られる.本論文は言語学の側の文献を参考にしながら存...
V15N03-03
質問応答技術は自然言語によって表現された質問に文書でなく情報そのもので回答する事を可能とするもので,情報アクセスの新しい形として期待されている\cite{Voorhees00}.事実に関する独立した質問に一問一答形式で回答するものを中心に研究が始められたが,近年は様々な面で研究の展開が見られ,そのひとつに対話性の重視があげられる.質問応答技術を牽引してきたといってよいTREC\cite{Voorhees05,TREC}では,TREC2001において対話的な利用を前提とした文脈処理の能力を評価する試みがなされている\cite{Voorhees01}.その後,TREC2004から,相互に独立した質問ではなく,あるトピックに関する一連の質...
V09N03-06
インターネットの急速な普及により,ユーザが閲覧可能なコンテンツは,爆発的に増大している.そのようなコンテンツを検索するために,yahoo!やinfoseekなど,いくつもの検索エンジンが登場してきている.そうした検索エンジンでは,ユーザがキーワードや文字列を論理式で与えることによって,検索を実行するのが一般的である.しかしながら,特に初心者ユーザにとっては,そうした検索エンジンへの条件の与え方がまだ十分に使いやすいものではなく,自然言語による対話を用いて検索を行ないたいという需要がある.情報検索対話に自然言語を用いる利点は,以下が挙げられる.\begin{itemize}\item自然言語は,ユーザにとって最も親しみやすく,自然なコ...
V26N01-05
\label{sec:introduction}対話システムがユーザ発話から抽出するべき情報は,背後にあるアプリケーションに依存する.対話システムをデータベース検索のための自然言語インタフェースとして用いる場合,対話システムはデータベースへのクエリを作成するために,ユーザ発話中で検索条件として指定されるデータベースフィールドとその値を抽出する必要がある.データベース検索対話において,ユーザ発話中からこのような情報を抽出する研究はこれまで多くなされてきた.例えば,\citeA{raymond2007generative,Mesnil2015,Liu2016a}は,ATIS(TheAirTravelInformationSystem)コ...
V03N03-05
\footnotetext{井佐原均,HitoshiIsahara,郵政省通信総合研究所関西先端研究センター,KansaiAdvancedResearchCenter,CommunicationsResearchLaboratory,MPT}\footnotetext{内野一,HajimeUchino,日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学研究所,NTTCommunicationScienceLaboratories,NipponTelegraphandTelephone}\footnotetext{荻野紫穂,ShihoOgino,日本アイ・ビー・エム株式会社東京基礎研究所,IBMResearch,TokyoResearc...
V11N05-06
言い換えに関する研究\cite{sato_ronbun_iikae,yamamoto_nlp2001ws_true,murata_paraphrase_true,inui_iikae_tutorial}は平易文生成,要約,質問応答\cite{murata2000_1_nl,murata_qa_ieice_kaisetu}と多岐の分野において重要なものであるが,本稿では言い換えの研究の統一的モデルとして,尺度に基づく変形による手法を示し\footnote{本稿は,文献\cite{murata_nlp2001ws_true}に基づいて作成したものである.本研究の主眼になっている尺度に基づく変形については,文献\cite{murata20...
V26N01-07
Web上では日々多くのテキスト情報が発信されており,これまでに膨大な量のテキストが蓄積されている.この大量のテキストから,あるトピックについての知識を抽出するためには,関連するテキストの統合・要約・比較を行う情報分析技術が必要である.異なる時期に書かれたテキストや異なる時期について言及しているテキストを対象として分析を行うためには,テキストに含意されている時間情報を正しく解釈する必要があり,これまでに事象情報と時間情報の関係性という観点から多くの研究やタスクが行われてきた.例えばTempEval1,2,3では,事象−事象表現間,事象−時間表現間の時間的順序関係の推定が行われた\cite{TempEval-1,TempEval-2,T...
V05N03-05
\label{sec:intro}コーパス,辞書,シソーラスなどの機械可読な言語データの整備が進んだことから,自然言語処理における様々な問題の解決に何らかの統計情報を利用した研究が盛んに行われている.特に構文解析の分野においては,構文的な統計情報だけでなく,単語の出現頻度や単語の共起関係といった語彙的な統計情報を利用して解析精度を向上させた研究例が数多く報告されている\cite{schabes:92:a,magerman:95:a,hogenout:96:a,li:96:a,charniak:97:a,collins:97:a}.ここで問題となるのは,このような語彙的な統計情報を構文的な統計情報とどのように組み合わせるかということで...
V13N03-04
\label{sec:intro}スライドを用いたプレゼンテーションは,意見を人々に伝えるのに大変効果的であり,学会やビジネスといった様々な場面において利用されている.近年,PowerPointやKeynoteといったプレゼンテーションスライドの作成支援をするソフトが開発・整備されてきているが,一からスライドを作成することは依然として大変な作業である.そこで,科学技術論文や新聞記事からプレゼンテーションスライドを自動(または半自動)で生成する手法が研究されている.Utiyamaらは,GDAタグで意味情報・文章構造がタグ付けされた新聞記事を入力としてプレゼンテーションスライドを自動生成している\cite{Utiyama99}.また,安...
V17N04-05
\resp{コミュニケーションの手段として,メールやWebの掲示板を日常的に利用するシーンは非常に多い.}メール\resp{やWebの掲示板}によるコミュニケーションの特徴として,非言語情報が欠落しているため,会話時に相手から感じる対人圧力が低くなり,気軽に考えていることを書き出すことができるメリットがあげられる\cite{sugitani20070320}.しかし一方で,\resp{メッセージ}の受け取り手は\resp{テキスト}の内容のみから相手の考えを読み取らなければならないため,ちょっとした言葉の誤解が,感情的な問題へと発展していくことがある\cite{小林正幸}.また,書き方によっては書き手の感情が伝わりにくいことがあった...
V06N06-07
近年テキストを自動的に要約する技術に関する研究が国内外で盛んになって来ている(HovyandMarcu1998;奥村,難波1998).自動要約に関する研究の歴史は,古く1950年代後半から研究されているが,対象のテキストから重要な部分を抜き出して要約とする重要部分特定の手法が中心であった.テキストの内容を理解しての自動要約は,難しくまだ現実的なシステムを作成するに至っていないのが現状である.また,最近,テキストの重要部分に注目するのではなく,不要部分を特定し,言い換え及び削除により,要約を行う研究も出てきている.本研究の目的は,長い文を短い文に分割する処理(今後「短文分割」と呼ぶ)を行ない,その短文分割の自動要約手法への影響を調査す...
V04N04-03
アスペクトとは,動きの時間的な局面を問題にして,どの局面をどのように(動きとして,あるいは状態として)とらえるか,ということを表すカテゴリーである.『国語学大辞典』\cite{Kokugo93}で「アスペクト」の項をひくと,\begin{quotation}動詞のあらわす動作が一定時点においてどの過程の部分にあるかをあらわす,動詞の形態論的なカテゴリー.たとえば,「よみはじめる」はよむ動作がはじまることを,「よんでいる」は進行の途中にあることを,「よんでしまう」は動作がおわりまでおこなわれることを,「よんである」は,動作終了後に一定の結果がのこっていることをあらわす.アスペクトは,時間にかかわるカテゴリーであるが,テンスとちがって,...
V05N04-08
韓国において日本語は技術の分野のみではなく,経済などの他の分野においても英語に次ぐ重要な言語の一つになっている.しかし,日本語が自由に操れる人は少ない.このような背景により,機械翻訳に関する研究が韓国に紹介され始めた80年代の初めから日韓機械翻訳に対する期待はかなり高い状況であった.このような期待が実り,90年代に入り,韓国,あるいは日本で開発された使用可能な日韓機械翻訳システム5種が市販されるようになった.しかし,現在市販されている商用日韓機械翻訳システムは,日本語と韓国語の言語構造の類似点などによる一般ユーザたちの高い期待とは裏腹にその翻訳品質は低いレベルにとどまっている.このような現実を踏まえ,日韓機械翻訳システムの活性化を達...
V04N02-06
自然言語処理技術の一つに,文書の自動抄録がある.従来から行なわれている自動抄録は大きく分けて2つの手法,すなわち,1.文書の構造解析を行なう手法,2.文書の統計情報を用いた手法とに分類できる.1はスクリプトなどを使用して重要箇所を抽出する方法や,テキストの構文・意味解析を行なって談話構造を作成し,この構造から重要箇所を抽出する方法である\cite{Reimer1988},\cite{Tamura1989},\cite{Jacobs1990},\cite{Inagaki1991}.しかし,これらの方法では,ある特定の分野について書かれたテキストのみを対象としている場合が多いため,結果的に汎用性に欠けることが指摘されている\cite{P...